JP3821596B2 - 反射体及びその加工方法及びそれを用いた反射部材 - Google Patents

反射体及びその加工方法及びそれを用いた反射部材 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射率の高い銀を用いた反射体及びその加工方法及びそれを用いた反射部材に関する。更に詳しくは、従来加工の際に必要であった保護フィルムを無くし、加工後に行われている保護フィルムの除去工程を省略することで、反射部材の製造コストを削減することが可能な新規の反射体に関する。本発明の反射体は、液晶表示装置のバックライトのランプリフレクター、プリンター及びFAX等に用いられる反射鏡、蛍光灯の反射傘、ストロボの反射傘、コンパクトの鏡等に用いられる。これ以外にもほとんどすべての光反射部材に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
銀は可視光域及び赤外域に高い反射率を持ち、また電気及び熱の伝導率が金属中で最大であることから、可視光線反射材料及び熱線反射材料、電気配線材料として注目されている。一般的に、大気中で酸化することはないが、大気中の亜硫酸ガス、硫黄と反応し黒色の硫化銀を生成する。また、オゾンと反応し黒色の酸化銀(AgO)を生成する。
【0003】
大気による銀の硫化を防止する方法としては、銀を合金化する方法が知られている。例えば、電気接点用には、3〜40wt%のCuを含む銀が、また、Cdを含む銀が、更には10wt%のAuを含む銀が用いられている。また、歯科用には25wt%のPdと10wt%のCuを含む銀が、装飾用には5〜20wt%のCuを含む銀が用いられている。また、銀の実用性能に関しては「貴金属の実際知識」山本勇三編著、東洋経済新報社 昭和57年 頁72〜153に詳しく述べられている。
【0004】
その他の硫化防止方法としては、銀を金属層または金属酸化物層、金属硫化物層、合金層、下塗り樹脂層、保護樹脂層により被覆する方法が知られている。例えばガラス上に銀を成膜した後に、CuとSnからなる合金層を積層し、更に樹脂層を積層することにより銀の腐食を防止し、また、耐スクラッチ性を高める方法が知られている(特開昭49−107547)。また、本発明者らも、銀薄膜層の両面にアルミ、チタン等からなる金属層を用いることにより、銀薄膜層の光、熱、ガス等による腐食を防止する方法を開示している(特開平1−279201)。
【0005】
反射体として銀を用いた高反射率の反射体が液晶表示装置のバックライトのランプリフレクター(LCDバックライト用ランプリフレクター)を中心に、蛍光灯の反射傘、ミニラボ機のミラートンネル等に用いられている。これらはPET(ポリエチレンテレフタレート)/銀薄膜層/接着剤層/アルミ板の層構成からなるいわゆる反射板(銀反射板)や、PET/銀薄膜層/接着剤層/アルミ薄膜層/PET/光遮蔽層からなるいわゆる反射シート(銀反射シート)である。これらは、透明高分子フィルムであるPETと接着剤層により銀薄膜層を被覆することにより従来からの問題点であった大気曝露による銀の硫化、酸化を防止し、高反射率を維持することに成功した。たとえば上記銀反射板および銀反射シートを80℃の恒温槽中に1000時間放置したが、硫化等による黒色、黄色の変色は観察されず、また反射率も低下しなかった。また60℃、85%RHの恒温恒湿槽に1000時間放置したが同様に変色及び反射率の低下は観察されなかった。
【0006】
本発明者らは、Q−PANEL社(米国)のQUV試験器を用いて、上記銀反射板及び銀反射シートの紫外線照射試験を行ったところ、反射面が赤紫色に変色するという結果を得た。これらはこれまでに一般的に知られていた銀の硫化、酸化による黒色、黄褐色、黄色といった色とは明らかにことなり、またPETフィルム自身の紫外線劣化による黄変とも異なっていた。そこでこの紫外線照射下において起こる変色を紫外線による銀の光劣化(紫外線劣化)と呼ぶことにした。これらに対して我々は、波長380nmから300nmにおける光線の透過率が10%以下である可撓性の基板(PET)の片面に銀を含む金属薄膜を積層することにより、可視光線での反射率を著しく低下することなく、紫外線に対する耐久性を改善した反射体(特開平5−162227、US−5276600)を提供している。
【0007】
透明高分子フィルム/銀からなる反射体の紫外線劣化に関して更に検討を行ったところ、驚くべきことに、可視光照射においても同様に赤紫色に変色することを見いだした。更に該光劣化は、常温では非常にゆっくりと進行するものの、高温下では急速に進行することが分かった。よって該光劣化の特徴をより一層明らかとするために単なる光劣化と区別する意味で、今後これらの劣化を光熱劣化と呼ぶ。これらに対して我々は、透明高分子フィルムの片面に金属を含むプラズマによる表面処理を行い、続いて該表面処理面に銀薄膜層を形成することで光熱劣化を防止できることを見いだし開示している。(特開平09−150482)。
【0008】
液晶表示装置は、薄型化、軽量化、大画面化、高輝度化が進められており、これを受けて液晶表示装置(LCD)用のバックライトではランプの高輝度化、部材の高密度化が進んでいる。
【0009】
LCDバックライト用ランプリフレクターは、例えば平板の反射体を打ち抜き加工し、穴開け加工し、折り曲げ加工することでリフレクター形状を形成しているが、この際反射面を傷や汚れから保護する目的で厚みが25μm程度の保護フィルムを用いている。これらの保護フィルムはリフレクター加工後引き剥がすが、これには非常に多くの労力が必要である。更に近年、リフレクターの小型化・加工形状の複雑化が進んだことで、保護フィルムの引き剥がしが困難となりより多くの人手と労力が費やされている。これらはバックライトメーカーの大きな負担となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、液晶表示装置のバックライトのランプリフレクター等に用いられる反射体において、打ち抜き・穴開け・折り曲げ加工の際に必要であった保護フィルムを省略し、加工後の反射体より保護フィルムを取り除く工程を削除し、よってコストを低減することであり、それに必要な反射体を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明者らは、かかる問題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、保護フィルムを省略するには、1.反射体の耐擦傷性の向上が必要であること、2.作業性に支障のない滑り性が必要であること、3,反射体本来の反射率を低下させないことの3点が重要であることを見出した。更に、透明高分子フィルム/銀薄膜層/接着剤層/支持体からなる反射体の透明高分子フィルム側に、透明で耐擦傷性、滑り性に優れた耐擦傷性易滑層を用いることにより加工の際に必要であった保護フィルムを省略できることを見出した。本発明はかかる知見によりなされるに至ったものである。
【0012】
すなわち、本発明は下記のとおりである。(1)少なくとも、透明高分子フィルム(B)、銀薄膜層(C)、接着剤層(D)、支持体(E)がBCDEの順に形成され、B側が反射面である反射体において、透明高分子フィルム(B)側に耐擦傷性易滑層(A)を設け、該耐擦傷性易滑層(A)が組成又は構造の異なる2つ以上の樹脂からなり、相分離を起こしていることを特徴とする反射体。
【0013】
(2)耐擦傷性易滑層(A)を用いることにより生じる反射率の低下が2%以下であることを特徴とする(1)に記載の反射体。
(3)耐擦傷性易滑層(A)が鉛筆硬度H以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の反射体。
【0014】
(4) 耐擦傷性易滑層(A)がスチールウールテスト合格品であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の反射体。
(5) 耐擦傷性易滑層(A)表面の静止摩擦係数が1.4以下であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の反射体。
【0015】
(6)耐擦傷性易滑層が少なくともオルガノポリシロキサン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂のいずれか又はこれらの組み合わせからなることを特徴とする(5)に記載の反射体。
(7)耐擦傷性易滑層が易滑剤を含んでいることを特徴とする(6)に記載の反射体。
【0016】
(8)耐擦傷性易滑層が紫外線硬化型のアクリルを主成分とする樹脂であることを特徴とする(6)または(7)に記載の反射体。
(9)耐擦傷性易滑層を最表面として、打ち抜き加工、折り曲げ加工を行うことを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載の反射体の加工方法
【0017】
(10)(1)乃至(8)に記載の反射体を、耐擦傷性易滑層(A)側を内側に折り曲げ加工し、光源を覆うよう設置して使用することを特徴とする反射部材。
(11)液晶表示装置用のランプリフレクターに使用されることを特徴とする(10)に記載の反射部材。
【0018】
【発明の実施の形態】
先ず、添付図面について説明する。図1は本発明の最も簡単な反射体の構造断面図である。反射面側から、耐擦傷性易滑層10、透明高分子フィルム20、銀薄膜層30、接着剤層40、支持体50である。図2は本発明の反射体の一例を示す構造断面図である。図1の透明高分子フィルム20にポリエチレンテレフタレートフィルム60を、更に支持体50に金属板70を用いた。
【0019】
図1に示した反射体の製造方法としては、例えば、透明高分子フィルム20の片面に銀薄膜層30を形成し、透明高分子フィルム20の銀薄膜層とは反対の面に耐擦傷性易滑層10を塗布し、該銀薄膜層面に接着剤層40を塗布し、該接着剤層40と支持体50とをラミネートする方法があげられる。接着剤層40と支持体50とのラミネートは接着剤塗布後に続けて行うのが一般的であるが、これ以外にも、塗布工程とラミネート工程を分離して行うことができる。例えば熱可塑性のポリエステル系接着剤を用いた際には、塗布済みの接着剤を熱ロールで溶融させることにより、任意の時点にラミネートを行うことができる。また、耐擦傷性易滑層10をあらかじめ透明高分子フィルムの片面に塗布し、その後銀薄膜層を形成することも可能である。
【0020】
図3は本発明の反射部材の使用例の一例を示す概略図である。ここでは液晶表示装置のバックライトでの使用例を示した。ランプ100を囲むように使用されているのが本発明の反射部材(ランプリフレクター)90である。
【0021】
発明者らがここで言う反射体とは、反射体に入射する光を元の媒質に戻す物体のことであり、主にここでは可視領域の光の85%以上を、元の媒質に戻す物体のことであり、更に好ましくは可視領域の光の90%以上を元の媒質に戻す物体のことである。図1を用いて本発明の反射体による反射の概略を説明すると、耐擦傷性易滑層10側から入射した光は、そのほとんどが耐擦傷性易滑層10及び透明高分子フィルム20を透過し、銀薄膜層30に達し、銀薄膜層30で反射し、透明高分子フィルム20及び耐擦傷性易滑層10を透過し、再び元の媒質中に戻る。
【0022】
本発明における耐擦傷性易滑層とは、打ち抜き・折り曲げ加工における傷の発生を抑える機能を持った層であり、打ち抜き・折り曲げ加工における作業性を損なわない滑り性を有する層であり、反射率の低下を引き起こさない透明性を有する層である。
【0023】
耐擦傷性を持つ材料としてはハードコート剤が上げられる。ハードコート剤には常乾型アクリルラッカー、2液アクリルウレタン、フッ素系低温硬化、紫外線硬化型アクリル等の合成樹脂系ハードコート剤とオルガノシラン系ハードコート剤がある。
【0024】
本発明においては合成樹脂ハードコート剤の中でも熱硬化型に比べ硬化時間が短い紫外線硬化型のハードコート剤が好ましく用いられる。紫外線硬化型ハードコート剤は基本的に光硬化型樹脂と反応性希釈剤と増感剤(光重合開始剤)からなる。
【0025】
光硬化型樹脂としては、1分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する多官能アクリレートであるウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等のいわゆるアクリレート系樹脂が挙げられる。一般的に、一分子中のアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基の数が多いほど架橋密度が大きくなり、優れた耐擦傷性と表面硬度が得られる。
【0026】
アクリレート系樹脂の反応性希釈剤としては2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等をはじめ、多官能性アクリルモノマーであるジアノール2,2−ジアクリレートやポリエステルジアクリレート等が挙げられる。反応性希釈剤は光硬化型樹脂の希釈剤兼橋かけ剤として作用する。
【0027】
増感剤(光重合開始剤)としては、ベンゾインエチルエーテルをはじめとするベンゾイン類、ベンゾフェノン、p、p’−ビスメチルアミノフェノン等が挙げられる。
【0028】
オリガノシラン系ハードコート剤とはアルコキシシランとカーボンファンクショナルシランを主成分とするコート剤であり、アルコキシ基の加水分解によって生成したシラノール基の脱水縮合によりシロキサン結合を形成して架橋構造を形成するものである。得られる構造はガラスに類似した構造であり、一般的に高い硬度が得られる利点があるが、一方で密着性・柔軟性に劣る、成膜に非常に高い温度を必要とするといった欠点がある。しかしながら近年これらの欠点を改良したものが提案されている。
【0029】
耐擦傷性層に易滑性を持たせる方法としては、耐擦傷性層の表面に凹凸を付与し、金型との接触を面から点にすることで滑らせる方法と、易滑剤を添加し表面に存在する易滑剤により滑らせる方法とがある。
【0030】
表面凹凸を付与する方法としては樹脂の相分離を用いる方法とフィラーを添加する方法がある。
相分離とは、均一に溶解された2つ以上の樹脂が、溶媒が蒸発し固化する際に2つ以上の相に分離することを言う。例えば紫外線硬化型アクリル樹脂100部に対して、該アクリル樹脂と相溶性の良くないポリエステル樹脂5部を、両樹脂共に溶解する溶剤で一旦均一に溶かし、その後該溶解液を塗布・乾燥・硬化すると、アクリル樹脂のマトリックスの中にポリエステル樹脂が点在した2相からなる樹脂層を形成することができる。この様して得た膜は微細な凹凸が形成される。
【0031】
凹凸形成に用いられるフィラーとしては、シリカ粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子等の無機粒子や、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート等の樹脂粒子が用いられる。本発明においては、透明性を損なわないように、粒径が小さく且つ少量使用されるのが好ましい。また、耐擦傷性易滑層と該フィラーの屈折率差は小さい方が好ましい。
易滑剤としては、シリコンが上げられる。シリコンは易滑剤としての効果以外に塗装面のユズ肌防止や汚染防止といった効果がある。
【0032】
本発明においては、耐擦傷性易滑層の材料は特に限定しないが、耐擦傷性、易滑性、透明性を考慮すると、例えばオルガノポリシロキサン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂のいずれか及びこれらの組み合わせからなる樹脂が好ましく用いられる。更に好ましくは、該樹脂の中でも透明性と耐擦傷性に優れたハードコート剤(表面硬化塗料)が用いられる。更により好ましくは硬化時間の短い紫外線硬化型のハードコート剤が用いられる。
【0033】
耐擦傷性易滑層の光学特性は、波長550nmの光線透過率が80%以上であることが好ましい。より好ましくは、波長500〜600nmの範囲の光に対して光線透過率が80%以上であり、更に好ましくは波長400〜800nmの範囲の光に対して光線透過率が80%以上である。光線透過率が80%よりも低いと、耐擦傷性易滑層を用いることにより生じる反射率の低下が2%を越える可能性が高く、これにより反射体の反射率が低下することから反射体としての性能上好ましくない。
耐擦傷性易滑層を用いることにより生じる反射率の低下は、好ましくは2%以下である。反射率の低下があまりに大きいと反射体として性能上好ましくない。
【0034】
耐擦傷性易滑層の形成方法としては、ロール状の透明高分子フィルムに連続的に塗布が可能なロールコート法が好ましく用いられる。コート方法としては、バーコート法、メイヤーバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、マイクログラビヤコート法、ダイコート法、リップコート法等があげられるが、これらは使用する塗布液の種類、粘度、塗布量、塗布速度、得られる面状態等を考慮して選定される。
【0035】
耐擦傷性易滑層の厚みとしては、0.1μm〜30μmが好ましく、より好ましくは0.5μm〜20μmであり、更に好ましくは1μm〜10μmである。あまりに厚すぎると材料費の点からコスト増となり好ましくない。あまりに薄すぎて連続膜が形成されないと十分な効果が得られない。
【0036】
耐擦傷性易滑層の鉛筆硬度は、好ましくはH以上であり、より好ましくは2H以上である。鉛筆硬度があまりに小さいと、耐擦傷性に劣り、打ち抜き・穴開け・折り曲げ加工の際に反射体表面にキズが入り外観上及び反射性能上好ましくない。
【0037】
耐擦傷性易滑層はスチールウールテストで合格するのが好ましい。スチールウールテストで入る擦り傷があまりに多く耐擦傷性に劣るときには、打ち抜き・穴開け・折り曲げ加工後の反射体表面にキズが入り、外観上及び反射性能上好ましくない。
【0038】
耐擦傷性易滑層表面の静止摩擦係数は、好ましくは1.4以下、より好ましくは1.0以下である。耐擦傷性易滑層表面の静止摩擦係数があまりに大きいと、打ち抜き・穴開け・折り曲げ加工の際、反射体の金型離れが悪く、よって作業性が損なわれる。更に、耐擦傷性易滑層をロール状の透明高分子フィルム上に連続的に形成する際には、耐擦傷性易滑層表面の静止摩擦係数があまりに大きいと、巻き取りが困難となり皺が発生する。
【0039】
本発明における透明高分子フィルムには、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、三酢酸セルロース系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、フッ素系樹脂等が使用できるが、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、透明であり、ある程度ガラス転移温度が高いものであれば使用できる。
【0040】
透明高分子フィルムの厚みには限定的な値はないが、通常は10〜400μm程度であり、好ましくは10〜200μm程度であり、更に好ましくは25〜100μm程度である。
使用する透明高分子フィルムの光学特性は、波長550nmの光線透過率が80%以上であることが好ましい。より好ましくは、波長500〜600nmの範囲の光に対して光線透過率が80%以上であり、更に好ましくは波長400〜800nmの範囲の光に対して光線透過率が80%以上である。光線透過率が80%よりも低いと、反射体とした時の反射率が低下し、反射体としての性能上好ましくない。
なお、銀の耐光性を向上させるために透明高分子フィルムが紫外線を吸収する特性を有することが好ましいことは、本発明者らが既に開示している(特開平5−162227、US−5276600)。
【0041】
銀薄膜層の形成法は、湿式法および乾式法がある。湿式法とはメッキ法の総称であり、溶液から銀を析出させ膜を形成する方法である。具体例を挙げるとすれば、硝酸銀アンモニア溶液から銀を析出させる銀鏡反応等がある。一方、乾式法とは、真空成膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸着法、スパッタ法等がある。とりわけ、本発明には連続的に成膜するロールツロール方式が可能な真空成膜法が好ましく用いられる。
【0042】
真空蒸着法では銀の原材料を電子ビーム、抵抗加熱、誘導加熱等で溶融させ、蒸気圧を上昇させ、好ましくは0.1mTorr(約0.01Pa)以下で基材表面に蒸着させる。
【0043】
イオンプレーティング法では真空中にアルゴン等のガスを0.1mTorr(約0.01Pa)以上導入し、高周波もしくは直流のグロー放電を起こし、更に基板にバイアスをかけて蒸着を行う。これにより蒸着原子がグロー放電中でイオン化され、更にバイアスの電位により加速されることから、蒸着物質と基板との密着力が高まる。
【0044】
スパッタ法には、DCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ECRスパッタ法、コンベンショナルRFスパッタ法、コンベンショナルDCスパッタ法等を使用し得る。スパッタ法においては、原材料は銀の板状のターゲットを用いればよく、スパッタガスには、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等を使用し得るが、好ましくはアルゴンが用いられる。ガスの純度は、99%以上が好ましいが、より好ましくは99.5%以上である。
【0045】
銀薄膜層の厚さは、70nm〜300nmが好ましく、より好ましくは100nm〜200nmである。あまり薄いと銀の膜厚が十分でないために透過する光が存在し反射率が低下する。一方、必要以上に厚くしてもコスト増となるだけで反射率は上昇しない。
【0046】
銀薄膜層には、性能に害を及ぼさない程度の、金、白金、パラジウム、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、モリブデン、タンタル、クロム、インジュウム、マンガン、チタン、アルミ等の金属不純物が含まれてもよい。反射率の観点からは使用する銀層の純度は99%以上が好ましく、より好ましくは99.9%以上、更により好ましくは99.99%以上である。一方で、耐食性の観点からは他の金属が微量に添加されているのが好ましく、特に上記金属の内でも金、白金、パラジウム、銅、カドミウムが微量に添加されているのが好ましいことは当業者が知るところである。
【0047】
本発明において膜厚の測定は、触針粗さ計、繰り返し反射干渉計、マイクロバランス、水晶振動子法等があるが、水晶振動子法では成膜中に膜厚が測定可能なので所望の膜厚を得るのに適している。また、前もって成膜の条件を定めておき、試料基材上に成膜を行い、成膜時間と膜厚の関係を調べた上で、成膜時間により膜を制御する方法もある。
【0048】
ポリエステルフィルムに、金属を含むプラズマによる表面処理を施し、続けて銀を成膜することが、反射体の耐光熱性を向上させる上で好ましいことは、本発明者らが既に開示している(特開平09−150482)。
【0049】
銀薄膜層を形成した後、さらに銀薄膜層の保護やフィルムの滑り性の向上ため、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の単金属もしくは合金、またはインコネル、インコロイ、モネル、ハステロイ、ステンレス、ジェラルミン等の合金層を10nm〜30nm積層することは有効である。
ポリエステルフィルム表面に、コロナ放電処理、グロー放電処理、表面化学処理、粗面化処理等を行うことは、銀薄膜層と高分子フィルムの密着性を向上させる手段として当業者が用いる常套手段であろう。
【0050】
本発明の接着剤層に用いられる接着剤(粘着剤も含む)としては、ポリエステル系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコン系接着剤、エポキシ系接着剤、メラミン系接着剤等があげられるが、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、実用上の接着強度がでるものであれば良い。接着強度としては180度ピール強度の測定値が100g/cmあれば十分であり、好ましくは500g/cmであり、より好ましくは1000g/cmである。あまりに密着強度が小さいと、反射体として曲率半径1〜5mm程度に曲げた時に、ポリエステルフィルム側が金属板または高分子シートより浮き上がる等の事態を引き起こすのであまり好ましくない。
【0051】
接着剤層の厚みとしては、0.5μm〜50μmが好ましく、より好ましくは1μm〜20μmであり、更に好ましくは2μm〜10μmである。あまりに厚すぎると材料費の点からコスト増となり好ましくない。あまりに薄すぎると十分な接着強度が得られない。
【0052】
接着剤の塗布方法としては、バーコート法、メイヤーバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法等があげられるが、これらは使用する接着剤の種類、粘度、塗布量、塗布速度、得られる面状態等を考慮して選定される。
【0053】
支持体としては金属板、高分子フィルム等があげられる。
支持体として用いられる金属板としては、アルミ板、アルミ合金板、真鍮板、ステンレス板、鋼板等が上げられるが、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、反射体の用途により選択される。例えば、アルミは軽量かつ加工性に優れ、また熱伝導率が高くそれにかかる熱を効果的に大気中に逃がすことができるため、ノートパソコンなどのLCDのバックライトに用いられる反射体に好適に利用できる。アルミ合金は軽量かつ機械的強度が強いことから、構造部材を兼ねる反射体に好適に利用できる。ステンレスは機械的強度が大きく、また耐食性にすぐれているので、屋外で使用される反射体をはじめ、材料の薄板化が必要な用途に好適に用いられる。真鍮(黄銅)、すなわち銅亜鉛合金は機械的強度の大きいことに加え、はんだづけが容易なためアースを必要とする反射体に好適に用いられる。鋼板は安価であることから、コストを優先する用途である蛍光灯用反射傘等に好適に用いられる。
【0054】
支持体としての金属板の厚みは、コスト低減及び曲げやすさの観点からは薄い方が好ましく、銀薄膜層などとラミネートする際の取扱いの容易さや形状保持性の観点からは、厚い方が良い。金属板の好ましい厚みは0.05mm〜5mmであり、さらに好ましくは0.05mm〜1mmであり、よりさらに好ましくは0.1mm〜0.8mmである。
【0055】
支持体に用いられる高分子フィルムとしては、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリエチレンナフタレ−ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレ−ト(PBT)、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエ−テルエ−テルケトン(PEEK)、ポリアリレ−ト、ポリエ−テルイミド、ポリイミドなどのホモポリマ−またはコポリマ−があげられる。特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。該高分子フィルムが最外層である場合には外観上白色のものが好まれる。また該高分子フィルムの厚みは、コスト低減及び、曲げ易さからは薄い方が好ましく、銀薄膜層等とラミネートする際の取扱い(ハンドリング)性及び形状保持性からは、厚みは厚い方が良い。好ましいフィルムの厚みは、5μm〜500μm、さらに好ましくは10μm〜200μmであり、15μm〜100μmが好ましく用いられる。
【0056】
支持体として用いられる高分子フィルムには光遮蔽層としてチタニア、マグネシア等の白色顔料を含む樹脂を塗布することが好ましい。更に、金属蒸着膜(金属層)を施すことが好ましい。これらは銀薄膜層に存在する欠陥(ピンホール等)によりランプの光が漏れることを防止する役目がある。
【0057】
光源を覆うよう設置して使用する反射部材は、例えば平面状の板材から所望の型に打ち抜き加工し、穴開け加工し、続いて折り曲げ加工することによって製造することができる。
【0058】
打ち抜き加工とは、せん断機及びプレスに1対の切刃型の型工具を取り付け、せん断荷重によって板材を直線状または曲線状に分割する加工方法である。打ち抜き加工では、刃先が板材に食い込むときその自由面は組成変形してだれとなり、食い込みと共に工具側面が板側面をバニッシュして平滑なせん断面をつくり、更に刃先近傍の材料は歪み硬化するため引っ張り応力成分によって割れ、両刃先の割れが成長し会合して切断される。本発明において支持板に金属板を用いる際には接着剤層において剥がれが起こることを防止するために、刃先が耐擦傷性易滑層側より入ることが望ましい。また、両刃のすきま(クリアランス)は、およそ板材の5〜10%であるが、極力小さくしせん断面を広げるのが望ましい。
【0059】
穴開け加工はドリルを用いた切削加工により行うが、上記打ち抜き加工の際にせん断加工により同時に穴開けを行うこともできる。工程上からはせん断により打ち抜きと穴開けを同時に行う方が好ましい。
【0060】
折り曲げ加工は直線縁に沿って板材を曲げる加工方法である。例えばプレスを用いたV形曲げ・U形曲げが、またタンゼントベンダーを用いた折り畳み曲げが使用される。
上記加工法を用いて耐擦傷性層側を内側におり曲げ加工し光源を覆うように設置して使用する反射部材としては、例えば液晶表示装置のバックライトのランプリフレクター、プリンター及びFAX等に用いられる反射鏡、蛍光灯の反射傘、ストロボの反射傘が挙げられる。
【0061】
液晶表示装置のバックライトのランプリフレクターは、図3に示すようにランプ(冷陰極管)を覆うように設置して用いられ、その断面はU字型又はコの字型が用いられることが多い。例えばランプの直径が2mmであるとき、コの字の形状の一例を挙げると上面が6.5mm、側面が3.2mm、底面が4mmである。ランプリフレクターの長さは用いるランプによるが、例えば画面サイズが12.1インチの液晶表示装置に用いられるバックライトのランプリフレクターの長さは約263mmである。
【0062】
本願の発明品である銀反射体の構成、及び組成の代表的な評価方法を以下に説明する。耐擦傷性易滑層、透明高分子フィルム、銀薄膜層、接着剤層、支持体の各部の厚さは、その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することで直接測定できる。また、耐擦傷性易滑層、透明高分子フィルム、銀薄膜層、接着剤層、支持体の各部の材料分析は、断面試料の各層について赤外分光(IR)やX線マイクロアナライザ(EPMA)を行うことによりできる。また、内部の材料分析は界面で引き剥がしたり、不必要な部分を溶媒で溶解するなどして必要な部分を露出させることによって行うことができる。銀薄膜層及び支持体の材料分析は、蛍光X線分光(XRF)によりできる。さらに、X線マイクロアナライザ(EPMA)では蛍光X線分光より微細な部分の元素分析が行える。また、銀薄膜層の形成された透明高分子フィルムを、接着剤層から引き剥し銀薄膜層を露出させれば、オージェ電子分光法(AES)により組成分析及び深さプロファイルをとることもでき厚さを知ることもできる。
なお、本発明において反射率は特に明記しない限り550nmの波長の光に対しての値をいうものとする。
【0063】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示す。尚、以下に実施例及び比較例に共通する事項について示す。
銀薄膜の形成方法:DCマグネトロンスパッタ法を用いた。PETフィルムを真空槽内に導入し、2.6mPa以下まで真空引きし、続いてスパッタガスとしてアルゴンを0.18Pa導入し、DC放電を起こし、銀をスパッタリングした。
【0064】
ハードコート層の形成方法:バーコート法を用いた。メイヤーバーにて塗布後、加熱硬化又は紫外線硬化を行った。
接着剤層の形成方法:バーコート法を用いた。メイヤーバー(#6〜12)にて塗布後加熱乾燥した。更に必要により加熱又は紫外線照射により硬化させた。熱ラミネート:ロールラミネーターを使用した。ラミネートロールを140℃に加熱してラミネートを行った。0.5〜3m/分の速度で行った。
【0065】
〔実施例1〕
膜厚25μmのPETフィルム上にDCマグネトロンスパッタ法にて銀を約120nm形成した。更に該PETフィルムと銀薄膜層からなるフィルムのPETフィルム面側にトリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートからなるウレタンアクリレート系ハードコート剤を膜厚3μmとなるように塗布し形成した。この際、該ハードコート剤と相溶性のないポリエステル樹脂をハードコート剤100部に対して5部塗布前にブレンドすることによって、該ハードコート剤とポリエステル樹脂が形成過程において相分離しナノメートルオーダーの微細な凹凸を形成するようにした。続いて、該ウレタンアクリレート系ハードコート剤とPETフィルムと銀薄膜層とからなるフィルムの銀薄膜層側にポリエステル系の接着剤を膜厚6μmとなるように塗布し形成した。更に続いて該ウレタンアクリレート系ハードコート剤とPETフィルムと銀薄膜層と接着剤層からなるフィルムの接着剤面に厚みが0.3mmのアルミ板を熱ラミネート法により接着し、ウレタンアクリル系ハードコート剤とPETフィルムと銀薄膜層と接着剤層とアルミ板からなる反射体を形成した。
【0068】
〔比較例1〕
実施例1で、ウレタンアクリル系ハードコート剤としてトリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートからなるウレタンアクリレート系ハードコート剤を膜厚3μmとなるように塗布し形成する際、該ハードコート剤と相溶性のない樹脂をブレンドすることは行わずそのまま使用した。上記以外は実施例1と同様に行った。
【0071】
〔比較例〕膜厚25μmのPETフィルム上にDCマグネトロンスパッタ法にて銀を約120nm形成した。続いて、該PETフィルムと銀薄膜層とからなるフィルムの銀薄膜層側にポリエステル系の接着剤を膜厚6μmとなるように塗布し形成した。更に続いて該PETフィルムと銀薄膜層と接着剤層からなるフィルムの接着剤面に厚みが0.2mmのステンレス板を熱ラミネート法により接着し、PETフィルムと銀薄膜層と接着剤層とステンレス板からなる反射体を形成した。
【0072】
実施例及び比較例に示した反射体について、反射率測定及び鉛筆硬度試験、スチールウール試験、静止摩擦係数測定及び作業性の評価を行った。以下にその試験方法及び結果を示す。
1.反射率測定:日立自記分光光度計(型式U−3400)に150φの積分球を設置し行った。測定波長は550nmである。大きさが50×50mmのサンプルを用意し、耐擦傷性易滑層より光を入射して反射率を測定した。耐擦傷性易滑層形成による反射率の低下は、上記により求めた反射率から比較例の反射率を引いて求めた。ここで比較例4は耐擦傷性易滑層を設けなかったサンプルである。
2.鉛筆硬度試験:JIS K5400に準じて行った。大きさが150×70mmのサンプルを用意し、水平な台の上に耐擦傷性易滑層を上向きにして固定し、約45度の角度で鉛筆を持ち、芯が折れない程度にできる限り強く耐擦傷性易滑層に押しつけながら試験者の前方に均一な速さで約1cm押し出して引っ掻いた。押し出し速度は約1cm/sとした。一回引っ掻く毎に鉛筆の芯の先端を新たに研いで同一の濃度記号の鉛筆で5回ずつ試験を繰り返した。5回の試験で2回以上耐擦傷性易滑層に擦り傷が認められないときは上記の濃度記号の鉛筆に取り替えて同様に試験を行い、耐擦傷性易滑層の擦り傷が2回以上になる鉛筆を見つけ、その鉛筆の濃度記号より一段階下の濃度記号を鉛筆硬度とした。この際擦り傷は、耐擦傷性易滑層の表面にわずかに食い込むような傷をいい、圧力による耐擦傷性易滑層のへこみは対象としなかった。引っ掻いた方向に対して直角に、試験片の面に45゜の角度から目視によって観察し、判別できる傷を擦り傷とした。
【0073】
3.スチールウール試験:スチールウールには番手#000を用いた。大きさが150×70mmのサンプルを用意し、水平な台の上に耐擦傷性易滑層を上向きにして固定し、手でスチールウールを持ち、軽く耐擦傷性易滑層に押しつけながら試験者の前方に均一な速さで約10cm押し出して引っ掻いた。荷重は25g/cm2程度とし、押し出し速度は約5cm/sとした。試験を2回繰り返しいずれにおいても耐擦傷性易滑層に擦り傷が認められないときに合格とした。この際擦り傷は、耐擦傷性易滑層の表面にわずかに食い込むような傷をいい、圧力による耐擦傷性易滑層のへこみは対象としなかった。引っ掻いた方向に対して直角に、試験片の面に45゜の角度から目視によって観察し、判別できる傷を擦り傷とした。
4.静止摩擦係数測定:JIS P8147の傾斜方法に準じて行った。重りには重さが600gの金属製ブロックを用いた。本体用試験片を本体傾斜板に、重り用試験片を重りに、それぞれ耐擦傷性易滑層を外側にして密着させた。本体用試験片の上に試験片を取り付けた重りを置き、一定速度で傾斜板の傾斜角度を上げ、重りが滑り始めたときの傾斜角を読みとった。傾斜板を傾ける速度は毎秒3゜以下とした。これらを5回繰り返した。滑り出し開始角度の正接(Tanθ)を静止摩擦係数としてその平均値を用いた。角度が70゜を越えても滑らないものは静止摩擦係数1.7以上とした。
5.作業性:打ち抜き・折り曲げ加工の際の作業性を、金型からの材料離れの善し悪しで判断した。金型に密着して比較的材料離れが悪いものを不良、材料離れがよいものを良好とした。
【0074】
【表1】
Figure 0003821596
【0075】
【発明の効果】
透明高分子フィルム/銀薄膜層/接着剤層/支持体からなる反射体において、該透明高分子フィルム側に耐擦傷性易滑層を設けたことにより、これまで反射体加工の際に必要であった透明高分子フィルム側の保護フィルムを省略できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の最も簡単な反射体の構造断面図
【図2】 本発明の反射体の一例を示す構造断面図
【図3】 本発明の反射体の使用例の一例を示す概略図
【符号の説明】
10 耐擦傷性易滑層
20 透明高分子フィルム
30 銀薄膜層
40 接着剤層
50 支持体
60 ポリエチレンテレフタレートフィルム
70 金属板
80 導光板
90 反射部材(ランプリフレクター)
100 ランプ

Claims (11)

  1. 少なくとも、透明高分子フィルム(B)、銀薄膜層(C)、接着剤層(D)、支持体(E)がBCDEの順に形成され、B側が反射面である反射体において、透明高分子フィルム(B)側に耐擦傷性易滑層(A)を設け、該耐擦傷性易滑層(A)が組成又は構造の異なる2つ以上の樹脂からなり、相分離を起こしていることを特徴とする反射体。
  2. 耐擦傷性易滑層(A)を用いることにより生じる反射率の低下が2%以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射体。
  3. 耐擦傷性易滑層(A)が鉛筆硬度H以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射体。
  4. 耐擦傷性易滑層(A)がスチールウールテスト合格品であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の反射体。
  5. 耐擦傷性易滑層(A)表面の静止摩擦係数が1.4以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の反射体。
  6. 耐擦傷性易滑層が少なくともオルガノポリシロキサン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂のいずれか又はこれらの組み合わせからなることを特徴とする請求項5に記載の反射体。
  7. 耐擦傷性易滑層が易滑剤を含んでいることを特徴とする請求項6に記載の反射体。
  8. 耐擦傷性易滑層が紫外線硬化型のアクリルを主成分とする樹脂であることを特徴とする請求項6または7に記載の反射体。
  9. 耐擦傷性易滑層を最表面として、打ち抜き加工、折り曲げ加工を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の反射体の加工方法。
  10. 請求項1乃至8に記載の反射体を、耐擦傷性易滑層(A)側を内側に折り曲げ加工し、光源を覆うよう設置して使用することを特徴とする反射部材。
  11. 液晶表示装置用のランプリフレクターに使用されることを特徴とする請求項10に記載の反射部材。
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