JP3821003B2 - 感熱記録体 - Google Patents

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JP3821003B2 JP2002031341A JP2002031341A JP3821003B2 JP 3821003 B2 JP3821003 B2 JP 3821003B2 JP 2002031341 A JP2002031341 A JP 2002031341A JP 2002031341 A JP2002031341 A JP 2002031341A JP 3821003 B2 JP3821003 B2 JP 3821003B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録方式を採用したファクシミリ、ワードプロセッサー、各種計算機、ハンディーターミナル等の事務機器に用いられる感熱記録紙や、感熱記録方式と磁気記録方式を併用した磁気乗車券やプリペイドカード等の感熱磁気記録カードなどに用いられる感熱記録体に関し、支持体と感熱記録層との間に空隙を有する中間層を設けることにより微小な熱エネルギーで高い発色濃度が得られる感熱記録体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
熱により記録像を形成できる感熱記録としては、ロイコ染料と顕色剤との間の発色反応を利用したもの、ジアゾニウム塩化合物とカプラ−との反応を利用したもの、キレート化合物を利用したものなどがある。これらの感熱記録を利用した感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録体は、比較的安価で、記録機器がコンパクトで済む等の理由から事務機器に利用され、とりわけロイコ染料と顕色剤の組合せは幅広く利用されている。
【0003】
近年、記録速度の高速化に対応すべく、微小な熱エネルギーで高い発色濃度が得られる感熱記録体が求められている。感熱記録体の感度を上げるために、発色成分自体すなわちロイコ染料及び顕色剤の組成面の改良、発色成分の溶解を速めて発色を促進する増感剤の工夫、支持体の改良などが試みられている。
【0004】
支持体に関する改良としては、例えば、特開昭58−65695号に、支持体表面を平滑化して、この支持体上に形成される感熱記録層の平滑性を高め、サーマルヘッドと感熱記録層との間の熱伝達効率を向上させる方法が提案されている。また、支持体表面に無機顔料とバインダーを含む中間層、又はワックスとバインダーを含む中間層を形成し、これらの中間層の平滑性の向上を図ることにより平滑な感熱記録層を形成することが提案されている(例えば、特開昭58−25986号、特開昭59−204594号)。
【0005】
しかしながら、ヤンキーマシンにより抄造した原紙では、支持体が緻密化して断熱性が低下する。また、無機顔料やワックス及びバインダーを含む中間層も緻密であるため、断熱性が低い。支持体や中間層の断熱性が低い場合、これらの上に形成されている感熱記録層に与えられた熱エネルギーは支持体を通ってその裏面側に伝達されやすくなる。このため、サーマルヘッドから与えられる熱エネルギーを有効に利用することができず、発色濃度の改善を図ることができない。
【0006】
特開昭59−5093号、特開昭59−225987号に、サーマルヘッドから感熱記録体表面に与えられた熱が裏面に伝達されて放出されることを防止するために、支持体と感熱記録層との間に熱膨張性プラスチック粒子や中空粒子を配合してなる中間層を設けることが提案されている。しかしながら、熱膨張性プラスチック粒子は乾燥工程で与えられた熱により膨張して多孔質の中間層を形成しているため、形成される中間層表面は平滑性に劣っている。また、中空粒子を含有させた中間層は、中空構造を有する粒子の製造が非常に煩雑である上に高価であるため、中空粒子を用いて形成される中間層を有する感熱記録体のコストダウンを図ることが困難である。
【0007】
中空粒子を用いないで空隙を有する中間層を製造する方法としては、例えば特開平1−275184号、特開平2−131985号、特開平2−175283号に、樹脂成分を含む液を攪拌により発泡させた塗料を塗布し、乾燥させる方法が開示されている。しかし、この方法は、機械的な力で発泡させるため、形成される気泡が不安定でサイズが不均一になりやすく、空隙率の高い中間層を得にくい。気泡の安定性を増すために、塗料粘度を上げると、塗工方式が限定されてしまうという問題がある。
【0008】
特開平5−32052号には、中間層として、有機及び/又は無機顔料と塗膜形成樹脂とを主成分とし、攪拌により発泡させた塗料から形成された多孔質中間層を有する感熱記録体が提案されている。攪拌により形成される塗料中の気泡は安定性が劣り、しかも得られる気泡のサイズが不均一になりやすいため、得られる中間層の断熱性については、更なる向上が望まれる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造工程が簡単であり、断熱性に優れた中間層を支持体と感熱記録層の間に設けることにより、少ない熱エネルギーで高い印字濃度を与える感熱記録体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の感熱記録体は、支持体と、該支持体の一面上に設けられた中間層と、該中間層上に設けられ且つ熱エネルギーにより発色する感熱記録層とを含む感熱記録体であって、前記中間層は第1顔料で包囲された空隙を含有している。
【0011】
前記第1顔料は、M値が10〜80、平均一次粒子径が0.01〜5μmの疎水性顔料であることが好ましい。前記中間層は、前記疎水性顔料及び塗膜形成ポリマーを含有していて、該疎水性顔料と該塗膜形成ポリマーの含有質量比率(疎水性顔料:塗膜形成ポリマー)は10:90〜70:30であることが好ましい。
【0012】
前記中間層には、第1顔料及び塗膜形成ポリマーの他に、さらに該第1顔料以外の顔料(第2顔料)を含有していてもよく、この場合、該第1顔料及び第2顔料の含有質量合計と該塗膜形成ポリマーの含有質量の比率(顔料:塗膜形成ポリマー)は10:90〜90:10であることが好ましい。
【0013】
前記空隙サイズは、平均径1μm〜50μmであることが好ましく、また前記第1顔料の平均一次粒子径の10〜2500倍であることが好ましい。
【0014】
前記中間層の空隙率は、50〜95%であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の感熱記録体は、支持体と、該支持体上に設けられた中間層と、該中間層上に設けられた感熱記録層を有し、該中間層が顔料で包囲された空隙を有している。
【0016】
〔支持体〕
支持体としては、材質、形状、寸法などについて特に限定はなく、上質紙(酸性紙、中性紙)、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、グラシン紙、樹脂ラミネート紙、古紙入り原紙、合成紙、ポリオレフィン系合成紙、合成繊維紙、不織布、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂フィルム、各種の発泡合成樹脂フィルム等を用いることができる。用途に応じて適宜選択すればよい。
【0017】
〔中間層〕
本発明に係る中間層は、塗膜形成ポリマー及び顔料を含み、顔料で包囲された空隙を有する多孔質層となっている。このような中間層は、後で述べるように、気泡を含む水系塗料を塗工し、乾燥することにより形成される。
【0018】
前記塗膜形成ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カゼイン、スチレンマレイン酸共重合体のアルカリ塩などの水溶性樹脂、ポリアクリレート、ポリエステル、スチレンブタジエン系共重合体、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体などの水分散性樹脂などを用いることができ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上併用してもよい。
【0019】
空隙を包囲するのに用いられる顔料(以下、「第1顔料という」)としては、本発明にかかる中間層において安定した空隙を形成するという点から、M値が10〜80、平均一次粒子径が0.01〜5μmの疎水性顔料が好ましい。
【0020】
ここでM値とは、水とメタノールの混合溶液においてメタノールの含有率を高めていったときに顔料表面が濡れはじめるメタノールの体積百分率であらわされる値をいう。具体的には、10mlの試験管に、5〜30℃の水とメタノールとの混合物を約5ml採取し、該混合液中にミクロスパーテルで1〜2杯程度の量の顔料を挿入して2回振とうさせた後、顔料が沈降し始めるときの当該混合液中のメタノールのvol%として測定される。M値10〜80とは、いわゆる疎水性に該当する。
【0021】
M値10〜80の疎水性無機顔料としては、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、焼成クレー、セリサイトなどの無機顔料を、疎水性物質でコーティングあるいはカップリング剤等で処理して表面を疎水性基で修飾等することにより疎水化したものを用いることができる。前記疎水性物質又はカップリング剤(以下、両者をまとめて「表面処理剤」という)としては、ジメチルシリコーンオイル、環状シリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、シリコーンポリエーテル共重合体、アルコキシ変性シリコーン等のシリコーン系ポリマー;パーフロロアルキルリン酸エステル等のフッ素系化合物;ポリエチレン等の炭化水素系ポリマー;パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;メチルハイドロジェンシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、ハロゲン化シランなどの珪素含有化合物などを用いることができる。M値10〜80の疎水性プラスチックピグメントとしては、重合方法等により表面が疎水性となっているポリスチレン粒子、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン樹脂フィラー、尿素ホルマリン樹脂フィラーなどを用いることができる。
【0022】
第1顔料として用いられる疎水性顔料の平均一次粒子径は、0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.02μm以上である。0.01μmより小さい平均一次粒子径の顔料では塗料化が難しく、取り扱いにくいからである。一方、平均一次粒子径の上限としては、5μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。5μmより大きな平均一次粒子径の疎水性顔料は、塗料状態での気泡の安定化作用が低下し、中間層内に安定した空隙を形成することが困難になる場合があるからである。
【0023】
中間層における上記疎水性顔料と塗膜形成用ポリマーとの含有質量比(疎水性顔料/塗膜形成用ポリマー)は、10/90〜70/30が好ましく、20/80〜50/50がより好ましい。10/90未満では塗料中に安定な気泡を形成することが難しくなり、ひいては中間層の空隙率を高めることができず、大きな断熱効果が期待できない。70/30超では中間層の形成材料となる水系塗料がチキソトロピック性を示すために、感熱記録体の生産性低下の原因となる。
【0024】
中間層に含まれる空隙サイズは、平均径1μm〜50μm程度であり、好ましくは1μm〜20μm程度である。1μmより小さいと、空隙に基づく断熱効果が不十分となり好ましくない。一方、50μmより大きい場合、水系塗料では気泡が浮上分離しやすい状態となって均質な塗料が得にくくなり、また大きな気泡は中間層の平滑性に影響を及ぼすからである。なお、空隙サイズは、電子顕微鏡写真を画像解析装置で測定した値である。
【0025】
中間層に含まれる空隙のサイズは、通常、空隙を包囲するのに用いられる顔料、すなわち第1顔料の平均一次粒子径の約10〜2500倍に相当する。
【0026】
中間層における空隙の含有率は、50〜95%であることが好ましい。50%未満では、十分な断熱効果が得られず、95%超では中間層の形状保持が困難になるからである。ここで、中間層における空隙率(%)とは、次の式で表される。
空隙率=(中間層の面積−固形成分の面積)/中間層の面積×100
【0027】
中間層の面積と固形成分の面積の差は、得られる中間層の断面写真から中間層面積、固形成分の面積を測定し、これらの差として求めることができる。もちろん、最終的に得られる感熱記録体からも、同様にして空隙率を測定することができる。
【0028】
以上のような構成を有する中間層は、次に述べる中間層用水系塗料を塗工し、乾燥することにより得られる。
【0029】
水系塗料を塗工する方法は特に限定しない。従来より採用されている塗工方法、例えばエアーナイフ法、ブレード法、ロッドブレード法、グラビア法、スロットダイ法、ロールコーター法、スプレー法、ディップ法、バー法、カーテン法およびエクストルージョン法などにより塗工することができる。
【0030】
また、水系塗料を塗工し、乾燥した後、スーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法で平滑化処理をしてもよい。
【0031】
〔中間層用水系塗料〕
次に、本発明の中間層を形成するのに適した水系塗料について説明する。
【0032】
本発明で好ましく用いられる水系塗料とは、水性媒体及び疎水性顔料を含有し、且つ気泡が分散されている塗料である。
【0033】
前記疎水性顔料は、それ自体中空構造をもたない粒子であるが、水性媒体中で攪拌混合することにより、微小サイズの気泡の周囲を取り囲むように密集して存在するようになる。すなわち、疎水性顔料が集合して塗料中に微小な中空部分を形成するようになり、この中空部分(気泡)が、塗料が硬化して形成される中間層において空隙となる。
【0034】
本発明に使用される疎水性顔料としては、疎水性を有するものであればよく、前述の中間層に含まれる顔料として列挙したシリカ、酸化チタン等の無機顔料を有機化合物、シラン系化合物、フッ素系化合物等の表面処理剤で表面処理することにより疎水化した顔料のほか、重合方法等により表面が疎水性となっているポリスチレン粒子、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン樹脂フィラー、尿素ホルマリン樹脂フィラーなどのプラスチックピグメントが挙げられる。
【0035】
中間層用水系塗料に用いられる疎水性顔料とは、中間層で第1顔料として好ましく用いられる疎水性顔料のことであり、具体的には、水とメタノールの混合溶液においてメタノールの含有率を高めていったときに濡れはじめるメタノールの体積百分率であらわされるM値が10〜80程度の顔料をいう。疎水化処理が不十分の場合には、M値が10以上とならず、本発明にいう疎水性顔料としては使用できない。
【0036】
中間層用水系塗料で用いられる疎水性顔料の平均一次粒子径は、中間層で用いられる疎水性顔料の好ましい平均一次粒子径、すなわち0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.02μm以上で、5μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。平均一次粒子径が0.01μm未満の疎水性顔料は取り扱いにくく、5μm超の疎水性顔料は、塗料における気泡の安定化作用が低下し、形成される中間層中で所望の空隙率を達成できないからである。
【0037】
本発明の水系塗料に用いられる水性媒体としては、水と塗膜形成用ポリマーの混合物が用いられる。
【0038】
前記塗膜形成用ポリマーとしては、中間層に用いられる塗膜形成ポリマーと同様で、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カゼイン、スチレンマレイン酸共重合体のアルカリ塩などの水溶性樹脂、ポリアクリレート、ポリエステル、スチレンブタジエン系共重合体、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体などの水分散性樹脂などを用いることができ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上併用してもよい。
【0039】
水と塗膜形成用ポリマーの混合割合(質量比)は、水:塗膜形成用ポリマーとして85:15〜40:60であることが好ましい。これらの範囲内において、塗料粘度、得られる水性媒体の表面張力などに応じて適宜選択される。また、M値10〜80で平均一次粒子径が0.01〜5μmの疎水性顔料と塗膜形成用ポリマーとの質量比(疎水性顔料/塗膜形成用ポリマー)は、10/90〜70/30が好ましく、20/80〜50/50がより好ましい。10/90未満では塗料中に安定な気泡を形成することが難しくなり、中間層の空隙率を50%以上とすることができない。70/30超では得られる水系塗料がチキソトロピック性を示すために水系塗料の取り扱いが困難になる。
【0040】
また、使用する水系塗料は見かけの液密度が0.7〜1.0g/cm3となるように、塗膜形成ポリマー、疎水性顔料、水を配合することが好ましい。見かけの液密度が0.7g/cm3未満ではチキソトロピック性が出て、塗工性が低下し、1.0g/cm3超の場合は気泡の含有率が低くなりすぎることを意味し、所望の断熱効果が得られないからである。
【0041】
水系塗料に含まれる気泡の含有率は、形成される中間層の空隙率に対応することになるので、形成しようとする中間層の空隙率に対応させて、設定することが好ましい。水系塗料中の気泡の含有率は、塗料中の疎水性顔料の含有量、使用する疎水性顔料の種類、疎水性顔料と水性媒体の組み合わせ等によっても調節できる。よって、中間層の空隙率が上記範囲内となるように、疎水性顔料の種類、含有量、水性媒体との組み合わせを適宜調節すればよい。
【0042】
以上のような組成を有する水系塗料は、疎水性顔料により包囲されてなる気泡が安定して存在し、しかも形成される気泡は、機械的攪拌等によって形成される気泡のサイズのばらつきよりも小さく、安定して存在している。尚、塗料中に含まれている気泡は、疎水性顔料のみで包囲されている場合だけでなく、疎水性顔料と塗膜形成ポリマーで包囲されている場合もある。
【0043】
水系塗料中に気泡を安定に存在させることができる機構は明らかではないが、疎水性顔料と水性媒体との親和性に関係があると考えられる。すなわち、疎水性顔料と水性媒体の親和性が高すぎず、低すぎない程度の適度な親和性を有することにより達成されると考えられる。両者の親和性が高すぎると、水性媒体中に顔料が粒子レベルで安定に分散してしまうことになり、両者の親和性が低すぎると、顔料と水性媒体とが完全に分離してしまうことになるからである。
【0044】
従って、疎水性顔料と塗膜形成用ポリマーとの組み合わせは、疎水性顔料が微小サイズの空気を包囲するように存在できる組み合わせ、換言すると、水系塗料中に気泡が安定して存在し得る組み合わせを選択することが好ましい。また、塗料中に含まれる気泡サイズは、疎水性顔料と塗膜形成用ポリマーとの組み合わせに依存するので、水系塗料に含まれる気泡のサイズ、量に応じて、疎水性顔料の種類、量、粒径、塗膜形成用ポリマーの種類、量、及びこれらの組み合わせを選択すればよい。
【0045】
ここで、水性媒体に使用される塗膜形成用ポリマーの種類、または組み合わされる疎水性顔料によっては、所望の気泡を含有させることができない場合であっても、水性媒体の表面張力を変えることができる表面張力調整剤を適宜添加することにより、気泡を形成して安定に存在させることが可能となる。
【0046】
表面張力調整剤としては、界面活性剤;メタノール、エタノール等の低級アルコール;アセトン等の低級ケトンなどが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、新・界面活性剤入門(藤本武彦著 三洋化成工業発行)に記載されているような公知の界面活性剤が使用できる。具体的には、芳香族あるいは脂肪族のカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤;芳香族あるいは脂肪族の第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤;芳香族あるいは脂肪族のアミノ酸型、ベタイン型などの両性界面活性剤;ポリオキシエチレングリコール型非イオン界面活性剤;多価アルコール型非イオン界面活性剤;アセチレングリコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物、アセチレンアルコール、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などがあげられる。これらの表面張力調整剤は、1種類だけ用いても良いし、必要に応じて、2種類以上併用してもよい。
【0047】
中間層用水系塗料は、塗工性を改良するために、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシメチルセルロース等の保水剤を含有することが好ましい。塗膜形成ポリマーとして、分子内に多数の水酸基やカルボキシル基を有している親水性ポリマー(例えばポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロース)を含有していない場合、保水剤を添加することは有効である。中間層用水系塗料に保水剤が含有されている場合、中間層用水系塗料を支持体上に塗工した後、中間層用水系塗料中の水が支持体に移行することを抑制できる。これにより、嵩高い中間層を形成できるほか、中間層の表層付近に気泡が残って平滑度が低下することを防止できる。また、中間層用水系塗料を塗工した後、ブレードなどで余分な塗料を掻き落とす作業を保水状態(いわゆるウェットな状態)にある中間層について行うことができるため、中間層の表面にブレード等による擦傷跡がつかずに済む。
【0048】
本発明で使用する中間層用水系塗料には、疎水性顔料と水性媒体のバランスを壊さない範囲内すなわち疎水性顔料による気泡の形成を損なわない範囲内であれば、第1顔料として用いられる疎水性顔料以外の顔料(具体的には疎水性を有するもののM値が10未満の顔料や親水性顔料が該当し、以下、これらを「第2顔料」という)、濡れ剤、消泡剤などの添加剤を含有してもよい。ここで、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成クレーなどは、疎水性に変えるための表面処理を行わなければ親水性顔料に該当し、スチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等のプラスチックピグメントであっても親水性のものもある。尚、第2顔料が含まれる場合、第1顔料と第2顔料の合計質量と塗膜形成ポリマーの含有質量の比率(顔料:塗膜形成ポリマー)は、10:90〜90:10の範囲内となるようにすることが好ましい。
【0049】
上記水系塗料は、必須成分としての水性媒体及び中間層において第1顔料となる疎水性顔料を混合し、更に必要に応じて表面張力調整剤及び適宜添加剤を混合することにより製造される。これらの成分を混合する順番は特に限定しない。また、水性媒体に含まれる塗膜形成ポリマーについても、最終的に調製される塗料の状態で所定量の塗膜形成ポリマーが含有されていればよく、予め所定濃度の塗膜形成ポリマーを含有する水性媒体として混合するほか、塗膜形成ポリマーの一部を含有する水性媒体をまず調製し、さらに塗膜形成ポリマーを適宜段階で添加して、所要濃度の塗膜形成ポリマーを含むようにしてもよい。表面張力調整剤を含む場合には、水性媒体又は塗膜形成ポリマーの一部を含有する液又は水に、予め表面張力調整剤を含有させておき、それに疎水性顔料を分散させてもよいし、疎水性顔料を水性媒体に分散させた後、表面張力調整剤を追加してもよいし、塗膜形成ポリマーの一部を含有する液又は水に疎水性顔料を分散させた後、表面張力調整剤を添加し、さらに塗膜形成ポリマーを追加して所定濃度の水性媒体が調製されるようにしてもよい。また、保水剤を添加する場合、塗膜形成ポリマー及び疎水性顔料を混合して気泡を形成させた後に添加することが好ましい。保水剤の添加は気泡の形成に影響を及ぼす場合があるからである。また、添加剤を含有する場合には、添加剤は、適宜段階で添加できる。
【0050】
このようにして調製される水系塗料は、気泡が安定に存在している。塗料中の気泡の大きさは、含有される疎水性顔料のサイズ、量、疎水性顔料の疎水性の程度と水性媒体との関係等に応じて適宜決定される。本発明では、形成しようとする中間層との関係から、気泡の平均径が1μm〜50μm程度となるように調製することが好ましい。
【0051】
〔感熱記録層〕
本発明の感熱記録体に用いられる感熱記録層は、ロイコ染料と顕色剤の組み合わせ、及び接着剤を含んでいる。
【0052】
本発明において、感熱記録層に含有される無色ないし淡色のロイコ染料としては、各種公知のものが挙げられ、例えば、トリアリール系、ジフェニルメタン系、チアジン系、スピロ系、ラクタム系、フルオラン系などのロイコ体が好ましく使用できる。
【0053】
例えば、黒色発色を与えるロイコ染料としては、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ]−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,6−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2,4−ジメチル−6−(4−ジメチルアミノアニリノ)フルオランおよび3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を用いることができる。
【0054】
上記黒色発色を与えるロイコ染料のうち、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,6−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2,4−ジメチル−6−(4−ジメチルアミノアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオランは地肌かぶりを生じにくいという点で好ましい。
【0055】
赤もしくは赤紫、オレンジ色系統の発色を与えるロイコ染料としては、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(p−ニトロ)アニリノラクタム、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(o−クロロ)アニリノラクタム、3−ジメチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−tert−ブチルフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−メチルフルオラン、3−(N−エチル−N−トリルアミノ)−7−エチルフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−クロロフルオラン、および3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7,8−ベンゾフルオラン等をあげることができる。
【0056】
赤色、赤紫色、オレンジ色系統の発色を与えるロイコ染料としては、さらに3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3−トリルアミノ−7−メチルフルオラン、3−トリルアミノ−7−エチルフルオラン、2−(N−アセチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−プロピオニルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベンゾイルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−カルボブトキシアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ホルミルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−ベンジルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(N−アリルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、および2−(N−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオランをあげることができる。
【0057】
赤色、赤紫色、およびオレンジ色系統の発色を与えるロイコ染料として、さらに3,3’−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3’−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3’−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕、7−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−3−メチル−1−p−メチルフェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕、および7−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−3−メチル−1−フェニルスピロ〔(1,4−ジヒドロクロメノ〔2,3−c〕ピラゾール)−4,3’−フタリド〕などをあげることができる。
【0058】
青色発色を与えるロイコ染料としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−n−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、および3−ジフェニルアミノ−6−ジフェニルアミノフルオランなどをあげることができる。
【0059】
緑色発色を与えるロイコ染料としては、3−(N−エチル−N−n−ヘキシルアミノ)−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)−7−(N−フェニル−N−メチルアミノ)フルオラン、3−〔p−(p−アニリノアニリノ)アニリノ〕−6−メチル−7−クロロフルオラン、および3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリドなどをあげることができる。これらのうち、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリドが、地肌かぶりが少ないという点から好ましい。
【0060】
黄色系統の発色を与えるロイコ染料として、3,6−ジメトキシフルオラン、および1−(4−n−ドデシルオキシ−3−メトキシフェニル)−2−(2−キノリル)エチレンなどがある。
【0061】
上記ロイコ染料は単独で使用してもよいし、目的とする発色色調を得たり、保存性を高めるために2種以上併用してもよい。
【0062】
ロイコ染料と共に併用される顕色剤としては、公知のものを用いる事ができる。例えば下記の如き公知のものが挙げられるが、これに限るものではない。例えば、4−tert−ブチルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec −ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、ハイドロキノン、4,4’−シクロヘキシリデンビスフェノール、4,4’−(1,3−ジメチルブチリデン)ビスフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチル−ペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−ベンジルオキシジフェニルスルホン、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール、2,2’−〔4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ〕ジエチルエーテル、1,3,3−トリメチル−1−(p−ヒドロキシフェニル)−6−ヒドロキシインダン、4−ヒドロキシ−4’−メトキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−3’,4’−トリメチレンジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−3’,4’−テトラメチレンジフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,3−ジ〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕ベンゼン、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、p−ヒドロキシ−N−(2−フェノキシエチル)ベンゼンスルホンアミド、1,8−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,6−ジオキサ−オクタン、(4−ヒドロキシフェニルチオ)酢酸−2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)エチルエステル、ノボラック型フェノール樹脂、フェノール重合体等のフェノール性化合物、N−(p−トリルスルホニル)カルバモイル酸−p−クミルフェニルエステル、4,4’−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、4,4’−ビス(N−p−トリルスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルスルホン、N−(p−トリルスルホニル)−N’−p−ブトキシカルボニルフェニルウレア、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア、N−p−トリルスルホニル−N’−3−(p−トリルスルホニルオキシ)フェニルウレアなどの分子内に−SO2NH−結合を有するもの、p−クロロ安息香酸亜鉛、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸亜鉛などの芳香族カルボン酸の亜鉛塩などが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0063】
顕色剤としては、無色ないし淡色のロイコ染料に対して50〜500質量%を含むことが好ましい。
【0064】
感熱記録層には、必要に応じて増感剤を添加することができる。
【0065】
増感剤としては、例えばステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が挙げられる。増感剤は2種以上併用してもよい。
【0066】
これらの増感剤の含有量は特に限定されないが、一般に顕色剤に対して400質量%以下の範囲とするのが望ましい。
【0067】
感熱記録層には、主に発色記録画像の保存性向上のために、保存性向上剤を含んでもよい。
【0068】
保存性向上剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノール、および4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビスフェノールなどのフェノール系の化合物、4−ベンジルオキシフェニル−4’−(2−メチル−2,3−エポキシプロピルオキシ)フェニルスルホン、4−(2−メチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン、および4−(2−エチル−1,2−エポキシエチル)ジフェニルスルホン等のエポキシ化合物、並びに1,3,5−トリス(2,6−ジメチルベンジル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチル)イソシアヌル酸などのイソシアヌル酸化合物から選ばれた1種以上を含むものを用いることができる。もちろん、保存性向上剤はこれらに限定されるものではなく、又必要に応じて2種類以上の化合物を併用することもできる。
【0069】
接着剤としては、例えばポリビニルアルコール及びその誘導体、澱粉及びその誘導体、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド−アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド−アクリル酸エステル−メタアクリル酸エステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩、カゼイン、ゼラチン及びそれらの誘導体等の水溶性高分子材料;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の水性エマルジョン;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル系共重合体などの水不溶性重合体のラテックスなどをあげることができる。
【0070】
感熱記録用塗液における接着剤の含有量としては、5〜35質量%程度が好ましい。
【0071】
以上のような感熱記録層を形成する感熱記録用塗料は、一般に水を分散媒体とし、上記ロイコ染料、顕色剤、必要に応じて添加されている増感剤、保存性向上剤を、一緒にまたは別々にボールミル、アトライター、サンドミルなどの粉砕機により粉砕した後、接着剤、必要により下記助剤を添加し、混合攪拌して調製される。
【0072】
感熱記録層用塗液中に必要に応じて添加される助剤としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、焼成クレー、シリカ、ケイソウ土、合成ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、表面処理された炭酸カルシウムやシリカなどの無機顔料;尿素−ホルマリン樹脂、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂等の有機顔料;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、脂肪酸金属塩等の分散剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等のワックス類;グリオキザール、ジアルデヒド澱粉などのアルデヒドを有する化合物、尿素ホルマリン樹脂、メラミン−ホルマリン樹脂、メチロール尿素、ケトン樹脂等のメチロール基を有する化合物、ポリアミドエポキシ樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン、グリセロールポリグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン系化合物、キトサン、ほう酸、ほう砂、炭酸アンモニウムジルコニウム等の耐水化剤;紫外線吸収剤;消泡剤;蛍光染料;着色染料;離型剤;酸化防止剤等が挙げられる。
【0073】
以上のような組成を有する感熱記録層用塗液を、支持体上に設けられた中間層上に塗布、乾燥して形成される。
【0074】
塗工方法は特に限定せず、中間層用塗料の塗工の場合と同様の塗工方法を適用することができる。例えばエアーナイフ法、ブレード法、ロッドブレード法、グラビア法、ロールコーター法、スロットダイ法、スプレー法、ディップ法、バー法、カーテン法およびエクストルージョン法などの既知の塗工方法が挙げられる。
【0075】
感熱記録用塗液の塗工量としては、乾燥重量で2〜12g/m2、好ましくは3〜7g/m2程度である。
【0076】
感熱記録層は、塗工乾燥後に、スーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法で平滑化処理してもよい。
【0077】
〔保護層〕
本発明の感熱記録体は、感熱記録層の耐薬品性、耐水性を高めたり、或いは記録走行性を高めることを目的として、感熱記録層上に、さらに保護層を設けてもよい。かかる保護層は、塗膜形成用ポリマー、および必要に応じて添加される顔料を含有する保護層用塗液を感熱記録層上に塗布乾燥して形成される。
【0078】
保護層用塗液中に含有される塗膜形成用ポリマーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体塩、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩、エチレン−アクリル酸共重合体塩、スチレン−アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、アクリル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス等が挙げられる。
【0079】
保護層用塗液には、上記感熱記録層塗液中に添加し得る助剤を添加することもできる。
【0080】
保護層用塗液の塗布量は乾燥重量で0.5〜10g/m2、好ましくは1〜5g/m2程度である。
【0081】
保護層用塗液を塗布する方法は特に限定せず、中間層用塗液、感熱記録層用塗液を塗工するのに用いられる方法を用いることができる。
【0082】
〔その他の付与層〕
本発明の感熱記録体には、必要に応じて、さらに別の層が設けられていてもよい。
【0083】
例えば、感熱記録体の表面光沢性や耐水性を高めるために、感熱記録層上または保護層上に、電子線または紫外線硬化性化合物を主成分とする層を設けることができる。電子線硬化性化合物としては、特開昭58−177392号公報、特開昭62−279980号公報などに開示されている化合物を用いることができる。電子線硬化性化合物含有塗液中には、電子線硬化性化合物のほか、非電子線硬化樹脂、顔料、および消泡剤、レベリング剤、滑剤、界面活性剤、可塑剤等の添加剤を適宜添加することもできる。特に、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの顔料や、ワックス類、シリコンなどの滑剤を添加することは、サーマルヘッドに対するスティッキング防止に役立つため好ましい。このような電子線硬化性化合物含有塗液を塗布した後、電子線を照射して、硬化すれば、電子線硬化層が形成される。塗布量としては、0.5〜10g/m2程度が好ましい。
【0084】
また、平滑度を高める目的で、中間層と感熱記録層との間に、水性接着剤を主成分とする塗工層を設けてもよい。感熱記録層が形成される直下の土台となる層の平滑度の向上は、感熱記録体の中では比較的高価な感熱記録層用塗液の塗布量の減量につながり、感熱記録体のコストダウンを図ることが可能となる。
【0085】
また、支持体と中間層との間に、中間層用水系塗料が支持体に染み込むのを抑制したり、支持体の平滑度を高めるために、水性接着剤を主成分とする塗工層を設けてもよい。
【0086】
さらにまた、支持体の感熱記録層が設けられていない側に、水性接着剤を主成分とする塗工層(バックバリヤー層)を設けて、カールの防止や耐薬品性を向上させてもよい。
【0087】
またさらに、感熱記録層は支持体の一側層に設ける場合に限定されず、支持体の両側に設けて、両面に感熱記録を行えるようにしてもよい。
【0088】
また、ラベル等に使用する場合、支持体の感熱記録層が設けられていない側の面に粘着剤層を設けても良い。
【0089】
さらに、磁気記録方式を併用している感熱記録体の場合、支持体の感熱記録層が設けられていない側の面上、又は支持体と感熱記録層との間、又は感熱記録層上に、磁気記録層を設けてもよい。磁気記録層としては、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂等のバインダー中に、γ-Fe23、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の磁性粉を分散した塗料又はインクを塗布又は印刷することにより形成される。磁気記録層上に感熱記録層が設けられる場合、磁気記録層の着色をいんぺいするために、磁気記録層と感熱記録層との間に、アルミペーストや酸化チタン等のいんぺい材を分散させたいんぺい層を介在させておくことが好ましい。
【0090】
以上のような層は、いずれも、必要に応じて、スーパーカレンダーやソフトカレンダーなどの既知の平滑化方法で、平滑化処理をしてもよい。
【0091】
本発明の感熱記録体は、支持体上に中間層、更に中間層上に感熱記録層が設けられ、さらに必要に応じて保護層等の層が積層、介層したものである。これらの層のいずれかには、予めUVインキ、フレキソインキなどで、会社名等の文字や模様等が印刷されていてもよい。
【0092】
以上のような構成を有する感熱記録体は、支持体と感熱記録層との間に設けられた中間層が高い空隙率を有し、断熱性に優れているので、感熱記録層に与えられた熱エネルギーが放散されることなく、有効に発色反応に利用されるので、少ない熱エネルギーで高い印字濃度を実現することができる。
【0093】
【実施例】
本発明を下記実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。以下の実施例において、「質量部」は単に「部」と略記する。
【0094】
〔測定、評価方法〕
はじめに、以下の実施例で用いた測定、評価方法について説明する。
【0095】
(1)M値
10mlの試験管に、5〜30℃の水とメタノールとの混合物を約5ml採取し、該混合液中にミクロスパーテルで1〜2杯程度の量の顔料を添加して2回振とうさせた後、顔料が沈降し始めるときの当該混合液中のメタノールのvol%として測定した。
【0096】
(2)表面張力(mN/m)
水性媒体の表面張力をデュヌーイ表面張力計(TOMBO BORL社製)を用いて25℃で測定した。
【0097】
(3)顔料の平均一次粒子径
得られた塗工層を凍結割断でカットし、その断面の電子顕微鏡写真に基づいて、顔料の長径及び短径を計測し、平均値を顔料の平均一次粒子径(μm)とした。
【0098】
(4)中間層中の空隙サイズ(μm)、空隙率(%)
形成した感熱記録体を凍結割断でカットし、その中間層にあたる断面を電子顕微鏡で観察して空隙が観察された場合、電子顕微鏡写真に基づいて、各空隙の長径及び短径を計測し、平均値を空隙のサイズ(μm)とした。
【0099】
顕微鏡写真の視野において、各空隙の面積の和を求め、下式により、空隙率(%)を求めた。
空隙率=中間層の空隙面積合計÷中間層の視野面積×100
尚、空隙が観察されなかった場合、「―」で示す。
【0100】
(5)平滑度
JIS P8119に規定するべック平滑度試験機による平滑度試験方法に準じて測定した。
【0101】
(6)発色濃度
感熱記録体評価機(商品名:TH−PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー0.35mJ/ドットの条件で記録させ、記録部の濃度をマクベス濃度計(RD−914型、マクベス社製)で、ビジュアルモードで測定した。
【0102】
〔中間層用水系塗料の調製〕
中間層用塗料No.1
アクリル樹脂を含むアクリルエマルジョン(商品名:NFA−830、固形分濃度40%、帝国化学社製)667部に水377部を添加して水性媒体を調製した。この水性媒体を、カウレス型撹拌機で撹拌しながら、疎水性シリカ(商品名:ニップシールSS−50F、M値60、平均一次粒子径0.02μm、日本シリカ社製)67部を添加した。得られた分散液100部を分取し、液体脱泡装置MS−SNB350N(松尾産業社製)を用いて、脱泡処理条件CH14(ステップ1:公転7、自転なしで6分間、ステップ2:公転9、自転7で3分間の2段階処理)で脱泡処理して、水系塗料を調製した。
【0103】
中間層用塗料No.2〜6
塗膜形成ポリマーの種類、量、及び顔料の種類、量を表1に示すように変えた以外は、中間層用塗料No.1と同様にして中間層用塗料を調製した。
【0104】
中間層用塗料No.7
中間層用塗料No.2の疎水性炭酸カルシウムに代えて、軽質炭酸カルシウム(商品名:ブリリアント15、M値0、白石工業社製、平均一次粒子径0.2μm)を用い、脱泡処理をおこなわなかった以外は塗料No.2と同様にして調製した。
【0105】
中間層用塗料No.8
顔料として焼成カオリンを使用した。固形分濃度50%のスチレン−ブタシエン系ラテックス(商品名:L−1571、旭ダウ社製)60部と水200部の混合液に、さらに焼成カオリンの分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム40%水溶液2部を添加し、混合攪拌して、中間層用塗料No.8を調製した。
【0106】
〔感熱記録層用塗液の調製〕
A液の調製
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部及び水25部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
【0107】
B液の調製
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン20部、メチルセルロースの5%水溶液5部および水25部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕した。
【0108】
感熱記録層用塗液の調製
A液25部、B液50部、ポリビニルアルコールの10%水溶液100部、固形分濃度50%のスチレン−ブタジエン系ラテックス20部、および軽質炭酸カルシウム50部を混合攪拌して得た感熱記録層用塗液を調製した。
【0109】
〔保護層用塗液の調製〕
アセトアセチル化ポリビニルアルコール(商品名:Z−100、日本合成化学社製、平均重合度450、ケン化度98%)の10%水溶液650部、カオリン(商品名:UW−90、EMC社製)30部、ステアリン酸亜鉛の30%分散液17部、グリオキザール40%液2.5部を混合攪拌して得られた保護層用塗液を調製した。
【0110】
〔感熱記録体の作製〕
支持体として、秤量50g/m2の上質紙を使用した。
【0111】
この支持体の一面に、上記で調製した中間層用塗料を塗工した後、乾燥して中間層を形成した。中間層用塗料の塗工量は、中間層用塗料No.1〜6,8については10g/m2、中間層用塗料No.7については40g/m2とした。
【0112】
中間層上に、感熱記録用塗液を乾燥後の塗布量が5g/m2、となるように塗布した後、乾燥して感熱記録層を形成し、次いでこの感熱記録層の上に、保護層用塗液を4g/m2となるように塗工して乾燥し、保護層を形成した。
【0113】
保護層を設けた後に、スーパーカレンダー処理した。保護層面側のベック平滑度は800秒であった
以上のようにして形成した感熱記録体について記録濃度を評価した。評価結果を表1に示す。
【0114】
【表1】
Figure 0003821003
【0115】
尚、表1中の塗膜形成用ポリマーの量は固形分量を示しており、水量はエマルジョンに含まれていた水量と添加した水量の合計量を示している。また、表1中の化合物としては、下記のものを使用した。
【0116】
アクリル:帝国化学社製のアクリルエマルジョン「NFA−830」、固形分濃度40%
SBR1:三井化学社製のスチレンブタジエンラテックス「ボンロンS−1120」、固形分濃度45%
SBR2:旭ダウ社製のスチレンブタジエンラテックス「L−1571」、固形分濃度50%
疎水性シリカ:日本シリカ製の「ニップシールSS−50F」、平均一次粒子径0.02μm
シリカ:水澤化学社製の「ミズカシルP527」、平均一次粒子径0.02μm
ポリエチレン処理シリカ:水澤化学社製の「P802Y」で、シリカをポリエチレン処理したもの、平均一次粒子径0.02μm
パラフィン処理シリカ:水澤化学社製の「NP―8」で、シリカをパラフィン処理したもの、平均一次粒子径0.02μm
疎水性炭酸カルシウム:丸尾カルシウム社製の「カルファイン100」、平均一次粒子径0.15μm
焼成カオリン:EC社製の「アンシレックス」、吸油量90ml/100g、平均一次粒子径1μm
炭酸カルシウム:白石工業社製の「ブリリアント15」、平均一次粒子径0.2μm
【0117】
〔評価結果〕
No.1〜3で使用した顔料は、M値10以上の疎水性を示し、本発明の第1顔料に該当する。また、No.4〜8で使用した顔料はいずれもM値が0で、第2顔料に該当する。
【0118】
感熱記録体No.1〜3の中間層は、図1及び図2に示すように、空隙を有し、且つ空隙の周囲は第1顔料で包囲されている。図2中、1が空隙であり、2は支持体の構成成分であるパルプ繊維である。空隙1を拡大すると、空隙の周囲を第1顔料粒子3が取り囲んでいることがわかる。この第1顔料粒子3は、サイズから二次粒子であると考えられる。このような空隙を有する中間層を有する感熱記録体は、いずれも高い発色濃度を示し、多孔質の中間層による断熱効果が発揮されていることがわかる。また、No.1〜3の比較からわかるように、中間層の空隙率が大きい程、断熱効果が大きく、発色濃度が高くなっている。
【0119】
感熱記録体No.4〜6は、中間層用塗料が透明で、気泡の存在が認められなかった。従って、形成される中間層に空隙はなく、いずれも発色濃度は低かった。
【0120】
感熱記録体No.7は、機械的攪拌により中間層用塗料を泡立て、空隙を有する中間層を形成したものである。このような中間層用塗料から形成される塗工層(中間層に該当)の空隙4は、図3(a)及び図4(a)に示すように、第1顔料を使用することにより形成される空隙よりも大きいものが多かった。また図3(b)及び図4(b)に示されるように、第2顔料5は気泡4の周囲に偏在することなく、塗膜形成ポリマー部分6にも分散していた。さらに塗料中の気泡が安定しないためか、空隙率は20%で、No.1〜3と比べて低かった。空隙率が低かったためか、発色濃度は、空隙が全くないNo.4〜6よりは高かったものの、No.1〜3よりも低かった。
【0121】
感熱記録体No.8は、1000倍の顕微鏡写真(図5(a))では、空隙の存在はほとんど観察できなかった。しかしながら、3500倍に拡大した顕微鏡写真(図5(b))によれば、塗膜形成ポリマーと結着した第2顔料(写真の灰色部分)と第2顔料との間や第2顔料の周囲間にボイドが生じていることが認められた。図6(b)中、7はボイドすなわち空隙であり、8は塗膜形成ポリマーと結着した第2顔料である。このようなボイドを空隙として空隙率を算出したが、ボイドに基づく空隙率は、塗料組成を工夫することにより形成した場合と比べて小さい。すなわち、ボイドに基づく空隙率は50%以上とすることはできず、発色濃度も空隙がない場合よりも高いものの、No.1〜3よりも低かった。
【0122】
【発明の効果】
本発明の感熱記録体は、支持体と感熱記録層との間に、空隙率が高い中間層が設けられているので、感熱記録層に与えられた熱エネルギーを有効に利用して高い印字濃度を発揮することができる。
【0123】
また、このような中間層は、第1顔料と水系媒体の組み合わせを工夫することにより微小な気泡が安定して存在している水系塗料を塗工乾燥することにより形成されるので、感熱記録体のコストアップを抑え、生産性に影響を及ぼさずに済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は感熱記録体No.3の中間層の1000倍の顕微鏡写真であり、図1(b)は図2(a)のA部の3500倍の電子顕微鏡写真である。
【図2】 図2(a)は図1(a)を模写した模式図であり、図2(b)は図1(b)を模写した模式図である。
【図3】 図3(a)は感熱記録体No.7で使用した中間層用塗料を支持体に塗工して形成される中間層に該当する層の1000倍の顕微鏡写真であり、図3(b)は気泡部分の3500倍の電子顕微鏡写真である。
【図4】 図4(a)は図3(a)を模写した模式図であり、図4(b)は図3(b)を模写した模式図である。
【図5】 図5(a)は感熱記録体No.8の中間層の1000倍の顕微鏡写真であり、図5(b)は図6(a)のB部の3500倍の電子顕微鏡写真である。
【図6】 図6(a)は図5(a)を模写した模式図であり、図6(b)は図5(b)の一部を模写した模式図である。
【符号の説明】
1 空隙
2 パルプ繊維
3 第1顔料粒子
4 空隙
5 第2顔料粒子
6 塗膜形成ポリマー部分
7 空隙
8 第2顔料とポリマーの結着部分

Claims (5)

  1. 支持体と、該支持体の一面上に設けられた中間層と、該中間層上に設けられ且つ熱エネルギーにより発色する感熱記録層とを含む感熱記録体であって、前記中間層が、M値が10〜60、平均1次粒子径が0.01〜5μmの水性顔料である第1顔料で包囲された空隙を含有し、そしてこの空隙サイズが平均径1μm〜50μmであることを特徴とする感熱記録体。
    ここでM値とは、10mlの試験管に、5〜30℃の水とメタノールの混合物を約5ml採取し、該混合液中にミクロスパーテルで1〜2杯程度の量の顔料を挿入して2回振とうさせた後、顔料が沈降し始めるときの当該混合液中のメタノールのvol%として測定される値である。
  2. 前記中間層は、前記疎水性顔料及び塗膜形成ポリマーを含有していて、該疎水性顔料と該塗膜形成ポリマーの含有質量比率(疎水性顔料:塗膜形成ポリマー)は10:90〜70:30である請求項に記載の感熱記録体。
  3. 前記中間層は、前記第1顔料、該第1顔料以外の顔料(第2顔料)、及び塗膜形成ポリマーを含有していて、該第1顔料及び第2顔料の含有質量合計と該塗膜形成ポリマーの含有質量の比率(顔料:塗膜形成ポリマー)は10:90〜90:10である請求項1〜のいずれかに記載の感熱記録体。
  4. 前記空隙サイズは、前記第1顔料の平均一次粒子径の10〜2500倍である請求項1〜のいずれかに記載の感熱記録体。
  5. 前記中間層の空隙率は、50〜95%である請求項1〜のいずれかに記載の感熱記録体。
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