JP4375878B2 - 成形加工用樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐候性の改善された成形加工用樹脂組成物に関し、詳しくは、耐候性付与剤として特定の分子構造を有する紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含有してなる成形加工用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン、ブタジエンスチレン、ABS、ACS等のスチレン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリメチレンメタクリレート等に代表される熱可塑性樹脂は、各種成形体や繊維、コーティング材として様々な分野に広く用いられている。特にポリオレフィン系樹脂は、軽量であること、安価であることから最も多く使用されている。
【0003】
しかし、上記の熱可塑性樹脂のみからなる成形体は、自然光、特に自然光中の紫外線により劣化し、変色や機械的強度の低下が起こり、長期の使用には耐えないことが知られている。
【0004】
そこで、これらの成形体加工用樹脂の光による劣化を防止するために、従来より紫外線吸収剤や光安定剤が単独または組み合わせて用いられてきた。
一般に、樹脂組成物の耐候性付与には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤の併用が、相乗効果が期待できるので検討されており、例えば、特開昭61−113649号、特開昭54−66953号、特開平4−214785号、特開平4−372633号、特開平10−95974号、特開平11−152404号等で報告されている。しかし、樹脂成分に対する相溶性、分散性が悪いと期待される効果が得られず、特にポリオレフィンに代表される成形加工用の熱可塑性樹脂については、この問題が顕著に現れるので、まだ充分に満足できる耐候性を付与する化合物の組み合わせが提案されていない。
【0005】
従って、本発明の目的は、長期使用に耐えうる耐候性の改善された成形加工用熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、検討を重ねた結果、特定の構造を有する2,4,6−トリアリールトリアジンが、ヒンダードアミン系光安定剤との併用により熱可塑性樹脂に対して優れた耐候性を付与することを知見し、本発明に到達した。
【0007】
本発明の要旨は、以下の通りである。
第一の発明は、熱可塑性樹脂100質量部に、下記一般式(I)で表される紫外線吸収剤0.001〜10質量部及びヒンダードアミン系光安定剤の少なくとも1種0.001〜10質量部を配合してなる、耐候性の改善された成形加工用組成物に関する。
【化2】
(式中、Rは分岐してもよい炭素数3〜17のアルキル基を表す。)
第二の発明は、上記一般式(I)で表される紫外線吸収剤のRが分岐してもよい炭素数7〜17のアルキル基である第一の発明に記載の成形加工用樹脂組成物に関する。
第三の発明は、熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である第一又は第二の発明に記載の成形加工用樹脂組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
本発明の成形加工用樹脂組成物に用いられる上記一般式(I)で表される紫外線吸収剤において、Rで表される分岐してもよい炭素数3〜17のアルキル基としては、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、ヘプチル、1−エチルペンチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル等が挙げられ、中でも炭素数7〜17のものが紫外線吸収剤に耐熱性と熱可塑性樹脂に対する相溶性を与えるので好ましく、1−エチルペンチルとウンデシルがより好ましい。
【0010】
上記の紫外線吸収剤の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001質量部未満では効果が得られず、また10質量部を超えると添加効果の向上が得られないばかりかコストが高くなるので、0.001質量部から10質量部である。
【0011】
本発明の成形加工用樹脂組成物に用いられるヒンダードアミン系光安定剤(以下、HALSと記載することもある)とは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン系の化合物のことである。これらは、分子中のN−プロトン、N−オキシル、N−オキシアルキル、N−アルキル、N−ヒドロキシ等の1位の窒素とそれに結合する官能基が、紫外線、光又は熱により発生する樹脂由来の分解性ラジカルや樹脂組成物中の酸化化合物を捕捉することで、樹脂及び樹脂組成物に耐候性を付与する機能を有する。
【0012】
上記のHALSとしては、以下の一般式(II)で表される化合物、塩化シアヌル縮合型、高分子量型等が挙げられる。
【化3】
(式中、nは、1〜6の整数を表し、Aは、水素原子、炭素数1〜18のn価の炭化水素基、n価のアシル基またはn価のカルバモイル基を表し、Bは、酸素原子、−NH−、炭素数1〜8のアルキル基R’を有する−NR’−を表し、Xは、水素原子、オキシル(・O)、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキル基、ヒドロキシル基を表し、Zは、メチン、又は炭素数1〜8のアルキル基R1を有する以下の基(III)を表す。)
【化4】
【0013】
上記一般式(II)において、Aで表されるn価の炭素数1〜18の炭化水素基としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、第二ブタン、第三ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、第三ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、第三ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、第三オクタン、2−エチルヘキサン、ノナン、イソノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ペプタデカン、オクタデカン、ベンゼン、トルエン、キシレンから誘導される基が挙げられる。
【0014】
n価のアシル基とは、カルボン酸、n価カルボン酸及びカルボキシル基がn個残存している多価カルボン酸アルキルエステルから誘導される基のことである。該アシル誘導体化合物としては、酢酸、安息香酸、4−トリフルオロメチル安息香酸、サリチル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸モノ〜ジアルキルエステル、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸モノ〜ジアルキルエステル、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸モノ〜トリアルキルエステル、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸モノ〜テトラアルキルエステル、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸モノ〜ペンタアルキルエステル等が挙げられる。n価のカルバモイル基は、イソシアネート化合物から誘導されるモノアルキルカルバモイル基またはジアルキルカルバモイル基のことであり、モノアルキルカルバモイル基を誘導するイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3、3’−ジメチルジフェニル−4、4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,2,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート等が挙げられ、ジアルキルカルバモイルとしては、ジエチルカルバモイル、ジブチルカルバモイル、ジヘキシルカルバモイル、ジオクチルカルバモイル等が挙げられる。これらのAで表される基はハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0015】
B中のR’で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、1−エチルペンチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシルが挙げられ、Xで表される炭素数1〜18のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、イソノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ペプタデシルオキシ、オクタデシルオキシが挙げられ、炭素数1〜8のアルキル基としては、R’と同様の基が挙げられ、Z中のR1で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、R’と同様の基が挙げられる。
【0016】
上記の一般式(II)で表されるHALSの更なる具体例としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0017】
塩化シアヌル縮合型HALSとしては、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン等が挙げられる。
【0018】
また、高分子量型HALSとしては、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物等が挙げられる。
【0019】
上記のHALSは、1種類又は2種類以上混合で用いてもよく、その総配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001質量部未満では効果が得られず、また10質量部を超えると添加効果の向上が得られないばかりかコストが高くなるので、0.001質量部から10質量部である。
【0020】
また、本発明の成形加工用樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルブテン、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のα−オレフィン重合体等ポリオレフィン系樹脂、各種ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、塩化ポリエチレンアクリロニトリルスチレン(ACS)樹脂、スチレンアクリロニトリル(SAN)樹脂、アクリロニトリルブチルアクリレートスチレン(AAS)樹脂、ブタジエンスチレン樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、スチレンマレイミド樹脂、エチレンプロピレンアクリロニトリルスチレン(AES)樹脂、ブタジエンメタクリル酸メチルスチレン(MBS)樹脂等のスチレン系高分子化合物;ポリカーボネートとスチレン系樹脂とのポリマーアロイ、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。これらの中では、本発明の効果が顕著に現れるのでポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。
【0021】
本発明の成形加工用樹脂組成物には、更なる安定化を付与する場合、必要に応じて、汎用のフェノール系、硫黄系、リン系の酸化防止剤などの添加剤を添加することができ、また、前記一般式(I)で表される化合物以外の紫外線吸収剤を用いることもできる。これらの使用量は、各々、樹脂100質量部に対して、0.001質量部から20質量部が好ましい。
【0022】
上記のリン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェニル)・エチルホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0023】
フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0024】
硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0025】
また、紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アセチルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビスフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル又はクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
【0026】
更に、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、重金属不活性剤、p−第三ブチル安息香酸アルミニウム、ジベンジリデンソルビトール、金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤、ハロゲン系、リン系、金属酸化物、フッ化樹脂等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、染料、顔料等の着色剤、造核剤、結晶促進剤等の結晶化剤、加工助剤、充填剤など周知一般の添加剤を使用することができる。
【0027】
本発明において、前記一般式(I)で表される紫外線吸収剤及びHALSの熱可塑性樹脂への使用方法は、特に限定されるものではなく、添加する際の形態は、粉末、サスペンション、エマルションまたは溶液でもよい。
【0028】
また、本発明の樹脂組成物を用いた成形体は、加工方法、用途について、特に限定されるものではなく、通常使用される加工方法、用途のいずれも適応することができる。加工方法としては、例えば、カレンダー加工、押し出し加工、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、プレス加工、ロール加工等が挙げられ、用途としては、例えば、バンパー、ダッシュボード、インパネ等自動車用樹脂部品、冷蔵庫、洗濯機、掃除機等家電製品用樹脂部品、食器、バケツ、入浴用品等の家庭用品、玩具等の雑貨品、タンク類等の貯蔵、保存用容器等の成形品や、フィルム、シート等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例及び比較例をもって本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【0030】
(実施例1〜5)
下記の配合の組成物をミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を250℃、25rpmで押し出し加工して得たペレットを250℃で射出成形し、厚さ2mmの試験片を作成した。この試験片について、サンシャインウエザオメーターを用いて、ブラックパネル温度83℃、120分中18分間の降雨サイクルで耐候性試験を行った。評価は、試験開始から500時間後、1500時間後のハンター比色計による黄色度とクラック発生までの時間(耐候時間)により行った。
尚、使用した試験化合物は以下に示す化合物1、2と比較化合物1、2であり、以下の実施例についても同様である。
【0031】
【化5】
【0032】
(配合1)
エチレン−プロピレン共重合体:100質量部
ステアリン酸カルシウム:0.05質量部
ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート:0.1質量部
トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト:0.05質量部
HALS(下記表1〜5参照):表1〜5に記載の質量部
試験化合物:0.3質量部
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
(実施例6)
下記の配合の組成物をミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を250℃、25rpmで押し出し加工して得たペレットを250℃で射出成形し、厚さ2mmの試験片を作成した。この試験片について、サンシャインウエザオメーターを用いて、ブラックパネル温度83℃、120分中18分間の降雨サイクルで耐候性試験を行った。評価は、試験開始から500時間後、1500時間後のハンター比色計による黄色度とクラック発生までの時間により行った。
【0039】
(配合2)
ポリプロピレン:100質量部
ステアリン酸カルシウム:0.05質量部
テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン:0.1質量部
トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト:0.1質量部
HALS:3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2, 4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン:表6に記載の質量部
試験化合物:0.3質量部
【0040】
【表6】
【0041】
(実施例7)
下記の配合の組成物をミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を250℃、25rpmで押し出し加工して得たペレットを240℃で射出成形し、厚さ2mmの試験片を作成した。この試験片について、サンシャインウエザオメーターを用いて、ブラックパネル温度83℃、120分中18分間の降雨サイクルで耐候性試験を行った。評価は、試験開始から500時間後、1500時間後のハンター比色計による黄色度とクラック発生までの時間により行った。
(配合3)
高密度ポリエチレン:100質量部
ステアリン酸カルシウム:0.05質量部
テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン:0.1質量部
ジステアリルチオジプロピオネート:0.05質量部
HALS:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート:表7に記載の質量部
試験化合物:0.3質量部
【0042】
【表7】
【0043】
(実施例8)
樹脂成分100質量部、HALS:テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート0.3質量部、表8に記載の紫外線吸収剤0.3質量部の組成物についてミキサーで5分間混合して得た樹脂組成物を25rpmで押し出し加工して得たペレットを射出成形し、厚さ2mmの試験片を作成した。なお、ペレット、試験片の加工温度は表8に示した。この試験片について、サンシャインウエザオメーターを用いて、ブラックパネル温度83℃、雨無しで耐候性試験を行った。評価は、試験開始前と1000時間後のハンター比色計による黄色度の差により行った。結果を表8に記す。
【0044】
【表8】
【0045】
【発明の効果】
本発明は、長期使用に耐えうる耐候性の改善された成形加工用熱可塑性樹脂組成物を提供できる。
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