JP2002255961A - 環状フェノール硫化物の製造方法 - Google Patents

環状フェノール硫化物の製造方法

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JP2002255961A
JP2002255961A JP2001049358A JP2001049358A JP2002255961A JP 2002255961 A JP2002255961 A JP 2002255961A JP 2001049358 A JP2001049358 A JP 2001049358A JP 2001049358 A JP2001049358 A JP 2001049358A JP 2002255961 A JP2002255961 A JP 2002255961A
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phenol sulfide
reaction
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dimer
solvent
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JP2001049358A
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Sotaro Miyano
壮太郎 宮野
Nobuhiko Iki
伸彦 壹岐
Noriyoshi Kon
徳義 今
Haruhiko Takeya
晴彦 竹矢
Yoshihiro Sugawa
能裕 栖川
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Cosmo Oil Co Ltd
Cosmo Research Institute
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Cosmo Oil Co Ltd
Cosmo Research Institute
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合数4、6および8の環状フェノール硫化
物を効率的に生成する製造方法を提供する。 【解決手段】 4位置換フェノール類と、二塩化硫黄を
溶媒中で反応せしめて鎖状フェノール硫化物2量体を生
成し、これをアルカリ金属水酸化物存在下、単体硫黄と
反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化防止剤、触
媒、金属捕捉剤、光センサ-、イオンセンサ-、基質特異
性センサ-、分離膜材料、高分子材料、相間移動触媒、
人工酵素、光エネルギ-変換材料あるいはその他、イオ
ンや分子の認識能を利用した機能性分子の中間体などと
して有用な一般式3で表わされる環状フェノール硫化物
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルキルフェノール硫化物は、酸
化防止剤(例えば、米国特許公報第2,239,534号や、第
3,377,334号など)、ゴム硫化剤(例えば米国特許公報
第3,468,961号や、第3,647,885号など)、ポリマ-安定
剤(例えば、米国特許公報第3,882,082号や、第3,845,0
13号、3,843,600号など)、あるいは、防食剤(例え
ば、米国特許会報第3,684,587号)、さらに潤滑油添加
剤であるフェネ-トの原料(掘ら、石油学会誌、1991、3
4巻446頁)などとして知られている。最近では、環状骨
格を有するアルキルフェノール硫化物が金属イオンの分
析(例えば特開平11-179104号)や、触媒の部分骨格
(例えば特願2000-312711号)、有機化合物の分離(例
えば特願2000-164040号)に有用であることが見出され
ており、本発明者らもこれまでに多くの技術を開発して
いる。
【0003】従来のフェノール硫化物の製造法は、フェ
ノール類と単体硫黄を反応原料とする方法(例えば、
A.J.Nealeら、Tetrahedron,25巻(1969),4593)、
フェノール類、単体硫黄および分子ハロゲンを反応原料
とする方法(例えば、B.Hortlingら、Polym.Bull.8
巻(1982),1)、フェノール類とアリールジスルフイド
類とを塩基触媒下反応させる方法(例えば、T.Fujisaw
aら、J.Org.Chem.33巻(1973),687)、フェノール
類とハロゲン化硫黄を反応原料とする方法(例えば、米
国特許公報第2,239,534号)、およびハロゲン化フェノ
ール類と硫化アルカリ金属試薬とを反応させる方法など
が知られている。しかしながら、これらの方法で得られ
る化合物は、2,2’-チオビス(4-アルキルフェノール)
(2量体)、2-[3-(2-ヒドロキシ-5-アルキルフェニ
ルチオ)-2-ヒドロキシ-5-アルキルフェニルチオ]-4-
クルキルフェノール(3量体)、あるいは2-[3-[3-
(2-ヒドロキシ-5-アルキルフェニルチオ)-2-ヒドロキ
シ-5-アルキルフェニルチオ]-2-ヒドロキシ-5-アルキ
ルフェニルチオ]-4-アルキルフェノール(4量体)な
どを含むオリゴマ-単独もしくはそれらを含む組成物で
あって、全て非環状のアルキルフェノール硫化物であっ
た。これに対して、本発明者らは、従来推測の域にあっ
た環状フェノール硫化物の存在を確認し、単体硫黄とア
ルキルフェノールを特定量の金属試薬の存在下で反応さ
せ、簡便かつ1工程の操作で環状フェノール硫化物を得
る方法を見い出して公開している(特開平9-227553
号)。この方法は、簡便かつ安価な原料を用いる実用的
な製造方法であるが、生成物の分布が環状4量体に偏る
傾向があり、より大環状な生成物を多く製造する場合に
は、予め合成した長鎖フェノール硫化物を精製してこれ
の環化を行う等の工夫(特開2000-264873号)が必要で
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、環状フェノ
ール硫化物の製造方法において、安価な原材料から重合
数(一般式3におけるn)が6および8の成分をより多
く簡便に製造する方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題に対し、本発
明者らは、各種フェノール類やその鎖状誘導体につい
て、その製造法および硫化(環化)反応条件を詳細検討
した結果、4位置換フェノール類と、二塩化硫黄を溶媒
中で反応せしめて鎖状フェノール硫化物2量体を生成さ
せ、これをアルカリ金属水酸化物存在下、単体硫黄と反
応させることにより、重合数6および8の環状フェノー
ル硫化物が効率的に生成することを見出し、本発明を完
成するに至った。すなわち、本発明は、一般式1
【0006】
【化4】 (式中、Xは水素原子または炭化水素基である。)で表
されるフェノール類と、該フェノール類1molに対し
0.4〜0.8molの二塩化硫黄を、溶媒存在下で作
用させて一般式2
【0007】
【化5】 (式中、Xは水素原子または炭化水素基である。複数の
Xは同一であっても良く、異なっていても良い。)で表
される鎖状フェノール硫化物2量体とした後、当該鎖状
フェノール硫化物2量体1mol当たり0.5〜2.5
molのアルカリ金属水酸化物の存在下1.5〜2.5
グラム原子の単体硫黄を加熱下で反応させることを特徴
とする一般式3
【0008】
【化6】
【0009】(式中、Xは水素原子または炭化水素基で
ある。複数のXは同一であっても良く、異なっていても
良い。nは4、6又は8である。)で表わされる環状フ
ェノール硫化物の製造方法を提供する。また、本発明
は、上記環状フェノール硫化物の製造方法において、鎖
状フェノール硫化物2量体と単体硫黄を反応させるに際
して、鎖状フェノール硫化物2量体1mol当たり0.
5〜2.0Lの溶媒を存在させる環状フェノール硫化物
の製造方法を提供する。さらに、本発明は、上記環状フ
ェノール硫化物の製造方法において、溶媒が芳香族エ-
テル、芳香族チオエ-テル及び炭化水素から選ばれる少
なくとも1種類である環状フェノール硫化物の製造方法
を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の原料である一般式1で表
わされるフェノール類における炭化水素基(=X)とし
ては、飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素
基、脂環式炭化水素基、脂環式−脂肪族炭化水素基、芳
香族炭化水素基、芳香族−脂肪族炭化水素基等が挙げら
れる。それらの具体例としては、以下の例が挙げられ
る。飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例
えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n
−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチ
ル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチ
ル、2−メチルブチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、
3−メチルペンチル、エチルブチル、n−へプチル、2
−メチルヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、te
rt−オクチル、2−エチルヘキシル、3−メチルヘプ
チル、n−ノニル、イソノニル、1−メチルオクチル、
エチルヘプチル、n−デシル、1−メチルノニル、n−
ウンデシル、1,1−ジメチルノニル、n−ドデシル、
n−テトラデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシ
ル、及びエチレンやプロピレン、ブチレンの重合物ある
いはそれらの共重合物より成る基などの炭化水素基など
が挙げられる。
【0011】不飽和脂肪族炭化水素基の適当な具体例と
しては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、2−
ブテニル、2−メチルアリル、1,1−ジメチルアリ
ル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−3−ブテ
ニル、4−ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、ノネ
ニル、デセニル基、及びアセチレンやブタジエン、イソ
プレンなどの重合物あるいはそれらの共重合物より成る
基などが挙げられる。脂環式炭化水素基の適当な具体例
としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シク
ロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロ
オクチル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシク
ロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、2−メチルシ
クロオクチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シ
クロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニ
ル、シクロオクテニル、4−メチルシクロヘキセニル、
4−エチルシクロヘキセニル基などが挙げられる。脂環
式−脂肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えば
シクロプロピルエチル、シクロブチルエチル、シクロペ
ンチルエチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシル
エチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルエチ
ル、3−メチルシクロヘキシルプロピル、4−メチルシ
クロヘキシルエチル、4−エチルシクロヘキシルエチ
ル、2−メチルシクロオクチルエチル、シクロプロペニ
ルブチル、シクロブテニルエチル、シクロペンテニルエ
チル、シクロヘキセニルメチル、シクロヘプテニルメチ
ル、シクロオクテニルエチル、4−メチルシクロヘキセ
ニルプロピル、4−エチルシクロヘキセニルペンチル基
などが挙げられる。
【0012】芳香族炭化水素基の適当な具体例として
は、例えばフェニル、ナフチルなどのアリ-ル基や4−
メチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,4,
5−トリメチルフェニル、2−エチルフェニル、n−ブ
チルフェニル、tert−ブチルフェニル、アミルフェ
ニル、ヘキシルフェニル、ノニルフェニル、2−ter
t−ブチル−5−メチルフェニル、シクロヘキシルフェ
ニル、クレジル、オキシエチルクレジル、2−メトキシ
−4−tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニルな
どのアルキルアリ-ル基などが挙げられる。芳香族−脂
肪族炭化水素基の適当な具体例としては、例えばベンジ
ル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、2−フ
ェニルプロピル、3−フェニルプロピル、4−フェニル
ブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシ
ル、1−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メ
チルフェニル)エチル、2−メチルベンジル、1,1−
ジメチル−2−フェニルエチル基などが挙げられる。
【0013】本発明の方法は、一般式1で表される化合
物から一般式2で表される鎖状フェノール硫化物2量体
を製造する工程と、当該鎖状フェノール硫化物2量体を
硫化、環化して環状フェノール硫化物を製造する工程の
二工程からなる。まず、第一工程である一般式2で表さ
れる鎖状フェノール硫化物2量体を製造する工程につい
て説明する。本工程は、一般式1(式中Xは水素原子ま
たは炭化水素基である)で表される4位置換フェノール
類と二塩化硫黄を混合して反応させることにより実施で
きる。好適な混合比は4位置換フェノール類1mol当
たり、二塩化硫黄0.4〜0.8molであり、より好
ましくは0.5〜0.7molである。
【0014】反応は溶媒の存在下実施することが好まし
く、溶媒の好適な使用量は、4位置換フェノール類1m
ol当たり0.5〜2.0L、より好ましくは0.7〜
1.5Lである。使用できる溶媒は、塩化硫黄との副反
応を防止する観点から、非プロトン性有機溶媒が好まし
く、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等
の塩素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン
(THF)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、
ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルホルム
アミド(DMF)等が挙げられるが、反応終了後の濃縮
工程が簡便なジクロロメタン、クロロホルム及びジエチ
ルエーテル等が特に好ましい。溶媒は1種または2種以
上の混合物を用いることができる。反応温度は室温(2
0℃)以下が好ましく、特に4位置換フェノール類と二
塩化硫黄の混合時は10℃以下が好ましく、5℃以下が
特に好ましい。反応時間は適宜選定すればよいが、通常
3〜10時間であればよい。反応の間、反応混合物は連
続的な攪拌下におくことが好ましい。
【0015】反応生成物である鎖状フェノール硫化物2
量体は、反応液から分離する方が好ましい。反応液から
の鎖状フェノール硫化物2量体の分離は、種々の方法に
よりでき、例えば、反応液に水を加えて未反応の二塩化
硫黄を加水分解し、溶媒相を分離した後、これを硫酸マ
グネシウム等で脱水すれば、反応生成物の溶液が得られ
るので、ここに飽和脂肪族炭化水素等を加えることで、
鎖状フェノール硫化物2量体を結晶として分離できる。
飽和脂肪族炭化水素としては、n−ヘキサン、n−ヘプ
タン及びn−ペンタン等が使用でき、また、この際結晶
核を加えて結晶の析出を促進させても良い。また、溶液
を一旦濃縮してから飽和脂肪族炭化水素で再結晶を行っ
て鎖状フェノール硫化物2量体を回収しても良い。次
に、第二工程である鎖状硫化フェノール2量体の硫化環
化工程について説明する。本発明の方法は、第一工程で
得られた鎖状フェノール硫化物2量体を、アルカリ金属
水酸化物の存在下、単体硫黄と反応させる。鎖状フェノ
ール硫化物2量体は1種単独で用いても良いし、2種以上
を組み合わせて用いても良い。
【0016】鎖状フェノール硫化物2量体と単体硫黄の
原料仕込比は、鎖状フェノール硫化物2量体1mol当
たり、単体硫黄が1.5〜2.5グラム原子の範囲であ
り、好ましくは1.5〜2.1グラム原子である。アル
カリ金属水酸化物の使用量は鎖状フェノール硫化物2量
体1molに対し0.5〜2.5molであり、好まし
くは0.9〜1.7molである。本発明の反応は、不
活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、不活性ガスの
具体例としては、例えば窒素、アルゴン、ヘリウムなど
が挙げられる。また、本発明の反応は、反応時に生成す
る水および硫化水素を除去しつつ行うことが好ましく、
反応時に生成する硫化水素を除去するためには、不活性
ガス気流下で反応を行うことが好ましい。この反応の反
応温度は、180〜240℃が好ましく、特に好ましく
は200〜230℃である。反応時間は、温度によって
異なるので適宜選定すればいよいが、反応温度200〜
230℃において、通常1〜24時間で反応が完結す
る。反応温度は、段階的に上昇させることが好ましく、
100〜150℃で0.5〜5時間、次ぎに150〜2
00℃で0.5〜5時間、さらに200〜230℃で1
〜24時間のように段階的に上昇させることが特に好ま
しい。
【0017】反応に用いる溶媒の使用量は、フェノール
類1molに対し0.5〜2.0Lが好ましく、特に好
ましくは0.7〜1.5Lである。溶媒の種類は、芳香
族エ-テル、芳香族チオエ-テル及び炭化水素が好まし
く、ジフェニルエーテルやジフェニルスルフィドおよび
その誘導体、テトラデカン及び流動パラフィン等の飽和
脂肪族炭化水素類が特に好ましい。溶媒は1種または2
種以上の混合物を用いることができる。上記第二工程の
反応により、一般式3の環状フェノール硫化物を得るこ
とができる。反応液からの反応生成物である該環状フェ
ノール硫化物の分離精製は、種々の方法で可能であり、
例えば、反応混合物を硫酸水溶液や塩酸水溶液などの酸
性水溶液で加水分解することにより、反応生成物が回収
できる。この際、液液接触を促進する目的において反応
液を溶媒希釈しても良く、その溶媒としては、ベンゼ
ン、トルエン等の芳香族溶媒が使用できる。加水分解後
において、反応生成物である環状フェノール硫化物は、
通常その全量もしくは一部が有機層に溶解しているが、
これはヘキサン、ヘプタン等の脂肪族溶媒やジエチルエ
ーテル等のエーテル類、アセトン等のケトン類を添加す
ることで析出させることが可能であり、さらにこれらの
溶媒で洗浄すれば、反応溶媒、未反応原料等を除去でき
る。
【0018】反応生成物は通常環状フェノール硫化物4
量体(重合数=4)と同6量体(重合数=6)と同8量
体(重合数=8)の混合物である。これらは、通常の分
離手段によって、例えばカラムクロマトグラフィー、再
結晶法など、又はこれらの組み合わせなどにより分離精
製すればよいが、より簡便には、ジクロロメタンで環状
フェノール硫化物6量体を溶解させ、ここにクロロホル
ムを加えることで環状フェノール硫化物6量体を析出、
回収することができる。環状フェノール硫化物4量体は
ジクロロメタン不溶解分として回収できる。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。ただし、本発明はこれらの例によっては何ら限
定されるものではない。 (実施例1)攪拌機、滴下漏斗、温度計およびガス導入
管を備えた1L4つ口フラスコに、4‐tert‐ブチ
ルフェノール100.0g(670mmol)とクロロ
ホルム600mLを入れて氷冷し、0℃で二塩化硫黄の
クロロホルム溶液(SCl/CHCl=40.8g
/150mL)を2時間かけて滴下した。滴下終了後、
0℃で4時間攪拌を行った後、200mLの冷水を加え
た。反応液を分液漏斗に移して有機溶媒相を分離回収し
た後、これを同量の水で5回洗浄し、洗浄の終了した有
機溶媒相は回収してここに無水硫酸マグネシウムを加え
て共存する少量の水分を分離した。次に、水分を吸着し
た硫酸マグネシウムをろ別し、ロータリーエバポレータ
ーを用いて溶媒を留去して黄色の液体を得た。この液体
にn−ヘキサン100mLを加えて0℃で静置した結
果、40gの結晶が得られた。この結晶をろ過回収し、
ろ液を再度濃縮してn−ヘキサン50mLを加えて0℃
で静置した結果さらに30gの結晶が得られた。得られ
た結晶は一般式2におけるX=tert‐ブチル基であ
る鎖状硫化フェノール2量体であった。収率は65%で
あった。その鎖状硫化フェノール2量体の物性値を以下
に示した。 H‐NMR(400MHz, CDCl3)δ7.33, 7,32(d, J=2.4Hz,
2H, Ar), 7.25, 7.23(m, 2H, Ar), 6.89, 6.87(d, J=8.
5Hz, 2H, Ar), 6.11(s, 2H, OH), 1.23(s, 18H, tert-B
u) IR(cm-1) 3300, 820
【0020】(実施例2)実施例1で得られた鎖状硫化
フェノール2量体結晶1.0gを20mLナス型フラス
コに入れ、ここに水酸化ナトリウム0.18g、単体硫
黄0.19g、ジフェニルエーテル3mLを加えて窒素
気流下で攪拌しつつ反応を行った。反応温度は130℃
で2時間、170℃で2時間、230℃で3時間とし
た。反応終了後、室温まで放冷し、クロロホルムと2規
定硫酸を加えて攪拌し、アルカリの中和と生成物の溶解
を行った。クロロホルム溶液を分離回収し、無水硫酸マ
グネシウムを加えて少量の水分を脱水し、ろ過して得ら
れた溶液に同量のアセトンを加えて12時間放置した。
析出した結晶は一般式3におけるX=tert‐ブチ
ル、n=4の環状フェノール硫化物であった。ろ液をロ
ータリーエバポレータを用いて濃縮し、少量の酢酸を加
えて析出物をろ別し、この析出物にアセトンを加えてさ
らに固形物をろ過回収した後、ジクロロメタンを加えて
加熱し、不溶解分を回収した。この不溶解分は、一般式
3におけるX=tert‐ブチル、n=4の環状フェノ
ール硫化物であった。ジクロロメタン溶液にクロロホル
ムを加えて加熱濃縮し、析出物を回収して一般式3にお
けるX=tert‐ブチル、n=6の環状フェノール硫
化物を得た。またこのろ液を濃縮して一般式3における
X=tert‐ブチル、n=4の環状フェノール硫化物
を回収した。一般式3におけるX=tert‐ブチル、
n=4の環状フェノール硫化物の収量は382.1m
g、収率は35%であった。その環状フェノール硫化物
の物性値を以下に示した。
【0021】融点:320〜322℃ IR(KRS-5):3324(OH伸縮),2962(CH伸縮)cm-1 1 H NMR(CDC13)δppm:9.60(s, 1, OH), 7.64(s, 2, A
r), 1.22(s, 9, C(CH3)3)13 C NMR(CDC13)δppm:155.6,144.7,136.4,120.5(A
r), 34.2(C(CH3)3),31.3(C(CH3)3) MS m/z:720(M) 一般式3におけるX=tert‐ブチル、n=6の環状
フェノール硫化物の収量は116.8mg、収率は11
%であった。その環状フェノール硫化物の物性値を以下
に示した。 融点:287〜288℃ IR(KRS-5):3279(OH伸縮),2960(CH伸縮)cm-1 1 H NMR(CDC13)δppm:9.18(s, 1, OH), 7.59(s, 2, A
r), 1.23(s, 9, C(CH3)3)13 C NMR(CDC13)δppm:155.3,144.4,135.4,120.4(A
r), 34.2(C(CH3)3),31.3(C(CH3)3) MS m/z:1080(M
【0022】(実施例3)実施例1で得られた鎖状硫化
フェノール2量体結晶10.0gを200mLナス型フ
ラスコに入れ、ここに水酸化ナトリウム1.2g、単体
硫黄1.9g、ジフェニルエーテル30mLを加えて窒
素気流下で攪拌しつつ反応を行った。反応温度は130
℃で2時間、170℃で2時間、230℃で3時間とし
た。反応終了後、室温まで放冷し、クロロホルムと2規
定硫酸を加えて攪拌し、アルカリの中和と生成物の溶解
を行った。クロロホルム溶液を分離回収し、無水硫酸マ
グネシウムを加えて少量の水分を脱水し、ろ過して得ら
れた溶液に同量のアセトンを加えて12時間放置した。
析出した結晶は一般式3におけるX=tert−ブチ
ル、n = 4の環状フェノール硫化物であった。ろ液をロ
ータリーエバポレーターを用いて濃縮し、少量の酢酸を
加えて析出物をろ別し、この析出物にアセトンを加えて
さらに固形物をろ過回収した後、クロロホルムを加えて
加熱し、不溶解分を回収した。この不溶解分は、一般式
3におけるX=tert‐ブチル、n=8の環状フェノ
ール硫化物であった。また、このろ液を濃縮して一般式
3におけるX=tert−ブチル、n=4の環状フェノ
ール硫化物を回収した。一般式3におけるX=tert
−ブチル、n=4の環状フェノール硫化物の収量は7.
5g、収率は68%であった。その環状フェノール硫化
物の物性値を以下に示した。
【0023】融点:320〜322℃ IR (KRS-5) : 3324(OH伸縮), 2962(CH伸縮)cm-1 1 H NMR (CDCl3) ppm : 9.60 (s, 1, OH), 7.64 (s, 2,
Ar), 1.22 (s, 9, C(CH3)3)13 C NMR (CDCl3) ppm : 155.6, 144.7, 136.4, 120.5
(Ar), 34.2 (C(CH3) 3), 31.3 (C(CH3)3) MS m/z : 720 (M) 一般式3におけるX=tert‐ブチル、n=8の環状
フェノール硫化物の収量は462.6 mg、収率は4
%であった。その環状フェノール硫化物の物性値を以下
に示した。
【0024】融点:304〜307℃ IR (KRS-5) : 3327(OH伸縮), 2963(CH伸縮)cm-1 1 H NMR (CDCl3) ppm : 8.68 (s, 1, OH), 7.56 (s, 2,
Ar), 1.22 (s, 9, C(CH3)3)13 C NMR (CDCl3) ppm : 154.9, 144.1, 134.8, 120.4
(Ar), 34.2 (C(CH3)3), 31.3 (C(CH3)3) MS m/z : 1440 (M)
【0025】
【発明の効果】本発明の方法によれば、環状フェノール
硫化物4量体、6量体および8量体を簡便に製造するこ
とが可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今 徳義 宮城県仙台市太白区鈎取本町2−6−35 グレース下山302 (72)発明者 竹矢 晴彦 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 (72)発明者 栖川 能裕 埼玉県幸手市権現堂1134−2 株式会社コ スモ総合研究所研究開発センター内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC63 BC31 BE90 TA04 TB14 TB42 TC32 4H039 CA42 CD10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式1 【化1】 (式中、Xは水素原子または炭化水素基である。)で表
    されるフェノール類と、該フェノール類1molに対し
    0.4〜0.8molの二塩化硫黄を、溶媒存在下で作
    用させて一般式2 【化2】 (式中、Xは水素原子または炭化水素基である。複数の
    Xは同一であっても良く、異なっていても良い。)で表
    される鎖状フェノール硫化物2量体とした後、当該鎖状
    フェノール硫化物2量体1mol当たり0.5〜2.5
    molのアルカリ金属水酸化物の存在下1.5〜2.5
    グラム原子の単体硫黄を加熱下で反応させることを特徴
    とする一般式3 【化3】 (式中、Xは水素原子または炭化水素基である。複数の
    Xは同一であっても良く、異なっていても良い。nは
    4、6又は8である。)で表わされる環状フェノール硫
    化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 鎖状フェノール硫化物2量体と単体硫黄
    を反応させるに際して、鎖状フェノール硫化物2量体1
    mol当たり0.5〜2.0Lの溶媒を存在させること
    を特徴とする請求項1記載の環状フェノール硫化物の製
    造方法。
  3. 【請求項3】溶媒が芳香族エ-テル、芳香族チオエ-テル
    及び炭化水素から選ばれる少なくとも1種類であること
    を特徴とする請求項2記載の環状フェノール硫化物の製
    造方法。
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