JP3827029B2 - 環状フェノール硫化物の製造方法 - Google Patents

環状フェノール硫化物の製造方法 Download PDF

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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状アルキルフェノール硫化物類を脱アルキル化することによって環状フェノール硫化物類を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルキルフェノール類の硫化物は、酸化防止剤(例えば、米国特許公報第2,239,534号や米国特許公報第3、337、334号)、ゴム硫化剤(例えば、米国特許公報第3、468、961号や米国特許公報第3、647、885号)、ポリマー安定化剤(例えば、米国特許公報第3、882、082号、米国特許公報第3、845、013号、米国特許公報第3、843、600号など)、あるいは防食剤(例えば米国特許公報第3、684、587号)、さらに潤滑油添加剤であるフェネートの原料(堀ら、石油学会誌、1991,34、446)などとして知られているが、これらは2,2’−チオビス(4−アルキルフェノール)(2量体)、2−[3−(2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ)−2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ]−4−アルキルフェノール(3量体)、あるいは2−[3−[3−(2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ)−2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ]−2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ]−4−アルキルフェノール(4量体)などを含むオリゴマー単独、もしくはそれらを含む組成物であって、全て非環状のアルキルフェノール硫化物であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
我々は、先に基本骨格にフェノール骨格を4以上含む環状フェノール硫化物群を見い出し(特願平8−70902)、さらに、これらの環状フェノール硫化物群が、金属捕捉剤、イオンセンサー、基質特異性センサー、分離膜材料、高分子材料、酸化触媒、相間移動触媒、人工酵素、光エネルギー変換材料、あるいはその他イオンや分子の認識を利用した機能性分子の中間体などとして有用であることも見い出した。
これらの環状フェノール硫化物群には、水酸基またはその誘導体基に対してベンゼン環の4位にアルキル基を有している。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、これらの水酸基またはその誘導体基に対してベンゼン環の4位にあるアルキル基の少なくとも一つが水素に置換された環状フェノール硫化物を、効率的にしかも容易に製造できる方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、水酸基またはその誘導体基に対してベンゼン環の4位にアルキル基を有するフェノール類を構成単位として有する環状アルキルフェノール硫化物を、酸触媒の存在下、脱アルキル化することにより、上記の環状フェノール硫化物を選択的に製造する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、 一般式(1)
【0005】
【化3】
Figure 0003827029
【0006】
(式中、Xは水素原子、炭化水素基またはアシル基であり、Y1はアルキル基であり、nは4〜12の整数である。複数のXおよびY1はそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。)
で表される環状アルキルフェノール硫化物を、酸触媒の存在下、脱アルキル化し、一般式(2)
【0007】
【化4】
Figure 0003827029
【0008】
(式中、Xは水素原子、炭化水素基またはアシル基である。Y2は水素原子またはアルキル基であり、n個のY2のうち少なくとも一つは水素原子である。nは4〜12の整数である。複数のXおよびY2はそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。)
で表される環状フェノール硫化物を製造することを特徴とする環状フェノール硫化物の製造方法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明において使用する原料は、上記一般式(1)の環状アルキルフェノール硫化物である。
一般式(1)中のXは水素原子、炭化水素基またはアシル基である。
炭化水素基の炭素数は、1以上であれば特に制限されないが、好ましくは1〜50である。これらの炭化水素基としては、例えば飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、脂環式−脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族−脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、エチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘプチル、n−ノニル、イソノニル、1−メチルオクチル、エチルヘプチル、n−デシル、1−メチルノニル、n−ウンデシル、1,1−ジメチルノニル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、及びエチレンやプロピレン、ブチレンの重合物あるいはそれらの共重合物より成る基などの炭化水素基などが挙げられる。
【0010】
不飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、2−メチルアリル、1,1−ジメチルアリル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、4−ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル基、及びアセチレンやブタジエン、イソプレンなどの重合物あるいはそれらの共重合物より成る基などが挙げられる。
脂環式炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、2−メチルシクロオクチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、4−メチルシクロヘキセニル、4−エチルシクロヘキセニル基などが挙げられる。
【0011】
脂環式−脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロプロピルエチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルエチル、3−メチルシクロヘキシルプロピル、4−メチルシクロヘキシルエチル、4−エチルシクロヘキシルエチル、2−メチルシクロオクチルエチル、シクロプロペニルブチル、シクロブテニルエチル、シクロペンテニルエチル、シクロヘキセニルメチル、シクロヘプテニルメチル、シクロオクテニルエチル、4−メチルシクロヘキセニルプロピル、4−エチルシクロヘキセニルペンチル基などが挙げられる。
芳香族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばフェニル、ナフチルなどのアリール基;4−メチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,4,5−トリメチルフェニル、2−エチルフェニル、n−ブチルフェニル、tert−ブチルフェニル、アミルフェニル、ヘキシルフェニル、ノニルフェニル、2−tert−ブチル−5−メチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、クレジル、オキシエチルクレジル、2−メトキシ−4−tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニルなどのアルキルアリール基などが挙げられる。
【0012】
芳香族−脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、1−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−メチルベンジル、1,1ージメチルー2ーフエニルエチル基などが挙げられる。
また、アシル基の炭素数は、1以上であれば特に制限されないが、好ましくは1〜40である。アシル基の適当な具体例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、オキサリル、サクシニル、ピバロイル、ステアロイル、ベンゾイル、フェニルプロピオニル、トルオイル、ナフトイル、フタロイル、インダンカルボニル、p−メチルベンゾイル、シクロヘキシルカルボニル基などが挙げられる。
【0013】
上記一般式(1)において、Y1はアルキル基である。本発明におけるアルキル基とは、狭義のアルキル基の水素原子を脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基などで置換したものも含まれる。アルキル基の炭素数は、1以上であれば特に制限されないが、好ましくは1〜30、より好ましくは1〜12である。これらのアルキル基の適当な具体例としては、Xで挙げた具体例のうち、水酸基またはその誘導体基に対してベンゼン環の4位に直接、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基が結合しているものを除いたものが挙げられるが、好ましいものは3級の炭化水素基であり、特に好ましいものはt−ブチル基である。
nは、4〜12の整数である。
一般式(1)において、Xは1分子中に4〜12個存在するが、それらのXは、それぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。
また、一般式(1)において、Y1は1分子中に4〜12個存在するが、それらのY1は、それぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。
【0014】
次に、原料である一般式(1)の環状アルキルフェノール硫化物の製造方法について説明する。
一般式(1)の環状アルキルフェノール硫化物の製造例は、特願平8−70902号明細書に記載されている。適当な製造例としては、先ず一般式(3)
【0015】
【化5】
Figure 0003827029
【0016】
(式中、Yはアルキル基である。)で表される4位にアルキル基を有するアルキルフェノール類と、適当量の単体硫黄を、適当量のアルカリ金属試薬およびアルカリ土類金属試薬から選ばれる少なくとも1種の金属試薬の存在下反応させる方法である。
アルキルフェノール類と単体硫黄の原料仕込比は、アルキルフェノール類1グラム当量に対し、単体硫黄が0.1グラム当量以上であり、好ましくは0.35グラム当量以上である。単体硫黄の原料仕込比の上限は、特に限定されないが、アルキルフェノール類1グラム当量に対し、20グラム当量以下が好ましく、特に10グラム当量以下が好ましい。
【0017】
アルカリ金属試薬としては、例えばアルカリ金属単体、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、ハロゲン化アルカリ金属などが挙げられる。また、アルカリ土類金属試薬としては、例えばアルカリ土類金属単体、水素化アルカリ土類金属、水酸化アルカリ土類金属、酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、アルカリ土類金属アルコキシド、ハロゲン化アルカリ土類金属などが挙げられる。
アルカリ金属試薬またはアルカリ土類金属試薬の使用量は、アルキルフェノール類1グラム当量に対し0.005グラム当量以上であり、好ましくは0.01グラム当量以上である。アルカリ金属試薬またはアルカリ土類金属試薬の使用量の上限は特に制限ないが、好ましくは10グラム当量以下であり、特に好ましくは5グラム当量以下である。
上記水酸基の水素原子は、必要に応じて適宜、エーテル化あるいはアシル化などにより、炭化水素基またはアシル基に変換することができる。
【0018】
このようにして得られた一般式(1)で表される環状アルキルフェノール硫化物を、酸触媒の存在下、脱アルキル化することにより、一般式(2)で表される環状フェノール硫化物を製造できる。
脱アルキル化に用いる酸触媒としては、フリーデル−クラフツ触媒が使用できる。適当な触媒の例としては、ルイス酸、プロトン酸あるいは固体酸などが挙げられる。
これらのうち、ルイス酸の適当な具体例としては、例えばAlCl3、AlBr3、 BeCl2、CdCl2、ZnCl2、BF3、BCl3、BBr3、GaCl3、GaBr3、TiCl4、TiBr4、ZrCl4、SnCl4、SnBr4、SbCl5、SbCl3、BiCl3、FeCl3などが挙げられる。
プロトン酸の適当な具体例としては、例えば硫酸、フッ化水素、過塩素酸、クロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、ポリリン酸、あるいはp−トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸などが挙げられる。
超強酸も、好適な触媒として使用できる。超強酸の適当な具体例としては、例えばH2SO4/SO3、HF/BF3、ClSO3H、FSO3H、FSO3H/SbF5、CF3SO3H、HF/SbF5などが挙げられる。
固体超強酸も、好適な触媒として使用できる。固体超強酸の適当な具体例としては、例えばBF3、TaF5あるいはSbF5などを担持したAl23、SiO2/Al23、SiO2/TiO2、SiO2/ZrO2あるいはグラファイトなど、フッ素化スルホン酸樹脂などが挙げられる。
これらの酸触媒のうち、超強酸、固体超強酸またはルイス酸が好ましい。
これらの酸触媒は、1種単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸触媒の量は、特に制限されず、また、用いる触媒の種類、目的とする生成物、あるいは反応時間などの諸条件により好適な範囲は異なるが、超強酸およびルイス酸を用いる場合、反応原料の1分子中のアルキル基に対して0.2グラム当量以上500グラム当量以下であればよく、より好ましくは、1グラム当量以上300グラム当量以下である。また、固体超強酸を用いる場合、0.01グラム当量以上500グラム当量以下、より好ましくは、0.02グラム当量以上300グラム当量以下である。触媒量が500グラム当量以上の場合、原料の環状フェノール硫化物が多量に分解してしまうことがある。
【0019】
本発明の反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
不活性ガスとしては、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。
本発明の反応には、必要に応じて溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては特に制限はないが、好適な溶媒としては、例えば、トルエン、フェノールなどの芳香族炭化水素、クロロホルムなどのハロゲン炭化水素などが挙げられる。その他の溶媒でも、反応時および製品の用途面で無害であれば用いることができる。これらの溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本発明の反応の反応温度は、−70℃以上250℃以下が好ましいが、用いる触媒および溶媒に応じて適当な温度は異なる。例えば、超強酸を触媒として用いる場合は、−70℃以上80℃以下が好ましく、硫酸などのプロトン酸や塩化アルミニウムなどのルイス酸の場合は室温付近から用いる溶媒の沸点付近の温度範囲が好ましく、固体酸の場合は室温以上250℃以下が好ましい。
また、本発明の反応の反応時間は特に制限されないが、通常5分から48時間にすればよい。反応時間を長く取りすぎると、環状フェノール硫化物の分解を生起する場合がある。
これらの触媒、反応温度、反応時間などを適当な条件とすることにより、置換されるアルキル基の数を制御することができるが、1分子中の全てのアルキル基を置換したい場合には、FSO3H、FSO3H/SbF5、CF3SO3Hなどの超強酸触媒あるいはフッ素化スルホン酸樹脂などの固体超強酸触媒を触媒として使用すると、効率的、選択的に反応を進行させることができる。
【0020】
上記反応の反応混合物は、用いる触媒の種類に応じて、通常の処理を行うことにより、本発明の反応生成物が得られる。例えば超強酸の場合は氷水で、ルイス酸の場合は塩酸水溶液などでそれぞれ処理すればよい。
反応生成物が、2種以上の環状フェノール硫化物の混合物である場合は、通常の分離手段によって、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶法など、あるいはこれらの組み合わせなどにより、分離精製すればよい。
本発明の製造方法の生成物は、一般式(2)で表される環状フェノール硫化物である。
一般式(2)において、nは4〜12の整数であり、Xは前記一般式(1)と同様である。
また、一般式(2)において、Y2は水素原子またはアルキル基であり、前記一般式(1)のY1と同様である。Y2は1分子中に4〜12個存在するが、少なくとも一つは水素原子である。
一般式(2)において、複数のXおよびY2はそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。
【0021】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
製造例
4−tert−ブチルフェノール45.2gに、単体硫黄14.4gおよび水酸化ナトリウム3.0gを加え、窒素気流中、撹拌しながら、4時間かけて徐々に230℃に加熱し、さらに2時間撹拌を続けた。この間、反応で生成する水および硫化水素を除去した。反応中に留出した水は約0.8gであり、反応により生成した硫化水素は約6gであった。この反応混合物を室温まで冷却し、エーテル500mlを加え溶解させた後、1規定の硫酸水溶液で加水分解した。分液したエーテル層からエーテルを留去して得られた反応混合物を、さらにシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)により分割し、粗生成物を得、これをクロロホルム/アセトンから再結晶させたところ、無色透明の結晶である5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン(I)4.32gが得られた。
この生成物は、一般式(1)において、n=4、X=H、Y1=t−ブチルである環状アルキルフェノール硫化物である。
この生成物の分析値を以下に示す。
融点:320〜322℃、IR(KRS−5):3324(OH伸縮),2962(CH伸縮)cm-11H NMR(CDCl3)δ:9.60(s,1,OH),7.64(s,2,ArH),1.22(s,9,C(CH33)ppm、13C NMR(CDCl3)δ:155.6,144.7,136.4,120.5(Ar),34.2((CH33),31.3(C(33)ppm、MS m/z:720(M+)、元素分析値 % 理論値 for C404844:C,66.62;H,6.71;S,17.79、測定値:C,66.37;H,6.57;S,17.22
【0022】
実施例1
製造例で得られた環状アルキルフェノール硫化物(I)、すなわち、5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン2.12gにトルエン50mlを加え溶解させた後、窒素雰囲気下、−25℃に保ちながら、CF3SO3H30gを30分かけて滴下した。このまま−25℃に保ち、激しく撹拌しながら、4時間反応させた。反応混合物を氷水により処理すると、白色の析出物1.22gが得られた。これをトルエンから再結晶させ、25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン(II)1.17gを得た。収率は80%であった。
この生成物は、一般式(2)において、n=4、X=H、Y2=Hである環状フェノール硫化物である。以下にその物性を示す。
白色結晶、MS m/z:496(M+)、 1H NMR(CDCl3)δ:9.45(OH),7.61(d,2,J=8Hz,ArH),6.75(t,1,J=8Hz,ArH)ppm、 13C NMR(CDCl3)δ:157.9,139.3,121.7,120.9(Ar)ppm、元素分析値 % 理論値 for C241644:C,58.04;H,3.25;S,25.83、測定値:C,58.60;H,3.40;S,24.97
【0023】
実施例2
製造例で得られた環状アルキルフェノール硫化物(I)、すなわち、5,11,17,23−テトラ−tert−ブチル−25,26,27,28−テトラヒドロキシ−2,8,14,20−テトラチア[19.3.1.13,79,1315,19]オクタコサ−1(25),3,5,7(28),9,11,13(27),15,17,19(26),21,23−ドデカエン1.92gにトルエン100ml、塩化アルミニウム2.0gを加え、窒素雰囲気下、55℃に加熱した。撹拌しながら、24時間反応させ、その後、反応混合物を1規定の塩酸60mlで処理し、トルエンで抽出した。
この反応生成物は、FD−MSスペクトルの測定から、化合物(I)の4つのt−ブチル基のうちそれぞれ1、2、3および4つが水素に置換された化合物、すなわち、一般式(2)において、n=4、X=Hであり、4個のY2のうちそれぞれ1、2、3および4個がHである化合物の混合物が得られた。
【0024】
実施例3
塩化アルミニウムを0.8g、トルエンを30mlとし、室温で22時間撹拌した以外は実施例2と同様にして反応させたところ、一般式(2)において、n=4、X=Hであり、4個のY2のうち1個のみがHである化合物(III)0.09gが得られた。収率は5.1%であった。この生成物の物性を以下に示す。
MS m/z:664(M+)、元素分析値 % 理論値 for C404844:C,65.12;H,5.92;S,19.32、測定値:C,65.01;H,5.82;S,19.39
【0025】
【発明の効果】
本発明の方法によると、環状アルキルフェノール硫化物類を脱アルキル化し、効率的にしかも容易に環状フェノール硫化物類を製造することができる。

Claims (4)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003827029
    (式中、Xは水素原子、炭化水素基またはアシル基であり、Y1はアルキル基であり、nは4〜12の整数である。複数のXおよびY1はそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。)
    で表される環状アルキルフェノール硫化物を、酸触媒の存在下、脱アルキル化し、一般式(2)
    Figure 0003827029
    (式中、Xは水素原子、炭化水素基またはアシル基である。Y2は水素原子またはアルキル基であり、n個のY2のうち少なくとも一つは水素原子である。nは4〜12の整数である。複数のXおよびY2はそれぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。)
    で表される環状フェノール硫化物を製造することを特徴とする環状フェノール硫化物の製造方法。
  2. 1のアルキル基が3級の炭化水素基である請求項1記載の環状フェノール硫化物の製造方法。
  3. 1のアルキル基がt−ブチル基である請求項1記載の環状フェノール硫化物の製造方法。
  4. 酸触媒が超強酸、固体超強酸またはルイス酸である請求項1記載の環状フェノール硫化物の製造方法。
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