JP3826717B2 - 燃料電池車両の燃料充填構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料充填構造、特に燃料電池車両の燃料充填構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池を動力源とした燃料電池車両の燃料容器に天然ガス等の燃料を充填する燃料充填作業時には、まず車体外板に設けられた燃料充填口のリッドを開き、その後、燃料充填用レセプタクルを燃料充填口のノズルに差込み、燃料容器に燃料を充填する。この充填時にノズルや燃料配管内に前回充填時の燃料が残留して残圧として作用している場合には、この残圧を大気に開放したり、サージタンク等を用いて放出する必要があり、この方法は例えば、特開平09−096400号公報や、実公平03−009465号公報に記載されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような燃料電池車両の燃料充填構造においては、燃料配管内の残圧は圧力センサ等を用いて残圧の有無を確認する手段しかなく、この検出手段を備えていないシステムにおいて、残圧を開放するためのリリーフ弁等が故障した場合には、燃料充填開始時の作業において燃料配管内の残留ガスの意図しない排出によって作業者の燃料充填作業が妨げられるという問題がある。
【0004】
そこで本発明の目的は、燃料配管中に残留ガスが存在している時にはリリーフ弁等からなるリリーフラインが故障していると判断し、残留ガスの意図しない排出を防止すると共に、燃料の充填が行えないようにすることで上記問題点を解決する燃料電池車両の燃料充填構造を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、燃料としてのガスを貯蔵する燃料容器と、燃料容器に接続された充填配管と、燃料を充填するときに燃料レセプタクルが接続される、充填配管に設けた充填ノズルと、前記充填ノズル内部に配設され内部の残圧に応じて開閉する弁と、この弁と連動して充填ノズルに対する燃料レセプタクルの接続を制限する制限機構とを備え、前記充填配管に残圧があるときは燃料の充填を禁止する。
【0006】
第2の発明は、第1の発明において、前記制限機構は、前記弁の変位に基づいて充填ノズルと同軸的に回転する回転変換部材と、この回転変換部材の回転位置により前記充填ノズルの入口部に設けた充填口リッドと係合してその開放を阻止する係合部材とを備え、残圧のあるときは充填リッドの開放を阻止して燃料の充填を禁止する。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、前記回転変換部材は、充填ノズルの外周面に回転自在に支持された回転筒と、弁の変位に応じて充填ノズルの外周に沿って軸方向にのみ移動するように案内される磁石と、この磁石を収容案内する回転筒内周面に形成した螺旋状の案内溝とを備える。
【0009】
第4の発明は、第1の発明において、前記制限機構は、前記弁の変位を電気的に検出する手段と、検出した電気信号に基づいて作動して前記充填ノズルの入口部に設けた充填口リッドの開放を阻止する作動部材とを備え、残圧のあるときは充填口リッドの開放を阻止して燃料の充填を禁止する。
【0010】
第5の発明は、第1の発明において、前記制限機構は、前記弁の変位に基づいて充填ノズル外周に沿って軸方向に移動する吸着保持部材と、この吸着保持部材の位置により吸着される前記充填ノズルに嵌合したキャップとを備え、残圧のあるときはキャップを吸着保持して燃料の充填を禁止する。
【0011】
第6の発明は、第1の発明において、前記制限機構は、前記充填ノズルが充填配管に対して回転することにより軸方向に移動するように案内する螺旋送り部と、前記弁の変位に基づいて充填ノズルを回転させる運動変換部材とを備え、残圧のあるときには充填ノズルを充填配管に埋没させて燃料の充填を禁止する。
【0012】
第7の発明は、第6の発明において、前記運動変換部材が、充填配管に固定された案内筒と、充填ノズルの外周に沿って軸方向にのみ移動するように案内される磁石と、この磁石を収容案内する案内筒の内周面に形成した螺旋状の案内溝と、を備え、また、前記螺旋送り部が、前記案内筒内周面と充填ノズルの外周との間に介在させた前記螺旋状案内溝と相対するリード角の螺合機構を備える。
【0013】
【発明の効果】
第1の発明では、燃料容器と、燃料容器に接続された充填配管と、燃料を充填するときに燃料レセプタクルが接続され、充填配管に設けた充填ノズルと、前記充填ノズル内部に配設され内部の残圧に応じて開閉する弁と、この弁と連動して充填ノズルに対する燃料レセプタクルの接続を制限する制限機構とを備え、前記充填配管に残圧があるときは燃料の充填を禁止するようにしたので、高価な圧力センサや制御回路を設けることなく、簡潔な構成で、配管内のガス圧を検知することができ、燃料充填時の意図しないガスの放出を防止できる。また構成が簡潔であるのでシステムのコスト低下に貢献する。
【0014】
第2と4の発明では、燃料充填時に開く充填口リッドを残圧のあるときに開放を阻止するような構成としたので、確実に充填配管中残圧が所定値以下の場合に限り燃料の充填作業を行うことができる。
【0015】
第5から7の発明では、残圧のあるときに燃料レセプタクルのノズルへの接続を禁止する構成としたので、確実に充填配管中残圧が所定値以下の場合に限り燃料の充填作業を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の燃料電池システムの構成を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は本発明の燃料充填構造の構成を説明する図である。燃料充填レセプタクル1が挿入される燃料充填口のノズル2は車体外板3に固定され、またノズル2は逆止弁20aを内蔵している。燃料充填レセプタクル1からノズル2に供給された燃料は配管4、元弁5を通過して燃料容器6に充填される。逆止弁20aは燃料容器6からの燃料がノズル2からの漏出するのを防止する。
【0018】
レセプタクル1のノズル2挿入部は円筒状に形成され、その内径はノズル2の外径と略同一であり、燃料が漏れることはないように構成される。
【0019】
元弁5は、その切換えによって燃料電池スタック等の燃料供給系とも燃料容器6を連通可能であり、燃料容器6内の燃料を燃料供給系に供給する際には配管4と燃料容器6との連通を遮断する。
【0020】
配管4の途中には、燃料容器6側からの燃料の逆流を防止する逆止弁20bが設置されると共に、その上流側(車体外板側)でリリーフライン7が配管4から分岐し、リリーフライン7には燃料の残圧放出装置8とその下流にサージタンク9が設置されており、残圧放出装置8を作動して残留燃料をサージタンク9に貯蔵することができる。この残留放出装置8の作動によって配管4内の燃料が配管4中から排出される。
【0021】
ノズル2の入口側には車体外板3の一部を形成する燃料充填口のリッド10が設けられ、燃料充填レセプタクル1をノズル2に挿入するにはこのリッド10を開く必要があり、このリッド10の開閉については残留燃料の有無、つまり残圧の状態、具体的には残圧がある時にはリッド10は開くことができず、残圧がない時にのみ開くことができるように構成される。
【0022】
次に図2から図10を用いて本発明の第1実施形態としてのノズル2の構成について説明する。
【0023】
図2は車体外板3に固定されるノズル2の内部構成を説明する断面図であり、ノズル2の内部は径の異なる段付き形状を有しており、その下流側に位置した大径部に逆止弁20aが内装される。逆止弁20aは図3のように摺動弁体14と、摺動弁体14を開き方向(図中右方向)に付勢するバネ13と、摺動弁体14が接する弁シートとして機能するノズル2の大径部2b内周に形成された突起2cとから構成される。
【0024】
摺動弁体14に残留燃料による残圧が作用するとバネ13の付勢力に抗して摺動弁体14が閉じ方向に移動してノズル2の突起2cと密着し、残留燃料が小径部2aに流入することを防止しする(図3(b))。一方、残圧が作用していない時には摺動弁体14はバネ13の付勢力によって開き方向に移動する(図3(a))。
【0025】
摺動弁体14は磁性材料で形成され、非磁性材料で形成したノズル2の外周には、摺動弁体14の移動とともにノズル2の外周をノズル2の軸方向に移動する磁石15が設置されている(図4)。磁石15は摺動弁体14の軸回りに回転不可となるように図4、図5に示すノズル2の外周に設けられた一対の軸方向に延びる摺動ガイド12によって案内されている。
【0026】
ノズル2の外周には、ノズル2の軸方向の移動が制限される一方、軸回りに回転可能な非磁性材料で形成された回転筒としてのガイドリング11が設けられる。図3(a)に示すように、ガイドリング11は円筒形状をしており、その内周面には図6(a)にも示すように、磁石15と嵌合する凹状のガイド溝(案内溝)23が図中左側から見て反時計回りの螺旋状に形成されている。したがって残圧の作用もしくはバネ13の付勢力の作用により摺動弁体14が軸方向に移動すると、この移動に伴って磁石15も追随して螺旋状のガイド溝23の内部で軸方向に移動し、さらに軸方向の移動が規制されたガイドリング11は磁石15の動きに応じて回転する。言い換えるとノズル2とガイドリング11は軸方向の相対変位を生じることはなく、回転方向にのみ相対変位を生じるように構成されている。
【0027】
なお、摺動ガイド12と磁石15とガイド溝23が請求項4の回転変換部材を形成する。
【0028】
図6(a)は残圧が摺動弁体14に作用した状態を示しており、残圧の作用によって摺動弁体14はバネ13の付勢力に抗して、摺動弁体14の閉じ方向、図中左方向に移動する。このときガイドリング11は図中左側から見て反時計回りに回転する。
【0029】
図6(b)は残圧が摺動弁体14に作用していない状態を示し、バネ13の付勢力によって摺動弁体14は図中右方向の開放方向に移動し、このときガイドリング11は図中左側から見て時計回りに回転する。
【0030】
次に図7から図9を用いてガイドリング11の回転と燃料充填口リッド10の開閉の関係について説明する。
【0031】
図7(a)、図8(a)に示すように、ガイドリング11の上流側の端面にはL字状のロッド(係合部材)22がL字の起立部22aが外周方向に突出するように設けられており、一方リッド10には、ノズル2軸方向から見て起立部22aを介してロッド22と重なるように、かつ起立部22a下流側に回り込むように形成したフック21が設置される。したがって図8(a)に示した摺動弁体14に残圧が作用した状態では、フック21がロッド22に干渉し、リッド10は開かない。
【0032】
なお、フック21とロッド22と回転変換部材は請求項2の制限機構を構成する。
【0033】
また図7(b)、図8(b)に示す残圧が摺動弁体14に作用しない状態では、磁石15が下流方向に移動して、ガイドリング11が時計回りに回転してロッド22がフック21と干渉しない位置まで移動してリッド10は開く。
【0034】
これまで説明してきた動作について図9の動作手順を示すフローチャートを用いて説明する。
【0035】
まず残留燃料による残圧が摺動弁体14に作用しているかどうかを判定する(ステップS1)。この判定は、リッド10の開閉可否で行われる。
【0036】
リッド10が開かず、残圧ありと判定された場合は、リリーフライン7の残圧放出装置8が故障していると判断し(ステップS2)、作業者が残圧放出装置8を操作して、配管4内の残圧を放出する(ステップS3)。
【0037】
フック21がガイドリング11のロッド22と重なっていないとき、逆止弁20aは開放状態で、摺動弁体14と磁石15は下流方向に移動する。同時に、ガイドリング11は時計回りに回転し、リッド10のフック21とガイドリング11のロッド22の重なりが解消してリッド10が開く状態となる(ステップS4)。
【0038】
次に作業者がリッド10を開き(ステップS5)、燃料充填レセプタクル1をノズル2に接続して燃料の充填を開始する(ステップS6)。
【0039】
図10と図11には第2実施形態が示されており、これは摺動弁体14とともに移動する磁石15の軸方向位置を検出して残圧の有無を判断し、残圧が作用しているときにはリッド10を電磁石18の磁力によって開かないようにするものである。
【0040】
図10(a)を用いて構成を説明する。磁石15は第1実施形態と同じようにノズル2の外周に摺動ガイド12を介して軸方向に摺動可能に設けられる。図10(a)は残圧がある場合を示しており、摺動弁体14は上流側に移動し、閉じた状態となっている。磁石15も摺動弁体14とともに上流側に移動し、このとき磁石15が上流側に移動することでオフ状態となる制御回路30が設定されている。
【0041】
制御回路30は電磁石18(作動部材)に接続されており、制御回路30がオフ状態で、電磁石18の磁力もオフになるように通電を制御する。図11(a)に示すように電磁石18はリッド10に設けられた磁石17とプレート16を介して対面しており、磁石17の磁力は電磁石18の磁力よりも弱い磁石が設定される。またプレート16は軸方向に一定範囲移動可能に車体に取付けられており、磁石17と電磁石18のオンオフ状態によって軸方向の位置が設定される。
【0042】
なお、請求項5の制限機構は、磁石15と電磁石18と電気回路30から構成される。
【0043】
このように構成されて図10(a)、図11(a)に示すように残圧がある場合を考えると、制御回路30がオフ状態(オープン)となっており、電磁石18の磁力は生じず、磁石17の磁力のみがプレート16に作用することになる。したがってリッド10とプレート16とは磁石17の磁力によって密着し、リッド10は開くことができない。
【0044】
一方、図10(b)、図11(b)に示す残圧がない場合には、摺動弁体14が開放されており、磁石15も下流側に位置している。このとき制御回路30はオン状態(クローズ)となり、電磁石18に通電して、電磁石18は磁力を発生する。前述したように電磁石18の磁力はリッド10に設けられた磁石17の磁力より強いためプレート16は電磁石18に引き寄せられることになる。したがって、リッド10を固定する磁力が弱くなり、リッド10を開くことができ、作業者は燃料の充填作業を行う。
【0045】
以上の動作手順を図12に示すフローチャートで説明する。ステップS1、2、3の手順については第1の実施形態の図9のフローチャートと同様である。
【0046】
残圧がない状態での各部の作動状態は、逆止弁20aが開放状態であり、摺動弁体14と磁石15は下流方向に変位し、制御回路30がオン状態となって電磁石18に通電され、プレート16が電磁石18に密着する。プレート16が電磁石18に密着することにより、リッド10を固定する磁力が弱まり、リッド10を開くことができる状態となる(ステップS4)。
【0047】
次に作業者がリッド10を開き(ステップS5)、燃料充填レセプタクル1を接続して燃料の充填を行う(ステップS6)。
【0048】
これまで説明した第1と第2実施形態では、燃料容器とノズル間とを連通する配管内の残圧の有無を、この配管内の圧力に応じて開閉する摺動弁体14(磁石15)の位置から検出し、摺動弁体14の位置に応じて燃料容器への燃料の充填可否を制御する、具体的には、配管中のガス圧が所定圧より低い場合にのみリッド10を開くように構成したので、高価な圧力センサや制御回路を設けることなく、簡潔な構成で、配管内の残圧(ガス圧)を検知することができ、残圧の低いときにのみ燃料の充填作業を行え、確実に燃料充填時の意図しない燃料(ガス)の放出を防止できる。また構成が簡潔であるのでシステムのコスト低下に貢献する。
【0049】
次に図13、図14に示す第3実施形態について説明する。これはノズル2をキャップ19によって覆うことで残圧がある時にはノズル2に燃料充填レセプタクル1が接続できないようにしたものである。
【0050】
図13と図14(a)に示すように、キャップ19は有底の筒状に形成され、ノズル2を覆うように嵌合される。磁石(吸着保持部材)15は第2実施形態と同じようにノズル2の軸方向に摺動することができ、残圧が作用した摺動弁体14と磁石15は上流側に変位し、このとき磁石15の磁力によってキャップ19の下流側端部は磁石15に密着する。したがって作業者はリッド10を開くことはできるが、キャップ19を取り外すことができず、燃料の充填を行うことができない。
【0051】
なお、請求項6の制限機構は磁石15とキャップ19とから構成される。
【0052】
これに対して図14(b)に示す残圧がない場合には、摺動弁体14と磁石15は下流側に変位しており、キャップ19と磁石15は離れており、キャップ19を固定する磁力が弱まるため、作業者はキャップ19を取り外すことが可能となり、ノズル2にレセプタクル1を接続して燃料の充填を行うことが可能となる。
【0053】
図15を用いてこの動作手順をフローチャートで説明する。ステップS1、2、3の手順については第1の実施形態の図9のフローチャートと同様である。
【0054】
残圧がない場合に作業者がリッド10を開き(ステップS4)、逆止弁20aが開放されて摺動弁体14と磁石15は下流側に変位し、キャップ19から磁石15が離れ、磁力が弱まるためキャップ19を取り外し可能となり(ステップS5)、作業者がキャップ19をノズル2から取り外し(ステップS6)、レセプタクル1を接続して燃料を充填する(ステップS7)。
【0055】
図16(a)、(b)には第4実施形態を示しており、これはノズル2を摺動弁体14の変位に応じて軸方向に変位可能として、残圧が摺動弁体14に作用しているときはノズル2が下流方向に変位して、燃料充填レセプタクル1が接続できないようにすることで燃料充填できないようにしたものである。
【0056】
図16(a)を用いてこの構成を説明すると、まず、他の実施形態では車体外板3に固定されていたノズル2を軸方向に移動可能として、ガイドリング11を車体に固定する。したがって摺動弁体14と追随して磁石15が残圧に応じてノズル2の外周に軸方向に設けられた摺動ガイド12に沿って軸方向に変位するとき、磁石15は同時にガイドリング(案内筒)11の内周に螺旋状に設けられたガイド溝(案内溝)23にも沿って移動する。この変位によりノズル2が回転すると、さらにノズル2の外周面にガイド溝23と相似した螺旋状の溝2eが形成されると共に、この溝2eがガイドリング11の内周面から突出したガイド11aの嵌合されていることでノズル2は軸方向変位を生じガイドリング11の車体外板側端面で埋没もしくは突出する。
【0057】
なお、請求項8の運動変換部材は摺動ガイド12と、磁石15と、ガイド溝23とから構成される。さらに螺旋機構は溝2eとガイド11aとから構成される。
【0058】
具体的にその動きを図16、図17を用いて説明する。図16(a)、図17(a)に示すように残圧がかかる場合、残圧が摺動弁体14に作用し、磁石15が上流側に変位するときはノズル2が上流側から見て時計回りに回転し、一方で車体に固定されたガイドリング11のガイド11aがノズル2の螺旋状の溝2eに摺動可能に嵌合していることから、結果としてノズル2はガイド11aに沿って時計回りに回転しながら下流(埋没)方向に軸方向変位を生じることになる。したがってノズル2が下流方向に移動してレセプタクル1がノズル2に接続することが不可能となり、燃料の充填を禁止することができる。
【0059】
一方、図16(b)、図17(b)に示す残圧がない場合について説明すると、摺動弁体14と磁石15は下流方向に変位し、ノズル2を反時計回りに回転させつつ、ガイドリング11のガイド11aの作用によってノズル2を上流(突出)方向に変位させ、燃料充填レセプタクル1と接続可能となる。
【0060】
図18を用いてこの動作手順をフローチャートで説明する。ステップS1からステップS4までは図15に示したフローチャートと同じであり、残圧がない場合には逆止弁20aが開放され、摺動弁体14と磁石15は下流側に変位し、ノズル2はガイド溝23に沿って反時計回りに回転すると共に、ノズル2の溝2eとガイドリング11のガイド11aとの作用により軸方向上流側に移動し、レセプタクル1と接続可能となる(ステップS5)。
【0061】
作業者が上流側に移動したノズル2に燃料充填レセプタクル1を接続し、燃料を充填する(ステップS6)。
【0062】
次に図19から図21に示す第5実施形態について説明する。これはノズル2を車体に固定した構成において、ノズル2に接続するレセプタクル1の外周部2箇所に突起1a、1bを突出し、このとき一方の突起1aはレセプタクル1の端面より下流側に突出するよう構成する。これに対応してノズル2の外周に突起1aが挿入されるガイド2dと、突起1bが挿入されるガイド11bがガイドリング11の内周面に凹状に形成される。つまり突起1a、1bとガイド2d、11bはキーとキー溝の関係にあるともいえる。このように構成して、残圧が摺動弁体14に作用していないときにのみ突起1a、1bがガイド2d、11bに嵌合し、レセプタクル1がノズル2に接続して燃料の充填を可能としたものである。
【0063】
図19(a)に示すレセプタクル1に形成する突起1a、1bは例えば、レセプタクル1の端面上の中心を通る一直線上に形成される。一方、突起1aが挿入するノズル2のガイド2dはノズル2の外周に軸方向に平行な2面の壁によって形成され、図19(b)に示すように残圧が摺動弁体14に作用しないときこの2面の壁の間に突起1aが挿入する。また突起1bが嵌合するガイドリング11のガイド11bは、ガイドリング11の内周面に凹状に形成され、残圧が摺動弁体14に作用しないとき突起1bがガイド11bに嵌合する。
【0064】
次に作用を図20(a)と(b)を用いて説明すると、残圧が摺動弁体14に作用していない時にはリングガイド11が上流側から見て時計回りに回転し、ガイド2d、11bの配置はノズル2の中心を通って一直線上の位置に移動して、レセプタクル1の中心に対して対称な位置に設けられた突起1a、1bがガイド2d、11bに挿入し、燃料の充填が行われる(図20(a)に示す)。
【0065】
一方、残圧が摺動弁体14に作用する時には、摺動弁体14と磁石15の軸方向の移動に伴って、ガイドリング11が反時計回りに回転し、ガイド2d、11bの配置がノズル2の中心を通る一直線上の位置から外れ、レセプタクル1の外周に設けられた突起1a、1bがガイド2d、11bに挿入することはできず、燃料の充填を行うことはできない(図20(b)に示す)。
【0066】
図21を用いてこの動作手順をフローチャートで説明する。ステップS1からステップS4までは図15に示したフローチャートと同じであり、残圧がない場合に逆止弁20aが開放され、摺動弁体14と磁石15は下流側に変位し、ガイドリング11は上流側から見て時計回りに回転し、ガイド2d、11bがノズル2の中心に対して対称な位置に配置され、レセプタクル1の突起1a、1bがガイド2d、11bに挿入し、燃料の接続が可能となる(ステップS5)。作業者が燃料充填レセプタクル1をノズル2に接続して燃料の充填を行う(ステップS6)。
【0067】
以上第3から第5の実施形態においては、配管中のガス圧が所定圧より低い場合にのみ燃料充填レセプタクルがノズルに接続するように構成したので、確実に配管中のガス圧が低い場合に燃料の充填作業を行うことができる。
【0068】
なお、上記実施形態は本発明の理解を容易にするために記載された一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。したがって、上記実施形態に開示された各構成要素は、本発明の技術的範囲に属するすべての設計変更をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料充填構造を説明する構成図である。
【図2】同じく第1の実施形態を説明する構成図である。
【図3】同じく逆止弁20aの要部詳細図である。
【図4】同じく磁石15が軸方向に移動するための摺動ガイドを説明する図である。
【図5】同じくガイドリング部の軸方向断面図である。
【図6】同じくガイドリング部の軸方向断面図である。
【図7】同じくフック21とロッド22の関係を説明する軸方向断面図である。
【図8】同じくフック21とロッド22の関係を説明する軸直方向断面図である。
【図9】同じく動作手順を説明するフローチャートである。
【図10】第2の実施形態の逆止弁20aの要部詳細図である。
【図11】同じくリッド10とプレート16の関係を説明する軸方向断面図である。
【図12】同じく動作手順を説明するフローチャートである。
【図13】第3の実施形態を説明する構成図である。
【図14】同じく逆止弁20aの要部詳細図である。
【図15】同じく動作手順を説明するフローチャートである。
【図16】第4の実施形態における逆止弁20aの要部詳細図である。
【図17】同じくガイドリングの軸直方向断面図である。
【図18】同じく動作手順を説明するフローチャートである。
【図19】第5の実施形態を説明する分解断面図である。
【図20】同じく突起とガイドの関係を説明する図である。
【図21】同じく動作手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料供給レセプタクル
2 ノズル
3 車体外板
4 配管
5 元弁
6 燃料容器
7 リリーフライン
8 残圧放出装置
9 サージタンク
10 リッド
11 リングガイド
12 摺動ガイド
13 バネ
14 摺動弁体
15 磁石
21 フック
22 ロッド
23 ガイド溝
20 逆止弁
Claims (7)
- 燃料としてのガスを貯蔵する燃料容器と、
燃料容器に接続された充填配管と、
燃料を充填するときに燃料レセプタクルが接続される、充填配管に設けた充填ノズルと、
前記充填ノズル内部に配設され内部の残圧に応じて開閉する弁と、
この弁と連動して充填ノズルに対する燃料レセプタクルの接続を制限する制限機構とを備え、
前記充填配管に残圧があるときは燃料の充填を禁止するようにしたことを特徴とする燃料電池車両の燃料充填構造。 - 前記制限機構は、
前記弁の変位に基づいて充填ノズルと同軸的に回転する回転変換部材と、
この回転変換部材の回転位置により前記充填ノズルの入口部に設けた充填口リッドと係合してその開放を阻止する係合部材とを備え、残圧のあるときは充填リッドの開放を阻止して燃料の充填を禁止するようにした請求項1に記載の燃料電池車両の燃料充填構造。 - 前記回転変換部材は、充填ノズルの外周面に回転自在に支持された回転筒と、弁の変位に応じて充填ノズルの外周に沿って軸方向にのみ移動するように案内される磁石と、この磁石を収容案内する回転筒内周面に形成した螺旋状の案内溝とを備える請求項2に記載の燃料電池車両の燃料充填構造。
- 前記制限機構は、
前記弁の変位を電気的に検出する手段と、
検出した電気信号に基づいて作動して前記充填ノズルの入口部に設けた充填口リッドの開放を阻止する作動部材とを備え、残圧のあるときは充填口リッドの開放を阻止して燃料の充填を禁止するようにした請求項1に記載の燃料電池車両の燃料充填構造。 - 前記制限機構は、
前記弁の変位に基づいて充填ノズル外周に沿って軸方向に移動する吸着保持部材と、
この吸着保持部材の位置により吸着される前記充填ノズルに嵌合したキャップとを備え、残圧のあるときはキャップを吸着保持して燃料の充填を禁止するようにした請求項1に記載の燃料電池車両の燃料充填構造。 - 前記制限機構は、
前記充填ノズルが充填配管に対して回転することにより軸方向に移動するように案内する螺旋送り部と、
前記弁の変位に基づいて充填ノズルを回転させる運動変換部材とを備え、
残圧のあるときには充填ノズルを充填配管に埋没させて燃料の充填を禁止するようにした請求項1に記載の燃料電池車両の燃料充填構造。 - 前記運動変換部材が、充填配管に固定された案内筒と、充填ノズルの外周に沿って軸方向にのみ移動するように案内される磁石と、この磁石を収容案内する案内筒の内周面に形成した螺旋状の案内溝と、を備え、
また、前記螺旋送り部が、前記案内筒内周面と充填ノズルの外周との間に介在させた前記螺旋状案内溝と相対するリード角の螺合機構を備える請求項6に記載の燃料電池車両の燃料充填構造。
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