JP3825523B2 - 洗浄処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体ウエハなどの基板を処理する装置に係わり、特に基板の洗浄処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体ウエハや液晶基板などの基板を製造する製造工程においては、これらの基板に対して薬液などの処理液にて基板上に回路パターンを形成するための基板処理を行い、そしてこの処理後に基板に残留する処理液を除去する洗浄処理が繰り返し行われる。
【0003】
このような処理液による基板処理やこの基板の洗浄を良好に繰り返し行うために、これらの製造工程においては洗浄処理装置が用いられている。この洗浄処理装置は基板に対して処理液による処理を行った後に基板の上面側に設けられたノズルなどから洗浄液を供給しながら高速回転させることで洗浄処理を行う。ついで、洗浄液の供給を止めてこの基板を高速回転させることで、この基板に残留する洗浄液を遠心力にて除去する乾燥処理が行われる。
【0004】
図4に示すように、この洗浄処理装置1は、上面側に上記基板2を載戴する回転体3を有し、この回転体3に載戴された基板2に対してこの回転体3の上方に位置するノズル4から洗浄処理のための洗浄液が供給され、洗浄処理が行われるようになっている。
【0005】
上記回転体3は、上記基板2を単にこの上面側に載戴する構成であり、この回転体3への上記基板2の載戴時には上記基板2の下面側を汚染させないため、この回転体3の上面は凹状曲面に形成され、それによって上記基板2の下面と回転体3の上面とが面接触しないようにしている。つまり、上記基板2はこの基板2の外周端部のみで支持されて下面が上記回転体3と接触しないようになっている。
【0006】
この回転体3の下面中心部には被駆動軸3aが垂設され、この被駆動軸3aの下端部はモータ5の駆動軸6とカップリング6aによって連結されて回転自在に設けられている。上記駆動軸6と回転軸3aとはカップリング6bによって結合されている。そのため、このモータ5が回転駆動を行えば上記回転体3が連動して回転駆動されるように設けられている。
【0007】
上記回転軸3aはベアリングなどの一対の軸受7を介して筒状の固定軸8によって回転自在に支持されている。この固定軸8は、例えばモータ5の本体などの固定物に取り付けられており、そのため自らは回転せず上記回転軸3aの回転駆動を良好に行えるように支持されている。この固定軸8の内部には上記回転体3に載戴される基板2の裏面に対してN2 などの気体を供給する供給路9が形成されている。またベアリングなどの軸受7の機械的な回転摺動により発生するパーティクルなどが上記基板2の裏面側に回り込まないように吸引する吸引路10が上記供給路9と同様にこの固定軸8内部に形成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上記のような構成の洗浄処理装置では、N2 などの気体を上記基板の裏面に供給し、この気体の供給圧力によって上記基板の裏面側への洗浄処理液の回り込みを防止する構成となっている。
【0009】
このような構成では、上記洗浄処理液の基板の裏面側への回り込みを防止するために大量のN2 の供給が必要となる。しかしながら、大量のN2 を上記基板の裏面側に供給すると、上述の構成では上記基板は単に上記回転体に載戴されてなんら保持手段が設けられていない構成のため、この大量のN2 の供給によって上記基板が浮き上がり、よって安定的に洗浄処理が行えないという問題が生じる。
【0010】
このような上記基板の浮き上がりを防止するために、N2 の供給を上記基板が浮き上がらない程度に制限すると、今度は上記基板の裏面側に上記洗浄液の回り込みが発生し、このため上記基板の裏面側に洗浄液が付着してしまう。この洗浄液は通常基板の表面側の洗浄処理を行ったものであり、この液中に大量のパーティクルを含んでいるから、上記基板の裏面側に洗浄液とともにパーティクルが付着することとなる。上記基板の裏面側にパーティクルが付着すると、この基板の裏面側を洗浄処理しなければならなく、また表面に付着した洗浄液が乾燥してしまうと、パーティクルが固着してしまうから、容易に洗浄除去できないということもある。
【0011】
さらに、上記基板の裏面側に洗浄液が回り込んだ場合、この基板の裏面側にこの洗浄液が付着するのみならず、上記回転軸3aと固定軸8との隙間へ洗浄液が侵入し、この場合には洗浄液がモータやベアリングなどの軸受に到達して、これらを破損してしまうといった不具合も生じている。
【0012】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、
固定軸と回転軸の間に洗浄液が侵入せず、かつこの基板の裏面に洗浄液が回り込まない洗浄処理装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、被洗浄物を回転させながら洗浄処理する洗浄処理装置において、上部に被洗浄物が保持され、中心部側に通孔が設けられる回転体と、内部を中空とする筒状に形成されて上記回転体の下面側に一体的に設けられた回転軸と、上記筒状の回転軸の内部に挿通され、上記回転軸を回転自在に支持するとともに、上端が上記回転体の通孔から突出して設けられた固定軸と、上記回転軸を回転駆動させる駆動手段と、上記固定軸に設けられ、かつ上記回転体の下方側に位置するとともに上記筒状回転軸の内部に納められ、回転体の上記通孔を介して固定軸外周面と回転軸内周面との間へ侵入する洗浄液を受け止める液受部と、を具備したことを特徴としている。
【0014】
請求項2記載の発明は、上記液受部には、この液受部に上記洗浄液の侵入を検出する検出手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の基板洗浄装置である。
【0015】
請求項3記載の発明は、被洗浄物を回転させながら洗浄処理する洗浄処理装置において、上部に被洗浄物が保持される回転体と、上記回転体の上面周辺部に設けられ、この回転体に保持された被洗浄物の外周部下面に離間対向する第1の突起体と、内部を中空とする筒状に形成されて上記回転体の下面側に一体的に設けられた筒状の回転軸と、上記回転軸の内部に挿通され、上記回転軸を回転自在に支持するとともに、上端が上記回転体の中心部側に形成された通孔から突出して設けられた固定軸と、上記回転軸を回転駆動させる駆動手段と、を具備したことを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明は、被洗浄物を回転させながら洗浄処理する洗浄処理装置において、上部に被洗浄物が保持される回転体と、内部を中空とする筒状に形成されて上記回転体の下面側に一体的に設けられた回転軸と、上記回転軸の内部に挿通され、上記回転軸を回転自在に支持するとともに、上端が上記回転体の中心部に形成された通孔から突出して設けられた固定軸と、上記回転軸を回転駆動させる駆動手段と、上記固定軸の上記回転体の下方側に位置する部分に設けられ、この固定軸と回転体との隙間へ侵入する洗浄液を受け止める液受部とを具備し、上記回転体には、この回転体に保持された被洗浄物の外周部下面に離間対向する突起体が設けられたことを特徴とする洗浄処理装置である。
【0017】
請求項5記載の発明は、上記回転体の上面には、上記第1の突起体よりも径方向内方に第2の突起体が設けられたことを特徴とする請求項3記載の洗浄処理装置である。
請求項6の発明は、被洗浄物を回転させながら洗浄処理する洗浄処理装置において、上部に被洗浄物が保持され、中心部側に通孔が設けられる回転体と、この回転体に設けられ、回転体に保持された被洗浄物の外周部下面に離間対向する突起体と、内部を中空とする筒状に形成されて上記回転体の下面側に一体的に設けられた回転軸と、上記筒状の回転軸の内部に挿通され、上記回転軸を回転自在に支持するとともに、上端が上記回転体の通孔から突出して設けられた固定軸と、上記回転軸を回転駆動させる駆動手段と、上記固定軸に設けられ、かつ上記回転体の下方側に位置するとともに上記筒状回転軸の内部に納められ、回転体の上記通孔を介して固定軸外周面と回転軸内周面との間へ侵入する洗浄液を受け止める液受部とを具備したことを特徴としている。
【0018】
請求項1の発明によると、上記固定軸の回転体の下方側には、回転体の通孔を介して固定軸周面と回転軸内周面との間に侵入する洗浄液を受け止める液受部を、筒状の回転軸内部に納めた状態で設けた構成のため、上記隙間から侵入した洗浄液この液受部で確実に受け止めて、この液受部よりも下方側の内部構造に上記洗浄液を侵入させることがなくなる。よってこの内部構造が上記洗浄液の侵入によって破損されるといった不具合の発生を防止することが可能となる。
【0019】
請求項2の発明によると、上記液受部にはこの液受部に上記洗浄液の侵入を検出する検出手段が設けられた構成のため、上記洗浄液の内部への侵入をこの検出手段にて直ちに検出可能となっている。そのためこの検出を認識すれば、上記洗浄液の供給や洗浄処理自体の駆動もこれに応じて調整可能である。
【0020】
請求項3の発明によると、上記回転体の上面周辺部にはこの回転体に保持された被洗浄物の外周部の下面と近接に対向する第1の突起体が設けられた構成のため、この第1の突起体によって上記洗浄液の上記基板の裏面側への回り込みが防止され上記洗浄液がこの裏面側に付着しにくくなる。
【0021】
請求項4の発明によると、上記回転体の下方側の固定軸に液受部が設けられたのに加えて、さらに上記回転体の上面周辺部にはこの回転体に保持された被洗浄物の外周部下面と近接に対向する第1の突起体が設けられた構成のため、上記洗浄液の上記基板の裏面側への回り込みを防止するとともに、この回転体の下方側に上記洗浄液が侵入した場合でも液受部によってこの洗浄液を受け止めて、この液受部よりも下方側の内部構造に上記洗浄液の侵入を防止することが可能となる。そのためより一層洗浄液の侵入を防止可能な構成となっている。
【0022】
請求項5の発明によると、上記回転体の上面には、上記第1の突起体よりも径方向内方に第2の突起体が設けられた構成のため、上記第1の突起体によっても表面張力などにより洗浄液の侵入が防止できなかった場合でも、この第2の突起体により上記洗浄液を内部構造に侵入させるのを防止可能となる。
請求項6の発明によると、回転体の上面に設けられた突起体が洗浄液の基板の裏面側への回り込みを防止し、かつ回転体の下方側に上記洗浄液が侵入した場合でも液受部が洗浄液を受け止めて、液受部よりも下方側の内部構造への洗浄液の侵入を防止する、一層洗浄液の侵入を防止可能な構成となっている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施の形態について、図1ないし図3を参照しながら説明する。
図1に示すように、洗浄処理装置20の上部側には、半導体ウエハや液晶基板などの基板21を載戴する回転体22が設けられており、この回転体22はこの下面中心部に内部を中空とした筒体の内筒回転軸23が連結されている。この内筒回転軸23の内部には固定軸24が挿通され、この固定軸24によって上記内筒回転軸23およびこの内筒回転軸23に連結されている回転体22が回転自在に支持される構成となっている。
【0024】
上記回転体22は中心部側に通孔25が形成されており、この通孔25から上記回転体22の上方側に上記固定軸24の上端部が突出する構成となっている。したがって、通孔25と固定軸24上部周面とは隙間が形成されている。上記回転体22の上面には、上方に上記基板21を載戴した場合、この載戴した基板21の外周部と対向する位置に、形状を環状とする第1の突起体26が形成されている。この第1の突起体26が形成されたために、上記基板21の裏面側に上記基板21の表面側を洗浄処理するための洗浄液が回り込み難い構成となっている。
【0025】
さらに、この回転体22に上記第1の突起体26よりも径方向の内方に第2の突起体27が設けられている。この第2の突起体27は、上記第1の突起体26と同様に上記基板21の裏面側に近接対向するように設けられているが、この第2の突起体27は上記第1の突起体26と比較して突出高さが低く形成されていても構わない。すなわち、上記回転体22に形成された通孔25側に洗浄液の侵入を防止するような高さであれば上記第1の突起体26よりも低く形成されていても構わない。
【0026】
このような第1の突起体26および第2の突起体27が設けられた構成のため、この回転体22の第1の突起体26および第2の突起体27の間の部分はあたかも溝が形成された状態となっており、そのため上記第1の突起体26を越えて洗浄液が侵入しても、この溝の部分に洗浄液が蓄えられて、この第2の突起体27よりも径方向の内方の通孔25を通じて上記内筒回転軸23内部に上記洗浄液が侵入するのを防止する構成となっている。この回転体22はこのような第1の突起体26および第2の突起体27などの凹凸が形成された略円板形状となっており、この中央部に上記固定軸24を連通させる通孔25が設けられた構成となっている。
【0027】
上端部が上記通孔25から突出して設けられている固定軸24は、下端部が洗浄処理装置20の固定部20aに連結されて回転しない構成となっている。この通孔25と近接して突出した固定軸24の上端部は、本実施の形態では形状が他の部分よりも大径で上記通孔25を覆う円板形状の遮へい板24aに形成されており、この遮へい板24aの下方側と上記回転体22の通孔25の周辺部とは非接触で僅かな隙間を有して近接している。
【0028】
また上記通孔25の外周部には、上記固定軸24と対向する円筒形状のガイド体28がこの固定軸24に沿って所定寸法だけ下方へ突出して形成されており、このガイド体28に沿って上記第2の突起体27をも越えて通孔25へ侵入してきた洗浄液をガイドしてこのガイド体28と固定軸24との間に導入するようになっている。
【0029】
このガイド体28は、固定軸24の中途部に形成された円筒形状の液受部29の内部側に非接触で挿入されている。すなわち、この液受部29は上記固定軸24の中途部から外方側に向かって広がるように底面が形成され、この底面から円筒形状を形成する側面部が上方に向かって形成され、かつこの液受部29の上面は開放して形成されており、この液受部29の上面側から上記ガイド体28がこの液受部29の内部に向かい所定寸法だけ挿入されている。換言すれば、上記液受部29は通孔25とガイド体28との隙間を完全に覆うスペースを備えていて、洗浄液が上記通孔25を介して侵入してきても、この洗浄液を上記液受部29で確実に受け止めてこの下方側に洗浄液を侵入させない構成となっている。
【0030】
このような液受部29には、底面に上記洗浄液の侵入を検出する検出手段としての検出センサ30が設けられている。この検出センサ30は、本実施の形態では図示しない制御装置に接続されており、この検出センサ30が洗浄液の侵入を検出すれば、例えば警報を出したり上記回転軸23を回転駆動する後述するモータ36の作動を直ちに止めて上記基板21の回転を停止するとともに、後述するノズル55からの洗浄液の供給も停止するように作動する。
【0031】
本実施の形態では、上記固定軸24は、上記液受部29よりも下方側の部分が上方側の部分より大径に形成されており、この大径となった部分で上記内筒回転軸23を一対の軸受31により回転自在に支持する構成となっている。
【0032】
このような固定軸24の内部側には、上記回転体22に基板21が載戴された場合に、例えばN2 などの気体をこの基板21の裏面側に供給するための気体供給路32が形成されている。この気体供給路32は、本実施の形態ではこの固定軸24の下端から上端に向かい上下方向に垂直に連通して形成されており、また、この下端側から上記気体供給路32は、例えばN2 などの気体の図示されない供給源に連結されている。また、上記軸受31は機械的な摺動を行いながら回転駆動するものであるため、この回転駆動に伴ってパーティクルが発生したりするが、このパーティクルを吸引するために、上記固定軸24内部には吸引路33が形成されて、この軸受31付近を真空吸引して上記パーティクルを除去するようになっている。
【0033】
上記固定軸24に回転自在に支持されている内筒回転軸23の下端部には、従動プーリ34が形成されている。この従動プーリ34と駆動源であるモータ36に取り付けられた駆動プーリ37とにはベルト35が張設されている。そのためこのモータ36が回転駆動を行えば、従動プーリ34が回転駆動され、この回転駆動に伴って上記内筒回転軸23およびこの内筒回転軸23の上方に取り付けられている回転体22も回転駆動されるようになっている。また、上記モータ36および駆動プーリ37は上記内筒回転軸23の径方向外方に設けられている。そのため、この内筒回転軸23内部に上記洗浄液が侵入して下方側に伝達してきても、上記モータ36にこの洗浄液が直接到達しない構成となっている。
【0034】
上記内筒回転軸23の外周には外筒回転体38がこの内筒回転軸23に接触しながら回転自在に設けられている。
この外筒回転体38の上端には、鍔部38aが形成されており、この鍔部38aは、上記外筒回転体38から所定寸法だけ外方に向かい水平に形成されている。この鍔部38aには、上記基板21を保持するための保持部39が設けられており、この鍔部38aから外方側に、かつ上記回転体22へと向かって設けられている。
【0035】
図2、図3に示す保持部39の構成について、以下に述べる。この鍔部38aには支持ピン40を支点として第1のレバー41の一端側が回転自在に取り付けられており、さらにこの第1のレバー41の他端側に、支持ピン42を支点として第2のレバー43が回転自在に取り付けられている。この第2のレバー43の他端側には保持板44の下面に垂設された支軸44aに取り付けられており、この支軸44aが上記回転体22に形成された挿通孔45に回転自在に支持されている。
【0036】
上記保持板44は円板形状に形成されており、この上面の偏心位置には偏心回転することで基板21の外周部に接触する基板支持ピン46が設けられた構成となっている。本実施の形態では、このような保持部39が上記外筒回転体38に3個程設けられた構成となっている。
【0037】
また上記回転体22の周辺部で、上記保持部39の間には上記基板21の下面周辺部を支持する基板支持機構47が3個設けられている。この基板支持機構47は円板47aよりも内周側に爪部47bが形成されており、この爪部47bに上記基板21を載戴する構成となっている。この基板支持機構47は上下動自在となっており、そのため上記基板21をこの上に載戴して、自在の高さに調整可能となっている。すなわち、外部のロボットなどから上記基板21の供給が容易となる位置から、上記保持部39での基板21の保持が良好に行える位置まで、この基板支持機構47は自在に高さを調整可能となっている。
【0038】
本実施の形態では、この保持部39と基板支持機構47とが上記回転体22の周方向に沿って所定間隔で交互に設けられている。
また図3に示すように、この外筒回転体38の外周面には、外方に向かって突出する第1の係止片48が形成されており、さらに上記内筒回転軸23にも外方に向かって突出する第2の係止片49が形成されている。この場合、上記外筒回転体38の一部が、例えば所定の長さだけ周方向に切欠されて上記第2の係止片49を外方側へ突出可能な構成となっている。
【0039】
この第1の係止片48と第2の係止片49との間には、バネ50が張設されており、上記第1の係止片48と第2の係止片49とがこのバネ50の付勢力によって接近方向に付勢されていると、上記基板支持ピン46が偏心回転して上記基板21の外周面に当接し、この基板21を保持するようになっている。
【0040】
このバネ50の付勢力により保持された上記基板21の保持を解除するには、シリンダ51によって行われる。すなわち図3に示すように、このシリンダ51にはピストンロッド52がスライド自在に設けられており、このピストンロッド52の先端にはローラ体53が取り付けられている。このピストンロッド52が上記シリンダ51から突出する方向に付勢されると、上記ローラ体53が上記第1の係止片48を押圧し、上記外筒回転体38を矢印方向に回転させる。
【0041】
この場合、上記モータ36には、例えばロック機構などが備えられており、このロック機構によりこのモータ36と連動する内筒回転軸23に設けられた上記第2の係止片49はロックされて上記第1の係止片48を介して外筒回転体38だけが上記ローラ体53によって矢印方向に回転させられる。それによって、上記保持板44が第1、第2のレバー41,43を介して矢印方向に回転するから、基板保持ピン46が基板21の外周面から離れる方向に偏心回転する。つまり、上記基板21の保持が解除されるようになっている。
【0042】
またこの回転体22の外部側には、上記基板21を高速回転させた場合にこの基板21からの洗浄液などの外部への飛散を防止するための液受カップ54が形成されている。
【0043】
このような洗浄処理装置20の上方側には、上記回転体22上に載戴された基板21に洗浄液を供給するためのノズル55が上記回転体22と所定距離を有して設けられている。
【0044】
以上のような構成を有する洗浄処理装置20の作用について、以下に説明する。
洗浄処理装置20の回転体22上に供給された基板21は、基板支持機構47によって下面周辺部が支持される。この上記基板支持機構47を上下動させることで、基板21を適宜の高さとなるように調整する。この場合、上記保持部39は基板21の保持を解除する状態となっており、そのため容易に上記基板21を載戴可能となっている。
【0045】
そして上記第1の係止片48を押圧しているシリンダ51のロックの解除を行うと、バネ50の復元力によって上記保持部39が上記基板21の保持を行う。この場合、上記ピストンロッド52が伸長した状態からスライドして収縮すると、上記第2の係止片49を押圧しているローラ体53が、上記第2の係止片49の押圧を解除しつつ移動し、そのため上記バネ50の復元力により、上記第1の係止片48が上記第2の係止片49に向かって回転移動することとなる。
【0046】
ここで、上記バネ50の復元力を解除すると、上記保持板44に形成された基板支持ピン46が基板21の径の内方に向かって作動し、このバネ50の復元力が残留する所定位置で上記基板21に当接して保持を行う。
【0047】
このようにして基板21の保持を行った後、モータ36を回転駆動させ上記内筒回転軸23およびこれに連結されている回転体22を回転駆動させる。このように基板21を回転駆動させた後、上記基板21の裏面側に例えばN2 などの気体を上記気体供給路32を介して供給する。次に上記基板21の上方側の上記ノズル55から上記基板21の上面側に洗浄液を供給する。
【0048】
この場合、上記基板21の裏面側にN2 などの気体が供給されるものであるため、上記洗浄液のこの裏面への回り込みをこの気体の供給圧によってある程度防止できるようになっている。
【0049】
ここで、このような気体の供給によっても上記基板21の裏面側に洗浄液が回り込もうとした場合、上記回転体22に形成された第1の突起体26と基板21の下面周辺部との間に洗浄液が環状膜を形成するから、洗浄液がそれ以上基板21の裏面側へ回り込むことがほとんどない。
【0050】
このような第1の突起体26を乗り越えて洗浄液が上記基板21の裏面側へ回り込んだ場合、上記回転体22の上記第1の突起体26よりも径の内方側に形成された第2の突起体27によって上記洗浄液がこの第2の突起体27よりも内方側に侵入するのが防止される。すなわちこの場合には、上記第1の突起体26および第2の突起体27の間が回転体22に形成された溝状となっており、このため上記洗浄液が侵入してきた場合でも、この溝状の部分に洗浄液を蓄えてそれ以上内部に侵入するのを防止する。
【0051】
洗浄液が上記第2の突起体27を乗り越えてさらに径方向内方側へ侵入してきた場合、回転体22の通孔25へ流入することになる。しかしながらこの通孔25の下方で、固定軸24の外周面には液受部29が形成されている。そのため通孔25へ流入した洗浄液は、液受部29にて受け止められる。この液受部29には検出センサ30がこの底面部に設けられており、この液受部29に上記洗浄液が侵入してきた場合に直ちにこの検出センサ30にて検出するように設けられている。
【0052】
ここで本実施の形態では、この検出センサ30で上記洗浄液の侵入を検出すると、この検出センサ30に連結されている図示しない制御装置にこの洗浄液の侵入が伝達され、この洗浄液の侵入情報の伝達によってこの制御装置が警報を出したり、上記モータ36の回転駆動を停止し、かつ上記ノズル55からの洗浄液の供給を停止する。
【0053】
そのため、液受部29への洗浄液の侵入を確実に検知できるから、洗浄液が液受部29からオーバーフローして軸受31の部分へ侵入するのを確実に防止することができる。よってこの内部に洗浄液が侵入し、内部の軸受31がこの洗浄液などで腐食されたりするなどの不具合が発生しなくなり、上記洗浄処理装置20の回転駆動を長期に亘って良好とすることが可能となる。
【0054】
上記ノズル55によって上記洗浄液の供給をしばらく行った後に上記洗浄液の供給を停止し、そして上記モータ36を高速で回転駆動させ、基板21に存する洗浄液などの水分の除去を行う。この場合、上記基板21上に存する水分はこの基板21の高速回転に伴う遠心力によって飛散され、この洗浄処理装置20の最外部側に設けられた液受カップ54にて集収されて、この洗浄処理装置20の外部に排出されるようになっている。
【0055】
このようにして上記基板21の洗浄処理および基板21の乾燥を行った後、上記モータ36の回転駆動を停止させ、この基板21の回転による洗浄処理を停止させる。そしてこの基板21の回転を停止させた後に、上記基板21の保持部39による保持を解除する。
【0056】
すなわち保持状態では、上記バネ50の付勢力によって上記第1の係止片48と第2の係止片49とが弾性的に拘束されており、この第1の係止片48と第2の係止片49の間隔に連動する保持部39の保持ピン46が上記基板21の外周面を押圧して保持している。この場合、シリンダ51の押圧により、第1の係止片48と第2の係止片49の間隔を広げれば、上記第2の係止片49が押圧されて外筒回転体38に設けられた支持ピン40が移動し、このため第1のレバー41が図3の矢印に示すように内方へ向かって閉じるように作動する。また、これに伴って上記第2のレバー43は外方に向かって開くように作動し、そのためこの第2のレバー43と連動して保持板44および基板支持ピン46も図3の矢印に示すように外方側へ向かって開放するように作動する。
【0057】
このような作動により、上記保持部39に保持されている基板21の保持が解除され、洗浄処理および乾燥を行った基板21を外方へ取り出すことが可能となっている。
【0058】
以上、本発明の一実施の形態についてのべたが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下それについて述べる。
上記実施の形態では基板支持機構47が3個、保持部39が3個設けられた構成となっているが、この基板支持機構47および保持部39の個数はこれに限定されるものではない。また、この基板支持機構47と保持部39とは上記実施の形態の構成に限定されずに、例えば上記基板支持機構47と保持部39との機能を併せ持つ機構によって上記基板21を支持する構成であっても構わない。
【0059】
さらに、上記実施の形態では第1の突起体26および第2の突起体27を回転体22に設けた構成となっているが、この回転体22には第1の突起体26あるいは第2の突起体27のみが設けられる構成であっても構わなく、また回転体22に複数の突起体が設けられている構成であっても構わない。
【0060】
また、上記実施の形態では上記第1の突起体26、第2の突起体27および液受部29、検出センサ30の全てが設けられた構成となっているが、これらのうちいずれか一つのみを設けた構成(ただし検出センサ30は液受部29が形成された場合に限られる)やこれらを組み合わせた構成でもよい。
その他、要旨を変更しない範囲において種々変形可能となっている。
【0061】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1記載の発明によれば、上記固定軸の回転体の下方側には、回転体の通孔を介して侵入する洗浄液を受け止める液受部が、筒状の回転軸内部に納められた状態で設けられたため、上記隙間から侵入した洗浄液はこの液受部で確実に受け止められて、この液受部よりも下方側の内部構造に上記洗浄液を侵入させることがなくなる。よって、この内部構造が上記洗浄液の侵入により損傷されることを防止できる。
【0062】
請求項2記載の発明によれば、上記液受部にはこの液受部に上記洗浄液の侵入を検出する検出手段が設けられたため、上記洗浄液が内部に侵入しても、この侵入をこの検出手段にて直ちに検出できる。そのためこの検出によって、上記洗浄液が液受部からオーバーフローするのを防止できる。
【0063】
請求項3記載の発明によれば、上記回転体の上面周辺部にはこの回転体に保持された被洗浄物の外周部の下面に対向する第1の突起体が設けられたため、この第1の突起体によって上記洗浄液が上記基板の裏面へ回り込んで上記洗浄液が付着しにくくなる。
【0064】
請求項4記載の発明によれば、上記回転体の下方側の固定軸に液受部を設けたのに加えて、さらに上記回転体の上面周辺部にはこの回転体に保持された被洗浄物の外周部下面を近接に対向する第1の突起体が設けられたため、上記洗浄液の上記基板の裏面側への回り込みを防止するとともに、この回転体の下方側に上記洗浄液が侵入した場合でも液受部によってこの洗浄液の内面側への侵入を防止できる。そのためこの内部構造の破損をより一層防止可能となる。
【0065】
請求項5記載の発明によれば、上記回転体の上面には、上記第1の突起体よりも径方向内方に第2の突起体が設けられたため、上記第1の突起体によっても洗浄液の侵入が防止できなかった場合にも、この第2の突起体により上記洗浄液を内部構造に侵入させるのを防止することが可能となる。
請求項6の発明によれば、回転体の上面に設けられた突起体が洗浄液の基板の裏面側への回り込みを防止し、かつ回転体の下方側に上記洗浄液が侵入した場合でも液受部が洗浄液を受け止めて、液受部よりも下方側の内部構造への洗浄液の侵入を防止する、一層洗浄液の侵入を防止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる洗浄処理装置の構成を示す正面断面図。
【図2】同実施の形態に係わる洗浄処理装置の構成を示す平面図。
【図3】同実施の形態に係わる洗浄処理装置の基板の保持状態の調節構造を示す部分断面図。
【図4】本発明の従来例に係わる洗浄処理装置の構成を示す正面断面図。
【符号の説明】
20…洗浄処理装置
21…基板
22…回転体
23…内筒回転軸
24…固定軸
26…第1の突起体
27…第2の突起体
29…液受部
30…検出センサ
36…モータ
38…外筒回転体
39…保持部
44…保持ピン
46…基板支持ピン
47…基板支持機構
51…シリンダ
55…ノズル

Claims (6)

  1. 被洗浄物を回転させながら洗浄処理する洗浄処理装置において、
    上部に被洗浄物が保持され、中心部側に通孔が設けられる回転体と、
    内部を中空とする筒状に形成されて上記回転体の下面側に一体的に設けられた回転軸と、
    上記筒状の回転軸の内部に挿通され、上記回転軸を回転自在に支持するとともに、上端が上記回転体の通孔から突出して設けられた固定軸と、
    上記回転軸を回転駆動させる駆動手段と、
    上記固定軸に設けられ、かつ上記回転体の下方側に位置するとともに上記筒状回転軸の内部に納められ、回転体の上記通孔を介して固定軸外周面と回転軸内周面との間へ侵入する洗浄液を受け止める液受部と、
    を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
  2. 上記液受部には、この液受部に上記洗浄液の侵入を検出する検出手段が設けられたことを特徴とする請求項1記載の基板洗浄装置。
  3. 被洗浄物を回転させながら洗浄処理する洗浄処理装置において、
    上部に被洗浄物が保持される回転体と、
    上記回転体の上面周辺部に設けられ、この回転体に保持された被洗浄物の外周部下面に離間対向する第1の突起体と、
    内部を中空とする筒状に形成されて上記回転体の下面側に一体的に設けられた筒状の回転軸と、
    上記回転軸の内部に挿通され、上記回転軸を回転自在に支持するとともに、上端が上記回転体の中心部側に形成された通孔から突出して設けられた固定軸と、上記回転軸を回転駆動させる駆動手段と、
    を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
  4. 被洗浄物を回転させながら洗浄処理する洗浄処理装置において、
    上部に被洗浄物が保持される回転体と、
    内部を中空とする筒状に形成されて上記回転体の下面側に一体的に設けられた回転軸と、
    上記回転軸の内部に挿通され、上記回転軸を回転自在に支持するとともに、上端が上記回転体の中心部に形成された通孔から突出して設けられた固定軸と、
    上記回転軸を回転駆動させる駆動手段と、
    上記固定軸の上記回転体の下方側に位置する部分に設けられ、この固定軸と回転体との隙間へ侵入する洗浄液を受け止める液受部とを具備し、
    上記回転体には、この回転体に保持された被洗浄物の外周部下面に離間対向する突起体が設けられたことを特徴とする洗浄処理装置。
  5. 上記回転体の上面には、上記第1の突起体よりも径方向内方に第2の突起体が設けられたことを特徴とする請求項3記載の洗浄処理装置。
  6. 被洗浄物を回転させながら洗浄処理する洗浄処理装置において、
    上部に被洗浄物が保持され、中心部側に通孔が設けられる回転体と、
    上記回転体に設けられ、この回転体に保持された上記被洗浄物の外周部下面に離間対向する突起体と、
    内部を中空とする筒状に形成されて上記回転体の下面側に一体的に設けられた回転軸と、
    上記筒状の回転軸の内部に挿通され、上記回転軸を回転自在に支持するとともに、上端 が上記回転体の通孔から突出して設けられた固定軸と、
    上記回転軸を回転駆動させる駆動手段と、
    上記固定軸に設けられ、かつ上記回転体の下方側に位置するとともに上記筒状回転軸の内部に納められ、回転体の上記通孔を介して固定軸外周面と回転軸内周面との間へ侵入する洗浄液を受け止める液受部と、
    を具備したことを特徴とする洗浄処理装置。
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