JP4208548B2 - ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形加工性に優れ、透明性に優れたポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体を形成することができるブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ポリプロピレン樹脂は、各種熱可塑性汎用樹脂の中でも、物性、成形加工性、価格等の点で最も応用分野の広いプラスチック材料の一つとして幅広い用途に使われている。特にポリプロピレン樹脂のブロー成形体は、耐熱性、透明性、耐衝撃性、剛性、気体遮断性等に優れた成形品であるので、食品容器、医療機器、理学機器等の分野で今後さらなる利用が期待されている。
【0003】
医療分野における薬液、注射液等の容器等の医療機器、食品容器、あるいは、理化学実験機器等にこのようなブロー成形体を使用する場合は、透明性に加えて、加熱による滅菌工程(例えば121℃/30分間のスチーム処理等)で容器の変形が生じないような高い剛性と耐熱性が要求され、さらに安全性の面からは、樹脂中の添加剤等の成分が内溶液へ溶出しない低溶出性、無臭性等が要求される。
【0004】
ポリプロピレン樹脂の透明性を改良する方法としては、エチレンとのランダム共重合化や造核剤(結晶化促進剤)を配合する方法が知られているが、ランダム共重合化だけでは透明性の改良効果が十分ではなく、剛性や耐熱性の低下が著しいという欠点がある。一方、造核剤の配合は、透明性の改良、剛性、耐熱性等の改良に効果があり、有力な方法である。
【0005】
しかしながら、透明性の改良に効果的であり、多く用いられているジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール等のソルビトール系の造核剤は、造核剤成分が内容液中に溶出したり、臭気がある等、溶出性に問題がある。
【0006】
また、ポリプロピレン樹脂に造核剤として芳香族リン酸エステル金属塩(ナトリウム塩、アルミニウム塩等)を配合することにより、透明性及び耐衝撃性に優れた中空成形体を提供できることが報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。この中空成形体は、臭気等の溶出性は改良されているものの、スウェル比の数値が小さくブロー成形時の加工性に問題があり、特に医療用に滅菌処理を行うと、透明性が低下し、実用上問題があった。
【0007】
従って、本発明の目的は、成形加工性に優れ、透明性に優れたポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体を形成することができるブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−77925号公報
【特許文献2】
特開平9−176393号公報
【特許文献3】
特開平11−116745号公報
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、かかる事情に鑑み鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂に、特定の構造をもつ有機リン酸エステル金属塩を配合したポリプロピレン系樹脂組成物は、スウェル比が大きいため成形加工性に優れ、ブロー成形すると偏肉が少なく、透明性に優れたポリプロピレン樹脂製ブロー成形体を形成することができることを見出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明は、(A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、(B)下記式(1)で示される環状有機リン酸エステルリチウム塩(以下、化合物No.1ともいう)を0.005〜5質量部配合したブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
【化2】
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に用いられる(A)ポリプロピレン系樹脂(以下、(A)成分とも言う)は、プロピレンを主成分とするものであり、具体的には、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合体、並びに、プロピレン、エチレン及びα−オレフィンとの共重合体から選ばれる樹脂である。上記α−オレフィンとしては、炭素原子数4〜20、特に4〜10であるものが好ましく、具体的には、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4−ジメチル−1−ペンテン等が挙げられる。共重合体の構成単位としてブロピレンと共に用いる単量体としては、特に共重合性や入手のしやすさの点から、エチレンや、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。従って、好ましい(A)成分としては、例えば、プロピレン単独共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン−エチレンランダム共重合体等が挙げられ、これらの中でも、プロピレン単独共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体が特に好ましい。
【0014】
上記(A)ポリプロピレン系樹脂の230℃におけるMFRは、0.1〜50g/10分が好ましく、さらに好ましくは0.3〜10g/10分である。0.1g/10分未満のものでは、ブロー成形が困難となりやすく、50g/10分を超えるものでは、パリソンが垂下して、成形性が悪くなり、偏肉が著しくなるため、安定して良好な容器が得ることが出来ない場合がある。
【0015】
本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物においては、上記(A)ポリプロピレン系樹脂に、造核剤として(B)上記式(1)で示される環状有機リン酸エステルリチウム塩(以下、(B)成分とも言う)を配合する。
【0019】
(B)上記式(1)で示される環状有機リン酸エステルリチウム塩の製造方法は、特に制限を受けないが、例えば、三塩化燐(又はオキシ塩化燐)と2,2'−アルキリデンフェノールとを反応させた後、必要に応じて加水分解して、環状酸性リン酸エステルとし、次いで水酸化リチウムと反応させることによって製造され、製造後、ろ過、乾燥することによって粉末として得ることができる。例えば、化合物No.1は、オキシ塩化燐と2,2'−メチレンビス(4,6−t−ブチルフェノール)とを反応させて環状酸性リン酸エステルとし、次いで水酸化リチウムを反応させて、ろ過、乾燥することにより粉末として得られる。
【0020】
本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物において、造核剤である(B)成分の配合量は、(A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、0.005〜5質量部であり、0.01〜2.5質量部が好ましい。0.005質量部より少ないと充分な添加効果を発揮しない場合があり、5質量部を超えると添加効果の向上が得られずにコストが高くなるばかりではなく、得られるブロー成形体の物性に影響を及ぼす場合がある。
【0021】
上述したような本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を用い、ブロー成形すると、透明性、強度等が改善されたブロー成形体が形成される。本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に、さらに(C)脂肪族有機酸金属塩(以下、(C)成分とも言う)を配合することにより、一層優れた物性を有するブロー成形体を形成することができる。
【0022】
上記(C)脂肪族有機酸金属塩としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、パルミトレイン酸、ペトラセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、γ−リノレン酸、リノレン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ナフテン酸、アビエチン酸等の脂肪酸有機酸とリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム等の金属とから得られるものが挙げられる。これらの中でも、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上を用いるのが好ましい。
【0023】
上記(C)成分は、1種類で又は2種類以上混合して用いることができ、そのそれぞれの使用量は、(A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、特に0.01〜5質量部が好ましい。0.001質量部未満では効果が得られない場合があり、また、10重量部を超えると添加効果の向上が得られないばかりか、コストが高くなる。また、(C)成分を配合する場合、(B)成分1質量部に対して、(C)成分が0.05〜5質量部、特に0.1〜2質量部となるように配合するのが好ましい。
【0024】
また、本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、(B)成分以外の造核剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、紫外線吸収剤、リン系抗酸化剤、フェノール系抗酸化剤、硫黄系抗酸化剤等の周知一般に用いられている添加剤を配合することが出来る。
【0025】
(B)成分以外の造核剤としては、例えば、リチウムベンゾエート、ナトリウムベンゾエート、アルミニウムベンゾエート、4−第三ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム等のカルボン酸金属塩;ナトリウムビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェート、前記式(1)で表される環状有機リン酸エステルリチウム塩以外の酸性リン酸エステル金属塩;ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体等が挙げられる。
【0026】
上記HALSとしては、下記一般式(2)で表される化合物、塩化シアヌル縮合型HALS、高分子量型HALS等が挙げられる。
【0027】
【化4】
【0028】
上記一般式(2)において、Aで表される炭素原子数1〜18のm価の炭化水素基としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、第二ブタン、第三ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、第三ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソヘプタン、第三ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、第三オクタン、2−エチルヘキサン、ノナン、イソノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ペプタデカン、オクタデカン等から誘導される基(アルキル基、アルカンジないしヘキサイル基)が挙げられる。
【0029】
上記一般式(2)において、Aで表されるm価のアシル基は、カルボン酸から誘導される基、m価カルボン酸から誘導される基、又は、n価カルボン酸から誘導され且つカルボキシル基がm個残存している(n−m)個のエステル基を含有するアルキルエステルから誘導される基である(カルボン酸、m価カルボン酸及び上記アルキルエステルを、アシル誘導体化合物という)。
該アシル誘導体化合物としては、酢酸、安息香酸、4−トリフルオロメチル安息香酸、サリチル酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、マロン酸、スクシン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリト酸、トリメシン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸モノ又はジアルキルエステル、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸、ペンタン−1,3,5−トリカルボン酸モノ又はジアルキルエステル、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸モノないしトリアルキルエステル、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸、ペンタン−1,2,3,4,5−ペンタカルボン酸モノないしテトラアルキルエステル、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸、ヘキサン−1,2,3,4,5,6−ヘキサカルボン酸モノないしペンタアルキルエステル等が挙げられる。
【0030】
上記一般式(2)において、Aで表されるm価のカルバモイル基は、イソシアネート化合物から誘導されるモノアルキルカルバモイル基又はジアルキルカルバモイル基である。
モノアルキルカルバモイル基を誘導するイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3、3’−ジメチルジフェニル−4、4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4(2,2,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ジメチルトリフェニルメタンテトライソシアネート等が挙げられる。ジアルキルカルバモイル基としては、ジエチルカルバモイル基、ジブチルカルバモイル基、ジヘキシルカルバモイル基、ジオクチルカルバモイル基等が挙げられる。
【0031】
上記の炭素原子数1〜18のm価の炭化水素基、上記のm価のアシル基及び上記のm価のカルバモイル基は、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等で置換されていてもよい。
【0032】
上記一般式(2)において、Bで表される−NRe−におけるReで表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、1−エチルペンチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0033】
上記一般式(2)におけるYは、水素原子、オキシラジカル(・O)、炭素原子数1〜18のアルコキシ基、炭素原子数1〜8のアルキル基又はヒドロキシル基を表す。
Yで表される炭素原子数1〜18のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、イソノニルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ペプタデシルオキシ、オクタデシルオキシ等が挙げられる。Yで表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、上記Reと同様の基が挙げられる。
【0034】
上記一般式(2)におけるZを表す上記一般式(3)において、Rfで表される炭素原子数1〜8のアルキル基としては、上記Reと同様の基が挙げられる。
【0035】
上記一般式(2)で表される化合物の具体例としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジルメタクリレート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−[トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ]エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン等が挙げられる。
【0036】
上記塩化シアヌル縮合型HALSとしては、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン等が挙げられる。
【0037】
上記高分子量型HALSとしては、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物等が挙げられる。
【0038】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩又は金属キレート、特にニッケル若しくはクロムの塩又はキレート類等が挙げられる。
【0039】
上記リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、 トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、ジフェニルオクチルホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,5−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、トリス(2−〔(2,4,7,9−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト等が挙げられる。
【0040】
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス (4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0041】
上記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸の、ジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。
【0042】
これらの添加剤は、1種類で又は2種類以上混合して用いることができ、それぞれの使用量は、(A)ポリプロピレン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましい。0.001質量部未満では効果が得られない場合があり、また10重量部を超えると添加効果の向上が得られないばかりかコストが高くなる。
【0043】
本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、さらに、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等からなる帯電防止剤;ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン酸アミド系化合物、メラミン系化合物、ポリリン酸のメラミン塩化合物、フッ素樹脂又は金属酸化物等の難燃剤;炭化水素系、脂肪酸系、脂肪族アルコール系、脂肪族エステル系、脂肪族アマイド系又は金属石けん系等の滑剤;重金属不活性剤;ハイドロタルサイト;有機カルボン酸;染料顔料等の着色剤;ポリオレフィンパウダー等の加工助剤;タルク等の珪藻土類、シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤等の添加剤を使用することができる。
【0044】
必要に応じて用いられるこれらの添加剤の添加方法としては、例えば、(B)成分及び(C)成分とは別個に(A)成分に添加する方法、予め(B)成分及び(C)成分と混合して混合物とし、該混合物を(A)成分に添加する方法、(B)成分及び(C)成分と、必要に応じて用いられるバインダー、ワックス、溶剤、シリカ等の造粒助剤等と共に、予め所望の割合で混合、造粒してワンパック複合添加剤とし、該複合添加剤を(A)成分に添加する方法が挙げられる。
【0045】
本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物において、(A)成分及び(B)成分、好ましくはさらに(C)成分、並びに必要に応じて用いられる添加剤を混合する方法は、ポリプロピレン樹脂を主成分とする樹脂組成物に通常適用される方法を適用することができる。例えば、(A)ポリプロピレン系樹脂の粉末又はペレットに、(B)環状有機リン酸エステルリチウム塩を配合して、常温で予め混合した後、溶融混練してペレットとする方法等が適当である。
混合装置としては、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機付混合機、リボンブレンダー、タンブラーミキサー等の通常の混合装置を使用することができる。また、溶融混練をする場合は、通常の単軸押出機又は2軸押出機等が使われる。溶融混練温度は、180〜300℃が一般的であり、好ましくは200〜280℃である。
【0046】
本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を用い、ブロー成形することにより、本発明のポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体が形成される。本発明のポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体を形成する方法としては、押出機を用いてパリソンを溶融押出しするか、又は有底パリソンを射出成形によって成形し、次いで、50℃以下に保ったブロー成形用金型にパリソンを持ち込み、空気吹き込み口からガス圧0.5〜1MPaの空気を吹き込み、形状が固定されるまで空気圧をかける成形方法等が挙げられる。
【0047】
本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物によりブロー成形する際には、必要に応じて、本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を複数種用いて、多層状に複合化して、ブロー成形体を成形してもよい。また、本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物と、その他のブロー成形用樹脂組成物とを組み合わせて多層状に複合化して、ブロー成形体を成形してもよい。
【0048】
造核剤として(B)成分を配合した本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、従来の造核剤を用いる場合に比べて、スウェル比が高く、成形加工性に優れ、透明性に優れたポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体を形成することができる。また、本発明のポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体は、加熱滅菌処理等の熱処理工程、特にオートクレーブ滅菌においても失透が小さいという優れた特性を有するため、ブロー成形後に滅菌処理が行われる場合に好適である。
【0049】
本発明のポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体は、例えば、飲料用容器、果汁用容器、ミネラルウォーター用容器等の食品容器、さらには、シャンプー、リンス、液体石鹸等のトイレタリー溶液用容器、酸性、中性又はアルカリ性の家庭用洗剤等の容器、液体化粧料用容器、アルコール、工業薬品等の容器、輸液ボトル等の医療容器等の各種容器に好適に用いられる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明する。
下記実施例1〜4は、造核剤として特定の環状有機リン酸エステルリチウム塩を配合した本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の実施例を示すものであり、下記比較例1〜4は、造核剤を配合しないポリプロピレン系樹脂組成物及び従来の造核剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物の実施例を示すものである。さらに、下記実施例1及び4においては、得られた本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物それぞれを用い、本発明のポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体を作製し、下記比較例1及び4においては、得られたポリプロピレン系樹脂組成物それぞれを用い、ブロー成形体を作製した。
尚、以下の実施例及び比較例において使用したポリプロピレン系樹脂のMFRは、下記<230℃におけるMFR測定方法>により測定した値であり、また、透明性(ヘイズ)及びスウェル比それぞれの測定は、下記<透明性(ヘイズ)測定方法>及び下記<スウェル比測定方法>に従って行った。
【0051】
<230℃におけるMFR測定方法>
JIS K7120(2001)の試験条件M(230℃、2.16kg荷重)に基づいて測定した(単位:g/10分)。
<透明性(ヘイズ)測定方法>
ASTM D1003により、試験片(肉厚1mm)のヘイズ(単位:%)を測定した。この値が小さいほど、透明性が良好である。
<スウェル比測定方法>
東洋精機株式会社製のメルトインデクサーを用いて、ポリプロピレン系樹脂組成物を、230℃にて、2.16kgの荷重で押出したときのストランド径を測定し、下記式に従ってスウェル比を測定した。
スウェル比=ストランド径/キャピラリーの内径
【0052】
〔実施例1及び比較例1〕
ポリプロピレン系樹脂(エチレン含有量が3質量%で且つMFRが3.0g/10分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体)100質量部に対し、表1に記載の造核剤を0.3質量部配合し、さらに、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス((3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルメチル)メタンを0.1質量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.1質量部配合してポリプロピレン系樹脂組成物とした。該ポリプロピレン系樹脂組成物をブロー成形機により下記(成形条件)で成形し、胴部直径70mm、内容量500ml、質量40gの筒状ボトルを得た。得られたボトルについて肉厚を測定し、肉厚の均一性を評価した。評価基準は、偏肉のないものを「良好」、やや偏肉のあるものを「やや偏肉」、偏肉が大きいものを「偏肉大」とした。評価結果を下記表1に示す。
【0053】
(成形条件)
射出成形温度 230℃
射出成形金型温度 20℃
予備ブロー延伸倍率 縦1倍、横1.4倍
予備ブローエア圧力 5kg/cm2
延伸温度調整金型温度 100℃
延伸ブロー延伸倍率 縦1.8倍、横1.2倍
延伸ブローエア圧力 9kg/cm2
【0054】
【表1】
【0055】
【化5】
【0056】
【化6】
【0057】
上記表1から明らかなように、造核剤として特定の環状有機リン酸エステルリチウム塩を用いた本発明のポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体は、肉厚が均一であった(実施例1−1〜1−3)。これに対し、造核剤を用いなかったポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体は、偏肉が大きく(比較例1−3)、また、従来の造核剤を用いたポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体は、造核剤を用いなかった場合に比べると改善されたものの、やや偏肉が認められた(比較例1−1、1−2)。
【0058】
〔実施例2及び比較例2〕
ポリプロピレン系樹脂としてMFRが8.0g/10分のプロピレン単独重合体を使用した以外は、全て実施例1と同様に配合してポリプロピレン系樹脂組成物を得た。該ポリプロピレン系樹脂組成物を250℃で造粒したものについて、230℃におけるスウェル比を測定した。測定結果を下記表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
上記表2から明らかなように、造核剤として特定の環状有機リン酸エステルリチウム塩を用いた場合は、スウェル比が大きかったのに対し(実施例2−1〜2−3)、造核剤を用いなかった場合及び従来の造核剤を用いた場合は、スウェル比が小さかった(比較例2−1〜2−3)。
【0061】
〔実施例3及び比較例3〕
ポリプロピレン系樹脂(MFRが8.0g/10分であるプロピレン単独重合体)100質量部に対し、表3に記載の造核剤を0.15質量部配合し、さらにフェノール系酸化防止剤としてテトラキス((3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルメチル)メタンを0.1質量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.1質量部、及びステアリン酸カルシウムを0.1質量部配合して、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。該ポリプロピレン系樹脂組成物を250℃で造粒した後、厚さ1mmの試験片を作製し、該試験片の滅菌前後のヘイズ(%)を測定した。ただし、滅菌は、オートクレーブにより、121℃で15分間行った。測定結果を下記表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
上記表3から明らかなように、造核剤として特定の環状有機リン酸エステルリチウム塩を用いた場合は、滅菌後においても滅菌前の低いヘイズを保ち、滅菌前後共に透明性が良好であった(実施例3−1)。これに対し、造核剤を用いなかった場合は、滅菌前においてもヘイズが高く、滅菌後には一層高くなり、透明性に劣っていた(比較例3−3)。また、従来の造核剤を用いた場合は、滅菌前後ともに、造核剤を用いなかった場合に比べると改善されたものの、ヘイズがやや高く、充分な透明性が認められなかった(比較例3−1、3−2)。
【0064】
〔実施例4及び比較例4〕
ポリプロピレン系樹脂(エチレン含有量が3質量%で且つMFRが8.7g/10分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体)100質量部に対し、造核剤を表4に示す割合で配合し、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス((3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルメチル)メタンを0.1質量部、及びリン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを0.1質量部配合し、ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。該ポリプロピレン系樹脂組成物をブロー成形機により下記(成形条件)で成形し、胴部直径70mm、内容量500ml、質量40gの筒状ボトルを得た。得られたボトルの胴部から試験片(肉厚1mm)を切り出し、ヘイズ(%)を測定した。また、上記ポリプロピレン系樹脂組成物について、230℃におけるスウェル比を測定した。測定結果を下記表4に示す。
【0065】
(成形条件)
射出成形温度 220℃
射出成形金型温度 15℃
予備ブロー延伸倍率 縦1倍、横1.4倍
予備ブローエア圧力 5kg/cm2
延伸温度調整金型温度 100℃
延伸ブロー延伸倍率 縦1.8倍、横1.2倍
延伸ブローエア圧力 9kg/cm2
【0066】
【表4】
【0067】
上記表4から明らかなように、造核剤として特定の環状有機リン酸エステルリチウム塩を用いた本発明のポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体は、ヘイズが低く、透明性が良好であった(実施例4−1、4−2)。これに対し、造核剤を用いなかったポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体は、ヘイズが高く、透明性に劣っていた(比較例4−3)。また、従来の造核剤を用いたポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体は、造核剤を用いなかった場合に比べると改善されたものの、ヘイズがやや高く、充分な透明性が認められなかった(比較例4−1、4−2)。また、本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、造核剤を用いない場合及び従来の造核剤を用いた場合に比べ、スウェル比が大きく成形加工性に優れていた。
【0068】
上記表1〜4から明らかなように、造核剤として特定の環状有機リン酸エステルリチウム塩を配合した本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、肉厚が均一で且つ透明性に優れ、さらに滅菌処理後においても優れた透明性を維持できるポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体を形成できることが確認された。また、本発明のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を用いてブロー成形すると、スウェル比が大きく、成形加工性に優れることが確認された。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂に、特定の構造をもつ有機リン酸エステルリチウム塩を配合することにより、スウェル比が大きいため成形加工性に優れ、且つ、偏肉が少なく、透明性に優れたポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体を形成することができる、ブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供することが出来る。
Claims (7)
- 上記(A)ポリプロピレン系樹脂の230℃におけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10分である請求項1記載のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 上記(A)ポリプロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体である請求項1又は2記載のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 上記(A)ポリプロピレン系樹脂がプロピレン−エチレンランダム共重合体である請求項1又は2記載のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- さらに(C)脂肪族有機酸金属塩を配合した請求項1〜4のいずれかに記載のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 上記(C)脂肪族有機酸金属塩がステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項5記載のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のブロー成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を用い、ブロー成形したポリプロピレン系樹脂製ブロー成形体。
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