JP3825289B2 - 作業機械のエンジン制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの停止、再始動に特徴を有する作業機械のエンジン制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の省エネルギ、低排気ガス技術としては、油圧ショベルなどの作業機械を運転しない場合に、自動的にエンジン回転速度(以下、回転速度を「回転数」という)を下げるオートマチック・エンジンスピード・コントロール装置(いわゆるAEC装置)や、オペレータが操作を始めると、自動的にエンジン回転数を元の設定回転数まで上げる装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、作業機械を運転しない場合に、自動的にエンジンを停止させることはない。また、トラックや乗用車について、環境意識の高まりより、アイドリングストップ運動が言われているが、これはキースイッチを切るものであり、作業機械で、これを実行することは容易でない。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、アイドリングストップ運動の考え方を作業機械に適用し、オペレータの意志によらずに、あるいは意志により、キースイッチを操作することなく容易に、エンジンアイドリング運転を停止したり、エンジンを再始動できる作業機械のエンジン制御装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明は、作業機械に搭載されたエンジンと、作業機械に装備された作業操作用のコントロールレバーと、作業機械のコントロールレバーの操作されない状態が設定された時間を超えたときはアイドリング運転中のエンジンを自動的に停止させる制御手段とを具備した作業機械のエンジン制御装置である。
【0006】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の作業機械のエンジン制御装置における運転中のエンジンが、発電機を駆動し、発電機は、作業機械に搭載されたバッテリを充電し、発電機およびバッテリは、作業機械に装備されたエアコンディショナおよびその他の電装品に電力を供給し、制御手段は、エアコンディショナが運転中の場合、バッテリ電圧が規定以下の場合、作動機械全体の使用電力量が規定以上の場合の少なくとも1つにより、エンジンの運転を継続させる作業機械のエンジン制御装置である。
【0007】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の作業機械のエンジン制御装置において、エンジンを始動するスタータモータを備え、制御手段は、アイドリング運転停止中のコントロールレバーのレバー操作によりスタータモータを起動するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1および図2に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は、油圧ショベルなどの作業機械のエンジン制御装置を示すブロック図であり、作業機械に搭載されたエンジン11は、機体コントローラなどの制御手段12により、始動、停止およびエンジンスピードなどが制御される。
【0010】
エンジン11の始動は、バッテリ13からキースイッチ14を介してエンジン11を始動するスタータモータ15に電力を供給する一般的な回路だけでなく、制御手段12からの制御信号によりオン・オフ制御されるスイッチング素子16を介してスタータモータ15に電力を供給する回路によっても制御可能とする。バッテリ13は制御手段12にも接続され、バッテリ13の電圧を制御手段12によりチェック可能となっている。
【0011】
エンジン11の停止およびエンジンスピードは、制御手段12から出力された制御信号で作動される電子ガバナ17と、この電子ガバナ17により燃料噴射量を制御する燃料噴射ポンプ18と、エンジンスピードを検出して制御手段にフィードバックするエンジンスピードセンサ19とで制御する。
【0012】
エンジン11には、このエンジン11により駆動される発電機21が設けられ、この発電機21は、作業機械に搭載されたバッテリ13を充電し、発電機21およびバッテリ13は、作業機械のキャブ(運転室)内の空調に用いられるエアコンディショナ(以下、単に「エアコン22」という)、および照明用のライトなどのその他の電装品23に電力を供給する。これらのエアコン22や、その他の電装品23は、制御手段12からの制御信号により制御される。
【0013】
制御手段12には、作業機械に装備された作業操作用のコントロールレバー24を操作したことを検知するセンサまたはスイッチ(図示せず)が接続され、そして、制御手段12は、これらのセンサまたはスイッチにより検知されたコントロールレバー24のレバー操作信号によりスイッチング素子16をオンに切換えてスタータモータ15を起動する機能を有する。
【0014】
コントロールレバー24は、油圧回路のコントロールバルブをパイロット制御するリモコン弁の操作レバー、または油圧回路のコントロールバルブを電磁比例弁を介してパイロット制御する電気ジョイスティックである。
【0015】
このコントロールレバー24の先端には、コントロールレバー24を握って操作する手の親指でワンタッチ操作可能のワンタッチ操作ボタン式スイッチ25が設けられ、このワンタッチ操作ボタン式スイッチ25をエンジンアイドリング運転中に1度押すワンタッチ操作で、エンジン停止を指令する電気信号として制御手段12に入力し、また、このワンタッチ操作ボタン式スイッチ25をエンジン停止中に1度押すワンタッチ操作で、スタータモータ15を起動してエンジン再始動を指令する電気信号として制御手段12に入力することができる。
【0016】
また、制御手段12には、入出力手段としてのモニタ26が接続されている。このモニタ26は、設定条件などを制御手段12に入力できるキーパッド部27と、制御手段12から出力された信号をゲージやメッセージの形式で表示するディスプレイ部28とを有している。
【0017】
制御手段12は、作業機械を運転しない時間が、設定された時間継続した場合、自動的にエンジン回転数を下げるオートマチック・エンジンスピード・コントロール装置(いわゆるAEC装置)を内蔵しているが、このAEC装置を働かせるか否かを、モニタ26のキーパッド部27で選択操作でき、AEC装置を機能させたときは、機能させないときより省エネルギ、排気ガス低減を図れる。
【0018】
このような制御系において、制御手段12は、コントロールレバー24の操作されない状態が、設定された時間を超えたときは、アイドリング運転中のエンジン11を自動的に停止させる機能と、オペレータによるワンタッチ操作ボタン式スイッチ25のワンタッチ操作によりアイドリング運転中のエンジン11を強制的に停止させる機能とをそれぞれ有する。エンジン11を停止させる信号は、電子ガバナ17へ出力する。
【0019】
また、制御手段12は、上記のような停止条件でも、エアコン22が運転中の場合、バッテリ13の電圧が規定以下の場合、エアコン22およびその他の電装品23の全体の使用電力量が規定以上の場合の少なくとも1つがあるときは、アイドリング運転中のエンジン11を停止させることなく、エンジン11の発電運転を継続させる機能を有する。
【0020】
一方、制御手段12は、作業機械のオペレータがコントロールレバー24をレバー操作するか、または、コントロールレバー24を操作する手によりワンタッチ操作ボタン式スイッチ25をワンタッチ操作することで、キースイッチ14を操作することなくスイッチング素子16をオンにして、容易にスタータモータ15を起動でき、一時的に停止しているエンジン11を再始動できる。
【0021】
以上のように、油圧ショベルなどの作業機械のオペレータの設定により、従来のAEC機能(機械を運転しない場合に自動的にエンジン回転数を下げる機能)の他に、エンジン停止および再始動の追加機能を組入れ、もう1段上の省エネルギ、排気ガス低減を図る。
【0022】
エンジン停止に関する追加機能としては、作業機械が運転されない状態がある設定時間を超えた場合のエンジン自動停止と、コントロールレバー24のレバー上端に設けられた、エンジンアイドリング運転中はワンタッチエンジン停止ボタンとして機能するワンタッチ操作ボタン式スイッチ25を1度押すなどの手動操作によるワンタッチエンジン停止とがある。
【0023】
エンジン再始動に関する追加機能としては、コントロールレバー24を操作することによりスタータモータ15を起動してエンジン11を再始動するか、またはエンジン停止中はワンタッチエンジン始動ボタンとして機能するワンタッチ操作ボタン式スイッチ25を1度押すことにより、スタータモータ15を起動して、エンジン11を再始動する。
【0024】
さらに、エンジン停止の条件として、エンジン停止が運転上、エンジン11により駆動される発電機21を停止させた場合の不都合につながる以下の場合がないことを、制御手段12は自動的に判別する。
【0025】
すなわち、エンジン11を停止させない条件は、(1)作業機械のキャブ内の空調に用いられるエアコン22を運転中の場合、(2)作業機械に搭載されたバッテリ13の電圧が規定以下の場合、(3)エアコン22およびその他の電装品23の全ての使用電力量が規定以上の場合である。
【0026】
なお、エンジン停止については、オペレータの好みによりモニタ26のキーパッド部27からの入力操作で、エンジン自動停止機能の実施の有無、停止する場合の設定時間の長短、1つのワンタッチ操作ボタン式スイッチ25のワンタッチエンジン停止ボタンとワンタッチローアイドルボタンとの切換(例えば、ワンタッチでローアイドル、ダブルタッチまたは長い押し操作でエンジン停止など)などで、ユーザ設定を種々実施できる仕様とすることも可能である。
【0027】
次に、制御手段12が、作業機械のオペレータによるワンタッチ操作ボタン式スイッチ25のワンタッチ操作を検出してアイドリング運転中のエンジン11を停止させるとともに、コントロールレバー24のレバー操作によりスタータモータ15を起動する場合の機能を、図2に示されたフローチャートを参照しながら説明する。
【0028】
(ステップ1)
エンジン自動停止モードが選択されたか否かが判断される。
【0029】
(ステップ2)
エンジン自動停止モードが選択されない場合(ステップ1でNO)は、エンジン11のアイドリング運転が継続される。
【0030】
(ステップ3)
エンジン自動停止モードが選択された場合(ステップ1でYES)は、エンジン自動停止機能が働き、コントロールレバー24のレバー上端に設けられたワンタッチ操作ボタン式スイッチ25を1度押すなどの手動操作、すなわちワンタッチエンジン停止操作がなされたか否かを判断する。
【0031】
(ステップ4)
ワンタッチエンジン停止操作がなされていない場合(ステップ3でNO)は、エアコン22が停止されているか否かが判断される。
【0032】
(ステップ5)
エアコン22が停止されている場合(ステップ4でYES)は、バッテリ13の電圧が規定以上あるか否かが判断される。
【0033】
(ステップ6)
バッテリ13の電圧が規定以上ある場合(ステップ5でYES)は、エアコン22およびその他の電装品23の全ての使用電力量が規定以下であるか否かが判断される。
【0034】
(ステップ7)
全ての使用電力量が規定以下の場合(ステップ6でYES)は、作業機械が仕事をしない機械無負荷状態での継続時間が規定以上であるか否かが判断される。
【0035】
ステップ4〜7において、エアコン22が運転中の場合(ステップ4でNO)、バッテリ電圧が規定以下の場合(ステップ5でNO)、使用電力量が規定以上の場合(ステップ6でNO)、機械無負荷状態の継続時間が規定以下の場合(ステップ7でNO)は、発電機21を駆動するためのエンジンアイドリング運転を継続する(ステップ2)。
【0036】
(ステップ8)
前記ワンタッチエンジン停止操作がなされた場合(ステップ3でYES)は、エンジン停止命令が出力される。
【0037】
また、ワンタッチエンジン停止操作がなされない場合(ステップ3でNO)でも、ステップ4〜7において、エアコン22が停止され、かつバッテリ13の電圧が規定以上あり、かつ総使用電力量が規定以下であり、かつ機械の無負荷状態の継続時間が規定以上である場合は、エンジン停止命令が出力され、エンジン11は自動的に停止される。
【0038】
(ステップ9)
エンジン停止中でも、例えばコントロールレバー24を操作するなどの機械負荷入力があるか否かが、制御手段12により常に判断される。
【0039】
(ステップ10)
機械負荷入力があると(ステップ9でYES)、スタータモータ15が起動し、エンジン11が再始動する。
【0040】
このようにして、油圧ショベルなどの作業機械のエンジンアイドリング運転を停止させたり、自動始動させるようにすることで、省エネルギ、低排気ガス運転をAEC装置よりさらに推し進め、より一層の環境問題の改善に役立てることができる。
【0041】
次に、この実施の形態の効果を説明する。
【0042】
作業機械に搭載されたエンジン11と、作業機械の操作されない状態が設定された時間を超えたときはアイドリング運転中のエンジン11を自動的に停止させる制御手段12とを具備したので、キースイッチ14を操作することなく容易に、エンジンアイドリング運転を停止できる。
【0043】
作業機械に搭載されたエンジン11と、作業機械のオペレータによるワンタッチ操作を検出して運転中のエンジン11を停止させる制御手段12とを具備したので、オペレータの意志により、キースイッチ14を操作することなく容易に、エンジンアイドリング運転を停止できる。
【0044】
運転中のエンジン11は、発電機21を駆動し、発電機21は、作業機械に搭載されたバッテリ13を充電し、発電機21およびバッテリ13は、作業機械に装備されたエアコン22およびその他の電装品23に電力を供給し、制御手段12は、エアコン22が運転中の場合、バッテリ13の電圧が規定以下の場合、作業機械全体の使用電力量が規定以上の場合の少なくとも1つにより、エンジン11の運転を継続させるので、作業機械の電力要求に応じて、発電機21を駆動し続けることができ、バッテリ13の消耗を防止できる。
【0045】
作業機械に搭載されたエンジン11と、エンジン11を始動するスタータモータ15と、作業機械に装備された作業操作用のコントロールレバー24と、コントロールレバー24のレバー操作によりスタータモータ15を起動する制御手段12とを具備したので、オペレータがコントロールレバー24をレバー操作するだけで、キースイッチ14を操作することなく容易に、停止したエンジン11を再始動できる。
【0046】
作業機械に搭載されたエンジン11と、エンジン11を始動するスタータモータ15と、作業機械に装備された作業操作用のコントロールレバー24と、コントロールレバー24に設けられこのコントロールレバー24を操作する手によりワンタッチ操作可能のワンタッチ操作ボタン式スイッチ25と、ワンタッチ操作ボタン式スイッチ25からの信号によりスタータモータ15を起動する制御手段12とを具備したので、オペレータがコントロールレバー24を操作する手によりワンタッチ操作ボタン式スイッチ25をワンタッチ操作するだけで、キースイッチ14を操作することなく容易に、停止したエンジン11を再始動できる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、作業機械に装備された作業操作用のコントロールレバーを操作しない状態が所定時間続くことで、キースイッチを操作することなく容易に、エンジンアイドリング運転を停止でき、ローアイドル運転よりも、より大きな省エネルギ、低排気ガス運転の効果が得られる。
【0048】
請求項2記載の発明によれば、作業機械が電力を必要とする場合は、エンジンアイドリング運転の停止を防止して、発電機を駆動し続けることによりバッテリの消耗を防止できる。
【0049】
請求項3記載の発明によれば、アイドリング運転停止中にオペレータがコントロールレバーをレバー操作するだけで、キースイッチを操作することなく容易に、停止したエンジンを再始動できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る作業機械のエンジン制御装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】 同上制御装置の作用を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11 エンジン
12 制御手段
13 バッテリ
15 スタータモータ
21 発電機
22 エアコンディショナ(エアコン)
23 その他の電装品
24 コントロールレバー
Claims (3)
- 作業機械に搭載されたエンジンと、
作業機械に装備された作業操作用のコントロールレバーと、
作業機械のコントロールレバーの操作されない状態が設定された時間を超えたときはアイドリング運転中のエンジンを自動的に停止させる制御手段と
を具備したことを特徴とする作業機械のエンジン制御装置。 - 運転中のエンジンは、発電機を駆動し、
発電機は、作業機械に搭載されたバッテリを充電し、
発電機およびバッテリは、作業機械に装備されたエアコンディショナおよびその他の電装品に電力を供給し、
制御手段は、
エアコンディショナが運転中の場合、バッテリ電圧が規定以下の場合、作動機械全体の使用電力量が規定以上の場合の少なくとも1つにより、エンジンの運転を継続させる
ことを特徴とする請求項1記載の作業機械のエンジン制御装置。 - エンジンを始動するスタータモータを備え、
制御手段は、アイドリング運転停止中のコントロールレバーのレバー操作によりスタータモータを起動する
ことを特徴とする請求項1または2記載の作業機械のエンジン制御装置。
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