JP3871074B2 - 環状フェノール硫化物の製造方法 - Google Patents

環状フェノール硫化物の製造方法 Download PDF

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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化防止剤、触媒、金属捕捉剤、イオンセンサー、分離膜材料、高分子材料、光エネルギー変換材料あるいはその他、イオンや分子の認識機能を利用した機能性分子の中間体などとして利用できる新規な環状のフェノール硫化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、アルキルフェノール硫化物は、酸化防止剤(例えば、米国特許公報第2,239,534号や、米国特許公報第3,377,334号など)、ゴム硫化剤(例えば、米国特許公報第3,468,961号や、米国特許公報第3,647,885号など)、ポリマー安定剤(例えば、米国特許公報第3,882,082号や、米国特許公報第3,845,013号など)、あるいは、防食剤(例えば、米国特許公報第3,684,587号)、さらに潤滑油添加剤であるフェネートの原料(堀ら、石油学会誌,1991,34,446)などとして利用されており、また、その製造法は、フェノール類と単体硫黄を反応原料とする方法(例えば、A.J.Nealeら、Tetrahedron,1969,25,4593)、フェノール類、単体硫黄および塩基触媒を反応原料とする方法(例えば、米国特許公報第3,468,961号)、フェノール類、単体硫黄および分子ハロゲンを反応原料とする方法(例えば、B.Hortlingら、Polym.Bull.,1982,8,1)、フェノール類とアリールジスルフィド類とを塩基触媒下反応させる方法(例えば、T.Fujisawaら、J.Org.Chem.,1973,33,687)、フェノール類とハロゲン化硫黄を反応原料とする方法(例えば、米国特許公報第2,239,534号)、およびハロゲン化フェノール類と硫化アルカリ金属試薬とを反応させる方法が知られている。
【0003】
しかしながら、これらは、2,2’−チオビス(4−アルキルフェノール)(2量体)、2−[3−(2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ)−2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ]−4−アルキルフェノール(3量体)、あるいは、2−[3−[3−(2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ)−2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ]−2−ヒドロキシ−5−アルキルフェニルチオ]−4−アルキルフェノール(4量体)などを含むオリゴマー単独、もしくはそれらを含む組成物であって、全て非環状のアルキルフェノール硫化物であり、また、それらの製造法に関するものであり、環状のフェノール硫化物については、その存在、および、その製造方法に関して推測の域を出ない状況にあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来存在する非環状のチオビスアルキルフェノール類の2量体や3量体あるいはオリゴマー組成物とは全く異なる化合物であって、基本骨格にフェノール骨格を3以上含む新規の環状フェノール硫化物の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先に、環状フェノール硫化物群の存在およびその製造方法を見出した(特願平8−70902)。この方法は、4位に置換基を有するアルキルフェノール類と特定量の単体硫黄とを、アルカリ金属試薬およびアルカリ土類金属試薬から選ばれる少なくともひとつの特定量の金属試薬の存在下、反応させることを特徴とする製造法であったが、上記目的を達成するために、さらに、各種アルキルフェノール類について、その硫化反応を検討した結果、一般式(1)で表される鎖状のポリフェノール硫化物と特定量の単体硫黄を、特定量のアルカリ金属試薬およびアルカリ土類金属試薬から選ばれる少なくともひとつの金属試薬の存在下、反応させることにより、上記の環状フェノール硫化物の製造方法を見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、 一般式(1)
【0006】
【化3】
Figure 0003871074
【0007】
(式中、Rは水素原子または炭化水素基であり、複数のRはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていても良く、aおよびbは0または1であり、mは1〜7の整数であり、複数のSmのmはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていても良く、pは2以上の整数である。)で表される鎖状のポリフェノール硫化物と、該鎖状のポリフェノール硫化物に含まれるフェノール類1グラム当量に対し0.01グラム当量以上の単体硫黄とを、該鎖状のポリフェノール硫化物に含まれるフェノール類1グラム当量に対し0.05グラム当量以上のアルカリ金属試薬およびアルカリ土類金属試薬から選ばれる少なくともひとつの金属試薬の存在下、80〜300℃で反応させ、一般式(2)
【0008】
【化4】
Figure 0003871074
【0009】
(式中、Rは水素原子または炭化水素基であり、複数のRはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていても良く、mは1〜7の整数であり、複数のSmのmはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていても良く、nは3以上の整数である。)で表される環状フェノール硫化物を製造することを特徴とする環状フェノール硫化物の製造方法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
上記一般式(1)中、Rは水素原子または炭化水素基であり、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
炭化水素基の炭素数は、1以上であれば特に制限されないが、好ましくは1〜50であり、特に好ましくは1〜18である。これらの炭化水素基としては、例えば飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、脂環式−脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、芳香族−脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、3−メチルペンチル、エチルブチル、n−ヘプチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘプチル、n−ノニル、イソノニル、1−メチルオクチル、エチルヘプチル、n−デシル、1−メチルノニル、n−ウンデシル、1,1−ジメチルノニル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、及びエチレンやプロピレン、ブチレンの重合物あるいはそれらの共重合物より成る基などの炭化水素基が挙げられる。
【0011】
不飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、2−ブテニル、2−メチルアリル、1,1−ジメチルアリル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、4−ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネニル、デセニル基、及びアセチレンやブタジエン、イソプロピレンの重合物あるいはそれらの共重合物より成る基などが挙げられる。
脂環式炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、2−メチルシクロオクチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロオクテニル、4−メチルシクロヘキセニル、4−エチルシクロヘキセニル基などが挙げられる。
脂環式−脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばシクロプロピルエチル、シクロブチルエチル、シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルエチル、3−メチルシクロヘキシルプロピル、4−メチルシクロヘキシルエチル、4−エチルシクロヘキシルエチル、2−メチルシクロオクチルエチル、シクロプロペニルブチル、シクロブテニルエチル、シクロペンテニルエチル、シクロヘキセニルメチル、シクロヘプテニルメチル、シクロオクテニルエチル、4−メチルシクロヘキセニルプロピル、4−エチルシクロヘキセニルペンチル基などが挙げられる。
【0012】
芳香族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばフェニル、ナフチルなどのアリール基;4−メチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,4,5−トリメチルフェニル、2−エチルフェニル、n−ブチルフェニル、tert−ブチルフェニル、アミルフェニル、ヘキシルフェニル、ノニルフェニル、2−tert−ブチル−5−メチルフェニル、シクロヘキシルフェニル、クレジル、オキシエチルクレジル、2−メトキシ−4−tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニルなどのアリール基などが挙げられる。
芳香族−脂肪族炭化水素基の具体的な例としては、例えばベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、1−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−メチルベンジル、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基などが挙げられる。
これらフェノール類は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、一般式(1)において、mは1〜7の整数であり、複数のmはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、aおよびbは0または1である。pは2以上の整数である。pの上限値は特に制限ないが、16以下が環状フェノール硫化物をより生成し易く、特に12以下が環状フェノール硫化物を生成し易い。
【0013】
これらの鎖状のポリフェノール硫化物は、いかなる製造方法によって製造されたものでもよいが、例えば、ハロゲン化フェノール類と硫化アルカリ金属試薬との反応により製造したもの、フェノール類とハロゲン化硫黄との反応により製造したもの、フェノール類、単体硫黄および分子ハロゲンを反応原料とする方法により製造されたもの、フェノール類と単体硫黄を反応原料とする方法により製造されたもの、フェノール類と単体硫黄を酸触媒の存在下反応させることにより製造されたもの、フェノール類と単体硫黄を塩基触媒の存在下反応させることにより製造されたもの、あるいはフェノール類とアリールジスルフィド類とを塩基触媒下にて反応させる方法により製造されたものなどを用いることができる。
これらの鎖状のポリフェノール硫化物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
鎖状のポリフェノール硫化物と単体硫黄の原料仕込み比は、該鎖状のポリフェノール硫化物に含まれるフェノール類1グラム当量に対し、単体硫黄が0.01グラム当量以上であり、好ましくは0.05グラム当量以上が好ましい。単体硫黄の原料仕込み比の上限は特に限定されないが、該鎖状のポリフェノール硫化物に含まれるフェノール類1グラム当量に対し、20グラム当量以下が好ましく、特に10グラム当量以下が好ましい。
【0014】
この反応に用いられるアルカリ金属試薬としては、例えばアルカリ金属単体、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシド、ハロゲン化アルカリ金属などが挙げられる。また、アルカリ土類金属試薬としては、例えばアルカリ土類金属単体、水素化アルカリ土類金属、水酸化アルカリ土類金属、酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、アルカリ土類金属アルコキシド、ハロゲン化アルカリ土類金属などが挙げられる。
これらのうち、アルカリ金属試薬としては、アルカリ金属単体、水素化アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、アルカリ金属アルコキシドが好ましく、アルカリ土類金属試薬としては、アルカリ土類金属単体、水素化アルカリ土類金属、水酸化アルカリ土類金属、酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、アルカリ土類金属アルコキシドが好ましい。
【0015】
アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどが挙げられるが、リチウム、ナトリウム、セシウムが好ましい。
アルカリ金属試薬の適当な具体的な例としては、例えばリチウム金属単体、ナトリウム金属単体、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、ナトリウムブトキシド、ナトリウムエトキシドなどが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられるが、カルシウム、バリウムが好ましい。
アルカリ土類金属試薬の適当な具体的な例としては、例えばカルシウム金属単体、水素化カルシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。
これらの金属試薬は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属試薬の使用量は、該鎖状のポリフェノール硫化物に含まれるフェノール類1グラム当量に対し0.05グラム当量以上であり、好ましくは0.08グラム当量以上である。金属試薬の使用量の上限は特に制限ないが、好ましくは10グラム当量以下であり、特に好ましくは5グラム当量以下である。
【0016】
本発明の反応は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。また、本発明の反応は、反応時に生成する水および硫化水素を除去しつつ行うことが好ましい。この反応の反応温度は80℃以上であり、100℃以上が好ましく、特に120℃以上が好ましい。また、反応温度の上限は300℃以下であり、特に280℃以下が好ましい。また、この反応の反応時間は、特に制限ないが、通常1〜24時間にすればよい。また、この反応には、必要に応じて溶媒を使用することが好ましい。溶媒としては特に制限はないが、好適な溶媒としては、例えばヘキサデカンやテトラデカンなどの脂肪族炭化水素類、シメンやプソイドクメンなどの芳香族炭化水素、ジフェニルエーテル、ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ジフェニルスルフィドなどのスルフィド類、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの二価アルコール類、またはそれらの混合物が挙げられる。さらに、その他の溶媒でも、反応時および製品の用途面で無害であれば用いることができる。なお、反応原料を均一化するために、反応当初に水などを加えてもよい。上記反応の反応混合物を硫酸水溶液や塩酸水溶液などの酸性水溶液で加水分解することにより、反応生成物が得られる。
【0017】
反応生成物が、2種以上の環状フェノール硫化物の混合物である場合は、通常の分離精製の手段により、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶法など、またはこれらの組み合わせなどの手段により、分離精製すればよい。
本発明の生成物は、一般式(2)で表される環状フェノール硫化物である。
一般式(2)において、Rは水素原子または炭化水素基であり、前記一般式(1)と同様である。一般式(2)においてRは1分子中に3個以上存在するが、それらのRはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(2)において、mは1〜7の整数であるが、1〜5が生成しやすい。一般式(2)において、Smは1分子中3個以上存在するが、それらのSmの各mは、それぞれ同一であってもよいし、異なってもよい。
nは3以上の整数である。nの上限は特に制限はないが、30以下が生成し易く、16以下がより生成し易く、特に12以下が生成し易い。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの例によって、なんら限定されるものではない。
製造例
4−tert−ブチルフェノール130.3gに単体硫黄110.9g、水酸化カリウム28.3g、テトラエチレングリコールジメチルエーテル40mlを加えた。窒素気流中、撹拌しながら、この懸濁液を130℃に保ち、反応で生成する水および硫化水素を除去しながら2時間反応させ、さらに180℃に昇温し4時間、反応で生成する水および硫化水素を除去しながら反応させた。この反応混合物を室温にまで冷却し、これにエーテル1500mlを加え、2規定の希硫酸で加水分解した。この反応生成物を分析したところ、一般式(1)においてp=2〜11、m=1〜3、a=0〜1、b=0〜1、R=tert−ブチルである鎖状のポリフェノール硫化物の混合物であり、さらに反応混合物をGPCによって分析したところ、4−tert−ブチルフェノール基準の鎖状のポリフェノール硫化物への転化率は約80%であった。
【0019】
実施例1
製造例で得られた鎖状のポリフェノール硫化物、すなわち一般式(1)においてp=2〜11、m=1〜3、a=0〜1、b=0〜1、R=tert−ブチルである鎖状のポリフェノール硫化物の混合物51.0gに、単体硫黄6.4g、酸化カルシウム5.6g、エチレングリコール11mlおよびテトラエチレングリコールジメチルエーテル43mlを加え、窒素気流中、撹拌しながら、この懸濁液を130℃に保ち、反応で生成する水および硫化水素を除去しながら2時間反応させ、170℃に加熱して2時間、さらに230℃に加熱して3時間30分、反応で生成する水および硫化水素を除去しながら反応させた。留出した水は2.63gであり、生成した硫化水素は約2.2gであった。この反応混合物を室温にまで冷却し、これにトルエンおよびエーテル500mlを加え、2規定の希硫酸で加水分解した。この反応生成物を分析したところ、一般式(2)においてn=4、m=1、R=tert−ブチルを主成分とし、n=3〜10、m=1〜3に分布をもつ環状フェノール硫化物の混合物の生成が認められた。
【0020】
実施例2
一般式(1)においてp=4、m=1、a=0、b=0、R=tert−ブチルである鎖状のポリフェノール硫化物34.50gに、単体硫黄4.16g、水酸化ナトリウム5.20gおよびテトラエチレングリコールジメチルエーテル16mlを加え、窒素気流中、撹拌しながら、4時間かけて徐々に230℃に加熱し、さらに2時間30分この温度で撹拌を続け、反応で生成する水および硫化水素を除去しながら反応させた。この間、生成した水および硫化水素を留去した。留出した水は1.2gであり、生成した硫化水素は約1.4gであった。この反応混合物を室温にまで冷却し、これにトルエンおよびエーテル500mlを加え、1規定の希硫酸で加水分解した。分液したエーテル層からエーテルを留去して得られた反応混合物の質量分析の結果、これは、一般式(2)においてn=4、m=1、R=tert−ブチルである環状フェノール硫化物、および一般式(1)においてn=2〜4、m=1〜3、a=0〜1、b=0〜1、R=tert−ブチルである鎖状のポリフェノール硫化物の混合物であることが認められた。この反応混合物をさらにシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/クロロホルム)により分割し、粗生成物を得、これをクロロホルム/アセトンから再結晶させたところ、一般式(2)においてn=4、m=1、R=tert−ブチルである環状フェノール硫化物10.15gを単離した。収率は、28%であった。
この生成物の物性を以下に示す。
無色透明の結晶、融点:320〜322℃、IR(KRS−5):3324(OH伸縮),2962(CH伸縮)cm-11H NMR(CDCl3)δ:9.60(s,1,OH),7.64(s,2,ArH),1.22(s,9,C(CH33)ppm、13C NMR(CDCl3)δ:155.6,144.7,136.4,120.5(Ar),34.2((CH33),31.3(C(33)ppm、MS m/z:720(M+)、元素分析値 % 理論値 for C404844:C,66.62;H,6.71;S,17.79、測定値:C,66.37;H,6.57;S,17.22
【0021】
実施例3
一般式(1)においてp=2、m=1、a=0、b=0、R=tert−オクチル基である2,2’−チオビス−4−tert−オクチルフェノール133.80gに、単体硫黄19.38gおよび水酸化リチウム1水和物3.20gを加え、窒素気流中、撹拌しながら、4時間かけて徐々に230℃に加熱し、さらに3時間30分この温度で撹拌を続け、反応で生成する水および硫化水素を除去しながら反応させた。この間、留出した水は1.84gであり、生成した硫化水素は約6.6gであった。反応混合物の色は、ごく暗い赤(5R 3/10、色名はJIS Z 8102準拠)であった。この反応混合物を室温にまで冷却し、これにエーテル500mlを加え、1規定の希硫酸で加水分解した。分液したエーテル層からエーテルを留去して得られた反応混合物の質量分析の結果、一般式(2)においてn=4、m=1、R=tert−オクチルを主成分とし、n=4〜8、m=1〜2に分布をもつ環状フェノール硫化物の混合物の生成が認められた。
【0022】
【発明の効果】
本発明の方法によると、基本骨格にフェノール骨格を3以上含む環状フェノール硫化物を効率的に製造することができる。

Claims (1)

  1. 一般式(1)
    Figure 0003871074
    (式中、Rは水素原子または炭化水素基であり、複数のRはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていても良く、aおよびbは0または1であり、mは1〜7の整数であり、複数のSmのmはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていても良く、pは2以上の整数である。)で表される鎖状のポリフェノール硫化物と、該鎖状のポリフェノール硫化物に含まれるフェノール類1グラム当量に対し0.01グラム当量以上の単体硫黄とを、該鎖状のポリフェノール硫化物に含まれるフェノール類1グラム当量に対し0.05グラム当量以上のアルカリ金属試薬およびアルカリ土類金属試薬から選ばれる少なくともひとつの金属試薬の存在下、80〜300℃で反応させ、一般式(2)
    Figure 0003871074
    (式中、Rは水素原子または炭化水素基であり、複数のRはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていても良く、mは1〜7の整数であり、複数のSmのmはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていても良く、nは3以上の整数である。)で表される環状フェノール硫化物を製造することを特徴とする環状フェノール硫化物の製造方法。
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