JP3824025B2 - 高純度一酸化炭素の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はギ酸メチルを効率よく分解し高純度の一酸化炭素を製造する方法に関する。高純度の一酸化炭素はC1化学の主原料として、あるいはカルボニレーション原料として重要な物質である。
【0002】
【従来の技術】
ギ酸メチルを分解して一酸化炭素を得る方法としては(I)アルカリ土類金属酸化物からなる固体触媒を用いて200〜500℃で気相熱分解する方法(米国特許第3812210号)、(II)活性炭を触媒として200〜550℃の温度においてギ酸メチルを気相で熱分解する方法(特開昭52−36609)および (III)メタノールと共存するギ酸メチルをナトリウムメチラートを触媒とし、2500psig(175kg/cm2 )以下の圧力および35〜200℃の温度で熱分解する方法(米国特許第3716619号)が知られている。
【0003】
しかしながら、上記の3つの方法のうち(I)および(II)の方法は気相で200℃以上の温度を必要とするため熱エネルギー的に不利であり、またギ酸メチルの分解時の不純物の生成が避けられず、高純度の一酸化炭素を得るには適さない。一方(III)の方法は条件的には温和で優れているが、均一触媒を使用するため生成物との分離回収系が必要でありプロセスが煩雑である。
【0004】
【発明を解決しようとする課題】
一酸化炭素の製造に関して種々の方法が知られているが、上記の如く高温でのギ酸メチルの分解反応では不純物が生成しやすく、高純度の一酸化炭素を得る場合においては、分解反応以降にガスの精製、例えば吸着、或いは吸収分離といった工程を取り付けているのが一般的である。
本発明の目的は、ギ酸メチルの分解反応において温和な条件で選択性良く高純度の一酸化炭素を得る不均一系触媒を開発し、このようなガス精製が不要となり熱エネルギー及び分離回収等のプロセス面で優位となる一酸化炭素の製造方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ギ酸メチルを効率よく分解して高純度の一酸化炭素を製造する際の上記の如き課題を解決すべく鋭意検討した結果、触媒として強塩基性陰イオン交換樹脂を使用することにより、温和な条件下で分解反応を進行させることができ、高選択性を以て目的物の高純度一酸化炭素を得ることができ、且つ触媒の分離回収及び再使用が極めて容易であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、ギ酸メチルを強塩基性陰イオン交換樹脂の存在下において分解することを特徴とする一酸化炭素の製造方法である。
以下に、本発明を詳しく説明する。
【0006】
本発明で原料のギ酸メチルは単独、又は溶媒共存下で使用される。溶媒としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール等のアルコール類が用いられる。
本発明で用いられる強塩基性陰イオン交換樹脂は、架橋構造を持った樹脂を母体とし、これに陰イオン交換基を導入したものである。樹脂の母体としては、スチレン−ジビニルベンゼン系の架橋ポリスチレンやアクリル酸系のポリアクリレート、或いはエーテル基やカルボニル基を導入した耐熱性芳香族ポリマーなどが用いられる。
【0007】
一般にイオン交換樹脂における陰イオン交換基には、アミノ基、置換アミノ基又は第4アンモニウム基などが知られているが、本発明で用いられる強塩基性陰イオン交換樹脂には、イオン交換基がトリアルキル置換窒素原子(−N+R3 )を持つ第4アンモニウム基、またはジアルキルエタノールアミン陽イオンを持つ第4アンモニウム基、例えば−N+(CH2 )2 ・(C2 H4 OH)である陰イオン交換基が好適である。本発明で用いられる強塩基性陰イオン交換樹脂について、市販品を例に挙げて示すと、アンバーリストA−26、ダウエックスTG−550A、レバチットM504、ダイヤイオンPA306等がある。
【0008】
原料のギ酸メチルとアルコールの重量比は1:0〜10であり、好ましくは1:0〜3である。なお本発明の方法において、この重量比の範囲は特に制限されるものではなく、触媒の使用量、反応条件などを勘案し適宜選択される。
本発明の方法において反応温度と反応時間はギ酸メチルと溶媒の重量比及び触媒の仕込量、更には目標の反応率によって広い範囲で選び得るが、一般的な反応条件としては反応温度は0〜150℃、特に20〜100℃の範囲が好ましい。反応温度が低過ぎる場合には実用的な反応速度が得られず、また反応温度が高過ぎる場合には副反応や触媒の失活を招きやすく不利である。反応時間としては0.1〜20hrの範囲、特に0.2〜10hrが一般的である。
【0009】
本発明の方法における反応圧力は、その分解温度で示される蒸気圧下で分解を遂行させることもできるが、平衡的には低圧ほど有利となる。一般に反応圧力としては常圧〜30atm、実用的には常圧〜20atmの範囲が好ましい。
本反応における反応方式は、原料と触媒である強塩基性陰イオン交換樹脂とが接触する方法であれば何れの方法でも採用できる。一般的な反応方法としては、流動床、或いは固定床等が挙げられ、又回分式、連続式の何れの方式でも実施される。
【0010】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明する。但し本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0011】
実施例1
内容積100mlのステンレス製オートクレーブに、ギ酸メチルを10.3g(0.17モル)仕込み、次に予め1N−NaOH水溶液で処理しOH型とした強塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーリストA−26、ローム・アンド・ハース製)を2ml加え、40℃で1hr反応させた。
内容物を室温まで冷却後、オートクレーブから生成ガスを抜き出し、反応液は触媒を濾過により分離し、ガスクロマトグラムにより分析した。その結果、得られた生成ガスは100%が一酸化炭素であり、ギ酸メチルの分解率は18.9%であった。
【0012】
実施例2
ギ酸メチルを11.0g(0.18モル)仕込み、次に予め1N−NaOH水溶液で処理しOH型とした強塩基性陰イオン交換樹脂(レバチットM504、バイエル製)を2ml加え、40℃で1hr反応させた。
内容物を室温まで冷却後、オートクレーブより生成ガスを抜き出し、反応液は触媒を濾過により分離し、ガスクロマトグラムにより分析した。その結果、得られた生成ガスは100%が一酸化炭素であり、ギ酸メチルの分解率は21.0%であった。
【0013】
実施例3
ギ酸メチルを11.0g(0.18モル)仕込み、次に予め1N−NaOH水溶液で処理しOH型とした強塩基性陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンPA306、三菱化学製)を2ml加え、40℃で1hr反応させた。
内容物を室温まで冷却後、オートクレーブより生成ガスを抜き出し、反応液は触媒を濾過により分離し、ガスクロマトグラムにより分析した。その結果、得られた生成ガスは100%が一酸化炭素であり、ギ酸メチルの分解率は21.8%であった。
【0014】
比較例
内容積100mlのステンレス製オートクレーブに、ギ酸メチルを10.3g(0.17モル)仕込み、弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンWA30、三菱化学製)を2ml加え、40℃で1hr反応させた。
内容物を室温まで冷却後、オートクレーブより生成ガスを抜き出し、反応液は触媒を濾過により分離し、ガスクロマトグラムにより分析した。その結果、得られた生成ガスは100%が一酸化炭素であり、ギ酸メチルの分解率は0.3%であった。
【0015】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、強塩基性陰イオン交換樹脂を触媒に使用することにより、温和な条件でギ酸メチルを分解し、高純度の一酸化炭素を製造することができ、また反応液と触媒の分離回収も容易に行うことができる。
従って本発明の方法はギ酸メチルの分解反応において熱エネルギー的に有利なプロセスとなると共に、ガス精製が不要となり、簡易な操作で高純度の一酸化炭素を得ることができることから、本発明の工業的な意義は極めて大きい。
Claims (2)
- イオン交換基がトリアルキル置換窒素原子を持つ第4アンモニウム基またはジアルキルエタノールアミン陽イオンを持つ第4アンモニウム基である強塩基性陰イオン交換樹脂の存在下においてギ酸メチルを分解することを特徴とする一酸化炭素の製造方法。
- アルコール溶媒の共存下でギ酸メチルを分解する請求項1記載の一酸化炭素の製造方法。
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JP19082195A JP3824025B2 (ja) | 1995-07-26 | 1995-07-26 | 高純度一酸化炭素の製造方法 |
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