JP3824033B2 - 高調波補償装置を有する電源装置 - Google Patents

高調波補償装置を有する電源装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、AC−DC、AC−DC−AC、AC−DC−AC−DC等の変換において発生する高調波又は無効分を補償する装置を有する電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
AC−DC(交流−直流)変換部を含む電源装置においては、整流手段の後に平滑用コンデンサが接続されているので、入力電流波形が正弦波にならず、高調波成分を含み、且つ力率が悪くなる。
この種の高調波成分の除去及び力率改善の方法として次の2つの方法が知られている。
(1) 整流回路をスイッチを含む制御整流回路とすると共にリアクトルを接続し、スイッチによってリアクトルを交流電源に選択的に接続することによって補償電流を流し、入力電流の波形を正弦波に近づける方法。
(2) 変換器に並列に独立した補償装置を接続し、この補償装置から補償電流を供給する方法。
【0003】
図1は従来の上記(2)の方法を説明するためのブロック図である。この図1では交流電源端子1と直流出力端子2との間に2個のAC−DC−AC−DC変換器ユニット3a、3bの並列回路が接続されている。AC−DC−AC−DC変換器ユニット3a、3bを1つの変換器にまとめた構成にすることも可能である。しかし、図1の方式によれば、直流出力端子2に接続される負荷の大きさの変化に変換器ユニットの個数の変化で対応することができるので、コストの点で有利になる。高調波及び無効分の補償装置4は交流電源端子1に接続され、2つの変換器ユニット3a、3bの合計の低次の高調波成分及び無効分を補償する。この高調波及び無効分の補償は電流検出器5によって変換器ユニット3a、3bの合計電流を検出し、これに基づいて補償電流を決定することによって行われる。即ち、変換器ユニット3a、3bの合計電流の高調波成分と基本波無効成分とを検出し、これを打ち消すことができる補償電流を補償装置4から供給する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の上記(1)の方法によれば、図1の各変換器ユニット3a、3bに補償手段を内蔵させた構成となるため、各変換器ユニットが高価且つ大型になり、また電源装置全体としても高価になる。
また、上記(2)に従う図1に示す従来方法によれば、補償装置4を変換器ユニット3a、3bに実質的に無関係に構成するので、電源装置全体が大型になる。また、図1から補償装置4を取り除いた構成の既存の電源装置に対して補償装置4を容易に追加することができない。
【0005】
そこで、本発明の目的は高調波又は無効分の補償を容易に行うことができる電源装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、上記目的を達成するための本発明は、少なくとも整流器をそれぞれ含む複数の変換器ユニットが並列接続され、前記複数の変換器ユニットが交流電源端子に接続されており、前記交流電源端子から前記複数の変換器ユニットに流入する交流入力電流の高調波成分と無効成分とのいずれか一方又は両方を低減させるための補償装置が前記交流電源端子に接続されている電源装置において、前記複数の変換器ユニットは変換回路とこの変換回路を収容するための外箱と外部接続端子とをそれぞれ有し、前記複数の変換器ユニットの変換回路は互いに同一の回路構成を有し、前記複数の変換器ユニットの前記外箱は互いに同一形状に形成され、前記複数の変換器ユニットの前記外部接続端子は互いに同一形状に形成され且つ前記外箱に対して互いに同一位置に配置され、前記補償装置は前記交流電源端子を通って流れる電流又は前記複数の変換器ユニットの並列回路の交流入力電流を検出するための電流検出器と補償電流を供給するための少なくとも1つの補償ユニットとを有し、前記補償ユニットは前記変換器ユニットの前記外箱と同一形状に形成された外箱と前記変換器ユニットの前記外部接続端子と同一形状且つ同一位置に形成された外部接続端子を有し、前記複数の変換器ユニットと前記補償ユニットを配置するための枠体が設けられ、前記枠体には前記複数の変換器ユニット及び前記補償ユニットを配置するための複数の区画が設けられ、前記複数の区画は互いに同一形状に形成され、前記複数の変換器ユニットと前記補償ユニットとの両方が前記複数の区画に配置されていることを特徴とする電源装置に係わるものである。
なお、請求項2に示すように、複数の変換器ユニットの交流入力電流と補償ユニットの交流入力電流との合計の電流を検出し、これに基づいて補償電流を決定することが望ましい。
また、請求項3に示すように補償ユニットを構成することが望ましい。
【0007】
【発明の作用及び効果】
各請求項の発明によれば、次の作用効果を得ることができる。
(イ) 補償ユニットの外箱は変換器ユニットの外箱と同一形状に形成され、且つ枠体における変換器ユニットのための区画と同一形状の区画に配置することができるように形成されている。従って、補償ユニットを変換器ユニットと同様に枠体に取付けることができ、電源装置全体の構成の単純化又は小型化を達成することができる。
(ロ) 電源装置を変換器ユニットの並列接続で構成する場合には、負荷の増大に備えて追加の変換器ユニットを配置するための区画(スペース)を設けるのが一般的である。本発明によれば、補償ユニットを予備の区画に1台又は複数台配置することができる。これにより、既存の電源装置に補償機能を容易に付加することができる。
(ハ)複数の変換器ユニットの外部接続端子は互いに同一形状に形成され且つ外箱に対して互いに同一位置に配置され、また補償ユニットの外部接続端子は変換器ユニットの外部接続端子と同一形状且つ同一位置に形成されている。従って、補償ユニットの電気的接続を変換器ユニットと同様に行うことができるので、接続が容易になるばかりでなく接続部分のコストの低減を図ることができる。
請求項の発明によれば、電流検出器を変換器ユニットの入力電流と補償ユニットの交流入力電流との合計を検出するので、補償ユニットを変換器ユニットに対して電流検出器に妨害されずに変換器ユニットの並列接続と同様に容易に接続することができる。
また、請求項の発明によれば、簡単な回路構成によって高調波成分の低減又は無効分の低減を達成することができる。
【0008】
【実施例】
次に、本発明の実施例の形態を説明するために図2〜図13を参照して実施例を説明する。
図2は実施例の電源装置を概略的に示すブロック図である。この電源装置は、図1と同様に交流電源端子1と直流出力端子2との間に複数(3台)のAC−DC−AC−DC変換器ユニット3a、3b、3cの並列回路が接続されている。また、補償ユニット4aが変換器ユニット3a〜3cと同様に交流電源端子1に接続されている。また、高調波及び無効分の補償装置を補償ユニット4aと共に構成するために変換器ユニット3a〜3cの交流入力電流と補償ユニット4aの交流入力電流との合計入力電流を検出する電流検出器5が各ユニット3a〜3c、4aの相互接続点よりも電源端子1側に配置されている。
【0009】
各変換器ユニット3a〜3cは互いに同一の外形を有するように形成され、また補償ユニット4aは変換器ユニット3a〜3cと同一の外形を有するように形成されている。即ち、図2においては各ユニット3a〜3c、4aを示す長方形が各ユニット3a〜3c、4aの直方体の外箱6a、6b、6c、6dとして示されており、これ等の外箱6a、6b、6c、6dの各部の寸法は互いに同一である。また、各外箱6a〜6dは、互いに同一形状の第1の外部接続端子部(コネクタ部)7a、7b、7c、7dと、互いに同一形状の第2の外部接続端子部8a、8b、8c、8dと、互いに同一形状の第3の外部接続端子部9a、9b、9c、9dとを同一位置に有する。従って、各ユニット3a〜3cの外形は互いに全く同一である。なお、変換器ユニット3a、3b、3cの第3の外部接続端子部9a、9b、9cは空き端子即ち不使用端子であり、また補償ユニット4aの第2の外部接続端子部8dも空き端子即ち不使用端子である。但し、変換器ユニット3a、3b、3cの端子部9a、9b、9cは変換器ユニット3a、3b、3cの内部回路に接続されていないので、補償ユニット4aの端子部9dと同様に電流検出器5に接続しても電気回路的な問題が生じない。また、補償ユニット4aの端子部8dは補償ユニット4aの内部回路に接続されていないので、変換器ユニット3a、3b、3cの端子部8a、8b、8cと同様に直流出力端子2に接続しても電気回路的な問題が生じない。従って、もし電源装置が変換器ユニットの予備のための接続部材を含んでいる場合には上述の空き端子部9a、9b、9c、8dを上述のように接続することができる。
【0010】
図2において、各変換器ユニット3a、3b、3cは並列運転され、直流出力端子2に接続された負荷に電力を供給する。また、補償ユニット4aは各変換器ユニット3a〜3cの合計の入力電流の高調波成分及び無効成分を除去するための補償電流を供給する。即ち、補償ユニット4aは変換器ユニット3a〜3cのの入力電流と補償ユニット4aの入力電流との合計電流が電源端子1から供給される正弦波交流電圧と同相となり且つ正弦波となるように入力電流を制御する。
【0011】
図3及び図4は図2の変換器ユニット3a、3b、3cと補償ユニット4aの機構的(物理的)配置を示す。この電源装置は図3に示すように支持体としての枠体10を有し、この枠体10には少なくとも一方向(この実施例では正面)から見て互いに同一形状の区画11a、11b、11c、11d、11e、11fを有する。各区画11a〜11fは変換器ユニット3a〜3cと補償ユニット4aの外箱6a、6b、6c、6dを収容することができる空間(スペース)を提供する。図3においては区画11a、11b、11cの中に図2に示した変換器ユニット3a、3b、3cが配置され、区画11dの中に図2に示した補償ユニット4aが配置され、区画11e、11fには何も配置されていない。従って区画11e、11fは負荷が増大したときに変換器ユニット又は補償ユニットを配置するための予備区画である。枠体10は変換器ユニット3a〜3c、補償ユニット4aをトレイ方式で支持するように構成してもよいし、棒状又は板状部材等を装架部材として各ユニット3a〜3c、4aを支持するように構成してもよい。
【0012】
図5は図2の変換器ユニット3aの回路構成を示す。変換器ユニット3aは3相交流電圧を直流電圧に変換するものであり、3相交流電源端子に接続するための第1の外部接続端子部7aの出力段に設けられた遮断器12と、この遮断器12の出力段に設けられた入力側の整流平滑回路13と、この整流平滑回路13の出力段に設けられたDC/AC変換回路14と、このDC/AC変換回路14に接続された絶縁トランス14aと、このトランス14aに接続された整流平滑回路15とを有する。第1及び第3の外部接続端子部7a、9aが入力側コネクタ部16となり出力端子部8aが出力側コネクタ部17となっている。
整流平滑回路13及び15は3相ブリッジ接続されたダイオード整流器と平滑用コンデンサとから成る。但し、入力側整流平滑回路13を平滑用コンデンサを省いたダイオード整流器のみの構成にすることもできる。
DC/AC変換回路は6個のスイッチを3相ブリッジ接続したものである。従って、変換器ユニット3aはAC−DC−AC−DC変換器である。
図2の別の変換器ユニット3b、3cも図5の変換器ユニット3aと同一の回路構成を有する。
【0013】
図6は図2の補償ユニット4a及び電流検出器5の詳細を示す。補償ユニット4aの第1の外部接続端子部7dは3個の端子からなり、3相交流電源端子1に接続された3相の電源ライン20u、20v、20wに接続されている。電流検出器5はライン20u、20v、20wの3相電流を検出するためのu相、v相、w相電流検出器5u、5v、5wから成り、これ等は第3の外部接続端子部9dに接続されている。
【0014】
補償ユニット4aは、補償電流供給回路21と、第1、第2及び第3相PWM(パルス幅変調)信号形成回路22u、22v、22wと、スイッチ制御駆動回路23とから成る。
【0015】
補償電流供給回路21のU、V、W相入力ライン24u、24v、25wは第1の外部接続端子部7dを介して電源ライン20u、20v、20wに接続されている。図7に示すように補償電流供給回路21は、3相ブリッジ接続された第1、第2、第3、第4、第5及び第6のダイオードDua、Dub、Dva、Dvb、Dwa、Dwbを有する。第1の整流入力端子としてのU相のダイオードDua、Dubの相互接続点25はU相入力ライン24uに接続され、第2の整流入力端子としてのV相のダイオードDva、Dvbの相互接続点26はV相入力ライン24vに接続され、第3の整流入力端子としてのW相のダイオードDwa、Dwbの相互接続点27はW相入力ライン24wに接続され、上側の3つのダイオードDua、Dva、Dwaのカソードの相互接続点28は第1の整流出力端子であって、第1の直流出力ライン29に接続され、下側の3つのダイオードDub、Dvb、Dwbのアノードの相互接続点30は第2の整流出力端子であって、第2の直流出力ライン31に接続されている。ダイオ−ドDua、Dub、Dva、Dvb、Dwa、Dwbに対して並列にトランジスタから成る第1、第2、第3、第4、第5及び第6のスイッチQua、Qub、Qva、Qvb、Qwa、Qwbがそれぞれ接続されている。第1及び第2の整流出力端子間即ち一対の直流出力ライン29、31間にはコンデンサC1 が接続されている。6個のスイッチQua〜Qwbの制御端子(ベース)は図6のスイッチ制御駆動回路23の出力端子S1 〜S6 に接続されている。ブリッジ整流回路の入力ライン24u、24v、24wの相互間にはスイッチQua〜Qwbのオン・オフの高調波成分を除去するための小容量の高周波コンデンサCu、Cv、Cwが接続されている。また、各入力ライン24u、24v、24wに直列にスイッチQua〜Qwbのオン・オフの高調波成分除去用及び昇圧用のリアクトルLu、Lv、Lwが接続されている。また、補償電流の制御を実行するためにU、V、W相の電流検出器CTu、CTv、CTwが入力ライン24u、24v、24wに電磁又は磁気結合されている。また、コンデンサC1 の電圧即ち直流出力電圧を検出するためのライン32がコンデンサC1 の一端に接続されている。なお、電流検出器CTu、CTv、CTwをコンデンサCu、Cv、Cwよりも電源側の入力ライン24u、24v、24wに結合させることができる。
【0016】
PWM信号形成回路22uは、図6に示すように、基準正弦波電圧発生回路33と、基準電圧源34と、第1の減算手段35と、比例積分器36と、乗算手段37と、第2の減算手段38と、電流制御回路39と、変換器ユニット電流演算手段61とから成る。
【0017】
基準正弦波電圧発生回路33は、V相及びW相のPWM信号形成回路22v、22wの基準正弦波発生回路と一体的に形成されている。図8はこれを示すものであって、U、V、W相電源ライン20u、20v、20wに接続された1次巻線40、41、42と、1次巻線40、41、42に電磁結合された2次巻線43、44、45とから成る。2次巻線43、44、45からはU、V、W相電圧Vu、Vv、Vwが得られ、これ等が基準正弦波電圧として使用される。
【0018】
第1の減算手段35はライン32によって図7のコンデンサC1 に接続されていると共に基準電圧源34に接続されており、コンデンサC1 の直流電圧と基準電圧との差を出力する。この差の出力はコンデンサC1 の電圧を一定に保つための制御に使用される。
【0019】
比例積分器36は第1の減算手段35の出力に所定のゲインを乗算して積分し、コンデンサC1 の直流電圧を一定にするための電圧制御信号を形成する。この比例積分器36は図9に示すように例えばオペアンプ46と3つの抵抗47、48、49とコンデンサ50とから成る。
【0020】
乗算器37は基準正弦波発生回路33から得られた基準正弦波電圧に比例積分器36から得られた電圧制御信号を乗算した信号を形成する。この乗算器37の出力は基準正弦波電圧の振幅を電圧制御信号で変調するものであり、図12(A)に示す正弦波電圧となる。
【0021】
第2の減算手段38は電圧制御情報を含んだ基準正弦波電圧から演算手段61から得られた変換器ユニット電流(負荷電流)を減算して補償電流指令値を得るものであり、図12(A)の波形から図12(B)の波形を減算して図12(C)に示す波形の出力を発生する。演算手段61は減算器から成り、電流検出器5uから得られた補償後の正弦波入力電流から電流検出器CTuから得られた図12(D)の補償電流を減算して変換器ユニット3a、3b、3cの入力電流の合計に相当する図12(B)の信号を得るものである。
【0022】
電流制御回路39は第2の減算手段38から得られた電流指令値と補償電流供給回路21のU相電流検出器CTuから得られた補償電流とに基づいてPWM(パルス幅変調)信号を形成するものである。この電流制御回路39は図10に示すように第3の減算手段51と、三角波発生回路52と、コンパレータ53とから成る。第3の減算手段51は、オペアンプ54と4つの抵抗55、56、57、58とから成る誤差増幅器であって、図6の第2の減算手段38から得られた図12(C)の補償電流指令値と補償電流供給回路21の電流検出器CTuから得られた図12(D)の補償電流との差を示す誤差信号を出力する。なお、オペアンプ54の正入力端子は抵抗55を介して図6の第2の減算手段38に接続され、負入力端子は抵抗57を介して電流検出器CTuに接続されている。三角波発生回路52は電源端子1の交流電圧の周波数(50Hz)よりも十分に高い繰返し周波数(例えば20kHz)で図13(A)に示すような三角波電圧Vtを発生する。コンパレータ53は図13(A)に示すように三角波電圧Vtと第3の減算手段51の出力即ち誤差信号Veとを比較して図13(B)に示すPWM信号を出力する。誤差信号Veのレベルは補償電流指令値と補償電流との差の大きさによって変化し、これによりPWMパルスの幅が変化し、補償電流を補償電流指令値に一致させる動作及びコンデンサC1 の電圧を一定にさせる動作が生じる。
【0023】
図6の制御駆動回路23はU相PWM信号形成回路22uの電流制御回路39に接続されていると共に、V相及びW相PWM信号形成回路22v、22wに含まれている電流制御回路にも接続されており、出力端子S1 、S2 、S3 、S4 、S5 、S6 から図7のスイッチQua、Qub、Qva、Qvb、Qwa、Qwbの制御端子(ベース)を制御する信号を発生する。
【0024】
図6においてV相及びW相PWM信号形成回路22v、22wの詳細は示されていないが、U相PWM信号形成回路22uと実質的に同一に構成されている。但し、U相PWM信号形成回路22uの三角波発生回路52とこれに対応するV相及びW相PWM信号形成回路22v、22wの三角波発生回路とは同期動作するように相互に関係付けられている。
なお、V相及びW相PWM信号形成回路22v、22wの三角波発生回路を省いてU相PWM信号形成回路22uの三角波発生回路52を3相で共用することができる。
また、基準電圧源34、第1の減算手段35及び比例積分器20のいずれか1つ又は2つ又は全部をU相、V相及びW相PWM信号形成回路22u、22v、22wの全てに設けないで共用することができる。
また、V相PWM信号形成回路22vのV相の補償電流指令値作成回路部分を省いてU相補償電流指令値とW相補償電流指令値との合成によってV相補償電流指令値を得ることができる。図14はこれを示すものであってW相PWM信号形成回路22wはU相PWM信号形成回路22uと同様に形成され、乗算器37w、第2の減算手段38w、W相電流制御回路39w、演算手段61w等の全てをU相PWM信号形成回路22uと同様に有しているが、V相PWM信号形成回路22v´は独立した補償電流指令値作成回路部分を有しておらず、U相の第2の減算手段38から得られたU相補償電流指令値とW相の第2の減算手段38wから得られたW相補償電流指令値との合成に基づいてV相補償電流指令値を求める演算回路59を有している。演算回路59は、U相、V相及びW相補償電流指令値をIu、Iv、Iwとした場合にIv=−(Iu+Iw)を演算するものである。演算回路59はV相電流制御回路39vに接続されている。V相電流制御回路39vはU相電流制御回路39と同様に形成されている。V相電流制御回路39vで使用するV相補償電流値は図7に示すようにV相の電流検出器CTvで得ても差支えないが、図14に示すようにV相補償電流演算回路60で得ることができる。演算回路60はU相電流検出器CTuの出力IcuとW相電流検出器CTwの出力Icwとに基づいてIcv=−(Icu+Icw)を演算してV相補償電流Icvを得る。
【0025】
【波形及び力率改善の動作】
図7の変換回路即ち補償電流供給回路21において、第1〜第6のダイオードDua、Dub、Dva、Dvb、Dwa、Dwbは3相ブリッジに接続されているので、3相全波整流回路としての機能を有する。しかし、第1〜第6のスイッチQua〜Qwbから選択された2つが同時にオン制御されると、整流機能が停止し、第1〜第3のリアクトルLu、Lv、Lwの内の2つを含む短絡回路が形成される。例えば、交流電源端子1から第1、第4及び第6のダイオードDua、Dvb、Dwbをオンにする向きの電圧が発生している期間に第3及び第5のスイッチQva、Qwaをオンにすると、1−24u−Lu−Dua−Qva−Lv−24vから成る閉回路及び1−24u−Lu−Dua−Qwa−Lw−24wから成る閉回路が形成される。これにより、コンデンサC1 の充電電流に関係のない波形及び力率改善用電流が流れる。スイッチQva、Qwaのオン時間幅を変えると、波形及び力率改善用電流の値が変化するので、波形及び力率を目標に近づけるように改善することが可能になる。今、3相交流電圧の一部区間のみの動作を説明したが、別の区間においても同様な動作が生じる。
【0026】
図6のスイッチ制御駆動回路23はU相、V相及びW相PWM信号形成回路22u、22v、22wの出力を図11に示すように分配して第1〜第6のスイッチQua〜Qwbを制御する。なお、図11においてPWM信号による制御期間は縦線を付けて示されている。また、図11のSWは縦線が付けられた区間のスイッチのオン・オフ動作を示している。また、図11は原理的に示されているが、実際には基準相電圧Vu、Vv、Vwに対して6個のスイッチQua〜Qwbの制御信号の位相のずれが生じる。
第1〜第6のスイッチQua〜Qwbのオン・オフ(SW)の動作期間は、図11の基準相電圧Vu、Vv、Vwに基づいて決定される。3相の各相電流iu、iv、iwの間にはiu=iv+iwの関係があるので、第1〜第6のスイッチQua〜Qwbの3相の全てを制御しないで、2相分を制御すればよい。図11においては第1〜第6の主スイッチQua〜Qwbのオン・オフ(SW)制御を同一期間に2相分のみ行っている。勿論、3相を同時に制御しても差支えない。今、基準相電圧Vuを基準にしてスイッチQua〜Qwbのオン・オフ(SW)動作を説明すると、0〜60度の第1の期間T1 では第2及び第6のスイッチQub、Qwbをオン・オフ動作させる。60〜120度の第2の期間T2 では第3及び第5のスイッチQva、Qwaをオン・オフ動作させる。また、120〜180度の第3の期間T3 では第2及び第4のスイッチQub、Qvbをオン・オフ動作させる。また、180〜240度の第4の期間T4 では第1及び第5のスイッチQua、Qwaをオン・オフ動作させる。また、240〜300度の第5の期間T5 では第4及び第6のスイッチQvb、Qwbをオン・オフ動作させる。また、300〜360度の第6の期間T6 では第1及び第3のスイッチQua、Qvaをオン・オフ動作させる。なお、3相スイッチング方式を採用する場合には、上記に追加して第1のスイッチQuaを第5の期間T5 でオン・オフ動作、第2のスイッチQubを第2の期間T2 でオン・オフ動作、第3のスイッチQvaを第1の期間T1 でオン・オフ動作、第4のスイッチQvbを第4の期間T4 でオン・オフ動作、第5のスイッチQwaを第3の期間T3 でオン・オフ動作、第6のスイッチQwbを第6の期間T6 でオン・オフ動作させる。
第1及び第2のスイッチQua、Qubをオン・オフさせるためのPWM信号はU相PWM信号形成回路22uの出力であり、第3及び第4のスイッチQva、Qvbをオン・オフさせるためのPWM信号はV相PWM信号形成回路22vの出力であり、第5及び第6のスイッチQwa、Qwbをオン・オフさせるためのPWM信号はW相PWM信号形成回路22wの出力である。
【0027】
例えばスイッチQvaのPWM信号での駆動期間中におけるオン期間には1−24u−Lu−Dua−Lv−24vの閉回路で補償電流が流れ、この後のスイッチQvaのオフ期間には1−24u−Lu−Dua−C1 −Dvb−Lv−24vの回路でコンデンサC1 が昇圧充電される。従って、電源端子1の電圧が例えば200Vの場合にはコンデンサC1 の電圧は約350〜400Vに昇圧充電される。今、スイッチQvaのオン・オフ期間による補償電流の供給及びコンデンサC1 の充電について述べたが、他のスイッチのオン・オフ期間にも同様な動作が生じる。
【0028】
この実施例ではコンデンサC1 の電圧が一定に制御されている。従って、補償電流供給回路21即ち変換器自身の損失分を除き、変換器への基本波の有効電力(電流)の流入及び流出がなくなるように制御されていることになる。なお、基本波有効電流が流入すると、コンデンサC1 が充電され、この電圧が上昇し、逆に流出すると、コンデンサC1 が放電され、この電圧が低下する。これにより、コンデンサC1 の電圧が一定に制御されていれば、基本波有効電流(電力)の流入及び流出が平均値的に見て無くなることになる。この結果、補償電流供給回路21は変換器ユニット3a、3b、3cの電流に含まれている高調波電流と基本波無効電流とを打ち消すための補償電流供給源として機能し、図12(C)に示す減算手段38から出力される補償電流指令値に対応した図12(D)に示す補償電流出力が得られる。
なお、比例積分器36の応答周波数は基本周波数(電源周波数)以下に設定されているので、有効電流の中の高調波成分が補償され、基本波有効電流が補償電流に含まれない。
【0029】
上述から明らかなように本実施例の補償ユニット4aによれば比較的簡単な回路構成によって高調波成分の除去即ち波形改善及び無効成分の除去即ち力率改善を良好に達成することができる。
また、補償ユニット4aが枠体10の変換器ユニット3a、3b、3cの区画11a、11b、11cと同一形状の区画11dに配置されるように形成され、且つ変換器ユニット3a、3b、3cと同一外形の外箱6d及び外部接続端子部7d、8d、9dを有するので、変換器ユニット3a、3b、3cと共通部品によるコストの低減を図ることができるばかりでなく、変換器ユニットの予備の区画(スペ−ス)に補償ユニット4aを配置することができ、電源装置全体の構成の単純化及び小型化を達成することができる。また、既存の電源装置に高調波又は無効分の補償機能を容易に付加することができる。
また、図2に示すように電流検出器5は変換器ユニット3a、3b、3cと補償ユニット4aとの並列接続点よりも電源側に設けられているので、これ等の並列接続を容易に達成することができる。
また、実施例では図3から明らかなように空き区画11e、11fを有するので、電源装置の運転を停止せずに空き区画11e又は11fに新しい補償ユニットを配置し且つ接続し、古い補償ユニット4aと入れ替えを行うことが可能になる。従って保守が容易になる。
【0030】
【変形例】
本発明は上述の実施例に限定されるものでなく、例えば次の変形が可能なものである。
(1) 変換器ユニット電流演算手段61に補償電流供給回路21の電流検出器CTuの出力を入力させる代りに、例えば図7のコンデンサCu、Cv、Cwよりも電源側又は変換回路側においてライン24u、24v、24wの電流を検出する別の電流検出器を設け、この出力を演算手段61に入力させることができる。
(2) PWM信号形成回路22u、22v、22wの一部又は全部をマイクロコンピュータやDSP(ディジタル・シグナル・プロセッサ)等のディジタル演算手段によって構成してもよい。
(3) 電源端子1を単相電源の端子とし、補償電流供給回路21を第1〜第4のダイオードDua〜DvbとスイッチQua〜Qvbを含む回路とすることができる。 (4) 図7において、例えば下半分のスイッチQub、Qvb、Qwbを省くことができる。
(5) スイッチQua〜QwbをIGBT、FET等の別の半導体スイッチにすることができる。また、ダイオードDua〜DwbをスイッチQua〜Qwbに内蔵させることができる。
(6) 図6の電流検出器5u、5v、5wの出力段、及び電流検出器CTu、CTv、CTwの出力段及び図8の2次巻線43、44、45の出力段に整流回路を設け、各電流及び電圧の絶対値を求め、これに基づいて制御してもよい。(7) 電流検出器5u、5v、5w、CTu、CTv、CTwをホール素子(磁電変換素子)等を使用した電流検出器にすることができる。
(8) 補償電流供給回路21は補償電流を供給することができればどの様な回路でもよく、降圧型変換回路とすることができる。
図15は降圧型変換回路の1例を示す。図15に示す降圧型変換回路は、平成8年11月29日にサンケン電気株式会社が発行した刊行物「サンケン技報」第28巻第1号の第59頁〜第66頁に記載されている降圧形三相PWMコンバータと同一原理のものである。図15において図7と実質的に同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。図15ではダイオードDua、Dub、Dva、Dvb、Dwa、DwbがスイッチQua、Qub、Qva、Qvb、Qwa、Qwbに対して直列に接続され、逆流阻止として使用されている。入力段の交流側のリアクトルL1 、L2 、L3 、コンデンサCu、Cv、CwはスイッチQua〜Qwbのオン・オフによる高調波成分を除去するものである。上側スイッチQua、Qva、Qwaの出力端子28とコンデンサC1 との間にリアクトルLbが接続されている。また、端子28、30間にダイオードD1 が接続されている。
図15の降圧型変換回路では、同一期間に上側スイッチQua、Qva、Qwaの1つと下側スイッチQub、Qvb、Qwbの内の1つのみがオンしなければならない。図16は図15のスイッチQua〜Qwbをオン・オフするための制御信号の形成の原理を示す。図10及び図13で説明したと同様な原理で図16(A)に示すようにキャリア即ち三角波電圧Vtと各相の相電流指令値(誤差信号)Ve1、Ve2、Ve3とを比較し、図16(B)(C)(D)の相電流対応パルスSab、Sbc、Scaを形成する。次に、図16(B)(C)(D)の相電流対応パルスSab、Sbc、Scaを図16(E)(F)(G)に示す線電流対応パルスSa、Sb、Scに変換する。これ等の相互関係はSa=Sab−Sca、Sb=Sbc−Sab、Sc=Sca−Sbcである。図16(E)のSaは第1のアームのスイッチQua、Qubに対応し、図16(F)のSbは第2のアームのスイッチQva、Qvbに対応し、図16(G)のScは第3のアームのスイッチQwa、Qwbに対応する。Sa、Sb、Scが+1の時には上側のスイッチQua、Qva、Qwaがオンになり、Sa、Sb、Scが−1の時には下側のスイッチQub、Qvb、Qwbがオンになる。Sa、Sb、Scが0の場合はスイッチQua〜Qwbはオフである。図16(E)(F)(G)から明らかなように上側スイッチQua、Qva、Qwaが同時に2つ以上オンになることはない。また、下側スイッチQub、Qvb、Qwbも同時に2つ以上オンになることはない。
なお、図15の電流検出器CTu、CTv、CTwをリアクトルL1 、L2 、L3 の出力側又はコンデンサCu、Cv、Cwの出力側に設けることもできる。(9) 変換器ユニット3a〜3cをAC−DC変換器、又はAC−DC−AC変換器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の高調波補償機能を有する電源装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例の電源装置を示すブロック図である。
【図3】実施例の電源装置の機械的構成を示す正面図である。
【図4】図3の電源装置の左側面図である。
【図5】図2の変換器ユニットを示すブロック図である。
【図6】図2の補償ユニットを詳しく示すブロック図である。
【図7】図6の補償電流供給回路を詳しく示す回路図である。
【図8】図6の基準正弦波発生回路を詳しく示す回路図である。
【図9】図6の比例積分器を詳しく示す回路図である。
【図10】図6の電流制御回路を詳しく示す回路図である。
【図11】図7の基準相電圧と各スイッチのオン・オフ状態を原理的に示す図である。
【図12】図6及び図10の各部の電圧状態を示す波形図である。
【図13】図10のコンパレータの入力及び出力を示す波形図である。
【図14】PWM信号形成回路の変形例を示すブロック図である。
【図15】変形例の降圧型変換回路を示す回路図である。
【図16】図15のスイッチの制御信号の形成を示す波形図である。
【符号の説明】
3a、3b、3c 変換器ユニット
4a 補償ユニット
21 補償電流供給回路
22u、22v、22w PWM信号形成回路

Claims (3)

  1. 少なくとも整流器をそれぞれ含む複数の変換器ユニットが並列接続され、前記複数の変換器ユニットが交流電源端子に接続されており、前記交流電源端子から前記複数の変換器ユニットに流入する交流入力電流の高調波成分と無効成分とのいずれか一方又は両方を低減させるための補償装置が前記交流電源端子に接続されている電源装置において、
    前記複数の変換器ユニットは変換回路とこの変換回路を収容するための外箱と外部接続端子とをそれぞれ有し、
    前記複数の変換器ユニットの変換回路は互いに同一の回路構成を有し、
    前記複数の変換器ユニットの前記外箱は互いに同一形状に形成され、
    前記複数の変換器ユニットの前記外部接続端子は互いに同一形状に形成され且つ前記外箱に対して互いに同一位置に配置され、
    前記補償装置は前記交流電源端子を通って流れる電流又は前記複数の変換器ユニットの並列回路の交流入力電流を検出するための電流検出器と補償電流を供給するための少なくとも1つの補償ユニットとを有し、
    前記補償ユニットは前記変換器ユニットの前記外箱と同一形状に形成された外箱を有すると共に前記変換器ユニットの前記外部接続端子と同一形状且つ同一位置に形成された外部接続端子を有し、
    前記複数の変換器ユニットと前記補償ユニットを配置するための枠体が設けられ、
    前記枠体には前記複数の変換器ユニット及び前記補償ユニットを配置するための複数の区画が設けられ、
    前記複数の区画は互いに同一形状に形成され、
    前記複数の変換器ユニットと前記補償ユニットとの両方が前記複数の区画に配置されていることを特徴とする電源装置。
  2. 前記電流検出器は、前記複数の変換器ユニットの交流入力電流と前記補償ユニットの交流入力電流との合計を検出するように配置された合計入力電流検出器であり、
    前記補償ユニットは前記合計入力電流検出器の出力に基づいて補償電流の値を決定するものである請求項1記載の電源装置。
  3. 前記補償ユニットは、前記交流電源端子の電圧を直流電圧に変換するように構成されており、且つスイッチをPWM信号でオン・オフすることによって補償電流を供給することができるように構成されている補償電流供給回路と、
    前記補償電流を検出する補償電流検出器と、
    前記合計入力電流検出器で検出された合計電流から前記補償電流検出器で検出された補償電流を減算して前記複数の変換器ユニットの合計の入力電流を求める電流演算手段と、
    前記交流電源端子の電圧に同期して基準正弦波電圧を発生する基準正弦波電圧発生手段と、
    前記補償電流供給回路の直流出力電圧を検出する直流電圧検出手段と、
    基準電圧源と、
    前記直流電圧検出手段から得られた検出電圧と前記基準電圧源の基準電圧との差の出力を得るための第1の減算手段と、
    前記第1の減算手段で求めた差の出力を比例積分する比例積分手段と、
    前記基準正弦波電圧発生手段から得られた基準正弦波電圧と前記比例積分手段の出力とを乗算する乗算手段と、
    前記乗算手段の出力と前記電流演算手段の出力との差に対応する出力を補償電流指令値として得るための第2の減算手段と、
    前記第2の減算手段から得られた前記補償電流指令値と前記補償電流検出器の出力との差を求めるための第3の減算手段と、
    前記交流電源端子の正弦波交流電圧の周期よりも十分に短い周期で三角波電圧を繰り返して発生する三角波発生手段と、
    前記三角波発生手段から発生した三角波電圧と前記第3の減算手段の出力とを比較してPWM信号を出力するコンパレータと、
    前記コンパレータから得られたPWM信号に基づいて前記スイッチをオン・オフ制御するためのスイッチ制御駆動回路と
    を備えていることを特徴とする請求項2記載の電源装置。
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