JP3823970B2 - 車両用追従走行制御装置 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、運転者に違和感をあたえずに低車速域から高車速域まで適切な車間距離を確保することができる車両用追従走行制御装置を提供することを目的としている。
この請求項2に係る発明では、自車速が"0"であるときには、所定値の目標車間距離を設定するので、先行車に追従している状態で、先行車が停止し、これに応じて自車両が停止する際に、所定値の目標車間距離を保って停止することができ、この停止状態に至るまでの減速状態で車間時間を考慮した目標車間距離が設定される。
この請求項3に係る発明では、自車速が低車速域にある状態で、加速状態であるか減速状態であるに応じて目標車間距離設定値を異ならすことができ、発進時には自車速の変化に対する目標車間距離設定値の変化を緩やかとすることにより、先行車が発進してから自車両が発進するまでの時間が変動する場合に加速度変化を抑制し、停止に向かう減速状態では、設定した所定値の目標車間距離を設定し、車間時間を考慮して自車速の減少に伴って目標車間距離を減少させる。
この請求項4に係る発明では、先行車車速変化量に基づいて加速状態であるか減速状態であるかを判断するので、低車速域での加速状態と減速状態との判別を確実に行うことができる。
また、請求項6に係る車両用追従走行制御装置は、請求項1乃至5の何れか1つに係る発明において、前記目標車間距離切換手段は、高車速域用設定手段で目標車間距離を設定している状態から自車両が減速したときに前記車速検出手段で検出した自車速が所定の低速側切換車速以下となったときに徐々に低車速域用設定手段に切換えるように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る車両用追従走行制御装置は、請求項5又は6に係る発明において、前記目標車間距離切換手段は、低車速域用設定手段で設定した目標車間距離をLL 、高車速域用設定手段で設定した目標車間距離をLH とし、時間の経過に応じて変化する切換重み係数をw(k) としたとき、目標車間距離L* をL* =(1−w(k) )LH +w(k) LL で算出するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項8に係る車両用追従走行制御装置は、請求項5又は6に係る発明において、前記目標車間距離切換手段は、低車速域用設定手段で設定した加速側目標車間距離をLLA、減速側目標車間距離をLLD、高車速域用設定手段で設定した目標車間距離をLH とし、時間の経過に応じて変化する切換重み係数をw(k) とし、低車速域用設定手段における加減速切換重み係数をwL (k) としたとき、目標車間距離L* をL* =(1−w(k) )LH +w(k) {wL (k) ・LLA+(1−wL (k) )LLD}で算出するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る発明によれば、目標車間距離切換手段で、低車速域で自車両が加速状態となって自車速が所定の高速側切換車速以上となったときに、低車速域用設定手段から高車速域用設定手段に徐々に切換えることにより、目標車間距離が不連続となることを防止しながら設定手段の切換えを円滑に行うことができるという効果が得られる。
さらに、請求項7に係る発明によれば、低車速域から高車速域に加速したときには切換重み係数w(k) が"1"から時間の経過と共に"0"まで変化し、逆に高車速域から低車速域に減速した場合には、切換重み係数w(k) が"0"から時間の経過と共に"1"まで変化することにより、何れの場合も時間の経過と共に、目標車間距離の切換えを不連続となることなく正確に行うことができるという効果が得られる。
図1は本発明を後輪駆動車に適用した場合の一実施形態を示す概略構成図であり、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪、1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。
ここで、制動制御装置8は、図示しないブレーキペダルの踏込みに応じて制動油圧を発生すると共に、後述する追従制御用コントローラ20からの制動圧指令値PBRに応じて制動油圧を発生し、これをブレーキアクチュエータ7に出力するように構成されている。
そして、車速センサ13から出力される自車速Vsと車間距離センサ14から出力される車間距離Lとエンジン回転速度センサ15から出力されるエンジン回転速度NE とが追従制御用コントローラ20に入力され、この追従制御用コントローラ20によって、先行車両を捕捉しているときに車間距離を目標車間距離に制御し、先行車両を捕捉していないときに自車速VS を運転者が設定した設定車速VSET に制御する制動圧指令値PBR及び目標スロットル開度θ* を制動制御装置8及びエンジン出力制御装置11に出力する。
この制御ブロックは、車間距離センサ14でレーザー光を掃射してから先行車の反射光を受光するまでの時間を計測し、先行車との車間距離Lを演算する測距信号処理部21と、測距信号処理部21で演算された車間距離L及び車速センサ13から読込んだ自車速VS に基づいて車間距離Lを目標車間距離L* に維持する目標車速V* を演算する車間距離制御手段としての車間距離制御部40と、この車間距離制御部40で演算した目標車速V* に基づいて目標駆動軸トルクTW * を演算する車速制御部50と、この車速制御部50で演算した目標駆動軸トルクTW * に基づいてスロットルアクチュエータ12及びブレーキアクチュエータ7に対するスロットル開度指令値θR 及び制動圧指令値PBRを演算し、これらをスロットルアクチュエータ12及びブレーキアクチュエータ7に出力する駆動軸トルク制御部60とを備えている。
w(k) =min{w(k) ,1} …………(2)
wL (k) =wL (k-1) +ΔwL …………(3)
wL (k) =min{wL (k) ,1}…………(4)
ここで、(2)式及び(4)式の右辺は中括弧で囲まれているうちの何れか小さい方を選択することを表しており、切換重み係数w(k) 及び加減速切換重み係数wL (k) が"1"以下となるように制限している。
ここで、目標車間距離算出用制御マップは、図4に示すように、低車速域での目標車間距離を設定する所定値LS1の切片を有し所定の車間時間をもって先行車車速Vtの増加に応じて目標車間距離LL が増加するように設定された低車速域用特性直線L1 と、先行車車速Vtが"0"のとき目標車間距離LH も"0"となり、これから所定の車間時間をもって先行車車速Vtの増加に応じて目標車間距離LH が増加するように設定された高車速域用特性直線L2 とを有し、このうち低車速域用特性直線L1 は低速所定値VL2 より小さい例えば50km/h程度に設定された所定値VB から低速側で低車速域用特性直線と同一傾きの減速用特性線L1D及びこれより傾きが緩やかで所定値LS1より大きい所定値LS2の切片を有する加速用特性線L1Aに分岐されている。
L* =(1−w(k) )LH +w(k) {wL (k) ・LLA+(1−wL (k) )LLD}
…………(5)
また、前記ステップS5の判定結果が、ΔVt<ΔVtA であるときには加速状態ではないものと判断して、ステップS9に移行して、車速偏差ΔVtが予め設定された負値の減速度閾値−ΔVtD 以下であるか否かを判定することにより、先行車が減速状態であるか否かを判定し、ΔVt≦−ΔVtD であるときには、減速状態であるものと判断してステップS10に移行し、下記(6)〜(9)式の演算を行って切換重み係数w(k) 及び加減速切換重み係数wL (k) を算出してから前記ステップS7に移行する。
w(k) =min{w(k) ,1} …………(7)
wL (k) =wL (k-1) −ΔwL …………(8)
wL (k) =max{wL (k) ,0}…………(9)
ここで、(7)式の右辺は中括弧で囲まれている値のうちの何れか小さい方を選択することを表しており、切換重み係数をw(k) を"1"以下となるように制限し、(9)式の右辺は中括弧で囲まれている値のうち何れか大きい方を選択することを表しており、加減速切換重み係数wL (k) が"0"以上となるように制限している。
一方、前記ステップS2の判定結果がVt>VL1 であるときにはステップS12に移行し、先行車車速Vtが予め設定した低速所定値VL1 より大きい値の高速所定値VH以下であるか否かを判定し、Vt≦VHであるときには、目標車速設定の切換えを必要としないものと判断してステップS13に移行して、前回の制御周期で設定された切換重み係数w(k) 及び加減速切換重み係数wL (k) を維持してから前記ステップS7に移行する。
w(k) =w(k-1) −Δw …………(10)
w(k) =max{w(k) ,0} …………(11)
wL (k) =wL (k-1) −ΔwL …………(12)
wL (k) =max{wL (k) ,0}…………(13)
ここで、(2)式及び(4)式の右辺は中括弧で囲まれている数値のうちの何れか大きい方を選択することを表しており、切換重み係数をw(k) 及び加減速切換重み係数wL (k) が"0"以上となるように制限している。
すなわち、目標駆動軸トルクTW * を除算器61に供給して、係数KGEARで除算して、目標エンジントルクTE * を算出し、これをスロットル開度算出部62に供給して、このスロットル開度算出部62で目標エンジントルクTE * 及びエンジン回転速度NE をもとに予め設定されたエンジンマップを参照してスロットル開度θを算出し、これをリミッタ63に供給して、スロットルアクチュエータ12で制御可能な零から最大スロットル開度までの範囲に制限してスロットル開度指令値θR としてエンジン出力制御装置11に出力すると共に、目標駆動軸トルクTW * を減算器64に供給してエンジンブレーキ補正演算部65で演算された値KGEAR{TE0−JE (dNE /dt)}(JE :エンジンイナーシャ、TE0:スロットル開度θR が"0"のときのエンジントルク、NE :エンジン回転速度)から減算して目標ブレーキトルクTBR * を算出し、これを除算器66に供給して、目標ブレーキトルクTBR * をKBT(=8・AB ・RB ・μB ,AB :ブレーキシリンダ面積、RB :ロータ有効半径、μB :パッド摩擦係数)で除してブレーキ液圧指令値PBRを算出し、これをリミッタ67で、ブレーキアクチュエータ7で制御可能な零から最大制動圧までの範囲に制限して制動制御装置8に出力する。
なお、上述した車間距離制御部40、車速制御部50及び駆動軸トルク制御部60で動力制御手段を構成している。
今、運転者が、設定車速VSET を設定した状態で高速道路を高速所定値VHを越えるが設定車速VSET 未満となる先行車車速Vtで高速走行する先行車に追従しながら高速走行しているものとする。このとき、追従制御用コントローラ20の車間距離制御部40における目標車間距離設定部42では、図3に示す目標車速設定処理を実行しており、先行車車速Vtが高速所定値VHを越えているので、ステップS2からステップS12を経てステップS14に移行し、前回までの車間距離制御が収束して目標車間距離L* と車間距離センサ14で検出した実際の車間距離Lとの偏差ΔLが所定値ΔLS 未満であるものとすると、ステップS15に移行して、前記(10)〜(13)式の演算を行うが、前回までの設定処理で切換重み係数をw(k-1) 及び加減速切換重み係数wL (k-1) が共に"0"に設定されているものとすると、(10)式及び(12)式で切換重み係数をw(k) 及び加減速切換重み係数wL (k) が共に−Δw及び−ΔwL に設定されて"0"未満となるが、(11)式及び(13)式で"0"が選択されることにより、切換重み係数w(k) 及び加減速切換重み係数wL (k) が共に"0"に維持される。
その後、先行車がさらに減速して図6に示すように低速所定値VL1 以下となると、図3の処理においてステップS2からステップS3に移行し、減速状態に急激な変化がなく、車間距離制御が収束しているので、ステップS5に移行し、減速状態であるので、車速偏差ΔVtが負の設定値−ΔVtD よりも小さい値となっているので、ステップS9を経てステップS10に移行する。
このため、ステップS8で(5)式に従って目標車間距離L* を算出するときに、高車速用目標車間距離LH に乗算する係数が減少し、これに代えて(5)式の右辺第2項が加減速切換重み係数wL (k) が"0"を維持することにより、減速用車間距離VLDに乗算する係数がΔw(k) 分増加することにより、算出される目標車間距離L* が図10に示すように、高車速域用特性直線L2 に沿って減少している状態から低車速域用特性直線L1 側に僅かに減少しながら移動し、目標車速設定の切換えが開始される。
この停止状態から先行車が発進すると、自車両は、運転者のスイッチ操作やアクセルペダル操作等の発進確認操作があったときに発進する。
そして、さらに先行車が加速を継続して、先行車車速Vtが低速所定値VL1 を越えると、ステップS2からステップS12を経てステップS13に移行して、切換重み係数w(k) 及び加減速切換重み係数wL (k) が夫々前回値w(k-1) 及びwL (k-1) を維持する状態となり、目標車間距離L* が低車速域用特性直線L1 に沿って増加する状態を継続する。
また、上記実施形態においては、目標車間距離算出用制御マップを図4に示すように低車速域用特性直線L1 及び高車速域用特性直線L2 の双方を設けた場合について説明したが、これらを別々の制御マップとしてもよく、さらには各特性直線に応じた方程式を求め、これらの方程式に先行車車速Vtを代入することにより、目標車間距離LL 及びLH を演算によって算出するようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態においては、目標車間距離L* に車間距離Lを一致させる目標車速VL * を算出し、これに基づいて車速を制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、目標車間距離L* と車間距離Lとの偏差に基づいて目標加減速度を算出し、この目標加減速度に応じて車速を制御するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、ブレーキアクチュエータとしてディスクブレーキ7を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ドラムブレーキ等の他のアクチュエータを適用することができることは勿論、制動圧以外に電気的に制御されるブレーキアクチュエータを適用することもでき、この場合には、駆動軸トルク制御部60で目標制動圧PBRに代えて、目標電流等の指令値を演算し、これを指令値に基づいてブレーキアクチュエータを制御する制動制御装置8に出力するようにすればよい。
3 自動変速機
7 ディスクブレーキ
8 制動制御装置
11 エンジン出力制御装置
12 スロットルバルブ
13 車速センサ
14 車間距離センサ
15 エンジン回転速度センサ
15 トルクコンバータ出力回転速度センサ
16 スロットル開度センサ
17 ブレーキスイッチ
20 追従制御用コントローラ
40 車間距離制御部
42 目標車間距離設定部
43 車間距離制御演算部
50 車速制御部
60 駆動軸トルク制御部
Claims (8)
- 自車両の車速を検出する車速検出手段と、自車両前方の追従制御対象車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、目標車間距離を設定する目標車間距離設定手段と、該目標車間距離設定手段で設定した目標車間距離と前記車間距離検出手段で検出した車間距離との車間距離偏差を小さくするように自車両の駆動力及び制動力の何れかを制御する動力制御手段とを備えた車両用追従走行制御装置において、
前記目標車間距離設定手段は、前記車速検出手段で検出した自車速が低車速域にある状態で当該自車速に応じて目標車間距離を設定する低車速域用設定手段と、前記車速検出手段で検出した自車速が高車速域にある状態で当該自車速に応じて目標車間距離を設定する高車速域用設定手段と、前記低車速域用設定手段及び高車速域用設定手段を前記車速検出手段で検出した自車速に応じて切換える目標車間距離切換手段とを備え、
前記目標車間距離切換手段は、低車速域用設定手段で目標車間距離を設定している状態で自車両が加速した場合、前記車速検出手段で検出した自車速が所定の高速側切換車速以上になったときに前記高車速域用設定手段に切換え、前記高車速域用設定手段で目標車間距離を設定している状態で自車両が減速した場合、前記車速検出手段で検出した自車速が所定の低速側切換車速以下となったときに前記低車速域用設定手段に切換えるように構成され、
前記高速側切換車速は、前記低速側切換車速よりも大きな値に設定されていることを特徴とする車両用追従走行制御装置。 - 前記低車速域用設定手段は、前記車速検出手段で検出した自車速が零であるときに所定値の目標車間距離を設定し、自車速の増加に応じて所定の車間時間をもって増加する目標車間距離を設定するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用追従走行制御装置。
- 前記低車速域用設定手段は、自車速が零近傍の車速域で、加速状態であるときの目標車間距離設定値を減速状態であるときの目標車間距離設定値より大きい値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用追従走行制御装置。
- 前記低車速域用設定手段は、先行車車速変化量が所定値以上であるときに加速状態であると判断し、先行車車速変化量が所定値以下であるときに減速状態であると判断するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の車両用追従走行制御装置。
- 前記目標車間距離切換手段は、低車速域用設定手段で目標車間距離を設定している状態から自車両が加速したときに前記車速検出手段で検出した自車速が所定の高速側切換車速以上となったときに徐々に高車速域用設定手段に切換えるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載の車両用追従走行制御装置。
- 前記目標車間距離切換手段は、高車速域用設定手段で目標車間距離を設定している状態から自車両が減速したときに前記車速検出手段で検出した自車速が所定の低速側切換車速以下となったときに徐々に低車速域用設定手段に切換えるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の車両用追従走行制御装置。
- 前記目標車間距離切換手段は、低車速域用設定手段で設定した目標車間距離をLL 、高車速域用設定手段で設定した目標車間距離をLH とし、時間の経過に応じて変化する切換重み係数をw(k) としたとき、目標車間距離L* をL* =(1−w(k) )LH +w(k) LL で算出するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の車両用追従走行制御装置。
- 前記目標車間距離切換手段は、低車速域用設定手段で設定した加速側目標車間距離をLLA、減速側目標車間距離をLLD、高車速域用設定手段で設定した目標車間距離をLH とし、時間の経過に応じて変化する切換重み係数をw(k) とし、低車速域用設定手段における加減速切換重み係数をwL (k) としたとき、目標車間距離L* をL* =(1−w(k) )LH +w(k) {wL (k) ・LLA+(1−wL (k) )LLD}で算出するように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の車両用追従走行制御装置。
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