JP3819645B2 - 紙葉類識別装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙幣等の紙葉類の種類や真偽を判定する紙葉類識別装置及び方法に関し、特に、輪郭に対する絵柄の位置ずれが存在する場合がある米ドル紙幣の様な紙葉類を識別対象とした紙葉類識別装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は、紙幣の形状例と識別対象エリアとの関係を模式図で示しており、一般に日本国紙幣のように紙幣1は外形である紙幣輪郭1aが均一であり、輪郭1aと絵柄1bの絶対位置が一定である。紙幣の識別装置ではこのことを利用して,紙幣1の外形形状より採取した識別対象エリア2内の画像データをブロッキングしてパターンマッチング等による識別処理をしている。
【0003】
このような紙幣等の紙葉類識別装置により、搬送されてくる紙葉類を対象として、その種類,真偽,汚れ,破損等を識別する場合、紙葉類の破れや折れ等による“欠落”や、搬送過程で生じる“位置ずれ”,“斜行ずれ”を考慮して処理する必要がある。
【0004】
紙葉類の破れや折れ等による欠落を考慮して認識処理を行うようにしたものとしては、例えば特開平8−263718号公報に記載のものがある。この公報に記載のものは、紙葉類の外形に欠落部分がある場合でもその欠落部分を周辺の複数の画素データを基に補完して完全な外形形状を得て、この外形よりブロッキングを行なってパターン認識を行なうようにしている。この公報に記載のものは、紙葉類の識別に使用するイメージデータを欠落前の状態に近い状態にすることができ、誤判定率を下げることができるという効果を奏するものである。
【0005】
一方、紙葉類の搬送過程で生じる位置ずれ,斜行ずれを考慮して認識処理を行うようにしたものとしては、例えば特開平6−318245号公報に記載のものがある。この公報に記載のものでは、ラインセンサを用いて高速で走行する紙葉類の全領域の画像データを取り込み、検出時間配列(紙葉類と背景との境界を検出した時間と読取画素位置に対応する素子番号とを対応させた検出時間配列)をバッファメモリに書き込む。そして、読取画像の傾きを斜行補正手段により補正した後に紙幣の四隅を特定し、その四隅の座標から中心位置座標を求め、これを基準にしてバッファメモリの中の有効領域を決定する。この有効領域の濃淡画像を等分割処理し、この等分割処理された濃淡画像の特徴データを求め、これから一定の統計量を抽出して2値化に用いる閾値を決定するようにしている。この公報に記載のものは、紙葉類の一部を読み取って当該紙葉類の種類や真偽を認識するものではないので、搬送により紙葉類の位置がずれた場合も認識処理が影響を受けることが無いという効果を奏するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、紙幣などの種類や真偽を識別する識別装置では、従来から、位置ずれや斜行ずれに対する考慮はされているが、外形枠から見た絵柄部の画像位置がずれている場合は考慮されていない。例えば米ドル紙幣のような紙幣では、裁断時の裁断位置ずれのために、図14に示すように紙幣1の外形輪郭1aと絵柄1bの位置がバラバラになっているものでも紙幣として流通している。このような紙幣の画像特徴を認識して紙幣の金種や方向を判定する紙幣識別機において、外形寸法を求めてその外形を基に採取した識別対象エリア2内の画像をブロック化し、そのブロック化した画像情報によって紙幣を識別すると、図14中に示すようにブロック化した識別対象エリア2内の画像の絵柄1bに対する位置がずれ、パターンマッチング等の識別処理が正確にできない。すなわち、リジェクトが多発してしまうといった問題点が発生する。また、流通されている紙幣は裁断ずれのほとんどが平行ずれであって、斜めになっているものは極端に少ないと考えられるが、このような平行ずれに対しても考慮されていなかった。すなわち、従来の識別装置では、紙幣の絵柄が外形の辺に対して位置ずれが生じている場合が有る米ドル紙幣のような紙幣を識別対象とした場合、正常紙幣であっても認識できない事態が生じ、鑑別率が低下するといった問題があった。
【0007】
本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の目的は、米ドル紙幣等のような紙葉類において印刷ずれ若しくは裁断ずれによって紙葉類の紙の周辺から絵柄の位置がずれたものでも、鑑別率が低下することなく効率良く画像による識別を行うことができる紙葉類識別装置及び方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、紙幣等の紙葉類の種類や真偽を判定する紙葉類識別装置及び方法に関するものであり、本発明の上記目的は、装置の発明においては、絵柄を有する紙葉類に光を照射して、該紙葉類から得られる透過光と反射光の内、少なくとも反射光を受光して前記紙葉類の絵柄を対象として識別する紙葉類識別装置において、前記紙葉類の画像データに基づいて前記紙葉類の各両サイドの外径エッジから求めた縦方向の札幅長群のうちの最頻値と横方向の札幅長群のうちの最頻値とをそれぞれ実札長として、それらの実札長を基に得た2本の中心直線から中心座標を求める外形中心座標抽出手段と、前記外形エッジの各辺の各々に対して複数の部位を余白部抽出対象として設定すると共に、前記外形エッジから絵柄までの余白長を前記各辺の複数の部位毎に抽出する余白長抽出手段とを設け、前記余白長抽出手段によって前記紙葉類の縦及び横方向における各両サイドの外形エッジからの余白長の差を前記複数の部位毎に求め、それらの差の平均値を用いて前記外形中心座標抽出手段により求めた前記中心座標を補正することによって前記絵柄の中心座標を得るようにすることによって達成される。
【0009】
さらに、前記余白長の差の平均値を求めるに際し、搬送方向の同一位置であるチャンネル及び、搬送横方向であるラインが等しい部分で差を求め、該差の値が所定値以上であった場合には所定の最大値を代入することにより過補正を防止するようにし、更に、各辺の前記複数の部位の余白長の最大値及び最小値を除外して前記平均値を求めることによって、一層効果的に達成される。
【0010】
また、方法の発明においては、絵柄を有する紙葉類に光を照射して、該紙葉類から得られる透過光と反射光の内、少なくとも反射光を受光して前記紙葉類の絵柄を対象として識別する紙葉類識別方法において、前記紙葉類の縦及び横方向における各両サイドのエッジからの余白長の差を求め、この差を用いて前記紙葉類の各両サイドのエッジから求めた中心座標を補正することによって前記絵柄の中心座標を得ると共に、該中心座標を求めるに際し、前記紙葉類の各両サイドのエッジから求めた縦方向の札幅長群のうちの最頻値と横方向の札幅長群のうちの最頻値とをそれぞれ実札長として、それらの実札長を基に得た2本の中心直線から中心座標を求めるようにし、且つ、前記余白長の差を求めるに際し、搬送方向の同一位置である複数のチャンネル及び、搬送横方向であるラインが等しい部分でそれぞれ複数の部位毎に前記余白長の差を求め、該差の値が所定値以上であった場合には所定の最大値を代入することにより過補正を防止するようにし、更に、各辺の複数の部分の余白長の最大値及び最小値を除外して平均値を求めるようにすることによって達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、米ドル紙幣等の印刷ずれ若しくは裁断ずれを起こした紙幣の画像データをイメージラインセンサを用いて画素値をデジタルデータとして取り込んでメモリに展開する方式の紙幣識別装置において、紙幣用紙の外形輪郭から絵柄までの紙幣周辺の白紙部分の長さを求めて絵柄のずれ量を検出し、検出したずれ量により画像認識の基点となる画素位置を補正することにより、画像位置のずれが生じた紙幣も効率良く紙幣識別を行うことを可能としている。とりわけ米ドル札は絵柄部分が枠で囲まれており絵柄部を特定するには好適な紙幣であるが、紙幣の製造品質が悪く裁断ずれが多く発生している。本発明は、このような外形輪郭に対して絵柄の位置ずれが存在する米ドル紙幣等のような紙葉類を識別対象とした識別装置に好適に適用される。
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る紙葉類(以下、「紙幣」を例とする)識別装置の主要部の構成例をブロック図で示している。図1において、光学センサ部10は、図示しない紙幣搬送路上の所定の位置に、紙葉類1の搬送方向に直行して多数の検出器を配列したもので、LEDアレイ、フォトダイオードアレイなどから成るイメージラインセンサで構成される。光学センサ部10では、紙幣1が搬送されるのに伴い紙幣上を面状に走査し、紙幣上の各位置での反射光や透過光など物理量の分布を検出する。なお、本実施例では、透過型と反射型の両方のセンサ部を有する光学センサを用いた場合を例として説明する。
【0014】
A/D変換処理部30は、光学センサ部10の出力をAD変換し、デジタルデータとして以後取り扱えるようにする。デジタル値に変換された各画素のデータは、次に説明する4個のバッファメモリ40に格納される。本実施例では、透過の2波長光,反射の2波長光の4種類の光を受光し、検出した紙幣1の画素データを4個(2波長光分×透過・反射)のバッファメモリ40に一時記憶する。
【0015】
画像データ抽出部50は、外形中心座標抽出手段51と、余白長抽出手段52と、補正値演算手段53と、後述する画像抽出用の各手段とから構成される。余白長抽出手段52は、バッファメモリ40に一時記憶された内容と所定の閾値とを比較して、紙幣の外周辺である外形エッジから絵柄までの余白の幅(余白長)を縦及び横方向の各部位毎に抽出し、抽出した各部位の余白長を余白長カウンタに記憶する。
【0016】
補正値演算手段53は、余白長カウンタに記憶された余白長を基に紙幣の外形から見た絵柄のずれ量を求め、求めたずれ量により画像認識の基点となる画素位置を補正する。ここで、画像認識の基点とは例えば紙幣の中心座標であり、一般的には外形中心座標抽出手段51によって外形エッジから求めた外形中心座標を紙幣の中心座標としている。本発明では、余白長抽出手段52によって縦及び横方向における各両サイドの外形エッジからの余白長さの差を求め、この差を用いて上記外形中心座標を補正するようにしている。
【0017】
図示されない画像抽出用の手段としては、求めた画像中心座標及び斜行情報を基に識別対象エリア内を予め設定されているブロック数に分割し、各分割されたブロックの画像データの総和を求めてブロック値とする画像ブロッキング手段を備えている。また、この画像ブロッキング手段によりブロッキングした各ブロック値の総和でそれぞれのブロック値を割ることにより正規化を行う正規化手段を備えている。
【0018】
識別部20は、紙葉類識別装置として動作を司るCPU21,動作プログラムを記憶するROM22及び基準データ等を記憶するRAM23等から成り、バッファメモリ40に記憶された正規化データと基準データ(紙幣の種類毎の基準となる正規基準データ)とを照合して紙幣1の識別(鑑別)を行う。識別に使用される基準データは、紙幣上の所定のチェック位置と、該所定位置での許容データ等から成り、金種及びその方向別に用意されたテーブルに予め登録されている。
【0019】
次に、本発明に係るラインセンサの構成について説明する。
【0020】
図2は、多波長光源を有する透過/反射型ラインセンサ100の構成例を示している。ラインセンサ100は長形状の対向した発光部110及び受発光部120で成っており、被識別媒体としての紙幣は、発光部110及び受発光部120の間の紙幣通路を搬送されるようになっている。発光部110は、ライン状の透過用2波長LEDアレイ(交互配列されたLED1,LED2)111と紙幣照射用のロッドレンズ112とで一体的に構成され、通過する紙幣を均一に照射するようになっている。また、受発光部120は、ライン状の反射用2波長LEDアレイ(交互配列されたLED3,LED4)121と、受光用のフォトダイオードアレイ123と、フォトダイオードアレイ123の受光角を制限し、指向性を高めて分解能を向上させるセルフォックレンズアレイ(SLA)122と、フォトダイオードアレイ123の各素子の蓄積時間が制御可能なマルチプレクサ回路124とで一体的に構成されている。透過用2波長LEDアレイ111及び反射用LEDアレイ121は電流制御の駆動回路で制御され、フォトダイオードアレイ123の感知出力はマルチプレクサ回路124で発光波長に応じた適宜の蓄積時間で制御されて出力される。LEDアレイは、赤外光を発光するLED素子と他の可視光との組み合わせが一般的で、赤色、緑色、オレンジ色の組み合わせも一般的であるが、紙幣等に用いる場合には、黄緑色が紙幣の配色との関係から両波長の光を当てた場合の透過光及び反射光の吸収パターンが異なり、その紙幣の汚損及び真偽判定に有利となる。このため、本発明では透過光及び反射光共に赤外光(940nm)及び黄緑光(570nm)としている。また、透過用2波長LEDアレイ111及び反射用LEDアレイ121は受光側を共通に用いることを考慮すれば、同一直線上に交互に並べることが望ましいが、2列にする場合は千鳥に入れ替わるような構成が望ましい。また、発光素子としてLEDを用いているが、他の素子でも可能である。更に、例として透過2波長、反射2波長としたが透過、反射に関係なく、自由に複数波長を処理することが可能である。
【0021】
本実施例では、透過用2波長LEDアレイ111及び反射用LEDアレイ121は、IR光(例えば940nmの赤外光)発光LEDとYG光(例えば570nmの黄緑光)発光LEDとを交互に、64個(1光源×2波長)直線状に配列した構成としている。受光センサ(フォトダイオードアレイ123)はフォトダイオードを一直線状に配列したライン状アレイで、所定間隔(例えば1.6mmピッチ)で128チャンネル分配列し、透過の2波長光、反射の2波長光の全4種類の光を1本のイメージセンサで受光する構成としている。そして、透過型センサと反射型センサの内、少なくとも反射型センサの出力を基に外形を割出し、紙幣の絵柄データの中心座標を補正するようにしている。なお、紙幣によっては透過型センサと反射型センサのいずれか一方のセンサのみでも可能である。本実施例では、世界各国の各種紙幣に対応できるように、多波長の光源を有する両方のセンサを備え、各国及び当該紙幣の種類に応じて波長と透過/反射を可変制御して、複数波長による透過光/反射光による採取データの最適な画像データから当該紙幣の外形エッジと絵柄を検出し得るようにしている。また、反射用に受光側のモジュールにはモニタ用白地125が設けられており、受光量が一定になるように紙幣の識別を始める前に蓄積時間を調整するようにしている。すなわち、複数波長の異なる光源に対して同一の受光素子を用いる場合には、受光波長によって受光素子の感度が異なることになるが、本発明では受光素子の受光時の蓄積時間を制御することによって、感度差及び光量のばらつきによる誤差が生じないようにしている。
【0022】
上述のような構成において、本発明に係る紙葉類識別装置の動作例を図3のフローチャートに従って説明する。なお、ここでは画像データの抽出に係る技術事項は特徴的な事項の説明に留め、本発明に係る絵柄の位置ずれの補正処理を主体として詳細に説明する。
【0023】
先ず、図3のステップS1におけるデータ採取時の動作例について説明する。
【0024】
データの取込みにはメカタイミングクロックを使用し、例えば紙幣を1.5mm搬送する毎にラインセンサ100からの画素データの読み出しを実施している。読み出しは、先ず(1)透過光用のLEDアレイ111によりIR光(赤外光)発光LED(以下、IR光LEDとする)をパルス点灯して1ライン分読み出し、次に(2)透過光用のLEDアレイ121によりYG光(黄緑光)発光LED(以下、YG光LEDとする)をパルス点灯して1ラインを読み出し、(3)反射光用のIR光LEDをパルス点灯して1ラインを読み出し、(4)反射光のYG光LEDをパルス点灯し1ラインを読み出し、上記(1)〜(4)を1サイクルとしている。
【0025】
ラインセンサ100は、透過のIR光,透過のYG光,反射のIR光,反射のYG光の順に時分割して、共通の受光用のフォトダイオードアレイ123によっ画素データを読み込む。感度の調整は、透過用2波長LEDアレイ111及び反射用LEDアレイ121を構成する各LEDの発光量及び発光時間による光蓄積時間の調整によって行われる。なお、暗出力の補正は受光回路において行われる。各ラインのスキャンは紙幣の搬送距離に応じて発生するメカクロックに同期して行われ、本例では1.5mm搬送される毎にスキャンのトリガ信号が発せられ、その内で紙幣が0.1mm搬送される間に上記の1サイクルの読み出しが実行され、透過IR,透過YG,反射IR,反射YGの順にスキャンが完了するようにしている。そのスキャン開始の周期は1.5mm搬送毎である。
【0026】
次に、バッファメモリ40への画像データの展開方法について説明する。
【0027】
上述のようにして光学センサ部10から取込まれた各ラインの透過IR,透過YG,反射IR,反射YGに対するデータは、それぞれA/D変換処理部30を介してデジタルデータに順次変換され、該当のバッファメモリ40へ格納される。バッファメモリ40は、上記透過IR,透過YG,反射IR,反射YGに対応して4個用意されており、例えば、透過のIR光では128チャンネル×96ライン分(搬送方向では最大 96×1.5mm=144mm)のメモリアドレスが用意されている。本例では、タイミングセンサを設け、紙幣の後端がイメージラインセンサを通過した時にデータの採取は終了するようにプログラムされている。バッファメモリ40と同様に、透過のIR,透過のYG光,反射のIR光,反射のYG光用にそれぞれ所定の容量のメモリがRAM22に用意されている。
【0028】
次に、図3のステップS2(2値化処理)からステップS4(左端/右端エッジ検出処理)までの処理について説明する。
【0029】
紙幣を識別対象とする場合、紙幣の端部の欠損や斜行状態の影響を鑑み、精度の高い画像データの抽出を行う必要がある。画像データ抽出部50では、透過のIR光のデータを基に、スレッシュホールド値により採取したデータを2値化した後、前端エッジと後端エッジを求めるために、各チャンネル毎に(縦方向)に1の入っているアドレスをカウントする。そして、札幅をカウントすると共にその前端座標と後端座標を格納する。このカウント値が所定値以上あるところに対しては、前端と後端(斜めになって三角の2辺の長さの部分を除外する為)が存在する場所のチャンネルを求め、該当チャンネルに対し、0→1に変る位置を前辺の座標、1→0に変る位置を後端の座標とする。
【0030】
なお、スキャンの方向は搬送方向であり、取込んだ紙幣1の画像例を示す図5の上から下の方向(Y方向)ヘセンスを行い、もし紙幣1に孔があいていても、同一のメモリレジスタを用いることにより、最後の1→0となるY軸方向の座標を後端座標とする。(X方向はチャンネル番号で指定される。)
【0031】
次に、図3のステップS5における外形エッジ情報に基づく中心座標の算出処理,及び斜行角の抽出処理について説明する。
【0032】
画像データ抽出部50では、上述のようにして得られた札幅長のうちで、最頻値を実札長として中心座標を求めるための中心線の計算に利用する。画像データ抽出部50内の中央位置検出手段では、(前端+後端)/2の計算を行って、図10に示す紙幣1の画像の前辺FRTEGEと後ろ辺BAKEGEの中心直線 y=ax+bを求める。次に左右の辺LFTEGE,RITEGEに対しても同一チャンネル(X方向にメモリをセンスする)をセンスして縦方向の辺の中心直線 x=cy+dを求める。そして、求めた2本の直線から中心座標C(ch,ln)を求める。また、直線:y=ax+bの式の傾きより回転補正する角度θを得る。この角度θは、後述するステップ8の画像回転処理で使用する。
【0033】
次に、図3のステップS6における裁断ずれの検出処理及び中心座標の補正処理について説明する。
【0034】
図6(B)は、ラインセンサ100の検出信号を示しており、図6(A)は凹部が媒体有り部を示している。媒体の輪郭抽出には透過光を用いるのが好ましい。そして、絵柄部の特定にはYG光の反射光データを用いる。この図6(B)に示されるTH1(閾値1)は、本例ではセンサに設けたモニタ用白地部で検出した反射出力の50%の明るさの値で、TH2(閾値2)は、TH2=TH1×0.8としている。図6(B)の最下部の数字は画像を取り出すために切り出したライン数(搬送方向の走査線の数)を示している。余白長抽出手段52では、透過のIR光の受光出力より得られた外形エッジ上の複数の部位を基点に、反射光のYG光出力に対して媒体内部方向にスキャンし、当該画素のデータを各閾値と比較し、例えば上記閾値TH1と閾値TH2との範囲内であれば余白部と判断してその画素数(ライン数,チャンネル数)を所定の検索範囲内で計数し、その結果である紙幣の各辺,各部位毎の計数値を基にして紙幣外周部の前後端部(上下端部)と左右短部の各余白部の長さを求める。
【0035】
ここで、前後端部の余白長の検出処理について具体例を示して説明する。
【0036】
余白長抽出手段52では、先ず、開始基点及び検索数を設定する。図5に示すように、紙幣の外形エッジの各端部(前端部FRTEGE,後端部BAKEGE,左端部LFTEGE,右端部RITEGE)に対して、各々に検出対象(余白部抽出対象)となる複数の部位を設定する。その際、設定する部位は、図9中の2点鎖線で示す矩形枠の範囲内で設定する。これは、チャンネル方向とライン方向からそれぞれ中心部に向けて検索して余白長を検出する際に、斜行状態においても紙幣の画像データが存在する場所を検索できるようにするためで、本実施例では、次の処理により外形エッジの枠内に内接する矩形領域(各辺がライン方向とチャンネル方向に平行な矩形の領域)を検出領域として求めて、その検出領域の範囲内で余白長の検出対象となる複数の部位を設定するようにしている。なお、検出領域内において余白を検出できない場合は、後述する処理により検出領域外の方向にスキャンして余白を検出するようにしている。
【0037】
上記検出領域を求める際には、図9に示すように、例えば0チャンネルよりスキャンして最初に閾値TH−L以上となるチャンネルをLG−Blft、127チャンネルより逆スキャンして同条件を満たすチャンネルをLG−Brgtとし、0ラインよりスキャンして最初に閾値TH−W以上となるラインをWD−Bfrt、画像を取り出すために切り出したラインの最終ラインより逆スキャンして同条件を満たすラインをWD−Bbakとしてそれぞれ求め、これらのLG−Blft,LG−Brgt,WD−Bfrt,WD−Bbakを通る直線で囲まれる図9中の2点鎖線で示す矩形枠内を上記検出領域とする。
【0038】
本例では、上記矩形の検出領域内において設定した各端部(前端部、後端部、左端部、右端部)の8部位のうち、図5に示すように、中央部の2部位を除く6部位(F1〜F6,B1〜B6,L1〜L6,R1〜R6)を余白長の抽出対象としており、当該端部における6部位の各部位毎に開始基点から余白幅の方向に検索数分、画素データを読み出して余白部分の長さを求めるようにしている。ここで、図5中に示す前端部FRTEGEと後端部BAKEGEの各6部位F1〜F6,B1〜B6は、当該チャンネルの位置(X軸の位置に相当)に対応し、左端部LFTEGEと右端部LFTEGE、右端部RITEGEの各6部位L1〜L6,R1〜R6は、当該ラインの位置(Y軸の位置に相当)に対応している。さらに、ライン番号,チャンネル番号がバッファメモリの物理アドレスに対応しているが、ここでは物理アドレスに基づく説明は省略する。
【0039】
以下、具体例として前端部の部位F1における余白長の検出動作を図4のフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、前端部の各部位における余白長の検索(抽出)処理は、前端部の部位F1(開始基点FP)から検索数分、以下のステップを繰返すことにより行なうが、他の部位F2〜部位F5、及び後端部,左端部,右端部の各部位1〜5についても同様の処理で余白長を求める。
【0040】
前端部における余白長の検出動作の開始基点としては、本例では前端エッジ上の部位F1のポイントFPを設定する。ここで、処理する部位により検索数(ライン又はチャンネル数)が異なるので、初期設定処理として、図7に示すようなテーブルから検索数を読み込み、各端部と開始基点に対応させて記憶しておく(ステップS701)。
【0041】
さらに初期設定処理として、当該部位の余白部分の長さ(幅)をカウントする余白長カウンタWLに“0”をセットし、FBデータ(計算に使用するワーク用レジスタであって画像データを格納するレジスタ)を“0”クリアする(ステップS702)。
【0042】
本例では、余白長の検出動作の開始基点FPは、前端部の部位F1(図5中の前端エッジFRTEGEの線と部位F1の矢印の線とが交わる位置)であり、検索対象の位置をライン/チャンネルに対応させてPT(LN,CH)として表した場合、ラインLNには部位F1に於ける前端ライン数が入り、チャンネルCHには部位F1のチャンネル数が入る。以下、上記PT(LN,CH)を簡略化してPTで示し、PTの位置に対応するデータをDT(PT)で表して説明する。本例では、図7に示すように前端部における検索は、1〜5の5回である(ステップS703)。
【0043】
まず、余白長カウンタWLが0であるかを判断する(ステップS704)。初期値は0であるので、ステップS705へ進む。ステップS705では、現在の検索位置PTの画像データDT(PT)を読み出し、閾値TH1以上(閾値TH1より明るい)かどうかを判定する。そして、閾値TH1より明るい場合は余白と判断して、余白長カウンタWLを1加算すると共に、FBデータとして1ライン前の座標の画像データであるDT(PT−1)を記憶しておく。そして、検索数を1加算して検索対象の位置PTを余白幅の方向(図9中の矢印方向)に進め(ステップS706)、ステップS703に戻り、次の位置を検索する。次の検索数は2であり、既に余白長カウンタWLには1が入っているので、ステップS704からステップS707へと進み、DT(PT)≧TH1かどうかを判断し、閾値TH1より明るい場合は余白長カウンタWLを+1してステップS703に戻り、更に次の位置を検索する(ステップS708)。
【0044】
次に、上記ステップS707において、DT(PT)≧TH1でない場合、すなわち、指定の検索回数中に絵柄が入って来た場合を説明する。まず、該当部の画像データを読み出し、ステップS704においてエッジ幅カウンタWLは0で無いのでステップS707に進み、DT(PT)≧TH1では無いので、FBデータ=FBデータ+DT(PT)を計算し(ステップS709)、その値がTH4(本例ではTH4=TH1×1.5)よりも明るいかどうかを判定し(ステップS710)、明るければ余白部と見なして余白長カウンタWLに+1を加え(ステップS711)、そうでなければ絵柄部と見なし、余白長カウンタWLの加算はしないで該当部位の余白長の算出処理を終了する。
【0045】
次に、検索開始時に白部を検出しないで余白長カウンタWLが0のままの場合の処理を説明する。ステップ4において余白長カウンタWLが0の場合には、DT(PT)≧TH1かどうかを判定し、明るいのであればステップS706へ進むが、暗い場合はステップS712へ進む。ステップS712では、1つ前のラインにおける画像データであるDT(PT−1)が閾値TH2(本例ではTH2=TH1×0.8)以上であるかどうかを判断し、閾値TH2よりも暗ければステップS703に戻り、次の位置を検索する。閾値TH2よりも明るければ、1つ前のラインの画像データDT(PT−1)の0.8倍の値を閾値TH3として設定し(ステップS713)、これと現在の画像データDT(PT)とを比較する(ステップS714)。ステップS714においてDT(PT)<TH3、すなわち閾値TH3より暗いときはステップS703に戻り、次の位置を検索し、閾値TH3より明るい場合は白部と判断し、余白長カウンタに1を加え、FBデータに現在の画像データDT(PT)を代入する(ステップS715)。続いて、2ライン前の画像データDT(PT−2)を調べ、これが閾値TH3より明るいかどうかを判定し(ステップS716)、明るければ白地だったと判断し、余白長カウンタを+1し、FBデータ+DT(PT−3)を計算してFBデータに代入し(ステップS717)、上記ステップS710へ進む。上記ステップS716において、DT(PT−2)≧TH3で無い場合には、FBデータ+DT(PT−2)を計算してFBデータに代入し(ステップS718)、上記ステップS710へ進む。
【0046】
上述のフローに基づく余白長の計算を前端部に対して6部位分、後端部に対して6部位分、左端部に対して6部位分、右端部に対して6部位分それぞれ実施する。なお、前端部、後端部に対してはPT−1はライン方向であるが、左右端部についてはチャンネル方向となる。また、後端部と右端部の処理では、PT−1,PT−2はそれぞれPT+1,PT+2となる。
【0047】
次に、画像認識の基点となる画素位置(本例では中心座標)の補正処理を説明する。ここでは、余白長抽出手段52で検出した前端部と後端部における各部位1〜6の余白長を示す数値が、図8中に示す数値となっている場合を例とする。
【0048】
補正値演算手段53では、前端部(左端部)の余白長と後端部(右端部)の余白長との差ESA(1)〜ESA(6)を、搬送方向の同一位置であるチャンネル及び、搬送横方向であるラインが等しい部分で各部位1〜6毎に求め、当該部位のESA(I)の値が所定の規定値よりも大きい場合は、過補正を防止するために当該部位のESA(I)の値を規定値(所定の最大値)に変更する。本例では規定値を±2とし、±2の範囲に入っていない部位3の値“−3”を規定値(所定の最大値)である“−2”に補正する。そして、補正後の各部位の前後余白長の差ESA(1)〜ESA(6)のうち、最大値と最小値を除いた4つの評価値の平均値を求め、外形エッジに対する絵柄部の前後方向(ライン方向=図5の矢印Y方向)の補正値βを算出する。
【0049】
上記ずれ量βの算出処理を次の数1、数2に基づいて具体的に説明する。
【0050】
【数1】
ここで、γは緩和補正値であり、上記数1内の(ΣESI(I)−MaxESI(I)−MinESI(I))が負の時はγ=“1”、正の時はγ=“−1”、0の時はγ=“0”とする。
【数2】
β=EgeSA/2
【0051】
図8中の各部位1〜6毎の前後余白長差ESA(1)〜ESA(6)の値を例とすると、上記数1中のΣESA(I)は、(−2)+(−1)+(−2)+(−2)+(−2)+(−2)=−11となる。ここで、ESA(3)は−3であるが、過補正を防止するために補正されて−2となっている。また、前後余白長差の絶対値が最大であるMaxESA(I)は部位3であるが、同様に補正されて−2となっている。また最小値を示すMinESA(I)は部位2であり、−1となる。このとき、緩和補正値γは、上記数1内の(ΣESI(I)−MaxESI(I)−MinESI(I))が−8となり負なので、γ=1を使用し、上記数1の{}の中は−7となる。これを4で割ると−1.75となる。なお、4で割算を行うのは、最大値と最小値を除外した4部位の平均値を計算して1本分の長さを求めるためである。
【0052】
補正値演算手段53では、上記数1により求めた結果EgeSA=−1.75を上記数2により1/2にする。本例ではβ=−0.875となる。そして、このライン方向の補正値βを各辺(外形エッジ清報)から求めた中心座標C(ch,ln)の値に加算をした後の値を四捨五入し、補正後のライン方向の中心座標とする。この時、外形エッジから求めた中心座標C(ch,ln)も整数ではなく、小数点以下をもった数値で記憶しており、四捨五入による誤差が生じ無いようにする。本例では、前後方向(ライン方向)の補正値βは−1となり、絵柄が中央部より1ライン分、上方にずれているということになる。
【0053】
補正値演算手段53では、同様に左右の余白長に対しても補正値を得る。ここでは説明を省略し、上下と同様にして求めた“外形エッジに対する絵柄部の左右方向(チャンネル方向)の補正値”をαとする。そして、これらの補正値αとβに基づいて、前記ステップS5において外形エッジ情報から求めた中心座標C(ch,ln)を補正し、図12に示すように新しい中心座標C(ch+α,ln+β)として設定する。
【0054】
以上の処理により求めた新しい中心座標C(ch+α、ln+β)を用いて識別対象エリア2を設定し、この識別対象エリア2内をブロッキングするようにすれば、ブロッキングした部分の画像が一定したものとなるので、安定して後続の処理である識別処理を行うことができ、輪郭に対する絵柄の位置ずれが存在する紙幣であっても高精度な識別結果を得ることができる。
【0055】
次に、図3のステップS7における画像回転処理(斜行ずれの補正処理)について説明する。
【0056】
搬送過程で生じる斜行ずれを補正する際にはアフィン変換を用いるが、アフィン変換後のアドレスに対する元の画像データのアドレスを求めて、その場所の画像データを変換後のアドレスにコピーする。
【0057】
図11(A)及び(B)は、画像回転前のデータと画像回転後のデータを模式図で示しており、画像データ抽出部50内の斜行補正手段では、画像回転後の画素データIR−Uhdat(x,y)アドレスに相当する画像回転前の画素データIR−Uhdat(xl,yl)アドレスを次の数3の演算により得て、対象となる画像データをコピーする。この操作によって、通常のアフィン変換に特有の変換後の座標データに抜けが生じることを防ぐことができる。
【0058】
【数3】
【0059】
次に、図3のステップS8における画像ブロッキング処理について説明する。
【0060】
画像データ抽出部50内の画像ブロッキング手段は、補正値演算手段53により補正して求めた画像の中心座標C(ch+α、ln+β)を基に、識別対象エリア内を予め設定されているブロック数に分割を行い、例えばブロッキング左端位置(チャンネル番号)を基準にして複数チャンネル毎、複数ライン毎にブロック化してブロック単位で画像データを順次抽出する。
【0061】
続いて、図3のステップS9における画像正規化処理について説明する。
【0062】
画像データ抽出部50内の画像正規化手段は、画像ブロッキング手段によりブロッキングした画像データの総和で各ブロックの値を割ることにより正規化を行う。この正規化により全面的な画像の明るさの変動に関わらす識別を行うことができる。
【0063】
続いて、図3のステップS10,S11における識別処理と識別結果の出力処理について説明する。
【0064】
識別部20では、例えば各ブロックを積分平均・正規化して得られるパターンを予め用意した基準パターンと比較照合することでパターン認識を行い、紙葉類1の種類、真偽、表裏、方向等を識別し、これらの識別結果を出力する。
【0065】
なお、上述した実施の形態においては、紙幣を例として説明したが紙幣に限るものではなく、有価証券など、絵柄の周辺部に余白部分を有する紙葉類であれば本発明を適用することができる。また、画像認識の基点が紙幣の中心座標である場合を例として説明したが、中心座標以外であっても本発明を適用することができる。さらに、紙幣の絵柄の形状は、図面において矩形状を例として説明したが、矩形状の絵柄若しくは矩形の絵柄枠を有する紙幣に限るものではなく、本発明で言う絵柄の中心は、絵柄の重心に相当するものであり、任意形状の絵柄に適用することが可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、米ドル紙幣等に見られる裁断ミス若しく印刷ずれによる絵柄部の位置ずれが発生している紙葉類に対して、外形から見た絵柄部のずれ量を検出し、画像認識の基点となる画素位置を上記ずれ量に応じて補正し、補正後の正確な画像認識の基点に基づいて識別処理を行い得るようにしているので、絵柄がずれた紙葉類であっても識別処理が影響を受けることが無くなり、鑑別率の低下を回避することができ、識別性能(鑑別率/信頼性)の高い識別装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る紙葉類識別装置の主要部の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るラインセンサの構成例を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明に係る紙葉類識別装置の動作例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る余白長の検出動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る余白長の算出方法を説明するための図である。
【図6】本発明に係る媒体有無の検出信号とラインセンサの検出信号の一例を示す図である
【図7】本発明に係る余白長の検出処理に用いるテーブルの一例である。
【図8】本発明に係る余白長の検出結果の一例を示す図である。
【図9】本発明に係る余白長の検出領域を示す模式図である。
【図10】紙幣の外形から中心座標を算出する方法を説明するための模式図である。
【図11】画像回転前のデータと画像回転後のデータを示す模式図である。
【図12】本発明による補正後の中心座標を示す模式図である。
【図13】一般的な紙幣の形状例と識別対象エリアとの関係を示す模式図である。
【図14】裁断位置ずれがある紙幣の形状例と識別対象エリアとの関係を示す模式図である。
【符号の説明】
1 紙葉類
1a 外形輪郭
1b 絵柄
2 識別対象エリア
10 光学センサ部
20 識別部
21 CPU
22 ROM
23 RAM
30 A/D変換処理部
40 画像データバッファ(バッファメモリ)
50 画像データ抽出部
51 外形中心座標抽出手段
52 余白長抽出手段
53 補正値演算手段
100 ラインセンサ
110 発光部
120 受発光部
Claims (3)
- 絵柄を有する紙葉類に光を照射して、該紙葉類から得られる透過光と反射光の内、少なくとも反射光を受光して前記紙葉類の絵柄を対象として識別する紙葉類識別装置において、前記紙葉類の画像データに基づいて前記紙葉類の各両サイドの外径エッジから求めた縦方向の札幅長群のうちの最頻値と横方向の札幅長群のうちの最頻値とをそれぞれ実札長として、それらの実札長を基に得た2本の中心直線から中心座標を求める外形中心座標抽出手段と、前記外形エッジの各辺の各々に対して複数の部位を余白部抽出対象として設定すると共に、前記外形エッジから絵柄までの余白長を前記各辺の複数の部位毎に抽出する余白長抽出手段とを設け、前記余白長抽出手段によって前記紙葉類の縦及び横方向における各両サイドの外形エッジからの余白長の差を前記複数の部位毎に求め、それらの差の平均値を用いて前記外形中心座標抽出手段により求めた前記中心座標を補正することによって前記絵柄の中心座標を得るようにしたことを特徴とする紙葉類識別装置。
- 前記余白長の差の平均値を求めるに際し、搬送方向の同一位置であるチャンネル及び、搬送横方向であるラインが等しい部分で差を求め、該差の値が所定値以上であった場合には所定の最大値を代入することにより過補正を防止するようにし、更に、各辺の前記複数の部位の余白長の最大値及び最小値を除外して前記平均値を求めることを特徴とする請求項1に記載の紙葉類識別装置。
- 絵柄を有する紙葉類に光を照射して、該紙葉類から得られる透過光と反射光の内、少なくとも反射光を受光して前記紙葉類の絵柄を対象として識別する紙葉類識別方法において、前記紙葉類の縦及び横方向における各両サイドのエッジからの余白長の差を求め、この差を用いて前記紙葉類の各両サイドのエッジから求めた中心座標を補正することによって前記絵柄の中心座標を得ると共に、該中心座標を求めるに際し、前記紙葉類の各両サイドのエッジから求めた縦方向の札幅長群のうちの最頻値と横方向の札幅長群のうちの最頻値とをそれぞれ実札長として、それらの実札長を基に得た2本の中心直線から中心座標を求めるようにし、且つ、前記余白長の差を求めるに際し、搬送方向の同一位置である複数のチャンネル及び、搬送横方向であるラインが等しい部分でそれぞれ複数の部位毎に前記余白長の差を求め、該差の値が所定値以上であった場合には所定の最大値を代入することにより過補正を防止するようにし、更に、各辺の複数の部分の余白長の最大値及び最小値を除外して平均値を求めるようにしたことを特徴とする紙葉類識別方法。
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