JP3820980B2 - 露出コンセント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工事現場などに仮設して用いられる露出コンセントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の露出コンセントとしては、それぞれ平板状に形成され、互いに平行に配設された一対の平行栓刃がそれぞれ挿入される栓刃挿入口が器体の前面に開口し、この栓刃挿入口に臨むようにして刃受部を器体内部に収納したものが従来より提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の露出コンセントでは、栓刃挿入口に対して平行栓刃をまっすぐに抜き差しするようになっており、平行栓刃の抜け止めがされていなかったため、仮設現場などで使用する場合に、足でコードを引っ掛かけるなどしてコードに引っ張り力が加わると、露出コンセントからプラグが抜けてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、誤ってプラグが抜けるのを防止するとともに、刃受部と端子板とのかしめ部に外力が加わってかしめが外れるのを防止した露出コンセントを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、プラグの栓刃がそれぞれ挿入される複数の栓刃挿入口が前面に設けられ、施工面に露出した状態で取り付けられる器体と、器体の内部に納装され各栓刃挿入口から差し込まれる栓刃にそれぞれ電気的に接続する複数の刃受部と、少なくとも一つの刃受部に設けられ栓刃が接続した状態で栓刃と係合してプラグの抜け止めを行う抜止部と、器体の内部に納装され各刃受部にそれぞれ電気的に接続される複数の端子板及び各端子板に外部から挿入される外部電線を弾接させる複数の鎖錠ばねからなる速結端子構造の端子と、を備え、刃受部は端子板にかしめ固定されており、器体はボディとカバーとを結合して構成され、ボディ及びカバーの結合状態において、ボディ又はカバーの内の一方との間で、刃受部と端子板とのかしめ部を挟持する第1の押さえリブを、ボディ又はカバーの内の他方に設けたことを特徴とし、端子板と鎖錠ばねとで構成される速結端子構造の端子を備えているので、特別な工具を用いることなく外部電線を端子部に容易に接続することができ、しかも抜止部で栓刃の抜け止めを行っているので、電源コードに足が引っ掛かかるなどしてプラグに力が加わったとしても栓刃が抜けるのを防止できる。
【0006】
また、電源コードに足を引っ掛けるなどしてプラグに力が加わった場合、抜止部で抜け止めを行っているために刃受部に外力が加わるが、刃受部と端子板とのかしめ部を第1の押さえリブとボディ又はカバーとの間で挟持しているので第1の押さえリブでプラグに加わる外力を受けることができ、かしめ部に外力が加わってかしめが外れるのを防止できる。
【0007】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、器体はボディとカバーとを結合して構成され、ボディ及びカバーの結合状態において、ボディ又はカバーの内の一方との間で、鎖錠ばねと対向する端子板の部位を挟持する第2の押さえリブを、ボディ又はカバーの内の他方に設けたことを特徴とし、電源コードに足を引っ掛けるなどしてプラグに力が加わった場合、抜止部で抜け止めを行っているために刃受部に外力が加わり、刃受部に加わった外力によって端子板が変形する虞があるが、端子板を第2の押さえリブとボディ又はカバーとの間で挟持しているので第2の押さえリブで端子板に加わる外力を受けることができ、端子板が変形して電線の抜けや接触不良が発生するのを防止できる。
【0008】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、刃受部は、栓刃に電気的に接続される刃受ばねと、該刃受ばねから連続一体に延設され端子板にかしめ固定される取付片とを有し、取付片を、刃受ばねよりも、端子板における鎖錠ばねとの対向部位からより遠い位置に配置したことを特徴としている。取付片が、刃受ばねよりも、端子板における鎖錠ばねとの対向部位からより近い位置に配置されていると、プラグに引っ張り力が加わって刃受ばねに外力が加わった場合、刃受ばねに加わった外力の影響で端子板における鎖錠ばねとの対向部位が変形する虞があるが、取付片を、刃受ばねよりも、端子板における鎖錠ばねとの対向部位からより遠い位置に配置しているので、鎖錠ばねとの対向部位からより遠い位置で刃受部をかしめ固定することができ、刃受ばねに加わった外力の影響を端子板における鎖錠ばねとの対向部位が受けにくくなるから、鎖錠ばねとの対向部位が変形して外部電線の脱落や接触不良などの不具合が発生するのを防止できる。
【0010】
請求項4の発明では、請求項1乃至3の何れかの発明において、栓刃挿入口は、電源用の栓刃が挿入される電源側栓刃挿入口と、接地極用の栓刃が挿入される接地側栓刃挿入口とで構成され、刃受部は、電源側栓刃挿入口から挿入される電源用の栓刃に接続される電源側刃受部と、接地側栓刃挿入口から挿入される接地極用の栓刃に接続される接地側刃受部とで構成されることを特徴とし、接地極が設けられていないプラグと、接地極付きのプラグの両方を接続することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0012】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1乃至図6を参照して説明する。尚、以下に説明する各実施形態では、特にことわりがなければ、図2(a)の向きにおいて上下左右の方向を規定し、また図2(a)における正面を前面という。したがって、図2(b)における上端は後端になる。
【0013】
露出コンセントAの器体1は合成樹脂製のボディ2及びカバー3から構成される。ボディ2の四隅近傍にはタッピングねじからなる組立ねじ14を挿通する挿通孔2aが形成されており、この挿通孔2aに挿通した組立ねじ14を挿通孔2aに対応してカバー3の背面側に形成されたねじ穴(図示せず)に螺着することで、ボディ2とカバー3とが結合される。
【0014】
ボディ2は前面が開口する略矩形箱状に形成され、四隅には器体1を施工面に取り付けるための取付ねじ(図示せず)を挿通する長孔状のねじ挿通孔2bが形成されている。ボディ2前面の略中央部には複数の隔壁8が底面より立設されており、これら隔壁8によって電源用の端子板20A,20Bと接地極用の端子板20Cとを各々収納する収納部9a,9b,9cが形成されている。
【0015】
ボディ2の長手方向の一端側の内部空間は、ボディ2の長手方向に沿って走る2条の隔壁10で3つの収納空間に分離され、各収納空間に3つの端子部(電源用の端子部22A,22B、接地極用の端子部22C)が収納される。また、このボディ2の端部にはカバー3と組み合わせた状態で電線挿入口11となる3つの凹部11aが形成してある。なお、これらの凹部11aは、電線挿入口11の内部が奧に行くほど細径となり、電線の芯線が後述する端子部22A〜22Cの接触片22bと鎖錠ばね15との間に確実に位置決めされる形状に形成してある。
【0016】
ここで、電源用の一方の端子板20Aは、図1、図3及び図5に示すように、外部電線が接続される端子部22Aと、一対の刃受部21A,21Aがかしめ等により固定される接続片23Aとで構成され、端子部22Aと接続片23Aとは導電材料の板金に折曲加工を施すことによって連続一体に形成してある。
【0017】
端子部22Aは断面コ字形に形成されており、中央片22aを収納空間の一内側面に当接させ、この中央片22aのカバー3側から横向きに、内側面に外部電線の芯線が接触する接触片22bを延設するとともに、中央片22aのボディ2側から横向きに、内側面に鎖錠ばね15が当接する当接片22cを延設している。尚、当接片22cの中央寄りの端部は内側に折曲され、鎖錠ばね15の移動を規制する規制片22dが形成されている。さらに、中央片22aと当接片22cとの角部には、鎖錠ばね15を押さえる押さえ片22eが切り起こしにより形成されている。また、中央片22aの中央寄りの端部からは接続片23Aが連続一体に延設されており、この接続片23Aの略中央部のボディ2側には、ボディ2の隔壁12と嵌合してボディ2に位置決めして仮止めするための位置決め溝23aが形成してある。
【0018】
刃受部21Aは、互いに対向配置されて平板状の栓刃を挟持する円弧状の一対の刃受ばね21a,21bと、刃受ばね21a,21bの基端縁同士を連続一体に連結する連結片21cとが、弾性を有する導電性金属材料によって一体に形成されたもので、一方の刃受ばね21aの基部からは接続片23Aにかしめ固定される取付片21dが連続一体に延設されている。なお、一対の刃受ばね21a,21bは、それぞれ先端側が幅広に形成され、刃受ばね21a,21bの間に栓刃を挿入し易くなっている。また、他方の刃受ばね21bには、一方の刃受ばね21aと対向する部位に、平行栓刃に形成されている透孔(図示せず)と係合して、両刃受ばね21a,21bの間に挟持された平行栓刃を抜け止めする抜止部としての係合突起21eが突設されている(図3及び図6参照)。また、取付片21dには、接続片23Aに突設された突起23cに嵌合する嵌合孔21gが設けられており、かしめ鋲26を接続片23Aに設けた挿通孔23bと取付片21dに設けた挿通孔21fとに通してかしめ固定するとき、嵌合孔21gに突起23cを嵌合させることにより、取付片21d(すなわち刃受部21A)と接続片23Aとの位置合わせが行えるようにしている。
【0019】
また、電源用のもう一方の端子板20Bも、上述した端子板20Aと同様、外部電線が接続される端子部22Bと、一対の刃受部21B,21Bがかしめ等により固定される接続片23Bとで構成され、端子部22Bと接続片23Bとは導電材料の板金に折曲加工を施すことによって連続一体に形成してある。刃受部21B及び端子部22Bは、上述した端子板20Aの端子部22A及び刃受部21Aと同様の構造を有しているので、共通する構成には同一の符合を付してその説明は省略する。また、接続片23Bの略中央部のボディ2側には、ボディ2の隔壁12′と嵌合することによりボディ2に位置決めして仮止めするための位置決め溝23a′が形成してある。
【0020】
一方、接地極用の端子板20Cは、図1及び図3に示すように、導電材料により帯板状に形成された接続片23Cの一方の端部から接地端子板24を連続一体に延設するとともに、他方の端部から断面コ字形の端子部22Cを連続一体に延設してある。尚、端子部22Cは、上述した端子板20Aの端子部22Aと同様の構造を有しているので、共通する構成には同一の符合を付してその説明は省略する。
【0021】
接地端子板24の略中央には、端子ねじ25が螺合するねじ孔24aが設けられ、接地端子板24の前面には複数の突条24bが突設されている。また、端子ねじ25のねじが形成されていない軸部には接地端子板24との間で接地線の芯線を狭持する平板状の狭持板25aが取り付けてある。そして、ボディ2の凹部11aが設けられている側と反対側の長手方向端部には接地端子板24を載置するコ字形の載置台13が突設されており、載置台13の各片で囲まれる空間に端子ねじ25が配置されている。また、接続片23Cの略中央部のボディ2側には、ボディ2の隔壁12″と嵌合してボディ2に位置決めして仮止めするための位置決め溝23a″が形成してある。
【0022】
各端子部22A〜22Cの接触片22bと当接片22cとの間にそれぞれ配置する鎖錠ばね15は、弾性を有する導電材料の帯板の両端部を曲成することで中央片15cの両端部に鎖錠片15a及び接触片15bが互いに対向するように形成されている。鎖錠片15aは中央片15cとの連結部位から先端縁に向かって接触片22bに近づく向きに傾斜し、接触片15bは略S字形に曲成されている。また、中央片15cは略平板状に形成されていて当接片22cに当接する。而して、電線挿入口11を通して電線の芯線が鎖錠ばね15の鎖錠片15a及び接触片15bと端子部22A〜22Cの接触片22bとの間に挿入されると、鎖錠片15aの先端が芯線に食い込んで抜け止めが為されるとともに、鎖錠片15a及び接触片15bと端子部22A〜22Cの接触片22bとの間に芯線が弾性狭持されて端子部22A〜22Cに電線の芯線が機械的且つ電気的に接続される。
【0023】
このように端子部22A〜22Cを速結端子構造とすることで、ねじ締め式の場合に比較して電線の結線作業が容易に行え、しかもねじ締め式に比較して端子部22A〜22Cが小型化できるため、器体1の前後方向の厚み寸法を小さくすることができる。
【0024】
一方、カバー3は背面が開口する略十字形の箱状に形成され、内部の構造はボディ2と略同じ構造に形成されている。カバー3の前面略中央には平面視略矩形のボス部3aが突設されている。このボス部3aにはプラグの差込口5が上下に並べて2口設けられ、各差込口5には円弧状の2つの栓刃挿入口5a,5bが開口している。各差込口5の栓刃挿入口5a,5bは同一円周上にあり、ボディ2とカバー3とを結合した完成状態において各栓刃挿入口5a,5bが器体1内に収納された各刃受部21A,21Bに対向している。なお、栓刃挿入口5a,5bの配置は、定格15A、125Vの極配置(JIS C 8303参照)のプラグに対応しており、このプラグでは互いに平板状に形成された一対の栓刃が平行に配設されている。
【0025】
カバー3の背面側には、図4及び図6に示すように、ボディ2とカバー3とを結合した完成状態において、各一対のかしめ鋲26がかしめ固定された接続片23A,23Bの部位(かしめ部)をボディ2の底壁との間で挟持する押さえリブ3g(第1の押さえリブ)と、各端子板20A〜20Cの鎖錠ばね15と対向する部位(すなわち接触片22b)に当接して各接触片22bをボディ2の底壁との間で挟持する押さえリブ3h(第2の押さえリブ)とが突設されている。而して、露出コンセントにプラグの栓刃が差し込まれ、抜け止めされている状態で、プラグのコードを足で引っ掛けるなどしてプラグに引っ張り力が加わると、プラグの栓刃と係合した刃受部21A,21Bのかしめ部や端子板20A,20Bに大きな力が加わって、かしめ部が外れたり、刃受部21A,21B或いは端子板20A,20Bが変形したり、端子板20A,20Bの変形によって電線の外れや接触状態が不安定になるといった不具合が発生する虞があるが、本実施形態では、カバー3の押さえリブ3gとボディ2の底壁との間で、かしめ鋲26によりかしめ固定される接続片23A,23Bの部位を挟持するとともに、カバー3の押さえリブ3hとボディ2の底壁との間で各端子板20A…の接触片22bを挟持しているので、刃受部21A,21Bや端子板20A…に加わった力を押さえリブ3g,3hで受けることができ、かしめ部の外れや、刃受部21A,21B及び端子板20A…の変形や、電線の外れなどを防止できる。
【0026】
また、カバー3の長手方向の一端側には、接地端子板24を前面側に露出する開口部3bがボス部3aの下側に形成されている。このように開口部3bをボス部3aと分離して形成することで外観上の見栄えを良くすることができる。また、開口部3bのボス部3a側の端縁には扉16の支持片16cが嵌合する嵌合溝3cが形成されている。この扉16は弾性を有する合成樹脂成型品からなり、支持片16cの一端縁に薄肉の可撓部16bを介して主片16aが一体に形成されている。而して、支持片16cを開口部3bの嵌合溝3cに嵌合することで扉16がカバー3の前面に取り付けられ、可撓部16bを撓ませることで主片16aが開口部3bを開閉自在に塞ぐものである。なお、主片16aの自由端縁には扉16(主片16a)を開く際に指や工具等を挿入するための凹部16dが設けてある。
【0027】
ところで、カバー3をボディ2に結合する際には、図4に示すように各端子板20A〜20Cの端子部22A〜22Cに対応する箇所に解除釦17が収められる。この解除釦17は、3個の鎖錠ばね15の鎖錠片15aを接触片22bから同時に押し離して、電線の芯線の弾性接続状態を同時に解除するもので、解除釦17の背面からは各鎖錠ばね15の鎖錠片15aの一端をそれぞれ押圧する押圧部17aが突設される。また、解除釦17の前面からは解除釦17を操作するための操作ハンドル17bが延設されている。操作ハンドル17bは手で操作可能な大きさに形成されており、カバー3の長手方向の他端側に設けた開口3dからカバー3の前面に露出しているので、特別な工具を用いることなく、手操作によって電線の芯線の弾性接続状態を解除することができ、電線の取り外しを簡単に行うことができる。ここで、操作ハンドル17bを押し下げると、解除釦17が支点部17cを支点にして回動し、鎖錠ばね15の鎖錠片15aを接触片22bから離れる方向に撓ませ、芯線の弾性接続状態を解除することができる。なお、操作ハンドル17bの前面端部には器体1の幅方向に沿って走る2条のリブ17dが突設され、このリブ17dが操作ハンドル17bを操作する操作部位の目印となっている。
【0028】
この器体1を組み立てる際には、先ず端子板20A,20Bの接続片23A,23Bに各一対の刃受部21A,21Bをかしめ固定し、端子板20Cの接地端子板24に端子ねじ25を取り付ける。そして、端子部22A〜22Cに鎖錠ばね15を納めた端子板20A〜20Cをボディ2の各収納部9a〜9cに納めて、各接続片23A〜23Cに設けた位置決め溝23a,23a′,23a″をボディ2の隔壁12,12a′,12a″と嵌合させることによりボディ2に位置決めして仮止めする。その後、支持片16cを開口部3bの嵌合溝3cに嵌合することで扉16が取り付けられ、開口3dに解除釦17が納められたカバー3をボディ2の前面に被せて、ボディ2の挿通孔2aに挿通した組立ねじ14をカバー3のねじ穴に螺合することで、ボディ2とカバー3とが結合され、器体1の組立が完了する。
【0029】
上述のように構成される器体1の前面は化粧カバー4で被われる。化粧カバー4は背面が開口する略矩形箱状に形成され、前面の略中央部にはボス部3aが嵌入されてボス部3aに設けられた差込口5,5を露出する露出窓4aが設けられている。また、化粧カバー4の長手方向の一端部には扉16の主片16aを挿通する挿通窓4bが開口してあり、この挿通窓4bを通して化粧カバー18の前面側から扉16を開閉可能としてある。
【0030】
また、化粧カバー4の長手方向に沿った内壁面の両端部には前後方向に一対の突条4c,4dが突設されており、これらの突条4c,4dの間に形成される凹所4eにカバー3の係合突部3eを凹凸係合することで器体1(カバー3)の前面に化粧カバー4が着脱自在に被着される。なお、係合突部3eはカバー3の長手方向に沿った両側面の両端部に突設され、係合突部3eの前後には化粧カバー4の突条4c,4dを逃がすための凹部3f,3fが凹設されている。而して、化粧カバー4を前方からカバー3に押しつければ、一方の突条4dが係合突部3eと当接して化粧カバー4の側壁が撓み、やがて突条4dが係合突部3eを乗り越え、2つの突条4d,4cの間の凹所4eに係合突部3eが嵌合することにより化粧カバー4がカバー3に固定される。ここで、突条4dの前面及び後面には係合突部3eを案内する傾斜面が形成され、係合突部3eの後面にも後方に向かって側面に近づく向きの傾斜面が形成されているので、カバー3に対する化粧カバー4の着脱を容易にしている。
【0031】
そして、化粧カバー4を器体1の前面に被着した状態では化粧カバー4によって解除釦17の操作ハンドル17bが被われるから、操作ハンドル17bが不用意に操作されて芯線の弾性接続状態が誤って解除されるのを防止できる。また、化粧カバー4は器体1の前面を全体的に被うものであり、壁面のような施工面に器体1を取り付ける場合には器体1を壁面に取り付けた後に器体1前面に取り付けられ、器体1の四隅に設けられたねじ挿通孔2bを被って外観上の見栄えを良くしている。
【0032】
この露出コンセントを壁面のような施工面に施工する場合の手順について以下に説明する。まず、器体1の長手方向に沿った一端部の側面に開口する電線挿入口11に電線の被覆が剥かれた芯線を挿入して、電線の芯線を対応する端子部22A〜22Cに結線する。それから、ボディ2の四隅に設けたねじ挿通孔2bに取付ねじを挿通して器体1を施工面に固定し、器体1の前面に化粧カバー4を取り付けて施工が完了する。また、接地端子板24に接地線を接続する場合は、扉16の主片16aに設けた凹部16dから指あるいはドライバ等を挿入して主片16aを開き、被覆を剥いて露出した接地線の芯線を凹部(カバー3の開口部3b)の底に配置されている接地端子板24と狭持板25aとの間に挟み込み、端子ねじ25を締め付けることで接地端子板24と狭持板25aとで接地線の芯線を強固に狭持させる。そして、凹部16dから接地線を引き出すようにして扉16の主片16aを閉じると、接地端子板24が扉16で隠されるために外観上の見栄えを良くすることができる。また、接地線を外す際にも扉16を開けば直ちに接地端子板24を露出させることができ、接地線の結線作業が容易に行えるものである。
【0033】
また、この露出コンセントにプラグを差し込む場合には、プラグの栓刃を、カバー3の栓刃挿入口5a,5bの係合突起21eが配置されている側と反対側の端に挿入した後、各栓刃を各栓刃挿入口5a,5bに沿って他方の端まで回転させると、刃受部21A,21Bの係合突起21e,21eが栓刃の透孔と係合して、プラグの抜け止めが行われる。また、プラグを逆方向に回転させれば、栓刃の透孔と係合突起21e,21eとの係合が解除されて、プラグを引き抜くことができる。
【0034】
(実施形態2)
本実施形態の露出コンセントを図7を参照して説明する。尚、刃受ばね21B′以外の構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成には同一の符合を付して説明を省略し、本実施形態の特徴となる構成についてのみ説明する。
【0035】
実施形態1では、刃受部21Aと刃受部21Bとを同一の形状に形成しているので、各一対の刃受部21A,21Bを、それぞれ、端子板20A,20Bの接続片23A,23Bにかしめ固定した場合、刃受部21Aの取付片21dは下側に突出しているのに対し、刃受部21Bの取付片21dは上側に突出している。
【0036】
したがって、2口分の刃受部21A,21Bの内、端子部22A,22Bに近い側(上側)に位置する刃受部21A,21Bでは、刃受部21Bに設けた取付片21dが刃受ばね21a,21bよりも端子部22Bに近い側に位置し、端子部22Bに近い部位で接続片23Bにかしめ固定されているので、かしめ固定する際に端子板20Bが変形したり、プラグに力が加わって端子板20Bが変形したりすると、端子板20Bの変形によって端子部22Bの接触片22bが浮き上がるなどして電線の抜けや、接触不良が発生する虞がある。
【0037】
それに対して、本実施形態では、端子部22Bに近い側(上側)に位置する刃受ばね21B′の取付片21dを、刃受ばね21aの下側縁から下方に向かって突設しており、刃受ばね21a,21bに対して端子部22Bと反対側に位置させている。
【0038】
このように、刃受ばね21B′の取付片21dを、刃受ばね21a,21bよりも、端子板20Bにおける鎖錠ばね15との対向部位(端子部22B)からより遠い位置に配置しているので、実施形態1に比べて端子部22Bからより遠い部位で接続片23Bにかしめ固定することができ、かしめ固定による端子板20Bの変形や、プラグに加わった外力による端子板20Bの変形によって、接触片22bの浮き上がり等の端子部22Bの変形を少なくして、電線の外れや接触不良の発生を防止することができる。
【0039】
(実施形態3)
本実施形態の露出コンセントを図8を参照して説明する。実施形態1では、端子板20A,20Bと刃受部21A,21Bとを別体とし、端子板20A,20Bに各一対の刃受部21A,21Bをかしめ固定しているのに対して、本実施形態では、一対の刃受部21A,21Aと端子部22Aと接続片23Aとを同一の板ばね材から折り曲げ形成して端子板20A′を一体構成するとともに、一対の刃受部21B,21Bと端子部22Bと接続片23Bとを同一の板ばね材から折り曲げ形成して端子板20B′を一体構成している。尚、端子板20A′,20B′以外の構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成には同一の符合を付して説明を省略し、本実施形態の特徴となる構成についてのみ説明する。
【0040】
上述のように、本実施形態では一対の刃受部21A,21Aと端子部22Aと接続片23Aとを同一の板ばね材から折り曲げ形成して端子板20A′を一体構成するとともに、一対の刃受部21B,21Bと端子部22Bと接続片23Bとを同一の板ばね材から折り曲げ形成して端子板20B′を一体構成しているので、実施形態1のようにかしめ鋲26を用いて刃受部21A,21Bと端子板20A,20Bとを結合する必要がなく、組立作業が容易になり、また構成部品数を削減できるから、コストダウンを図ることができる。さらに、刃受部21A,21Bと接続片23A,23Bとのかしめ部がなくなるから、刃受部21A,21Bと接続片23A,23Bとの連結部位の機械的強度が向上するとともに、刃受部21A,21Bと端子部22A,22Bとの電気的接続を確実にできる。
【0041】
(実施形態4)
本実施形態の露出コンセントを図9及び図10を参照して説明する。実施形態1では、電源用の栓刃がそれぞれ挿入される一対の栓刃挿入口5a,5bからなる差込口5をカバー3の前面に2口分設けるとともに、器体1の内部に各栓刃挿入口5a,5bに対応して刃受部21A,21Bを納装しており、接地極用の栓刃を備えていないプラグのみが接続されるのに対して、本実施形態では、電源用の栓刃がそれぞれ挿入される一対の栓刃挿入口5a,5b(電源側栓刃挿入口)と、接地極用の栓刃が挿入される栓刃挿入口5c(接地側栓刃挿入口)とからなる差込口5′をカバー3の前面に2口分設け、器体1の内部に各栓刃挿入口5a,5bに対応して刃受部21A,21B(電源側刃受部)を納装するとともに、栓刃挿入口5cに対応して刃受部21C(接地側刃受部)を納装しており、電源用の一対の平行栓刃を備えたプラグと、電源用の一対の平行栓刃と接地極用の栓刃とを備えた接地極付きのプラグの両方を接続できるようになっている。尚、差込口5′及び刃受部21C以外の構成は実施形態1と同様であるので、共通する構成には同一の符合を付して説明を省略し、本実施形態の特徴となる構成についてのみ説明する。
【0042】
接地極用の刃受部21Cは、電源用の刃受部21A,21Bの刃受ばね21a,21bよりも広い間隔で互いに対向配置されて丸ピン型又は逆U型の栓刃を挟持する円弧状の一対の刃受ばね21a′,21b′と、刃受ばね21a′,21b′の基端縁同士を連続一体に連結する連結片21cとが、弾性を有する導電性金属材料によって一体に形成されたもので、接地極用の端子板20Cの接続片23Cにかしめ等により機械的及び電気的に接続される。一対の刃受ばね21a′,21b′はそれぞれ先端側が幅広に形成され、刃受ばね21a′,21b′の間に栓刃を挿入し易くなっている。なお、刃受部21Cを端子板20Cと一体に形成しても良いことは勿論のことである。
【0043】
一方、カバー3に形成された電源用の栓刃挿入口5a,5b及び接地極用の栓刃挿入口5cはそれぞれ略円弧状に形成されている。一対の電源用の栓刃挿入口5a,5bは、それぞれ略同一円周上にあって、カバー3の長手方向と直交する方向の両側部に配置されている。また、接地極用の栓刃挿入口5cは、一対の電源用の栓刃挿入口5a,5bと同心の円周上にあって、両栓刃挿入口5a,5bの長手方向一端側に配置されており、ボディ2とカバー3とを結合した完成状態において栓刃挿入口5a,5b,5cが器体1内に収納された刃受部21A,21B,21Cにそれぞれ対向している。なお、栓刃挿入口5a,5b,5cの配置は、定格15A、125Vの極配置(JIS C 8303参照)の接地極付き差込プラグに対応しており、この差込プラグでは互いに平板状に形成された電源用の一対の栓刃が平行に配設され、一対の栓刃の略中間部の一側に接地極用の栓刃が配置されている。
【0044】
ここで、この露出コンセントにプラグを差し込む場合には、プラグの電源用の平行栓刃が、電源用の刃受部21A,21Bにそれぞれ形成された係合突起21e,21eと当接しないように、各栓刃をカバー3の電源用の栓刃挿入口5a,5b及び接地極用の栓刃挿入口5cの一端側に挿入し、その後各栓刃を栓刃挿入口5a,5b,5cに沿って他端側へ回転させると、刃受部21A,21Bの係合突起21e,21eが電源用の栓刃の透孔と係合して、プラグの抜け止めが行われる。また、プラグを逆方向に回転させれば、電源用の栓刃の透孔と係合突起21e,21eとの係合が解除されて、プラグを引き抜くことができる。
【0045】
【発明の効果】
上述のように、請求項1の発明は、プラグの栓刃がそれぞれ挿入される複数の栓刃挿入口が前面に設けられ、施工面に露出した状態で取り付けられる器体と、器体の内部に納装され各栓刃挿入口から差し込まれる栓刃にそれぞれ電気的に接続する複数の刃受部と、少なくとも一つの刃受部に設けられ栓刃が接続した状態で栓刃と係合してプラグの抜け止めを行う抜止部と、器体の内部に納装され各刃受部にそれぞれ電気的に接続される複数の端子板及び各端子板に外部から挿入される外部電線を弾接させる複数の鎖錠ばねからなる速結端子構造の端子と、を備え、刃受部は端子板にかしめ固定されており、器体はボディとカバーとを結合して構成され、ボディ及びカバーの結合状態において、ボディ又はカバーの内の一方との間で、刃受部と端子板とのかしめ部を挟持する第1の押さえリブを、ボディ又はカバーの内の他方に設けたことを特徴とし、端子板と鎖錠ばねとで構成される速結端子構造の端子を備えているので、特別な工具を用いることなく外部電線を端子部に容易に接続することができ、しかも抜止部で栓刃の抜け止めを行っているので、電源コードに足が引っ掛かかるなどしてプラグに力が加わったとしても栓刃が抜けるのを防止できるという効果がある。
【0046】
また、電源コードに足を引っ掛けるなどしてプラグに力が加わった場合、抜止部で抜け止めを行っているために刃受部に外力が加わるが、刃受部と端子板とのかしめ部を第1の押さえリブとボディ又はカバーとの間で挟持しているので第1の押さえリブでプラグに加わる外力を受けることができ、かしめ部に外力が加わってかしめが外れるのを防止できるという効果がある。
【0047】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、器体はボディとカバーとを結合して構成され、ボディ及びカバーの結合状態において、ボディ又はカバーの内の一方との間で、鎖錠ばねと対向する端子板の部位を挟持する第2の押さえリブを、ボディ又はカバーの内の他方に設けたことを特徴とし、電源コードに足を引っ掛けるなどしてプラグに力が加わった場合、抜止部で抜け止めを行っているために刃受部に外力が加わり、刃受部に加わった外力によって端子板が変形する虞があるが、端子板を第2の押さえリブとボディ又はカバーとの間で挟持しているので第2の押さえリブで端子板に加わる外力を受けることができ、端子板が変形して電線の抜けや接触不良が発生するのを防止できるという効果がある。
【0048】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、刃受部は、栓刃に電気的に接続される刃受ばねと、該刃受ばねから連続一体に延設され端子板にかしめ固定される取付片とを有し、取付片を、刃受ばねよりも、端子板における鎖錠ばねとの対向部位からより遠い位置に配置したことを特徴としている。取付片が、刃受ばねよりも、端子板における鎖錠ばねとの対向部位からより近い位置に配置されていると、プラグに引っ張り力が加わって刃受ばねに外力が加わった場合、刃受ばねに加わった外力の影響で端子板における鎖錠ばねとの対向部位が変形する虞があるが、取付片を、刃受ばねよりも、端子板における鎖錠ばねとの対向部位からより遠い位置に配置しているので、鎖錠ばねとの対向部位からより遠い位置で刃受部をかしめ固定することができ、刃受ばねに加わった外力の影響を端子板における鎖錠ばねとの対向部位が受けにくくなるから、鎖錠ばねとの対向部位が変形して外部電線の脱落や接触不良などの不具合が発生するのを防止できるという効果がある。
【0050】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの発明において、栓刃挿入口は、電源用の栓刃が挿入される電源側栓刃挿入口と、接地極用の栓刃が挿入される接地側栓刃挿入口とで構成され、刃受部は、電源側栓刃挿入口から挿入される電源用の栓刃に接続される電源側刃受部と、接地側栓刃挿入口から挿入される接地極用の栓刃に接続される接地側刃受部とで構成されることを特徴とし、接地極が設けられていないプラグと、接地極付きのプラグの両方を接続することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の露出コンセントの分解斜視図である。
【図2】同上を示し、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は裏面図である。
【図3】同上のカバーと化粧カバーを外した状態を前面側から見た図である。
【図4】同上の一部破断せる側面図である。
【図5】同上に用いる端子板の分解斜視図である。
【図6】同上の露出コンセントの要部断面図である。
【図7】実施形態2の露出コンセントを示し、カバーと化粧カバーを外した状態を前面側から見た図である。
【図8】実施形態3の露出コンセントに用いる端子板の斜視図である。
【図9】実施形態4の露出コンセントを示し、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は裏面図である。
【図10】同上のカバーと化粧カバーを外した状態を前面側から見た図である。
【符号の説明】
A 露出コンセント
1 器体
5a,5b 栓刃挿入口
21A,21B 刃受部
21a,21b 刃受ばね
22A〜22C 端子部
24 接地端子板
Claims (4)
- プラグの栓刃がそれぞれ挿入される複数の栓刃挿入口が前面に設けられ、施工面に露出した状態で取り付けられる器体と、器体の内部に納装され各栓刃挿入口から差し込まれる栓刃にそれぞれ電気的に接続する複数の刃受部と、少なくとも一つの刃受部に設けられ栓刃が接続した状態で栓刃と係合してプラグの抜け止めを行う抜止部と、器体の内部に納装され各刃受部にそれぞれ電気的に接続される複数の端子板、及び、各端子板に外部から挿入される外部電線を弾接させる複数の鎖錠ばねからなる速結端子構造の端子と、を備え、前記刃受部は前記端子板にかしめ固定されており、前記器体はボディとカバーとを結合して構成され、ボディ及びカバーの結合状態において、ボディ又はカバーの内の一方との間で、前記刃受部と前記端子板とのかしめ部を挟持する第1の押さえリブを、ボディ又はカバーの内の他方に設けたことを特徴とする露出コンセント。
- 前記器体はボディとカバーとを結合して構成され、ボディ及びカバーの結合状態において、ボディ又はカバーの内の一方との間で、前記鎖錠ばねと対向する前記端子板の部位を挟持する第2の押さえリブを、ボディ又はカバーの内の他方に設けたことを特徴とする請求項1記載の露出コンセント。
- 前記刃受部は、栓刃に電気的に接続される刃受ばねと、該刃受ばねから連続一体に延設され前記端子板にかしめ固定される取付片とを有し、取付片を、刃受ばねよりも、端子板における鎖錠ばねとの対向部位からより遠い位置に配置したことを特徴とする請求項1又は2記載の露出コンセント。
- 前記栓刃挿入口は、電源用の栓刃が挿入される電源側栓刃挿入口と、接地極用の栓刃が挿入される接地側栓刃挿入口とで構成され、前記刃受部は、電源側栓刃挿入口から挿入される電源用の栓刃に接続される電源側刃受部と、接地側栓刃挿入口から挿入される接地極用の栓刃に接続される接地側刃受部とで構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の露出コンセント。
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