JP3825185B2 - 光重合性組成物及び光重合性平版印刷版 - Google Patents

光重合性組成物及び光重合性平版印刷版 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光重合性組成物及び光重合性平版印刷版に関し、特に、近赤外レーザー光に対して高感度を示し、平版印刷版、印刷校正用カラープルーフ、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ用カラーフィルターレジスト、半導体素子の集積回路用フォトレジスト、配線板やグラビア製版用銅エッチングレジスト等に好適に用いられる光重合性組成物及び光重合性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光重合性組成物の露光による画像形成方法として、例えば、エチレン性不飽和化合物と光重合開始剤系、或いは更に有機高分子結合材等からなる光重合性組成物の層を支持体表面に形成し、画像露光して露光部のエチレン性不飽和化合物を重合、硬化させた後、非露光部を溶解除去することにより硬化レリーフ画像を形成する方法、露光により光重合性組成物層の支持体への接着強度に変化を起こさせた後、支持体を剥離することにより画像を形成する方法、及び、光重合性組成物層の光によるトナー付着性の変化を利用した画像形成方法等の各種の方法が知られており、その光重合開始剤としては、いずれも、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルケタール、ベンゾフェノン、アントラキノン、ベンジルケトン、或いはミヒラーケトン等の、400nm以下の紫外線領域を中心とした短波長の光に対して感応し得るものが用いられていた。
【0003】
一方、近年、画像形成技術の発展に伴い、可視領域の光に対して高感度を示す感光性材料が強く要請され、例えば、アルゴンイオンレーザーの488nmの発振ビームを用いたレーザー製版方式に対応して500nm前後迄感度域を拡げた光重合性組成物が多数提案され、更に、He−Neレーザーや半導体レーザーを用いたレーザー製版方式や、フルカラー画像の複製技法に対応して600nmを越える長波長領域の光に対する光重合性組成物の研究も活発化している。
【0004】
しかしながら、従来の光重合開始剤の活性ラジカル発生能力は、500nm以上、とりわけ600nmを越えた波長の光に対しては、光励起エネルギーの低下に伴って急激に感応性が減少することが知られており、このような長波長領域の光に対して従来より提案されている光重合性組成物は、いずれも感度的に満足できるものではなかった。
【0005】
これに対して、半導体レーザーの著しい進歩によって700〜1300nmの長波長領域の近赤外レーザー光源を容易に利用できるようになったことに伴い、該レーザー光を用いた画像形成方法が注目され、例えば、光重合開始剤系として、硼素アニオン含有塩色素を含有する光重合性組成物(例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平5−5988号、特開平5−197069号、各公報参照。)、特定のシアニン系色素とs−トリアジン系化合物とを含有する光重合性組成物(例えば、特開平4−31863号公報参照。)、特定のスクアリリウム系色素とs−トリアジン系化合物とを含有する光重合性組成物(例えば、特開平6−43633号公報参照。)等の層を支持体上に形成した光重合性感光性材料が提案されている。
【0006】
しかしながら、近赤外レーザー光に感応する従来のこれら光重合性感光性材料は、光重合性組成物層の支持体に対する接着性が経時によって促進され、それにより、画像露光後の現像処理時に未露光部の除去が不十分となってその残渣が生じるという問題があり、加えて、白色蛍光灯下における取扱時に光重合反応が進行し、安定した品質のものが得られ難いという問題もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたものであって、従って、本発明は、近赤外線領域の光に対して高感度を示し、経時安定性に優れると共に、紫外線領域の光に対しては感応せず、白色蛍光灯下における取扱性にも優れた光重合性組成物及び光重合性平版印刷版を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のエチレン性不飽和化合物と特定の光重合開始剤系を含有する光重合性組成物が前記目的を達成できることを見い出し本発明を完成したものであって、即ち、本発明は、下記の(A)成分、(B−1)成分、及び、(B−2)成分を含有してなる光重合性組成物、を要旨とする。
(A)(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物、又は/及び、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物からなるエチレン性不飽和化合物
(B−1)ポリメチン鎖を介して複素環が結合された構造のシアニン系色素カチオン
(B−2)有機硼素アニオン
【0009】
又、本発明は、下記の(A)成分、(B)成分、及び、(C)成分を含有してなる光重合性組成物、を要旨とする。
(A)(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物、又は/及び、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物からなるエチレン性不飽和化合物
(B)ポリメチン鎖を介して複素環が結合された構造のシアニン系色素カチオンと、有機硼素アニオン以外の対アニオンとの塩
(C)ハロメチル基含有化合物
【0010】
更に、本発明は、支持体表面に、前記光重合性組成物からなる層が形成されてなる光重合性平版印刷版、を要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の光重合性組成物を構成する(A)成分のエチレン性不飽和化合物は、光重合性組成物が活性光線の照射を受けたときに、後述する(B−1)、(B−2)成分、或いは、(B)、(C)成分の光重合開始剤系の作用により付加重合し、場合により架橋、硬化するようなエチレン性不飽和二重結合を有する単量体、及び、主鎖又は側鎖にこのような二重結合を有する重合体を言う。尚、ここで言う単量体の意味するところは、いわゆる重合体に相対する概念であって、狭義の単量体以外にも、二量体、三量体、その他オリゴマーをも包含するものである。
【0012】
本発明の光重合性組成物は、このエチレン性不飽和化合物として、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物、又は/及び、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物を含有することが必須であり、これらのアミン化合物及びホスフェート化合物を含有しない場合には、光重合性組成物として、経時により現像時の未露光部の除去が不十分となってその残渣が生じて経時安定性が劣ることとなる。
尚、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味するものとする。
【0013】
その(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物としては、例えば、特開昭49−36614号、特開昭50−129214号、特開昭61−151197号、特開平6−65218号、特開平6−35189号、特許第2700168号等各公報、西独特許第3710281号明細書等に記載されるものが挙げられるが、特に、下記一般式(I) で表されるものが好ましい。
【0014】
【化6】
Figure 0003825185
【0015】
〔式(I) 中、R0 は水素原子又はメチル基を示し、Qは水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、該アルキル基は互いに連結して環状構造を形成していてもよく、iは1〜12の整数、jは0〜5の整数、kは2〜12の整数、mは0又は1、nは0又は1、oは1〜5の整数、pは1〜3の整数であり、Qが水素原子のときはpは2又は3である。〕
【0016】
ここで、式(I) において、アルキル基であるときのQは、炭素数が通常1〜15、好ましくは1〜5であって、鎖状、又は、ピペリジル基、ピペラジニル基等の環状であり、iは1〜3、jは0又は1、oは1〜3、kは2〜6であるのが好ましい。これら化合物の具体例を以下に示す。尚、各具体例におけるR0 は水素原子又はメチル基を示す。
【0017】
【化7】
Figure 0003825185
【0018】
【化8】
Figure 0003825185
【0019】
本発明の光重合性組成物に占める(A)成分としての前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物の割合は、10〜60重量%であるのが好ましく、20〜50重量%であるのが更に好ましい。前記範囲未満では光重合性組成物として耐刷性、経時安定性が低下する傾向となり、前記範囲超過では感度が低下する傾向となる。
【0020】
又、その(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物としては、特に、下記一般式(II)で表されるものが好ましい。
【0021】
【化9】
Figure 0003825185
【0022】
〔式(II)中、R0 は水素原子又はメチル基を示し、R27及びR28は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、dは1〜25の整数、eは1又は2である。〕
【0023】
ここで、式(II)のR27及びR28がアルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましくは1〜5であるが、水素原子であるのが好ましく、dは1〜10であるのが耐刷性及び非画像部の抜け性の面で好ましく、これら化合物の具体例としては、メタアクリロイルオキシエチルホスフェート、ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ホスフェート等が挙げられる。
【0024】
本発明の光重合性組成物に占める(A)成分としての前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物の割合は、0.1〜30重量%であるのが好ましく、0.5〜20重量%であるのが更に好ましい。前記範囲未満では光重合性組成物として経時安定性が低下する傾向となり、前記範囲超過では感度が低下する傾向となる。
【0025】
又、本発明において、前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物、及び、前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物以外の好適なエチレン性不飽和化合物として、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ウレタン化合物が挙げられる。
【0026】
この(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ウレタン化合物は、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート等の有機イソシアネート化合物と、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ヒドロキシ化合物との反応によって得られるものであり、特に、下記一般式(III) で表されるものが好ましい。
【0027】
【化10】
Figure 0003825185
【0028】
〔式(III) 中、R0 は水素原子又はメチル基を示し、Uはイソシアネート残基を示し、aは0〜3の整数、bは1〜3の整数、cは1〜3の整数である。〕
【0029】
ここで、式(III) のUとしては、具体的には、例えば、炭素数1〜10、好ましくは5〜7のアルキレン基、トリレン基、又はイソシアヌル酸残基等が挙げられ、これら化合物の具体例としては、ヘキサメチレンビス〔トリス(アクリロイルオキシメチル)メチルウレタン〕、ヘキサメチレンビス〔トリス(アクリロイルオキシメチル)エチルウレタン〕、ヘキサメチレンビス〔(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)メチルウレタン〕、ヘキサメチレンビス〔ビス(アクリロイルオキシメチル)−メタクリロイルオキシメチル)エチルウレタン〕、N,N’,N’’−トリス〔(アクリロイルオキシメチル−メタクリロイルオキシメチル)メチルウレタンペンタメチレン〕イソシアヌル酸等が挙げられる。
【0030】
本発明の光重合性組成物に占める(A)成分としての前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ウレタン化合物の割合は、0.1〜60重量%であるのが好ましく、0.5〜50重量%であるのが更に好ましい。前記範囲未満では光重合性組成物として耐刷性が低下する傾向となり、前記範囲超過では経時安定性が劣る傾向となる。
【0031】
更に、本発明において、前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物、及び、前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物以外の好適なエチレン性不飽和化合物として、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ヒドロキシ化合物が挙げられ、特に、下記一般式(IV)で表されるものが好ましい。
【0032】
【化11】
Figure 0003825185
【0033】
〔式(IV)中、R0 は水素原子又はメチル基を示し、Vは多価アルコール又は多価フェノール残基を示し、fは1〜6の整数、gは2〜6の整数、hは1〜6の整数である。〕
【0034】
ここで、式(IV)のVとしては、具体的には、例えば、アルキレン基、4,4’−ジヒドロキシビフェニル残基、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン残基等が挙げられ、これら化合物の具体例としては、エチレングリコールのアクリロイルエチレンオキシド付加物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアクリロイルジエチレンオキシド付加物等が挙げられる。
【0035】
本発明の光重合性組成物に占める(A)成分としての前記(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ヒドロキシ化合物の割合は、0.1〜40重量%であるのが好ましく、0.5〜30重量%であるのが更に好ましい。前記範囲未満では光重合性組成物としての支持体に対する密着性が劣る傾向となり、前記範囲超過では感度が低下する傾向となる。
【0036】
尚、本発明においては、(A)成分のエチレン性不飽和化合物として、前記の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ウレタン化合物、及び、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ヒドロキシ化合物の外に、単量体としては、例えば、(1) (メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸類、(2) これらのアルキルエステル類、(3) エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、及び同様のイタコネート、クロトネート、マレエート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル類、(4) ヒドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル類、(5) エチレングリコールと(メタ)アクリル酸とフタル酸との縮合物、ジエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とマレイン酸との縮合物、ペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とテレフタル酸との縮合物、ブタンジオールとグリセリンと(メタ)アクリル酸とアジピン酸との縮合物等のポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸と多価カルボン酸との縮合物類、(6) ポリイソシアネート化合物と水酸基含有ビニル化合物との付加反応物等のビニルウレタン類、(7) 多価エポキシ化合物とヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートとの付加反応物等のエポキシ(メタ)アクリレート類、(8) エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド類、(9) フタル酸ジアリル等のアリルエステル類、(10)ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物、等が用いられてもよい。
【0037】
又、重合体としては、例えば、主鎖に二重結合を有するものとして、(11)不飽和ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物との重縮合反応により得られるポリエステル類、(12)不飽和ジカルボン酸とジアミン化合物との重縮合反応により得られるポリアミド類等、側鎖に二重結合を有するものとして、(13)イタコン酸、エチリデンマロン酸、プロピリデンコハク酸等とジヒドロキシ化合物との重縮合反応により得られるポリエステル類、(14)イタコン酸、エチリデンマロン酸、プロピリデンコハク酸等とジアミン化合物との重縮合反応により得られるポリアミド類、(15)ポリビニルアルコール、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリエピクロルヒドリン等の側鎖にヒドロキシル基やハロゲン化メチル基等の如き反応活性な官能基を有する重合体と不飽和カルボン酸との反応により得られる重合体、等が用いられてもよい。
【0038】
本発明の光重合性組成物を構成する(B−1)成分のシアニン系色素カチオン、及び、(B)成分のシアニン系色素カチオンと対アニオンとの塩におけるシアニン系色素カチオンは、ポリメチン鎖を介して複素環が結合された構造のものであり、波長域700〜1300nmの近赤外線領域の一部又は全部に吸収帯を有する近赤外線吸収色素カチオンが特に有効である。これらの近赤外線吸収色素カチオンは、前記波長域の光を効率よく吸収し、その光励起エネルギーを後述する(B−2)成分の有機硼素アニオン又は(C)成分のハロメチル基含有化合物に伝え、該(B−2)成分又は(C)成分を分解し、(A)成分の前記エチレン性不飽和化合物の重合を誘起する活性ラジカルを発生させる増感機能を有する一方、紫外線領域の光は殆ど吸収しないか、吸収しても実質的に感応せず、白色蛍光灯に含まれるような弱い紫外線によっては組成物を変成させる作用のない化合物である。
【0039】
本発明において、これらのシアニン系色素カチオンとしては、窒素原子、酸素原子、又は硫黄原子等を含む複素環がポリメチン(−CH=)n 鎖で結合された、広義の所謂シアニン系色素カチオンであって、具体的には、例えば、キノリン系(所謂、シアニン系)、インドール系(所謂、インドシアニン系)、ベンゾチアゾール系(所謂、チオシアニン系)、イミノシクロヘキサジエン系(所謂、ポリメチン系)、ピリリウム系、チアピリリウム系、スクアリリウム系、クロコニウム系、アズレニウム系等の色素カチオンが挙げられ、中で、キノリン系、インドール系、ベンゾチアゾール系、イミノシクロヘキサジエン系、ピリリウム系、又はチアピリリウム系の色素カチオンが好ましい。
【0040】
本発明においては、前記シアニン系色素カチオンの中で、キノリン系色素カチオンとしては、特に、下記一般式(Va) 、(Vb)、又は(Vc)で表されるものが好ましい。
【0041】
【化12】
Figure 0003825185
【0042】
〔式(Va)、(Vb)、及び(Vc)中、R1 及びR2 は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、L1 は置換基を有していてもよいトリ、ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメチン基を示し、該ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数4〜7のシクロアルケン環、シクロアルケノン環、シクロアルケンジオン環、又はシクロアルケンチオン環を形成していてもよく、キノリン環は置換基を有していてもよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。〕
【0043】
ここで、式(Va)、(Vb)、及び(Vc)中のR1 及びR2 がアルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましくは1〜5、アルケニル基、アルキニル基であるときの炭素数は通常2〜15、好ましくは2〜5であり、それらにおける置換基としては、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、又はフェニル基等が挙げられ、L1 における置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、キノリン環における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子等が挙げられる。
【0044】
又、インドール系、及びベンゾチアゾール系色素カチオンとしては、特に、下記一般式(VI)で表されるものが好ましい。
【0045】
【化13】
Figure 0003825185
【0046】
〔式(VI)中、Y1 及びY2 は各々独立して、ジアルキルメチレン基又は硫黄原子を示し、R3 及びR4 は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、L2 は置換基を有していてもよいトリ、ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメチン基を示し、該ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数4〜7のシクロアルケン環、シクロアルケノン環、シクロアルケンジオン環、又はシクロアルケンチオン環を形成していてもよく、縮合ベンゼン環は置換基を有していてもよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。〕
【0047】
ここで、式(VI)中のR3 及びR4 がアルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましくは1〜5、アルケニル基、アルキニル基であるときの炭素数は通常2〜15、好ましくは2〜5であり、それらにおける置換基としては、アルコキシ基、フェノキシ基、ヒドロキシ基、又はフェニル基等が挙げられ、L2 における置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、ベンゼン環における置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子等が挙げられる。
【0048】
又、イミノシクロヘキサジエン系色素カチオンとしては、特に、下記一般式(VII) で表されるものが好ましい。
【0049】
【化14】
Figure 0003825185
【0050】
〔式(VII) 中、R5 、R6 、R7 、及びR8 は各々独立して、アルキル基を示し、R9 及びR10は各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基、フリル基、又はチエニル基を示し、L3 は置換基を有していてもよいモノ、トリ、ペンタ、又はヘプタメチン基を示し、該トリ、ペンタ、又はヘプタメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数4〜7のシクロアルケン環、シクロアルケノン環、シクロアルケンジオン環、又はシクロアルケンチオン環を形成していてもよく、キノン環及びベンゼン環は置換基を有していてもよい。〕
【0051】
ここで、式(VII) 中のR5 、R6 、R7 、及びR8 がアルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましくは1〜5であり、R9 及びR10がアリール基であるときの炭素数は通常6〜20、好ましくは6〜15であり、R9 及びR10として具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基等が挙げられ、それらの置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ヒドロキシ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、L3 における置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げられる。
【0052】
又、ピリリウム系、及びチアピリリウム系色素カチオンとしては、特に、下記一般式(VIIIa) 、(VIIIb) 、又は(VIIIc) で表されるものが好ましい。
【0053】
【化15】
Figure 0003825185
【0054】
〔式(VIIIa) 、(VIIIb) 、及び(VIIIc) 中、Z1 及びZ2 は各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を示し、R11、R12、R13、及びR14は各々独立して、水素原子又はアルキル基、又は、R11とR13、及びR12とR14が互いに連結して炭素数5又は6のシクロアルケン環を形成していてもよく、L4 は置換基を有していてもよいモノ、トリ、ペンタ、又はヘプタメチン基を示し、該トリ、ペンタ、又はヘプタメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数4〜7のシクロアルケン環、シクロアルケノン環、シクロアルケンジオン環、又はシクロアルケンチオン環を形成していてもよく、ピリリウム環及びチアピリリウム環は置換基を有していてもよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。〕
【0055】
ここで、式(VIIIa) 、(VIIIb) 、及び(VIIIc) 中のR11、R12、R13、及びR14がアルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましくは1〜5であり、L4 における置換基としては、アルキル基、アミノ基、又はハロゲン原子等が挙げられ、ピリリウム環及びチアピリリウム環における置換基としては、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
【0056】
以上、前記一般式(Va 〜c)で表されるキノリン系色素カチオン、前記一般式(VI)で表されるインドール系又はベンゾチアゾール系色素カチオン、前記一般式(VII) で表されるイミノシクロヘキサジエン系色素カチオン、及び前記一般式(VIIIa〜c)で表されるピリリウム系又はチアピリリウム系色素カチオンの中で、本発明においては、前記一般式(VI)で表されるインドール系又はベンゾチアゾール系色素カチオンが特に好ましい。
これら各シアニン系色素カチオンの具体例を以下に示す。
【0057】
【化16】
Figure 0003825185
【0058】
【化17】
Figure 0003825185
【0059】
【化18】
Figure 0003825185
【0060】
【化19】
Figure 0003825185
【0061】
【化20】
Figure 0003825185
【0062】
【化21】
Figure 0003825185
【0063】
【化22】
Figure 0003825185
【0064】
【化23】
Figure 0003825185
【0065】
【化24】
Figure 0003825185
【0066】
本発明の光重合性組成物を構成する(B−2)成分の有機硼素アニオンとしては、例えば、特開昭62−143044号、特開昭62−150242号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号、特許第2764769号等の各公報、及び、Kunz,Martin "Rad Tech'98. Proceeding April 19-22,1998,Chicago"等に記載のものが挙げられるが、特に、下記一般式(IX)で表されるものが好ましい。
【0067】
【化25】
Figure 0003825185
【0068】
〔式(IX)中、R15、R16、R17、及びR18は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は複素環基を示し、これらは互いに連結して環状構造を形成していてもよく、これらのうち少なくとも一つは置換基を有していてもよいアルキル基である。〕
【0069】
ここで、式(IX)中のR15、R16、R17、及びR18がアルキル基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましくは1〜5、アルケニル基、アルキニル基であるときの炭素数は通常2〜15、好ましくは2〜5、アリール基であるときの炭素数は通常6〜20、好ましくは6〜15、複素環基であるときの炭素数は通常4〜20、好ましくは4〜15であり、それらにおける置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基等が挙げられる。
【0070】
これらの有機硼素アニオンとしては、具体的には、例えば、n−ブチル−メチル−ジフェニル硼素アニオン、n−ブチル−トリフェニル硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリメチルフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−メトキシフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−フルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(m−フルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(p−クロロフェニル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(トリフルオロメチル)硼素アニオン、n−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロ−3−ピロリルフェニル)−硼素アニオン等が挙げられる。
【0071】
本発明において、前記(B−1)成分のシアニン系色素カチオンと前記(B−2)成分の有機硼素アニオンを光重合性組成物中に存在させるには、前記シアニン系色素カチオンと前記有機硼素アニオンとの塩を配合する方法、又は、前記シアニン系色素カチオンと適宜選択した対アニオンとの塩と、前記有機硼素アニオンと適宜選択した対カチオンとの塩とを配合する方法等による。
【0072】
ここで、対アニオンとしては、例えば、Cl- 、Br- 、I- 、ClO4 - 、PF6 - 、及び、BF4 - 、BCl4 - 等の無機硼素アニオン等の無機酸アニオン、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、酢酸等の有機酸アニオンを挙げることができる。
【0073】
又、対カチオンとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン等のオニウム化合物、及び、ピリリウムカチオン、チアピリリウムカチオン、インドリウムカチオン等を挙げることができるが、テトラアルキルアンモニウム等の有機アンモニウムカチオンが好ましい。
【0074】
又、(B)成分における、有機硼素アニオン以外の対アニオンとしては、(B−1)成分の対アニオンとして挙げたものでもよいが、前記一般式(Va 〜c)、(VI)、(VII) 、及び(VIIIa〜c)におけるL1 、L2 、L3 、及びL4 のポリメチン鎖の置換基として、下記一般式(X) で表されるバルビツル酸アニオン基又はチオバルビツル酸アニオン基を有して分子内塩を形成しているものが好ましい。
【0075】
【化26】
Figure 0003825185
【0076】
〔式(X) 中、Z3 は酸素原子又は硫黄原子を示し、R19及びR20は各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。〕
【0077】
ここで、式(X) 中のR19及びR20がアルキル基、アルコキシ基であるときの炭素数は通常1〜15、好ましくは1〜5、アルケニル基であるときの炭素数は通常2〜15、好ましくは2〜5であるが、アルキル基であるのが好ましく、そのアルキル基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基等が挙げられる。
【0078】
又、(B)成分における、有機硼素アニオン以外の対アニオンとして、前記一般式(Va 〜c)、(VI)、(VII) 、及び(VIIIa〜c)におけるL1 、L2 、L3 、及びL4 のポリメチン鎖中に、下記一般式(XI)で表されるスクエア酸アニオン基又はチオスクエア酸アニオン基、クロコン酸アニオン基又はチオクロコン酸アニオン基を形成して分子内塩を形成しているものも好ましい。
【0079】
【化27】
Figure 0003825185
【0080】
〔式(XI)中、Z4 、Z5 、Z6 、Z7 、及びZ8 は各々独立して、酸素原子又は硫黄原子を示す。〕
【0081】
本発明において、(C)成分のハロメチル基含有化合物は、(B)成分の前記シアニン系色素との共存下で光照射されたときに、活性ラジカルを発生するラジカル発生剤であって、少なくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン化合物が好ましく、下記一般式(XII) で表されるものが特に好ましい。
【0082】
【化28】
Figure 0003825185
【0083】
〔式(XII) 中、Xはハロゲン原子を示し、Wは置換基を有していてもよいアリール基又は複素環基を示し、R21は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を示し、rは0〜2の整数である。〕
【0084】
これらのs−トリアジン化合物としては、具体的には、例えば、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ベンジルチオ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン等が挙げられ、中でも、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−エポキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔1−(p−メトキシフェニル)−2,4−ブタジエニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−i−プロピルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が経時安定性に優れ好ましい。
【0085】
本発明の光重合性組成物は、前記(A)成分のエチレン性不飽和化合物と前記(B−1)成分のシアニン系色素カチオンと前記(B−2)成分の有機硼素アニオンとを含有するか、又は、前記(A)成分のエチレン系不飽和化合物と前記(B)成分のシアニン系色素と前記(C)成分のハロメチル基含有化合物とを含有するが、前記(A)成分の光重合性組成物全体に占める割合は、後述する他の成分の含有もあって、20〜80重量%であるのが好ましく、30〜70重量%であるのが特に好ましい。
【0086】
又、前記(B−1)成分と(B−2)成分との合計量の光重合性組成物全体に占める割合は、0.05〜20重量%であるのが好ましく、0.2〜10重量%であるのが更に好ましい。これらの成分が前記範囲未満では、光重合性組成物として感度の低下を生じる傾向となり、前記範囲超過では、現像時に未露光部の残渣が生じ易い傾向となる。
【0087】
又、前記(B)成分の光重合性組成物全体に占める割合、及び、前記(C)成分の光重合性組成物全体に占める割合は、各々、0.05〜20重量%であるのが好ましく、0.2〜10重量%であるのが更に好ましい。これらの成分が前記範囲未満では、光重合性組成物として感度の低下を生じる傾向となり、前記範囲超過では、現像時に未露光部の残渣が生じ易い傾向となる。
【0088】
尚、本発明の光重合性組成物には、前記成分以外に、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイミド等の単独又は共重合体、並びに、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、アセチルセルロース等の有機高分子が結合材(D)成分として、光重合性組成物全体に占める割合として20〜80重量%、特には30〜70重量%の範囲で含有されているのが好ましい。
【0089】
本発明において、(D)成分の前記有機高分子結合材としては、カルボキシル基含有重合体が好適であり、具体的には、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体が好ましく、このカルボキシル基含有重合体の酸価は10〜250、重量平均分子量は0.5〜50万であるのが好ましい。
【0090】
更に、本発明における高分子結合材は、側鎖にエチレン性不飽和結合を有するものであるのが好適であり、そのエチレン性不飽和結合として、特に、下記一般式(XIIIa) 、(XIIIb) 、及び(XIIIc) で表されるものが好ましい。
【0091】
【化29】
Figure 0003825185
【0092】
〔式(XIIIa) 、(XIIIb) 、及び(XIIIc) 中、R0 は水素原子又はメチル基を示し、R22〜R26は各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、スルホ基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルアミノ基、置換基を有していてもよいアリールアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、又は置換基を有していてもよいアリールスルホニル基を示し、Aは酸素原子、硫黄原子、イミノ基、又はアルキルイミノ基を示す。〕
【0093】
前記一般式(XIIIa) で表されるエチレン性不飽和結合を側鎖に有する高分子結合材は、カルボキシル基含有重合体に、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、クロトニルグリシジルエーテル、イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、フマール酸モノアルキルモノグリシジルエステル、マレイン酸モノアルキルモノグリシジルエステル等の脂肪族エポキシ基含有不飽和化合物、及び、特開平1−289820号公報に開示されるような、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ基含有不飽和化合物等を、80〜120℃程度の温度、1〜50時間程度の時間で、カルボキシル基含有重合体の有するカルボキシル基の5〜90モル%、好ましくは30〜70モル%程度を反応させることにより製造される。
【0094】
又、前記一般式(XIIIb) で表されるエチレン性不飽和結合を側鎖に有する高分子結合材は、アリル(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シンナミル(メタ)アクリレート、クロトニル(メタ)アクリレート、メタリル(メタ)アクリレート、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド等の2種以上の不飽和基を有する化合物と、又、前記一般式(XIIIc) で表されるエチレン性不飽和結合を側鎖に有する高分子結合材は、ビニル(メタ)アクリレート、1−クロロビニル(メタ)アクリレート、2−フェニルビニル(メタ)アクリレート、1−プロペニル(メタ)アクリレート、ビニルクロトネート、ビニル(メタ)アクリルアミド等の2種以上の不飽和基を有する化合物と、それぞれ、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸、又は更に不飽和カルボン酸エステルとを、前者の不飽和基を有する化合物の全体に占める割合を10〜90モル%、好ましくは30〜80モル%程度となるように共重合させることにより製造される。
【0095】
又、本発明の光重合性組成物には、必要に応じて、その他(E)成分として、(1) 前記(B−1)成分と(B−2)成分、或いは、前記(B)成分と(C)成分とからなる光重合開始剤系以外の重合開始剤として、例えば、特開昭58−29803号公報等に記載されるチオール化合物、及び、ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、ビスアミノベンゾフェノン、ビスアミノベンジル等のアミン化合物、並びに、本願出願人による特願平10−157177号明細書に記載される脂肪族アミノ酸エステル及びその誘導体、(2) 有機又は無機の染顔料からなる着色剤、(3) トリアリールメタン、ビスアリールメタン、キサンテン化合物、フルオラン化合物、チアジン化合物、並びに、その部分骨格としてラクトン、ラクタム、スルトン、スピロピラン構造を形成させた化合物等の色素ロイコ体等の色素前駆体、(4) ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、トリエチレングリコールジカプリレート等の可塑剤、(5) 三級アミン、チオール等の感度改善剤、(6) ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等の熱重合防止剤、等が添加されていてもよい。
【0096】
本発明の光重合性組成物は、通常、前記の各成分を適当な溶媒に溶解した溶液として支持体表面に塗布した後、加熱、乾燥させることにより、支持体表面に前記光重合性組成物の層が形成された光重合性平版印刷版とされる。
尚、通常、前記光重合性組成物層の上には、酸素による重合禁止作用を防止するために、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、セルロース等の酸素遮断層が設けられる。
【0097】
ここで、その溶媒としては、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与えるものであれば特に制限はないが、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のプロピレングリコール系溶媒、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル等のエステル系溶媒、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン等のケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の高極性溶媒、或いはこれらの混合溶媒、更にはこれらに芳香族炭化水素を添加したもの等が挙げられる。溶媒の使用割合は、光重合性組成物の総量に対して、通常、重量比で1〜20倍程度の範囲である。
【0098】
又、その塗布方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布、及びカーテン塗布等を用いることができる。塗布量は用途により異なるが、乾燥膜厚として、通常、0.3〜7μm、好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは1〜3μmの範囲とする。尚、その際の乾燥温度としては、例えば、60〜170℃程度、好ましくは70〜150℃程度、乾燥時間としては、例えば、5秒〜10分間程度、好ましくは10秒〜5分間程度が採られる。
【0099】
又、その支持体としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、鉄等の金属又はそれらを主成分とした合金の板、それらの金属又は合金をメッキ又は蒸着した金属板、それらの金属箔を貼着した紙、上質紙、アート紙、剥離紙等の紙、ガラス、セラミックス等の無機物板、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等のプラスチックシート、それらのプラスチックを塗布した紙等が挙げられ、中で、アルミニウム板が特に好ましく、その厚さは、通常、0.01〜10mm、好ましくは0.05〜1mm程度である。
【0100】
アルミニウム板支持体としては、その表面への光重合性組成物層の形成に先立ち、通常、脱脂処理、粗面化処理(砂目立て処理)、陽極酸化処理、及び水洗浄処理等の表面処理が施されたものが用いられる。
【0101】
脱脂処理は、溶剤を用いて拭き取り、浸漬、蒸気洗浄する方法、アルカリ水溶液を用いて浸漬、噴霧した後、酸水溶液で中和する方法、界面活性剤を用いて洗浄、噴霧する方法等の常法に従い、通常、室温〜80℃程度の温度で、1秒〜1分程度の時間でなされる。
【0102】
次いで施される粗面化処理(砂目立て処理)は、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、ホーニング研磨法、パフ研磨法等の機械的処理方法、電解エッチング法、化学エッチング法等の常法に従ってなされる。
中で、塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により電解を行う電解エッチング法が好適であり、その際、酸濃度0.1〜5重量%で、印加電圧1〜50V、電流密度10〜200A/dm2 、電気量100〜2000c/dm2 、温度10〜50℃程度の範囲内の条件でなされるのが好ましい。
【0103】
次いで、電解エッチング法により粗面化された支持体は、表面のスマットの除去やピット形状のコントロール等のために、硫酸、過硫酸、燐酸、硝酸、塩酸、弗酸等の酸、又は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリの水溶液に浸漬してデスマット処理が施されるのが好ましい。
【0104】
次いで施される陽極酸化処理は、硫酸、修酸、燐酸、クロム酸、マロン酸等の1種又は2種以上を含む水溶液を電解液とし、アルミニウム板を陽極として電解を行うことによりなされ、これにより形成される酸化皮膜量は、通常、1〜50mg/dm2 である。中で、硫酸又は/及び燐酸の水溶液を電解液とする方法が好適であり、具体的には、例えば、酸濃度10〜50重量%で、電流密度1〜60A/dm2 、温度5〜50℃で5〜60秒間程度行われる。
【0105】
その後施される水洗浄処理は、水道水、地下水等をそのまま、又は軟化して用い、通常、室温〜40℃程度の温度で、1秒〜5分程度の時間、シャワー、スプレー、浸漬、塗布等することによりなされる。
支持体表面の粗さとしては、JIS B0601に規定される平均粗さRa で、通常、0.3〜1.0μm、好ましくは0.4〜0.8μm程度とされる。
【0106】
本発明の光重合性平版印刷版の光重合性組成物層を画像露光する光源としては、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、HeNeレーザー、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、HeCdレーザー、半導体レーザー、ルビーレーザー等のレーザー光源が挙げられるが、特に、700nm以上の近赤外線レーザー光線を発生する光源が好ましく、例えば、ルビーレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー等の固体レーザーを挙げることができ、特に、小型で長寿命な半導体レーザーやYAGレーザーが好ましい。これらの光源により、通常、走査露光した後、現像液にて現像し画像が形成される。
【0107】
本発明の光重合性組成物は、700〜1300nmの近赤外線領域の範囲で、例えば、半導体レーザーを用いて108 W/m2 以上の高密度光強度で露光した場合、102 W/m2 以下の低密度光強度で露光した場合に比して5倍以上、好ましくは10倍以上の感度を示し、そして、この感度の差により、通常の白色蛍光灯下におけるセーフライト性(作業適性)を発現させることができる。
【0108】
本発明の前記光重合性組成物層を画像露光した感光体の現像に用いる現像液としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム、珪酸アンモニウム、メタ珪酸ナトリウム、メタ珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、第二燐酸ナトリウム、第三燐酸ナトリウム、第二燐酸アンモニウム、第三燐酸アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等の無機アルカリ塩、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の有機アミン化合物の0.1〜5重量%程度の水溶液からなるアルカリ現像液が用いられる。
【0109】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、以下の実施例及び比較例において光重合性組成物の各成分には以下のものを用いた。
【0110】
(A)成分;エチレン性不飽和化合物
▲1▼一般式(I) における具体例(I-1) で示した、R0 が水素原子である(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物
▲2▼一般式(I) における具体例(I-11)で示した、R0 がメチル基である(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物
▲3▼一般式(II)におけるメタアクリロイルオキシエチルホスフェートとビス(メタアクリロイルオキシエチル)ホスフェートとの1:1の混合物
▲4▼一般式(III) おけるヘキサメチレンビス〔トリス(アクリロイルオキシメチル)エチルウレタン〕
▲5▼一般式(IV)における2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのアクリロイルジエチレンオキシド付加物
▲6▼トリメチロールプロパントリアクリレート
【0111】
(B−1)成分;シアニン系色素カチオン
▲1▼一般式(VI)における具体例(VI-7)で示したインドール系色素カチオン
▲2▼一般式(VI)における具体例(VI-7)で示したインドール系色素カチオンと、4フッ化硼素アニオンとの塩
(B−2)成分;有機硼素アニオン
▲1▼一般式(IX)におけるn−ブチル−トリフェニル硼素アニオン
▲2▼テトラメチルアンモニウムカチオンと一般式(IX)におけるn−ブチル−トリフェニル硼素アニオンとの塩
▲3▼テトラメチルアンモニウムカチオンと一般式(IX)におけるn−ブチル−トリス(2,6−ジフルオロフェニル)硼素アニオンとの塩
【0112】
(B)成分;シアニン系色素カチオンと有機硼素アニオン以外の対アニオンとの塩
▲1▼一般式(VI)における具体例(VI-5)で示したインドール系色素カチオンと、そのシクロペンテン環に置換基として、塩素原子に換えて、一般式(X) におけるZ3 が酸素原子、R19及びR20がメチル基であるバルビツル酸アニオン基を有する分子内塩のインドール系色素
▲2▼一般式(VI)における具体例(VI-5)で示したインドール系色素カチオンと、そのシクロペンテン環に置換基として、塩素原子に換えて、一般式(X) におけるZ3 が硫黄原子、R19及びR20がメチル基であるチオバルビツル酸アニオン基を有する分子内塩のインドール系色素
▲3▼一般式(VI)における具体例(VI-7)で示したインドール系色素カチオンと、4フッ化硼素アニオンとの塩
【0113】
(C)成分;ハロメチル基含有化合物
▲1▼一般式(XII) における2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
▲2▼一般式(XII) における2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
▲3▼一般式(XII) における2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
▲4▼一般式(XII) における2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
【0114】
(D)成分;高分子結合材
▲1▼メチルメタクリレート(35モル%)/イソブチルメタクリレート(20モル%)/イソブチルアクリレート(10モル%)/メタクリル酸(35モル%)共重合体(重量平均分子量7万)に、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートを反応させて得られた反応生成物(酸化60、メタクリル酸成分のカルボキシル基の60モル%が反応)。
▲2▼α−メチルスチレン/アクリル酸共重合体(重量平均分子量1.5万、酸価240、Jhonson社製「SCX−690」)に3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートを反応させて得られた反応生成物(酸化約170、アクリル酸成分のカルボキシル基の50モル%が反応)。
【0115】
(E)成分;その他成分(重合開始剤)
▲1▼N−フェニル−β−アミノプロピオン酸メチル
▲2▼2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール
▲3▼ビス(ジ−t−ブチルジパーオキシフタロイル)ケトン
▲4▼ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,6−ジフルオロ−3−(1−ピロリル)フェニル)
【0116】
実施例1〜22、比較例1〜12
厚さ0.24mmのアルミニウム板を用い、その表面を、5重量%水酸化ナトリウム水溶液中で60℃で1分間脱脂処理した後、0.5モル/リットルの塩酸水溶液中で、28℃、60A/dm2 の電流密度で40秒間電解エッチング処理し、次いで、4重量%水酸化ナトリウム水溶液中で60℃で12秒間デスマット処理した後、20重量%硫酸水溶液中で、20℃、3.5A/dm2 の電流密度で1分間陽極酸化処理し、更に、80℃の熱水で20秒間封孔処理し、水洗、乾燥して光重合性平版印刷版用の支持体を作製した。
【0117】
次いで、得られたアルミニウム板支持体表面に、表1に示す、(A)成分と、(B−1)成分と(B−2)成分、又は、(B)成分と(C)成分の表1に示す量と、更に、(D)成分として前記高分子結合材▲1▼35重量部と前記高分子結合材▲2▼10重量部と、(E)成分として銅フタロシアニン顔料6重量部とを、シクロヘキサン500重量部とメチルセロソルブ500重量部との混合溶媒に室温で10分間攪拌して調液した塗布液をワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させて膜厚2μmの光重合性組成物層を形成し、更にその上に、ポリビニルアルコール水溶液を塗布し、80℃で2分間乾燥させて膜厚3μmのオーバーコート層を形成して光重合性平版印刷版を作製した。
【0118】
得られた光重合性平版印刷版を、直径7cmのアルミニウム製回転ドラムに、光重合性組成物層が外側になるように固定した後、830nm、30mWの半導体レーザー(日立製作所製「HL8325C」)のビームを20μmに集光した光強度密度100W/m2 のビームスポットを用いて、300〜1000rpmの各種回転数にて走査露光し、次いで、0.7重量%の炭酸ナトリウムと0.5重量%のアニオン性界面活性剤(花王社製「ペレックスNBL」)とを含有する水溶液を用いて現像することにより走査線画像を形成させ、線画像が形成される露光ドラムの最高回転数により感度を評価し、その各回転数から換算された露光量(mJ/cm2 )と共に、結果を表1に示した。
【0119】
又、その各露光量で、175線網点画像露光を行い、前記と同様の現像処理を施して画像を形成させて平版印刷版を作製した。
得られた平版印刷版を平版印刷機(三菱重工業社製、「DAIYA 1F−2」)を用いてアート紙(三菱製紙社製)上に印刷し、10万枚印刷した際の印刷物の網点画像を目視観察し、1〜5%の面積の網点画像部分の再現性から、以下の基準で印刷画像再現性を評価した。
【0120】
A;1〜5%の網点が再現している。
B;2〜5%の網点が再現している。
C;3〜5%の網点が再現している。
D;5%以下の網点が再現していない。
【0121】
一方、前記で得られた光重合性平版印刷版を55℃で3日間放置した後、前記と同様の現像処理を行い、その表面の反射吸光度を、フィルターなしの反射濃度計(マクベス社製「RD−514」)を用いて測定し、この値から、光重合性組成物層形成前の支持体表面の反射吸光度の値を差引いた値により、以下の基準で、支持体上に残留した光重合性組成物層の量を評価し、結果を表1に示した。
【0122】
A;反射吸光度が0.02未満。
B;反射吸光度が0.02以上、0.04未満。
C;反射吸光度が0.04以上、0.06未満。
D;反射吸光度が0.06以上。
【0123】
又、一方、前記で得られた実施例1〜22の光重合性平版印刷版を白色蛍光灯(三菱電機社製36W白色蛍光灯「ネオルミスーパーFLR40S−W/M/36」)の400ルクスの光強度照射下に1時間放置した後、前記と同様の現像処理を行ったところ、組成物層は全て溶解除去されていることが確認された。
【0124】
実施例23
支持体としてガラス板(コーニング社製「No.7059」)を用いた外は、実施例2と同様にして光重合性平版印刷版を作製して、画像露光し、現像した。ドラム回転数は500rpm、経時安定性はAであった。
【0125】
【表1】
Figure 0003825185
【0126】
【表2】
Figure 0003825185
【0127】
【表3】
Figure 0003825185
【0128】
【発明の効果】
本発明によれば、近赤外線領域の光に対して高感度を示し、経時安定性に優れると共に、紫外線領域の光に対しては感応せず、白色蛍光灯下における取扱性にも優れた光重合性組成物及び光重合性平版印刷版を提供することができる。

Claims (8)

  1. 下記の(A)成分、(B−1)成分、及び、(B−2)成分を含有してなることを特徴とする光重合性組成物。
    (A)(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物、又は/及び、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物からなるエチレン性不飽和化合物
    (B−1)ポリメチン鎖を介して複素環が結合された構造のシアニン系色素カチオン
    (B−2)有機硼素アニオン
  2. 下記の(A)成分、(B)成分、及び、(C)成分を含有してなることを特徴とする光重合性組成物。
    (A)(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物、又は/及び、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物からなるエチレン性不飽和化合物
    (B)ポリメチン鎖を介して複素環が結合された構造のシアニン系色素カチオンと、有機硼素アニオン以外の対アニオンとの塩
    (C)ハロメチル基含有化合物
  3. (A)成分のエチレン性不飽和化合物としての(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有アミン化合物が下記一般式(I) で表されるものである請求項1又は2に記載の光重合性組成物。
    Figure 0003825185
    〔式(I) 中、R0 は水素原子又はメチル基を示し、Qは水素原子、又は置換基を有していてもよいアルキル基を示し、該アルキル基は互いに連結して環状構造を形成していてもよく、iは1〜12の整数、jは0〜5の整数、kは2〜12の整数、mは0又は1、nは0又は1、oは1〜5の整数、pは1〜3の整数であり、Qが水素原子のときはpは2又は3である。〕
  4. (A)成分のエチレン性不飽和化合物としての(メタ)アクリロイルオキシアルキル基含有ホスフェート化合物が下記一般式(II)で表されるものである請求項1乃至3のいずれかに記載の光重合性組成物。
    Figure 0003825185
    〔式(II)中、R0 は水素原子又はメチル基を示し、R27及びR28は各々独立して、水素原子又はアルキル基を示し、dは1〜25の整数、eは1又は2である。〕
  5. (B−1)成分のシアニン系色素カチオン、又は、(B)成分におけるシアニン系色素カチオンが下記一般式(VI)で表されるインドール系又はベンゾチアゾール系色素カチオンである請求項1乃至4のいずれかに記載の光重合性組成物。
    Figure 0003825185
    〔式(VI)中、Y1 及びY2 は各々独立して、ジアルキルメチレン基又は硫黄原子を示し、R3 及びR4 は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示し、L2 は置換基を有していてもよいトリ、ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメチン基を示し、該ペンタ、ヘプタ、ノナ、又はウンデカメチン基上の2つの置換基が互いに連結して炭素数4〜7のシクロアルケン環、シクロアルケノン環、シクロアルケンジオン環、又はシクロアルケンチオン環を形成していてもよく、縮合ベンゼン環は置換基を有していてもよく、その場合、隣接する2つの置換基が互いに連結して縮合ベンゼン環を形成していてもよい。〕
  6. (B−2)成分の有機硼素アニオンが下記一般式(IX)で表されるものである請求項1、又は、3乃至5のいずれかに記載の光重合性組成物。
    Figure 0003825185
    〔式(IX)中、R15、R16、R17、及びR18は各々独立して、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又は複素環基を示し、これらは互いに連結して環状構造を形成していてもよく、これらのうち少なくとも一つは置換基を有していてもよいアルキル基である。〕
  7. (C)成分のハロメチル基含有化合物が下記一般式(XII) で表されるビス(トリハロメチル)−s−トリアジン化合物である請求項2乃至5のいずれかに記載の光重合性組成物。
    Figure 0003825185
    〔式(XII) 中、Xはハロゲン原子を示し、Wは置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよい複素環基を示し、R21は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基を示し、rは0〜2の整数である。〕
  8. 支持体表面に、請求項1乃至7のいずれかに記載の光重合性組成物からなる層が形成されてなることを特徴とする光重合性平版印刷版。
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