JP3826864B2 - 紡機における繊維束集束装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紡機の繊維束集束装置に係り、詳しくは例えば精紡機のドラフト装置(ドラフトパート)の下流に配置され、ドラフト装置でドラフトされた繊維束を集束する紡機の繊維束集束装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の繊維束集束装置として、図7に示すように、ドラフト装置の最終ローラ対61の下流に、多孔エプロン62を具備した送出ローラ対63を設け、多孔エプロン62の搬送面に吸引気流を作用させる空気吸引装置64を設けたものが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この繊維束集束装置では、多孔エプロン62をガイドするエプロンケージ65に形成された吸引溝孔を介して多孔エプロン62の搬送面に吸引気流が作用する。
【0003】
また、図8に示すように、ドラフト装置を構成する最終ローラ対71の下流に、繊維束搬送面を形成する多孔エプロン72を具備した送出ローラ対73を設け、この多孔エプロン72の搬送面に吸引気流を作用させる空気吸引装置74を設けたものが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この装置では多孔エプロン72をガイドするエプロンガイド75に形成された溝孔を介して多孔エプロン72の搬送面に吸引気流が作用する。また、多孔エプロン72はガイド部材76により張力を付与された状態で回転されるようになっている。
【0004】
また、ドラフト装置の最終ローラの下流のボトム側に吸引スリットを有する静止摺動面を構成する中空プロフィル(ガイド筒)を設け、中空プロフィルに輸送用の孔開けベルトが巻き掛けられた構成の繊維束集束装置も開示されている(例えば、特許文献3参照。)。この装置では、トップ側には前記孔開けベルトと当接してニップ点を画成するニップローラが設けられている。前記ニップローラは前記最終ローラにより移送ベルトを介して駆動されるようになっている。ニップローラを移送ベルトを介して駆動する構成に代えて、最終ローラに当接する移送ローラを介して駆動する構成も開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−238425号公報(段落番号[0012]〜[0015]、図1〜図3)
【特許文献2】
ドイツ特許出願公開DE19708410A1号公報(図1)
【特許文献3】
特開平11−286837号公報(段落番号[0017]〜[0024]、図1,図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような繊維束集束装置を装備した紡機で糸を紡出した場合は、繊維束集束装置を装備しない紡機で糸を紡出した場合に比較して、毛羽の発生が低下するとともに糸斑も低下してU%が向上するが、更なる向上が望まれている。
【0007】
従来、フリースアングル(フリース角度)を大きくすると毛羽の発生を抑制する効果があることは知られているが、フリースアングルを大きくすると糸切れが発生し易くなるという不具合があり、フリースアングルを大きくすることは操業上マイナスが大きかった。ここで、「フリースアングル」とは繊維束(フリース)がニップ点を通過した後、繊維束を引き出し位置まで案内する円弧面の曲率中心とニップ点とを結ぶ線分と、前記曲率中心と繊維束Fの引き出し点とを結ぶ線分との成す角度を意味する。
【0008】
前記従来の繊維束集束装置では、フリースアングルを増大させることにより毛羽の発生を抑制して糸品質を向上させることに関しては、特に配慮がなされていなかった。例えば、特許文献1では図7に示すように、繊維束Fは送出ローラ対63のニップ点の下流側においてほぼ接線方向に引き出されており、フリースアングルを大きくする配慮はなされていない。また、特許文献2でも繊維束Fは送出ローラ対73のニップ点の下流側においてほぼ接線方向に引き出されており、フリースアングルを大きくする配慮はなされていない。
【0009】
本願出願人は、積極的にフリースアングルを大きくした繊維束集束装置を作製して紡機に装備し、その紡出時における糸の状態を高速ビデオカメラで撮影して、従来の構成の繊維束集束装置を装備した紡機の紡出時における糸の状態と比較した。その結果、フリースアングルを大きくした場合は、送出ローラ対のニップ点より下流側で、糸(繊維束)がエプロンに沿って転動しながら往復移動するのに対して、フリースアングルが小さい従来構成の場合は、糸が滑るように往復移動することが観察された。また、紡出された糸についてHairiness 及びU%を測定した結果、U%に関してはほぼ同等であったが、Hairiness に関しては積極的にフリースアングルを大きくした方が明らかに優位性が見られた。本願発明者はこの知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
本発明の目的は、簡単な構成で毛羽の発生を従来の繊維束集束装置より抑制させて糸品質を向上させることができる紡機の繊維束集束装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、紡機のドラフトパートでドラフトされた繊維束を集束する繊維束集束装置である。そして、前記ドラフトパートの最終送出ローラ対の下流側に設けられるとともにニップローラを備えた送出部と、前記送出部のニップ点に対して繊維束の移動方向の上流側に延びるように設けられた吸引孔を備えた摺動面を有する吸引部と、前記送出部を構成するとともに前記摺動面に接触する状態で回転される通気エプロンとを備えている。前記吸引部より前記繊維束の移動方向の下流側に、前記通気エプロンが巻き掛けられる巻掛け部材を前記吸引部と別体で設けて前記ニップ点と前記繊維束が前記ニップ点より下流において前記通気エプロンから離れる位置までの距離を増大させた。
【0012】
この発明では、ドラフトパートでドラフトされた繊維束は、ドラフトパートの最終送出ローラ対の下流側に設けられた繊維束集束装置によって集束され、集束された状態で移動するため、繊維束集束装置の配設されない紡機に比較して、毛羽の発生や落綿が抑制されて糸質が改善される。また、吸引部の下流側に吸引部と別体で設けられた巻掛け部材により、ニップ点と繊維束がニップ点より下流において通気エプロンから離れる位置までの距離が増大されているため、毛羽の発生抑制作用が高まり、毛羽の発生がより抑制されて糸品質が向上する。繊維束はニップ点を過ぎた後、撚り掛けを受けながら下流側へ移動する。繊維束は吸引孔の吸引作用により集束された状態でニップ点から引き出されるため、巻き取り作用による撚りがニップ点近くまで到達し易くなって、糸強力が増し、前記距離が増大されても糸切れの発生増加が抑制される。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記巻掛け部材は前記距離が5mm以上となるように設けられている。この発明では、ニップ点を過ぎて移動する繊維束が通気エプロンから離れるまでの距離が5mm以上のため、繊維束が通気エプロン上を転動しながら移動する間に、繊維束から浮き上がった繊維が繊維束に撚り込まれ易くなり、毛羽の発生抑制作用が向上する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記通気エプロンが巻き掛けられる吸引部及び前記巻掛け部材は、機台フレームに設けられた支持部に対して取り外し可能に支持される被支持部に少なくとも一端が嵌合する状態で支持されている。この発明では、吸引部及び巻掛け部材が被支持部に少なくとも一端が嵌合する状態で支持されているため、前記距離が5mm以上となるように両者を配置するのが容易になる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記巻掛け部材はバー状の充実体で形成されている。この発明では、巻掛け部材を管状に形成するのに比較して製造が簡単になるとともに、組み付け時や分解保全作業時等に巻掛け部材を他の部材にぶつけても、損傷し難い。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図6に従って説明する。図1はドラフト装置の片側と繊維束集束装置とを示す一部破断概略側面図、図2は(a)は繊維束集束装置をニップ点における繊維束引き出し方向(ドラフト装置における繊維束の移動方向前方)から見た概略図である。図3は図1の部分拡大図である。
【0017】
図1に示すように、ドラフトパートとしてのドラフト装置11はフロントボトムローラ12、ミドルボトムローラ13及びバックボトムローラ14を備えた3線式の構成となっている。フロントボトムローラ12は機台フレームを構成するローラスタンド15に対して所定位置に支持され、ミドル及びバックの各ボトムローラ13,14はローラスタンド15に対して前後方向に位置調整可能に固定された支持ブラケット13a,14aを介して支持されている。支持ブラケット13a,14aはローラスタンド15に形成された長孔を貫通するボルト及びナット(いずれも図示せず)により所定位置に締め付け固定されるようになっている。ボトムエプロン16はボトムテンサ17と、ミドルボトムローラ13とに巻き掛けられている。
【0018】
ウエイティングアーム18にはフロントトップローラ19、ミドルトップローラ20及びバックトップローラ21が、フロントボトムローラ12、ミドルボトムローラ13及びバックボトムローラ14と対応する位置にトップローラ支持部材を介してそれぞれ支持されている。各トップローラ19〜21は2錘1組として支持されている。フロントボトムローラ12及びフロントトップローラ19がドラフト装置11の最終送出ローラ対を構成する。
【0019】
ウエイティングアーム18にはレバー18aが加圧位置と解放位置とに回動可能に配設されている。レバー18aが図1に示すウエイティングアーム18のフレーム18bと当接する加圧位置に配置された状態では、ウエイティングアーム18に支持された各トップローラ19〜21をボトムローラ12,13,14側に押圧する加圧位置(紡出位置)にロック状態で保持される。また、レバー18aが図1に示す状態から上方の解放位置に回動された状態では、前記ロック状態が解除されるようになっている。
【0020】
図1に示すように、ドラフト装置11の最終送出ローラ対の下流側に繊維束集束装置30が配設されている。繊維束集束装置30は送出部31、吸引部としての吸引パイプ32、巻掛け部材33及び通気エプロン34を備えている。送出部31はフロントボトムローラ12と平行に配設された回転軸35に形成されたニップローラとしてのボトムニップローラ35aと、ボトムニップローラ35aに通気エプロン34を介して押圧されるニップローラとしてのトップニップローラ31aとで構成されている。
【0021】
この実施の形態の繊維束集束装置30は、図2(a)に示すように、トップニップローラ31aがドラフト装置11の各トップローラ19〜21と同様に2錘毎に、支持部材36(図1及び図3に図示)を介してウエイティングアーム18に支持されている。なお、この実施の形態では支持部材36はフロントトップローラ19の支持部材と一体に形成されている。
【0022】
一方、繊維束集束装置30のボトム側は、ドラフト装置11のローラスタンド15間に配置される錘の半分、この実施の形態では4錘分を1ユニットとして構成されている。機台長手方向に所定間隔で配設されたローラスタンド15の中間位置には、機台長手方向に延設された支持ビーム37に基端側が支持された状態で機台フレームを構成する支持アーム38(図2(a)にのみ図示)が配設され、ローラスタンド15と支持アーム38との間に回転軸35が支持されている。
【0023】
図2(b)に示すように、回転軸35は複数錘(この実施の形態では4錘)と対応する所定長さに形成され、その両端に軸受39が固定されている。軸受39は被支持部としてのエンドプラグ40に嵌合され、図2(a)に示すように、エンドプラグ40が嵌合部40aにおいてローラスタンド15及び支持アーム38に設けられた支持部15a,38aに支持されて、回転軸35がローラスタンド15と支持アーム38との間に回転可能に支持されている。支持部15a,38aは、エンドプラグ40を2個支持可能に形成され、隣接する回転軸35の端部に取り付けられたエンドプラグ40を支持可能になっている。
【0024】
支持部15aはローラスタンド15上に固定されたブロックで構成され、機台前側斜め上方に向かって延びる嵌合凹部を有している。支持部38aも機台前側斜め上方に向かって延びる嵌合凹部を有している。そして、エンドプラグ40は両嵌合凹部と嵌合可能な嵌合部40aを有し、嵌合部40aにおいて支持部15a,38aに対してワンタッチで嵌合可能に形成されている。
【0025】
回転軸35には長手方向の中央にギヤ41が回転軸35と一体回転可能に設けられている。図3に示すように、フロントボトムローラ12にはギヤ41と対向する位置にギヤ部12aが形成されている。そして、前記支持アーム38と同様に、基端側が支持ビーム37に固定された支持アーム42に、ギヤ部12a及びギヤ41に噛合する状態で中間ギヤ43が回転可能に支持されている。即ち、フロントボトムローラ12の回転力は、ギヤ部12a、中間ギヤ43及びギヤ41を介して回転軸35に伝達される。
【0026】
図1に示すように、精紡機機台にはその長手方向(図1の紙面と垂直方向)に延びるように、繊維束集束装置30用の吸引源(負圧源)としてのダクト44が配設されている。ダクト44は紡機機台の長手方向に沿って複数設けられている。各ダクト44にはダクト44内を負圧にするための吸引装置45がパイプ46を介して接続されている。吸引装置45としてファン47aをモータ47で駆動するファンモータが使用されている。図1に示すように、ダクト44はドラフト装置11の後側上方において紡機機台の中央に配設され、吸引装置45はダクト44の下方に配設されている。吸引パイプ32はダクト44と平行に延びる状態で、接続管48を介してダクト44に接続されている。
【0027】
吸引パイプ32及び巻掛け部材33も、回転軸35が支持された一対のエンドプラグ40にそれぞれ両端部が嵌合された状態で支持されている。吸引パイプ32は、ボトムニップローラ35aのニップ点を挟んで繊維束(フリース)Fの移動方向の上流側に延びるスリット状の吸引孔32aが形成された摺動面32bを有する。巻掛け部材33は、通気エプロン34を摺動案内する摺動面33aを有する。そして、図2及び図4(a)に示すように、吸引パイプ32はボトムニップローラ35aのニップ点より繊維束Fの移動方向上流側に、巻掛け部材33は下流側に位置するようにそれぞれ配設されている。
【0028】
吸引パイプ32は、通気エプロン34をフロントボトムローラ12とフロントトップローラ19とのニップ点の近傍に至るように案内可能な形状に形成されている。巻掛け部材33は、前記ニップ点と、繊維束Fがニップ点より下流側において通気エプロン34から離れる位置までの距離Lが5mm以上、好ましくは8〜10mmとなるように設けられている。巻掛け部材33はバー状の充実体で形成されている。
【0029】
通気エプロン34は一部が吸引パイプ32に、一部が巻掛け部材33に、一部がボトムニップローラ35aに接触するように巻掛けられ、ボトムニップローラ35aの回転に伴って摺動面32b,33aに沿って摺動しつつ回転されるようになっている。この実施の形態では通気エプロン34は、適度な通気性を確保できる織布により形成されている。
【0030】
図1及び図2(a)等に示すように、巻掛け部材33の下方近傍には、糸切れ時にドラフト装置11から送出される繊維束Fを吸引する作用をなすシングルタイプのニューマ装置の吸引ノズル49の先端がそれぞれ配設されている。吸引ノズル49の基端は全錘共通のニューマダクト50に接続されている。
【0031】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。
精紡機が運転されると、繊維束Fはドラフト装置11のボトムローラ12〜14と、トップローラ19〜21との間を通過することによりドラフトされた後、繊維束集束装置30へ案内される。送出部31のトップニップローラ31aはフロントボトムローラ12及びフロントトップローラ19の表面速度より若干速く回転され、繊維束Fは適度な緊張状態で送出部31のニップ点を過ぎた後、撚り掛けを受けながら下流側へ移動する。
【0032】
また、ダクト44の吸引作用が接続管48を介して吸引パイプ32に及び、摺動面32bに形成された吸引孔32aの吸引作用が通気エプロン34を介して繊維束Fに及ぶ。そして、繊維束Fが吸引孔32aと対応する位置に吸引集束された状態で移動する。従って、繊維束集束装置30の配設されない紡機に比較して、毛羽の発生や落綿が抑制されて糸質が改善される。
【0033】
吸引パイプ32の下流側に吸引パイプ32と別体で設けられた巻掛け部材33が存在するため、図4(a)に示すフリースアングルθ1が、図4(b)に示す、巻掛け部材33が存在しない場合のフリースアングルθ2に比較して増大された状態となる。フリースアングルが大きい状態では、ニップ点を通過した後、繊維束Fが通気エプロン34の表面から離れるまでの距離が長くなる。従って、巻取り部から繊維束Fに伝わる撚り掛け作用により、繊維束が回転される際に、繊維束Fの周囲に飛び出している繊維fが通気エプロン34と接触した状態で回転される状態となり、該繊維fが繊維束Fに撚り込まれ易くなり、毛羽の発生が抑制される。また、図5(a)に示すように、巻掛け部材33が存在する構成では、繊維束Fがエプロンに沿って転動するように往復移動する。その結果、繊維束Fの周囲に飛び出している繊維fが繊維束Fに撚り込まれ易くなる。
【0034】
一方、フリースアングルが小さい状態では、ニップ点を通過した後、繊維束Fが通気エプロン34の表面から離れるまでの距離が短い。従って、巻取り部から繊維束Fに伝わる撚り掛け作用により、繊維束が回転される際に、繊維束Fの周囲に飛び出している繊維fが通気エプロン34と接触した状態で回転され難くなり、繊維束Fに撚り込まれずに毛羽となり易い。また、図5(b)に示すように、巻掛け部材33が存在せず、通気エプロン34がボトムニップローラ35aと吸引パイプ32とに巻き掛けられた構成では、繊維束Fがエプロンに沿って転動せずに滑るように往復移動する。その結果、繊維束Fの周囲に飛び出している繊維fが繊維束Fに撚り込まれ難くなる。
【0035】
巻掛け部材33を有する繊維束集束装置30を装備した紡機と、巻掛け部材33の無い繊維束集束装置30を装備した紡機とを使用して40番手の糸の紡出を行い、Hairiness 及びU%を測定した。その結果、U%に関しては、巻掛け部材33が存在する方が幾分良好であったが、大きな優位性は見られなかった。一方、Hairiness に関しては、巻掛け部材33が存在する方が明らかに良い結果が得られた。図6にHairiness に関する結果を示す。なお、「Hairiness 」とは糸1cm長さに存在する毛羽の長さの総和[cm]を意味する。ただし、一般に単位はつけない。巻掛け部材33が存在する場合はHairiness の平均値が3.64に対して、巻掛け部材33の無い場合はHairiness の平均値が3.96であった。一般に、Hairiness の値は0.1の差があれば優位性があるとされており、この結果のように0.3もの差がある場合は、明らかに、毛羽発生の抑制効果が大きいと言える。なお、繊維束集束装置30を装備しない紡機で紡出された糸のHairiness は4.77であった。
【0036】
従来、フリースアングルを増加させると糸切れし易くなると言われている。しかし、繊維束集束装置30を備えている場合は、繊維束Fは吸引孔32aの吸引作用により集束された状態でニップ点から引き出されるため、巻き取り作用による撚りがニップ点近くまで到達し易くなって、糸強力が増し、フリースアングルが増大されても糸切れの発生増加が抑制される。従って、糸切れによる生産性の低下を抑制できる。
【0037】
この実施の形態は以下の効果を有する。
(1) 繊維束集束装置30は送出部31のニップ点に対して繊維束Fの移動方向の上流側に設けられた吸引パイプ32と、吸引パイプ32の摺動面32bに接触する状態で回転される通気エプロン34とを備えている。そして、吸引パイプ32より繊維束Fの移動方向の下流側に、通気エプロン34が巻き掛けられる巻掛け部材33を吸引パイプ32と別体で設けてフリースアングルを増大させた。従って、毛羽の発生抑制作用が高まり、毛羽の発生がより抑制されて糸品質が向上する。また、フリースアングルが増大されても繊維束Fは吸引孔32aの吸引作用により集束された状態でニップ点から引き出されるため、巻き取り作用による撚りがニップ点近くまで到達し、糸切れの発生増加が抑制される。
【0038】
(2) 巻掛け部材33は送出部31のニップ点と、繊維束がニップ点より下流側において通気エプロン34から離れる位置までの距離が5mm以上となるように設けられている。従って、繊維束Fが通気エプロン34上を転動しながら移動する間に、繊維束Fから浮き上がった繊維fが繊維束Fに撚り込まれ易くなり、毛羽の発生抑制作用が向上する。
【0039】
(3) 通気エプロン34が巻き掛けられる吸引パイプ32及び巻掛け部材33は、機台フレームに設けられた支持部15a,38aに対して取り外し可能に支持される被支持部(エンドプラグ40)に少なくとも一端が嵌合する状態で支持されている。従って、前記距離が5mm以上となるように吸引パイプ32及び巻掛け部材33を配置するのが容易になる。
【0040】
(4) 巻掛け部材33はバー状の充実体で形成されている。従って、巻掛け部材33を管状に形成するのに比較して製造が簡単になるとともに、組み付け時や分解保全作業時等に巻掛け部材33と他の部材とがぶつかっても、損傷し難い。
【0041】
(5) トップニップローラ31aが通気エプロン34を押圧する力がボトムニップローラ35aで担われ、吸引パイプ32にトップニップローラ31aの押圧力が作用しない。従って、吸引パイプ32は従来装置(特許文献3)に比較して、剛性が必要とされず、樹脂製としても充分な強度を確保できる。
【0042】
(6) 負圧源としてのダクト44が、糸切れ時にドラフトパートから送出されるフリースを吸引する作用をなすニューマ装置と独立して設けられている。従って、吸引パイプ32の吸引圧力を適正な圧力に調整し易い。
【0043】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
○ 送出部31のニップ点から繊維束Fが送出部31のニップ点より下流側において通気エプロン34から離れる位置までの距離Lは5mm以上であれば、毛羽の発生抑制作用が良好となり、距離Lの上限は特に限定されるものではない。しかし、あまり長くしても毛羽抑制効果がさほど向上するわけではなく、機台の大型化につながるため、8〜10mmが好ましい。
【0044】
○ 繊維束集束装置30の送出部は、ニップローラ対を装備する構成に限らない。例えば、通気エプロン34を駆動する構成として、吸引パイプ32及びボトムニップローラ35aを無くして、断面卵形の吸引パイプを設け、該吸引パイプの所定位置に吸引孔を形成し、吸引パイプ及び巻掛け部材33の外周に沿って通気エプロン34を摺動可能に巻き掛ける。そして、トップニップローラ31aを積極駆動可能とし、トップニップローラ31aを通気エプロン34に圧接しながら駆動することで通気エプロン34を駆動するようにしてもよい。この場合、巻掛け部材33に通気エプロン34の張力調整機能を持たせることができる。
【0045】
○ 吸引パイプ32、巻掛け部材33及び回転軸35は4錘を1ユニットとする構成に限らず、ローラスタンド15間の錘数(例えば8錘)を1ユニットとしたり、2錘を1ユニットとした構成としてもよい。また、必ずしも全ユニットを同じ錘数とせずに、ローラスタンド15間の錘数を異なる数に分けて(例えば6錘と2錘)それに対応して2種のユニットを設けてもよい。
【0046】
○ 巻掛け部材33を充実体で形成する代わりに、管状に形成してもよい。管状とした場合は、軽量となる。
〇 吸引パイプ32は端部が閉塞された形状に形成してもよい。この場合、エンドプラグ40は吸引パイプ32の端部を密閉する配慮をせず、軸受39が嵌合される嵌合孔と、吸引パイプ32及び巻掛け部材33の端部が嵌合される嵌合部(孔)とを有する構成とすればよいため、製造が簡単になる。
【0047】
○ 吸引パイプ32及び巻掛け部材33を、エンドプラグ40に嵌合される側と反対側の端部が接続管48に接続可能な連結部材に嵌合される構成としてもよい。
【0048】
○ ダクト44を紡機機台の長手方向に沿って複数設ける代わりに、紡機機台の全長にわたって1本のみ設けてもよい。
○ ダクト44の位置はドラフト装置11の後側上方に限らず、ドラフト装置11の後側あるいはドラフト装置11の後側下方に配設してもよい。
【0049】
○ ダクト44を精紡機の左右両側に配設された吸引パイプ32で共用する代わりに、右側用と左側用に分けて、紡機機台の長手方向に沿って2列に配設してもよい。
【0050】
○ 吸引装置の構成は、ファン47aをモータ47で駆動する構成に限らない。例えば、減圧ポンプ(真空ポンプ)を使用してもよい。真空ポンプは回転式ポンプでも往復動式ポンプでもよい。
【0051】
○ 通気エプロン34を織布で形成する代わりに、編み地により形成してもよい。この場合も織布と同様に通気エプロン34を構成するベルトに小さな孔をわざわざ開ける手間をかけずとも適度な通気性が得られ、通気エプロン34を安価に製造できる。さらに、編み地の伸縮性により、テンション装置を特に設けなくても通気エプロン34が適度な張力状態で回転される。
【0052】
○ 通気エプロン34を織布や編み地で形成する代わりに、ゴム製や弾性を有する樹脂製のベルトに多数の孔を開けて形成してもよい。
○ ボトムニップローラ35aが形成される回転軸35を全錘共通のシャフトとして、ドラフト装置11の各ボトムローラ12〜14と同様に機台のギヤエンドに設けられたギヤ列を介してモータにより駆動される構成としてもよい。
【0053】
○ 吸引パイプ32の負圧源とニューマ装置の負圧源とを共通にしてもよい。〇 ニューマ装置としてシングルノズルタイプに代えて、フルートタイプの構成を採用してもよい。
【0054】
前記実施の形態から把握される発明(技術的思想)について、以下に記載する。
(1) 請求項2に記載の発明において、前記距離は8mm以上10mm以下である。
【0055】
(2) 請求項1〜請求項4及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の繊維束集束装置を備えたリング精紡機。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、簡単な構成で毛羽の発生を従来の繊維束集束装置より抑制させて糸品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施の形態の繊維束集束装置を示す一部破断概略側面図。
【図2】 (a)は繊維束集束装置を繊維束移動方向前方から見た部分概略図、(b)は回転軸の正面図。
【図3】 図1の部分拡大図。
【図4】 (a)は巻掛け部材が有る場合の作用を説明する模式図、(b)は巻掛け部材が無い場合の作用を説明する模式図。
【図5】 (a)は巻掛け部材が有る場合の作用を説明する模式斜視図、(b)は巻掛け部材が無い場合の作用を説明する模式斜視図。
【図6】 Hairiness の測定結果を示すグラフ。
【図7】 従来技術の概略側面図。
【図8】 別の従来技術の概略側面図。
【符号の説明】
F…繊維束、L…距離、θ1,θ2…フリースアングル、11…ドラフトパートとしてのドラフト装置、15…機台フレームを構成するローラスタンド、15a,38a…支持部、30…繊維束集束装置、31…送出部、31a…送出部を構成するニップローラとしてのトップニップローラ、32…吸引部としての吸引パイプ、32a…吸引孔、32b,33a…摺動面、33…巻掛け部材、34…通気エプロン、35a…送出部を構成するニップローラとしてのボトムニップローラ。

Claims (4)

  1. 紡機のドラフトパートでドラフトされた繊維束を集束する繊維束集束装置であって、前記ドラフトパートの最終送出ローラ対の下流側に設けられるとともにニップローラを備えた送出部と、前記送出部のニップ点に対して繊維束の移動方向の上流側に延びるように設けられた吸引孔を備えた摺動面を有する吸引部と、前記送出部を構成するとともに前記摺動面に接触する状態で回転される通気エプロンとを備え、前記吸引部より前記繊維束の移動方向の下流側に、前記通気エプロンが巻き掛けられる巻掛け部材を前記吸引部と別体で設けて前記ニップ点と前記繊維束が前記ニップ点より下流において前記通気エプロンから離れる位置までの距離を増大させた紡機における繊維束集束装置。
  2. 前記巻掛け部材は前記距離が5mm以上となるように設けられている請求項1に記載の紡機における繊維束集束装置。
  3. 前記通気エプロンが巻き掛けられる吸引部及び前記巻掛け部材は、機台フレームに設けられた支持部に対して取り外し可能に支持される被支持部に少なくとも一端が嵌合する状態で支持されている請求項2に記載の紡機における繊維束集束装置。
  4. 前記巻掛け部材はバー状の充実体で形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の紡機における繊維束集束装置。
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