JPH11100338A - 1,2−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオールの製造方法 - Google Patents

1,2−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオールの製造方法

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JPH11100338A
JPH11100338A JP9263339A JP26333997A JPH11100338A JP H11100338 A JPH11100338 A JP H11100338A JP 9263339 A JP9263339 A JP 9263339A JP 26333997 A JP26333997 A JP 26333997A JP H11100338 A JPH11100338 A JP H11100338A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 焼却廃棄されていた粗1,2−ブタンジオー
ル留分を簡便な方法で精製し、工業用に利用可能な高純
度の1,2−ブタンジオールを1,4−ブタンジオール
と同時に製造する方法の提供。 【解決手段】 1,2−及び1,4−ジアセトキシブタ
ンを含む混合物を加水分解し、引き続く蒸留によりブタ
ンジオールを製造する方法において、同一の蒸留塔の上
部から濃縮1,2−ブタンジオール酢酸エステル類を含
む留分を、上部側流から高純度1,2−ブタンジオール
を、中部側流から濃縮1,4−ブタンジオール酢酸エス
テル類を含む留分を留出させ、下部側流又は缶出より高
純度1,4−ブタンジオールを得ると共に、1,2−ブ
タンジオール酢酸エステル類を含む留分及び/又は1,
4−ブタンジオール酢酸エステル類を含む留分の少なく
とも一部を加水分解工程に循環する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1,2−ブタンジ
オール及び1,4−ブタンジオールの製造方法に関す
る。詳しくは、蒸留方法の改良及び未反応留分の加水分
解工程への循環により、高純度の1,2−ブタンジオー
ル及び1,4−ブタンジオールを工業的に有利に製造す
る方法に関する。1,4−ブタンジオールはPBT樹
脂、γ−ブチロラクトンの原料や、有機溶剤、ポリテト
ラメチレンエーテルグリコール(PTMG)の原料とし
て用いられるテトラヒドロフランの原料として有用な化
合物である。一方、1,2−ブタンジオールはポリエス
テル或いはポリウレタンその他の原料として興味が持た
れていたものの、工業的に安価に製造する方法はこれ迄
知られていない。
【0002】
【従来の技術】ブタジエンをアセトキシ化し、次いで水
素化して得られるジアセトキシブタンを加水分解してブ
タンジオールを製造する方法は従来から知られている。
この場合、ブタジエン、酢酸及び分子状酸素を貴金属触
媒の存在下に反応させてジアセトキシブテンを得る方法
が、例えば特開昭50−4011号公報に開示されてお
り、得られたジアセトキシブテンを触媒の存在下に水素
添加してジアセトキシブタンを製造する方法が、例えば
特開昭51−29426号公報に開示されており、更に
このジアセトキシブタンを触媒の存在下に加水分解し
て、1,4−ブタンジオールを製造する方法が、例えば
特開昭52−7909号、同52−65208号、特開
平6−172235号各公報等に開示されている。
【0003】これらの方法では、ブタジエン、酢酸と分
子状酸素とを貴金属触媒(主としてパラジウム、テルル
を担体に担持した触媒)の存在下に反応させジアセトキ
シブテンを得ている。この反応では、1,4−ジアセト
キシブテンが主成分として得られるが、同時に異性体で
ある1,2−ジアセトキシブテンも少量生成する。ジア
セトキシブテンは異性体の混合物のまま水添工程に送ら
れ水素添加により、ジアセトキシブタンの混合物とされ
る。ここで得られるジアセトキシブタンは、1,4−及
び1,2−ジアセトキシブタンを主成分とする反応液で
あるが、分離することなく加水分解工程に送られる。加
水分解工程では、ジアセトキシブタンと水を固体酸触媒
特に好ましくは強酸性イオン交換樹脂と反応器中で接触
反応させ、水、酢酸、未反応ジアセトキシブタン、モノ
アセトキシブタン、ブタンジオール等からなる反応混合
物にされる。反応混合物は、水、酢酸分離塔で水、酢酸
を留出させ塔底よりブタンジオールを含む塔底液を抜き
出す。塔底液は未反応物回収塔に送られ、塔頂より軽沸
物、1,2−ジアセトキシブタン、1,2−ブタンジオ
ール等からなる留出物を留出させ、上部側流より1,4
−ジアセトキシブタン、1−ヒドロキシ−4−アセトキ
シブタンを主成分とする未反応物を留分として回収し、
未反応留分は加水分解反応器に循環し、塔底より1,4
−ブタンジオールを主成分とする缶出液を得、該缶出液
を蒸留することによって、留出物として1,4−ブタン
ジオールを得る方法を提供している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、1,2
−ブタンジオールについては、未反応物回収塔で得られ
た1,2−ブタンジオールを含む留出物は混合物であ
り、工業原料として用いるには純度が低く、また、新た
に蒸留塔を設けて精製するのは経済的でないため、焼却
廃棄せざるを得ず、更に蒸留で分離された1,2−ジア
セトキシブタンを含む留分も廃棄されているという問題
点がある。
【0005】本発明は、ジアセトキシブタンを原料とす
る1,4−ブタンジオールの製造方法において、従来焼
却廃棄されていた1,2−ブタンジオールを含む留分を
簡便な方法で精製し、工業原料として利用可能な純度の
高い1,2−ブタンジオールを1,4−ブタンジオール
と同時に製造すると共に、分離された未反応の1,2−
ジアセトキシブタンを含む留分より1,2−ブタンジオ
ール及び酢酸を回収し、有利にブタンジオール類を製造
する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑み鋭意検討した結果、ブタジエンを原料として、ブ
タンジオールの酢酸エステルの混合物を得、該酢酸エス
テルを水と固体酸触媒の存在下接触反応させ、加水分解
した後、反応液から水、酢酸を分離した生成物より、塔
頂より軽沸物及び1,2−ブタンジオールの酢酸エステ
ルを留出させ、上部側流より高純度の1,2−ブタンジ
オールを留出させ、中部側流より1,4−ブタンジオー
ルの未反応酢酸エステルを留出させ、1,2−ブタンジ
オール及び1,4−ブタンジオールの未反応酢酸エステ
ルは加水分解工程に循環し、塔底より1,4−ブタンジ
オールを缶出させることによってその目的が達成される
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明の要旨は、1,2−ジアセト
キシブタン及び1,4−ジアセトキシブタンを含む混合
物を加水分解反応に付し、引き続く蒸留によりブタンジ
オールを製造する方法において、同一の蒸留塔の上部か
ら濃縮された1,2−ブタンジオールの酢酸エステル類
を含む留分を留出させ、上部側流から高純度の1,2−
ブタンジオールを留出させ、中部側流から濃縮された
1,4−ブタンジオールの酢酸エステル類を含む留分を
留出させ、且つ蒸留塔の下部側流又は缶出より高純度の
1,4−ブタンジオールを得ると共に、該1,2−ブタ
ンジオールの酢酸エステル類を含む留分及び/又は該
1,4−ブタンジオールの酢酸エステル類を含む留分の
少なくとも一部を加水分解反応工程に循環することを特
徴とする1,2−ブタンジオール及び1,4−ブタンジ
オールの製造方法、にある。以下、本発明を詳細に説明
する。
【0008】
【発明の実施の形態】ブタジエンを原料とし、アセトキ
シ化反応、それに引き続く水素化、加水分解工程を経
て、1,4−ブタンジオールを製造する方法は、従来か
ら知られている。アセトキシ化反応は、パラジウム系触
媒の存在下、ブタジエン、酢酸及び分子状酸素を反応さ
せる公知の方法により行われる。パラジウム系触媒とし
ては、パラジウム金属又はその塩を単独で、或いは助触
媒としてビスマス、セレン、アンチモン、テルル、銅等
の金属又はその塩と組み合わせて用いられる。触媒は、
シリカ、アルミナ、活性炭等の担体に担持させて用いる
ことが好ましい。
【0009】アセトキシ化反応は、通常、40〜180
℃の温度範囲で、常圧以上の圧力下で実施される。酢酸
の使用量は溶媒を兼ねて大過剰に用いることが望まし
く、通常、共役ジエン1モルに対して、5〜60モル、
好ましくは10〜40モルである。なお、アセトキシ化
反応は公知の固定床方式、流動床方式、触媒懸濁方式等
任意の方法で実施される。反応生成物より、ジアセトキ
シブテンと水、酢酸及びモノアセトキシブテンを含むそ
の他の軽沸物とは蒸留によって分離される。モノアセト
キシブテンを含む水、酢酸を主成分とする留出物は、酢
酸精製工程に送られる。
【0010】缶出液は、1,4−ジアセトキシブテン、
1,2−ジアセトキシブテン、及び高沸物等からなり、
高沸物を分離した後、水添されジアセトキシブタンの混
合物となる。水添反応は、パラジウム、ルテニウム等の
貴金属触媒の存在下に、ジアセトキシブテンを水素と接
触させ、通常40〜180℃の温度範囲で、常圧以上の
反応圧力で反応させることによって実施される。なお、
水素化反応は、公知の固定床方式、流動床方式、触媒懸
濁方式等の任意の方式で実施される。
【0011】生成したジアセトキシブタンは、固体酸触
媒の存在下、水と接触させて加水分解されてブタンジオ
ールが得られる。本発明に用いられる原料のジアセトキ
シブタンとしては、1,4−ジアセトキシブタンを主体
とするものの外、その製造及び精製処理工程によって
は、1,4−ジアセトキシブタンと1,2−ジアセトキ
シブタン、1,3−ジアセトキシブタン等との異性体混
合物も含まれる。また、ある場合には、加水分解反応を
ある程度進行させた後、水及び酢酸を除いた1,4−ジ
アセトキシブタン、1,4−モノヒドロキシアセトキシ
ブタン及び1,4−ブタンジオールの混合物を利用でき
る。
【0012】本発明に用いられる固体酸触媒としては、
シリカ−アルミナ、活性土、シリカ、陽イオン交換樹脂
等が挙げられるが、陽イオン交換樹脂が加水分解速度が
大きく、しかもテトラヒドロフラン等の副生物が少ない
ので好ましい。陽イオン交換樹脂としては、スチレンと
ジビニルベンゼンとの共重合体を母体とするスルホン酸
型強酸性イオン交換樹脂が好適であり、ゲル型樹脂で
も、ポーラス型樹脂でもよい。その具体例としては、例
えば三菱化学(株)製SK1B,SK104,SK10
8,PK208,PK216,PK228等が挙げられ
る。
【0013】加水分解反応は、通常、30〜110℃、
好ましくは40〜90℃で実施される。温度が低過ぎる
と反応速度が著しく遅く、多量の触媒を必要とし、他
方、温度が余り高過ぎると、テトラヒドロフラン、ジヒ
ドロフラン等への副反応が増加する。反応圧力について
は、特に限定はされないが、通常は常圧〜10kg/c
2・Gの範囲である。
【0014】ジアセトキシブタンと水との比率は、水が
反応原料であると同時に溶媒でもあるので、化学量論量
以上用いられる。ジアセトキシブタンと水とのモル比
は、通常2〜100、好ましくは4〜50の範囲で用い
られる。加水分解反応は、回分式でも連続式等の任意の
方法で実施される。イオン交換樹脂を用いる場合、懸濁
状態で反応させる方式でも、イオン交換樹脂の充填層に
反応原料を通過させる方式でもよく、工業的には固定床
連続法が有利である。
【0015】加水分解物は、蒸留により、水、酢酸を主
成分とする留分と未反応物を含む粗ブタンジオールとに
分けられる。水、酢酸を主成分とする留分は、ジアセト
キシブテンの水添で発生する酢酸ブチル等を若干含んで
いるが、酢酸精製工程に送られ、先に述べた、アセトキ
シ化反応から回収される酢酸と共に、精製される。粗ブ
タンジオールは、1,2ジアセトキシブタン(1,2D
AB)、1−ヒドロキシ−2−アセトキシブタン(1,
2HAB)、2−ヒドロキシ−1−アセトキシブタン
(2,1HAB)、1,2ブタンジオール(1,2B
G)、1,4ジアセトキシブタン(1,4DAB)、1
−ヒドロキシ−4−アセトキシブタン(1,4HA
B)、1,4ブタンジオール(1,4BG)、2−(4
−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン及び構造が
不明な高沸物と若干の軽沸物等を含んでいる。
【0016】特開昭52−7909号或いは同52−6
5208号各公報の方法によれば、粗ブタンジオール
は、蒸留により、軽沸物、1,2DAB、1,2HA
B、2,1HAB及び1,2BGを主体とする留分(留
分)と、1,4DAB、1,4HABを主体とする留
分(留分)と、1,4BG及び高沸を含む缶出液とに
分けられる。この蒸留は、50〜400Torr(0.
006〜0.05MPa)の減圧下、塔底温度150〜
250℃で実施される。留分は、1,2BGを含んで
いるが純度が低い(約70重量%)ために工業原料とし
て利用することが出来ずに焼却廃棄される。留分は加
水分解反応に返送され未反応物を加水分解し、1,4B
Gを製造する、或いは、THF製造の原料として利用さ
れる。
【0017】缶出液は1,4BG精製塔に送られ塔頂よ
り若干の不純物、例えばヒドロキシアセトキシブタン、
2−(4−ヒドロキシブトキシ)テトラヒドロフラン等
の不純物を若干含む留分を留出させ、塔頂側留として製
品の1,4ブタンジオールを留出させ、高沸物を缶出さ
せる。必要に応じ、塔頂の留分は未反応物回収塔に循環
され、高沸物は更に有効成分を回収する為に処理される
場合もある。この蒸留は、50〜400Torr(0.
006〜0.05MPa)の減圧下、塔底温度150〜
250℃で実施される。
【0018】しかしながら、これらの方法に従えば、
1,2ブタンジオールの純度が低く、工業的には利用不
可能な品質の留分しか製造できない。工業的に利用でき
るような純度の1,2−ブタンジオールの簡便な製造方
法を種々検討した結果、未反応物回収塔において、塔頂
より軽沸分を含む濃縮された1,2−ジアセトキシブタ
ンを主な成分として含む留分を留出し、上部側流より高
純度の1,2−ブタンジオールを留出させ、中部側流よ
り未反応の1,4−ジアセトキシブタン、1−ヒドロキ
シ−4−アセトキシブタンを含む留分を留出させ、缶出
より1,4−ブタンジオールを抜き出すことによって達
成される。
【0019】前記特開昭52−7909号及び同52−
65208号各公報の方法によれば、未反応物回収塔の
塔頂より、1,2−ブタンジオールを含む留分を留出さ
せる方法が開示されている。この方法で得られた、1,
2−ブタンジオールは純度が低いので、該留分を別の蒸
留塔で蒸留し、未反応の1,2−ブタンジオール酢酸エ
ステル類と1,2−ブタンジオールを分離し高純度の
1,2−ブタンジオールを得ることもできる。しかしな
がら、この方法では、新たに蒸留塔を設置しなければな
らず、経済的な1,2−ブタンジオールの製造法とは言
い難い。本発明で開示する方法に従えば、新たに蒸留塔
を設置すること無く、ブタンジオールの酢酸エステルの
加水分解物から、1,4−ブタンジオールを製造すると
同時に、高純度の1,2−ブタンジオールを製造するこ
とが出来る。更に、分離された1,2−ブタンジオール
及び1,4−ブタンジオールの酢酸エステルを含む留分
を加水分解工程に循環することによって、含有する酢酸
を回収し効率的にブタンジオールを製造することが出来
る。
【0020】即ち、本発明の代表的な実施態様として
は、ブタジエン、酢酸、酸素を原料としPd/Teを担
持した触媒の存在下、3〜10MPa、40〜100℃
で反応させ、ジアセトキシブテンを得、高沸を分離した
後、Pd及びRuを触媒として、2〜10MPa、40
〜120℃で水添しジアセトキシブタンを合成し、合成
したジアセトキシブタンは水と共に、イオン交換樹脂を
触媒とした反応器に送られ加水分解される。ジアセトキ
シブタンと水のモル比は1:10〜1:3程度の範囲が
好適である。反応温度40〜80℃、反応時間1〜10
時間で加水分解され、酢酸分離塔に送られる。酢酸分離
塔は常圧〜50Torr(0.095〜0.006MP
a)の減圧で操作され酢酸、水及び若干の軽沸物が留出
する。缶出より、未反応物を含む粗1,4ブタンジオー
ルを抜き出し未反応物分離塔に送る。
【0021】未反応物分離塔は、理論段数80〜100
段で、上部側流は塔頂より10〜15段、中部側流は塔
頂より20〜30段、フィード段は塔頂より35〜40
段の蒸留塔で、300〜20Torr(0.04〜0.
002MPa)、好ましくは200〜100Torr
(0.027〜0.013MPa)の減圧で、還流比通
常10〜150、好ましくは20〜50で運転される。
塔頂より1,2−ジアセトキシブタン、1−ヒドロキシ
−2−アセトキシブタン、2−ヒドロキシ−1−アセト
キシブタンを主成分とする留分を留出させ、上部側流よ
り純度の高い1,2−ブタンジオールを留出させ、中部
側流より未反応物である1,4ジアセトキシブタン、1
−ヒドロキシ−4−アセトキシブタンを留出させ、缶
出、又は下部側流より1,4ブタンジオールを抜き出
す。なお、下部側流は、塔底より5〜10段を指す。
【0022】塔底の温度は、150〜230℃で運転さ
れるが、ブタンジオールの分解を防止するためには20
0℃以下が好ましい。1,2−ジアセトキシブタン、
1,4−ジアセトキシブタン等の未反応物を含む留分は
必要に応じて、加水分解反応に送り加水分解することで
きる。本発明に従えば、ブタジエンのアセトキシ化反応
によって製造される、ブタンジオールの酢酸エステルの
混合物から、容易に工業原料として使用できる純度の高
い1,2−ブタンジオールを製造することが出来る。
【0023】1,2−ジアセトキシブタンを含む留分は
加水分解工程に循環し1,2−ブタンジオールを得ると
同時に酢酸を回収し、1,4−ジアセトキシブタンを含
む留分は、加水分解反応に送り加水分解により1,4−
ブタンジオールと酢酸にするか、必要に応じてTHF化
工程でTHFを合成する原料として使用することもでき
る。以上述べたように、本発明に従えば、ブタジエンの
アセトキシ化反応によって製造されるブタンジオールの
酢酸エステルの混合物から、容易に工業原料として使用
できる純度の高い1,2−ブタンジオール及び1,4−
ブタンジオールを製造することが出来、しかも従来は廃
棄されていた未反応の1,2−ブタンジオールの酢酸エ
ステルを有効に利用することが出来る為、有利にブタン
ジオールを製造することが出来る。
【0024】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り実施例に限
定されるものではない。なお、以下の「%」は「重量
%」を表わす。
【0025】実施例1 ブタジエンと酢酸をアセトキシ化触媒(Pd5重量%、
Te/Pd原子比0.25、シリカ担体)の存在下、圧
力8MPa、温度70〜85℃の条件で、窒素で希釈し
た空気を用いて連続的に反応させ、1,4−ジアセトキ
シブテン、1,2−ジアセトキシブテンを含む酢酸溶液
を得た。この溶液を蒸留塔で蒸留し、酢酸及び高沸物を
除去した後、水素添加し1,4−ジアセトキシブタン、
1,2−ジアセトキシブタン等を含む混合物を得た。水
素添加反応は、Pdを活性炭に担持した触媒を用い、圧
力6MPa、温度50〜70℃で行い、得られた反応液
を更にRuを担持した触媒を用いて、同一圧力、温度8
0〜90℃で含まれるカルボニル化合物を水素添加する
事によって実施した。得られた反応液5800kg/h
rを第2酢酸蒸留塔より回収した酢酸を含む水4430
kg/hrと共に、強酸性イオン交換樹脂(三菱化学
(株)製 SK1BH)35m3 を保持する第1反応器
に送入し、50℃で加水分解を行った。加水分解反応液
は、理論段10を有する第1蒸留塔で蒸留し、塔頂より
酢酸を含む5430kg/hrの水を留出させ、塔底よ
り4800kg/hrの生成物を得た。塔底より得た缶
出液は、第3蒸留塔より回収した酢酸を含む水4230
kg/hrと共に、強酸性イオン交換樹脂(同上)25
3 を保有する第2反応器に送入し、50℃で加水分解
反応を行った。加水分解反応液は、理論段10を有する
蒸留塔で蒸留し、塔頂より酢酸を含む4430kg/h
rの水を留出させ第1反応器に送入した。塔底より46
00kg/hrの缶出液を得た。塔底より得た缶出液
は、未反応物分離塔の塔頂留分230kg/hr、中部
側流1500kg/hr及び水3000kg/hrと共
に、強酸性イオン交換樹脂(同上)25m3 を保有する
第3反応器に送入し、50℃で加水分解反応を行った。
加水分解反応液は、理論段10を有する蒸留塔で蒸留
し、塔頂より酢酸を含む4230kg/hrの水を留出
させ第1反応器に送入した。塔底より5100kg/h
rの缶出液を得た。
【0026】この缶出液は、1,2−ジアセトキシブタ
ン0.2%、1,2−ブタンジオールのモノ酢酸エステ
ル2.3%、1,2−ブタンジオール11.5%、1,
4−ジアセトキシブタン6.8%、1−ヒドロキシ−4
−アセトキシブタン36.6%、1,4−ブタンジオー
ル41.7%を含有していた。この加水分解生成物を、
理論段96段の充填物を有するSUS316製の精製塔
で蒸留した。蒸留は、塔頂圧力0.01MPa、還流比
120で操作し、塔頂より1,2ジアセトキシブタン
4.3%、1,2−ブタンジオールモノ酢酸エステル4
7.7%、1,2−ブタンジオール44.0%を含む留
分230kg/hrを留去し、最上段から15段目に相
当する部分より純度95%の1,2−ブタンジオール4
80kg/hrを上部側流として留出させ、最上段から
25段目に相当する部分より1,4−ジアセトキシブタ
ン12.5%、1−ヒドロキシ−4−アセトキシブタン
67.3%、1,4−ブタンジオール19.0%を含有
する中部側流2740kg/hrを留去した。塔頂留分
230kg/hr及び中部側流の内1500kg/hr
を第3加水分解反応器に供給し、中部側流の残部をTH
Fの原料としてTHF化工程に供給した。塔底からは
1,4−ブタンジオール(純度99.5%)1600k
g/hrを得た。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、従来焼却廃棄されてい
た粗1,2−ブタンジオールを簡便な方法で精製し、工
業原料として利用可能な高純度の1,2−ブタンジオー
ルを1,4−ブタンジオールと同時に製造すると共に、
従来焼却廃棄されていた未反応の1,2−ジアセトキシ
ブタン留分を加水分解工程に戻して酢酸及び粗1,2−
ブタンジオールを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のフローシート。
【符号の説明】
I 第1加水分解反応器 I′ 第1水酢酸分離塔 II 第2加水分解反応器 II′ 第2水酢酸分離塔 III 第3加水分解反応器 III ′ 第3水酢酸分離塔 IV 未反応物回収塔

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,2−ジアセトキシブタン及び1,4
    −ジアセトキシブタンを含む混合物を加水分解反応に付
    し、引き続く蒸留によりブタンジオールを製造する方法
    において、同一の蒸留塔の上部から濃縮された1,2−
    ブタンジオールの酢酸エステル類を含む留分を留出さ
    せ、上部側流から高純度の1,2−ブタンジオールを留
    出させ、中部側流から濃縮された1,4−ブタンジオー
    ルの酢酸エステル類を含む留分を留出させ、且つ蒸留塔
    の下部側流又は缶出より高純度の1,4−ブタンジオー
    ルを得ると共に、該1,2−ブタンジオールの酢酸エス
    テル類を含む留分及び/又は該1,4−ブタンジオール
    の酢酸エステル類を含む留分の少なくとも一部を加水分
    解反応工程に循環することを特徴とする1,2−ブタン
    ジオール及び1,4−ブタンジオールの製造方法。
  2. 【請求項2】 1,2−ジアセトキシブタン及び1,4
    −ジアセトキシブタンを含む混合物が、ブタジエン、酢
    酸及び分子状酸素をパラジウム系触媒の存在下で反応さ
    せ、次いで得られたジアセトキシブテン類を貴金属触媒
    の存在下に水素添加して得られたものである請求項1に
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 高純度の1,2−ブタンジオールを抜き
    出す蒸留塔の上部側流が、蒸留塔の塔頂よりその理論段
    数の約1ないし2割下の段にある請求項1又は2に記載
    の方法。
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