JP3706170B2 - 紙葉類イメージデータ補完装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、紙幣、小切手、証書等の紙葉類の光学的画像イメージを読み取り、紙葉類の種類、方向及び真偽等を検査する紙葉類識別装置において、紙葉類の欠落部のデータを補完する紙葉類イメージデータ補完装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙幣の真偽、種類等を識別する場合、所定通路又は搬送路を紙幣が一定条件で通過するように規制し、通過する紙幣の所定範囲を光学的に読み取るようにしている。図22は一般的な紙幣識別装置の構成例を示しており、紙幣10の模様に応じた光電変換後の電気信号を得るセンサ1が、搬送路上の所定の位置に設けられている。発光ダイオードアレイで成る発光器1aは、発光ドライバ1Aで駆動され、搬送される紙幣10を照射するようになっている。紙幣10を透過若しくは反射した光は、CCD又はフォトダイオードアレイから成る受光器1bによって電気的に信号に変換され、増幅器1Bで増幅された後、各画素毎にA/D変換器2によってデジタル値に変換される。
【0003】
デジタル値に変換された画素のデータは画像フレームメモリ3に記憶され、この記憶されたデータによって紙幣10の金種、方向、真偽等が識別される。識別部20はCPU21,RAM22及びROM23から構成され、識別部20では、画像フレームメモリ3に格納された画像イメージと、基準データ記憶部4に予め記憶されている基準データとを比較照合して紙幣を識別するようになっている。しかし、このような識別方法、すなわち、センサ1で読取った画像イメージをそのまま基準データと比較照合して識別する方法では、紙幣に破れや折れが生じていた場合には、基準データとの照合率が低くならざるを得ず、欠損状態によっては正常に識別することができなかった。そのため、再度紙幣の識別をやり直さなければならず、処理時間が余計にかかるといった不具合が生じていた。
【0004】
紙幣の破れや折れを考慮して識別するようにした技術としては、紙幣の欠落部を他のデータで補完してから基準データとの比較照合をするようにした技術が知られている。紙幣の欠落部を補完する技術の第1の例としては、例えば、特開平6−84042号公報に記載があるように、紙幣の前端の一部が欠落している場合には、図23に示すように、ラインLの欠落部10bに対して、同じ列(同一チャンネル番号)の次のラインL+1(紙幣の内部側)の画素データをコピーすることにより、欠落部10bの画素データを補完するといった技術がある。しかし、この補完方法では、紙幣の外周部には一般的に絵柄等の印刷部分が存在しないため、絵柄等が存在する内部のデータで外周部を補完すると、実際とは違ったものになると懸念される。さらに、1画素の補正に対して1画素をそのまま使えば、紙幣の部分的な小さな汚れ或いは、たまたま該当する場所が黒いインクを使っていた場合など、コピー値が実際のものとは、かけ離れたものになってしまうということが懸念される。
【0005】
紙幣の欠落部を補完する技術の第2の例としては、例えば、紙幣の物理的パターンを読み取る複数のセンサを設け、これらのセンサの中から予め選択された補正データ抽出用センサによって紙幣の無パターン部分(印刷の無い部分)を読み取り、この無パターン部分の出力信号を用いて欠落部を補完するようにした技術がある。
【0006】
図24は、紙幣の無パターン部分の補完機能を備えた識別装置の構成例を示している。図において、紙幣10は搬送方向Aに向かって搬送され、紙幣10の反射光を検出する4個のセンサ1−1〜1−4は、搬送路上を横切るように配置されている。この例では、センサ1−1を補正データ抽出用センサ、センサ1−2〜1−4をエッジライン検出用センサとして予め設定しておき、各センサが検出した信号をRAMに格納する。また、各センサ1−1〜1−4は、紙幣10の前端のエッジライン10aを検出したタイミングのとき、紙幣のエッジの無パターン部分10cを読取るように構成されている。
【0007】
このような構成において、欠落部10bのデータを補完する処理について、図25のフローチャートに従って説明する。各センサ1−1〜1−4によって検出された信号は、読取り信号処理部11を介してRAMに格納される(ステップS1)。エッジライン検出部12は、エッジライン検出用センサ1−2〜1−4の検出信号を読み出して紙幣10の前端のエッジライン10aを算出し(ステップS2)、エッジライン10aを補正データ抽出用センサ1−1の読取りの開始すべきタイミングT1 とする(ステップS3)。次に、補正データ抽出用センサ1−1が実際に紙幣10の前端のエッジライン10aを検出したタイミングT2 をRAMから読み出す(ステップS4)。
【0008】
センサ選択部13では、T2 とT1 を比較し(ステップS5)、T2 ≧T1 であればエッジ部分が欠落していると判断し、補正データ抽出用センサ1−1の代わりに、代用のセンサ1−2〜1−4の中のいずれか1つ(例えば出力信号が最大のセンサ)を選択する。補正部14では、選択した代用のセンサの検出データを補完データとして欠落部10bを補完する(ステップS6)。識別部20では、補完されたデータを基準パターンと比較照合して紙幣を識別するようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、欠落部分は常に無パターン部であると言うことはなく、上述した従来の技術では、絵柄等が印刷された部分に亘って紙幣に欠落が生じていた場合には、実際とは違った補完がされてしまうという問題があった。また、上述したように、紙幣の部分的な小さな汚れ或いは、たまたま該当する場所が黒いインクを使っていた場合など、欠落部分によっては補完後の値が実際のものとはかけ離れたものになってしまい、十分な補正が得られないという問題があった。このように、従来は、紙幣の特徴データが一部欠落すると、真紙幣であっても偽紙幣と誤判定する確率が高かった。また、この誤判定率を下げるためには、欠落部分があってもデータ不良ポイントに代わる代替えポイントのデータを用いて識別をすることになるため対象アイテムの増加となり、処理時間が余計にかかっていた。
【0010】
本発明は上述した事情から成されたものであり、本発明の目的は、紙葉類の破れや折れ等によって紙葉類の画像データに欠落がある場合でも、誤判定率が低く且つ処理が早い識別ができるように紙葉類の欠落部分を補完する紙葉類イメージデータ補完装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、紙葉類に光を照射する発光手段と、前記紙葉類の透過光又は反射光を受光して信号を出力する受光手段とを具備し、前記受光手段の出力信号を入力してデジタル変換したデータを前記紙葉類のイメージデータとして画像フレームメモリに記憶し、前記イメージデータに基づいて前記紙葉類を識別する紙葉類識別装置の紙葉類イメージデータ補完装置に関するものであり、本発明の上記目的は、前記紙葉類の搬送方向のライン番号と搬送横方向のチャンネル番号とで表わされる前記画像フレームメモリ上の位置での紙葉類のエッジ座標を記憶するエッジ情報記憶部と、前記画像フレームメモリに記憶されたイメージデータを読み取って所定の値と比較し、前記エッジ座標を求めて前記エッジ情報記憶部に書き込むエッジ情報書込手段と、前記エッジ情報記憶部に記憶されたチャンネル番号に対するライン番号の情報に基づき前記紙葉類の欠落部を検出し、該欠落部の情報を求める欠落検出手段と、前記欠落検出手段で得られた欠落部の情報を基に前記紙葉類のエッジ部において部分欠落している部位の周辺の画素データより求めた補完データを前記画像フレームメモリの当該番地に書き込み、前記イメージデータの欠落部を補完する補完手段とを備えるとともに、
前記補完手段は、補完する欠落部が紙葉類の端部でない場合には、前記周辺の2箇所以上の画素データの相加平均をとって当該画素の補完データとし、補完する欠落部が紙葉類の端部の場合には、前記部分欠落している部位の隣の端部の画素データを当該画素の補完データとすることによって達成される。
【0012】
さらに、(1):前記欠落検出手段は、前記紙葉類の欠落部を検出する際、斜行時に遅れて搬送される側を前記欠落部の検査開始側として検査方向を決定し、該検査方向に前記エッジ座標の情報を順次検査し、前記チャンネル番号に対するライン番号の増減により前記欠落部を検出すると共に、欠落箇所手前の欠落してない部分のエッジライン番号を補正後のエッジライン番号として前記欠落部のエッジ座標を補正すること、又は、 (2):前記欠落検出手段は、前記エッジ座標の情報に基づき前記欠落部の欠落度合を求め、欠落度合が閾値を越えている場合には当該欠落部のエッジ座標のみ補正して当該欠落部は前記補完手段での補完対象外とすることによって、より効果的に達成される。
【0013】
【作用】
本発明にあっては、紙葉類のエッジ部に欠落部があった場合に、欠落部の周辺の複数の画素データを基に当該画素の補完データを求めて欠落部を補完するので、絵柄等が印刷された部分に亘って紙幣に欠落が生じていた場合や、補完に使用するデータの一部に汚れやがある場合でも、補完後の値が実際のものに近い値となる。そのため、誤判定率を下げることができ、紙葉類の識別結果の信頼度を上げることができる。
【0014】
また、絵柄等の印刷がある部分の補完に用いる画素データは、欠落部の周辺の2箇所の画素データの相加平均を用い、絵柄等の印刷が無い紙幣端部の補完に用いる画素データは、隣の部分の画素データを用いるので、より実際に近い補完データが得られる。さらに、欠落位置を検索する際、相対的に欠落が大きいと考えられる方から検索を始めるので、容易に欠落位置を特定することができる。また、欠落度合により補完を制限するようにしているので、不適切な補完による異常判別を防止することができる。さらに、多少の欠落部が存在する紙幣においても、1000円紙幣を1000円と認識する自己認識率を向上させることもできる。
【0015】
【実施例】
図1は、本発明の紙葉類(以下、「紙幣」を例とする)イメージデータ補完装置の一例を示すブロック構成図であり、光学センサ部30は、図示しない紙幣搬送路上の所定の位置に、紙幣の搬送方向に直行して多数の検出器を配列したもので、フォトダイオードアレイ、CCDなどから成るイメージセンサで構成される。光学センサ部30では、紙幣10が搬送されるのに伴い紙幣上を面状に走査し、紙幣上の各位置での反射光や透過光など物理量の分布を検出する。なお、本実施例では、透過型の光学センサを用いた場合を例として説明する。
【0016】
A/D変換器2は、光学センサ部30の出力をAD変換し、デジタルデータとして以後取り扱えるようにする。デジタル値に変換された各画素のデータは、次に説明する画像フレームメモリ3に格納される。画像フレームメモリ3は、光学センサ部30で検出された紙幣10の特徴データを一時記憶する。画像フレームメモリ3に記憶された特徴データは、基準データと照合されて紙幣10の識別 (鑑別)が行なわれる。記憶した紙幣10の画像データに欠落があった場合には、後述する補完処理によって、欠落部の画像データが補完される。基準データ記憶部4には、紙幣の種類毎の基準となる正規基準データが記憶されている。この基準データは、紙幣上の所定のチェック位置と、該所定位置での許容データ等から成り、金種及びその方向別に用意されたテーブルに予め登録されている。
【0017】
エッジ情報書込手段40は、画像フレームメモリ3の内容と所定の閾値とを比較して紙幣10の有無を判別し、紙幣有り部と紙幣無し部とを分離してデータ化する。アウトプットとして、光学センサ部30内の各検出器のチャンネル毎に、紙幣前端のエッジのライン数を後述する配列FE1CH(後端は配列BE1CH)にセットし、エッジ情報記憶部50に記憶する。
【0018】
欠落検出部60は、エッジ情報書込手段40で得られた配列FE1CHをエッジ情報記憶部50から読み込み、欠落部分をサーチし、欠落部分が見つかればその位置,広さ及び深さを欠落情報としてRAM22内のレジスタに記憶する。補完部70は、欠落部分をその周辺のデータで補完してする。
【0019】
照合部20は、紙幣識別装置として動作を司るCPU21,紙幣の欠落位置データ等を記憶するRAM22及び動作プログラムを記憶するROM23を備えており、補完部70により補完された画像データを画像フレームメモリ3から読み出し、基準データ記憶部4に記憶されている基準データと比較演算し、紙幣10の識別を行なう。
【0020】
次に、本発明の紙葉類イメージデータ補完装置の構成要素個々について説明する。図2は、光学センサ部30の構成例を示す図で、イメージセンサ31は、多数の検出器を一列に配置したもので、紙幣10の搬送方向に直行して配置される。紙幣10は、矢印の方向に搬送路15上を搬送され、イメージセンサ31の近傍を通過する。紙幣10の搬送に伴って、一定時間毎にイメージセンサ31の出力を読み取ることにより、図中の破線で示す特徴データ読取りラインLA ,LB ,LC 上での紙幣10の特徴データの分布が検出される。
【0021】
図3はイメージセンサの出力信号の一例で、特徴データ読取りラインLA ,LB ,LC 上での特徴データの分布を示している。特徴データ分布は、イメージセンサを構成する単位区分である検出器個々の出力のレベルデータの集まりで構成されている。同図では、単位区分(1)〜(n)チャンネル毎に、特徴データ読取りラインLA ,LB ,LC 上での特徴データがそれぞれ検出されることを示している。紙幣の識別は、紙幣上の所定位置での特徴データ(検出レベル)が、基準データとして記憶されている所定のレベルの範囲内にあるか否かを照合することによって行なわれる。
【0022】
図4は、紙幣に破れや折れ等の欠落(欠損)が有る場合のイメージセンサの出力信号の一例である。ここでは、特徴データとして透過光量を検出するものとする。紙幣の欠落部ではほぼ完全に光が通過するため、欠落部に対応する位置En(n:単位区分のチャンネル番号)での検出器出力は、欠落が無い部分と比べて飛び抜けて高い値となる。従って、本来の紙幣の透過光量と比べて十分高い値を閾値Sとして設定しておき、紙幣の特徴データを閾値Sと比較して、特徴データが閾値Sを越える位置を検出するようにすれば、紙幣の欠落のある位置Enを知ることができる。実際にはこの比較はデジタル値を用いて行なわれる。
【0023】
図5は、紙幣に汚れがある場合のイメージセンサの出力信号の一例である。ここでも特徴データとして透過光量を検出するものとする。汚れている部分では、透過光量が紙幣本来の透過光量よりも減少する。紙幣の特徴データの値は各位置によって様々であるため、検出位置個々の特徴データに対して閾値SA ,SB ,SC を設定しておき、特徴データが当該閾値を下回る位置を検知するようにすれば、紙幣の汚れのある位置E´nを知ることができる。
【0024】
次に、画像フレームメモリ3について説明する。紙幣のデータは、1画素搬送方向に2mm×搬送横方向に5.85mmの大きさで、少なくとも紙幣1枚につき縦40×横32で1280個の画素分のメモリ番地が用意してある。この画像フレームメモリ3には、A/D変換器2から順次所定の紙幣の搬送に同期したタイミングで書込みが行なわれる。
【0025】
エッジ情報書込手段40では、画像フレームメモリ3に書き込まれた紙幣1枚分のデータを基に、紙幣の前端、後端の情報を32個のチャンネルを番地として、紙幣のエッジがあるラインの番号(ライン数)をエッジ情報としてエッジ情報記憶部50に書き込んでいく。例えば、図6(A)の概念図に示すように紙幣10がイメージセンサの各素子上を移動した場合、エッジ情報記憶部50には、同図(B)に示すように、チャンネル毎の紙幣10の前端が現れる点(図の斜線部)のライン数(但し、紙幣無しの場合は“0”)が記憶される。このエッジ情報はエッジ情報記憶部50内の配列FE1CHに格納される。また、エッジ情報は、次に説明するエッジ情報検出処理の途中で、生データ(補完前のデータ)と、紙幣識別処理に用いる補完後のデータとの2種類のデータが、エッジ情報記憶部50に格納されるようになっている。
【0026】
このような構成において、本発明の紙葉類イメージデータ補完装置の動作例を説明する。先ず、エッジ情報の検出処理について説明する。画像フレームメモリ3には、紙幣の搬送に同期して発生するメカクロックのパルスを基準に、2mm搬送する毎に横方向に32チャンネルの画像データが取り込まれる。エッジ情報書込手段40は、画像フレームメモリ3に取り込まれた画像データに基づいて紙幣のエッジのデータを作成する。
【0027】
欠落部のある紙幣がイメージセンサの各素子上を斜行して移動する状況は、ライン数を行番号、チャンネル数を列番号として概念図に示すと、図7のようになる。画像フレームメモリ3には、ライン数を行、チャンネル数を列とすると、図8のように、各素子の出力信号をデジタル変換した特徴データが各ライン毎に書き込まれる。エッジ情報書込手段40では、各画素(図中の各升目が画素)のデータを閾値(同図の例では、閾値=1500)と比較して紙幣有りと紙幣無しに2値化する。2値化したイメージは、図9のようになる。同図では、紙幣有り部が斜線、紙幣のエッジ部が実線でそれぞれ示されている。エッジ情報書込手段40は、各チャンネルの紙幣前端のエッジのライン数を配列FE1CHにセットし、紙幣前端のエッジ情報としてエッジ情報記憶部50に記憶する。FE1CHの内容を図9の例に則して示すと、下記の表1のようになる。以上のエッジ情報の検出処理が、欠落位置の検出処理の前処理として行なわれる。
【0028】
【表1】
Figure 0003706170
【0029】
次に、図10〜図14のフローチャートに従って、紙幣前端の欠落位置の検出処理の一例を説明する。配列FE1CH(CH=1〜32)には、各チャンネル毎の紙幣の先端部のラインの番号(ライン数)がエッジ情報書込手段40によりセットされ、前エッジ情報としてエッジ情報記憶部50に記憶されている。図7〜図9に対応する上記の表1で示したように、配列FE1CHには、例えば、3チャンネルの紙幣先端開始ライン数が4であれば、FE13 =4とセットされる。但し、FE1CH=0は、そのチャンネルにエッジが存在しないことを示している。欠落検出部60では、配列FE1CHに記憶されている補正前の紙幣前端部のエッジ情報を、補正後のエッジ情報の格納エリア、配列FE2CH(CH=1〜32)にコピーする。元のデータFE1CH(欠落部の補正前のエッジ情報)を残しておく理由は、本実施例では記載しない他の識別処理に使用するためである(ステップS101)。
【0030】
続いて、欠落検出部60では、欠落位置検出処理に使用するレジスタ類の初期設定を行なう。紙幣の欠落位置は、紙幣の斜行傾向に応じて検査方向を変えて検査し、ラインの番号の増減を判定して検出するようにしており、ここでは、紙幣の斜行傾向をレジスタDIRに設定する。紙幣の斜行傾向が、右先行または斜行無しの場合には“1”を設定し、左先行の場合には“−1”を設定する。これは、紙幣が搬送路上を斜行傾向で搬送されて来た場合、紙幣の欠落部の検出を、紙幣の走査の進行方向と逆の方向、すなわち紙幣の前端エッジのふもと(紙幣中心部に近い側)から頂上の方向に(右先行なら左側から、左先行なら右側から)順次検査して行なう様にするためである。
【0031】
さらに、右先行または斜行無しの場合には、検査の開始チャンネルを示すレジスタSTCHに、先の処理で見つかっている紙幣の左エッジのチャンネルの2チャンネル分右隣のチャンネルの番号“NLE+2”を設定し、さらに、検査終了チャンネルを示すレジスタEDCHに、紙幣の右端のチャンネルから“2”減算したチャンネル番号“NRE−2”を設定する。ここで、“NLE”は紙幣の左端のチャンネル番号、“NRE”は紙幣の右端のチャンネル番号を示しており、紙幣の両サイド2チャンネル分は、欠落位置処理の対象から外すようにしている。
【0032】
一方、左先行の場合には、レジスタSTCHに“NRE−2”を設定し、レジスタEDCHに“NLE+2”を設定する。なお、イメージセンサの各チャンネルは、左側が基準となって番号が管理されており、右に行くに従ってチャンネル番号が大きくなっていくものとする。この、レジスタSTCH及びEDCHの設定は、紙幣の斜行傾向が右先行または斜行無しの場合には、左側から右側のチャンネルに向かって欠落部(欠落位置)の検査をし、左先行の場合には、右側から左側のチャンネルに向かって検査をすることを意味している。上記の方向で検査する理由は、上記と逆の方向に紙幣の前端エッジをたどれば、欠落か斜行のための凹みかどうかが明確に判断できないからである。
【0033】
初期設定処理としては、上記のように紙幣の斜行傾向に応じて欠落部の検出方向と処理対象範囲を設定し、さらに、以下に示す他の各作業レジスタの初期設定を行なう。
【0034】
基準1FE:欠落が無かった時に該当チャンネルの“生(補正前)のデータのエッジライン番号(以下、生エッジライン番号と呼ぶ)”をセットしておくレジスタで、処理後には、欠落箇所手前の欠落無し部のチャンネル番号がセットされる。初期設定処理では、レジスタSTCHで示される検査の開始チャンネルの番号の配列FE1CHの内容「FE1STCH」が初期値として設定される。
基準1CH:欠落が無かった時に該当チャンネル番号をセットしておくレジスタで、処理後には、欠落箇所手前の欠落無し部のチャンネル番号がセットされる。この基準1CHと上記の基準1FEは対で使用され、初期値としてレジスタSTCHで示される検査の開始チャンネルの番号「STCH」が設定される。
【0035】
基準2FE:欠落第1チャンネル目の生エッジライン番号を示すレジスタで、初期値には、上記の「FE1STCH」が設定される。
基準2CH:欠落第1チャンネル目のチャンネル番号を示すレジスタで、上記の「STCH」が設定される。この基準2CHと上記の基準2FEは対で使用される。
【0036】
基準3FE:欠落部で最も浅いライン番号(前端エッジの頂上のライン番号)を記憶するレジスタで、▲1▼欠落第1チャンネル目の生エッジライン番号が第1番目の欠落時にセットされ、▲2▼欠落のある該当チャンネルの生エッジライン番号が自分自身の記憶しているエッジライン番号より浅くなっているときは、該当チャンネルの生エッジライン番号に更新される。初期値としては、上記の「STCH」が設定される。
基準3CH:欠落部で最も浅いライン番号があったチャンネル番号を記憶するレジスタで、▲1▼欠落第1チャンネル目のチャンネル番号が第1番目の欠落時にセットされ、▲2▼欠落のある該当チャンネルの生エッジライン番号が上記の基準3FEのレジスタに記憶しているエッジライン番号より浅くなっているときは、該当チャンネルの番号に更新される。この基準3CHは上記の基準3FEと対で使用され、初期値として上記の「STCH」が設定される。
【0037】
基準4FE:欠落部で欠落の最も大きいチャンネルのライン番号を記憶するレジスタで、▲1▼欠落第1チャンネル目の生エッジライン番号が先ずセットされ、▲2▼自分自身が示すエッジライン番号より該当チャンネルの生エッジライン番号が大きいとき、すなわち欠落がより大きいときに該当チャンネルの生エッジライン番号に更新される。
【0038】
補完フラグ:補完処理を実施するか否かを示す制御フラグで、“0”は補完を実施しないことを示し、“1”は補完を実施することを示す。初期値として“0”が設定される。
補完カウンタCH:該当チャンネルの欠落しているライン番号を記憶する配列構成のカウンタで、欠落前のライン番号と該当チャンネルのライン番号との差(FE1CH −FE2CH)がチャンネル毎に格納される。初期値として“0”が設定される。
【0039】
連続カウンタ:スキャン方向に連続して何チャンネル欠落があるかを示すレジスタで、初期値として“0”が設定される。
補完開始チャンネルHSTCH:補完を開始するチャンネル番号を示すレジスタで、初期値として“0”が設定される。
処理チャンネルCH:欠落を検査するときの現在処理中のチャンネル番号を示すレジスタで、初期値として上記の「STCH」が設定される(ステップS102)。
【0040】
以上の初期設定処理が終わると、処理チャンネルを示す変数CHが、レジスタEDCHが記憶している終了チャンネルがどうかチェックする(ステップS103)。終了チャンネルであれば、ステップS121(後述)へ移行する。終了チャンネルでなければ、紙幣の斜行傾向に応じて処理チャンネルを次に進める。すなわち、ステップS102の初期設定処理において、レジスタDIRには紙幣の斜行傾向が、右先行または斜行無しの場合には“1”、左先行の場合には“−1”が設定されており、レジスタDIRの内容を加算して(CH=CH+DIR)、処理チャンネルを示す変数CHを次に進める。これは、初期設定処理において述べたように、紙幣の前端エッジのふもとから頂上の方向に順次検査することで、欠落か斜行のための凹みかどうかを明確に判断するためである(ステップS104)。
【0041】
次に、配列FE1CHの内容(処理チャンネルのエッジライン番号)と基準1FEの内容(前回の処理チャンネルのエッジライン番号)とを比較し、エッジライン数が増加しているかどうかを判定する(ステップS105)。エッジライン数が同一又は減少している場合、すなわち、処理チャンネルのエッジライン番号が前回の処理チャンネルのエッジライン番号以下(FE1CH≦基準1FE)の場合は、欠落部分が無いと判断してステップS115(後述)へ移行する。一方、エッジライン数が増加している場合、すなわち、前回の処理チャンネルのエッジライン番号より大きければ(FE1CH>基準1FE)、欠落部分が有ると判断し、連続カウンタを1カウントアップする(ステップS106)。
【0042】
そして、欠落部の検出が第1回目か否かを連続カウンタの値により判定し(ステップS107)、連続カウンタが1の場合、すなわち最初の欠落部分の検出の場合は、次の処理(図13(B)のステップS123)により、当該チャンネルの補正前のエッジ情報を欠落情報として、各レジスタ(最初の欠落部分,深さが最小/最大の欠落部分の記憶用レジスタ)に格納する。すなわち、欠落が最初の場合には、欠落情報の格納用レジスタ、基準2FE,基準2CH,基準3FE,基準3CH,基準4FEに、それぞれ該当チャンネル(欠落第1番目)のエッジ情報(ライン番号)をセットする。そして、ステップS103へ戻り、次のチャンネルのチェックを行なう(ステップS123:図13(B))。
【0043】
一方ステップS107において、連続カウンタが2以上、すなわち第2番目以降の検出であれば、連続カウンタが5を越えるているか否かを判定する(ステップS108)。連続カウンタが5以下の場合には、次の処理(図13(C)のステップS124〜S127)をする。現在のチャンネルCHのエッジ情報値(FE1CH)が、基準3FEで示される最も浅い欠落部のエッジ情報値より小さいかどうかを判定し(ステップS124)、小さい場合、すなわち現在のチャンネルCHの位置の方が浅い場合には、次の処理により最も浅い部分の記憶情報を更新する。レジスタ基準3FEに該当チャンネルのエッジライン番号をセットし(基準3FE=FE1CH)、レジスタ基準3CHに該当チャンネルのチャンネル番号をセットする(基準3CH=CH)。レジスタ基準3FEとレジスタ基準3CHには、欠落部で、第1番目の欠落部より小さいチャンネルの情報が格納され、最終的には、欠落であってそのライン番号が最小の部分(最も浅い欠落部分:深さの最小値)のデータが格納される。そして、ステップS103へ戻り、次のチャンネルのチェックを行なう(ステップS125)。
【0044】
ステップS124において、現在のチャンネルCHの位置の方が浅いと判定した場合(FE1CH<基準3FEの場合)には、現在のチャンネルのエッジ情報値(FE1CH)が、基準4FEで示される最も深い欠落部のエッジ情報値以下かどうかを判定し(ステップS126)、最も深い欠落部のエッジ情報値以下の場合(FE1CH≦基準4FEの場合)、すなわち更に深く欠落していなければ、ステップS103へ戻り、次のチャンネルのチェックを行なう。ステップS126において、現在のチャンネルCHの位置の方が更に深く欠落している場合(FE1CH>基準4FEの場合)には、次の処理により最も深い部分の記憶情報を更新する。レジスタ基準4FEに該当チャンネルのエッジライン番号をセットする(基準4FE=FE1CH)。そして、ステップS103へ戻り、次のチャンネルのチェックを行なう(ステップS127)。
【0045】
一方、ステップS108(図10)において連続カウンタが5を越える場合、すなわち、欠落が連続し、その幅が所定量を越えている場合には、破れの最小値(最も浅い欠落部のライン番号)である基準3FEと破れの最大値(最も深い欠落部のライン番号)である基準4FEとが同一かどうかを調べ(ステップS109)、同一(基準3FE=基準4FE)であれば、平坦部が続いていて、部分的な欠けではないと判断し、ステップS128(後述)へ移行する。
【0046】
一方、破れの最小値と破れの最大値が同一(基準3FE=基準4FE)でなければ、欠落部に凹凸があると判断して凹凸部の状態をチェックする。先ず、欠落第1チャンネル目のエッジライン番号「基準2FE」と、破れの深さを示すライン番号の最小値「基準3FE」とを比較し、第1番目(最初)の欠落部より浅い欠落部があるかどうか(基準2FE>基準3FE)をチェックする(ステップS110)。
【0047】
ステップS110において、第1番目(最初)の欠落部より浅い欠落部がない場合(基準2FE≦基準3FE)は、次の処理(図14(B)のステップS130,S131)により、処理を再開する範囲を第1番目の欠落があったチャンネルからに変更し、図15(A)に示すように、基準2FEを基準1FEとして処理を継続する。すなわち、欠落検出部60では、レジスタCHと基準1CHに、それぞれ第1番目の欠落部のチャンネル番号をコピーし(CH=基準2CH,基準1CH=基準2CH)、基準1FEに第1番目の欠落部のライン数をコピーする(基準1FE=基準2FE)(ステップS130)。そして、連続カウンタをリセット(0クリア)し(ステップS131)、ステップS103に戻り処理を継続する。
【0048】
一方、ステップS110において、第1番目の欠落部より浅い欠落部がある場合(基準2FE>基準3FEの場合)、すなわち、ステップS108において連続する欠落チャンネルが5チャンネルを越えている場合で、かつステップS109の補完条件(欠落部に凹凸があること)及びステップS110の補完条件(第1番目の欠落部が最も浅い欠落部であること)を満たしている場合、或いは、検出チャンネルの範囲が終わった場合で、かつステップS121の補完条件(欠落部があること)及びステップS122の補完条件(最も浅い欠落部=最も深い欠落部:一定の深さの欠落であること)を満たしている場合には、図15(B)に示すように、最初の欠落部分「基準2FE」から最も浅い部分「基準3FE」までを対象として、次の処理により、エッジ情報を補正すると共に配列構成の補完カウンタCHに補完値(欠落量)を格納する。
【0049】
欠落検出部60では、欠落の第1番目のチャンネル番地(基準2CH)から欠落の最小のチャンネル番地(基準3CH−DIR)まで、配列FE2CHに、欠落が最小であるところのライン数(基準3FE)を格納する。さらに、補完カウンタCHに各チャンネルの欠落量を格納する(補完カウンタCH=FE1CH−基準3CH)(ステップS111:図11)。続いて、データ補完の対象範囲を設定する。補完対象エリアの欠落の終了チャンネル番地を、補完開始番地レジスタHSTCHにセットする(HSTCH=基準3CH)。また、欠落位置検出のスキャン方向と補完処理のスキャン方向が逆のため、欠落開始のところのチャンネル番地が補完の終了番地となるように、正常な前端であった欠落発見前のチャンネル番地を補完終了チャンネルHEDCHにセットする(HEDCH=基準1CH)(ステップS112)。
【0050】
そして、補完カウンタCHに格納された各チャンネルの欠落量のいずれかの値(配列カウンタCH)が所定値(本実施例では“4”)以上か否かを判定し(ステップS113)、4以上のときは欠けが深すぎると判断し、補完フラッグは0のままとし、エッジ情報のみを補正して、欠落部に対するデータの補完は行なわない。4以上の欠落の欠けが存在しない場合は、補完フラッグに補完実施を示す“1”をセットし(ステップS114)、欠落位置検出処理を終了(欠落を1カ所補正すれば処理ルーチンを終了)する。
【0051】
ステップS105(図10)において、エッジライン数が増加していない場合(FE1CH≦基準1FEの場合)は、欠落部があった(連続カウンタ>“0”)かどうかを判定し(ステップS115:図12)、連続カウンタが“0”(欠落部が無い場合、或いは補完条件を満たさず、欠落の無いところに戻った場合)であれば、欠落が無く、前端が正常であると判断する。そして基準1FE(前回の処理チャンネルのエッジライン番号)を現在の配列FE1CH(該当のチャンネルの生エッジライン番号)値に更新し、基準1CHを現在値に更新して(ステップS120)、ステップS103に戻って検出処理を継続する。
【0052】
一方、ステップS115において連続カウンタ>0の場合、すなわち欠落が過去に見つかっていた場合には、次に示す通常の補完処理を行なう。図15(C)に示すように、最初の欠落部分「基準2FE」から現在のチャンネルの1個手前(CH−DIR)までを対象として、次の処理により、エッジ情報を補正すると共に補完カウンタCHに補完値(欠落量)を格納する。
【0053】
欠落検出部60では、第1番目の欠落チャンネル(基準2CH)から現在のチャンネルの1個手前(CH−DIR)までのチャンネルについて、補正後の前端のライン数(基準1FE)を配列FE2CHに格納する。格納するデータは欠けの無いときのデータで、補完カウンタCHに補完値(配列FE1CH−基準1FE)を設定する(ステップS116)。続いて、データ補完の対象範囲を設定する。補完開始番地レジスタHSTCHに現在のチャンネル番地をセットする(HSTCH=CH)。また、欠落直前のチャンネル番地を補完終了チャンネルHEDCHにセットする(HEDCH=基準1CH)(ステップS117)。
【0054】
そして、補完カウンタCHに格納された各チャンネルの欠落量のいずれかの値(配列カウンタCH)が4以上か否かを判定し(ステップS118)、4以上のときは欠けが深すぎると判断し、補完フラッグは0のままとし、エッジ情報のみを補正して、欠落部に対するデータの補完は行なわない。4以上の欠落の欠けが存在しない場合は、補完フラッグに補完実行を示す“1”をセットし(ステップS119)、欠落位置検出処理を終了する。
【0055】
ステップS103(図10)において、処理チャンネルが終了チャンネルまで来たのであれば、欠落部があった(連続カウンタ>“0”)かどうかを判定し(ステップS121:図13(A))、欠落部を検出していない場合は検出処理を終了する。一方、連続カウンタ>0の場合、すなわち欠落部を検出していた場合には、破れの最小値(最も浅い欠落部のライン番号)である基準3FEと破れの最大値(最も深い欠落部のライン番号)である基準4FEとが同一かどうかを調べ(ステップS122)、同一(基準3FE=基準4FE)であれば検出処理を終了する。基準3FE=基準4FEでない場合、すなわち欠落部に凹凸がある場合は上記ステップS110に移行する。
【0056】
ステップS109で平坦部が続いていて、部分的な欠けではないと判断した場合には、ステップS128へ移り、欠落度合いが制限値を越えたと判断し、該当部分は補完対象外として無視する。すなわち、図15(D)に示すように、凹凸が無く平坦部が連続(本実施例では6チャンネル以上連続)する欠落部の場合は、処理チャンネルをCH=CH−DIRで次に進め、基準FE=FE1CH、基準1CH=CHとし(ステップS128)、さらに連続カウンタを0にして(ステップS129),ステップS103に戻り処理を継続する。
【0057】
以上の欠落位置検出処理が終了したのであれば、チャンネル“1”〜“NLE+1”(紙幣の左の画像フレームメモリの内容)について、配列FE2CH=FE2NLE+2 とし、チャンネル“NRE−1”〜“32”(紙幣の右の画像フレームメモリの内容)について、配列FE2CH=FE2NRE-2 とし、次の補完処理に備える。
【0058】
次に、図16及び図17のフローチャートに従って、紙幣前端の欠落部のデータ補完処理の一例を説明する。補完部70では、初期設定処理として、紙幣の斜行の向きに応じて処理対象範囲(補正の開始チャンネルSTCHと終了チャンネルEDCH、及び補正方向DIR)を、次の表2のように設定する。
【0059】
【表2】
Figure 0003706170
【0060】
すなわち、紙幣の斜行傾向が、右先行または斜行無しの場合にはレジスタDIRに“−1”を設定し、左先行の場合には“1”を設定する。また、レジスタSTCHとEDCHには、レジスタHSTCHとHEDCHの値をそれぞれ設定する。さらに現行処理チャンネルを示すCHは、初期値として開始チャンネルSTCH−DIRを設定しておく(ステップS201)。
【0061】
ここで、データ補完処理で用いる他の作業レジスタ類について説明する。
HSTLN:配列FE1CHから求めた現在のチャンネルを含む前後1チャンネルの全3チャンネルのうち最も大きいライン番号がセットされる。
HCNT:縦方向の補完が必要なライン数がセットされる。
HCNTW:縦方向の補完時に使用するワーク用カウンタであり、1データ補完毎に1インクリメントされる。
PD:配列形式のエリアであり、画素のデータが格納される。
TH:補完後の該当画素データと補完前の該当画素データとの差がセットされる。
【0062】
初期設定処理が終了すると、補完部70は、補完フラッグのセット状態をチェックし(ステップS202)、補完フラッグが“0”、すなわち欠落部が無しの場合、或いは欠落部は存在するが欠落が大きすぎて補完条件を満たさない場合は、デ−タ補完は行なわずに処理を終了する。補完フラッグが“1”であれば、補完が必要と判断し、現行の処理チャンネルCHを+1加算し、処理チャンネルを次に進める(ステップS203)。そして、現在のチャンネルを含む前後1チャンネルの全3チャンネルのうち深さが最大のライン番号、すなわち最も大きいライン番号を、配列FE1**(但し、“**”は“CH−DIR,CH,CH+DIR”)から探し、HSTLNにセットする(ステップS204)。
【0063】
続いて、縦方向に補完が必要なライン番号HCNTを計算する。すなわち、HCNT=HSTLN(3CHのうちの最大値)−FE1CH(処理チャンネルのエッジのライン番号)+補完カウンタCH(欠落位置検出処理でセットされている値)とする(ステップS205)。そして、ライン方向(縦方向)のワーク用カウンタHCNTWを0クリアする(ステップS206)。
【0064】
欠落部のデータ補完は、紙幣の端部(絵柄などのイメージが存在しない部分)と紙幣の内部(端部以外の部分)とでは補完処理が異なり、欠落部分が紙幣の端部でない場合には、下記の数1により当該画素のデータを補完する。
【0065】
【数1】
Figure 0003706170
【0066】
すなわち、補完後のデータPD´(CH,HSTLN-HCNTW)は、被補完画素の同一チャンネルの1ライン紙幣内部側の画素データPD(CH,HSTLN-HCNTW+1)+同じく被補完エリアの1個手前でかつ1ライン前方の画素データPD(CH-1,HSTLN-HCNTW-1)との相加平均をとる(ステップS207)。
【0067】
続いて、計算によって求めた被補完画素データ値PD´(CH,HSTLN-HCNTW)と補完前の画素データ値PD(CH,HSTLN-HCNTW)との差THを計算し(ステップS208)、その差THが閾値(本実施例では“200”)以上かどうかをチェックする(ステップS209)。200以上である場合には、元のデータ部が欠落しセンサの受光量が大きかったことを意味するので、PD(CH,HSTLN-HCNTW)=PD´(CH,HSTLN-HCNTW)とし、補完値を該当画素データとして使用する。200未満の場合には補完値を使用しない。すなわち、補完対象エリアにおいて全てのデータを無条件に置き換えるのではなく、データの有効性チェックを行ない、有効なデータだけを採用して補完する(ステップS210)。
【0068】
続いて、ワーク用カウンタHCNTWを+1する。これにより、補正する画素の座標は紙幣の前端の方に1ライン移動する。またカウンタの値は補完したライン数を示す(ステップS211:図17)。ワーク用カウンタHCNTWの値が、予定していた個数(HCNTの値)の画素を補完したか否かをチェックし(ステップS212)、予定していた個数未満(HCNTW<HCNT)のときはステップS207に戻り、予定していた個数の画素を補完するまで当該チャンネルの上記補完処理を繰り返す。
【0069】
予定していた個数HCNTの画素を補完したのであれば、下記の数2により該当チャンネルの紙幣の端部の画素のデータを補完する。
【0070】
【数2】
PD(CH,FE2(CH))=PD(CH-DIR,FE2(CH-DIR))
【0071】
すなわち、1チャンネル手前の紙幣端の画素データによって補完する(ステップS213)。
【0072】
当該チャンネルの補完処理が終了したのであれば、処理中のチャンネル番号CHと終了チャンネル番号EDCHとを比較し(ステップS214)、終了チャンネルに達していないのであればステップS203に戻り、補完の必要な欠落部の終了チャンネルに達するまで上記補完処理を繰り返す。そして、ステップS214において、終了チャンネルまで補完処理が終了したのであれば、紙幣前端の欠落部の画素データの補完処理を終了する。
【0073】
以上の補完処理を具体例を示して説明すると、例えば、図18のような欠落があったとすると、補完対象の画素データは、D2,D4〜D9,D12〜D17,D21〜D24となり、次のように補完される(カッコ内は補完順序)。
【0074】
(1)D´12=(D3+D20)/2:但し、D12−D´12<200ならば、D´12=D12(以下の処理の場合も同様のため、記載を省略する。)
(2)D´4=(D1+D´12)/2
(3)D´2=D1
(4)D´21=(D´12+D29)/2
(5)D´13=(D´4+D´21)/2
(6)D´5=D´2
(7)D´22=(D´13+D30)/2
(8)D´14=(D´5+D´22)/2
(9)D´6=D´5
(10)D´23=(D´14+D31)/2
(11)D´15=(D´6+D´23)/2
(12)D´7=D´6
(13)D´24=(D´15+D32)/2
(14)D´16=(D´7+D´24)/2
(15)D´8=D´7
(16)D´17=(D´8+D´25)/2
(17)D´9=D´8
なお、「´」は、補完処理後のデータであることを示しており、フローチャートの表記とは異なっている。
【0075】
次に、紙幣後端の欠落位置の検出処理、及び紙幣後端の欠落部の画素データの補完処理について説明する。紙幣の後端部の処理の流れは、上述した前端部の処理の流れと同様であり、ここでは、処理内容が相違する部分について説明する。紙幣後端の欠落位置の検出処理では、エッジを検査する方向が紙幣前端の検出処理とは逆になる。すなわち、前端の処理では、ライン番号が大きくなるに従って欠け(欠落部の深さ)が大きくなるが、後端の処理では、ライン番号が小さくなるに従って欠けが大きくなる。また、欠落部のデータ補完の方向も、前端の処理とは逆になる。
【0076】
先ず、図19及び図20のフローチャートを参照して、紙幣の前端部の欠落位置検出処理とは処理内容が相違する部分について説明する。図19及び図20のフローチャートは、紙幣の前端部のフローチャート(図10〜図14)に対応させ、簡略化して示している。ステップS301〜S331は、それぞれ図10〜図14のステップS101〜S131に対応しており、“*”の部分が前端処理と異なる箇所を示している。また、紙幣後端の処理で使用するレジスタ類の名称は、前端の処理で使用したレジスタ類の名称と次のように対応しており、各レジスタ類には紙幣後端に関する情報が格納される。
【0077】
配列BE1CH:配列FE1CH
配列BE2CH:配列FE2CH
基準1BE:基準1FE
基準2BE:基準2FE
基準3BE:基準3FE
基準4BE:基準4FE
【0078】
以下、処理内容が前端処理と異なるステップについて順次説明する。
「ステップS302」:初期設定処理では、紙幣の斜行の向きに応じて処理対象範囲(補正の開始チャンネルSTCHと終了チャンネルEDCH、及び補正方向DIR)を設定するが、検査方向が前端での処理とは逆になるため、次のように設定する。紙幣の斜行傾向が右先行または斜行無しの場合には、レジスタDIRに“−1”、レジスタSTCHに“NLE−2”、レジスタEDCHに“NRE+2”を設定し、左先行の場合には、レジスタDIRに“1”、レジスタSTCHに“NLE−2”、レジスタEDCHに“NRE+2”を設定する。すなわち紙幣の後端エッジのふもと(紙幣中心部に近い側)から頂上の方向に(右先行なら右側から、左先行なら左側から)順次検査して行なう様にするためである。
【0079】
「ステップS305」:紙幣後端の欠落部の検出は、前端とは逆に、エッジライン数が減少しているどうかを判定して行なう。エッジライン数が減少している場合、すなわち、前回の処理チャンネルのエッジライン番号より小さければ(BE1CH<基準1BE)、欠落部分が有ると判断する。
「ステップS310」:第1番目の欠落部より浅い欠落部があるかどうかの判断は、前端とは逆に、欠落第1チャンネル目のエッジライン番号(基準2BE)が、破れの深さを示すライン番号の最小値(基準3BE)より小さいかどうかを判定して行なう。
【0080】
「ステップS311」:補完カウンタCHに補完値(欠落量)を格納する際、補完カウンタCH=基準3BE−BE1CHを算出して格納する。但し、差の絶対値を格納することにより、前端、後端の処理を共通にすることができる。
「ステップS316」:補完カウンタCHに補完値(欠落量)を格納する際、補完カウンタCH=基準1BE−BE1CHを算出して格納する。但し、上記ステップS311と同様に、差の絶対値を格納することにより、前端、後端の処理を共通にすることができる。
【0081】
「ステップS324」:現在のチャンネルCHの位置が最も浅い部分かどうかを判定する際、現在のチャンネルCHのエッジ情報値(BE1CH)が、最も浅い欠落部のエッジ情報値(基準3BE)より大きいかどうかで判定する。
「ステップS326」:現在のチャンネルCHの位置が最も深い部分かどうかを判定する際、現在のチャンネルCHのエッジ情報値(BE1CH)が、最も深い欠落部のエッジ情報値(基準4BE)より小さいかどうかで判定する。
【0082】
以上のステップが、紙幣後端の欠落位置の検出処理において前端処理と異なる処理内容となる。次に、紙幣後端の欠落部の画素データの補完処理について、図21のフローチャートを参照して、前端処理とは処理内容が相違する部分について説明する。図21のフローチャートは、紙幣の前端部のフローチャート(図16及び図17)に対応させ、簡略化して示している。ステップS401〜S414は、それぞれ図16及び図17のステップS201〜S214に対応しており、“*”の部分が前端処理と異なる箇所を示している。なお、紙幣後端の処理で使用するレジスタ類は、前端の処理で使用したレジスタ類を使用する。
【0083】
以下、処理内容が前端処理と異なるステップについて順次説明する。
「ステップS401」:データ補完処理の初期設定処理では、レジスタDIRを次のように設定する。検査方向が前端での処理とは逆になるため、紙幣の斜行傾向が右先行または斜行無しの場合にはレジスタDIRに“1”、左先行の場合にはレジスタDIRに“−1”を設定する。
「ステップS404」:現在のチャンネルを含む前後1チャンネルの全3チャンネルのうち深さが最大のライン番号を検索する際、最も小さいライン番号を配列FE1**から探す。
「ステップS405」:縦方向に補完が必要なライン番号HCNTは、検査方向が前端での処理とは逆になるため、HCNT=BE1CH−HSTLN+補完カウンタCHにより算出する。
「ステップS407」:紙幣端部でない場合の欠落部のデータ補完方法は、前端処理と同様であるが、下記の数3により当該画素のデータを補完する。
【0084】
【数3】
Figure 0003706170
【0085】
「ステップS408」:被補前後の画素データ値の差THは、
TH=PD(CH,HSTLN+HCNTW)−PD´(CH,HSTLN+HCNTW)
により算出する。
「ステップS410」:該当画素データの補完は、
PD(CH,HSTLN+HCNTW)=PD´(CH,HSTLN+HCNTW)
により行なう。以上のステップが、紙幣後端の欠落部の画素データの補完処理において前端処理と異なる処理内容となる。なお、補完処理が終了した後、識別部20では補完後のデータを用いて紙幣の識別(鑑別)を行ない、その後、欠落量の大きさを検査して欠落量の大きなものを損券として取り扱う手順となる。
【0086】
なお、上述した実施例においては、紙幣の前端又は後端に沿ってエッジを見て行ったときに、欠落が最初に発見されたところを補完の対象する場合を例として説明したが、複数箇所の欠落部分を対象として補完することも可能である。また、上下各1ラインの2箇所の画素データを用いて補完する場合を例として説明したが、補完に使用するデータは、上下各1ラインの2箇所に限るものではなく、また、周辺の3箇所以上の画素データ(例えば欠落部の上下左右の4箇所の画素データ)を用いて補完するようにしても良い。
【0087】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の紙葉類イメージデータ補完装置によれば、紙葉類のエッジ部に欠落部があった場合に、欠落部の周辺の複数の画素データを基に当該画素の補完データを求めて欠落部を補完するので、紙葉類の識別に使用するイメージデータを欠落前の状態に近い状態にすることができ、紙葉類の識別結果の信頼度を上げることができる。例えば、絵柄が存在する部分が欠損している場合や、補完に使用するデータの一部に汚れやがある場合でも、補完後の値が実際のものに近い値となり、誤判定率を下げることができる。
【0088】
また、エッジ部分から所定ライン以上内部の欠落部分(絵柄等の印刷がある部分)の画素を補完する場合には、2箇所の画素データ(例えば、そのチャンネルの1ライン内側の画素データと1ライン手前で紙葉類の外側の画素データ)の相加平均を用いて補完する。そのため、2箇所のラインの画素の平均がとれるので、より実際に近い補完データが得られる。そして、紙葉類の端部(絵柄等の印刷が無い部分)を補完する場合には、前チャンネルのエッジ部の画素データを用いて補完するので、紙葉類にある縁どりや、センサ部を半遮光している部分が欠落していても、欠落前の状態を再現することができる。
【0089】
また、欠落位置の検索において、相対的に欠落が大きいと考えられる方から検索を始めるので、容易に欠落位置を特定することができる。すなわち、紙幣の前端を検索する場合には、欠落が無いときは検索が進むに従ってライン番号が減るので、ライン番号が増えればその位置で欠落が発生していると容易に判別できる。一方、紙幣の後端を検索する場合には、欠落が無いときは検索が進むに従ってライン番号が増えるので、ライン番号が減れば欠落が発生していると判別できる。
【0090】
さらに、欠落の大きさ(幅又は深さ)が予め設定された値(閾値)以上の場合、エッジ部の補正処理は行なうが、データ補完処理を行なわないようにしている。これは、欠落部分が大きいときに無理にデータを補完すると、誤鑑別が発生する可能性があるからであり、上記閾値をチェックして誤鑑別の発生を防いでいる。また、欠落部分が大きい場合にもエッジ部の補正処理を行なう理由は、紙幣のエッジの位置がずれている際の鑑別率低下を回避するためである。すなわち、パターン認識をするにあたり、欠落部分を特徴パターンとして使用しないが、その他の部分を特徴パターンとして使用している場合、紙幣のエッジの位置がずれると、その他の部分の特徴パターンをとらまえることができなくて、正確に鑑別できないことがあるが、紙幣のエッジ部だけを補正することにより、これを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙葉類イメージデータ補完装置の一例を示すブロック構成図である。
【図2】図1の光学センサ部の構成例を示す図である。
【図3】本発明に用いるイメージセンサの出力信号の第1の例を示す図である。
【図4】本発明に用いるイメージセンサの出力信号の第2の例を示す図である。
【図5】本発明に用いるイメージセンサの出力信号の第3の例を示す図である。
【図6】本発明におけるエッジ情報の記憶方法の一例を説明するための図である。
【図7】本発明におけるエッジ情報検出処理を説明するための第1の図である。
【図8】本発明におけるエッジ情報検出処理を説明するための第2の図である。
【図9】本発明におけるエッジ情報検出処理を説明するための第3の図である。
【図10】本発明における紙幣前端の欠落位置検出処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10のフローチャートの第1の分図である。
【図12】図10のフローチャートの第2の分図である。
【図13】図10のフローチャートの第3の分図である。
【図14】図10のフローチャートの第4の分図である。
【図15】本発明における紙幣前端の欠落位置検出処理を説明するための図である。
【図16】本発明における紙幣前端の欠落部のデータ補完処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図17】図16のフローチャートの分図である。
【図18】本発明における欠落部のデータ補完処理を説明するための図である。
【図19】本発明における紙幣後端の欠落位置検出処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図20】図19のフローチャートの分図である。
【図21】本発明における紙幣後端の欠落部のデータ補完処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図22】一般的な紙幣識別装置の一例を示すブロック構成図である。
【図23】従来の技術の第1の例を説明するための図である。
【図24】従来の技術の第2の例を説明するための識別装置の構成例を示す図である。
【図25】従来の技術の第2の例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2 A/D変換器
3 画像フレームメモリ
4 基準データ記憶部
10 紙葉類
20 識別部
21 CPU
22 RAM
23 ROM
30 光学センサ部
31 イメージセンサ
40 エッジ情報書込手段
50 エッジ情報記憶部
60 欠落検出部
70 補完部

Claims (3)

  1. 紙葉類に光を照射する発光手段と、前記紙葉類の透過光又は反射光を受光して信号を出力する受光手段とを具備し、前記受光手段の出力信号を入力してデジタル変換したデータを前記紙葉類のイメージデータとして画像フレームメモリに記憶し、前記イメージデータに基づいて前記紙葉類を識別する紙葉類識別装置の紙葉類イメージデータ補完装置において、
    前記紙葉類の搬送方向のライン番号と搬送横方向のチャンネル番号とで表わされる前記画像フレームメモリ上の位置での紙葉類のエッジ座標を記憶するエッジ情報記憶部と、
    前記画像フレームメモリに記憶されたイメージデータを読み取って所定の値と比較し、前記エッジ座標を求めて前記エッジ情報記憶部に書き込むエッジ情報書込手段と、
    前記エッジ情報記憶部に記憶されたチャンネル番号に対するライン番号の情報に基づき前記紙葉類の欠落部を検出し、該欠落部の情報を求める欠落検出手段と、
    前記欠落検出手段で得られた欠落部の情報を基に前記紙葉類のエッジ部において部分欠落している部位の周辺の画素データより求めた補完データを前記画像フレームメモリの当該番地に書き込み、前記イメージデータの欠落部を補完する補完手段とを備えるとともに、
    前記補完手段は、補完する欠落部が紙葉類の端部でない場合には、前記周辺の2箇所以上の画素データの相加平均をとって当該画素の補完データとし、補完する欠落部が紙葉類の端部の場合には、前記部分欠落している部位の隣の端部の画素データを当該画素の補完データとすることを特徴とする紙葉類イメージデータ補完装置。
  2. 紙葉類に光を照射する発光手段と、前記紙葉類の透過光又は反射光を受光して信号を出力する受光手段とを具備し、前記受光手段の出力信号を入力してデジタル変換したデータを前記紙葉類のイメージデータとして画像フレームメモリに記憶し、前記イメージデータに基づいて前記紙葉類を識別する紙葉類識別装置の紙葉類イメージデータ補完装置において、
    前記紙葉類の搬送方向のライン番号と搬送横方向のチャンネル番号とで表わされる前記画像フレームメモリ上の位置での紙葉類のエッジ座標を記憶するエッジ情報記憶部と、
    前記画像フレームメモリに記憶されたイメージデータを読み取って所定の値と比較し、前記エッジ座標を求めて前記エッジ情報記憶部に書き込むエッジ情報書込手段と、
    前記エッジ情報記憶部に記憶されたチャンネル番号に対するライン番号の情報に基づき前記紙葉類の欠落部を検出し、該欠落部の情報を求める欠落検出手段と、
    前記欠落検出手段で得られた欠落部の情報を基に前記紙葉類のエッジ部において部分欠落している部位の周辺の画素データより求めた補完データを前記画像フレームメモリの当該番地に書き込み、前記イメージデータの欠落部を補完する補完手段とを備えるとともに、
    前記欠落検出手段は、前記紙葉類の欠落部を検出する際、斜行時に遅れて搬送される側を前記欠落部の検査開始側として検査方向を決定し、該検査方向に前記エッジ座標の情報を順次検査し、前記チャンネル番号に対するライン番号の増減により前記欠落部を検出すると共に、欠落箇所手前の欠落してない部分のエッジライン番号を補正後のエッジライン番号として前記欠落部のエッジ座標を補正することを特徴とする紙葉類イメージデータ補完装置
  3. 紙葉類に光を照射する発光手段と、前記紙葉類の透過光又は反射光を受光して信号を出力する受光手段とを具備し、前記受光手段の出力信号を入力してデジタル変換したデータを前記紙葉類のイメージデータとして画像フレームメモリに記憶し、前記イメージデータに基づいて前記紙葉類を識別する紙葉類識別装置の紙葉類イメージデータ補完装置において、
    前記紙葉類の搬送方向のライン番号と搬送横方向のチャンネル番号とで表わされる前記画像フレームメモリ上の位置での紙葉類のエッジ座標を記憶するエッジ情報記憶部と、
    前記画像フレームメモリに記憶されたイメージデータを読み取って所定の値と比較し、前記エッジ座標を求めて前記エッジ情報記憶部に書き込むエッジ情報書込手段と、
    前記エッジ情報記憶部に記憶されたチャンネル番号に対するライン番号の情報に基づき前記紙葉類の欠落部を検出し、該欠落部の情報を求める欠落検出手段と、
    前記欠落検出手段で得られた欠落部の情報を基に前記紙葉類のエッジ部において部分欠落している部位の周辺の画素データより求めた補完データを前記画像フレームメモリの当該番地に書き込み、前記イメージデータの欠落部を補完する補完手段とを備えるとともに、
    前記欠落検出手段は、前記エッジ座標の情報に基づき前記欠落部の欠落度合を求め、欠落度合が閾値を越えている場合には当該欠落部のエッジ座標のみ補正して当該欠落部は前記補完手段での補完対象外とすることを特徴とする紙葉類イメージデータ補完装置。
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