JP3824447B2 - カーテン塗工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、製紙業で印刷用顔料塗工物などの塗工に広く用いられているカーテン塗工装置に関し、特に高速塗工に適したドライエッジ形成装置が付設されたカーテン塗工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カーテン塗工装置は、塗工操作を行う前に計量を行う、いわゆる前計量方式の塗工装置であり、過剰な塗工液をウェブに供給した後に規定量に計量を行う後計量方式の塗工方式と異なり、塗工液の液組成が経時で変化することがなく、長時間にわたり安定した品質の塗工物が得られる。また、重層塗工が可能で、さらに過剰な塗工液をウェブに供給した後、規定量迄掻き落とすという工程が不要な結果、後計量方式の塗工装置と比較して本質的に塗工速度の上限が高いため、効率的に塗工物を得ることが可能である。
【0003】
このように、カーテン塗工装置は、多くの長所を持つため、写真印画紙、磁気記録紙、感熱記録紙、感圧記録紙、インクジェット記録紙、熱転写記録紙、印刷用顔料塗工紙などの各種塗工分野において利用されている塗工方式である。
【0004】
カーテン塗工装置では、カーテン膜の落下距離が長くなるに従って、カーテン膜の幅方向の長さが小さくなる、通常ネックインと呼ばれる現象が生ずる。ネックインを防止するため、通常カーテン膜の両端部にエッジガイドを設け、カーテン膜の両端部がエッジガイドに接触した状態でカーテン膜を流下させる。
【0005】
この際、エッジガイドによって形成されたカーテン膜の幅とウェブの幅が等しいか、またはカーテン膜の幅が僅かに広い場合、ウェブの両端部における塗工液の付着量は、その他の部分と比較して極めて多くなる。これは、カーテン膜がエッジガイドを離れた時点より、塗工液の表面張力によってカーテン膜の両端に、他の部分と比較してより厚い部分が生成する結果である。
【0006】
こうして生成した塗工量過剰部は、ドライヤー通過後も未乾燥である場合、その後のペーパーロールなどが未乾燥である塗工液によって汚染され、本汚染部が剥離して正常部に転写するなどの故障が発生する。さらに、未乾燥の状態でワインダー部に到達した場合には、隣接した部分が接着する、いわゆるブロッキングが発生して、仕上げ工程などの後工程において塗工物が切断するなどの故障が発生する。また、十分乾燥されてワインダー部に到達した場合であっても、巻き取られた塗工物のロール径が大きくなるに従って、両端部が盛り上がるので巻きずれが生じたり、ついには両端部に割れが生ずる、通常耳割れと呼ばれる故障が発生する。
【0007】
塗工量過剰部の発生を防止するため、特公昭49−24133号公報では、剛毛、或いは可撓性の物体を用いて塗工量過剰部をかき落とす方法が開示されている。しかし、塗工量が多い場合、ならびに塗工速度がおよそ1,000m/minを超える高速塗工の場合などには、充分にかき落とすことは困難になり、さらに塗工液がウェブ裏面にも付着する、通常裏まわりと呼ばれる故障が発生しやすくなる。
【0008】
これらの故障を防止するために、カーテン膜の幅はウェブの幅を余裕をもって超える長さに設定される。しかし、これのみでは、ウェブの両端部側面に塗工液が付着することは避けられず、前述の塗工量過剰部が発生した場合と同様に、ペーパーロールなどの汚染、汚染部の正常部への転写、ならびに、特にワインダー部におけるブロッキングなどの故障、巻きずれ、および耳割れ故障が発生することが多い。
【0009】
これらの故障を防止するため、英国特許明細書1,279,817号では、カーテン膜の近傍にウェブの両端部を上から抑える装置を設け、ウェブの両端部を下方向に曲げることにより、ウェブの両端部側面全面に対する塗工液の付着を防止してドライエッジを形成すると共に、ウェブの両端部近傍の塗工量をその他の部分と比較して僅かに低減する方法が開示されている。本方法によれば、塗工量が多い場合であっても、上述の諸故障が発生することなく、安定して塗工を行うことが可能になる。しかし、使用するウェブの坪量が大きい場合にはウェブの両端部を下方向に曲げることが困難になり、本傾向は塗工速度が増すに従って増加する。
【0010】
また、上述の公報ではウェブの蛇行に対する考慮が払われていない。実際の塗工操作では、たとえば蛇行検出器の出力により、ウェブの幅方向の張力を調節することによってウェブの蛇行を修正する自動蛇行制御装置を使用している場合であっても、塗工の開始、ならびに停止、次のウェブロールへの枠替え、および塗工物水分の自動調節制御をエアードライヤーの風量調節制御によって実施している際の、エアードライヤーにおける加熱されたエアーの風量変化、などの緒要因に起因して、数mm〜15mmの蛇行の発生は避けられない。上述のウェブの両端部を下方向に曲げることによりドライエッジを形成する方法では、蛇行が数mmの移動である場合でも、ドライエッジを形成することができないことがあり、さらに、蛇行の変動幅が大きい場合には、ウェブ端部の過剰な曲げによる変形によって、ウェブが切断される場合もある。
【0011】
上記欠点を防止するため、特開平6−134377号公報では、カーテン塗工装置に付設されたドライエッジ形成装置において、カーテン膜が、連続して走行するウェブ上に落下する位置の近傍に設置されたウェブの両端部を下方向に変形させる機能を有するドライエッジ形成装置において、ウェブ端部の位置を検出する検出器と、該検出器で得られるウェブの両端部の位置を基にドライエッジ形成装置を最適な位置に補正移動する移動装置を付設する方法が開示されている。本移動装置の付設により、蛇行に起因する諸故障の発生はかなり低減され、安定して塗工を行うことが可能になる。
【0012】
しかし、上記装置は基本的に蛇行を低減するものではないので、蛇行が大きい場合にはカーテン膜の幅を過大に設定する必要が生じ、ウェブの幅を超えて流下する回収液の量が増加するので、塗工液の安定性上不利になるほか、ワインダー部における損紙の量も増加する。上記理由により、コーターヘッド部における蛇行を低減することが最も望ましく、先述の蛇行検出器の出力により、ウェブの幅方向の張力を調節することによってウェブの蛇行を修正する自動蛇行制御装置が採用されている例が多い。
【0013】
また、ウェブの幅方向の張力の調節による自動蛇行制御装置を使用している場合、ウェブの幅方向の張力の調節を急激に実施すればウェブが切断するおそれがあるので、調節速度には自ずから限界がある。さらに、近年は生産性の向上を目的に塗工速度が上がり、1,000m/minを超える塗工速度も稀ではなく、2,000m/minに近い高速塗工も試みられるようになった。このような状況下では、上述の、ウェブの蛇行修正に要する時間が無視できない要因となり、ワインダーにおける損紙の発生量は増加傾向にある。
【0014】
上述の如く、ウェブの両端部を上から抑えるタイプのドライエッジ形成装置を用い、かつウェブの幅方向の張力の調節による自動蛇行制御装置を使用した場合も、また、上記のドライエッジ形成装置を最適な位置に補正移動する移動装置を付設した場合であっても、損紙の増加を伴わずにドライエッジを安定して形成し、安定して塗工を行うことは困難になりつつある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上述した従来のカーテン塗工装置において、コーターヘッド部に付設されたウェブの両端部の塗工量過剰部発生防止装置、ならびにドライエッジ形成装置における諸故障の発生を防止して、塗工速度が1,000m/minを超えるような高速塗工を安定して行うことを可能にした新規なドライエッジ形成装置を備えたカーテン塗工装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、本発明のカーテン塗工装置を発明するに至った。本発明のカーテン塗工装置は、カーテン塗工装置の構成要素であるコーターヘッド部の上流部分に、ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置を設置し、水塗工装置とコーターヘッド部との間に、該水塗工装置によって与えられた水分を乾燥させるドライヤー部を設置したことを特徴とするカーテン塗工装置である。
【0018】
また、好ましくは本発明において、上記ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置が、アトマイジングノズルであることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づき、本発明の実施態様について詳細に説明する。図1は、本発明のカーテン塗工装置の一実施例を示す、ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置、ならびに、該水塗工装置によって与えられた水分を乾燥させるドライヤーを設置したカーテン塗工装置の概略側面図である。図1において、コーターヘッド部13の上流部分には、ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置5、ならびに、該水塗工装置によって与えられた水分を乾燥させるドライヤー部12が設置されている。図1における水塗工装置としては、アトマイジングノズルの例を示した。
【0020】
次に、図3により具体的に説明する。図3は、本発明によってドライエッジが形成される機構の概念図である。ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置によって裏面より水分が与えられたウェブの両端部(図3における17)は、一旦表面側にカールする(図3における18)。しかし、次いでドライヤー部12を通過し、乾燥した後は、逆に裏面側にカールする(図3における19)。その結果、上述の英国特許明細書1,279,817号において、カーテン膜の近傍にウェブの両端部を上から抑える装置を設け、ウェブの両端部を下方向に曲げることにより、ウェブの両端部側面全面に対する塗工液の付着を防止してドライエッジを形成する場合と同等な効果が得られる。
【0021】
また、ウェブの両端部の裏面に対する水塗工には後述する如く塗工幅があるので、固定されたウェブの両端部を上から抑える装置を用いる場合と比較して、基本的にウェブの蛇行による変動幅に対する許容範囲が大きい。
【0022】
しかも、本発明によるウェブの両端部の裏面側へのカールはウェブ自体に形成されたものであり、固定されたウェブの両端部を上から抑える装置を必要としない結果、同装置に起因するウェブの切断は原理的に発生することがなく、ウェブの蛇行による変動がカーテンの幅を超えない限り、安定してドライエッジが形成される。
【0023】
ただし、塗工の開始、ならびに停止、次のウェブロールへの枠替え、および、塗工物水分の自動調節制御をエアードライヤーの風量調節制御によって実施している際の、エアードライヤーにおける加熱されたエアーの風量変化、などの緒要因に起因するウェブの蛇行が過大になり、ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置の何れか一方がウェブの外に大幅に出てしまった場合は、ウェブの片側は水塗工されないので、図1に示す如く、蛇行検出器3の出力により、ウェブの幅方向の張力を調節することによってウェブの蛇行を修正する自動蛇行制御装置4を水塗工装置の上流側に設置し、使用することが好ましい。
【0024】
本発明の水塗工装置は、ウェブの両端部の裏面に、ある範囲の規定量の水分を与えることが可能な装置であれば、如何なる形式の装置でも使用可能である。例えば、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、などの諸印刷方式に準ずる装置、蒸気を噴出する蒸気ノズル、加圧水を回転運動させつつ細孔より放出する散水タイプのノズル、加圧エアーと加圧水を混合しつつ細孔より噴出させることにより適量の水を霧状に微細化して噴霧するアトマイジングノズルなどはいずれも使用可能であるが、これらに限定されることはない。また、塗工装置、或いは製品固有の制約要因により、一回で規定量の水分を与えることができない水塗工装置を選択した場合には、複数個を直列で使用しても、また、異なった種類の装置を組み合わせて使用しても差し支えない。
【0025】
上に例示した水塗工装置の中では、水粒子が微細である結果、ウェブ表面に付着した後、水の層を形成して流下することがなく、かつ水塗工部と非水塗工部の境界における付着水量の幅方向の変化が急激ではないこと、一回の水塗工処理あたりの水塗工量が比較的多く、本発明の目的達成には充分であること、非接触型である結果、水塗工する面が前もって塗工された面である場合にもその塗工面を傷つけることがなく、かつ高速塗工に適していること、ならびに水塗工する水分量の調節が容易であること、などの理由により、アトマイジングノズルが最も好適である。
【0026】
本発明で言うアトマイジングノズルとしては、第一精機エンジニアリング株式会社製Dシリーズ(商品名)に見られるような、エアー−水の二流体アトマイジングノズルが使用可能であり、噴霧範囲が扇形に広がる扇形スプレーノズルが、過度に広い範囲に噴霧が広がる傾向が少ないので好ましい。
【0027】
本発明のウェブの両端部における水塗工幅は、安定してドライエッジが形成されるために必要にしてかつ充分である最小限にとどめるべきである。ウェブの吸湿性、こわさなどにより異なるが、印刷用顔料塗工紙、或いは感熱記録紙、インクジェット記録紙などの諸記録紙に多用されるおよそ45〜100g/m2の上質紙である場合、幅方向で傾斜が生ずるが、水塗工量が多い部分で、およそ2〜4cmの範囲が好ましい。本条件のもとで、上述の蛇行検出器の出力により、ウェブの幅方向の張力を調節することによってウェブの蛇行を修正する自動蛇行制御装置を使用することにより、諸要因によって発生する蛇行に起因するトラブルはほぼ完全に防止することが可能になる。
【0028】
また、本発明のウェブの両端部における水塗工量も、安定してドライエッジが形成されるために必要にしてかつ充分である最小限にとどめるべきである。上述のおよそ45〜100g/m2の上質紙である場合、幅方向で傾斜が生ずるが、水塗工量が多い部分で、およそ3〜15g/m2の範囲が好ましい。
【0029】
また、本発明の水塗工装置に使用する水の温度は、ウェブの吸水速度が増すので高い方が好ましい。ウェブに接触する時点における水の好ましい温度は20〜80℃の範囲である。20℃未満の場合は充分な吸水速度が得られないことが多く、また、80℃を超えた場合にはウェブの表面に付着しにくくなる傾向が認められる。
【0030】
図1に示した例では、水塗工装置とコーターヘッド部との間に、該水塗工装置によって与えられた水分を乾燥させるドライヤー部を設置した好ましい例として示した。しかし、本発明では、裏面に対する水塗工装置によって裏面より水分を与えられ、一旦表面側にカールしたウェブの両端部が乾燥し、反対に裏面側にカールすればよいのであるから、水塗工装置とコーターヘッド部との距離が比較的長いという理由、または水の塗工量が少なくても目的とする効果が得られるなどの理由により、自然乾燥のみで目的が達せられる場合には、ドライヤー部を設けなくても良い。
【0031】
しかし、使用するウェブが比較的厚いなどの理由によって水の塗工量が多い場合には、ドライヤーで乾燥することにより裏面側にカールさせる。ここで用いられるドライヤーは、ウェブの両端部に与えた水分を充分乾燥させることが可能であれば如何なる方式のドライヤーでもよい。熱風乾燥方式のエアードライヤー、ドラム式ドライヤー、赤外線乾燥方式のドライヤーなどがいずれも使用可能である。しかし、これらに限定されるものではない。
【0032】
また、2組以上のコーターヘッド部、ならびにドライヤー部を有する塗工装置の場合、コーターヘッド部上流部分におけるコーターヘッド部による塗工量が比較的少量であるなどの理由により、上流部分のコーターヘッド部によって塗工された塗工層上に、ウェブがドライヤー部に進入する前にアトマイジングノズルなどの非接触タイプである水塗工装置によって適正量の水分を塗工しても塗工層が破壊されない場合には、上流部分に設置されたコーターヘッド部とそのドライヤー部との間のスペースにアトマイジングノズルを設置して、上流部分に設置されたコーターヘッド部によって塗工された塗工層のためのドライヤー部を共用することにより、本発明のアトマイジングノズルによって塗工された水分を同時に乾燥することも可能である。しかし、このような場合には、塗工液の種類ならびに塗工量の自由度が低下するのて、アトマイジングノズルによって塗工された水分を乾燥する専用のドライヤー部を設置することが好ましい。
【0033】
本発明における塗工液とは、写真感光材料形成用塗工液としてゼラチン水溶液中にハロゲン化銀を分散せしめたもの、磁気記録材料形成用塗工液として水あるいは有機溶剤中に磁性体粒子を分散せしめたもの、感熱記録材料形成用塗工液として発色剤ならびに顕色剤を分散せしめたもの、感圧記録材料形成用塗工液として発色剤あるいは顕色剤を含むマイクロカプセルを分散せしめたもの、インクジェット記録材料形成用塗工液として多孔性シリカを分散せしめたもの、顔料塗工紙形成用塗工液として無機あるいは有機顔料を分散せしめたものなど、液の粘度、固形分濃度などに関係なく、カーテンコーターで塗工を行うことが可能な塗工液であれば、制限なく用いることができる。
【0034】
本発明で使用されるウェブとしては、一般に使用される上質紙、中質紙、更紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、などを任意に選択して用いることができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の効果を一層明瞭とするために実施例を掲げるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数は、全て重量部を示し、特にことわりのない限り、濃度は固形分の濃度の重量%、塗工量は、乾燥後の絶乾塗工量を示す。
【0036】
実施例1
以下の配合で固形分濃度が61%の下塗り塗層形成用塗工液を調液し、ブレード塗工装置により、坪量60g/m2の上質紙に、絶乾塗工量が10g/m2となるように、1,000m/minの塗工速度で塗工し、下塗り原紙を製造した。
【0037】
<下塗り液配合>
市販重質炭酸カルシウム(カービタル90) 70部
市販2級カオリン(カオブライト) 30部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.2部
市販燐酸エステル化澱粉 7部
市販スチレン・ブタジエン・ラテックス 10部
水酸化ナトリウム 0.1部
【0038】
下記の配合で固形分濃度が55%の上塗り塗層形成用塗工液を調液し、図1による概略側面図で示すような、コーターヘッド部13の上流部分に、順に、蛇行検出器3の出力により、ウェブの幅方向の張力を調節することによってウェブの蛇行を修正する自動蛇行制御装置4、ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置5として、第一精機エンジニアリング株式会社製、Dシリーズ装置番号N13番の、エアー−水の二流体アトマイジングノズル、ならびに水塗工装置によって与えられた水分を乾燥させるエアードライヤー12を設置したカーテン塗工装置を用いて、アトマイジングノズル先端から下塗り原紙裏面までの距離4cm、水圧1.0kg/cm2、エアー圧2.0kg/cm2の条件下で、前に得られた下塗り原紙の両端部裏面に水を塗工し、かつ塗工した水分をドライヤーで乾燥しつつ、下記上塗り塗層形成用塗工液を1,000m/minの塗工速度で、塗工量が15g/m2になるように塗工、乾燥を行い、印刷用顔料塗工紙を製造した。下塗り原紙からコーターヘッドの下端までの高さは160mmとした。
【0039】
<上塗り液配合>
市販重質炭酸カルシウム(カービタル90) 10部
市販1級カオリン(ウルトラホワイト90) 45部
市販2級カオリン(カオブライト) 25部
市販立方体状軽質炭酸カルシウム (ブリリアント15) 10部
市販サチンホワイト 10部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.2部
市販燐酸エステル化澱粉 2部
市販スチレン・ブタジエン・ラテックス 16部
【0040】
塗工状況は、塗工開始直後の、ウェブの幅方向の張力の調節による自動蛇行制御装置部における蛇行の変動量は最大でおよそ50mmであったが、同自動蛇行制御装置による制御の結果、アトマイジングノズル、ならびにコーターヘッド直下における蛇行の変動量は、最大で10mm以下に修正された。また、枠替えの際には一時的に10mmを超えることがあったが、この場合を含めてドライエッジは安定して得られ、ワインダー部におけるブロッキング、耳割れ、巻きずれなどの故障の発生は認められなかった。
【0041】
比較例1
実施例1において、エアー−水の二流体アトマイジングノズルの使用を中止し、これに伴って水塗工装置によって与えられた水分を乾燥させるエアードライヤーによる加熱も中止した。これに代わり、カーテン膜の上流側3cmの箇所に、図2と同じタイプのウェブの両端部を上から抑える装置を設け、ウェブの両端部を下方向に曲げることにより、ウェブの両端部側面全面に対する塗工液の付着を防止してドライエッジを形成すると共に、ウェブの両端部近傍の塗工量をその他の部分と比較して僅かに低減しつつ、上塗り塗層形成用塗工液を塗工して印刷用顔料塗工紙を製造した。その他の条件は実施例1と同様である。
【0042】
塗工状況は、塗工開始直後の、ウェブの幅方向の張力の調節による自動蛇行制御装置部における蛇行の変動量は最大でおよそ50mmであったが、同自動蛇行制御装置による制御の結果、コーターヘッド直下における蛇行の変動量は最大でおよそ10mmに修正された。本条件では、ウェブの両端部を上から抑える装置が安定してドライエッジを形成することができる蛇行の許容範囲を超えた結果、ドライエッジの形成幅が不安定で、部分的にドライエッジが未形成の部分が発生して、搬送ロールに汚れが発生した。また、枠替えの際のウェブの蛇行は10mmを超えた。この時点でウェブが切断したので塗工を中止した。
【0043】
実施例2
実施例1において、エアー−水の二流体アトマイジングノズルを取り外し、同位置に、凹版部分の面長が5cmであるゴム製凹版ロールよりなる水塗工装置によってウェブの両端部より4cm迄水を塗工しつつ、上塗り塗層形成用塗工液を塗工して、印刷用顔料塗工紙を製造した。また、上塗り塗層形成用塗工液の塗工速度は400m/minとした。その他の条件は実施例1と同様である。
塗工状況は、塗工開始直後の、ウェブの幅方向の張力の調節による自動蛇行制御装置部における蛇行の変動量は最大でおよそ50mmであったが、同自動蛇行制御装置による制御の結果、水塗工装置、ならびにコーターヘッド直下における蛇行の変動量は、最大で10mm以下に修正された。また、枠替えの際には一時的に10mmを超えることがあったが、この場合を含めてドライエッジは安定して得られ、ワインダーにおけるブロッキング、耳割れ、巻きずれなどの故障の発生は認められなかった。
【0044】
参考例1
実施例2において、上塗り塗層形成用塗工液の塗工速度を800m/minとした。その他の条件は実施例2と同様である。
塗工状況は、塗工開始直後の、ウェブの幅方向の張力の調節による自動蛇行制御装置部における蛇行の変動量は最大でおよそ50mmであったが、同自動蛇行制御装置による制御の結果、水塗工装置、ならびにコーターヘッド直下における蛇行の変動量は、最大で10mm以下に修正された。しかし、実施例2と比較して上塗り塗層形成用塗工液の塗工速度が上がり、これに伴って水塗工装置であるゴム製凹版ロールの表面速度が上がった結果、ゴム製凹版ロールの表面におけるブレードによる過剰な水の掻き落としが充分に行われず、かつ、ゴム製凹版ロールの表面より水滴が飛散するなどしたため、塗工を断念した。実施例1、ならびに実施例2の結果をあわせ考えると、水塗工装置としてエアー−水の二流体アトマイジングノズルを採用することは、高速塗工の際、極めて重要な条件であることが判る。
【0045】
【発明の効果】
上記結果より、本発明におけるドライエッジ形成装置を設置したカーテン塗工装置を用いて塗工することにより、1,000m/minを超えるような高速塗工の場合にも、ドライエッジを安定して形成し、耳割れ、ブロッキングなどの故障が発生することなく、安定して各種塗工物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカーテン塗工装置の一実施例を示す、ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置、ならびに、該水塗工装置によって与えられた水分を乾燥させるドライヤーを設置したカーテン塗工装置の概略側面図。
【図2】従来ドライエッジ形成用装置として広く用いられている、固定された治具によりウェブの両端部を上から物理的に抑える装置の概念図(ウェブは幅方向断面)。
【図3】本発明によってドライエッジが形成される機構の概念図(ウェブは幅方向断面)。
【符号の説明】
1 アンワインダー
2 ウェブ
3 蛇行検出器
4 蛇行検出器の出力により、ウェブの幅方向の張力を調節することによってウェブの蛇行を修正する自動蛇行制御装置
5 本発明の、ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置(図ではアトマイジングノズル)
6 エアーコンプレッサー
7 高圧エアータンク
8 エアー圧力調節バルブ
9 貯水タンク
10 送水ポンプ
11 水流量調節バルブ
12 ウェブの両端部の裏面に塗工された水分を乾燥するためのドライヤー部
13 コーターヘッド部
14 ドライヤー
15 ワインダー
16 カーテン膜の上流側近傍に固定された、ウェブの両端部を上から抑えることによってウェブの両端部を下方向に曲げ、ウェブの両端部側面全面に対する塗工液の付着を防止してドライエッジを形成するための装置の概念図(ウェブは幅方向断面)
17 ウェブの両端部の裏面に対する水塗工の概念図(ウェブは幅方向断面)
18 ウェブの両端部の裏面に対する水塗工後の両端部のカールの概念図(ウェブは幅方向断面)
19 ウェブの両端部の裏面に塗工された水分を乾燥した後の両端部のカールの概念図(ウェブは幅方向断面)
Claims (2)
- カーテン塗工装置の構成要素であるコーターヘッド部の上流部分に、ウェブの両端部の裏面に対する水塗工装置を設置し、水塗工装置とコーターヘッド部との間に、該水塗工装置によって与えられた水分を乾燥させるドライヤー部を設置したことを特徴とするカーテン塗工装置。
- 水塗工装置が、アトマイジングノズルであることを特徴とする請求項1記載のカーテン塗工装置。
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