JPH10206614A - 反射体および反射体の製造方法 - Google Patents

反射体および反射体の製造方法

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JPH10206614A
JPH10206614A JP1041897A JP1041897A JPH10206614A JP H10206614 A JPH10206614 A JP H10206614A JP 1041897 A JP1041897 A JP 1041897A JP 1041897 A JP1041897 A JP 1041897A JP H10206614 A JPH10206614 A JP H10206614A
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reflector
adhesive
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silver
adhesive layer
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JP1041897A
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Satoshi Kawamoto
悟志 川本
Masami Gotou
優実 後藤
Shin Fukuda
福田  伸
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 光の入射方向より透明高分子フィルム
(A)10、銀薄膜層(B)20、接着層(C)30、
支持体(D)40からなる反射体において、接着層に用
いる接着剤のガラス転移温度以上の温度で養生すること
を特徴とする反射体。 【効果】 養生により、塩水噴霧試験における剥がれを
抑制することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐塩水噴霧性に優
れる銀を用いた反射体、およびその製造方法に関する。
特に、蛍光灯等の照明器具、液晶ディスプレイや複写
機、ストロボ等の電気・電子機器に最適に用いられる反
射体(反射部材)に関する。
【0002】
【従来の技術】蛍光灯等の照明器具や、液晶ディスプレ
イや複写機等の電子機器に用いられる反射体には、銀や
アルミニウムといった金属が用いられている。特に近
年、省エネルギーや、光利用効率の向上といった観点か
ら反射率の高い金属である銀が注目されている。
【0003】銀は可視光域および赤外域に高い反射率を
持ち、また電気および熱の伝導率が金属中で最大である
ことから、可視光線反射材料および熱線反射材料、電気
配線材料として注目されている。一般的に、大気中で酸
化することはないが、大気中の亜硫酸ガス、硫黄と反応
し黒色の硫化銀を生成する。また、オゾンと反応し黒色
の酸化銀(AgO)を生成する。
【0004】大気による銀の硫化を防止する方法として
は、銀を合金化する方法が知られている。例えば、電気
接点用には、3〜40wt%のCuを含む銀が、また、
Cdを含む銀が、更には10wt%のAuを含む銀が用
いられている。また、歯科用には25wt%のPdと1
0wt%のCuを含む銀が、装飾用には5〜20wt%
のCuを含む銀が用いられている。また、銀の実用性能
に関しては「貴金属の実際知識」(山本勇三編著、東洋
経済新報社 昭和57年 頁72〜153)に詳しく述
べられている。
【0005】その他の硫化防止方法としては、銀を金属
層または金属酸化物層、金属硫化物層、合金層、下塗り
樹脂層、保護樹脂層等により被覆する方法が知られてい
る。例えば、硝子上に銀を成膜した後に、CuとSnか
らなる合金層を積層し、更に樹脂層を積層することによ
り銀の腐食を防止し、また、耐スクラッチ性を高める方
法が知られている(特開昭49−107547号公
報)。また、本発明者等においても、銀薄膜層の両面に
アルミニウム、チタン等からなる金属層を積層すること
による、銀薄膜層の光、熱、ガス等による腐食を防止す
る方法を開示している(特開平1−279201号公
報)。
【0006】近年、反射体として銀を用いた高反射率の
反射体が液晶表示装置のバックライト部のランプリフレ
クターを中心に、蛍光灯の反射傘等に用いられている。
これらはPET(ポリエチレンテレフタレート)/銀薄
膜層/接着層/アルミニウム板の層構成からなるいわゆ
る反射板(銀反射板)や、PET/銀薄膜層/接着層/
アルミニウム薄膜層/PET/光遮蔽層からなるいわゆ
る反射シート(銀反射シート)である。これらは、透明
高分子フィルムであるPETと接着層により銀を被覆す
ることにより、従来からの問題点であった大気曝露によ
る銀の硫化、酸化を防止し、高反射率を維持することに
成功した。例えば、上記銀反射板および銀反射シートを
80℃の恒温槽中に1000時間放置したが、硫化等に
よる黒色、黄色の変色は観察されず、また反射率も低下
しなかった。また、60℃、85%RHの恒温恒湿槽に
1000時間放置したが、同様に変色および反射率の低
下は観察されなかった。
【0007】支持体に鋼等の金属材料を用いた際には、
用いた金属板の腐食が問題となることがあり、例えば、
蛍光灯に用いた場合は、塩雰囲気の腐食を考慮して、塩
水噴霧試験が行われている。上記銀反射板を蛍光灯用の
反射体として使用するにあたり、塩水噴霧試験(5%塩
水、40℃、72時間、JIS Z2371 塩水噴霧
試験法による)を行ったところ、クロスカット部分から
剥がれが生じるという問題が発生した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、銀を用いた
反射体における上記塩水噴霧試験による剥がれを抑制
し、耐食性に優れた反射体を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる問
題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、透明高分
子フィルム(A)、銀薄膜層(B)、接着層(C)、支
持体(D)からなる構成A/B/C/Dの透明高分子フ
ィルム側を反射面とする反射体において、該反射体を、
接着層(C)に用いた接着剤のガラス転移温度以上の温
度で養生することにより、塩水噴霧試験による剥がれを
なくすことが可能であることを見いだした。本発明はか
かる知見によりなされるに至ったものである。
【0010】すなわち、本発明は、(1) 少なくと
も、透明高分子フィルム(A)、銀薄膜層(B)、接着
層(C)、支持体(D)からなる構成A/B/C/Dの
透明高分子フィルム側を反射面とする反射体において、
塩水噴霧試験での剥がれが5mm以下であることを特徴
とする反射体、(2) 接着層(C)に用いる接着剤の
ガラス転移温度以上の温度で養生することを特徴とする
(1)に記載の反射体、(3) 接着層(C)に用いる
接着剤の軟化点以上の温度で養生することを特徴とする
(1)に記載の反射体、(4) 接着層(C)に用いる
接着剤が、ガラス転移温度が5℃以上、45℃以下であ
るポリエステル系接着剤であることを特徴とする(1)
〜(3)のいずれかに記載の反射体、(5) 支持体
(D)が、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮、ス
テンレス鋼、鋼から選択されるものであることを特徴と
する(1)〜(4)のいずれかに記載の反射体、(6)
透明高分子フィルム(A)、銀薄膜層(B)、接着層
(C)からなるロール状のフィルムと、ロール状または
板状の支持体(D)とをラミネートし、続けて同一ライ
ン上の加熱炉にて養生することを特徴とする(1)〜
(5)のいずれかに記載の反射体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の反射体は、少なくとも、
透明高分子フィルム(A)、銀薄膜層(B)、接着層
(C)、支持体(D)からなる構成A/B/C/Dの透
明高分子フィルム側を反射面とする反射体において、塩
水噴霧試験での剥がれが5mm以下である、耐塩水噴霧
性に優れたものである。
【0012】本発明において反射体とは、反射体に入射
する光を元の媒質に戻す物体のことであり、主にここで
は可視領域の入射光の85%以上を、元の媒質に戻す物
体のことであり、更に好ましくは可視領域の入射光の9
0%以上を元の媒質に戻す物体のことである。(図1)
に本発明の反射体の最も簡単な一例の構造断面図を示
す。(図1)を用いて本発明の反射体による反射の概略
を説明すると、透明高分子フィルム10側から入射した
光は、そのほとんどが透明高分子フィルム10を透過
し、銀薄膜層20に達し、銀薄膜層20で反射し、透明
高分子フィルム10を透過し、再び元の媒質中に戻る。
【0013】(図1)に示した反射体の製造方法として
は、透明高分子フィルム10の片面に銀薄膜層20を形
成し、該銀薄膜層面に接着層30を塗布し、該接着層と
支持体40とをラミネートする方法があげられる。接着
層30と支持体40とのラミネートは接着層塗布後に続
けて行うのが一般的であるが、これ以外にも、塗布工程
とラミネート工程を分離して行うことができる。例え
ば、熱可塑性のポリエステル系接着剤を用いた際には、
塗布済みの接着層を熱ロールで溶融させることにより、
任意の時点にラミネートを行うことができる。
【0014】本発明において透明高分子フィルム(A)
としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(P
P)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポ
リエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネ
ート(PC)、ポリイミド(PI)、三酢酸セルロース
系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、
フッ素系樹脂等が使用できるが、必ずしもこれらに限定
されるわけではなく、透明であり、ある程度ガラス転移
温度が高いものであれば使用できる。
【0015】透明高分子フィルムの厚みには限定的な値
はないが、好ましくは10〜200μm程度が、より好
ましくは10〜100μm程度が、更に好ましくは25
〜50μm程度が用いられる。使用する透明高分子フィ
ルムの光学特性は、波長550nmの光線透過率が80
%以上であることが好ましい。より好ましくは、波長5
00〜600nmの範囲の光に対して光線透過率が80
%以上であり、更に好ましくは波長400〜800nm
の範囲の光に対して光線透過率が80%以上である。光
線透過率が80%よりも低いと、反射体とした時の反射
率が85%を下回り、反射体としての性能上好ましくな
い。
【0016】なお、銀の耐光性を向上させるために、透
明高分子フィルムが紫外線を吸収する特性を有すること
が好ましいことは、本発明者らが既に開示している(特
開平05−17758号公報)。また、可視光による銀
の光劣化に対しても透明高分子フィルム表面を金属を含
むプラズマにて処理し、銀薄膜を成膜することによって
抑制できることについては、本発明者らが既に提案して
いる。
【0017】銀薄膜層(B)の形成法は、湿式法および
乾式法がある。湿式法とはメッキ法の総称であり、溶液
から銀を析出させ膜を形成する方法である。具体例を挙
げるとすれば、銀鏡反応等がある。一方、乾式法とは、
真空成膜法の総称であり、具体的に例示するとすれば、
抵抗加熱式真空蒸着法、電子ビーム加熱式真空蒸着法、
イオンプレーティング法、イオンビームアシスト真空蒸
着法、スパッタ法等がある。とりわけ、本発明には連続
的に成膜するロールツロール方式が可能な真空成膜法が
好ましく用いられる。
【0018】真空蒸着法では銀の原材料を電子ビーム、
抵抗加熱、誘導加熱等で溶融させ、蒸気圧を上昇させ、
好ましくは0.1mTorr(約0.01Pa)以下で
基材表面に蒸着させる。この際に、アルゴン等のガスを
0.1mTorr(約0.01Pa)以上導入させ、高
周波もしくは直流のグロー放電を起こしてもよい。
【0019】スパッタ法には、DCマグネトロンスパッ
タ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパ
ッタ法、ECRスパッタ法、コンベンショナルRFスパ
ッタ法、コンベンショナルDCスパッタ法等を使用し得
る。スパッタ法においては、原材料は銀の板状のターゲ
ットを用いればよく、スパッタガスには、ヘリウム、ネ
オン、アルゴン、クリプトン、キセノン等を使用し得る
が、好ましくはアルゴンが用いられる。ガスの純度は、
99%以上が好ましいが、より好ましくは99.5%以
上である。
【0020】銀薄膜層の厚さは、70nm〜300nm
が好ましく、より好ましくは100nm〜200nmで
ある。あまり薄いと銀の膜厚が十分でないために透過す
る光が存在し反射率が低下する。一方、厚すぎる場合は
反射率は上昇せず飽和傾向を示す上に、銀の資源を有効
に利用するという観点からも好ましくない。
【0021】銀薄膜層には、性能に害を及ぼさない程度
の、金、銅、ニッケル、鉄、コバルト、タングステン、
モリブデン、タンタル、クロム、インジュウム、マンガ
ン、チタン、アルミニウム等の金属不純物が含まれても
よい。使用する銀層の純度は99%以上が好ましく、よ
り好ましくは99.9%以上、更により好ましくは9
9.99%以上である。
【0022】なお、銀薄膜層を形成する前に、高分子フ
ィルム表面に、コロナ放電処理、グロー放電処理、表面
化学処理、粗面化処理等を行うことは、銀薄膜層と高分
子フィルムの密着性を向上させる手段として当業者が用
いる常套手段であろう。
【0023】本発明において膜厚の測定は、触針粗さ
計、繰り返し反射干渉計、マイクロバランス、水晶振動
子法等があるが、水晶振動子法では成膜中に膜厚が測定
可能なので所望の膜厚を得るのに適している。また、前
もって成膜の条件を定めておき、試料基材上に成膜を行
い、成膜時間と膜厚の関係を調べた上で、成膜時間によ
り膜を制御する方法もある。
【0024】銀薄膜層を形成した後、さらに銀薄膜層の
保護やフィルムの滑り性の向上の目的のため、クロム、
ニッケル、チタン、アルミニウム、モリブデン、タング
ステン等の単金属もしくは合金、またはインコネル、イ
ンコロイ、モネル、ハステロイ、ステンレス、ジェラル
ミン等の合金層を10nm〜30nm積層することが有
効である。
【0025】接着層(C)に用いられる接着剤(粘着剤
も含む)としては、ポリエステル系接着剤、アクリル系
接着剤、ウレタン系接着剤、シリコン系接着剤、エポキ
シ系接着剤、メラミン系接着剤等があげられるが、必ず
しもこれらの種類に限定されるわけではなく、実用上の
接着強度があれば良い。支持体(D)との接着強度とし
ては180度ピール強度の測定値が100g/cmあれ
ば十分であり、好ましくは500g/cmであり、より
好ましくは1000g/cmである。あまりに密着強度
が小さいと、反射体として曲率半径1〜5mm程度に曲
げた時に、透明高分子フィルム側が支持体より浮き上が
る等の事態を引き起こすのであまり好ましくない。
【0026】接着層の厚みとしては、0.5μm〜50
μmが好ましく、より好ましくは1μm〜20μmであ
り、更に好ましくは2μm〜10μmである。あまりに
厚すぎると材料費の点からコスト増となり好ましくな
い。あまりに薄すぎると十分な接着強度が得られない。
【0027】接着層の塗布方法としては、バーコート
法、メイヤーバーコート法、リバースコート法、グラビ
アコート法、ダイコート法等があげられるが、これらは
使用する接着剤の種類、粘度、塗布量、塗布速度、得ら
れる面状態等を考慮して選定される。
【0028】接着剤のガラス転移温度は、5℃以上、4
5℃以下が好ましい。さらに好ましくは、15℃以上、
35℃以下である。あまりにガラス転移温度が低いと、
耐熱性に劣り、高温下での接着性、ずり特性に劣る。ま
た、あまりにガラス転移温度が高いと、柔軟性に欠ける
ことから、反射体を曲げ加工した際に剥がれが起こる。
また、接着剤を支持体と熱ラミネートする際に高い温度
が必要となり、省エネルギーの観点や透明高分子フィル
ム等の構成材料の耐熱性の観点からも好ましくない。接
着剤のガラス転移温度は、示差熱分析法(DTA)、示
差走査熱量分析法(DSC)等の熱分析法により測定す
ることができる。また、接着剤の軟化点は、JIS K
2531(環球法)により測定できる。
【0029】本発明において支持体(D)としては、金
属板、高分子フィルム、高分子シート、板、ガラス等が
用いられる。金属板としては、アルミニウム板、アルミ
ニウム合金板、真鍮板、ステンレス鋼板、鋼板等が上げ
られるが、必ずしもこれらに限定されるわけではなく、
反射部材の用途により選択される。例えば、アルミニウ
ムは軽量かつ加工性に優れ、また熱伝導率が高くそれに
かかる熱を効果的に大気中に逃がすことができるため、
ノートパソコンなどのLCDのバックライトに用いられ
る反射部材に好適に利用できる。アルミニウム合金は軽
量かつ機械的強度が強いことから、構造部材を兼ねる反
射部材に好適に利用できる。ステンレスは機械的強度が
強く、また耐食性にすぐれているので、屋外で使用され
る反射部材をはじめ、材料の薄板化が必要な用途に好適
に用いられる。真鍮(黄銅)、すなわち銅亜鉛合金は機
械的強度の強いことに加え、はんだづけが容易なためア
ースを必要とする反射部材に好適に用いられる。鋼板は
安価であることから、コストを優先する用途である蛍光
灯用反射傘等に好適に用いられる。
【0030】支持体としての金属板の厚みは、コスト低
減および曲げやすさの観点からは薄い方が好ましく、銀
薄膜層などとラミネートする際の取扱いの容易さや形状
保持性の観点からは、厚い方が良い。金属板の好ましい
厚みは0.05mm〜5mmであり、さらに好ましくは
0.1mm〜1mmであり、よりさらに好ましくは0.
2mm〜0.8mmである。
【0031】金属板の表面に、必要により腐食防止層を
設けても良い。例えばアルミニウムにおけるアルマイト
処理や、鋼板における亜鉛メッキ等が一般に行われてい
る。
【0032】支持体に用いられる高分子フィルム・シー
トとしては、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート
(PEN)、ポリブチレンテレフテレート(PBT)、
アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリエーテルサルホ
ン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEE
K)、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリイミ
ドなどのホモポリマーまたはコポリマーがあげられる。
特に好ましくは、ポリエチレンテレフタレートまたはア
クリル樹脂であり、該高分子フィルム・シートが最外層
である場合には外観上白色のものが好まれる。また該高
分子フィルムの厚みは、コスト低減および、曲げ易さか
らは薄い方が好ましく、銀薄膜層等とラミネートする際
の取扱い(ハンドリング)性および形状保持性からは、
厚みは厚い方が良い。好ましいフィルム・シートの厚み
は、5μm〜5mm、さらに好ましくは10μm〜1m
mであり、15μm〜500μmが好ましく用いられ
る。
【0033】本発明の反射体には、銀薄膜層と反対側の
透明高分子フィルム上に透明な保護層を設けても良い。
このような保護層により、反射シートの表面硬度、耐光
性、耐ガス性、耐水性など外的環境因子の影響をさらに
抑制することができる。このような保護層の形成に利用
できる物質の例としては、例えば、ポリメタクリル酸メ
チルなどのアクリル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、
ポリメタアクリルニトリル樹脂、エチルシリケートより
得られる重合体などの珪素樹脂、ポリエステル樹脂、フ
ッ素樹脂などの有機物質の他に酸化珪素、酸化亜鉛、酸
化チタンなどの無機物質が有用であり、特に400nm
以下、好ましくは380nm以下の波長の光をカット
し、好ましくは10%以下にカットする能力を有するも
のを積層することは銀層の光劣化(紫外線劣化)を防止
する上で好ましい。
【0034】透明保護層の形成方法としては、コーティ
ング、フィルムのラミネートなど、既存の方法があげら
れる。また、この透明保護層の膜厚は、光反射能を低下
させず、かつ可撓性を損なわない範囲で、保護効果を発
揮する必要があり、その材料、用途に応じて適宜変更し
て用いられる。
【0035】また、銀薄膜層の欠陥から生ずる光漏れを
防止するために光遮蔽層を用いてもよい。光遮蔽層とし
ては、白色顔料を樹脂中に分散させた白色塗装が用いら
れる。白色顔料としてはアルミナ、チタニア(チタン
白)、酸化鉛(鉛白)、酸化亜鉛(亜鉛華)、炭酸カル
シウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウ
ム、珪酸ソーダ等があげられる。樹脂としてはアクリル
系樹脂や、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂等が用
いられる。
【0036】本発明においては、上記方法により作製し
た反射体を、さらに養生させ、本発明の反射体を得る。
本発明において養生とは、JIS工業用語大辞典第2
版、第1597頁((財)日本規格協会)にある通り、
接着接合部の性質を向上させるために一定条件下に放置
することであり、熟成ともいう。本発明では特にある温
度条件下にて放置すること、熟成することを示す。
【0037】反射体の養生は、乾燥機、恒温槽、オート
クレーブを用いて行うことができる。オートクレーブを
用いて加圧下で養生することにより、例えば、接着層の
発泡を抑えることができる。
【0038】養生は接着層に用いた接着剤のガラス転移
温度以上の温度で行うことが好ましい。更に好ましく
は、接着層に用いた接着剤の軟化点以上の温度で行うこ
とである。養生時間は接着剤により異なるが、養生温度
を高くすることにより養生時間を短くすることができ
る。養生温度の上限は、反射体の耐熱温度、例えば、用
いた透明高分子フィルム、接着剤、支持体の耐熱温度に
よる。
【0039】養生は、反射体の製造工程に続けて行うこ
とが製造上好ましい。例えば、透明高分子フィルム、銀
薄膜層、接着層からなるロール状のフィルムを、ロール
状または板状の支持体とラミネートし、続けてライン上
の加熱炉にて養生する方法が好ましい。
【0040】上記のようにして本発明の反射体を作製す
ることができる。本発明において養生による剥がれが減
少する理由については、現在のところまだ明らかになっ
ていないが、以下の様に推測している。一つには、透明
高分子フィルム、銀薄膜層、接着層からなるフィルムを
支持体にラミネートした際に、接着剤が支持体の凹凸に
十分に追従できていないために、隙間が存在することが
考えられる。よって養生することにより、この隙間が埋
まるために塩水の侵入が防止され、剥がれが防止される
と考えられる。二つには、養生により、銀薄膜層中の自
由空間(結晶面欠陥、ピンポール等)に接着剤が侵入し
たことにより、銀薄膜の塩水に対する対応力が増すこと
が考えられる。これらについては今後試料の分析を行う
ことにより明らかにしていくが、何れにせよ、養生によ
り得られた反射体の構成は、透明高分子フィルム、銀薄
膜層、接着層、支持体という構成からずれている可能性
がある。例えば、養生により得られた反射体の構成が、
透明高分子フィルム、接着剤が侵入した銀薄膜層、接着
層、支持体や、透明高分子フィルム、銀薄膜層、接着剤
が侵入した銀薄膜層、接着層、支持体の様に変化してい
る可能性がある。しかし、これらの構成の反射体も本発
明の範囲であることはいうまでもない。
【0041】本発明において塩水噴霧試験は、JIS
Z 2371により行った。(図2)に用いた試験片の
概略を示す。試験片の大きさは70×150mmであ
る。透明高分子フィルム側より、対角線上にカッターナ
イフを用いて×印の切り口を入れた。切り口の深さは、
支持体に達する深さで、切り口はそれぞれ試験片の角よ
り約20mm離して引いた。試験用塩溶液の濃度は5%
で、温度は40℃である。試験時間は72時間であり、
連続して行った。ただし、試験片の検査・出し入れなど
のための短時間の中断は除いた。試験終了後、試験片は
常温で水洗し、すぐに乾燥させた。塩水噴霧試験の結果
判定方法は、試験片の切り口の交差部分にテープを張り
付け、テープを試験片の長手方向に引き剥した際に生じ
た高分子フィルムの剥がれの大きさにより行った(図
3)。剥がれ部分の大きさは切り口からの距離で表す。
【0042】塩水噴霧試験での剥がれは、上記試験方法
に於いて5mm以下であることが好ましい。更に好まし
くは3mm以下であり、最も好ましくは剥がれがないこ
とである。あまりに剥がれが大きいと、海辺等の腐食性
環境下において使用した場合に、重大な性能劣化を生ず
る。
【0043】本発明の反射体の構成、および組成の代表
的な評価方法を以下に説明する。銀薄膜層、接着層、支
持体の各部の厚さは、その断面を透過型電子顕微鏡(T
EM)で観察することで直接測定できる。高分子フィル
ムの材料分析は、赤外分光(IR)を行うことにより分
析できる。また、接着剤の材料分析は銀薄膜層と支持体
を引き剥して接着剤を露出させ、接着剤を適当な溶媒に
溶かし、該溶液の赤外分光(IR)を行うことにより分
析できる。銀薄膜層および支持体の材料分析は、蛍光X
線分光(XRF)により分析できる。さらに、X線マイ
クロアナライザ(EPMA)では蛍光X線分光より微細
な部分の元素分析が行える。また、銀薄膜層の形成され
た高分子フィルムを、接着層から引き剥し銀薄膜層を露
出させれば、オージェ電子分光法(AES)により銀薄
膜層の組成分析、および深さプロファイルをとることが
でき、厚さも知ることができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明について説明す
る。 ・塩水噴霧試験はJIS Z 2371により行った。
試験片の大きさは70×150mmである。透明高分子
フィルム側より、試験片の対角線上にカッターナイフを
用いて×印の切り口を入れ試験を行った。試験用塩溶液
の濃度は5%、温度は40℃、試験時間は72時間であ
る。評価は、試験後に洗浄・乾燥した試験片の切り口の
交差部分にテープを張り付け、テープを長手方向に引き
剥した際に生じた高分子フィルムの剥がれの大きさで行
った。 ・全光線透過率は、550nmの光線透過率を分光光時
計(日立U−3400)で測定した。
【0045】(実施例1)透明高分子フィルム(帝人
(株)製PETフィルム、テトロンフィルムタイプHB
3、厚さ25μm、全光線透過率=88.2%)に、純
度99.9%の銀をターゲットとして、純度99.5%
のアルゴンをスパッタガスとして用い、DCマグネトロ
ンスパッタ法にて銀を150nm厚積層した。更に、接
着剤(綜研化学(株)製ポリエステル系接着剤、SKダ
イン5273、軟化点130℃、ガラス転移温度23
℃)をコーティングし、厚み約6μmの接着層を形成し
た。このフィルムを、鋼板(厚み0.3mm)と温度1
00℃で熱ラミネートした。この様にして作製された反
射体を、恒温槽にて100℃で2日間、養生した。塩水
噴霧試験を行ったところ、剥がれは2.5mmであっ
た。
【0046】(実施例2)実施例1と同様な反射体を、
恒温槽にて140℃で1時間、養生した。塩水噴霧試験
を行ったところ、剥がれは観察されなかった。
【0047】(実施例3)実施例1と同様な反射体を製
造後(フィルムと鋼板を熱ラミネート後)、続けて同一
ライン上の加熱炉で、温度200℃で、約1分間養生し
た(加熱炉長さ2m、ラインスピード1.8m/mi
n)。塩水噴霧試験を行ったところ、剥がれは観察され
なかった。
【0048】(実施例4)実施例1と同様な反射体を、
室温で約1年間養生した。塩水噴霧試験を行ったとこ
ろ、剥がれは1.0mmであった。
【0049】(比較例1)実施例1と同様な反射体を、
養生することなく、塩水噴霧試験を行ったところ、全面
で剥離した(剥がれ20mm以上)。以上、上記実施例
および比較例を(表1)にまとめる。
【0050】
【表1】
【0051】(表1)より、反射体を養生することによ
り、塩水噴霧試験による剥がれが大幅に改善されている
ことが分かる。また、ガラス転移温度(実施例および比
較例で用いた接着剤のガラス転移温度は23℃)と同様
な温度であると考えられる室温での養生では、養生時間
が1年と長いのに対して、ガラス転移温度より約80℃
高い100℃の養生温度では、養生時間が2日間と短く
しても所望の効果が得られる。更に接着剤の軟化点(実
施例および比較例で用いた接着剤の軟化点は130℃)
よりも高い140℃の温度で養生した際には、養生時間
が1時間と更に短くしても所望の効果が得られる。ま
た、養生温度200℃では1分間で剥がれがなくなって
おり、製造上好ましいことがわかる。
【0052】
【発明の効果】透明高分子フィルム、銀薄膜層、接着
層、支持体からなる反射体を、接着層に用いている接着
剤のガラス転移温度以上の温度で、好ましくは軟化点以
上の温度で養生することにより、これまで問題となって
いた耐塩水噴霧性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の最も簡単な反射体の一例を示す構造断
面図
【図2】塩水噴霧試験用試験片
【図3】塩水噴霧試験の結果判定方法
【符号の説明】
10 透明高分子フィルム(A) 20 銀薄膜層(B) 30 接着層(C) 40 支持体(D)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、透明高分子フィルム
    (A)、銀薄膜層(B)、接着層(C)、支持体(D)
    からなる構成A/B/C/Dの透明高分子フィルム側を
    反射面とする反射体において、塩水噴霧試験での剥がれ
    が5mm以下であることを特徴とする反射体。
  2. 【請求項2】 接着層(C)に用いる接着剤のガラス転
    移温度以上の温度で養生することを特徴とする請求項1
    に記載の反射体。
  3. 【請求項3】 接着層(C)に用いる接着剤の軟化点以
    上の温度で養生することを特徴とする請求項1に記載の
    反射体。
  4. 【請求項4】 接着層(C)に用いる接着剤が、ガラス
    転移温度が5℃以上、45℃以下であるポリエステル系
    接着剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    に記載の反射体。
  5. 【請求項5】 支持体(D)が、アルミニウム、アルミ
    ニウム合金、真鍮、ステンレス鋼、鋼から選択されるも
    のであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の反射体。
  6. 【請求項6】 透明高分子フィルム(A)、銀薄膜層
    (B)、接着層(C)からなるロール状のフィルムと、
    ロール状または板状の支持体(D)とをラミネートし、
    続けて同一ライン上の加熱炉にて養生することを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載の反射体の製造方
    法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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