JP3819290B2 - カルボニルメチレン重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボニルメチレン重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリメタクリル酸メチルを始め、極性基を側鎖に持つポリメチレン化合物は、その密着性、化学分解性等から、フォトレジスト材料・塗料等、さまざまな用途に使用されている。そのため、種々の骨格を有する極性ポリメチレン化合物が多数提案されていて、近年では、新たな骨格を持つ極性ポリメチレン化合物としてフマル酸エステルの重合体が報告されている。
例えば、大津らは、フマル酸エステルをラジカル重合開始剤存在下で重合することによる、カルボニルメチレン重合体の製造方法を報告している(Macromol.Chem.Rapid Commun.,2,725(1981).)。
【0003】
一方、ポリメチレン化合物の重合例としてMuchaらは、ジアゾメタンを原料モノマーとし、ホウ素系触媒によりポリメチレンを合成している(J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,12,1993(1974).)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、大津らが報告したラジカル重合法で重合可能なフマル酸エステル類は、t−ブチル基等の嵩高いエステル基を有するものに限られており、この方法は自由度が低かった。
また、Muchaらの触媒系では、ジアゾ酢酸エステル化合物のような極性基を有するジアゾメチレン化合物の重合はできなかった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、種々のエステル基を有する様々なジアゾ酢酸エステル化合物を効率的に重合し、極性基を持つポリメチレン重合体であるカルボニルメチレン重合体を生産性よく製造する方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した従来技術の問題を解決するために鋭意検討した結果、ジアゾ酢酸エステル化合物を、8族の遷移金属および/または遷移金属化合物を開始剤として使用した系内で重合することにより、カルボニルメチレン重合体を効率的に合成できることを見出した。
すなわち本発明の要旨は、少なくとも下記式(1)で示される遷移金属および/または遷移金属化合物と、アミン類とが添加された系内で、下記式(2)で示されるジアゾ酢酸エステル化合物を主成分として含有するモノマーを重合することを特徴とするカルボニルメチレン重合体の製造方法にある。
LmMXn ・・・(1)
(式(1)中、Mは8族の遷移金属であり;Lは遷移金属に配位する能力のある配位子であり;Xはハロゲンであり;mは0≦m≦4を満たす整数であり;nは0≦n≦6を満たす整数である。)
【化2】
(式(2)中、Rは、鎖状炭化水素基、又は環状炭化水素基である。)
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のカルボニルメチレン重合体の製造方法は、下記式(2)で示されるジアゾ酢酸エステル化合物を主成分として含有するモノマーを重合して、下記式(3)に示すように、ジアゾ酢酸エステル化合物に由来する繰り返し単位を主成分とするカルボニルメチレン重合体を製造するものである。
【0008】
【化5】
【化6】
【0009】
ここで、上記式(2)中、Rは、鎖状炭化水素基、又は環状炭化水素基である。
鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル及びネオペンチル、n−ヘキシル等の炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル及びイソプロペニル等の炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル及びプロパルギル等の炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基が挙げられる。このような鎖状炭化水素基をRとして有するジアゾ酢酸エステル化合物であれば、本発明により効率的に重合することができる。
【0010】
環状炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基及びアリール基が挙げられ、シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びアダマンチル等の炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の飽和シクロアルキル基の他、シクロペンタジエニル、インデニル及びフルオレニル等の炭素数5〜30の不飽和シクロアルキル基が例示できる。
アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル及びアントラセニル等の炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基の他、トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル及びジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル、4−t−ブチルフェニル等のアルキル置換アリール基等、好ましくは2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基が挙げられる。このような環状炭化水素基をRとして有するジアゾ酢酸エステル化合物であれば、本発明により効率的に重合することができる。
【0011】
また、これら鎖状炭化水素基及び環状炭化水素基は、その一部を上記鎖状炭化水素基、環状炭化水素基、およびハロゲン原子、あるいは水酸基、カルボン酸基等の官能基などで置換した一部置換炭化水素基であってもよい。さらに、これらのジアゾ酢酸エステル化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0012】
また、モノマーは、式(2)で示されるジアゾ酢酸エステル化合物を主成分とするものであるが、必要に応じて、他の共重合成分を40質量%以下の範囲で含んでいても良い。
例えば、他の共重合成分としてジアゾメタンを使用すると、最終的に得られるカルボニルメチレン重合体の成形性が優れる。よって、カルボニルメチレン重合体の用途がオレフィン用改質剤などの場合には、共重合成分としてジアゾメタンを使用することもできる。その他の共重合成分としては、例えば、ジアゾエタン、ジアゾプロパン、ジアゾアセトニトリルなどを例示できる。
【0013】
本発明の製造方法においては、式(2)に記載のジアゾ酢酸エステル化合物を主成分として含有するモノマーの重合反応を、少なくとも下記式(1)で示される遷移金属および/または遷移金属化合物と、アミン類とが添加された系内で行う。
【化7】
【0014】
上記式(1)中、Mは8族の遷移金属であり;Lは遷移金属に配位する能力のある配位子であり;Xはハロゲンであり;mは0≦m≦4を満たす整数であり;nは0≦n≦6を満たす整数である。
8族の遷移金属は、モノマーの主成分であるジアゾ酢酸エステル化合物のエステル基による重合阻害を受けにくい点から好ましく、8族の遷移金属としては、鉄、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、パラジウム等が挙げられるが、さらに好ましくは鉄、ニッケル、パラジウムであり、より好ましくはパラジウムである。
【0015】
式(1)中Lで示される、遷移金属に配位する能力のある配位子としては、例えばシクロペンタジエン型配位子、インデン型配位子、フルオレン型配位子、フェノキシ型配位子、ホスフィン型配位子、アミノ型配位子、ピリジン型配位子、ジイミン型配位子、フェノキシイミン型配位子、ビスホスフィン型配位子、ビス(イミノ)ピリジン型配位子、πアリル型あるいはこれらの置換体等が挙げられる。これらのなかで好ましくは、アミノ型配位子、ピリジン型配位子、ホスフィン型配位子である。
【0016】
式(1)中Xで示されるハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素があるが、その安定性や、入手が容易であることなどから、好ましくは塩素、臭素である。
【0017】
また、式(1)においてmは、0≦m≦4を満たす整数であるが、好ましくは、0≦m≦2を満たす整数である。また、nは、0≦n≦6を満たす整数であるが、好ましくは、0≦m≦4を満たす整数である。
mおよびnはどちらか一方または両方が0であってもよく、m=0かつn≠0である場合には、式(1)は遷移金属のハロゲン化物である。また、m≠0かつn=0である場合には、式(1)はXで示されるハロゲンを含まない遷移金属錯体である。さらに、m=0かつn=0であれば、式(1)は遷移金属を示す。
【0018】
すなわち、式(1)で示される遷移金属および/または遷移金属化合物とは、遷移金属、ハロゲンを含む遷移金属錯体、ハロゲンを含まない遷移金属錯体、遷移金属のハロゲン化物からなる群より選ばれる1種以上であり、これら遷移金属および/または遷移金属化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、遷移金属、ハロゲンを含む遷移金属錯体、ハロゲンを含まない遷移金属錯体、二塩化パラジウムなどの遷移金属のハロゲン化物のうちから1種を選択して使用しても良いし、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。特に好ましくは、ハロゲンを含む遷移金属錯体、遷移金属のハロゲン化物である。
【0019】
遷移金属および/または遷移金属化合物の使用量は特に限定されないが、ジアゾ酢酸エステルを主成分として含有するモノマー100モルに対して、0.001〜50モルの範囲が好ましく、特に好ましくは、0.01〜20モルの範囲である。
【0020】
また、本発明において用いられるアミン類としては、例えば、脂肪族アミン、脂環式アミン、ヘテロ環式アミンが挙げられる。
脂肪族アミンとしては、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−オクチルアミン、1−メチルヘプチルアミン、1−アミノ−2−プロパノール、イソプロピルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、t−オクチルアミン等の脂肪族第一級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン等の脂肪族第二級アミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等の脂肪族第三級アミンが挙げられる。これらのなかで好ましくは、脂肪族第三級アミンであり、さらに好ましくはトリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンである。
【0021】
脂環式アミンとしては、例えば、シクロヘキシルアミン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。好ましくは、化合物中の環数が1または2からなる脂環式第3級アミンである。
ヘテロ環式アミンとしては、例えば、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、キヌクリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、ピリジン、ピペラジン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピペラジン、2−メチルイミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。これらのなかで好ましくは、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンである。
【0022】
これらアミン類は、単独であるいは2種以上を併用して用いることもできる。
また、アミン類の使用量は特に限定されないが、ジアゾ酢酸エステルを主成分として含有するモノマー100モルに対して、0.1〜500モルの範囲が好ましく、特に好ましくは、1〜500モルの範囲である。
【0023】
本発明の製造方法においては、式(1)で示される遷移金属および/または遷移金属化合物と、アミン類とが少なくとも添加された系内で、式(2)に記載のジアゾ酢酸エステル化合物を主成分として含有するモノマーを、公知の重合方法で重合すればよい。このような重合方法としては、例えば、塊状重合法、適当な溶媒を使用した溶液重合法等が挙げられる。
重合時に溶媒を使用する場合には、開始剤を失活させないかぎり各種の溶媒が使用可能であり、例えば、ベンゼン、トルエン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素;ジクロロメタン、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素等を使用できる。
重合温度については特に制限はないが、好ましくは0〜150℃、更に好ましくは20〜100℃の範囲で重合を行う。
【0024】
重合反応終了後には常法により、得られた反応物から目的とするカルボニルメチレン重合体を単離、精製する。カルボニルメチレン重合体の同定には、質量分析装置やNMRなどの各種分析装置を適宜使用できる。
【0025】
このようなカルボニルメチレン重合体の製造方法によれば、少なくとも式(1)で示される遷移金属および/または遷移金属化合物と、アミン類とが添加された系内で、ジアゾ酢酸エステル化合物を主成分として含有するモノマーを重合するので、ジアゾ酢酸エステル化合物の有するエステル基の立体構造によらず、種々のエステル基を有する様々なジアゾ酢酸エステル化合物を効率的に重合することができる。このようにして得られたカルボニルメチレン重合体は、密着性、化学分解性を備えていることから、フォトレジスト材料、塗料、オレフィン樹脂用プライマー、ポリプロピレン繊維染色性改質剤などのさまざまな用途に使用することができる。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例で得られた重合体の同定は1H−NMR(Brucker製、Avance400)により、分子量はMALDI−TOF−MASS(PerSeptive Biosystems社製、Voyager RP)を用いて決定した。
(実施例1)ジアゾ酢酸エチルの重合
窒素置換した50mlフラスコ内にPdCl2:15.5mg(0.087mmol)と、ピリジン:0.07ml(0.87mmol)と、トルエン:10mlとを加え室温で30分攪拌した。
攪拌後、これに、ジアゾ酢酸エチルのジクロロメタン溶液(0.18g/ml)を2.78ml(0.5g;4.38mmol)加え、55 ℃で17時間加熱・攪拌することにより重合を行った。
この反応液から溶媒を減圧留去し、残渣をクロロホルム50mlに再溶解した。ついで1N塩酸50mlで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、無水硫酸ナトリウムをろ過により除き、溶媒を減圧留去して得られた粘性液体から、リサイクル分取GPCにより低分子成分を除去し、粘性液体として得られたポリマーをベンゼンにより凍結乾燥して収率40.6%で重合体を得た。
【0027】
得られた重合体をMALDI−TOF−MASSにより分析した結果、MW1500から10000にモノマーユニットの分子量間隔のシグナルを確認した。さらに1H−NMRで分析したところ1.0−1.3ppmにメチル基に由来するシグナルが、3.4−3.9ppmにメチン基に由来するシグナルが、4.0−4.6ppmにメチレン基に由来するシグナルが観測され、得られた重合体が目的のカルボニルメチレン重合体であることを確認した。
【0028】
(実施例2)ジアゾ酢酸エチルの重合
窒素置換した50mlフラスコ内にPdCl2:4.7mg(0.027mmol)と、トリエチルアミン:0.07ml(0.53mmol)と、トルエン:10mlとを加え室温で30分攪拌した。
攪拌後、これに、ジアゾ酢酸エチルのジクロロメタン溶液(0.18g/ml)を 1.67ml(0.3g;2.63mmol)加え、55 ℃で19時間加熱・攪拌することにより重合を行った。
この反応液から溶媒を減圧留去し、残渣をクロロホルム50mlに再溶解した。ついで1N塩酸50mlで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、無水硫酸ナトリウムをろ過により除き、溶媒を減圧留去して得られた粘性液体から、リサイクル分取GPCにより低分子成分を除去し、粘性液体として得られたポリマーをベンゼンにより凍結乾燥して収率53.5%で重合体を得た。
【0029】
得られた重合体をMALDI−TOF−MASSにより分析した結果、MW1200から4000にモノマーユニットの分子量間隔のシグナルを確認した。
さらに1H-NMRで分析したところ1.0−1.3ppmにメチル基に由来するシグナルが、3.4−3.9ppmにメチン基に由来するシグナルが、4.0−4.6ppmにメチレン基に由来するシグナルが観測され、得られた重合体が目的のカルボニルメチレン重合体であることを確認した。
【0030】
(実施例3)ジアゾ酢酸メチルの重合
窒素置換した50mlフラスコ内にPdCl2:17.7mg(0.10mmol)と、トリエチルアミン:0.14ml(1.0mmol)と、トルエン10mlとを加え室温で30分攪拌した。
攪拌後、ジアゾ酢酸メチルのジクロロメタン溶液(0.18g/ml)を 2.78ml(0.5g;5mmol)加え、55 ℃で14時間加熱・攪拌することにより重合を行った。
この反応液から溶媒を減圧留去し、残渣をクロロホルム50mlに再溶解した。ついで1N塩酸50mlで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、無水硫酸ナトリウムをろ過により除き、溶媒を減圧留去して得られた粘性液体から、リサイクル分取GPCにより低分子成分を除去し、粘性液体として得られたポリマーをベンゼンにより凍結乾燥して収率18%で重合体を得た。
【0031】
得られた重合体をMALDI−TOF−MASSにより分析した結果、MW1500から10000にモノマーユニットの分子量間隔のシグナルを確認した。さらに1H−NMRで分析したところ、3.0−3.8ppmにメチン基に由来するシグナルが、3.5−4.0ppmにメチル基に由来するシグナルが観測され、得られた重合体が目的のカルボニルメチレン重合体であることを確認した。
【0032】
(実施例4)ジアゾ酢酸2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニルの重合
窒素置換した50mlフラスコ内にPdCl2:15.4mg(0.087mmol)と、ピリジン:0.33ml(4.12mmol)と、トルエン10mlとを加え室温で30分攪拌した。
攪拌後、これに、ジアゾ酢酸2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル:0.5g(1.73mmol)を加え、70 ℃で14時間加熱・攪拌することにより重合を行った。
この反応液から溶媒を減圧留去し、残渣をクロロホルム50mlに再溶解した。ついで1N塩酸50mlで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、無水硫酸ナトリウムをろ過により除き、溶媒を減圧留去して得られた粘性液体から、リサイクル分取GPCにより低分子成分を除去し、粘性液体として得られたポリマーをベンゼンにより凍結乾燥して収率73%で重合体を得た。
【0033】
得られた重合体を1H-NMRで分析したところ1.2−1.5ppmにt−ブチル基のメチルに由来するシグナルが、2.2−2.4ppmに4位のメチル基に由来するシグナルが、7.0−7.3ppmにフェニルプロトンに由来するシグナルが観測され、得られた重合体が目的のカルボニルメチレン重合体であることを確認した。
【0034】
(実施例5)ジアゾ酢酸4−t−ブチルフェニルの重合
窒素置換した50mlフラスコ内にPdCl2:20mg(0.11mmol)と、ピリジン:0.33ml(4.12mmol)と、トルエン:10 mlと、ジアゾ酢酸4−t−ブチルフェニル:0.5g(1.73mmol)を加え、75 ℃で17時間加熱・攪拌することにより重合を行った。
こ の反応液から溶媒を減圧留去し、残渣をクロロホルム50mlに再溶解した。ついで1N塩酸50mlで洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、無水硫酸ナトリウムをろ過により除き、溶媒を減圧留去して得られた粘性液体から、リサイクル分取GPCにより低分子成分を除去し、粘性液体として得られたポリマーをベンゼンにより凍結乾燥して収率53.1%で重合体を得た。
【0035】
得られた重合体を1H−NMRで分析したところ1.0−1.5ppmにt−ブチル基のメチルに由来するシグナルが、3.0−4.0ppmにメチン基に由来するシグナルが、6.7−7.5ppmにフェニルプロトンに由来するシグナルが観測され、得られた重合体が目的のカルボニルメチレン重合体であることを確認した。
【0036】
(比較例1)
遷移金属化合物であるPdCl2を添加しなかった以外は実施例1と同様に反応操作を行った。しかしながら、重合は進行せず、重合体は得られなかった。
【0037】
(比較例2)
アミン類であるピリジンを添加しなかった以外は実施例1と同様に反応操作を行った。しかしながら、重合は進行せず、重合体は得られなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の製造方法によれば、ジアゾ酢酸エステル化合物の有するエステル基の嵩高さなどの立体構造によらず、所望のカルボニルメチレン重合体を効率的に製造することができる。
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