JP3821470B2 - 合成樹脂用紫外線吸収剤、これを含有してなる合成樹脂組成物及び樹脂成形品 - Google Patents
合成樹脂用紫外線吸収剤、これを含有してなる合成樹脂組成物及び樹脂成形品 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するトリアジン化合物からなる合成樹脂用紫外線吸収剤及び該紫外線吸収剤を含有してなる合成樹脂組成物に関し、詳しくは、合成樹脂との相溶性に優れた脂環基を有するトリアジン化合物からなる合成樹脂用紫外線吸収剤、該紫外線吸収剤を含有してなる合成樹脂組成物及び該組成物を成形してなる樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン、ブタジエンスチレン、ABS、ACS等のスチレン系樹脂;ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリフェニレンエーテル;ポリメチルメタクリレート等に代表される合成樹脂は、各種成形体や繊維、フィルム、コーティング材として様々な分野に広く用いられている。
【0003】
しかし、上記の合成樹脂のみからなる成形体は、自然光、特に自然光中の紫外線により劣化し、変色や機械的強度の低下が起こり、長期の使用には耐えないことが知られている。
そこで、これらの成形体加工用樹脂の光による劣化を防止するために、従来より紫外線吸収剤や光安定剤が単独又は組み合わせて用いられてきた。トリアジン系の化合物は、紫外線吸収剤として優れた効果を発揮することが知られており、例えば、特開平4−214785号公報、特開平5−125248号公報、特開平5−93089号公報、特開平10−95974号公報、特開平10−147577号公報、特許第2779981号公報等で報告されている。
【0004】
しかし、上記報告のトリアジン系化合物は、樹脂成分に対する相溶性又は分散性が充分ではなく、満足できる添加効果を与えるものではなかった。特にポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の成形加工用の熱可塑性樹脂について、この問題が顕著であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、樹脂成分に対する相溶性又は分散性が良好であり、充分な添加効果を与える合成樹脂用紫外線吸収剤、該紫外線吸収剤を含有してなる合成樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の構造を有するトリアジン化合物からなる合成樹脂用紫外線吸収剤が、合成樹脂に対する分散性が良好であり、優れた耐候性を付与することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明の第1は、下記一般式(I)で表されるトリアジン化合物からなる合成樹脂用紫外線吸収剤を提供するものである。
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは0〜2の整数を表し、Xは、下記(a)〜(d)の群から選ばれる基を表す。)
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、R1は、炭素数5〜19の脂環基又は末端或いは鎖中に脂環基を有する分岐していてもよいアルキル基を表し(炭素数は脂環基も含む)、R2は、炭素数1〜18の分岐してもよく、末端或いは鎖中に脂環基を有してもよいアルキル基又は(ポリ)アルキレンオキシアルキル基を表し(炭素数は脂環基も含む)、R’は、炭素数5〜19の脂環基又は脂環基を有するアルカンジイル基を表し(炭素数は脂環基も含む)、R、nは上記一般式(I)と同様である。)
本発明の第2は、一般式(I)において、Xが(a)又は(d)で表される基である本発明の第1に記載の合成樹脂用紫外線吸収剤を提供するものである。
本発明の第3は、一般式(I)及び一般式(I)の式中Xで表される基において、nが0である本発明の第1又は2に記載の合成樹脂用紫外線吸収剤を提供するものである。
本発明の第4は、合成樹脂100質量部に本発明の第1〜3のいずれかに記載の合成樹脂用紫外線吸収剤0.001〜25質量部を配合してなる合成樹脂組成物を提供するものである。
本発明の第5は、本発明の第4に記載の合成樹脂組成物に更にヒンダードアミン系光安定剤の少なくとも1種類0.001〜10質量部を配合してなる合成樹脂組成物を提供するものである。
本発明の第6は、合成樹脂がポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれるものである本発明の第4又は5に記載の合成樹脂組成物を提供するものである。
本発明の第7は、本発明の第4〜6のいずれかに記載の合成樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(i)一般式(I)で表されるトリアジン化合物
本発明に係る上記の一般式(I)において、Rで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチルが挙げられる。
【0013】
また、上記一般式(I)中のXで表される基において、R1で表される脂環基又は末端或いは鎖中に脂環基を有するアルキル基(ここで、R1中の炭素数は5〜19であり、分岐していてもよい。)としては、例えば、下記一般式(1)又は(2)で表される基が挙げられる。尚、本発明において、脂環基とは環構造中に1〜2の不飽和結合を有するものも含めた概念である。
【0014】
【化5】
【0015】
(式中、環Aは、環構造中に1〜2の不飽和結合を有してもよい炭素数5〜8の脂環基を表し、Raは、アルキル基を表し、Rbはアルカンジイル基を表し、pは0〜4の整数を表し、基全ての炭素数の合計は5〜19である。)
上記一般式(1)又は(2)において、環Aの具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、ビシクロヘプタン環、ビシクロヘキサン環、ビシクロオクタン環等、及びこれらの環構造中に不飽和結合が1又は2含まれるものが挙げられる。アルキル基Raの具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル等が挙げられる。アルカンジイル基Rbの具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、オクチレン、デシレン等が挙げられる。
【0016】
上記のR1の具体例としては、基末端に脂環基を有するものとしては、シクロペンチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、4−シクロペンチルブチル、5−シクロペンチルペンチル;シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、4−シクロヘキシルブチル、5−シクロヘキシルペンチル、8−シクロヘキシルオクチル、10−シクロヘキシルデシル;シクロヘプチル;シクロオクチル;ビシクロヘキシル、ビシクロヘプチル、ビシクロオクチル等が挙げられる。
鎖中に脂環基を有するものとしては、2−メチルシクロヘキシル、3−メチルシクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、2,4−ジメチルシクロヘキシル、2,5−ジメチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,4−ジメチルシクロヘキシル、4,5−ジメチルシクロヘキシル、4−エチルシクロヘキシル、4−プロピルシクロヘキシル、4−イソプロピルシクロヘキシル、4−ブチルシクロヘキシル、4−第三ブチルシクロヘキシル、4−ヘキシルシクロオクチル、4−シクロヘキシルデシル、(4−メチルシクロヘキシル)メチル、2−(4−エチルシクロヘキシル)エチル、3−(4−イソプロピルシクロヘキシル)プロピル等が挙げられる。
【0017】
また、上記一般式(I)のXで表される基において、R2は炭素数1〜18の分岐してもよく、末端或いは鎖中に脂環基を有してもよいアルキル基又は(ポリ)アルキレンオキシアルキル基を表す。なお、炭素数は脂環基も含む。
上記R2の中で、炭素数1〜18の分岐してもよく、末端或いは鎖中に脂環基を有してもよいアルキル基としては、例えば、下記一般式(3)又は(4)で表される基が挙げられる。
【0018】
【化6】
【0019】
(式中、環A、Ra及びRbは、上記一般式(1)及び(2)と同様の基を表し、xは0又は1を表し、xが0の場合、pは1を表し、xが1の場合、pは、0〜4の整数を表し、基の全ての炭素数の合計は1〜18である。)
【0020】
上記炭素数1〜18の分岐してもよく、末端或いは鎖中に脂環基を有してもよいアルキル基R2の具体例としては、R1で例示したもの、及び、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ペプタデシル、オクタデシル等が挙げられる。
【0021】
上記R2の中で、炭素数1〜18の(ポリ)アルキレンオキシアルキル基としては、メトキシエチル、エトキシメチル、プロポキシエチル、ブトキシエチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エチル等が挙げられる。
【0022】
また、R’で表される炭素数5〜19の鎖中に脂環基又は脂環基を有するアルカンジイル基としては、例えば、下記一般式(5)で表される基が挙げられる。
【0023】
【化7】
【0024】
(式中、環A、Ra及びpは、上記一般式(1)と同様であり、Rc及びRdは、アルカンジイル基を表し、q、rは0又は1を表し、基の全ての炭素数の合計は5〜19である。)
【0025】
上記R’は、脂環基を有する有機ジカルボン酸又は酸無水物から誘導される二価の基である。該有機ジカルボン酸としては、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸;1,4−ジカルボキシルメチレンシクロヘキサン等が挙げられ、酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0026】
Xが(a)であるトリアジン化合物の具体例としては、下記の化合物No.1〜6が挙げられる。
【0027】
【化8】
【0028】
Xが(b)であるトリアジン化合物の具体例としては、下記の化合物No.7〜12が挙げられる。
【0029】
【化9】
【0030】
Xが(c)であるトリアジン化合物の具体例としては、下記の化合物No.13〜18が挙げられる。
【0031】
【化10】
【0032】
Xが(d)であるトリアジン化合物の具体例としては、下記の化合物No.19〜31が挙げられる。
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
前記の本発明に係るXで表される基としては、官能基をもたないもの、原料が入手しやすくて製造工程の少ないものが好ましい。これら好ましい条件を満たすものは、(a)と(d)であり、脂環基として、シクロヘキサン環を有するものがより好ましい。
【0036】
本発明に係る前記一般式(I)で表されるトリアジン化合物のnについては、nが0であるものが、合成樹脂組成物の着色が小さいので好ましい。
【0037】
本発明に係る前記一般式(I)で表されるトリアジン化合物において、その製造方法は、特に制限されることなく周知一般の方法を含め、適切な方法を用いることができる。
該製造方法としては、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン誘導体をアルコール成分(以下、TZAL成分という)とし、カルボン酸、カルボン酸(部分(以下、多価カルボン酸の場合には、その一部分を意味する。))ハライド、カルボン酸(部分)エステル、カルボン酸(部分)無水物等の該当するエステル誘導性化合物(以下、CA成分という)とのエステル化反応又はエステル交換反応が挙げられ、これらの反応は逐次反応でもよく、一括反応でもよい。
【0038】
Xが(a)で表される基の場合は、例えば、TZAL成分と(a)に該当する一価のCA成分(カルボン酸、カルボン酸ハライド又はカルボン酸エステル)とのエステル化反応又はエステル交換反応により得られる。
【0039】
Xが(b)で表される基の場合は、例えば、TZAL成分と(b)に該当する二価のCA成分(二価カルボン酸、二価カルボン酸モノハライド又は二価カルボン酸のモノエステル)とのエステル化反応又はエステル交換反応により得られる。
【0040】
Xが(c)で表される基の場合は、例えば、TZAL成分と(c)に該当する二価のCA成分(二価カルボン酸モノエステル、二価カルボン酸モノエステルモノハライド又は二価カルボン酸のジエステル)とのエステル化反応又はエステル交換反応による方法、あるいは、上記Xが(b)で表される基の場合で得られた末端カルボキシル基を該当するアルコール(R2)と反応させる方法等によって得られる。
【0041】
Xが(d)で表される基の場合は、例えば、TZAL成分と(d)に該当するCA成分(モノカルボン酸、モノカルボン酸モノハライド、モノカルボン酸モノエステル)とのエステル化反応又はエステル交換反応により得られる。
ジカルボン酸のエステル結合の両側に同じかまたは異なるトリアジン環を有するものを合成する場合に有効であり、特に化合物No.20のように、ジカルボン酸のエステル結合の両側に異なるトリアジン環を有するものを合成する場合に有効である。
化合物No.19のように、ジカルボン酸のエステル結合の両側に同じトリアジン環を有するものを合成する場合には、Xが(b)で表される基の場合で得られたものに、さらに、TZAL成分を反応させてもよいので、その場合には、CA成分としては二価カルボン酸、二価カルボン酸ジハライド、二価カルボン酸ジエステル、酸無水物を使用することができる。
【0042】
(ii)合成樹脂組成物
本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂に前記一般式(I)で表されるトリアジン化合物からなる紫外線吸収剤を添加してなる。
合成樹脂組成物に用いられる合成樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルブテン、ポリ−4−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のポリオレフィン系樹脂及びこれらの共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリヘキサメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、塩化ポリエチレンアクリロニトリルスチレン(ACS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリルブチルアクリレートスチレン(AAS)、ブタジエンスチレン、スチレンマレイン酸、スチレンマレイミド、エチレンプロピレンアクリロニトリルスチレン(AES)、ブタジエンメタクリル酸メチルスチレン(MBS)等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート等のポリカーボネート系樹脂;ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ナイロン6Tなどの芳香族ジカルボン酸や脂環族ジカルボン酸を使用したポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂、変性ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリアセタール(POM)、変性ポリアセタール、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネートとスチレン系樹脂とのポリマーアロイ、液晶ポリマー(LCP);シリコン樹脂;ウレタン樹脂;脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ヒドロキシカルボン酸もしくはその環状化合物からの脂肪族ポリエステル、さらにはこれらがジイソシアネートなどにより分子量が増加した脂肪族ポリエステル等の生分解性樹脂;セルロース系樹脂;及びこれらの樹脂のリサイクル樹脂等が挙げられる。
【0043】
本発明の合成樹脂組成物において、トリアジン化合物からなる紫外線吸収剤の配合量は、特に制限を受けず任意の値を選択することができる。合成樹脂100質量部に対して、0.001質量部未満では効果が得られない場合があり、また25質量部を超えると添加効果の向上が得られないばかりかコストが高くなるので、0.001〜25質量部が好ましく、0.01〜15質量部がより好ましい。
【0044】
(iii)他の添加剤
また、本発明の合成樹脂組成物には、更なる安定化を付与する場合、必要に応じて、ヒンダードアミン系光安定剤、フェノール系、硫黄系、リン系の酸化防止剤などの添加剤を添加することができる。また本発明の前記一般式(I)で表される化合物以外の紫外線吸収剤を併用することもできる。
【0045】
特にヒンダードアミン系光安定剤(以下、HALSと記載することもある)は、分子中のN−プロトン、N−オキシル、N−オキシアルキル、N−アルキル、N−ヒドロキシ等の1位の窒素とそれに結合する官能基が、紫外線、光又は熱により発生する樹脂由来の分解性ラジカルや樹脂組成物中の酸化化合物を捕捉することで、樹脂及び樹脂組成物に耐候性を付与する機能を有するものであり、紫外線吸収剤との併用により相乗効果が得られるので、ポリオレフィン系樹脂の場合に好ましく用いられる。
【0046】
上記のHALSとしては、以下の一般式(II)で表される化合物、塩化シアヌル縮合型、高分子量型等が挙げられる。
【0047】
【化13】
【0048】
(式中、mは、1〜6の整数を表し、Aは、水素原子、炭素数1〜18のm価の炭化水素基、m価のアシル基またはm価のカルバモイル基を表し、Bは、酸素原子、−NH−または炭素数1〜8のアルキル基Reを有する−NRe−を表し、Yは、水素原子、オキシラジカル(・O)、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基を表し、Zは、メチン、又は炭素数1〜8のアルキル基Rfを有する以下の基(III)を表す。)
【0049】
【化14】
【0050】
一般式(II)で表される化合物に関して、上記Aにおけるm価の炭化水素基としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、第二ブタン、第三ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、第三ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、第三ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、第三オクタン、2−エチルヘキサン、ノナン、イソノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ペプタデカン、オクタデカンから誘導される基(アルキル基、アルカンジイル基ないしアルカンヘキサイル基)が挙げられる。
【0051】
上記Aにおけるm価のアシル基とは、カルボン酸、m価カルボン酸、及びカルボキシル基がm個残存しているn価カルボン酸の(n−m)アルキルエステル(これらをアシル誘導体化合物という)から誘導される基のことである。
該アシル誘導体化合物としては、酢酸、安息香酸、4−トリフルオロメチル安息香酸、サリチル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸モノ又はジアルキルエステル、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸モノ又はジアルキルエステル、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸モノないしトリアルキルエステル、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸モノないしテトラアルキルエステル、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸モノないしペンタアルキルエステル等が挙げられる。
【0052】
上記Aにおけるm価のカルバモイル基とは、イソシアネート化合物から誘導されるモノアルキルカルバモイル基またはジアルキルカルバモイル基のことである。
モノアルキルカルバモイル基を誘導するイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3、3’−ジメチルジフェニル−4、4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,2,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート等が挙げられる。
ジアルキルカルバモイル基としては、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ジヘキシルカルバモイル基、ジオクチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0053】
これらのAで表される基はハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0054】
式(II)のB中のNに置換するReで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、1−エチルペンチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシルが挙げられる。
【0055】
式(II)のYは、水素原子、オキシラジカル(・O)、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、又はヒドロキシル基を表す。
上記炭素数1〜18のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、イソノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ペプタデシルオキシ、オクタデシルオキシが挙げられ、上記炭素数1〜8のアルキル基としては、Reと同様の基が挙げられる。
【0056】
式(II)のZ中のRfで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、Reと同様の基が挙げられる。
【0057】
上記の一般式(II)で表されるHALSの更なる具体例としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジルメタクリレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0058】
塩化シアヌル縮合型HALSとしては、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン等が挙げられる。
【0059】
また、高分子量型としては、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物等が挙げられる。
【0060】
上記のHALSは、1種類又は2種類以上混合して用いてもよく、その総配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001質量部未満では効果が得られない場合があり、また10質量部を超えると添加効果の向上が得られないばかりかコストが高くなるので、0.001〜10質量部が好ましく、0.01〜2質量部がより好ましい。
【0061】
上記のリン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0062】
上記のフェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0063】
上記の硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0064】
上記の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、
【0065】
2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類が挙げられる。
【0066】
上記他の添加剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001質量部未満では効果が得られない場合があり、また20質量部を超えると添加効果の向上が得られないばかりかコストが高くなるので、0.001〜20質量部が好ましく、0.01〜1質量部がより好ましい。
【0067】
更に、本発明の合成樹脂組成物には、必要に応じて、重金属不活性剤、p−第三ブチル安息香酸アルミニウム、ジベンジリデンソルビトール、金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤、ハロゲン(臭素、塩素、フッ素)系化合物、リン系化合物、金属酸化物、フッ化樹脂等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、染料、顔料等の着色剤、造核剤、結晶促進剤等の結晶化剤、加工助剤、充填剤など周知一般の添加剤を添加することができる。
【0068】
本発明において、前記一般式(I)で表される紫外線吸収剤及び必要に応じて用いられる他の添加剤の熱可塑性樹脂への添加方法は、特に限定されるものではなく、添加する際の形態は、粉末、サスペンション、エマルションまたは溶液でもよい。
【0069】
また、本発明の合成樹脂組成物は、その加工方法、用途について、特に限定されるものではなく、通常使用される加工方法、用途のいずれも適応することができる。
加工方法としては、例えば、カレンダー加工、押出加工、共押出加工、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、プレス加工、ロール加工等が挙げられる。
用途としては、例えば、バンパー、ダッシュボード、インスツルーメントパネル等の自動車用樹脂部品;冷蔵庫、洗濯機、掃除機等の家電製品用樹脂部品;食器、バケツ、入浴用品等の家庭用品;コネクター等の接続用樹脂部品;玩具等の雑貨品;タンク類等の貯蔵、保存用容器等の成形品;フィルム、シート等が挙げられる。
【0070】
【実施例】
以下、製造実施例、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例等によって何ら制限を受けるものではない。
【0071】
(合成例)中間体化合物の合成
反応用フラスコにベンズアミジン塩酸塩141g及びレゾルシン酸フェニル99.0gをエタノール580gに溶解し、ナトリウムメチラート28質量%のメタノール溶液175gを加え、撹拌しながら78℃でメタノールを留去した。更に78℃で20時間撹拌した後、5℃に冷却して析出させ、固相を濾取した。得られた固相をメタノールと水で洗浄して中間体である2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンの淡黄色結晶55.2g(収率38%)を得た。
【0072】
反応用フラスコに上記で得られた2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン51.0g、2−ブロモエタノール284g、ジメチルホルムアミド255gを仕込み、85℃で濃度48質量%の水酸化ナトリウム水溶液87.6gを滴下し、85℃で10時間反応させた。5℃まで冷却した後、5℃以下で濃塩酸を滴下し、pH7〜6に中和し、析出した固相を濾取、水洗、乾燥して、中間体化合物である2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル]−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンを46.2g(収率80%)得た。
【0073】
(製造実施例1)化合物No.1の合成
窒素置換した反応用フラスコに上記の合成例で得た中間体化合物7.94gにシクロヘキサンカルボン酸2.58g、キシレン50g、p−トルエンスルホン酸0.10gを仕込み、140℃で10時間脱水還流した。系内をpH7になるまで水洗し、濾過で固相を取り除いた後、メタノールを加えて晶析させて濾取した粗結晶をキシレン/メタノール(1/3)溶媒で再結晶して淡黄色結晶を収率81%で得た。これについて以下の分析を行い得られた結晶が目的物である化合物No.1であることを確認した。
▲1▼IR分析(cm-1):3440(水酸基)、2925、2850(シクロへキシル基)、1725(エステル基)、1535、1510(トリアジン基)、1165(エーテル基)
▲2▼元素分析(質量%):炭素;72.3(理論値72.3)、水素;5.61(理論値5.65)、窒素;8.71(理論値8.73)
▲3▼DSC分析:融点(ピークトップ);157℃
【0074】
(製造実施例2)化合物No.3の合成
窒素置換した反応用フラスコに上記の合成例で得た中間体化合物7.94gに3−シクロヘキサンプロパン酸3.12g、キシレン50g、p−トルエンスルホン酸0.10gを仕込み、140℃で10時間脱水還流した。系内をpH7になるまで水洗し、濾過で固相を取り除いた後、メタノールを加えて晶析させて濾取した粗結晶をキシレン/メタノール(1/3)溶媒で再結晶して淡黄色結晶を収率83%で得た。これについて以下の分析を行い得られた結晶が目的物である化合物No.3であることを確認した。
▲1▼IR分析(cm-1):3435(水酸基)、2920、2850(シクロヘキシル基)、1728(エステル基)、1535、1512(トリアジン基)、1165(エーテル基)
▲2▼元素分析(質量%):炭素;72.6(理論値72.7)、水素;5.88(理論値5.90)、窒素;8.46(8.48)
▲3▼DSC分析:融点(ピークトップ);124℃
【0075】
(製造実施例3)化合物No.19の合成
窒素置換した反応用フラスコに上記の合成例で得た中間体化合物8.68gに1,4−シクロヘキサンジカルボン酸1.9g、キシレン50.0g、p−トルエンスルホン酸0.10gを仕込み、140℃で10時間脱水還流した。室温まで冷却し、濾取した固体を、テトラヒドロフランに溶解させた溶液にメタノールを加えて晶析させ、微黄色結晶を収率62%で得た。これについて以下の分析を行い得られた結晶が目的物である化合物No.19であることを確認した。
▲1▼IR分析(cm-1):3440(水酸基)、2940、2870(シクロヘキシル基)、1723(エステル基)、1537、1515(トリアジン基)、1175(エーテル基)
▲2▼元素分析(質量%):炭素;71.0(理論値71.1)、水素;4.80(理論値4.82)、窒素;9.54(9.56)
▲3▼融点測定(目視):213〜215℃
【0076】
(製造実施例4)化合物No.22の合成
窒素置換した反応用フラスコに上記の合成例で得た中間体化合物8.68gに1,2−シクロヘキサンジカルボン酸1.9g、キシレン50.0g、p−トルエンスルホン酸0.10gを仕込み、140℃で10時間脱水還流した。系内をpH7になるまで水洗し、濾過で固相を取り除いた後、メタノールを加えて晶析させて濾取した粗結晶をキシレン/メタノール(1/3)溶媒で再結晶して淡黄色結晶を収率60%で得た。これについて以下の分析を行い得られた結晶が目的物である化合物No.22であることを確認した。
▲1▼IR分析(cm-1):3437(水酸基)、2943、2858(シクロヘキシル基)、1743(エステル基)、1531、1510(トリアジン基)、1173(エーテル基)
▲2▼元素分析(質量%):炭素;71.0(理論値71.1)、水素;4.80(理論値4.82)、窒素;9.54(9.56)
▲3▼DSC分析:融点(ピークトップ);204℃
【0077】
(比較製造例)比較化合物1〜3の製造
対応する原料から上記の合成例及び製造実施例と同様の手順により下記の比較化合物1〜3を得た。なお、中間体化合物に反応させるカルボン酸成分は、いずれの場合も、鎖式カルボン酸である。
【0078】
【化15】
【0079】
(実施例1)二層構造ポリカーボネート
下記の配合1の組成物をミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を280℃、80rpmで押し出し加工してペレットを得た。
該ペレットをカバー層用樹脂組成物とし、ビスフェノールA型ポリカーボネート(固有粘度0.57;ジオキサン30℃)粉末をコア層用樹脂として、両者を280℃で同時に共押出しし、押出し直後に対応する表面同士を接触させ、厚さ2mmのコア層と50μmのカバー層との2層構造を有する試験片を作成した。
この試験片について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
▲1▼白濁度:紫外線吸収剤を添加しない他は同じ方法で得られた試験片(表中、基準と表記)との比較を目視で行った。白濁度が同程度のものを○、白濁が増しているものを△、強く白濁したものを×で表した。
▲2▼耐候性:サンシャインウエザオメーターを用いて、ブラックパネル温度83℃、120分中18分間の降雨サイクルで1050時間耐候性試験を行った。ハンター比色計を用いて試験前の黄色度(YI)と耐候性試験後の黄色度とYIとの差(ΔY)を評価した。
【0080】
(比較例1)比較用二層構造ポリカーボネート
紫外線吸収剤を配合しないもの(比較例1−1)、紫外線吸収剤に比較化合物を用いたもの(比較例1−2〜1−4)を実施例1と同様の手順で作成し、白濁度、耐候性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
(実施例2〜6)エチレン/プロピレンブロック共重合体組成物
表2に示す配合の組成物をミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を250℃、25rpmで押し出し加工して得たペレットを250℃で射出成形し、厚さ3mmの試験片を作成した。この試験片について、キセノンウエザオメーターを用いて、ブラックパネル温度89℃で耐候性試験を行った。評価は、ハンター比色計を用いて試験前の黄色度(YI)と1500時間の耐候性試験後の黄色度とYIとの差(ΔY)とクラック発生までの時間(耐候時間)により行った。結果を表2に示す。
【0083】
(比較例2〜6)比較用エチレン/プロピレンブロック共重合体組成物
紫外線吸収剤とHALSを配合しないもの、紫外線吸収剤を配合しないもの、紫外線吸収剤に比較化合物を用いたものを実施例2〜6のそれぞれと同様の手順で作成し、実施例2〜6と同様に耐候性の評価を行った。結果を表2〜6に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
【表5】
【0088】
【表6】
【0089】
(実施例7)ポリプロピレン組成物
下記の配合の組成物をミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を250℃、25rpmで押し出し加工して得たペレットを250℃で射出成形し、厚さ3mmの試験片を作成した。この試験片について、上記実施例2〜6と同様に評価を行った。結果を表7に示す。
【0090】
(比較例7)比較用ポリプロピレン組成物
紫外線吸収剤を配合しないもの、紫外線吸収剤に比較化合物を用いたものを実施例7と同様の手順で作成し、実施例7と同様に耐候性の評価を行った。結果を表7に示す。
【0091】
【表7】
【0092】
(実施例8)高密度ポリエチレン組成物
下記の配合の組成物をミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を250℃、25rpmで押し出し加工して得たペレットを240℃で射出成形し、厚さ3mmの試験片を作成した。この試験片について、上記実施例2〜6と同様に評価を行った。結果を表8に示す。
【0093】
(比較例8)比較用高密度ポリエチレン組成物
紫外線吸収剤を配合しないもの、紫外線吸収剤に比較化合物を用いたものを実施例8と同様の手順で作成し、実施例8と同様に耐候性の評価を行った。結果を表8に示す。
【0094】
【表8】
【0095】
(実施例9)ポリエチレンテレフタレート組成物
下記の配合5の組成物をミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を300℃、50rpmで押し出し加工して得たペレットを305℃射出成形し、厚さ2mm試験片を作成した。この試験片について、サンシャインウエザオメーターを用いて、ブラックパネル温度83℃、120分中18分間の降雨サイクルで1200時間耐候性試験を行い、ハンター比色計を用いて耐候性試験後の黄色度と試験前の黄色度との差(ΔY)により評価を行った。結果を表9に記載する。
【0096】
(比較例9)比較用ポリエチレンテレフタレート組成物
紫外線吸収剤を配合しないもの、紫外線吸収剤に比較化合物を用いたものを実施例9と同様の手順で作成し、実施例9と同様に耐候性の評価を行った。結果を表9に示す。
【0097】
【表9】
【0098】
(実施例10)ポリブチレンテレフタレート組成物
下記の配合6の組成物をミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を300℃、50rpmで押し出し加工して得たペレットを305℃射出成形し、厚さ2mm試験片を作成した。この試験片について、実施例9と同様に評価した。結果を表10に示す。
【0099】
(比較例10)比較用ポリブチレンテレフタレート組成物
紫外線吸収剤を配合しないもの、紫外線吸収剤に比較化合物を用いたものを実施例10と同様の手順で作成し、実施例10と同様に耐候性の評価を行った。結果を表10に示す。
【0100】
【表10】
【0101】
(実施例11)ABS、PPO、ナイロン6またはPMMA組成物
樹脂成分100質量部、HALS:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート0.3質量部、表10に記載の紫外線吸収剤0.3質量部の組成物についてミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を25rpmで押し出し加工して得たペレットを射出成形し、厚さ2mmの試験片を作成した。なお、ペレット、試験片の加工温度は表11に示した。この試験片について、サンシャインウエザオメーターを用いて、ブラックパネル温度83℃、雨無しで耐候性試験を行った。評価は、試験開始前と1200時間後のハンター比色計による黄色度の差(ΔY)により行った。結果を表11に記す。
【0102】
(比較例11)
紫外線吸収剤に比較化合物を用いたものを実施例11と同様の手順で作成し、実施例11と同様に耐候性の評価を行った。結果を表11に示す。
【0103】
【表11】
【0104】
ABS:アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(旭化成工業社製、スタイラック100)
PPO:ポリフェニレンオキサイド樹脂(旭化成工業社製、ザイロン500H)
ナイロン6:ノバミッド1020A7(三菱エンジニアリングプラスチック社製)
PMMA:ポリメタクリル樹脂(旭化成工業社製、デルペット60N)
【0105】
【発明の効果】
本発明によれば、樹脂成分に対する相溶性又は分散性が良好であり、充分な添加効果を与える紫外線吸収剤が得られ、該紫外線吸収剤を各種樹脂に添加してなる合成樹脂組成物の成形品は耐候性がより改善される。
Claims (7)
- 下記一般式(I)で表されるトリアジン化合物からなる合成樹脂用紫外線吸収剤。
- 一般式(I)において、Xが(a)又は(d)で表される基である請求項1に記載の合成樹脂用紫外線吸収剤。
- 一般式(I)及び一般式(I)の式中Xで表される基において、nが0である請求項1又は2に記載の合成樹脂用紫外線吸収剤。
- 合成樹脂100質量部に請求項1〜3のいずれかに記載の合成樹脂用紫外線吸収剤0.001〜25質量部を配合してなる合成樹脂組成物。
- 請求項4に記載の合成樹脂組成物に更にヒンダードアミン系光安定剤の少なくとも1種類0.001〜10質量部を配合してなる合成樹脂組成物。
- 合成樹脂がポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂から選ばれるものである請求項4又は5に記載の合成樹脂組成物。
- 請求項4〜6のいずれかに記載の合成樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品。
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