JP3824418B2 - 皮膚洗浄剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚洗浄剤、即ち優れた洗浄性を有し、すすぎ時の泡切れが良く、ぬるつきを生ぜず、角層細胞間脂質を保護し肌荒れを防ぐ使用感に優れた皮膚洗浄剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般人の清潔志向の高さを反映して、シャワーによる身体の洗浄の普及が拡大し、シャンプー、ボディシャンプーや洗顔クリーム等の洗浄剤の需要が著しく高くなっており、かかる洗浄剤に要求される主たる特性として、洗浄性と低刺激性が要求されている。
【0003】
洗浄性とは、体の皮膚に付着したゴミ、ホコリ等の汚れ及び、皮脂腺から分泌された皮脂、汗腺からの汗の乾燥成分(塩類、尿素等)、代謝によりはがれた老廃角質、それらが複雑に関与して発生する異臭物質等の汚れを洗浄除去するための機能である。
【0004】
もう一つの特性としては、皮膚の生理機能を阻害しないための低刺激性が求められている。健康な肌は、皮膚の最外層にある角質層に10〜20%の水分が含まれており、その水分保持のためには、皮脂膜、NMF( Natural Moisturing Factor )、角層細胞間脂質が関与する。
【0005】
これらのうち、皮脂膜は、汚れの原因であるため、一定時間後に洗浄除去されるのが望ましいが、NMFと角層細胞間脂質については、洗浄時に角質層から失われると、角質層の水分量は大きく低下して、肌荒れを生じ、回復に長時間を要する。
従って、洗浄剤の洗浄力には、皮脂の洗浄力に優れるが、NMFと角質細胞間脂質の保持性が高いという選択洗浄性が求められる。
【0006】
洗浄剤の主成分は界面活性剤であり、従来より一般に使用されているものとして、高級脂肪酸塩、より具体的にはラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の脂肪酸カリウム塩類及び、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の脂肪酸をトリエタノールアミンで中和して得たトリエタノールアミン塩等がある。これらは起泡性に優れ、洗い上がりの感触がさっぱりしている特長を有する。
【0007】
これらの界面活性剤を主成分とする洗浄剤は、皮脂の洗浄力に優れるが、肌の保湿成分であるNMFや角層細胞間脂質を過度に溶出させるだけでなく、角層中における吸着残留性が高い。
そのため、刺激性も強く、洗浄後のかさつき感、つっぱり感、刺激感などの肌症状を起こしやすい。
【0008】
そこで最近のシャンプー、ボディシャンプー、洗顔クリーム、ハンドソープ等の洗浄剤には、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルサルコシン塩等のN−アシルアミノ酸塩系の界面活性剤が使用されるようになった。かかる界面活性剤の特長は、角質層水分保持因子として重要なNMFを保持することである。
【0009】
このために、かかる低刺激性洗浄基剤を用いた洗浄剤は、角質層水分量の低下を抑制する効果に優れており、低刺激性で、使用後しっとりした感触を与える等の特徴がある。しかし、このものは洗浄基剤として、特に単独で用いた場合、前述の界面活性剤と比較すると、使用時にぬるつき感があり、使用後もさっぱり感に欠ける。
【0010】
これらの欠点を解決する方法として、特開平7−252135号公報は、液体洗浄剤にシリカゲルを配合することを提案しているが、完全に欠点が解決しているとは言えない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、優れた洗浄性を有する洗浄剤、さらにすすぎ時の泡切れが良く、その上にぬるつきも生じない、使用後の肌荒れ等が生じない等の使用感に優れた洗浄剤を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明者は、鋭意検討した結果、ハイドロキシアパタイトを従来使用している洗浄剤に配合することにより、目的を達成できることを認めた。
【0013】
各種のリン酸カルシウム系化合物の中でも、ハイドロキシアパタイトは、両性イオン交換体として酸性、中性及び塩基性のいずれかの物質をも良く吸着し、各種の化学物質、特に蛋白質を強く吸着するので吸着剤として物質の分離精製、酵素の固定化に広く使用されている。
【0014】
ハイドロキシアパタイトは、化学量論的にCa10(PO46(OH)2で示
される物質であるが、Ca/Pモル比1.4〜1.8でCa塩とリン酸塩とを反応させて得られたリン酸カルシウム系化合物は、いずれもハイドロキシアパタイト類似の性質を示すことが認められているので、本願でいうハイドロキシアパタイトとは、かかるCa/Pモル比1.4〜1.8で反応させて得た化合物を意味している。
【0015】
かかる性質を有するハイドロキシアパタイトを利用することによって、洗浄剤中の界面活性剤の吸着担体となり、該界面活性剤が皮膚に吸着することを防ぐとともに、皮脂及び蛋白質の汚垢を吸着除去することにより、洗浄時のぬるつき感を低減し、洗浄後のかさつき感、つっぱり感、刺激感などの肌症状を起こすのを防ぐことができる。また、さらに注目すべきことは、ハイドロキシアパタイトには、コレステロール等の角質細胞間脂質を保持しながら、汚れの原因である皮脂成分脂質を吸着除去するという、脂質に対して選択的な吸着能を有することが示された。このため、各種界面活性剤に配合して使用したときには、汚れを洗浄しつつ、角質細胞間脂質が保持されるため、肌荒れ等が防がれ、使用感が向上する。
【0016】
本発明は、前述のハイドロキシアパタイトの性質を利用するものであり、結晶性のものも使用可能であるが、特に、ハイドロキシアパタイトの結晶構造の明確な特徴を示す回折パターンが得られない、非晶質或いは結晶性が低いものを使用することが好ましい。以下、非晶質或いは低い結晶性のアパタイトを非晶質アパタイトとして説明する。
【0017】
前述の非晶質アパタイトの製造は、ハイドロキシアパタイトを合成する方法として、通常使用される出発水溶液を使用し、公知の方法、或いは一般的な方法によって合成される。例えば、異なった濃度のCa2+イオン水溶液とPO4 3-イオン水溶液を中性から塩基性に保ちつつ混合して、沈殿を生成させ、乾燥する等の方法により得られる。なお、Ca2+イオン水溶液の調整には、Ca(OH)2、Ca(NO3)2 或いはCaCl2 を用い、PO4 3-イオン水溶液の調整には、H3PO4水溶液、或いは(NH4)2PO4水溶液を用いるのが一般的である。
【0018】
本発明で使用する非晶質アパタイトは、結晶性の高いハイドロキシアパタイト(以下結晶質アパタイトと称する)と比較して、粒径の小さい粒子からなる凝集体を形成しやすく、その凝集体は容易に崩壊する。従って、皮膚に直につけて使用したとき、前述したように、脂質物質等、可溶性糖分子、糖蛋白分子或いは蛋白残渣といった代謝産生物、老廃物物質分子や洗浄剤中の界面活性剤、増粘剤等を物理吸着或いは化学吸着によって取り込む効果を発揮すると同時に、非晶質アパタイト粒子が皮膚表面にじかに接触することによって、擦り洗いの効果が得られ、凝集体が容易に崩壊することによって非晶質アパタイトを人体へ接触させたとき、皮膚を傷つけず、マイルドな使用感になる。
【0019】
また、アパタイト粉末の平均粒径は、洗浄剤に配合して使用感を損ねない程度の大きさの粉体状であれば特に制限はないが、0.1μm〜10.0μmのものを使用するのが好ましい。この範囲内の粒径のアパタイト粉末粒子が容易に製造しやすいからである。また、1.0μm〜5.0μmの範囲内の粒径のアパタイトを使用した場合、使用感が安定して良好であり、この範囲内の粒径のアパタイトを使用するのが最も好ましい。
【0020】
本発明の洗浄剤は、一般に皮膚等の洗浄剤に使用されている成分に、上記ハイドロキシアパタイトを配合することにより、製造される。
【0021】
このような、身体洗浄剤に用いられる成分として、例えば陰イオン界面活性剤(N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンなど)、非イオン性界面活性剤(モノラウリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油など)、陽イオン性界面活性剤(塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなど)、両イオン性界面活性剤(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチルN−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインなど)、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の保湿剤、グリセリルモノステアレート、ソルビタンモノパルミレート、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ジグリセリンモノステアリン酸エステル等の乳化剤、流動パラフィン、ワセリン、固形パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマー等の炭化水素、ステアリルアルコール等の高級アルコール、イソプロピルミリステアレート、イソプロピルパルミテート、ステアリルステアレート、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸トリグリセリド等のエステル、感触向上剤、過脂剤、生薬等の薬剤、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カチオン化セルロース等のセルロース誘導体、天然高分子、ポリオキシエチレングリコールジステアリン酸エステル、エタノール、カルボキシビニルポリマー等の粘度調整剤、パラベン誘導体等の防腐防カビ剤、パール化剤、抗炎症剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、香料、色素等の成分を配合することができる。
【0022】
ハイドロキシアパタイトの配合量は、結晶質及び非晶質のアパタイトのいずれについても洗浄剤全量に対して0.05〜5重量%であることが好ましい。その範囲を超えてハイドロキシアパタイトを配合しても、使用感が向上しない上、量をあまり多く配合すると、ハイドロキシアパタイトが洗浄剤中に均一に存在し得ず、容器底部に溜まりやすくなるからである。また、前述の範囲に満たない配合量で使用した場合では、使用感の向上について明確な効果が得られず、使用感を向上するには0.05重量%以上の配合量を必要とするが、使用感が良好と評価を得るには配合量を0.1重量%以上にするのが好ましい。
【0023】
なお、結晶質アパタイトについては、前述の範囲内で使用すればよいが、非晶質アパタイトについては、前述した物理吸着或いは化学吸着能が結晶質アパタイトより良好であるが、この範囲を超えて使用しても、使用感の向上は見込めないため、0.1〜3重量%の範囲で配合して使用するのがより好ましい。
【0024】
本発明の洗浄剤中に含有されたアパタイトは、洗浄効果が高く、アミノ酸系界面活性剤と共に皮膚に使用したとき、前述したように、コレステロール等の角質細胞間脂質を保持しながら、洗浄剤中の界面活性剤、増粘剤等に対し、物理吸着或いは化学吸着によって選択的に取り込む作用をする。従って、各種の界面活性剤が皮膚に与える刺激、不快感は低減される。
例えば、ハイドロキシアパタイト、特に非晶質アパタイトと共に、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルアスパラギン酸塩、N−アシルグリシン塩、N−アシルザルコシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩等のN−アシルアミノ酸塩系の界面活性剤を併用した場合は、低刺激性と使用後のしっとりとした感触を有するとともに、これらの界面活性剤の問題であった、すすぎ時の泡切れの悪さやすすぎ時のぬるつき感といったすすぎ性が改善される。本発明の洗浄剤への前記アミノ酸系界面活性剤の配合量は、1〜40重量%の範囲内である。
【0025】
また、ハイドロキシアパタイト、特に非晶質アパタイトとアミノ酸系界面活性剤と共にラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の脂肪酸カリウム塩類及びトリエタノールアミン塩等の高級脂肪酸塩を併用した場合にも、洗浄時の豊かな泡立ちが保たれるとともに角質細胞間脂質が保持されるので、高級脂肪酸の欠点である角層中における吸着残留性及び刺激性が低減され、洗浄後のかさつき感、つっぱり感、刺激感などの肌症状が改善される。本発明の洗浄剤に前記高級脂肪酸塩を併用する場合、その配合量は1〜50重量%の範囲内である。
このように、ハイドロキシアパタイト、特に非晶質アパタイトを、またこれらアパタイトと共にアミノ酸系界面活性剤を洗浄剤に配合することによって、洗浄機能及び使用感を改善することができる。
【0026】
【実施例】
[結晶質アパタイトの製造]
水酸化カルシウム懸濁液を90℃、pH10.0に保持しつつ、3倍に水で希釈したリン酸水溶液を、混合溶液のCa/Pモル比が1.67になるまで滴下した。生成したゲル状物質は、90℃で5時間放置して熟成し、ガラスフィルターで濾過した。
そして、合成時と同じpHに調整したアンモニア水及びアセトンを用いて洗浄し、120℃にて乾燥を行い、これを更に空気中にて800℃、2時間焼成してCa/Pモル比が1.67の結晶質アパタイトを得た。
[非晶質アパタイトの製造方法]
次の処方にて、非晶質アパタイトを調整した。
最初に攪拌下の水酸化カルシウム懸濁液に、pH10に至るまで3倍に蒸留水で稀釈したリン酸水溶液を滴下したのち、アンモニア水を用いて混合溶液のpHが9.5〜10.0の範囲で維持しながら、6倍に水で稀釈したリン酸水溶液をCa/Pモル比が1.67になるまで滴下した。なお、混合溶液の反応温度は0℃に維持した。このようにして生成したゲル状物質を0℃で3時間放置して熟成し、ガラスフィルターで濾過した。そして合成時と同じpHに調整したアンモニア水及びアセトンを用いて洗浄し、更に100℃の空気中で乾燥を行い、Ca/Pモル比が1.62の非晶質アパタイトを得た。
このようにして得られた結晶質アパタイト及び非晶質アパタイトの粉末X線回折パターンを図1に示す。この図からわかるように、結晶質アパタイトは特有の反射角で鋭いピーク強度を有しており、これらがハイドロキシアパタイト特有のものであるので、結晶構造は良好であることがわかる。一方、非晶質アパタイトは、結晶質アパタイトに比較して回折パターンが不明瞭であり、結晶構造は良好でないことがわかる。
【0027】
[選択洗浄性試験]
次の方法により、本発明に使用するハイドロキシアパタイトについて、皮層上成分の選択洗浄性を評価した。また、本発明との比較のため、シリカゲルについても同様の方法により皮層上成分の選択洗浄性を評価した。
まず、皮脂成分脂質としてオレイン酸、角層細胞間脂質としてコレステロールを指標として選択洗浄性を評価するため、トルエン、エタノール、蒸留水が1:13:5の溶液に皮脂成分として、オレイン酸0.12%(W/V)、コレステロール0.02%(W/V)となるように溶解した。そこに、結晶質、非晶質のアパタイトについて、それぞれ濃度0%、0.05%、0.1%、3%、5%(W/V)になるように添加し、十分に攪拌した。比較のため、シリカゲルを5%(W/V)添加した場合についても同様に実験を行なった。
その後、遠心分離(3200rpm;20min;22℃)を行った。その上澄みを1.5mlずつを用いて、高速液体クロマトグラフィー(システムステーション:LCSS−905(日本分光株式会社製))により、上澄みに残っている前述の皮脂成分について定量分析を行った。前述の皮脂成分に対するアパタイトの吸着能は、この上澄みに残っている前述の皮脂成分量を定量することにより評価できる。
さらに、前述と同様にトルエン、エタノール、蒸留水が1:13:5の溶液に皮脂成分として、オレイン酸0.12%(W/V)、コレステロール0.02%(W/V)となるように溶解した。そこに、アミノ酸系界面活性剤であるN−ラウロイル−L−グルタミン酸カリウム(以下AGS)を5%溶解し、さらに結晶質、非晶質のアパタイトについて、それぞれ濃度0%、0.05%、0.1%、3%、5%(W/V)になるように添加し、十分に攪拌した。その後、前述と同様の操作を行い、皮脂成分の定量分析を行った。比較のため、シリカゲルを5%(W/V)添加した場合についても同様に実験を行なった。
又、AGSに変えて、AGSと高級脂肪酸塩系の界面活性剤であるミリスチン酸カリウムをそれぞれ5%溶解混合した液を用いて、結晶質、非晶質のアパタイト及びシリカゲルについて同様の試験を行った。
他に比較としてミリスチン酸カリウム5%溶液を用いて、結晶質、非晶質のアパタイト及びシリカゲルについて、それぞれ5%濃度で同様の試験を行った。
【0028】
[選択洗浄性試験結果]
結晶質及び非晶質のアパタイト及びシリカゲルをそれぞれ使用した場合の、上澄みに残存するオレイン酸、コレステロールの定量分析結果を表1に示す。この結果から、アパタイトの量を増加するにつれて、オレイン酸、コレステロールの残存量が低下していることがわかる。従って、アパタイトの洗浄効果が高いことが確認できた。そして、この効果は、同量の配合量の試験結果について比較すると、結晶質よりも非晶質のアパタイトの方が効果が高いことがわかる。
他方、これらのハイドロキシアパタイトに対してシリカゲルの場合には、添加量が同量のときの効果を比較すると、オレイン酸、コレステロールの残存量が多く、洗浄効果が低いことがわかる。
【0029】
【表1】
Figure 0003824418
【0030】
次に、結晶質及び非晶質のアパタイト及びシリカゲルにそれぞれAGSを加えて使用した場合の、上澄みに残存するオレイン酸、コレステロールの定量分析結果を表2に示す。この結果から、アパタイトの量を増加するにつれて、オレイン酸の残存量は低下している一方、コレステロールの残存量には変化がないことがわかる。
【0031】
【表2】
Figure 0003824418
【0032】
従って、アパタイトにAGSを添加した場合には皮脂成分中の落としたい成分(オレイン酸)を落とし、落としたくない成分(コレステロール)を残すという効果を確認することができた。そして、この効果は、同量の配合量の試験結果について比較すると、結晶質よりも、非晶質のアパタイトの方が良好であることがわかる。
また、結晶質及び非晶質のいずれのアパタイトも、その添加量が増加すると、オレイン酸の吸着量は増加するが、コレステロールの吸着はない。
他方、これらのハイドロキシアパタイトに対し、シリカゲルの添加は、オレイン酸の残存量が多く洗浄効果が低いにも係わらず、コレステロール量が減少しており、選択的な洗浄効果を有しない。
【0033】
また結晶質及び非晶質のアパタイトにそれぞれAGS及びミリスチン酸カリウムを加えて使用した場合の、上澄みに残存するオレイン酸、コレステロールの定量分析結果を表3に示す。この結果からも、AGSのみの場合と同様にアパタイトの量を増加するにつれて、オレイン酸の残存量は低下している一方、コレステロールの残存量には変化がないことがわかる。
【0034】
さらに比較として、結晶質及び非晶質のアパタイト及びシリカゲルにそれぞれミリスチン酸カリウムを加えて使用した場合の、上澄みに残存するオレイン酸、コレステロールの定量分析結果を表3に示す。この結果から、オレイン酸、コレステロールの残存量がどちらもほとんど低下しており、シリカゲルを配合した場合についても、前記の何れの成分も残存量が低下している。このように、アパタイトに高級脂肪酸塩であるミリスチン酸カリウムを添加した場合には、アパタイトの持つ選択的な洗浄効果が失われることがわかる。
【0035】
【表3】
Figure 0003824418
【0036】
以上の結果より、アパタイトによる皮脂成分の吸着、特に非晶質アパタイトにおいて高い吸着効果が示された。又、アパタイトと共にアミノ酸系界面活性剤を使用することにより、皮脂成分の選択的吸着量が確認できた。それによって、シャンプー、ボディシャンプー、洗顔クリーム等の洗浄剤にアパタイトを配合することにより、高い洗浄効果が示され、さらにアパタイトと共にアミノ酸系界面活性剤を使用することにより、落としたい成分はしっかり落とし、落としたくない成分は残すという理想的な洗浄効果が示された。またアパタイトと共にアミノ酸系界面活性剤を使用した場合には、高級脂肪酸塩系界面活性剤を併用してもアパタイトの洗浄効果が失われないことが示された。
【0037】
[界面活性剤の吸着能試験]
前述したように、ハイドロキシアパタイト、特に非晶質アパタイトを洗浄剤に配合すると、ぬるつきを低減する効果がある。かかる効果を明らかにするため、次の方法により、本発明に使用するハイドロキシアパタイトについて、界面活性剤に対する吸着能を調べた。
[分析用試料の調製]
Figure 0003824418
▲1▼の界面活性剤については、蒸留水に0.5%(V/V)となるように溶解し、▲2▼の界面活性剤については、蒸留水に1.0%(W/V)となるように溶解してそれぞれの界面活性剤の水溶液を調製した。
次いで、結晶質、非晶質のアパタイトについて、それぞれ濃度0%、0.05%、0.1%、3%、5%(W/V)になるように添加し、十分に攪拌して、2時間静置した。その後、遠心分離(7000rpm;20min;22℃)を行って、その上澄み1.5mlずつを用いて、前述の高速液体クロマトグラフィーを使用して、定量分析を行った。前述の界面活性剤に対するアパタイトの吸着能は、この上澄みに残っている前述の界面活性剤の量を定量することにより評価できる。
【0038】
[界面活性剤の吸着能]
結晶質及び非晶質のアパタイトをそれぞれ使用した場合の、上澄みに残存するAGS及びミリスチン酸カリウムの定量分析結果を表4に示す。
この結果が示すように、ぬるつきの原因とされるAGSの界面活性剤に対するアパタイトの吸着効果が確認できる。そして、この効果は添加量の増加に伴って吸着効果が良くなり、同量の配合量の試験結果について比較すると、結晶質よりも、非晶質のアパタイトの方が界面活性剤の吸着能が良好であることがわかる。
又、界面活性剤であるAGSとミリスチン酸カリウムを併用した場合にも、これら界面活性剤、特にAGSに対するアパタイトの吸着効果が確認できる。
【0039】
【表4】
Figure 0003824418
【0040】
[洗浄剤の組成及び評価]
実施例1〜5に、前述の処方により得られた結晶質アパタイトを配合し、そして実施例6〜10に、前述の処方により得られた非晶質アパタイトを配合することにより、表5に示す組成の洗浄剤(ボディシャンプー)を製造し、これらの洗浄剤について、使用感を下記方法及び基準に基づいて評価した。
又、比較としてアパタイトを配合しない以外は実施例2、及び実施例4と同様の組成の洗浄剤を製造して使用感を評価した。
[試験方法]
20〜40歳のパネラー20名に、試料15mlを浴用スポンジに取ったものを用いて、約40℃の温水で身体の洗浄をさせ、その際の官能評価試験を行った。評価は、次の基準による平均値を算出し、平均値が3.5以上の場合を非常に良好(◎)、3.4〜2.5の場合を良好(○)、2.4〜1.5の場合を普通(△)、1.4以下の場合を不良(×)と判定した。
(1)ぬるつき感:すすぎ時のぬるつき感を下記基準により評価した。
4:ぬるつきがほとんどか、全くない。
3:ぬるつきがややあるが、短時間の擦り洗いでぬるつきがなくなる。
2:ぬるつきが明らかにあり、長時間の擦り洗いと大量の温水を必要とした。
1:ぬるつきが明らかにあり、長時間の擦り洗いと大量の温水によって洗浄しても、ぬるつきが残った。
(2)すすぎ時の泡切れ
4:泡切れがよい。
3:ふつう。
2:泡切れがやや悪い。
1:泡切れが悪く、大量の水を必要とした。
(3)しっとり感:前期洗浄及びすすぎの後、自然乾燥させた後の皮膚のしっとり感を下記基準により評価した。
4:しっとりする。
3:ややしっとりする。
2:ふつう。
1:つっぱり感ある。
【0041】
【表5】
Figure 0003824418
【0042】
表5の結果から明らかなように、アパタイトを配合した洗浄剤はアミノ酸塩、及びアミノ酸塩と共に高級脂肪酸塩を使用した洗浄剤のいずれにおいても、アパタイトを配合していない洗浄剤に比較してぬるつき感の抑制の向上に効果がある。非晶質アパタイトを使用した洗浄剤は、結晶性の高いアパタイトを同量使用洗浄剤に比較して、アパタイト以外の成分を変えていないにも関わらず、ぬるつき感をより改善しうることがわかった。
また、アパタイトの配合量を高めることによって、ぬるつき感の改善性が高められることがわかった。
すすぎ時の泡切れに関しても、アパタイト配合による効果については、前述のぬるつき感に関する効果の場合と同様のことがいえる。
しっとり感については、アパタイトを配合した洗浄剤の方が、アパタイトを配合していない洗浄剤に比較して効果があり、同量のアパタイトであっても、非晶質の方が結晶性の高いアパタイトより高い効果が得られることがわかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の洗浄剤は、ハイドロキシアパタイト、特に非晶質アパタイトを配合したことにより、界面活性剤により起こるすすぎ時の泡切れの悪さが改善され、その上にすすぎ時のぬるつきも生じないという優れた洗浄性を有しつつ、汚れの原因である皮脂成分脂質を除去しながら角質細胞間脂質が選択的に保護されるため、使用後の乾燥後に皮膚に刺激の少ないものであり、身体の皮膚洗浄用として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は結晶質アパタイト及び非晶質アパタイトの粉末X線解折パターンを示す図である。

Claims (4)

  1. Ca/Pモル比が1.4〜1.8のハイドロキシアパタイト及びアミノ酸系界面活性剤を含有する皮膚洗浄剤。
  2. さらに、高級脂肪酸塩を含有する請求項1記載の洗浄剤。
  3. ハイドロキシアパタイトが、非晶質である請求項1または2記載の洗浄剤。
  4. ハイドロキシアパタイトの含量が、洗浄剤全量に対し0.05〜5.0重量%である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の洗浄剤。
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