JP3817581B2 - 基板メッキ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示装置用のガラス基板など(以下、単に基板と称する)に対して電解メッキによるメッキ処理を施す基板メッキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の基板メッキ装置として、例えば、基板の処理面を下向きにし、処理面の周辺部をマスク部材でマスクし、非処理面を押圧部材で押圧した状態でメッキ液を貯留したチャンバに対して基板を下降させ、マスク部材に配備された電極に通電することにより処理面にメッキを施すように構成されたものが挙げられる。
【0003】
このような構成の基板メッキ装置では、基板を押圧している押圧部材と、基板の処理面周辺をマスクしているマスク部材とをチャンバに対して回転させながら、基板の処理面に対してメッキ処理を施すようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、マスク部材の内周側には、基板の処理面に当接してメッキ液が処理面周辺部に浸入することを防止する、基板の処理面側に突起したシール部分と、このシール部分よりも外側で処理面に当接して通電するための電極とがある。しかしながら、シール部分で漏れが生じると、メッキ液がマスク部材の電極側に浸入して拡がり、基板の周縁部を伝って非処理面側にまで回り込んで、基板を汚染するという問題がある。このような状態になると、一般的にシール部分の形状が凹凸を含む複雑な形状であることもあって、人手によらなければ漏れ拡がったメッキ液を除去することができないという問題がある。
【0005】
上記のようにマスク部材に漏れたメッキ液を放置しておくと、マスク部分にメッキ液が溜まり、処理するために順次に基板メッキ装置に搬送されてくる基板の周縁部及び非処理面が次々と汚染されてしまうといった相互汚染を生じることになる。
【0006】
なお、メッキ液がマスク部材側に漏れ出たか否かが判らないので、メッキ処理を終えた基板については、念のために非処理面の周縁部を洗浄するエッジ洗浄処理を行うのが一般的である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、マスク部材側に漏れ出たメッキ液が基板の非処理面側に回り込まないように積極的に流体を供給することにより、マスク部材側に漏れ出たメッキ液による基板の汚染を防止することができる基板メッキ装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明のもう一つの目的は、流体が排出されるカップ内における基準流体の導電率を監視することにより、マスク部材側にメッキ液が漏れ出たこと知ることが可能な基板メッキ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の基板メッキ装置は、基板の処理面のうち周辺部をマスク部材でマスクし、基板の非処理面を押圧部材で押圧したまま、前記マスク部材に配設された電極を介して基板の処理面に通電することによりメッキ処理を施す基板メッキ装置において、前記マスク部材に第1流路を形成し、かつ、前記押圧部材に第2流路を形成するとともに、前記第1流路と前記第2流路とを、前記マスク部材と基板の周縁部との隙間を介して連通接続し、基板の非処理面側から周縁部を経て処理面側に向けて流体を供給するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2に記載の基板メッキ装置は、請求項1に記載の基板メッキ装置において、前記第2流路に連通接続された気体供給源と、前記気体供給源からの供給と遮断とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、基板の処理中に、前記流体として気体を供給することを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3に記載の基板メッキ装置は、請求項2に記載の基板メッキ装置において、基板の処理中に、前記流体として液体を供給した後、前記流体として気体を供給することを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項4に記載の基板メッキ装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板メッキ装置において、前記第2流路は、押圧部材の回転軸に形成された縦流路と、押圧部材の円板状を呈する当接部材の中央部から周縁部に向けて平面視放射状に複数本形成され、前記縦流路に連通した横流路とを備えていることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項5に記載の基板メッキ装置は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板メッキ装置において、前記第1流路は、電極付近と外部とを連通するように形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項6に記載の基板メッキ装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の基板メッキ装置において、前記第1流路から排出された流体にメッキ液が混入したことを検知する検知手段を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項7に記載の基板メッキ装置は、請求項6に記載の基板メッキ装置において、前記検知手段は、基準流体を貯留し、前記第1流路から排出された流体を受ける平面視環状のカップと、このカップ内の一部位において基準流体の導電率またはpHを測定する測定手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項8に記載の基板メッキ装置は、請求項7に記載の基板メッキ装置において、前記カップ内の基準流体に対して、前記測定手段に向かう流れを付与する流動付与手段を備えていることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項9に記載の基板メッキ装置は、基板の処理面のうち周辺部をマスク部材でマスクし、基板の非処理面を押圧部材で押圧したまま、前記マスク部材に配設された電極を介して基板の処理面に通電することによりメッキ処理を施す基板メッキ装置において、前記マスク部材に第1流路を形成し、かつ、前記押圧部材に第2流路を形成するとともに、前記第1流路と前記第2流路とを、前記マスク部材と基板の周縁部との隙間を介して連通接続し、かつ、基板の非処理面側から周縁部を経て処理面側に向けて流体を供給し、前記第1流路から排出された流体にメッキ液が混入したことを検知する検知手段を備え、前記検出手段がメッキ液の混入を検知した場合に警報を発することを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項10に記載の基板メッキ装置は、請求項9に記載の基板メッキ装置において、前記検知手段は、基準流体を貯留し、前記第1流路から排出された流体を受ける平面視環状のカップと、このカップ内の一部位において基準流体の導電率またはpHを測定する測定手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項11に記載の基板メッキ装置は、請求項10に記載の基板メッキ装置において、前記カップ内の基準流体に対して、前記測定手段に向かう流れを付与する流動付与手段を備えていることを特徴とするものである。
【0021】
【作用】
請求項1に記載の発明によれば、マスク部材から基板の周縁部側にメッキ液が漏れ出たとしても、基板の非処理面側から周縁部を経て処理面側に向けて流体が供給されているので、漏れ出たメッキ液は基板の周縁部を伝って非処理面側に向かうことがない。また、マスク部材に形成された第1流路と、押圧部材に形成された第2流路とを、マスク部材と基板の周縁部との隙間を介して連通接続することにより、基板の非処理面側から周縁部を経て処理面側に流体を流通させることが可能となる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明によれば、気体を供給することで、漏れ出たメッキ液は基板の周縁部を経て非処理面側に伝うことがない。
【0024】
また、請求項3に記載の発明によれば、液体を供給することでメッキ液の回り込みを阻止し、これによって濡れた部分を、その後の気体供給によって乾燥させる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明によれば、押圧部材の回転軸に縦流路を形成し、押圧部材の円板状の部分に横流路を形成し、これらを連通接続させることで、処理中には回転されている押圧部材を介して基板の周縁部にまで流体を供給することができる。
【0026】
また、請求項5に記載の発明によれば、マスク部材の第1流路を、電極付近と外部とを連通するように形成すると、漏れ出たメッキ液を流体に乗せて外部に排出できる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明によれば、検知手段によりメッキ液がマスク部材から漏れたことを知ることができる。
【0028】
また、請求項7に記載の発明によれば、カップの基準流体に、漏れ出たメッキ液が流体とともに混入すると導電率またはpHが変位するので、これを測定手段で測定することでメッキ液の漏れを検知できる。
【0029】
また、請求項8に記載の発明によれば、測定手段から離れた位置にメッキ液が混入した流体が入った場合でも、流動付与手段の流れにより測定手段の位置にまで素早く流される。
【0030】
また、請求項9に記載の発明によれば、マスク部材と基板の周縁部との隙間を、基板の非処理面側から処理面側に向かって流体が流通するので、漏れ出たメッキ液が基板の非処理面側に回り込まない。さらに、メッキ液が漏れ出た場合には、検知手段により検知して警報を発する。
【0031】
また、請求項10に記載の発明によれば、上述した請求項7と同等の作用を生じる。
【0032】
また、請求項11に記載の発明によれば、上述した請求項8と同等の作用を生じる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
<第1実施例>
図1は、本実施例に係る基板メッキ装置の概略構成を示す縦断面図であり、図2は、マスク部材及び押圧部材の一部拡大図である。
【0034】
基板Wは、図示しないシード層が形成された処理面Wsを下方に向けてスピンベース1によって水平姿勢となるように保持されている。このスピンベース1は、平面視環状を呈するマスク部材3と、このマスク部材3の上部に連結された3本(図示の関係上2本だけを示す)の支柱5と、これら3本の支柱5が連結された中空の回転軸7とを備えている。
【0035】
回転軸7は、図1に示すような高さの待機位置と、この待機位置よりも下方に位置する処理位置とにわたって図示しない昇降機構により昇降駆動される。また、図示しない回転駆動機構によって鉛直軸回りに回転駆動される。
【0036】
マスク部材3は、内周側上部に、下向きに傾斜した当接面3aと、内周面に開口したスリット状の電極取り付け穴3bと、この電極取り付け穴3bよりも内周側の位置で中心に向かって突出した内周凸部3cと、この内周凸部3cの上面に形成された凹部3dと、この凹部3dとマスク部材3の外周面とに連通した複数本の第1流路3eとを備えている。また、電極取り付け穴3bの中心部側(開口側)は、外周側よりも開口面積が大きく形成されている。
【0037】
マスク部材3の電極取り付け穴3bには、処理面Ws側に形成されているシード層に当接して負電圧を印加するためのカソード電極11が取り付けられている。このカソード電極11は、シード層に確実に当接するように、内周側が僅かに上方に向けて傾斜するように成形されているとともに、内周側が櫛形に形成されている。なお、上述したように電極取り付け穴3bの内周側は奥側よりも開口面積が大きくされているので、カソード電極11を取り付けると内周側が上方に傾斜し、基板Wのシード層に確実に当接するようになっている。
【0038】
マスク部材3の凹部3dには弾性を有するシール部材13が装着されている。このシール部材13は、メッキ液が基板Wの周縁部に達することを防止するものであり、基板Wの処理面Wsのうち周辺部のみに当接するように平面視環状に形成されている。
【0039】
スピンベース1の内部には、基板Wの非処理面にあたる裏面周辺部を押圧する押圧部材15が配備されている。この押圧部材15は、回転軸7に沿って昇降可能および回転自在に構成されており、スピンベース1内に搬入された基板Wをマスク部材3に対して押圧して基板Wを挟持する。
【0040】
押圧部材15は、円板状の当接部材17と、この回転中心部に立設された回転軸19とを備えている。回転軸19には、縦流路19aが形成されている。また、当接部材17は、その外周面上部が外方に突出した鍔部17aを備えるとともに、この鍔部17aの外周面は下方に向けられて当接面17bが形成されている。当接部材17の下面周辺部には、下方に突出した環状の押圧部17cが形成されている。また、当接部材17には、押圧部17cの外周面に開口し、回転軸19の直下まで連通した複数本の横流路17dが放射状に形成されている。これらの複数本の横流路17dは、縦流路19aに連通接続されている。
【0041】
なお、上記の横流路17dと縦流路19aが本発明における第2流路に相当するものである。
【0042】
押圧部材15は、図示しない回転機構によって、上述したスピンベース1と同様に鉛直軸回りに回転可能に構成されているとともに、図示しない昇降機構によってスピンベース1に対して昇降するようになっている。
【0043】
押圧部材15の縦流路19には、開閉弁21と、三方弁23と、開閉弁25,27とを介して気体供給源29と液体供給源31とが連通接続されている。気体供給源29は、例えば、窒素やドライエアーを供給するものであり、液体供給源31は、例えば、純水を供給するものである。これらの供給・遮断は、図示しない制御部によって制御される。
【0044】
スピンベース1の下方には、基板Wの直径よりもやや小径のメッキ槽33が備えられ、このメッキ槽33を囲うように回収槽35が配備されている。メッキ槽33の底面には開口部33aが形成されており、その周囲には正電圧を印加するためのアノード電極37が配設されている。このアノード電極37は、例えば、外観形状が環状になっている。回収槽35からメッキ槽33の開口部33aには配管39が連通接続されており、配管39に取り付けられたポンプ41によって回収槽35のメッキ液Lがメッキ槽33の上方に向けて供給されるようになっている。
【0045】
回収槽35のさらに外側には、メッキ槽33と回収槽35よりも周縁部が高い排液槽43が配備されている。この排液槽43は、排気によって液体を排出する排液ラインに接続されている。
【0046】
次に、図3を参照しながら、上述したように構成された基板メッキ装置について動作説明を行う。なお、この図3は、メッキ処理中の状態を説明するための図である。
【0047】
まず、図2に示す待機位置にスピンベース1が位置している状態で、図示しない基板搬送機構がスピンベース1内に基板Wを搬入する。このとき、基板Wは、その処理面Wsが下向きの姿勢である。スピンベース1内に基板Wが搬入されると、基板Wをマスク部材3に向けて下降させ、基板Wをカソード電極11及びシール部材13の上に載置する。
【0048】
次に、押圧部材15を基板Wの非処理面に向けて下降させ、当接部材17の押圧部17cが基板Wの非処理面に当接するまで下降させるとともに、一定圧力で基板Wを押圧するように付勢する。
【0049】
さらに、開閉弁21,25を開放して気体供給源29から気体(例えば、窒素)の供給を開始する。このようにして供給された気体gは、図3中に点線矢印で示すように、当接部材17の横流路17dを通り、基板Wの非処理面を伝って周縁部に達する。基板Wの周縁部は、当接部材17の鍔部17aに形成された当接面17bと、マスク部材3の当接面3aとが当接して密着して形成された気密室45内に位置しているが、基板Wの周縁部とマスク部材3の内周面とは僅かな隙間があるので、この隙間と、電極11と、凹部3dとを経て、マスク部材3の第1流路3eを通って排液槽43に排出される。
【0050】
そして、スピンベース1を回転させつつ基板Wごと処理位置にまで下降させるとともに、ポンプ41を作動させてメッキ槽33のメッキ液Lを循環させる。さらに、カソード電極11とアノード電極37とに所定時間通電してメッキ処理を行う。このときメッキ液Lは、メッキ槽33から溢れて回収槽35に回収される。
【0051】
本実施例のように構成された基板メッキ装置では、上記のようなメッキ処理中にメッキ液Lが処理面Wsを伝ってシール部材13より基板Wの周縁側に浸入しようとしても、図3中に点線矢印で示す気体gの流れによるセルフクリーニングにより、メッキ液Lが第1流路3eから排出される。したがって、メッキ液Lが基板Wの周縁部を伝って非処理面側にまで浸入することが阻止され、マスク部材13から漏れ出たメッキ液Lが基板Wの周縁部及び非処理面を汚染することを防止できる。その結果、順次に搬入される基板W間で起きる相互汚染を防止できる。
【0052】
上記のようにして気体gに乗せられて排出されたメッキ液Lは、ミストとなって排液槽43に排出される。
【0053】
また、上記の説明では、気体gだけを使って汚染防止を図ったが、開閉弁21,27を開放して液体供給源31より液体を供給した後、開閉弁27を閉止するとともに開閉弁25を開放して気体gを流通させるようにしてもよい。これにより液体によりメッキ液の回り込みを阻止し、これによって濡れた部分を、その後の気体供給により乾燥させることが可能であり、上述した効果と同等の効果を得ることができる。
【0054】
なお、上記のように構成した基板メッキ装置を図4に示すように構成してもよい。
【0055】
すなわち、上述した押圧部材15のように当接部材17内にトンネル状の横流路17dを形成するのに代えて、当接部材17Aの下面を横流路17Adとして利用する。そして、当接部材17の下面周辺に形成してあるリング状の押圧部17cに代えて、櫛状に一部開口した押圧部流路17Aeを形成して、これを押圧部17Acとする。また、マスク部材3Aの下面に開口して外部に連通した第1流路3Aeを形成する。
【0056】
このように構成することにより、基板Wの非処理面に対する押圧部材15の接触面積を少なくすることができ、押圧部材15の汚れなどによる非処理面の汚染が防止できる。また、横流路17Adは、トンネル状に横流路17dを形成するのに比較して製作が容易であるので、当接部材17Aを簡単に製造することが可能となる。また、排液槽43を省略して回収槽35で兼用することができるので、装置の小型化を図ることができる。
【0057】
<第2実施例>
図5及び図6を参照して本実施例装置について説明する。
なお、図5は本実施例に係る基板メッキ装置の概略構成を示した縦断面図であり、図6は排液槽を示す平面図である。また、本実施例装置において上述した第1実施例と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明については省略する。
【0058】
本実施例装置は、上述した第1実施例の排液槽43に代えて平面視環状の排液槽51を備えている。本発明のカップに相当する排液槽51は、その底面の一部位に一個の排液口53が形成されているとともに、中心を挟んでその反対側に、基準流体に相当する純水を排液槽51に供給するための注水口55が形成されている。排液口53には、1個の導電率測定器57が、測定部57aをその中に挿入された状態で排液槽51に取り付けられている。
【0059】
導電率測定器57の出力は、導電率測定部59に与えられている。この導電率測定部59では、導電率測定器57の出力に基づき純水の導電率が求められ、変位量や基準値との比較等に基づき警報部61に警報出力の指示を与える。この警報部61は、警報やランプを作動させてオペレータにメッキ液漏れを報知するためのものである。
【0060】
なお、上述した排液槽51と、導電率測定器57と、導電率測定部59とが本発明における検知手段に相当する。また、導電率測定器57が導電率の測定手段に相当する。
【0061】
注水口55には、純水を排液槽51内に供給して流れを生じさせる注水ノズル63が立設されている。この注水ノズル63は、吐出口63aが二箇所に対向して形成されており、それぞれが排水槽51の側壁に沿うように取り付けられている。また、注水ノズル63には、開閉弁65を介して純水供給源67が連通接続されている。図示省略しているが、注水ノズル63からの純水の供給量は、純水を排液槽51内に満たすための「大流量」や、流れを付与するための「小流量」の少なくとも二段階に調節可能となっている。
【0062】
注水ノズル63から純水を排液槽51内に供給することにより、図6に示すように純水に対して排水口53に向かう流れを付与することができる。したがって、注水ノズル63が本発明における流動付与手段に相当する。
【0063】
次に、このように構成された装置における動作について説明する。
なお、既に注水ノズル63から純水が供給されて、排液槽51内には所要レベルの純水が貯留された状態にあり、貯留されている純水に対して排水口53に向かう流れが与えられているものとする。
【0064】
まず、導電率測定部59が導電率を測定し、これと基準導電率とを比較する。その結果、基準導電率以下であることを確認した場合には、次の処理に進む。この時点で基準導電率を上回った場合でも、警報部61に対して警報を出力するように指示を与えるとともに、注水ノズル63から純水を大流量で供給し、導電率が基準導電率以下になるまで測定を繰り返す。
【0065】
基準導電率以下であった場合には、注水ノズル63の流量を小流量にした後、基板Wをスピンベース1に搬入してメッキ処理を開始する。この間も導電率の測定が繰り返し行われる。
【0066】
シール部材13に漏れがない場合には、導電率がほぼ一定であるので、警報が発せられることなくメッキ処理が終了する。しかしながら、シール部材13からメッキ液が漏れた場合には、第1流路3eから気体あるいは液体とともにメッキ液が排液槽51に排出される。すると、導電率が急激に大きくなるので、導電率測定部59がこれを検知し、警報部61に対して警報を発するように指示を与える。その結果、警報を知ったオペレータが装置を停止させるか、図示しない制御部が処理を自動的に停止させることにより、継続的に基板が汚染されることが防止できる。
【0067】
その後、シール部材13の確認を行い、必要ならばその交換を行った後、一旦、排液槽51内の純水を排出する。そして、新たに純水を供給する等の処理を行い、導電率が基準導電率以下であることを確認してから次なる基板に対する処理を再開する。
【0068】
このようにメッキ液がマスク部材13から漏れたことを知ることができるので、処理を停止すれば汚染が継続することを防止できる。また、メンテナンスの要否を確実に知ることが可能となる。また、排水槽51の純水の導電率を測定することでメッキ液の漏れを容易に検知することができる。
【0069】
さらに、導電率測定器57から離れた位置にメッキ液が混入した流体が入った場合でも、注水ノズル63の流れにより導電率測定器57の位置にまで素早く流されるので、回転しているマスク部材13から排液槽51内のどの位置に流体が入った場合であっても導電率の変動を検知することが遅れないようにすることができる。
【0070】
また、図7に示すように、排水槽57に複数個の導電率測定器57を配設して、上記のような注水ノズル63を省略するとともに、単に排液槽57に純水を供給するためだけの給水口を別途配備すればよい。このように構成しても、排液槽51内のどの位置に流体が入った場合でも導電率検知に遅れが生じないようにすることができる。
【0071】
なお、本実施例では、排液槽51に貯留する基準流体として純水を挙げたが、その他に利用可能な液体であればこれを代えてもよい。
【0072】
また、メッキ液漏れの検知に導電率を用いているが、例えば、pH測定器とpH測定部等を用いて漏れを検知するようにしてもよい。
【0073】
また、本実施例では、弾性を有するシール部材13がマスク部材3に取り付けられている構成を例に挙げて説明したが、このような弾性を有するシール部材13に代えて硬質部材を備えた構成のものであっても本発明を適用できる。
【0074】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、基板の非処理面側から周縁部を経て処理面側に向けて流体が供給されているので、漏れ出たメッキ液は基板の周縁部を伝って非処理面側に向かうことがない。したがって、マスク部材から漏れ出たメッキ液が基板を汚染することを防止できる。その結果、相互汚染が防止できる。また、第1流路と第2流路とを、マスク部材と基板の周縁部との隙間を介して連通接続することにより、基板の非処理面側から周縁部を経て処理面側に流体を流通させることが可能となるので、漏れ出たメッキ液が基板の周縁部を伝って非処理面側に向かうことを阻止できる。
【0076】
また、請求項2に記載の発明によれば、気体を供給することで、漏れ出たメッキ液が基板の周縁部を経て非処理面側に伝うことを阻止できる。
【0077】
また、請求項3に記載の発明によれば、液体を供給することでメッキ液の回り込みを阻止し、これによって濡れた部分を、その後の気体供給により乾燥させることが可能である。
【0078】
また、請求項4に記載の発明によれば、縦流路と横流路を連通接続させることにより、処理中に回転されている押圧部材を介して基板の周縁部にまで流体を供給することが可能である。
【0079】
また、請求項5に記載の発明によれば、漏れ出たメッキ液を第1流路から流体に乗せて外部に排出できる。
【0080】
また、請求項6に記載の発明によれば、検知手段によりメッキ液がマスク部材から漏れたことを知ることができる。検知手段によりメッキ液がマスク部材から漏れたことを知ることができるので、処理を停止すれば汚染が継続することを防止できる。また、メンテナンスの要否を確実に知ることが可能となる。
【0081】
また、請求項7に記載の発明によれば、カップの基準流体の導電率またはpHを測定することでメッキ液の漏れを容易に検知することができる。
【0082】
また、請求項8に記載の発明によれば、測定手段から離れた位置にメッキ液が混入した流体が入った場合でも、流動付与手段の流れにより測定手段の位置にまで素早く流されるので、回転しているマスク部材からカップ内のどの位置に流体が入った場合であっても導電率またはpHの変位検知が遅れることを防止できる。
【0083】
また、請求項9に記載の発明によれば、マスク部材と基板の周縁部との隙間に流体を流通させるので、漏れ出たメッキ液が基板の非処理面側に回り込むのを防止でき、メッキ液が漏れ出た場合には警報を発するので、容易にメッキ液漏れを知ることができる。
【0084】
また、請求項10に記載の発明によれば、上記の請求項7と同等の効果を奏する。
【0085】
また、請求項11に記載の発明によれば、上記の請求項8と同等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例に係る基板メッキ装置の概略構成を示した縦断面図である。
【図2】マスク部材及び押圧部材の一部拡大図である。
【図3】メッキ処理中の状態を説明するための図である。
【図4】第1実施例の変形例を示す縦断面図である。
【図5】第2実施例に係る基板メッキ装置の概略構成を示した縦断面図である。
【図6】カップの平面図である。
【図7】変形例を示す図である。
【符号の説明】
W … 基板
3 … マスク部材
3e … 第1流路
11 … カソード電極
13 … シール部材
15 … 押圧部材
17 … 当接部材
17c … 押圧部
17d … 横流路(第2流路)
19 … 回転軸
19a … 縦流路(第2流路)
33 … メッキ槽
35 … 回収槽
51 … 排液槽(カップ)
57 … 導電率測定器
63 … 注水ノズル(流動付与手段)
Claims (11)
- 基板の処理面のうち周辺部をマスク部材でマスクし、基板の非処理面を押圧部材で押圧したまま、前記マスク部材に配設された電極を介して基板の処理面に通電することによりメッキ処理を施す基板メッキ装置において、
前記マスク部材に第1流路を形成し、かつ、前記押圧部材に第2流路を形成するとともに、前記第1流路と前記第2流路とを、前記マスク部材と基板の周縁部との隙間を介して連通接続し、
基板の非処理面側から周縁部を経て処理面側に向けて流体を供給するようにしたことを特徴とする基板メッキ装置。 - 請求項1に記載の基板メッキ装置において、
前記第2流路に連通接続された気体供給源と、前記気体供給源からの供給と遮断とを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、基板の処理中に、前記流体として気体を供給することを特徴とする基板メッキ装置。 - 請求項2に記載の基板メッキ装置において、
前記第2流路に連通接続された液体供給源を備え、
前記制御部は、基板の処理中に、前記流体として液体を供給した後、前記流体として気体を供給することを特徴とする基板メッキ装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の基板メッキ装置において、
前記第2流路は、押圧部材の回転軸に形成された縦流路と、押圧部材の円板状を呈する当接部材の中央部から周縁部に向けて平面視放射状に複数本形成され、前記縦流路に連通した横流路とを備えていることを特徴とする基板メッキ装置。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の基板メッキ装置において、
前記第1流路は、電極付近と外部とを連通するように形成されていることを特徴とする基板メッキ装置。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の基板メッキ装置において、
前記第1流路から排出された流体にメッキ液が混入したことを検知する検知手段を備えていることを特徴とする基板メッキ装置。 - 請求項6に記載の基板メッキ装置において、
前記検知手段は、基準流体を貯留し、前記第1流路から排出された流体を受ける平面視環状のカップと、このカップ内の一部位において基準流体の導電率またはpHを測定する測定手段とを備えていることを特徴とする基板メッキ装置。 - 請求項7に記載の基板メッキ装置において、
前記カップ内の基準流体に対して、前記測定手段に向かう流れを付与する流動付与手段を備えていることを特徴とする基板メッキ装置。 - 基板の処理面のうち周辺部をマスク部材でマスクし、基板の非処理面を押圧部材で押圧したまま、前記マスク部材に配設された電極を介して基板の処理面に通電することによりメッキ処理を施す基板メッキ装置において、
前記マスク部材に第1流路を形成し、かつ、前記押圧部材に第2流路を形成するとともに、前記第1流路と前記第2流路とを、前記マスク部材と基板の周縁部との隙間を介して連通接続し、かつ、基板の非処理面側から周縁部を経て処理面側に向けて流体を供給し、
前記第1流路から排出された流体にメッキ液が混入したことを検知する検知手段を備え、
前記検出手段がメッキ液の混入を検知した場合に警報を発することを特徴とする基板メッキ装置。 - 請求項9に記載の基板メッキ装置において、
前記検知手段は、基準流体を貯留し、前記第1流路から排出された流体を受ける平面視環状のカップと、このカップ内の一部位において基準流体の導電率またはpHを測定する測定手段とを備えていることを特徴とする基板メッキ装置。 - 請求項10に記載の基板メッキ装置において、
前記カップ内の基準流体に対して、前記測定手段に向かう流れを付与する流動付与手段を備えていることを特徴とする基板メッキ装置。
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