JP3826325B2 - 鉄道車両用振動制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両用振動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の鉄道車両用振動制御装置の一例として、台車と車体との間にばね部材及びダンパを介装し車体の揺れをばね部材及びダンパに吸収させて乗り心地の改善を図るようにした、いわゆるパッシブダンパを利用したものがある。そして、このパッシブダンパの減衰力特性は、ひとつの特性に設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、乗り心地の向上を図るためには減衰力は小さい値に設定し、また車体の制振を図るためには減衰力は大きい値に設定することが望まれる。しかしながら、上述した従来技術におけるダンパの減衰力は、前記小さい値と大きい値の中間の値が用いられており、このため、乗り心地及び車体の制振について若干の向上が図れるものの、乗員に対して必ずしも満足がいく結果が得られていないというのが実情であった。
また、鉄道車両では、曲線軌道走行時に、カント(内側レールと外側レールとの高低差)の影響から車体に微小な定常横加速度が発生し、その分、乗り心地の低下を招くことになる。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、乗り心地及び車体の制振を良好に両立させることができる鉄道車両用振動制御装置を提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、カントの影響による乗り心地の低下を防止できる鉄道車両用振動制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る鉄道車両用振動制御装置の発明は、鉄道車両の台車と該台車に水平方向に揺動可能に支持された車体との間における進行方向の前、後側に、進行方向に対して水平横方向の車体の運動を規制するようにそれぞれ介装された減衰係数調整可能の前、後側のダンパと、車体の前、後側の水平横方向速度を検出する前、後側の横速度検出手段と、前記車体の前、後側の水平横方向速度の和を求める和信号検出手段と、前記車体の前、後側の水平横方向速度の差を求める差信号検出手段と、前記車体の前記前側の水平横方向速度により前側の独立制御信号を決定し、前記車体の後側の水平横方向速度により前記後側の独立制御信号を決定し、前記前側の独立制御信号及び前記後側の独立制御信号と、前記和信号検出手段の検出結果及び前記差信号検出手段の検出結果とから、前記車体の水平横方向運動及びヨー運動を抑制するように、前記前、後側のダンパの減衰係数を調整する制御信号を出力するコントローラとを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載の鉄道車両用振動制御装置において、前記和信号検出手段の検出結果にカットオフ周波数が所定値以上のハイパスフィルタを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の鉄道車両用振動制御装置において、前記前後のダンパは、縮みの減衰力が小さい値のときに、伸びの減衰力が小さい値と大きい値との間で調整可能で、伸びの減衰力が小さい値のときに、縮みの減衰力が小さい値と大きい値との間で調整可能なダンパであることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施の形態の鉄道車両用振動制御装置を図面に基づいて説明する。図1、図2において、鉄道用車両40の台車41には、車輪42を備えた車軸43が回動可能に支持されている。この台車41には、車体44がばね部材45を介して水平方向及び上下方向に揺動可能に支持されている。台車41の進行方向に対して左側の前、後側部分には、前、後側の台車側ブラケット46f,46rがそれぞれ取り付けられている。前、後側の台車側ブラケット46f,46rに対向するように車体44の進行方向右側部分には、前、後側の車体側ブラケット47f,47rが取り付けられている。
【0011】
前側の台車側ブラケット46fと前側の車体側ブラケット47fとの間、後側の台車側ブラケット46rと後側の車体側ブラケット47rとの間には、減衰係数可変型の前、後側のダンパ4f,4rがそれぞれ介装されている。この場合、前、後側の台車側ブラケット46f,46rにシリンダ11が保持され、前、後側の車体側ブラケット47f,47rにピストンロッド16の一端側(シリンダ11の外側部分)が保持されており、車体44の進行方向に対して水平横方向の運動を規制するようになっている。
車体44の前、後側部分には、車体44の進行方向に対して水平横方向の加速度を検出する前、後側の横加速度センサ48f,48rが設けられている。
前、後側の横加速度センサ48f,48r及び前、後側のダンパ4f,4rの各アクチュエータ29に接続してコントローラ49が設けられている。
【0012】
前、後側のダンパ4f,4rは、図3に示すようにシリンダ11内にフリーピストン12を摺動自在に収納し、このフリーピストン12によりガス室13と油室14との二室に画成されている。ガス室13には高圧ガスが封入されており、油室14には油液が封入されている。油室14にはピストン15が摺動自在に収納されている。油室14はピストン15により下室R1 と上室R2 とに画成されている。ピストン15にはピストンロッド16が連結されている。ピストンロッド16は上室R2 を通ってシリンダ11外に延びている。
【0013】
ピストン15には下室R1 と上室R2 とをそれぞれ連通する第1、第2の連通路17、18が形成されている。ピストン15の上部には、常閉の第1の減衰弁19が取り付けられている。第1の減衰弁19は、ピストンロッド16の短縮時に下室R1 の圧力が高くなって上室R2 との差圧が所定値に達すると開き、これにより第1の連通路17を介した下室R1 と上室R2 との連通を図れるようにしている。ピストン15の下部には、常閉の第2の減衰弁20が取り付けられている。第2の減衰弁20は、ピストンロッド16の伸長時に上室R2 の圧力が高くなって下室R1 と上室R2 との圧力差が所定値になると開き、これにより第2の連通路18を介した下室R1 と上室R2 との連通を図れるようにしている。ピストン15には、ピストンロッド16の軸心を挟んで相対向する第3、第4の連通路21,22が形成されている。第3、第4の連通路21,22は、それぞれ上室R2 、下室R1 に連通している。
【0014】
第3、第4の連通路21,22には、それぞれチェック弁23,24が配設されている。チェック弁23は下室R1 から上室R2 への油液の流れのみを許容し、チェック弁24は上室R2 から下室R1 への油液の流れのみを許容する。ピストン15内部には円板状の可動板25がピストンロッド16の軸心を中心にして回動自在に保持されており、可動板25の板面は第3、第4の連通路21,22をそれぞれ横切っている。可動板25には図4に示すように周方向に沿って円弧状に延びる一対の長孔26,27が形成されている。長孔26,27は可動板25の中心と同心状の位置に相対向して形成されている。長孔26は、図4矢印R方向に向かうに従って開口面積が小さくなり、長孔27は、矢印R方向に向かうに従って開口面積が大きくなるようになっている。
【0015】
可動板25を矢印R又は矢印L方向に回動すると、長孔26,27の、第3、第4の連通路21,22に臨む部分が連続的に替わり第3、第4の連通路21,22の開口面積が逓増又は逓減するようになっており、これにより前、後側のダンパ4f,4rが、図5に実線で示す減衰特性を得られるようにしている。なお、滑らかに減衰係数を変化させるために、長孔26,27の中心位置b2 ,b1 付近を破線で示すように滑らかに変化する減衰係数特性とすることもできる。
【0016】
なお、図3において、28はピストンロッド16の軸心に相対回転自在に設けられて下端部が可動板25に連結される操作ロッドである。また、29は、操作ロッド28の上端部に連結され、この操作ロッド28を介して可動板25を矢印R方向または矢印L方向に回転させるステッピングモータ等のアクチュエータである。このアクチュエータ29は、コントローラ49から発信される制御信号θに基づいて操作ロッド28を回転させる。
【0017】
次に、長孔26,27の、第3、第4の連通路21,22に臨む箇所(a2 〜b2 〜c2 ,a1 〜b1 〜c1 )と、減衰係数との関係を説明する。ここで、長孔26,27の、第3、第4の連通路21,22に臨む箇所は、制御信号θに対応する可動板25の回転角度(目標アクチュエータ角度)θによって表わす。なお、長孔26,27の中心である位置b2 ,b1 が第3、第4の連通路21,22に臨んでいる場合、この位置を可動板25の基準位置(θ=0)としている。
【0018】
(1)可動板25を基準位置から矢印R方向に回転する、即ち可動板25を正方向(θ>0)に回転させた場合、長孔26の位置a2 が第3の連通路21に臨み、かつ長孔27の位置a1 が第4の連通路22に臨む。これにより、下室R1 から上室R2 へ油液が流れやすく、上室R2 から下室R1 へ油液が流れ難くなって伸び側減衰係数が大きくかつ縮み側減衰係数が小さくなる。
【0019】
(2)可動板25を基準位置から矢印L方向に回転する、即ち可動板25を負方向(θ<0)に回転させた場合、長孔26の位置c2 が第3の連通路21に臨み、かつ長孔27の位置c1 が第4の連通路22に臨む。これにより、下室R1 から上室R2 へ油液が流れ難く、上室R2 から下室R1 へ油液が流れやすくなって伸び側減衰係数が小さくかつ縮み側減衰係数が大きくなる。
【0020】
コントローラ49は、図6に示すように電力供給を受ける(ステップS31 )と、まず初期設定を行なって(ステップS32 )制御周期に達したか否かを判定する(ステップS33 )。ステップS33 では、制御周期に達したと判定するまで繰り返して制御周期に達したか否かを判定する。
【0021】
ステップS33 で制御周期に達したと判定すると、前制御周期の制御信号θに基づいてアクチュエータ29を駆動し可動板25を回転角度θだけ回転させて回転角度θに対応する減衰係数を得る(ステップS34 )。続いてステップS35 でアクチュエータ29以外の機構に信号を出力して制御する。次に前、後側の横加速度センサ48f,48rから前、後側横加速度信号α1 ,α2 を読み込む(ステップS36 )。続いて前、後側横加速度信号α1 ,α2 に基づいて図7の演算処理を行って、目標減衰係数Cを求め、これに対応する制御信号(目標アクチュエータ角度)θの決定を行い(ステップS37 )、次の制御周期のステップS34 で制御信号θに基づいてアクチュエータ29を駆動して所望の減衰係数を得る。
【0022】
ここで、上記ステップS37 の演算処理内容を図7に基づいて説明する。まず、前側の横加速度センサ48fで検出された前側横加速度α1 はブロック(前側の横速度検出手段)B60で積分処理され、これにより前側横速度V1 が得られ、この前側横速度V1 がブロックB61に送られる。ブロックB61ではハイパスフィルタ処理を実行しブロックB60の積分誤差を除去する。
【0023】
ブロックB61からの前側横速度V1 にブロックB62で制御周波数帯域を制限するローパスフィルタ処理を行う。ブロックB62でローパスフィルタ処理を行うことにより、ノイズ成分などの余分な高周波成分や非制御周波数領域を制限することができる。
ブロックB62のローパスフィルタ処理後の信号に、ブロックB63でゲインK1 を乗算し制御量の大きさを最適な値に設定して前側独立制御信号C1 を得る。この前側独立制御信号C1 が合成部B73を介して合成部B78に送られ目標減衰係数CとしてブロックB64に送られる。ブロックB64では、あらかじめ設定された、目標減衰係数Cとこれに対応する制御信号(目標アクチュエータ角度)θとを示す情報(便宜上、図7のブロックB64中にこの情報を示すグラフを模式的に示している。)に、前記合成部B78からの目標減衰係数Cをアドレスとして指定し、これに対応する制御信号θを求め、この制御信号θを前側のダンパ4fのアクチュエータ29に出力して前側の信号処理が終了する。
【0024】
上述した前側の信号処理と同様に後側の信号処理が行われる。すなわち、後側の横加速度信号α2 についてブロック(後側の横速度検出手段)B65で積分処理されて後側横速度V2 が得られる。この後側横速度V2 は、ブロックB66でハイパスフィルタ処理されてブロックB65の積分誤差が除去され、ブロックB67で制御周波数帯域を制限するローパスフィルタ処理を行う。
ブロックB67のローパスフィルタ処理後の信号に、ブロックB68でゲインK2 を乗算し後側独立制御信号C2 を得る。この後側独立制御信号C2 が合成部B74を介して合成部B79に送られ目標減衰係数CとしてブロックB69に送られる。ブロックB69では、あらかじめ設定された、目標減衰係数Cとこれに対応する制御信号(目標アクチュエータ角度)θとを示す情報(便宜上、図7のブロックB69中にこの情報を示すグラフを模式的に示している。)に、前記合成部B79からの目標減衰係数Cをアドレスとして指定し、これに対応する制御信号θを求め、この制御信号θを後側のダンパ4rのアクチュエータ29に出力して後側の信号処理が終了する。
【0025】
次に、前、後側横速度V1 ,V2 の加算/減算によって求められる車体44の水平横方向運動、ヨー(Yaw )運動制御を説明する。ブロックB61,B66にて算出された前、後側横速度V1 ,V2 は合成部(和信号検出手段)B70にて加算され、車体44全体が横方向に推移する水平横方向運動状態を検出し、このことを示す水平横方向信号TW を出力する。前記水平横方向信号TW はブロックB71で水平横方向運動低減に最適な値になるようにゲインK3 が乗算されてブロックB72に出力され、ブロックB72で前記ブロックB62,B67と同様にローパスフィルタ処理が行われる。ブロックB72からの信号はそれぞれ合成部B73,B74にて前、後側独立制御信号C1 ,C2と加算され、加算された信号が合成部B78,B79を介して目標減衰係数CとしてブロックB64,B69に出力される。
【0026】
同様にして、ブロックB61,B66から出力される前、後側横速度V1 ,V2 は減算処理部(差信号検出手段)B75にてその差が取られ、車体44の鉛直軸44A周りの回転運動状態を検出し、そのことを示すヨー信号TY を出力する。ヨー信号TY は、合成部B76でゲインK4 を乗算されヨー低減に最適な値にされた後に、ブロックB77でローパスフィルタ処理され、合成部B78で前側独立制御信号C1 を含むブロックB73からの信号に加算されて目標減衰係数CとしてブロックB64に出力されると共に、合成部B79で後側独立制御信号C2 を含む合成部B74からの信号から減算され、減算して得られた信号が目標減衰係数CとしてブロックB69に出力される。
【0027】
上述したように構成した鉄道車両用振動制御装置では、車体44全体が横方向に推移する水平横方向運動状態になると、この水平横方向運動に伴う前、後側横加速度α1 ,α2 を前、後側の横加速度センサ48f,48rが検出しブロックB60、ブロックB65が前、後側横速度V1 ,V2 を求める。続いて、合成部B70が前、後側横速度V1 ,V2 を加算処理して車体44が横方向に推移したこと、すなわち水平横方向運動していることを検出し、このことを示す水平横方向信号TW を出力する。この水平横方向信号TW は合成部B73,B74にて前、後側独立制御信号C1 ,C2 と加算され目標減衰係数CとしてブロックB64,B69に出力される。そして、ブロックB64,B69で目標減衰係数Cに対応する制御信号θが求められ、この制御信号θに基づいて可動板25が回動されて前、後側のダンパ4f,4rの減衰係数が設定され制御信号θに応じた減衰係数が得られる。
【0028】
この場合、水平横方向信号TW が前、後側独立制御信号C1 ,C2 に加算されることにより、目標減衰係数Cが調整される。そして、可動板25は図5の右側部分(左側部分)に位置されるように回転され、これにより前、後側のダンパ4f,4rの伸び側(縮み側)減衰係数が大きくなる。このため、前、後側のダンパ4f,4rは、前、後側の車体側ブラケット47f,47rが前、後側の台車側ブラケット46f,46rに対して離反する方向(近づく方向)に変位すること、ひいては車体44が水平横方向運動するのが抑制されることになる。
【0029】
次に、車体の変位について具体的に説明する。なお、説明の便宜上、図中右側を+(プラス)、左側を−(マイナス)の方向とする。
【0030】
例えば、図8及び表1に示すように、車体44が右側に+2〔cm/s〕の速度で水平横方向運動する際、ブロックB60、ブロックB65が前、後側横速度V1 ,V2 としてそれぞれ+2〔cm/s〕を求め、合成部B70が前、後側横速度V1 ,V2 の和である+4〔cm/s〕に対応した水平横方向信号TW 分だけ、目標減衰係数Cひいては前、後側のダンパ4f,4rの伸び側減衰係数が大きくなる(縮み側減衰係数は小)。これにより、車体44の水平横方向運動(車体44全体が図中右側へ推移すること)が抑制されることになる。
【0031】
また、車体44が+2〔cm/s〕の速度で水平横方向運動する場合を示したが、車体44が−2〔cm/s〕の速度で水平横方向運動した場合は、ブロックB60、ブロックB65が前、後側横速度V1 ,V2 としてそれぞれ−2〔cm/s〕を求め、合成部B70が前、後側横速度V1 ,V2 の和である−4〔cm/s〕に対応した水平横方向信号TW 分だけ、目標減衰係数Cひいては前、後側のダンパ4f,4rの伸び側減衰係数が小さくなる。すなわち、縮み側減衰係数が大きくなり、車体44の水平横方向運動(車体44全体が図中左側へ推移すること)が抑制されることになる。
【0032】
なお、図7において、合成部B70が前、後側横速度V1 ,V2 の和を求めて、車体44の方向に応じてそれぞれ+4、−4〔cm/s〕に対応した水平横方向信号TW を出力するのと同時に、演算処理部B75でも前、後側横速度V1 ,V2 の差を求めているが、車体44が水平横方向運動しているときは、前、後側横速度V1 ,V2 の差は、0〔cm/s〕となり、結果としてヨー信号TY による減衰係数の調整は行われない。
【0033】
表1
Figure 0003826325
【0034】
また、車体44が鉛直軸44Aの周りに回転運動する状態では、ヨー運動に伴う前、後側横加速度α1 ,α2 を前、後側の横加速度センサ48f,48rが検出しブロックB60、ブロックB65が前、後側横速度V1 ,V2 を求める。続いて、減算処理部B75が前、後側横速度V1 ,V2 の減算処理を行い、車体44が鉛直軸44A周りに回転運動する、すなわちヨー運動を検出し、このことを示すヨー信号TY を出力する。このヨー信号TY は、合成部B78で前側独立制御信号C1 を含むブロックB73からの信号に加算されて目標減衰係数CとしてブロックB64に出力されると共に、ブロックB79で後側独立制御信号C2 を含むブロックB74からの信号から減算され、減算して得られた信号が目標減衰係数CとしてブロックB69に出力される。
そして、ブロックB64,B69で目標減衰係数Cに対応する制御信号θが求められ、この制御信号θに基づいて可動板25が回動されて前、後側のダンパ4f,4rの減衰係数が設定され制御信号θに応じた減衰係数が得られる。
【0035】
この場合、ヨー信号TY が前側独立制御信号C1 に加算されることにより、その分、前側のダンパ4fを対象とする目標減衰係数Cが調整されると共に、ヨー信号TY が後側独立制御信号C2 を含むブロックB74からの信号から減算され、後側のダンパ4rを対象とする目標減衰係数Cが調整される。そして、前側のダンパ4fの可動板25は図5の右側部分(左側部分)に位置されるように回転され、これにより前側のダンパ4fの伸び側減衰係数が大きくなると共に、後側のダンパ4rの可動板25は図5の左側部分(右側部分)に位置されるように回転され、これにより後側のダンパ4rの縮み側(伸び側)減衰係数が大きくなる。このため、前側のダンパ4fは、前側の車体側ブラケット47fが前側の台車側ブラケット46fに対して離反する方向(近づく方向)に変位することを抑制し、また、後側のダンパ4rは、後側の車体側ブラケット47rが後側の台車側ブラケット46rに近付く(離反する)ことを抑制し、ひいては車体44がヨー運動するのが抑制されることになる。
【0036】
例えば、図9及び表2に示すように、車体44の前側が+2〔cm/s〕の速度で、また車体44の後側が−2〔cm/s〕の速度となるようなヨー運動をする際、ブロックB60、ブロックB65が表2に示すように前、後側横速度V1 ,V2 としてそれぞれ、+2、−2〔cm/s〕を求め、減算処理部B75が前、後側横速度V1 ,V2 の差として+4〔cm/s〕を求める。そして、前、後側横速度V1 ,V2 の差である+4〔cm/s〕に対応したヨー信号TY 分だけ、前側独立制御信号C1 に加算され、前側のダンパ4fを対象とする目標減衰係数Cが大きくなると共に、同ヨー信号TY 分だけ、後側独立制御信号C2 から減算され、後側のダンパ4rを対象とする目標減衰係数Cが小さくなり、ひいては前側のダンパ4fの伸び側減衰係数が大きくなり(縮み側減衰係数は小)、後側のダンパ4rの縮み側減衰係数が大きくなる(伸び側減衰係数は小)。これにより、車体44がヨー運動するのが抑制されることになる。
【0037】
また、車体44が時計まわり方向にヨー運動する場合を示したが、車体44が反時計まわり方向にヨー運動する場合は、ブロックB60、ブロックB65が前、後側横速度V1 ,V2 としてそれぞれ、−2、+2〔cm/s〕を求め、減算処理部B75が前、後側横速度V1 ,V2 の差として−4〔cm/s〕を求める。そして、前、後側横速度V1 ,V2 の差である−4〔cm/s〕に対応したヨー信号TY 分だけ、前側独立制御信号C1 に加算され、前側のダンパ4fを対象とする目標減衰係数Cが小さくなると共に、同ヨー信号TY 分だけ、後側独立制御信号C2 から減算され、後側のダンパ4rを対象とする目標減衰係数Cが大きくなり、ひいては前側のダンパ4fの縮み側減衰係数が大きくなり(伸び側減衰係数は小)、後側のダンパ4rの伸び側減衰係数が大きくなる(縮み側減衰係数は小)。これにより、車体44がヨー運動するのが抑制されることになる。
【0038】
なお、図7において、減算処理部B75が前、後側横速度V1 ,V2 の差を求めて、+4、−4〔cm/s〕に対応したヨー信号TY を出力するのと同時に、合成部B70でも前、後側横速度V1 ,V2 の和を求めているが、車体44がヨー運動しているときは、前、後側横速度V1 ,V2 の和は、0〔cm/s〕となり、結果として水平横方向信号TW による減衰係数の調整は行われない。
【0039】
Figure 0003826325
【0040】
また、車体44が図10に示すような水平横方向運動及びヨー運動が組み合わされたような運動をする際には、上述した水平横方向運動抑制制御及びヨー運動抑制制御が合わせて行われ、車体44が水平横方向運動、ヨー運動するのが抑制されることになる。
【0041】
例えば、図10及び表3に示すように、車体44の前側が+3〔cm/s〕の速度で、また車体44の後側が+1〔cm/s〕の速度となるように水平横方向運動及びヨー運動が組み合わされたような運動をする際、前、後側横速度V1 ,V2 の和である+4〔cm/s〕に対応した水平横方向信号TW 分だけ、車体44の水平横方向運動が抑制され、かつこれに合わせて前、後側横速度V1 ,V2 の差である+2〔cm/s〕に対応したヨー信号TY 分だけ、車体44がヨー運動するのが抑制されることになる。
【0042】
表3
Figure 0003826325
【0043】
上記実施の形態では、前、後側の横加速度センサ48f,48rで検出された前、後側横加速度α1 ,α2 をブロック(前、後側の横速度検出手段)B60,B65で積分処理して前、後側横速度V1 ,V2 を求める場合を例にしたが、これに代えて、前、後側の横速度をそれぞれ検出する前、後側の横速度センサを設けてもよい。
【0044】
次に、本発明の第2実施の形態の鉄道車両用振動制御装置を図11ないし図16に基づいて説明する。なお、図1、図2、図6ないし図10に示す部材、部分と同等の部材、部分は、同等の符号を付し、その図示、説明は適宜、省略する。
【0045】
図11において、台車41は、平板状の台車本体41aと、台車本体41aの左右端部に下方に向けて屈曲、形成された台車ブラケット41bとからなっている。車軸43の端部は軸受部材50に回動可能に支持されている。軸受部材50と台車本体41aとの間、軸受部材50と台車ブラケット41bとの間には、第1、第2のスプリング51,52がそれぞれ介装されており、車軸43に対して台車41を揺動可能に支持している。台車41には、エアばねで構成されたばね部材45を介して車体44が水平方向及び上下方向に揺動可能に支持されている。
なお、図11中、53は鉄道車両を載置案内する2本のレールである。
【0046】
前側の台車側ブラケット46fと前側の車体側ブラケット47fとの間、後側の台車側ブラケット46rと後側の車体側ブラケット47rとの間には、構成がそれぞれ同等の減衰係数可変型の前、後側のダンパ4fA,4rAがそれぞれ介装されている。
【0047】
前、後側のダンパ4fA,4rAは、図12に示すように、油液が封入された筒状のダンパ本体54と、ダンパ本体54に変位可能に収納されたピストン55と、ピストン55に固定され一端部がダンパ本体54から突出するシャフト56と、ピストン55を含むダンパ本体54内に設けられ、油液流路(図示省略)の調整により減衰力を発生する減衰力発生機構(図示省略)と、この減衰力発生機構を作動して減衰力を調整するバルブ機構57と、後述する目標減衰係数Cに応じてバルブ機構57を駆動する比例ソレノイド58とからなっている。
【0048】
この場合、前、後側の車体側ブラケット47f,47rにダンパ本体54が保持され、前、後側の台車側ブラケット46f,46rにシャフト56の一端側(ダンパ本体54の外側部分)が保持されており、車体44の進行方向に対して水平横方向の運動を規制するようになっている。
車体44の前、後側部分には、車体44の進行方向に対して水平横方向の加速度を検出する同等構成の前、後側の横加速度センサ48f,48rが設けられている。横加速度センサ48f,48rは、図19に示すようにセンサ本体59と、センサ本体59に揺動可能に収納されている感知レバー60とを有したものになっており、感知レバー60の揺動方向と反対方向にセンサ本体59が変位していることをその大きさと共に検出する。
前、後側の横加速度センサ48f,48r及び前、後側のダンパ4fA,4rAの各比例ソレノイド58に接続してコントローラ49Aが車体44に設けられている。
【0049】
前、後側のダンパ4fA,4rAは、図13、図14に示す減衰力特性を有している。ここで、図13は、比例ソレノイド58に供給される電流Iに対するピストン55のスピード10cm/s のときの減衰力を示したものである。前、後側のダンパ4fA,4rAは、通常電流I2 では減衰力は、伸び側、縮み側共に小さい値(ソフト)になっている。電流IをI2 からI1 へと小さくすると、減衰力特性は、縮み側減衰力を小さい(ソフト)状態で伸び側の減衰力が大きく(ハードに)なる。これに対して、電流IをI2 からI3 へと大きくしていくと、伸び側減衰力を小さい(ソフト)状態で縮み側の減衰力が大きく(ハードに)なる。
【0050】
また、図14は、ピストン55のスピードに対する減衰力を示している。電流IがI1 からI2 の間では、縮み側は、実線61に示すように略一定値の状態で伸び側が実線62から実線63の間の減衰力を得ることになる。また、電流がI2 からI3 の間では、伸び側減衰力は実線63に示すように略一定の状態で、縮み側減衰力が実線61から実線64の間で可変になる。
【0051】
コントローラ49Aは、図15に示すようにコントローラ49と同様にステップS31 ないしステップS36 の処理を行う。そして、ステップS36 に続いて前、後側横加速度信号α1 ,α2 に基づいて図16の演算処理を行って、目標減衰係数Cを求め、これに対応する目標電流Iの決定を行い(ステップS37 )、次の制御周期のステップS34 で目標電流Iに基づいて比例ソレノイド58、ひいてはバルブ機構57を駆動して減衰力発生機構に所望の減衰力を発生させる。
【0052】
ここで、上記ステップS37 の演算処理内容を図16に基づいて説明する。まず、前側の横加速度センサ48fで検出された前側横加速度α1 はブロックB60で積分処理され、これにより前側横速度V1 が得られ、この前側横速度V1 がブロックB61に送られる。ブロックB61ではカットオフ周波数を0.1HZ に設定したハイパスフィルタ処理を実行しブロックB60の積分誤差を除去する。
【0053】
ブロックB61からの前側横速度V1 にブロックB62で制御周波数帯域を制限するローパスフィルタ処理を行う。ブロックB62でローパスフィルタ処理を行うことにより、ノイズ成分などの余分な高周波成分や非制御周波数領域を制限する。
【0054】
ブロックB62のローパスフィルタ処理後の信号に、ブロックB63でゲインK1 を乗算し制御量の大きさを最適な値に設定して前側独立制御信号Cf を得る。この前側独立制御信号Cf が合成部B73を介して合成部B78に送られ目標減衰係数CとしてブロックB64に送られる。ブロックB64では、あらかじめ設定された、目標電流Iとこれに対応する目標減衰係数Cとを示す情報(便宜上、図16のブロックB64中にこの情報を示すグラフを模式的に示している。この場合、伸び側、縮み側についてハード側のデータを示し、ソフト側のデータは省略している。)に、前記合成部B78からの目標減衰係数Cをアドレスとして指定し、これに対応する目標電流Iを求め、この目標電流Iを前側のダンパ4fAの比例ソレノイド58に出力して前側の信号処理が終了する。
【0055】
上述した前側の信号処理と同様に後側の信号処理が行われる。すなわち、後側の横加速度信号α2 についてブロックB65で積分処理されて後側横速度V2 が得られる。この後側横速度V2 は、ブロックB66でカットオフ周波数を0.1HZ に設定したハイパスフィルタ処理されてブロックB65の積分誤差が除去され、ブロックB67で制御周波数帯域を制限するローパスフィルタ処理を行う。
【0056】
ブロックB67のローパスフィルタ処理後の信号に、ブロックB68でゲインK2 を乗算し後側独立制御信号Cr を得る。この後側独立制御信号Cr が合成部B74を介して合成部B79に送られ目標減衰係数CとしてブロックB69に送られる。ブロックB69では、あらかじめ設定された、目標電流Iとこれに対応する目標減衰係数Cとを示す情報(便宜上、図16のブロックB69中にこの情報を示すグラフを模式的に示している。この場合、伸び側、縮み側についてハード側のデータを示し、ソフト側のデータは省略している。)に、前記合成部B79からの目標減衰係数Cをアドレスとして指定し、これに対応する目標電流Iを求め、この目標電流Iを後側のダンパ4rAの比例ソレノイド58に出力して後側の信号処理が終了する。
【0057】
次に、前、後側横速度V1 ,V2 の加算/減算によって求められる車体44の水平横方向運動、ヨー(Yaw )運動制御を説明する。ブロックB61,B66にて算出された前、後側横速度V1 ,V2 は合成部B70にて加算され、車体44全体が横方向に推移する水平横方向運動状態を検出し、このことを示す水平横方向信号TW を出力する。
【0058】
前記水平横方向信号TW はブロックB72に出力され、ブロックB72で前記ブロックB62,B67と同様にローパスフィルタ処理が行われ、この後、ブロック(ハイパスフィルタ)B80を介してブロックB71で水平横方向運動低減に最適な値になるようにゲインK3 が乗算される。ブロックB80ではカットオフ周波数を1〜2HZ に設定したハイパスフィルタ処理を行う。ブロックB71からの信号はそれぞれ合成部B73,B74にて前、後側独立制御信号Cf ,Cr と加算され、加算された信号が合成部B78,B79を介して目標減衰係数CとしてブロックB64,B69に出力される。
【0059】
本実施の形態では、ブロックB70,B72,B71,B73などにより水平横方向モード制御系が構成されており、ブロックB80が水平横方向モード制御系に設けられたものになっている。そして、ブロックB80はカットオフ周波数を1〜2HZ に設定したハイパスフィルタ処理を行うことにより、曲線軌道走行時にカントの影響により横加速度センサが定常横加速度(直流成分)を含む横加速度信号を検出したような場合に、横加速度信号のうち定常横加速度成分(直流成分)による積分定数(横速度の直流成分)を確実にカットすることになる。
【0060】
ここで、図19ないし図21に基づいて、曲線軌道走行時に発生するカントの影響による定常横加速度、及び定常横加速度の積分定数について説明する。図19に示すように鉄道車両40が水平軌道を走行している際に、車体が右方向に変位(水平横方向運動)すると、横加速度センサ48f,48rのセンサ本体59に揺動可能に収納されている感知レバー60は慣性力によって左方向に撓み、これにより鉄道車両40が右方向に水平横方向運動していることが横加速度センサに検出されることになる。この場合、横加速度センサ48f,48rの検出信号に基づいて上述したように演算処理及び制御が行われ、ダンパ4fA,4rAは右方向変位に対してハード設定され水平横方向運動を抑制することになる。
【0061】
また、図20に示すように鉄道車両40が曲線軌道を走行している際には、カントによって内側方向の加速度(横加速度)が発生する。このカントによる横加速度(定常横加速度)EK は、直線走行時の水平横方向運動による横加速度(図21の振動波形成分)ES に対して直流成分として重畳される。このため、横加速度センサ48f,48rは、カント開始からカントによる横加速度分だけ、徐々に大きくなる。横加速度センサ48f,48rの検出信号はブロックB60,B61で積分されて横速度が得られるが、この横速度も図21に破線で示すように車体の横方向の変位(水平横方向運動)による横速度VS に、カントで発生する定常横加速度EK による積分定数VK が直流成分として重畳されたものになる。
【0062】
前記ブロックB80は、上述したように定常横加速度EK による積分定数VK を含む信号をブロックB61,B70,B72を介して入力し、カットオフ周波数を1〜2HZ に設定したハイパスフィルタ処理を行うことにより、カットオフ周波数が0.1HZ のブロックB61,B66に比してハイパスフィルタ処理の減衰域が広がって、カントで発生した定常横加速度EK による積分定数(横速度の直流成分)VK を確実にカットすることになる。このため、カントの影響による乗り心地の低下を防止することになる。
【0063】
また、図16に示すように、ブロックB61,B66から出力される前、後側横速度V1 ,V2 は減算処理部B75にてその差が取られ、車体44の鉛直軸44A周りの回転運動状態を検出し、そのことを示すヨー信号TY を出力する。ヨー信号TY は、ブロックB77でローパスフィルタ処理され、ブロックB76でゲインK4 を乗算されヨー低減に最適な値にされた後に、合成部B78で前側独立制御信号Cf を含むブロックB73からの信号に加算されて目標減衰係数CとしてブロックB64に出力されると共に、合成部B79で後側独立制御信号Cr を含む合成部B74からの信号から減算され、減算して得られた信号が目標減衰係数CとしてブロックB69に出力される。
【0064】
上述したように構成した鉄道車両用振動制御装置では、水平軌道走行時に、車体44全体が横方向に推移する水平横方向運動状態になると、この水平横方向運動に伴う前、後側横加速度α1 ,α2 を前、後側の横加速度センサ48f,48rが検出しブロックB60、ブロックB65が前、後側横速度V1 ,V2 を求める。続いて、合成部B70が前、後側横速度V1 ,V2 を加算処理して車体44が横方向に推移したこと、すなわち水平横方向運動していることを検出し、このことを示す水平横方向信号TW を出力する。この水平横方向信号TW は合成部B73,B74にて前、後側独立制御信号Cf ,Cr と加算され目標減衰係数CとしてブロックB64,B69に出力される。そして、ブロックB64,B69で目標減衰係数Cに対応する目標電流Iが求められ、この目標電流Iに応じて前、後側のダンパ4fA,4rAの比例ソレノイド58が作動されて前、後側のダンパ4fA,4rAの減衰係数が設定され目標電流Iに応じた減衰力が得られる。
【0065】
この場合、水平横方向信号TW が前、後側独立制御信号Cf ,Cr に加算されることにより、目標減衰係数Cが調整され、前、後側のダンパ4fA,4rAの伸び側(縮み側)減衰係数が大きくなる。このため、前、後側のダンパ4fA,4rAは、前、後側の車体側ブラケット47f,47rが前、後側の台車側ブラケット46f,46rに対して離反する方向(近づく方向)に変位すること、ひいては車体44が水平横方向運動するのが抑制されることになる。
【0066】
鉄道車両40が曲線軌道を走行している際には、カントによる横加速度(定常横加速度)EK による積分定数(横速度の直流成分)VK は、ブロックB80が、カットオフ周波数を1〜2HZ に設定したハイパスフィルタ処理を行うことにより、確実にカットされる。このため、カントの影響による乗り心地の低下を防止することになる。
【0067】
図16に示すブロック線図では、ブロックB73、ブロックB74に対してゲインK3 の乗算を行うブロックB71が共通して用いられる場合を例にしたが、ブロックB71に代えて、図17に示すように、ブロックB73の入力側、ブロックB74の入力側にそれぞれ、ゲインK3FのブロックB81、ゲインK3RのブロックB82を設けてフロント側、リヤ側で独立してブロックを設けてもよい。また、同様に図16のブロックB76に代えて、図17に示すように、ブロックB78の入力側、ブロックB79の入力側にそれぞれ、ゲインK4FのブロックB83、ゲインK4RのブロックB84を設けてフロント側、リヤ側で独立してブロックを設けてもよい。
【0068】
上記第2実施の形態では、鉄道車両40が2本のレール53を用いて走行されるものを例にしたが、本発明はこれに限られるものではなく、鉄道車両40がモノレールを用いて走行されるものであってもよい。このようにモノレールを用いて走行する鉄道車両40の一例として、例えば図18に示される鉄道車両40がある。
この鉄道車両40は、台車本体41aに一対のブラケット(以下、タイヤ支持用上側ブラケットという。)65を設け、台車ブラケット41bに一対のブラケット(以下、タイヤ支持用横方向ブラケットという。)66を設け、タイヤ支持用上側ブラケット65及びタイヤ支持用横方向ブラケット66のそれぞれに、タイヤ67が取り付けられた車軸43を回動可能に支持している。そして、この鉄道車両40は、タイヤ支持用上側ブラケット65のタイヤ67をモノレール68の上面部に載置させると共に、タイヤ支持用横方向ブラケット66のタイヤ67をモノレール68の側面部に当接させることによりモノレール68に沿って走行する。
【0072】
【発明の効果】
請求項1、2、3の発明は、コントローラが、車体の前記前側の水平横方向速度により前側の独立制御信号を決定し、前記車体の後側の水平横方向速度により前記後側の独立制御信号を決定し、前記前側の独立制御信号及び前記後側の独立制御信号と、前記和信号検出手段の検出結果及び前記差信号検出手段の検出結果とから、前記車体の水平横方向運動及びヨー運動を抑制するように、前記前、後側のダンパの減衰係数を調整する制御信号を出力するので、和信号検出手段、差信号検出手段の検出結果が水平横方向運動、ヨー運動を示していないときには前、後側のダンパの減衰係数を小さい値に設定することが可能であり乗り心地の向上を図ることができる。
【0073】
請求項2の発明は、鉄道車両が曲線軌道を走行している際、カットオフ周波数を所定値以上に設定したハイパスフィルタが、カントの影響で発生する横加速度(定常横加速度)による積分定数(横速度の直流成分)をカットすることが可能になる。このため、カントの影響による乗り心地の低下を防止できる。さらに、水平横方向運動及びヨー運動の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態の鉄道車両用振動制御装置を模式的に示す図である。
【図2】同鉄道車両用振動制御装置を上方向から模式的に示す図である。
【図3】同鉄道車両用振動制御装置に用いる減衰係数可変型ダンパを示す断面図である。
【図4】同減衰係数可変型ダンパに組み付けられる可動板を示す平面図である。
【図5】同可動板の回転角度と、減衰係数との関係を示す図である。
【図6】同鉄道車両用振動制御装置のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図7】同コントローラのステップS37 の処理内容を模式的に示すブロック線図である。
【図8】車体の水平横方向運動状態を模式的に示す図である。
【図9】車体のヨー運動状態を模式的に示す図である。
【図10】車体のヨー運動及び水平横方向運動が組み合わされた状態を模式的に示す図である。
【図11】本発明の第2実施の形態の鉄道車両用振動制御装置を模式的に示す図である。
【図12】同鉄道車両用振動制御装置のダンパを模式的に示す図である。
【図13】同ダンパの比例ソレノイド供給電流−減衰力特性を示す図である。
【図14】同ダンパのピストンのスピード−減衰力特性を示す図である。
【図15】同鉄道車両用振動制御装置のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図16】同コントローラのステップS37 の処理内容を模式的に示すブロック線図である。
【図17】図16に代えるコントローラのステップS37 の処理内容を模式的に示すブロック線図である。
【図18】図1、図11の鉄道車両に代えるモノレールタイプの鉄道車両の一例を示す図である。
【図19】水平軌道を走行している際の水平横方向運動状態を模式的に示す図である。
【図20】曲線軌道を走行している際のカントによる定常横加速度の発生を示す図である。
【図21】カントで発生する定常横加速度、及び定常横加速度による積分定数(横速度の直流成分)を示す図である。

Claims (3)

  1. 鉄道車両の台車と該台車に水平方向に揺動可能に支持された車体との間における進行方向の前、後側に、進行方向に対して水平横方向の車体の運動を規制するようにそれぞれ介装された減衰係数調整可能の前、後側のダンパと、
    車体の前、後側の水平横方向速度を検出する前、後側の横速度検出手段と、
    前記車体の前、後側の水平横方向速度の和を求める和信号検出手段と、前記車体の前、後側の水平横方向速度の差を求める差信号検出手段と、
    前記車体の前記前側の水平横方向速度により前側の独立制御信号を決定し、前記車体の後側の水平横方向速度により前記後側の独立制御信号を決定し、前記前側の独立制御信号及び前記後側の独立制御信号と、前記和信号検出手段の検出結果及び前記差信号検出手段の検出結果とから、前記車体の水平横方向運動及びヨー運動を抑制するように、前記前、後側のダンパの減衰係数を調整する制御信号を出力するコントローラとを備えたことを特徴とする鉄道車両用振動制御装置。
  2. 前記和信号検出手段の検出結果にカットオフ周波数が所定値以上のハイパスフィルタを備えたことを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用振動制御装置。
  3. 前記前後のダンパは、縮みの減衰力が小さい値のときに、伸びの減衰力が小さい値と大きい値との間で調整可能で、伸びの減衰力が小さい値のときに、縮みの減衰力が小さい値と大きい値との間で調整可能なダンパであることを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両用振動制御装置。
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