JP3818194B2 - 記録装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録装置に関し、詳しくは、印字が行われた記録媒体の排出部の下方にインクカートリッジが設けられた記録装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、紙等の記録媒体に記録を行うプリンタ機能、原稿を読み取って画像データを作成するスキャナ機能、通信回線を介して画像データの送受信を行うファクス機能等を備えた複合機が知られている。例えば、上部にフラットベッドタイプのスキャナ部を、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部をそれぞれ備えた複合機である。下部に位置するプリンタ部では、供給部から供給された記録媒体がプリンタ部内を搬送され、インクジェットヘッドからインクが吐出されて印刷が行われ、その後排出部を通って複合機の外部に排出する。排出部には記録媒体を外部へ排出するのを案内するための排出トレイが設けられていることが多い。このような複合機に用いられるプリンタ部は、インクカートリッジとヘッドとを搭載したキャリッジが左右に走査して記録媒体に印刷する構成になっているので、インクカートリッジ内のインクが減少した場合には、キャリッジ上のインクカートリッジを交換する必要があり、スキャナ部をプリンタ部に対して回動可能にすることによって交換を可能としている。そして、ジャム処理あるいはインク交換の必要が生じたときに、複合機の動作を停止させた状態で、スキャナ部をプリンタ部に対して回動させて、処理を行うようになっている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、このような複合機を普及させるため、より小さく、より薄くすることが求められている。しかしながら、上記のような構成では、インクジェットヘッドにインクを供給するためのインクカートリッジとインクジェットヘッドとがキャリッジ上にあるため、どうしても、スキャナ部、インクカートリッジ、ヘッドが高さ方向に重なることになり、複合機全体が高さ（厚さ）方向に大きくなってしまい、薄型化を進めることが難しくなるという問題点があった。
【０００４】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、装置全体の厚さを薄くすることができる記録装置を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項１に係る発明の記録装置は、原稿の画像情報を読み取って記録媒体に印字を行うものであって、前記原稿の画像を読み取るスキャナと、前記記録媒体が搬送される搬送経路と、前記記録媒体を排出する排出部と、当該排出部に連なり、当該排出部から排出された前記記録媒体を貯溜するためのスペースと、前記搬送経路と、前記排出部と、前記スペースとは、前記スキャナの下方に設けられ、前記インクカートリッジは、前記排出部及び前記スペースの下方に設けられていることを特徴とする。
【０００６】
この構成の記録装置では、記録媒体の搬送経路と、排出部と、スペースとがスキャナの下方に設けられており、ヘッドに供給されるインクを貯留したインクカートリッジは、スキャナ下方の記録媒体を排出する排出部及び排出された記録媒体を貯溜するスペースのさらに下方に設けられているので、記録装置を全体的に小さくでき、またその厚さを薄くすることができる。
【０００７】
また、請求項２に係る発明の記録装置では、請求項１に記載の記録装置の構成に加えて、前記インクカートリッジの前記搬送経路の排出部に対向した位置には、前記排出部から排出された記録媒体を案内する案内部が設けられていることを特徴とする。
【０００８】
この構成の記録装置では、請求項１に記載の発明の作用に加えて、インクカートリッジの搬送経路の排出部に対向した位置には、排出部から排出された記録媒体を案内する案内部が設けられているので、記録媒体の案内部を別体として設定する必要がなく、記録装置の構成を簡略化でき、また、案内部を設けない分だけ記録装置の厚さを薄くすることができる。
【０００９】
また、請求項３に係る発明の記録装置では、請求項１又は２に記載の記録装置の構成に加えて、前記記録装置は、前記インクカートリッジから前記ヘッドに供給されるインクの廃液を吸収する廃液吸収部材と、前記記録装置の動作を制御する基板とを備え、前記インクカートリッジと前記廃液吸収部材と前記基板とは、平面視方向で重ならないように配置され、かつ、前記インクカートリッジの上面の高さと前記廃液吸収部材の上面の高さとが略同一となっていることを特徴とする。
【００１０】
この構成の記録装置では、請求項１又は２に記載の発明の作用に加えて、インクカートリッジと廃液吸収部材と基板とは、平面視方向で重ならないように配置されているので、記録装置の厚さを薄くすることができる。また、インクカートリッジの上面の高さと廃液吸収部材の上面の高さとが略同一となっているので、インクカートリッジの容量に合わせて廃液吸収部材の廃インク吸収量を増加できる。
【００１１】
また、請求項４に係る発明の記録装置では、請求項３に記載の記録装置の構成に加えて、前記スキャナが、前記インクカートリッジと前記廃液吸収部材と前記基板とをその上方でほぼ覆っていることを特徴とする。
【００１２】
この構成の記録装置では、請求項３に記載の発明の作用に加えて、スキャナが、インクカートリッジと廃液吸収部材と基板とをその上方でほぼ覆っているので、記録装置の厚さ方向寸法だけではなく、その厚さ方向に直交する断面の面積も小さくでき、記録装置を全体的に小さくすることができる。
【００１３】
また、請求項５に係る発明の記録装置では、請求項３又は４に記載の記録装置の構成に加えて、前記インクカートリッジと前記基板間は、隔壁によって隔てられていることを特徴とする。
【００１４】
この構成の記録装置では、請求項３又は４に記載の発明の作用に加えて、インクカートリッジと基板間は、隔壁によって隔てられているので、基板側にインクカートリッジから漏れたインクが回り込んで流入してしまうことがない。
【００１５】
また、請求項６に係る発明の記録装置では、請求項１乃至５の何れかに記載の記録装置の構成に加えて、前記インクカートリッジは、その上下方向と直交する方向の面積が大きく、前記上下方向寸法が小さい薄型形状を有していることを特徴とする。
【００１６】
この構成の記録装置では、請求項１乃至５の何れかに記載の発明の作用に加えて、インクカートリッジは、その上下方向と直交する方向の面積が大きく、上下方向寸法が小さい薄型形状となっているので、大容量のインクカートリッジであっても、記録装置の厚さを薄くすることができる。
【００１７】
また、請求項７に係る発明の記録装置では、請求項６に記載の記録装置の構成に加えて、前記インクカートリッジは、前記記録装置前面方向に取り出し可能としたことを特徴とする。
【００１８】
この構成の記録装置では、請求項６に記載の発明の作用に加えて、インクカートリッジは、記録装置前面方向に取り出し可能であるので、記録装置から容易に取り出すことができる。また、請求項８に係る発明の記録装置では、インクカートリッジを横に並べて複数装着可能としているので、縦方向即ち記録装置の厚さ方向寸法が大きくなってしまうことがなく、記録装置の厚さを薄くすることができる。
【００１９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について図面に沿って説明する。尚、本実施の形態では、インクジェット方式のプリンタ機能とスキャナ機能とファクス機能とを備えた複合機を例に挙げて説明する。ここで、図１は、複合機１の斜視図である。図１に示すように、複合機１は、フラットベッド読取部３５を備えたフラットベッドタイプのスキャナ３０と、当該スキャナ３０の直下に位置するインクジェットプリンタ３とを備えており、略直方体形状を有している。詳細には、複合機１は、図１での横方向が奥行き方向に対してやや長い辺を持つ略長方形を、上下方向に前記辺よりも短い所定量だけ引き延ばして形成された略直方体形状となっている。また、複合機１の背面側（図１での奥行き側）には、インクジェットプリンタ３内に搬送される紙（図示外）を供給するための給紙トレイ４が上方に開口して設けられている。
【００２０】
複合機の上側に位置するスキャナ３０は、平面視略長方形で、上下方向に所定厚を有した略直方体のフラットベッド読取部３５を備えている。このフラットベッド読取部３５にはカバー３５ａが一辺を軸に回動可能に取り付けられており、図示しないが、原稿を載置する原稿ガラスを覆っている。さらに、コンタクトイメージセンサ等の読取素子、その読取素子を移動させるための駆動モータ等（図示外）を備えている。また、フラットベッド読取部３５は、自身の背面側（図１の奥行き側）下部に軸受け部（図示外）を備えており、この軸受け部が、後述するインクジェットプリンタ３のカバー部材２０に設けられたヒンジ２２に嵌合し、フラットベッド読取部３５は、インクジェットプリンタ３に対して回動可能となる。
【００２１】
スキャナ３０の直下に位置するインクジェットプリンタ３は、後述する各基板や、プラテン、キャリッジ、紙送り等の各機構からなるプリンタエンジン１４等が配設される基材１０と、基材１０に覆設されて、インクジェットプリンタ３を構成する各基板やプリンタエンジン１４等を覆うカバー部材２０とを備えている。また、基材１０は、その複合機１の前面側（図１の手前側）に、記録媒体である紙（図示外）に印字を行うためのインクを貯留した４つのインクカートリッジ８が載置されるカートリッジ載置部９を備えている。４つのインクカートリッジ８は、それぞれ複合機１の前面側から背面側に向かって挿入され、その挿入方向に長尺で厚さの薄い略直方体形状を有している。そして、各カートリッジに対応して、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの４色のインクの何れかがそれぞれ充填されている。インクカートリッジ８は、略同一高さの位置で水平方向に４つ並んでおり、複合機１の前面側へ取り出し可能となっている。そして、図６に示すように、インクカートリッジ８の複合機１の背面側に位置する側面８ｂが、チューブ７（図４参照）につながるインク抽出針（図示外）に貫通されることによって、その内部のインクが、前記針から連続したチューブ７を通ってインクジェットヘッド（図示外）に送られるようになっている。
【００２２】
次に、図２乃至図５を参照してインクジェットプリンタ３の構造について説明する。ここで、図２は、複合機１からスキャナ２０を取り外した状態を示す斜視図であり、図３は、同状態を示す平面図であり、図４は、インクジェットプリンタ３を構成する主な部材の基材１０上での配設位置を模式的に示した平面図であり、図５は、前記構成部材が配設される基材１０の斜視図である。図２及び図３に示すように、複合機１からスキャナ３０（図１参照）を取り外すと、インクジェットプリンタ３内に搬送された紙等の記録媒体（図示外）の排出部５と、当該排出部５の下方に配置された４つのインクカートリッジ８とが現出する。インクジェットプリンタ３は、インクカートリッジ８が載置されるカートリッジ載置部９を備え、各基板やプリンタエンジン１４等のインクジェットプリンタ３の構成部材が配設される基材１０と、当該基材１０に覆設されて、前記各構成部材を上方から覆うカバー部材２０とを備えている。
【００２３】
インクジェットプリンタ３の背面側（図２の奥行き側）には、記録媒体である紙（図示外）が供給される給紙トレイ４が設けられている。給紙トレイ４は、上方に開口した開口部４ａを備えており、斜め方向に用紙を保持する。また、給紙トレイ４は、記録媒体である紙をインクジェットプリンタ３内に送るための給紙ローラ４５を備えている。インクジェットプリンタ３は、印字が行われた紙が排出される排出部５の近傍に排紙トレイを備えておらず、インクカートリッジ８の上面に形成されたリブ３８が排紙トレイの機能を持っている。リブ３８は、インクカートリッジ８の上面８ａから排出部５方向即ち上方に向かって突出しており、インクカートリッジ８の挿入方向に延びた略長方形の板状となっている。このリブ３８は、インクカートリッジ８の上面８ａにおいて、前記挿入方向と直交する方向の両側縁に一対となって設けられている。リブ３８は、排出部５から排出された紙が引っ掛からないように、用紙搬送方向の上流側が一部面取りされた形状になっており、リブ３８の上面で排出された紙を支える構成になっている（図６参照）。
【００２４】
カバー部材２０は、そのインクジェットプリンタ３の前面側（図２の手前側）が切り欠き２１によって切り欠かれた略凹の字を上下方向に引き延ばした形状を有し、切り欠き２１周縁に形成された３つの壁部の内、その底部即ちインクジェットプリンタ３の背面側（図２の奥行き側）には、記録媒体である紙が排出される排出部５が形成されている。切り欠き２１周縁部の図２の左右方向にそれぞれ形成された左側壁２１ａと右側壁（図示外）とは、基材１０のカートリッジ載置部９の左右側縁から上方に立ち上がった左側壁９ａ及び右側壁（図示外）とそれぞれ連続している。また、カバー部材２０の前記背面側縁には、図１に示すスキャナ３０に設けられた図示外の軸受け部が嵌合するヒンジ２２が一対設けられている。
【００２５】
基材１０は、図５に示すように、平面視略正方形の略直方体形状を有し、そのインクジェットプリンタ３（図２参照）の前面側（図５での手前側）に、周りよりも１段低くなったカートリッジ載置部９を備えている。カートリッジ載置部９は、基材１０の奥行き方向寸法の略３分の１の範囲で、横方向に渡って形成された略長方形形状を有し、その左側縁及び右側縁からは、上方に向かって左側壁９ａと右側壁（図示外）とがそれぞれ立ち上がっている。
【００２６】
カートリッジ載置部９の後方には、図１に示す複合機１の動作を制御する主基板１１（図４参照）をその下側に内装し、上側にプリンタエンジン１４を載置するエンジン載置部１７と、インクカートリッジ８からインクジェットヘッドに供給されたインクの廃液、例えば、パージ動作によってヘッドから吸引されたインクや、フラッシングによってヘッドから吐出されたインクの廃液を吸収する廃液吸収部材１５（図４参照）が配設される吸収部材載置部１８とが形成されており、カートリッジ載置部９と吸収部材載置部１８とは、廃液吸収部材１５に吸収されたインクが装置内外へ漏れないように隔壁１６で隔てられている。
【００２７】
詳細には、隔壁１６のインクジェットプリンタ３（図２参照）の背面側（図５での奥行き側）において、隔壁１６の左右方向略中央部から背面側に向かって隔壁１６に対して略垂直に突出した仕切壁４５を挟んで、左側にエンジン載置部１７が、右側に吸収部材載置部１８がそれぞれ位置している。両載置部は、仕切壁４５を共通の構成要素として有しており、エンジン載置部１７は、当該仕切壁４５と基材１０の上側面と連続した面とを備え、基材１０の裏側が開口した形状となっており、吸収部材載置部１８は、当該仕切壁４５と基材１０の底面と連続した面とを備え、基材１０の表側が開口した形状となっている。
【００２８】
即ち、仕切壁４５を挟んで、エンジン載置部１７と吸収部材載置部１８とは、上下方向で反対向きに開口した形状となっており、カートリッジ載置部９とエンジン載置部１７とによって階段形状が形成されており、隔壁１６を挟んで、カートリッジ載置部９と吸収部材載置部１８の底面１８ａとが略同一高さとなっている。そして、カートリッジ載置部９にはインクカートリッジ８が、エンジン載置部１７にはプリンタエンジン１４が、吸収部材載置部１８には廃液吸収部材１５が、エンジン載置部１７の下側には主基板１１がそれぞれ配設されることになる。
【００２９】
図４に示すように、インクジェットプリンタ３では、基材１０に、インクカートリッジ８と、複合機１（図１参照）の動作を制御する主基板１１と、図示外のファクスのための電話回線との接続を制御するネットワークコントロールユニット（以下、「ＮＣＵ」と言う。）基板１２と、電源基板１３と、図示外のインクジェットヘッド、プラテン及びキャリッジ等から構成されたプリンタエンジン１４と、インクカートリッジ８から供給されたプリンタエンジン１４内のインクの廃液を吸収する廃液吸収部材１５とが配設されている。エンジン１４以外の何れの部材も、高さ方向から見て重ならないよう、即ち、インクジェットプリンタ３を上方から見た図４において、何れの部材も重ならないように配設されている。
【００３０】
詳細には、インクジェットプリンタ３の前面側（図４の下側）から挿着された４つのインクカートリッジ８に対して、そのインクジェットプリンタ３の背面側（図４の上側）直ぐの位置に、主基板１１と廃液吸収部材１５とが、図４での左側と右側とにそれぞれ配設されている。主基板１１は、そこからインクジェットプリンタ３の背面近傍まで延びた略長方形形状となっており、廃液吸収部材１５は、インクジェットプリンタ３の背面側に向かって、主基板１１の略半分の長さだけ延びた略長方形形状となっている。廃液吸収部材１５の直ぐ後には、主基板１１と隣接したＮＣＵ基板１２と、当該ＮＣＵ基板１２を挟んで主基板１１の反対側に位置する電源基板１３とが配設されている。
【００３１】
エンジン１４は、主基板１１の一部と廃液吸収部材１５の全体とをほぼ覆うような状態で設けられている。エンジン１４内のインクジェットヘッド（図示外）には、４つのインクカートリッジ８に個別につながれたチューブ７が連結されており、当該チューブ７を介してインクがヘッドに供給されることになる。図示しないが、ヘッドに供給されたインクは、ヘッドのノズル面から記録媒体に向かって吐出される。チューブ７は、インクカートリッジ８のインクジェットプリンタ３の背面側（図４の上側）の側面８ｂを貫通した針（図示外）からまず背面側に延出し、左右で２本ずつ束になって、図５に２点鎖線で示す紙（図示外）の搬送経路７５を、一旦外側に広がることで避ける。その後、鉛直方向上向きに延出し、再び上方で内側に向かって延び、２本ずつの２つの束が一緒になってエンジン１４内のヘッドに引き込まれている。尚、搬送経路７５は、その一部がエンジン１４内に存在しており、当該搬送経路７５の上側に位置するインクジェットヘッドから記録媒体である紙にインクが吐出され、記録が行われるようになっている。
【００３２】
インクジェットプリンタ３では、インクカートリッジ８、主基板１１及び廃液吸収部材１５等の各構成部材が、高さ方向から見て重ならないように平面状に配置されているだけでなく、スキャナ３０の面積を有効に利用するために、各部品の面積を大きく、厚みを薄くするように構成しているので、インクジェットプリンタ３全体の上下方向寸法即ち厚みを小さくすることができる。また、前記各構成部材は、全体的にインクジェットプリンタ３の上側に覆設されるスキャナ３０によってほぼ覆われるので、複合機１の厚さ方向寸法のみならず、当該厚さ方向に直交する面積も必要最低限（フラットベッドスキャナ３０が必要とする面積）とすることができ、複合機１をコンパクトに構成することができる。
【００３３】
そして、上述したようなインクジェットプリンタ３を構成する各部材が基材１０上に配設された後、図２に示すように、上方からカバー部材２０を覆設することによって、インクジェットプリンタ３が構成される。このとき、図６に示すように、インクジェットプリンタ３では、インクカートリッジ８の上面の高さと、廃液吸収部材１５の上面の高さとがほぼ等しくなっている。両面の高さがほぼ等しくなっていることにより、インクカートリッジ８の大きさ（容量）に合わせて廃液吸収部材１５の廃液吸収量を増やすことができる。さらに、プリンタエンジン１４の下面と廃液吸収部材１５の上面とが近接しており、インクカートリッジ８の上面と廃液吸収部材１５の上面とが略等しいので、プリンタエンジン１４が用紙を排出して貯留するためのスペース（排出ローラから排出された用紙が同じ高さのままでは、次に排出される紙に押し出されてしまうので、排出ローラを抜けた用紙が下方へ移動して、次の用紙の排出方向から待避するために必要）を確保すると共に、無駄なく上記３部品を配置することができる。
【００３４】
また、インクカートリッジ８が、排出部５の下方に配置されていることにより、インクジェットヘッドのノズル面とインクカートリッジ内のインク面（共に図示外）との水頭差が、前記ノズル面から好適な量のインクを吐出するのに適した値となっている。しかも、インクカートリッジ８は、上下方向寸法が小さい薄型形状のものが横に並べて配置されているので、インクの消費量に関わらず、上下水頭差の変化を極力少なくすることができる。従って、インクカートリッジ８内のインクの使い始めから使い終わりまで、ヘッドに対して安定した負圧を与えることができ、インク残量がヘッドの吐出性能に与える影響を小さくすることができる。
【００３５】
以上説明したように、本実施の形態の複合機１では、インクを貯留したインクカートリッジ８は、薄型形状を有し、かつ記録媒体である紙の排出部５下方に設けられているので、インクジェットプリンタ３の厚さを薄くすることができ、また厚さ方向に直交する方向の面積を小さくすることができる。また、インクカートリッジ８の上面８ａには、紙の排出部５方向に突出したリブ３８が設けられているので、排出部５から排出された紙を、リブ３８上を介して外部へ案内することができる。それにより、排紙トレイ等の設定をする必要がないので、インクジェットプリンタ３をコンパクトに、またその構造を簡単にすることができる。
【００３６】
さらに、インクジェットプリンタ３では、その基材１０において、インクカートリッジ８と、複合機１の動作を制御する主基板１１との間に隔壁１６が設けられているので、主基板１１側にインクカートリッジ８内に貯留されたインクが漏れて侵入してしまうことがない。また、インクカートリッジ８の上面の高さと、廃液吸収部材１５の上面の高さとがほぼ等しくなっているので、インクカートリッジ８の容量に合わせて廃液吸収部材１５の廃インク吸収量を増やすことができる。
【００３７】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限られず各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態の複合機１では、記録媒体である紙をインクカートリッジ８のリブ３８の上に排出するようにしたが、図６に示すように、排紙トレイ５８を排出部５の下流に設けてもよい。また、このとき、インクカートリッジ８を覆うカバー２６を設け、手前側一部２６ａを開閉自在として、インクカートリッジ８の交換時のみ解放するようにしてもよい。
【００３８】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、請求項１に係る発明の記録装置では、記録媒体の搬送経路及び排出部がスキャナの下方に設けられており、ヘッドに供給されるインクを貯留したインクカートリッジは、スキャナ下方の記録媒体を排出する排出部及び排出された記録媒体を貯溜するスペースのさらに下方に設けられているので、記録装置を全体的に小さくでき、またその厚さを薄くすることができる。
【００３９】
また、請求項２に係る発明の記録装置では、請求項１に記載の発明の効果に加えて、インクカートリッジの搬送経路の排出部に対向した位置には、排出部から排出された記録媒体を案内する案内部が設けられているので、記録媒体の案内部を別体として設定する必要がなく、記録装置の構成を簡略化でき、また、案内部を設けない分だけ記録装置の厚さを薄くすることができる。
【００４０】
また、請求項３に係る発明の記録装置では、請求項１又は２に記載の発明の効果に加えて、インクカートリッジと廃液吸収部材と基板とは、平面視方向で重ならないように配置されているので、記録装置の厚さを薄くすることができる。また、インクカートリッジの上面の高さと廃液吸収部材の上面の高さとが略同一となっているので、インクカートリッジの容量に合わせて、廃液吸収部材の廃インク吸収量を増やすことができる。
【００４１】
また、請求項４に係る発明の記録装置では、請求項３に記載の発明の効果に加えて、スキャナが、インクカートリッジと廃液吸収部材と基板とをその上方でほぼ覆っているので、記録装置の厚さ方向寸法だけではなく、その厚さ方向に直交する断面の面積も小さくでき、記録装置を全体的に小さくすることができる。
【００４２】
また、請求項５に係る発明の記録装置では、請求項３又は４に記載の発明の効果に加えて、インクカートリッジと基板間は、隔壁によって隔てられているので、基板側にインクカートリッジから漏れたインクが回り込んで流入してしまうことがない。
【００４３】
また、請求項６に係る発明の記録装置では、請求項１乃至５の何れかに記載の発明の効果に加えて、インクカートリッジは、その上下方向と直交する方向の面積が大きく、上下方向寸法が小さい薄型形状となっているので、記録装置の厚さを薄くすることができる。
【００４４】
また、請求項７に係る発明の記録装置では、請求項６に記載の発明の効果に加えて、インクカートリッジは、記録装置前面方向に取り出し可能であるので、記録装置から容易に取り出すことができる。また、請求項８に係る発明の記録装置では、インクカートリッジを横に並べて複数装着可能としているので、縦方向即ち記録装置の厚さ方向寸法が大きくなってしまうことがなく、記録装置の厚さを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 図１は、複合機１の斜視図である。
【図２】 図２は、インクジェットプリンタ３の斜視図である。
【図３】 図３は、インクジェットプリンタ３の平面図である。
【図４】 図４は、インクジェットプリンタ３を構成する主な部材の基材１０上での配設位置を模式的に示した平面図である。
【図５】 図５は、インクジェットプリンタ３の基材１０の斜視図である。
【図６】 図６は、複合機１の側面図である。
【図７】 図７は、変形例を示す複合機の側面図である。
【符号の説明】
１ 複合機
３ インクジェットプリンタ
４ 給紙トレイ
５ 排出部
８ インクカートリッジ
８ａ 上面
９ カートリッジ載置部
１０ 基材
１１ 主基板
１４ プリンタエンジン
１５ 廃液吸収部材
１６ 隔壁
２０ カバー部材
３０ スキャナ
３５ フラットベッド読取部
３８ リブ

Claims (8)

1. 原稿の画像情報を読み取って記録媒体に印字を行う記録装置であって、
   前記原稿の画像を読み取るスキャナと、
   前記記録媒体が搬送される搬送経路と、
   前記記録媒体を排出する排出部と、
   当該排出部に連なり、当該排出部から排出された前記記録媒体を貯溜するためのスペースと、
   前記記録媒体にインクを吐出するヘッドと、
   当該ヘッドに供給されるインクを貯留したインクカートリッジとを備え、
   前記搬送経路と、前記排出部と、前記スペースとは、前記スキャナの下方に設けられ、前記インクカートリッジは、前記排出部及び前記スペースの下方に設けられていることを特徴とする記録装置。
2. 前記インクカートリッジの前記搬送経路の排出部に対向した位置には、前記排出部から排出された記録媒体を案内する案内部が設けられていることを特徴とする請求項１に記載の記録装置。
3. 前記記録装置は、前記インクカートリッジから前記ヘッドに供給されるインクの廃液を吸収する廃液吸収部材と、前記記録装置の動作を制御する基板とを備え、
   前記インクカートリッジと前記廃液吸収部材と前記基板とは、平面視方向で重ならないように配置され、かつ、前記インクカートリッジの上面の高さと前記廃液吸収部材の上面の高さとが略同一となっていることを特徴とする請求項１又は２に記載の記録装置。
4. 前記スキャナが、前記インクカートリッジと前記廃液吸収部材と前記基板とをその上方でほぼ覆っていることを特徴とする請求項３に記載の記録装置。
5. 前記インクカートリッジと前記基板間は、隔壁によって隔てられていることを特徴とする請求項３又は４に記載の記録装置。
6. 前記インクカートリッジは、その上下方向と直交する方向の面積が大きく、前記上下方向寸法が小さい薄型形状を有していることを特徴とする請求項１乃至５の何れかに記載の記録装置。
7. 前記インクカートリッジは、前記記録装置前面方向に取り出し可能としたことを特徴とする請求項６に記載の記録装置。
8. 前記インクカートリッジは、横に並べて複数装着可能としたことを特徴とする請求項７に記載の記録装置。

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