JP5564523B2 - 鉄道車両用制振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄道車両用制振装置の改良に関する。
従来、この種の鉄道車両用制振装置にあっては、たとえば、鉄道車両に車体の進行方向に対して左右方向の振動を抑制すべく、車体と前後の台車との間に減衰力可変ダンパを介装し、車体中心におけるヨー方向の角速度とスエー方向の速度とから車体振動を抑制するために必要な減衰力を求め、減衰力可変ダンパにこの求めた減衰力を発揮させるようにしている。
より具体的には、上記鉄道車両用制振装置にあっては、ヨーレートに車両中心から台車中心までの距離と制御ゲインとを乗じてヨー方向の振動を抑制するのに必要な減衰力を求め、さらに、スエー方向の速度に制御ゲインを乗じてスエー方向の振動を抑制するのに必要な減衰力を求め、ヨー方向振動抑制用の減衰力とスエー方向振動抑制用の減衰力を足し合わせて減衰力を求める。
したがって、各減衰力可変ダンパは、それぞれがヨー方向とスエー方向の振動を抑制する減衰力を発揮し、これによって車体のヨー方向およびスエー方向の振動を抑制する(たとえば、特許文献1参照)。
特開2003−320931号公報
ところで、鉄道車両における車体の共振周波数帯は、0.5Hz〜2Hz程度であり、鉄道車両が曲線区間を走行する際に車体には遠心加速度が作用するがこの遠心加速度の周波数が車体の共振周波数に非常に近い。
そして、車体のヨーレートやスエー方向の速度を得るには、通常、車体の前後に加速度センサを設け、ヨーレートについては加速度センサで得た加速度の差に基づいて求め、スエー方向の速度については加速度センサで得た二つの加速度を加算した値に基づいて求める。
したがって、ヨーレートについては、加速度の差をとるため、鉄道車両が曲線区間を走行する際に車体に作用する遠心加速度の影響は除去されるのであるが、スエー方向の速度については、加速度を加算して求めるため、加速度に重畳される遠心加速度を除去することができない。鉄道車両の高速化によって遠心加速度は、無視することができず、これがスエー方向の速度に重畳されたまま減衰力を求めると、減衰力が必要以上に大きくなって却って車両における乗り心地を損なう結果となる。
これを解消しようと、スエー方向の速度をバンドパスフィルタやハイパスフィルタで濾波して、車体の共振周波数帯の振動のみを抽出しようとしても、先ほど述べたように、遠心加速度の周波数が上記共振周波数に近いので、うまく遠心加速度を除去できない。また、曲線区間では車体の共振周波数帯におけるゲインを下げることで、遠心加速度の影響を受けないようにしようとすると、今度は、車体の共振周波数帯の振動を抑制する減衰力が不足することになって、やはり、車両における乗り心地を損なってしまう。
そこで、本発明は上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、曲線区間において車両における乗り心地を向上することができる鉄道車両用制振装置を提供することである。
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段は、鉄道車両の前側台車と車体との間に介装される二つ以上の前側振動抑制力発生源と、上記鉄道車両の後側台車と上記車体との間に介装される二つ以上の後側振動抑制力発生源を備え、上記車体のヨー方向の振動を抑制するヨー抑制力を求めて上記前側振動抑制力発生源と上記後側振動抑制力発生源とを制御して上記車体の振動を抑制する鉄道車両用制振装置であって、上記鉄道車両が曲線区間を走行中であることを認識すると、上記前側振動抑制力発生源の少なくとも一部と上記後側振動抑制力発生源の少なくとも一部に上記ヨー抑制力を出力させ、上記前側振動抑制力発生源の残りの全部と上記後側振動抑制力発生源の残りの全部をパッシブダンパとして機能させ、上記鉄道車両が曲線区間以外を走行中であることを認識すると、上記前側振動抑制力発生源の少なくとも一部と上記後側振動抑制力発生源の少なくとも一部に上記ヨー抑制力を出力させ、上記前側振動抑制力発生源の残りの全部と上記後側振動抑制力発生源の残りの全部に上記車体のスエー方向の振動を抑制するスエー抑制力を出力させることを特徴とする。
この鉄道車両用制振装置にあっては、鉄道車両が曲線区間を走行中の場合には、前側振動抑制力発生源と後側振動抑制力発生源の一部がヨー抑制力を出力し、前後の残りの前側振動抑制力発生源と後側振動抑制力発生源がパッシブダンパとして機能するから、車体のヨー方向の振動が効果的に低減されるとともに、スエー方向の振動に対しても遠心加速度の影響なく車体の共振周波数帯の振動を充分に抑制できる。さらに、鉄道車両が曲線区間以外を走行中の場合には、前側振動抑制力発生源と後側振動抑制力発生源の一部が上記ヨー抑制力を出力し、前後の残りの前側振動抑制力発生源と後側振動抑制力発生源が上記スエー抑制力を出力するから、車体のヨー方向およびスエー方向の振動を低減できる。

本発明の鉄道車両用制振装置によれば、曲線区間及び曲線区間以外において車両における乗り心地を向上することができる。
一実施の形態における鉄道車両用制振装置を搭載した鉄道車両の平面図である。 一実施の形態の鉄道車両用制振装置におけるアクチュエータの詳細図である。 一実施の形態の鉄道車両用制振装置におけるコントローラの制御ブロック図である。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。一実施の形態における鉄道車両用制振装置1は、鉄道車両の車体Bの制振装置として使用され、図1に示すように、前側台車Tfと車体Bとの間に対として介装される前側振動抑制力発生源としてのアクチュエータAf1,Af2と、後側台車Trと車体Bとの間に介装される後側振動抑制力発生源としてのアクチュエータAr1,Ar2と、これらアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2を制御するコントローラCとを備えて構成されている。アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2は、詳細には、鉄道車両の場合、車体Bの下方に垂下されるピンPに連結され、車体Bと前後の台車Tf,Trとの間で対を成して並列に介装されている。
そして、これら前後のアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2は、基本的には、アクティブ制御で車体Bの車両進行方向に対して水平横方向の振動を抑制するようになっており、この場合、コントローラCは、前後のアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2を制御して上記車体Bの水平横方向の振動を抑制するようになっている。
コントローラCは、本実施の形態にあっては、車体Bの振動を抑制する制御を行う際に、車体Bの車体の前部Bfの車両進行方向に対して水平横方向の横方向加速度αfと、車体Bの車体の後部Brの車両進行方向に対して水平横方向の横方向加速度αrとを検知し、これらの横方向加速度αfと横方向加速度αrに基づいて前後の台車Tf,Trの直上における車体中心G周りの角加速度であるヨー加速度ωを求めるとともに、横方向加速度αfと横方向加速度αrに基づいて車体Bの中心Gの水平横方向の加速度であるスエー加速度Sを求め、さらに、ヨー加速度ωに基づいて車体全体のヨー振動抑制に必要な目標ヨー抑制力Fωrefを求め、スエー加速度Sに基づいて車体全体のスエー振動抑制に必要な目標スエー抑制力FSrefを求める。また、コントローラCは、鉄道車両の走行中である区間が曲線区間であるか曲線区間以外であるかを認識できるようになっており、曲線区間以外である場合には、前側のアクチュエータAf1,Af2の一部のアクチュエータAf1と後側のアクチュエータAr1,Ar2の一部のアクチュエータAr1へそれぞれ上記のようにして求めた目標ヨー抑制力Fωrefに1/2を乗じて得たヨー抑制力Fωを発揮させるとともに、前側のアクチュエータAf1,Af2の残り全部のアクチュエータAf2と後側のアクチュエータAr1,Ar2の残り全部のアクチュエータAr2へそれぞれ上記のようにして求めた目標スエー抑制力FSrefに1/2を乗じて得たスエー抑制力FSを発揮させ、反対に、曲線区間である場合には、前側のアクチュエータAf1,Af2の一部のアクチュエータAf1と後側のアクチュエータAr1,Ar2の一部のアクチュエータAr1へそれぞれ上記のようにして求めた目標ヨー抑制力Fωrefに1/2を乗じて得たヨー抑制力Fωを発揮させるとともに、前側のアクチュエータAf1,Af2の残り全部のアクチュエータAf2と後側のアクチュエータAr1,Ar2の残り全部のアクチュエータAr2をそれぞれパッシブダンパとして機能させるようになっている
つづいて、前後のアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の具体的な構成について説明する。これらアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2は、同じ構成であるので、説明の重複を避けるため、便宜上、一つのアクチュエータAf1の構成のみを説明し、他のアクチュエータAf2,Ar1,Ar2についての具体的な説明を省略することとする。
アクチュエータAf1は、図2に示すように、鉄道車両の前側台車Tfと車体Bの一方に連結されるシリンダ2と、シリンダ2内に摺動自在に挿入されるピストン3と、シリンダ2内に挿入されてピストン3と前側台車Tfと車体Bの他方に連結されるロッド4と、シリンダ2内にピストン3で区画したロッド側室5とピストン側室6と、タンク7と、ロッド側室5とピストン側室6とを連通する第一通路8の途中に設けた第一開閉弁9と、ピストン側室6とタンク7とを連通する第二通路10の途中に設けた第二開閉弁11と、ロッド側室5へ液体を供給するポンプ12とを備えており、片ロッド型のアクチュエータとして構成されている。また、上記ロッド側室5とピストン側室6には液体が充填されるとともに、タンク7には、液体のほかに気体が充填されている。なお、タンク7内は、特に、気体を圧縮して充填することによって加圧状態とする必要は無い。
そして、基本的には、第一開閉弁9で第一通路8を連通状態とするとともに第二開閉弁11を閉じた状態でポンプ12を駆動することで、このアクチュエータAf1を伸長作動させることができ、第二開閉弁11で第二通路10を連通状態とするとともに第一開閉弁9を閉じた状態でポンプ12を駆動することで、アクチュエータAf1を収縮作動させることができるようになっている。
以下、アクチュエータAf1の各部について詳細に説明する。シリンダ2は筒状であって、その図2中右端は蓋13によって閉塞され、図2中左端には環状のロッドガイド14が取り付けられている。また、上記ロッドガイド14内には、シリンダ2内に移動自在に挿入されるロッド4が摺動自在に挿入されている。このロッド4は、一端をシリンダ2外へ突出させており、シリンダ2内の他端を同じくシリンダ2内に摺動自在に挿入されているピストン3に連結してある。
なお、ロッド4の外周とシリンダ2との間は図示を省略したシール部材によってシールされており、これによりシリンダ2内は密閉状に維持されている。そして、シリンダ2内にピストン3によって区画されるロッド側室5とピストン側室6には、上述のように液体が充填されている。シリンダ2内に充填される液体は、作動油の他、アクチュエータに適する液体を使用することができる。
また、このアクチュエータAf1の場合、ロッド4の断面積をピストン3の断面積の二分の一にして、ピストン3のロッド側室5側の受圧面積がピストン側室6側の受圧面積の二分の一となるようになっており、伸長作動時と収縮作動時とでロッド側室5の圧力を同じくすると、伸縮の双方で発生される推力が等しくなるようになっており、アクチュエータAf1の変位量に対する液体量も伸縮両側で同じとなる。
詳しくは、アクチュエータAf1を伸長作動させる場合、ロッド側室5とピストン側室6を連通させた状態とする。すると、ロッド側室5内とピストン側室6内の圧力が等しくなって、ピストン3におけるロッド側室5側とピストン側室6側の受圧面積差に上記圧力を乗じた推力を発生する。反対に、アクチュエータAf1を収縮作動させる場合、ロッド側室5とピストン側室6との連通を断つ。すると、ピストン側室6がタンク7に連通した状態となるので、ロッド側室5内の圧力とピストン3におけるロッド側室5側の受圧面積を乗じた推力を発生することになる。よって、アクチュエータAf1の発生推力は伸縮の双方でピストン3の断面積の二分の一にロッド側室5の圧力を乗じた値となるのである。したがって、このアクチュエータAf1の推力を制御する場合、伸長作動、収縮作動共に、ロッド側室5の圧力を制御すればよいが、ピストン3のロッド側室5側の受圧面積をピストン側室6側の受圧面積の二分の一に設定しているので、伸縮両側で同じ推力を発生する場合に伸長側と収縮側でロッド側室5の圧力が同じとなるので制御が簡素となり、加えて変位量に対する液体量も同じとなるので伸縮両側で応答性が同じとなる利点がある。なお、ピストン3のロッド側室5側の受圧面積をピストン側室6側の受圧面積の二分の一に設定しない場合にあっても、ロッド側室5の圧力でアクチュエータAf1の伸縮両側の推力の制御をすることができる点は変わらない。
戻って、ロッド4の図2中左端とシリンダ2の右端を閉塞する蓋13には、図示しない取付部を備えており、このアクチュエータAf1を鉄道車両における車体Bと前側台車Tfとの間に介装することができるようになっている。
そして、ロッド側室5とピストン側室6とは、第一通路8によって連通されており、この第一通路8の途中には、第一開閉弁9が設けられている。この第一通路8は、シリンダ2外でロッド側室5とピストン側室6とを連通しているが、ピストン3に設けられてもよい。
第一開閉弁9は、この実施の形態の場合、電磁開閉弁とされており、第一通路8を開放してロッド側室5とピストン側室6とを連通する連通ポジション9bとロッド側室5とピストン側室6との連通を遮断する遮断ポジション9cとを備えたバルブ9aと、遮断ポジション9cを採るようにバルブ9aを附勢するバネ9dと、通電時にバルブ9aをバネ9dに対向して連通ポジション9bに切換えるソレノイド9eとを備えて構成されている。
つづいて、ピストン側室6とタンク7とは、第二通路10によって連通されており、この第二通路10の途中には、第二開閉弁11が設けられている。第二開閉弁11は、この実施の形態の場合、電磁開閉弁とされており、第二通路10を開放してピストン側室6とタンク7とを連通する連通ポジション11bとピストン側室6とタンク7との連通を遮断する遮断ポジション11cとを備えたバルブ11aと、遮断ポジション11cを採るようにバルブ11aを附勢するバネ11dと、通電時にバルブ11aをバネ11dに対向して連通ポジション11bに切換えるソレノイド11eとを備えて構成されている。
ポンプ12は、モータ15によって駆動されるようになっており、ポンプ12は、一方向のみに液体を吐出するポンプとされており、その吐出口は供給通路16によってロッド側室5へ連通され、吸込口はタンク7に通じて、モータ15によって駆動されると、タンク7から液体を吸込んでロッド側室5へ液体を供給する。
上述のようにポンプ12は、一方向のみに液体を吐出するのみで回転方向の切換動作がないので、回転切換時に吐出量が変化するといった問題は皆無であり、安価なギアポンプ等を使用することができる。さらに、ポンプ12の回転方向が常に同一方向であるので、ポンプ12を駆動する駆動源であるモータ15にあっても回転切換に対する高い応答性が要求されず、その分、モータ15も安価なものを使用することができる。なお、供給通路16の途中には、ロッド側室5からポンプ12への液体の逆流を阻止する逆止弁17を設けてある。
このアクチュエータAf1にあっては、ポンプ12から所定の吐出流量をロッド側室5へ供給するようにして、伸長作動させる際には、第一開閉弁9を開きつつ第二開閉弁11を開閉させることによってロッド側室5内の圧力を調節し、逆に収縮作動させる際には第二開閉弁11を開きつつ第一開閉弁9を開閉させることによってロッド側室5内の圧力を調節することで、上記したコントローラCが求めた抑制力通りの推力を得ることが可能である。伸長作動時には、ロッド側室5とピストン側室6とが連通状態におかれ、ピストン側室6内の圧力はロッド側室5の圧力と同じとなるため、このアクチュエータAf1にあっては、伸長作動時も収縮作動時もロッド側室5の圧力をコントロールすることで推力をコントロールすることができる。なお、第一開閉弁9および第二開閉弁11は、開弁圧を調節可能であって開閉機能を備えた可変リリーフ弁とされてもよい。この場合には、第一開閉弁9或いは第二開閉弁11を伸縮作動時に開閉作動させるのではなく、開弁圧を調節することでアクチュエータAf1の推力を調節することも可能である。
上記のように、アクチュエータAf1の推力調節が可能ではあるが、より簡単に推力調節が可能なように、本実施の形態の鉄道車両用制振装置1にあっては、ロッド側室5とタンク7とを接続する排出通路21と、この排出通路21の途中に設けた開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁22とを設けている。
可変リリーフ弁22は、この実施の形態では、比例電磁リリーフ弁とされており、排出通路21の途中に設けた弁体22aと、排出通路21を遮断するように弁体22aを附勢するバネ22bと、通電時にバネ22bに対する推力を発生する比例ソレノイド22cとを備えて構成され、比例ソレノイド22cに流れる電流量を調節することで開弁圧を調節することができるようになっている。
この可変リリーフ弁22は、弁体22aに作用させる排出通路21の上流となるロッド側室5の圧力がリリーフ圧(開弁圧)を超えると、当該排出通路21を開放させる方向に弁体22aを推す上記圧力に起因する推力と比例ソレノイド22cによる推力との合力が、排出通路21を遮断させる方向へ弁体22aを附勢するバネ22bの附勢力に打ち勝つようになって、弁体22aを後退させて排出通路21を開放するようになっている。
また、この可変リリーフ弁22にあっては、比例ソレノイド22cに供給する電流量を増大させると、比例ソレノイド22cが発生する推力を増大させることができるようになっており、比例ソレノイド22cに供給する電流量を最大とすると開弁圧が最小となり、反対に、比例ソレノイド22cに全く電流を供給しないと開弁圧が最大となる。
したがって、排出通路21と可変リリーフ弁22とを設けることで、アクチュエータAf1を伸縮作動させる際に、ロッド側室5内の圧力は可変リリーフ弁22の開弁圧に調節され、ロッド側室5の圧力は可変リリーフ弁22の開弁圧を調節することで容易に調節することができる。このように排出通路21と可変リリーフ弁22とを設けることで、アクチュエータAf1の推力を調節するために必要なセンサ類が不要となり、第一開閉弁9と第二開閉弁11高速で開閉させたり、第一開閉弁9および第二開閉弁11を開閉機能付きの可変リリーフ弁としたりする必要もなくなるので、鉄道車両用制振装置1が安価となり、ハードウェア的にもソフトウェア的にも堅牢なシステムを構築することができる。
なお、可変リリーフ弁22は、与える電流量で開弁圧を比例的に変化させることができる比例電磁リリーフ弁を用いることで開弁圧の制御が簡単となるが、開弁圧を調節できるリリーフ弁であれば比例電磁リリーフ弁に限定されるものではない。
そして、可変リリーフ弁22は、第一開閉弁9および第二開閉弁11の開閉状態に関わらず、アクチュエータAf1に伸縮方向の過大な入力があって、ロッド側室5の圧力が開弁圧を超える状態となると、排出通路21を開放してロッド側室5をタンク7へ連通し、ロッド側室5内の圧力をタンク7へ逃がして、アクチュエータAf1のシステム全体を保護するようになっている。このように、排出通路21と可変リリーフ弁22を設けることでシステムの保護も可能となる。
さらに、この実施の形態のアクチュエータAf1は、ダンパ回路Dを備えており、このダンパ回路Dは、第一開閉弁9および第二開閉弁11が閉弁している場合に、アクチュエータAf1をダンパとして機能させる。ダンパ回路Dは、ピストン側室6からロッド側室5へ向かう液体の流れのみを許容する整流通路18と、タンク7からピストン側室6へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路19を備えている。また、この実施の形態の場合には、アクチュエータAf1が、排出通路21と可変リリーフ弁22とを備えているので、可変リリーフ弁22が減衰弁として機能するようになっている。
より詳細には、整流通路18は、ピストン側室6とロッド側室5とを連通しており、途中に逆止弁18aが設けられ、この整流通路18は、ピストン側室6からロッド側室5へ向かう液体の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。さらに、吸込通路19は、タンク7とピストン側室6とを連通しており、途中に逆止弁19aが設けられ、この吸込通路19は、タンク7からピストン側室6へ向かう液体の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、整流通路18は、第一開閉弁9の遮断ポジション9cを逆止弁とすることで第一通路8に集約することができ、吸込通路19についても、第二開閉弁11の遮断ポジション11cを逆止弁とすることで第二通路10に集約することができる。
このように構成されたダンパ回路Dは、アクチュエータAf1における第一開閉弁9と第二開閉弁11がともに遮断ポジション9c,11cを採ると、整流通路18および吸込通路19と排出通路21で、ロッド側室5、ピストン側室6およびタンク7が数珠繋ぎに連通さる。そして、整流通路18、吸込通路19および排出通路21は、一方通行の通路に設定されているので、アクチュエータAf1が外力によって伸縮させられると、必ずシリンダ2から液体が排出されて排出通路21を介してタンク7へ戻され、シリンダ2で足りなくなる液体は吸込通路19を介してタンク7からシリンダ2内へ供給される。この液体の流れに対して上記可変リリーフ弁22が抵抗となってシリンダ2内の圧力を開弁圧に調節する圧力制御弁として機能するので、アクチュエータAf1は、パッシブなユニフロー型のダンパとして機能することになる。つまり、アクチュエータAf1は、アクチュエータとしてもパッシブダンパとしても機能することが可能である。なお、可変リリーフ弁22と排出通路21とを設けない場合には、別途、ロッド側室5とタンク7とを接続する通路と、この通路の途中に減衰弁とを設けてダンパ回路Dを構成するようにしてもよい。また、アクチュエータAf1の各機器への通電が不能となるようなフェール時には、第一開閉弁9と第二開閉弁11のバルブ9a,11aがバネ9d,11dに押圧されて、それぞれ遮断ポジション9c,11cを採り、可変リリーフ弁22は、開弁圧が最大に固定された圧力制御弁として機能するので、アクチュエータAf1は、自動的に、パッシブダンパとして機能することができる。また、アクチュエータAf1がパッシブダンパとして機能する場合、可変リリーフ弁22で開弁圧を調節することができるので、パッシブダンパとして機能させる際に減衰特性を設定できる。
つづいて、上記のように構成された各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2に所望の伸長方向の推力を発揮させる場合、たとえば、コントローラCは、モータ15を回転させポンプ12からシリンダ2内へ液体を供給しつつ、各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の第一開閉弁9を連通ポジション9bとし第二開閉弁11を遮断ポジション11cとする。このようにすることで、ロッド側室5とピストン側室6とが連通状態におかれて両者にポンプ12から液体が供給され、ピストン3が図2中左方へ押されアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2は伸長方向の推力を発揮する。ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力が可変リリーフ弁22の開弁圧を上回ると、可変リリーフ弁22が開弁して液体が排出通路21を介してタンク7へ逃げるので、ロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力は、可変リリーフ弁22に与える電流量で決まる可変リリーフ弁22の開弁圧にコントロールされる。そして、各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2は、ピストン3におけるピストン側室6側とロッド側室5側の受圧面積差に上記した可変リリーフ弁22によってコントロールされるロッド側室5内およびピストン側室6内の圧力を乗じた値の伸長方向の推力を発揮する。
これに対して、各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2に所望の収縮方向の推力を発揮させる場合、コントローラCは、モータ15を回転させてポンプ12からロッド側室5内へ液体を供給しつつ、各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の第一開閉弁9を遮断ポジション9cとし第二開閉弁11を連通ポジション11bとする。このようにすることで、ピストン側室6とタンク7が連通状態におかれるとともにロッド側室5にポンプ12から液体が供給されるので、ピストン3が図2中右方へ押され各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2は収縮の推力を発揮する。上記したところと同様に、可変リリーフ弁22の電流量を調節することで、各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2は、ピストン3におけるロッド側室5側の受圧面積と可変リリーフ弁22にコントロールされるロッド側室5内の圧力を乗じた収縮方向の推力を発揮する。
また、このアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2にあっては、アクチュエータとして機能するのみならず、モータ15の駆動状況に関わらず、第一開閉弁9と第二開閉弁11の開閉のみでパッシブダンパとしても機能させることができるので、面倒かつ急峻な弁の切換動作を伴うことが無いので、応答性および信頼性が高いシステムを提供することができる。
なお、このアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2にあっては、片ロッド型に設定されているので、両ロッド型のアクチュエータに比較してストローク長を確保しやすく、アクチュエータの全長が短くなって、鉄道車両への搭載性が向上する。
また、このアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2におけるポンプ12からの液体供給および伸縮作動による液体の流れは、ロッド側室5、ピストン側室6を順に通過して最終的にタンク7へ還流するようになっており、ロッド側室5あるいはピストン側室6内に気体が混入しても、アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の伸縮作動によって自立的にタンク7へ排出されるので、推進力発生の応答性の悪化を阻止できる。
したがって、アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の製造にあたって、面倒な油中での組立や真空環境下での組立を強いられることが無く、液体の高度な脱気も不要となるので、生産性が向上するとともに製造コストを低減することができる。
さらに、ロッド側室5あるいはピストン側室6内に気体が混入しても、気体は、アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の伸縮作動によって自立的にタンク7へ排出されるので、性能回復のためのメンテナンスを頻繁に行う必要もなくなり、保守面における労力とコスト負担を軽減することができる。
つづいて、コントローラCは、図2および図3に示すように、車体前側としての車体前部Bfの車両進行方向に対して水平横方向の前側の横方向加速度αfを検出する前側加速度センサ40と、車体後側としての車体後部Brの車両進行方向に対して水平横方向の後側の横方向加速度αrを検出する後側加速度センサ41と、横方向加速度αfと横方向加速度αrに含まれるノイズを除去するバンドパスフィルタ42,43と、鉄道車両の走行中である地点情報を取得する地点情報取得部44と、バンドパスフィルタ42,43で濾波した横方向加速度αfと横方向加速度αrを処理するとともに、地点情報取得部44で得た鉄道車両の地点情報から走行区間が曲線区間であるかを認識し、各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2のモータ15、第一開閉弁9のソレノイド9e、第二開閉弁11のソレノイド11e、可変リリーフ弁22の比例ソレノイド22cへ制御指令を出力する制御部45とを備えて構成されていて、各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の推力を制御するようになっている。なお、本実施の形態では、制御部45は、H∞制御を行って周波数に重みづけして目標ヨー抑制力Fωrefおよび目標スエー抑制力FSrefを求めるようにしているので、バンドパスフィルタ42,43を省略することも可能である。
地点情報取得部44は、この場合、編成列車中のある車両に設置される中央車両モニタ或いはこれに接続される車両モニタ端末とされており、リアルタイムに鉄道車両の走行地点を得ることができるようになっている。なお、地点情報取得部44は、車両モニタによらず、GPS(Global Positioning System)等といった鉄道車両の走行地点を検出することができるものであってもよい。
制御部45は、前側加速度センサ40で検知した前側の横方向加速度αfと後側加速度センサ41で検知した後側の横方向加速度αrに基づいて前側台車Tfと後側台車Trの直上における車体中心G周りのヨー加速度ωを求めるヨー加速度演算部45aと、横方向加速度αfと横方向加速度αrに基づいて車体Bの中心Gのスエー加速度Sを求めるスエー加速度演算部45bと、ヨー加速度ωに基づいて車体Bの全体のヨーを抑制するのに必要な目標ヨー抑制力Fωrefを求める目標ヨー抑制力演算部45cと、スエー加速度Sに基づいて車体Bの全体のスエーを抑制するのに必要な目標スエー抑制力FSrefを求める目標スエー抑制力演算部45dと、目標ヨー抑制力演算部45cで得た目標ヨー抑制力Fωrefに1/2を乗じてヨー抑制力Fωを演算するヨー抑制力演算部45eと、目標スエー抑制力演算部45dで得た目標スエー抑制力FSrefに1/2を乗じてスエー抑制力FSを演算するスエー抑制力演算部45fと、地点情報取得部44から得た地点情報から走行区間が曲線区間であるか否かを判断する走行区間認識部45gと、走行区間認識部45gの認識結果、ヨー抑制力Fωおよびスエー抑制力FSから各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2個々に与える制御指令Ff1,Ff2,Fr1,Fr2を求める指令生成部45hと、制御指令Ff1,Ff2,Fr1,Fr2に基づいてモータ15、第一開閉弁9のソレノイド9e、第二開閉弁11のソレノイド11e、可変リリーフ弁22の比例ソレノイド22cを駆動する駆動部45iとを備えて構成されている。
なお、コントローラCは、ハードウェア資源としては、図示はしないが具体的にはたとえば、前側加速度センサ40と後側加速度センサ41が出力する信号を取り込むためのA/D変換器と、バンドパスフィルタ42,43と、バンドパスフィルタ42,43で濾波した横方向加速度αfと横方向加速度αrを取り込んでアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2を制御するのに必要な処理に使用されるプログラムが格納されるROM(Read Only Memory)等の記憶装置と、上記プログラムに基づいた処理を実行するCPU(Central Processing Unit)の演算装置と、上記CPUに記憶領域を提供するRAM(Random Access Memory)等の記憶装置とを備えて構成されればよく、コントローラCの制御部45における各部は、CPUが上記処理を行うためのプログラムを実行することで実現することができる。また、バンドパスフィルタ42,43は、上記CPUがプログラムを実行することで実現されてもよい。
つづいて、横方向加速度αf,αrは、たとえば、図1中車体Bの中央を左右に通る軸を基準として上方側へ向く方向となる場合に、正の符号を採り、反対に、図1中車体Bの中央を左右に通る軸を基準として下方側へ向く方向となる場合に、負の符号を採るように設定され、ヨー加速度演算部45aは、前側の横方向加速度αfと後側の横方向加速度αrの差を2で割ることで前側台車Tfと後側台車Trのそれぞれの直上における車体中心G周りのヨー加速度ωを求め、スエー加速度演算部45bは、横方向加速度αfと横方向加速度αrの和を2で割って車体Bの中心Gのスエー加速度Sを求める。前側加速度センサ40と後側加速度センサ41の設置箇所は、ヨー加速度ωを求める都合上、前側加速度センサ40にあっては車体Bの中心Gを含む前後方向または対角方向に沿う線上であって前側アクチュエータAf1,Af2の近傍に配置されるとよく、後側加速度センサ41にあっても車体Bの中心Gと前側加速度センサ40の設置位置とを含む線上であって後側アクチュエータAr1,Ar2の近傍に配置されるとよいが、中心Gと前側加速度センサ40と後側加速度センサ41の距離と位置関係と横方向加速度αf,αrとからヨー加速度ωを求めることができるので前側加速度センサ40と後側加速度センサ41を任意に設定することも可能である。その場合、ヨー加速度ωは、横方向加速度αfと横方向加速度αrの差を2で割って求めるのではなく、上記横方向加速度αfと横方向速度αrの差と、車体Bの中心Gと各加速度センサ40,41との距離、位置関係からヨー加速度ωを得るようにすればよい。
次に、目標ヨー抑制力演算部45cは、この実施の形態では、H∞制御を行うため、ヨー加速度演算部45aが演算したヨー加速度ωから車体全体のヨーを抑制するために必要な抑制力である目標ヨー抑制力Fωrefを求める。具体的には、目標ヨー抑制力演算部45cは、ヨー加速度ωの入力を受けると重み関数によって周波数整形し、車体全体のヨー振動のうち特に抑制したい周波数帯のヨー振動を抑制するのに最適な目標ヨー抑制力Fωrefを求める。重み関数は、鉄道車両に適するように設計される。
また、目標スエー抑制力演算部45dは、この実施の形態では、H∞制御を行うため、スエー加速度演算部45bが演算したスエー加速度Sから車体全体のスエーを抑制するために必要な抑制力である目標スエー抑制力FSrefを求める。具体的には、目標スエー抑制力演算部45dは、スエー加速度Sの入力を受けると重み関数によって周波数整形し、車体全体のスエー振動のうち特に抑制したい周波数帯のスエー振動を抑制するのに最適な目標スエー抑制力FSrefを求める。重み関数は、鉄道車両に適するように設計される。
ヨー抑制力演算部45eは、目標ヨー抑制力演算部45cで得た目標ヨー抑制力Fωrefから、前側のアクチュエータAf1と後側のアクチュエータAr1が出力すべきヨー抑制力Fωを求める。目標ヨー抑制力Fωrefは、車体Bの全体のヨー方向の振動を抑制する抑制力であり、この実施の形態の場合、車体Bのヨーを前側のアクチュエータAf1と後側のアクチュエータAr1の二つのアクチュエータAf1,Ar1が出力する推力で抑制するため、前側のアクチュエータAf1と後側のアクチュエータAr1に出力させるヨー抑制力Fωを目標ヨー抑制力Fωrefの値を二分の一することで求める。なお、ヨーは車体Bの水平回転であって、前側のアクチュエータAf1と後側のアクチュエータAr1とで車体Bのヨー方向の振動を抑制する遇力を発揮させる必要があるため、前側のアクチュエータAf1のヨー抑制力Fωに対して後側のアクチュエータAr1のヨー抑制力Fωの符号は反転させる。つまり、前側のアクチュエータAf1のヨー抑制力FωをXとすると、後側のアクチュエータAr1のヨー抑制力Fωは−Xとなる。また、上記したところでは、ヨー抑制力Fωを発揮させるのはアクチュエータAf1,Ar1の2本であったので、目標ヨー抑制力Fωrefからヨー抑制力Fωを得るために乗じる値は1/2であるが、アクチュエータの本数に応じて上記値は適したものに変更される。したがって、たとえば、ヨー抑制力Fωを発揮させる前側のアクチュエータが2本であって後側のアクチュエータが3本である場合、まず、前側のアクチュエータの全部で出力すべきヨー抑制力と後側のアクチュエータの全部で出力すべきヨー抑制力は符号は反転しているものの同じ値となるから目標ヨー抑制力Fωrefに1/2を乗じ、さらに、前側のアクチュエータが2本であるので、さらに、1/2を乗じる必要があるから、前側のアクチュエータのヨー抑制力Fωは目標ヨー抑制力Fωrefに1/4を乗じた値となる。これに対して、後側のアクチュエータのヨー抑制力Fωは、先程と同様に、目標ヨー抑制力Fωrefに1/2を乗じて後側のアクチュエータの全体で出力すべきヨー抑制力を求め、さらに、後側のアクチュエータの本数が3本であるので、さらに、1/3を乗じる必要があるから、目標ヨー抑制力Fωrefに1/6を乗じて演算され、符号を反転させることになる。
スエー抑制力演算部45fは、目標スエー抑制力演算部45dで得た目標スエー抑制力FSrefから、前側のアクチュエータAf2と後側のアクチュエータAr2が出力すべきスエー抑制力FSを求める。目標スエー抑制力FSrefは、車体Bの全体のスエー方向の振動を抑制する抑制力であり、この実施の形態の場合、車体Bのスエーを前側のアクチュエータAf2と後側のアクチュエータAr2の二つのアクチュエータAf2,Ar2が出力する推力で抑制するため、前側のアクチュエータAf2と後側のアクチュエータAr2に出力させるスエー抑制力FSを目標スエー抑制力FSrefの値を二分の一することで求める。なお、上記したところでは、スエー抑制力FSを発揮させるのはアクチュエータAf2,Ar2の2本であったので、目標スエー抑制力FSrefからスエー抑制力FSを得るために乗じる値は1/2であるが、アクチュエータの本数に応じて上記値は適したものに変更される。したがって、たとえば、スエー抑制力FSを発揮させる前側のアクチュエータが3本であって後側のアクチュエータが4本である場合、まず、前側のアクチュエータの全部で出力すべきスエー抑制力と後側のアクチュエータの全部で出力すべきスエー抑制力は同じ値となるから目標スエー抑制力FSrefに1/2を乗じ、さらに、前側のアクチュエータが3本であるので、さらに、1/3を乗じる必要があるから、前側のアクチュエータのスエー抑制力FSは目標スエー抑制力FSrefに1/6を乗じた値となる。これに対して、後側のアクチュエータのスエー抑制力FSは、先程と同様に、目標スエー抑制力FSrefに1/2を乗じて後側のアクチュエータの全体で出力すべきスエー抑制力を求め、さらに、後側のアクチュエータの本数が4本であるので、さらに、1/4を乗じる必要があるから、目標スエー抑制力FSrefに1/8を乗じて演算される。
走行区間認識部45gは、地点情報取得部44から得た地点情報から鉄道車両が走行中である区間が曲線区間かそれ以外の区間かを判断し、判断結果を指令生成部45hへ出力する。具体的には、たとえば、走行区間認識部45gは、走行地点に走行区間情報を関連付けたマップを有しており、鉄道車両の走行地点からマップを参照し、曲線区間であるか否かを判断するようにしておけばよい。また、これに限らず、たとえば、曲線区間とそれ以外の区間の境や曲線区間の前後に信号を発信する発信機を設けるとともに、鉄道車両側に発信機の信号を受信する受信機を地点情報取得部として設けておき、走行区間認識部は、曲線区間入口側の発信機の信号の受信をもって曲線区間に入ったことを認識し、曲線区間出口側の発信機の信号の受信をもって曲線区間以外に脱したことを認識するようにしてもよい。要するに、走行区間認識部45gは、鉄道車両が曲線区間を走行中であることを認識することができればよい。なお、曲線区間の走行時における乗り心地を良好に保つため、鉄道車両用制振装置1は、鉄道車両が路線を走行中に曲線区間以外の区間での制御から曲線区間内で行う制御を切換える都合上、実際には、鉄道車両が曲線区間に進入する前に制御の切換を行えるようにするとよいので、曲線区間に進入する場合に曲線区間であると認識する地点を実際の曲線区間より手前に設定し、曲線区間からそれ以外の区間へ脱する場合に曲線区間以外の区間であると認識する地点を実際の曲線区間の終了地点よりも奥へ設定するとよい。また、走行地点に関連付けられる走行区間の情報として、曲線区間とそれ以外の区間の種別のほか、後述するアクチュエータAf2,Ar2をパッシブダンパとして機能させる際の減衰係数を曲線区間に最適となるように設定できるようにする場合には、曲線区間のカント量、曲率、緩和曲線か定常曲線区間の別、緩和曲線である場合の緩和曲線のパターン、スラック等といった曲線区間がどのような曲線であるかを特定できる情報を関連付けておいてもよい。
指令生成部45hは、走行区間認識部45gの認識結果、ヨー抑制力Fωおよびスエー抑制力FSから各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2個々に与える制御指令Ff1,Ff2,Fr1,Fr2を求める。
具体的には、走行区間認識部45gの認識結果が鉄道車両の走行地点が曲線区間以外の区間である場合、指令生成部45hは、ヨー抑制力演算部45eが求めたヨー抑制力Fωを前側のアクチュエータAf1に出力させる制御指令Ff1を生成し、ヨー抑制力演算部45eが求めたヨー抑制力Fωを後側のアクチュエータAr1に出力させる制御指令Fr1を生成し、さらに、スエー抑制力演算部45fが求めたスエー抑制力FSを前側のアクチュエータAf2に出力させる制御指令Ff2を生成し、スエー抑制力演算部45fが求めたスエー抑制力FSを後側のアクチュエータAr2に出力させる制御指令Fr2を生成する。
これに対して、走行区間認識部45gの認識結果が鉄道車両の走行地点が曲線区間である場合、指令生成部45hは、ヨー抑制力演算部45eが求めたヨー抑制力Fωを前側のアクチュエータAf1に出力させる制御指令Ff1を生成し、また、ヨー抑制力演算部45eが求めたヨー抑制力Fωを後側のアクチュエータAr1へ出力させる制御指令Fr1を生成し、さらに、前側のアクチュエータAf2と後側のアクチュエータAr2をパッシブダンパとして機能させる制御指令Ff2,Fr2を生成する。
駆動部45iは、制御指令Ff1,Ff2,Fr,Fr2通りに各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2に推力を発揮させ、或いは、パッシブダンパとして機能させるべく、モータ15、各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の第一開閉弁9のソレノイド9e、第二開閉弁11のソレノイド11eおよび可変リリーフ弁22の比例ソレノイド22cへ与えるべき電流指令を求めて当該電流指令を出力する。
より詳細には、制御指令Ff2,Fr2がアクチュエータAf2,Ar2をパッシブダンパとして機能させるものでない場合、駆動部45iは、制御指令Ff1,Ff2,Fr1,Fr2から各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の推力の発揮方向、推力の大きさに応じて、モータ15、各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2の第一開閉弁9のソレノイド9e、第二開閉弁11のソレノイド11eおよび可変リリーフ弁22の比例ソレノイド22cへ与えるべき電流指令を生成するが、比例ソレノイド22cへ与える電流指令についてはアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2が出力している推力をフィードバックして求めるようにしてもよい。
また、制御指令Ff2,Fr2がアクチュエータAf2,Ar2をパッシブダンパとして機能させるものである場合、駆動部45iは、モータ15、第一開閉弁9のソレノイド9e、第二開閉弁11のソレノイド11eおよび可変リリーフ弁22の比例ソレノイド22cへ与えるべき電流を0とする電流指令を各アクチュエータAf2,Ar2へ出力する。すると、アクチュエータAf2,Ar2は、伸縮の際に、必ずシリンダ2から液体が排出されて排出通路21を介してタンク7へ戻され、この流れに可変リリーフ弁22で抵抗を与えるので、パッシブダンパとして機能する。この場合、モータ15については、電流を完全に0とせずに、各アクチュエータAf2,Ar2をパッシブダンパとして機能させる上で弊害の無い程度に回転数を低くするようにしてもよい。鉄道車両が曲線区間を走行した後に曲線区間以外の区間へ侵入すると、制御指令Ff2,Fr2は、それぞれ、スエー抑制力演算部45fが求めたスエー抑制力FSとされて、各アクチュエータAf2,Ar2はパッシブダンパ状態からスエー抑制力FS通りの推力を発揮する状態に復帰することになる。
なお、上記したように曲線区間におけるカント量、曲率等といった情報を得ることができる場合、アクチュエータAf2,Ar2をパッシブダンパとして機能させる際に、カント量、曲率等といった情報から可変リリーフ弁22の比例ソレノイド22cに与える電流量を決定し、アクチュエータAf2,Ar2の減衰係数を鉄道車両が走行中の曲線区間に最適となるように設定することも可能である。この場合、曲線区間に減衰係数を関連付けるか可変リリーフ弁22の比例ソレノイド22cへ与える電流量を関連付けしておくようにして、アクチュエータAf2,Ar2の減衰係数を鉄道車両が走行中の曲線区間に最適となるように設定してもよい。
以上のように、この鉄道車両用制振装置1にあっては、鉄道車両が曲線区間以外の区間を走行中の場合には、前後の一部のアクチュエータAf1,Ar1がヨー抑制力Fωを出力し、前後の残りのアクチュエータAf2,Ar2がスエー抑制力FSを出力するから、車体Bのヨー方向およびスエー方向の振動が低減されて乗り心地を向上することができる。
また、鉄道車両用制振装置1にあっては、鉄道車両が曲線区間を走行中の場合には、前後の一部のアクチュエータAf1,Ar1がヨー抑制力Fωを出力し、前後の残りのアクチュエータAf2,Ar2がパッシブダンパとして機能する。そのため、鉄道車両用制振装置1は、曲線区間走行時における車体Bのヨー方向の振動についてはヨー抑制力の発揮で効果的に抑制することができ、スエー方向の振動に対してもパッシブダンパが発揮する減衰力で遠心加速度の影響なく効果的に制振できるため、曲線区間走行時にあっても車両における乗り心地を向上することができる。つまり、曲線区間走行中の加速度センサ40,41で検出する加速度には、遠心加速度が含まれており、スエー抑制力FSを得るに際して、フィルタ処理しても遠心加速度成分を完全には取り除くことができないため、曲線区間走行時にあってもスエー抑制力FSに基づいてアクチュエータAf2,Ar2を制御すると推力過多となり、逆に、これを嫌って加速度センサ40,41で検出する加速度から車体Bの共振周波数帯の振動成分を除去してしまうと今度は、車体Bのスエー方向の共振周波数帯の振動を抑制するアクチュエータAf2,Ar2の推力が不足してしまって乗り心地の悪化につながるが、上記したように、本発明の鉄道車両制振装置1では、曲線区間においてスエー方向の振動に対してはアクチュエータAf2,Ar2がパッシブダンパとして機能するから、スエー方向の車体Bの共振周波数帯の振動を充分に抑制でき、ヨー方向の振動に対してはヨー方向の振動のみに対応したアクチュエータAf1,Ar1が効果的にヨー方向の振動を抑制するので、曲線区間走行中であっても良好な乗り心地を保つことができるのである。このことは曲線区間が緩和曲線であっても定常円曲線であっても有効である。
また、曲線区間以外の区間では各アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2のそれぞれにヨー抑制力とスエー抑制力を合成した推力を発揮させ、曲線区間でアクチュエータAf1,Ar1にヨー抑制力Fωを出力させるとともに、アクチュエータAf2,Ar2をパッシブダンパとして機能させることもできる。さらに、たとえば、曲線区間ではアクチュエータAf1,Ar1をパッシブダンパとし、アクチュエータAf2,Ar2にヨー抑制力Fωを出力させ、曲線区間以外でアクチュエータAf1,Ar1にヨー抑制力Fωを出力させるとともに、アクチュエータAf2,Ar2にスエー抑制力FSを出力させるといったこともできる。
ただし、本実施の形態の鉄道車両用制振装置1のように、前後のアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2のうち一部のアクチュエータAf1,Ar1をヨー方向の振動抑制に充て、残りの前後のアクチュエータAf2,Ar2をスエー方向の振動抑制に充てることで、つまり、スエー抑制力FSを出力させる前側と後側のアクチュエータAf2,Ar2をパッシブダンパとして機能させることで、アクチュエータAf1,Ar1の制御を切換えずに済み制御指令の急変を回避して曲線区間におけるモードと曲線区間以外におけるモードとの切換えがスムーズに行え、モード切換時における車体Bの挙動も安定させることができ、車両における乗り心地をより一層向上させることができる。
また、この鉄道車両用制振装置1にあっては、前後のアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2のうち一つに異常が認められる場合、たとえば、それがヨー抑制力Fωを発揮するアクチュエータAf1である場合、そのアクチュエータAf1と後側のヨー抑制力Fωを発揮するアクチュエータAr1を全区間でパッシブダンパとして機能させ、曲線区間以外の区間走行時には、アクチュエータAf2,Ar2にスエー抑制力FSを出力させるとともに曲線区間では全てのアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2をパッシブダンパとして機能させるようにして乗り心地の悪化を抑制でき、たとえば、スエー抑制力FSを発揮するアクチュエータAf2が異常である場合、そのアクチュエータAf2と後側のスエー抑制力FSを発揮するアクチュエータAr2を全区間でパッシブダンパとして機能させるとともに、全区間においてアクチュエータAf1,Ar1にヨー抑制力Fωを出力させることで乗り心地の悪化を抑制できる。また、前側のアクチュエータAf1,Af2のうち一つと、後側のアクチュエータAr1,Ar2のうち一つに異常が認められる場合、異常が認められたアクチュエータをパッシブダンパとして機能させつつ、曲線区間以外の区間では、正常のアクチュエータにヨー抑制力Fω或いはスエー抑制力FSを出力させ、曲線区間では正常のアクチュエータにヨー抑制力Fωを出力させることで曲線区間における乗り心地を確保しつつそれ以外の区間においても乗り心地の悪化を抑制することも可能である。したがって、この鉄道車両用制振装置1にあっては、異常時にあっても、車両における乗り心地の悪化を最小限に留めることができる。
なお、上記したところでは、前側振動抑制力発生源と後側振動抑制力発生源をパッシブダンパとして機能可能な上記構成のアクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2としているので、推力調整が可変リリーフ弁22の開弁圧の調整で行えるのでセンサレスで、モータ15の回転方向も一方向で回転切換に対する高い応答性が要求されずに安価なモータを使用することができ、制御も簡単であるからコスト面で有利で、ハードウェア的にもソフトウェア的にも堅牢であるから鉄道車両用制振装置1に最適となる。さらに、アクチュエータAf1,Af2,Ar1,Ar2がフェール時には全てがパッシブダンパとして機能するから、フェール時にあっても車体Bの乗り心地の悪化を抑制することができる。
また、この実施の形態の場合、アクチュエータAf2,Ar2をパッシブダンパとして機能させれば足りるため、アクチュエータAf1,Ar1についてはアクチュエータ機能のみを発揮するものであってもよい。さらに、アクチュエータの本数は、上記した本数に限られず、前後とも2本以上設置されていて、曲線区間では、前後のアクチュエータのそれぞれ一部にヨー抑制力Fωを発揮させ、前後の残りのアクチュエータをパッシブダンパとして機能させるようになっていればよい。またさらに、前側振動抑制力発生源と後側振動抑制力発生源は、減衰力の調整が可能なダンパとされてもよく、少なくとも一部のダンパがパッシブダンパとして機能できればよい。
なお、本実施の形態における鉄道車両用制振装置1では、H∞制御を行うようになっているので、車体Bに入力される振動の周波数によらず高い制振効果を得ることができ、高いロバスト性を得ることができる。このことは、H∞制御以外の制御を用いることを否定するものではない。したがって、たとえば、横方向加速度αf,αrから車体Bの前側台車Tfおよび後側台車Trの直上のヨー速度とスエー速度を得て、スカイフック制御を用いてヨー速度とスエー速度にスカイフック減衰係数(スカイフックゲイン)を乗じてヨー抑制力Fωおよびスエー抑制力FSを求めるようにしてもよい。また、前側振動抑制力発生源と後側振動抑制力発生源に減衰力可変ダンパを用いる場合、スカイフックダンパを実現するためにカルノップ制御を用いることもでき、車体Bの前側台車Tfおよび後側台車Trの直上のヨー速度とスエー速度と、減衰力可変ダンパのストローク方向と、スカイフック減衰係数とからヨー抑制力Fωおよびスエー抑制力FSを求めるようにしてもよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
本発明は、鉄道車両等の制振に利用可能である。
1 鉄道車両用制振装置
2 シリンダ
3 ピストン
4 ロッド
5 ロッド側室
6 ピストン側室
7 タンク
8 第一通路
9 第一開閉弁
10 第二通路
11 第二開閉弁
12 ポンプ
16 供給通路
17 逆止弁
18 整流通路
19 吸込通路
21 排出通路
22 可変リリーフ弁
44 地点情報取得部
Af1,Af2 前側振動抑制力発生源としてのアクチュエータ
Ar1,Ar2 後側振動抑制力発生源としてのアクチュエータ
B 車体
Tf 前側台車
Tr 後側台車

Claims (5)

  1. 鉄道車両の前側台車と車体との間に介装される二つ以上の前側振動抑制力発生源と、上記鉄道車両の後側台車と上記車体との間に介装される二つ以上の後側振動抑制力発生源を備え、上記車体のヨー方向の振動を抑制するヨー抑制力を求めて上記前側振動抑制力発生源と上記後側振動抑制力発生源とを制御して上記車体の振動を抑制する鉄道車両用制振装置であって、
    上記鉄道車両が曲線区間を走行中であることを認識すると、上記前側振動抑制力発生源の少なくとも一部と上記後側振動抑制力発生源の少なくとも一部に上記ヨー抑制力を出力させ、上記前側振動抑制力発生源の残りの全部と上記後側振動抑制力発生源の残りの全部をパッシブダンパとして機能させ、上記鉄道車両が曲線区間以外を走行中であることを認識すると、上記前側振動抑制力発生源の少なくとも一部と上記後側振動抑制力発生源の少なくとも一部に上記ヨー抑制力を出力させ、上記前側振動抑制力発生源の残りの全部と上記後側振動抑制力発生源の残りの全部に上記車体のスエー方向の振動を抑制するスエー抑制力を出力させることを特徴とする鉄道車両用制振装置。
  2. 上記鉄道車両が曲線区間を走行中であることを認識すると、上記スエー抑制力を出力させる前側振動抑制力発生源と後側振動抑制力発生源をパッシブダンパとして機能させることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用制振装置。
  3. 上記前側振動抑制力発生源および上記後側振動抑制力発生源は、通電不能時にパッシブダンパ機能を発揮するアクチュエータであることを特徴とする請求項1から2のいずれか一項に記載の鉄道車両用制振装置。
  4. 上記鉄道車両の走行位置情報である地点情報を取得する地点情報取得部を備え、当該地点情報から当該鉄道車両が走行中の区間が曲線区間であるか否かを認識することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の鉄道車両用制振装置。
  5. 上記前側振動抑制力発生源および後側振動抑制力発生源は、シリンダと、当該シリンダ内に摺動自在に挿入されるピストンと、上記シリンダ内に挿入されて上記ピストンに連結されるロッドと、上記シリンダ内に上記ピストンで区画したロッド側室とピストン側室と、タンクと、上記ロッド側室と上記ピストン側室とを連通する第一通路の途中に設けた第一開閉弁と、上記ピストン側室と上記タンクとを連通する第二通路の途中に設けた第二開閉弁と、上記タンクから上記ロッド側室へ液体を供給するポンプと、上記ロッド側室を上記タンクへ接続する排出通路と、当該排出通路の途中に設けられた開弁圧を変更可能な可変リリーフ弁と、上記タンクから上記ピストン側室へ向かう液体の流れのみを許容する吸込通路と、上記ピストン側室から上記ロッド側室へ向かう液体の流れのみを許容する整流通路とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の鉄道車両用制振装置。
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