JP3817006B2 - 平版印刷版用支持体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷版用支持体の製造方法に関するものであり、特にオフセット印刷版用に適する、粗面化されたアルミニウム板からなる印刷版用支持体の製造方法に関するものである。
また、本発明は、絡み難さと汚れ難さに優れ、耐刷性にも優れた平版印刷版用支持体の製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷版用支持体、とくにオフセット印刷版用支持体としては、アルミニウム板(アルミニウム合金板を含む)が用いられている。
一般にアルミニウム板をオフセット印刷用版材(支持体)として使用するためには、感光材との適度な接着性と保水性を有していることが必要である。
この為にはアルミニウム板の表面を均一かつ緻密な砂目を有するように粗面化しなければならない。この粗面化処理は製版後実際にオフセット印刷を行ったときに版材の印刷性能や耐刷力に著しい影響を及ぼすので、その良否は版材製造上重要な要素となっている。
印刷版用アルミニウム支持体の粗面化法としては交流電解エッチング法が一般に採用されており、電流としては普通の正弦波交流電流、矩形波などの特殊交番波形電流が用いられている。そして、黒鉛等の適当な電極を対極として交流電流により、アルミニウム板の粗面化処理を行うもので、通常一回の処理で行なわれている。
そこで得られるピットの薄さは全体的に浅く、耐刷性能に劣るものであった。この為、その直径に比して深さの深いピットが均一かつ緻密に存在する砂目を有する印刷版用支持体として好適なアルミニウム板が得られるように、数々の方法が提案されている。
その方法としては、交流を使った電解粗面化時の陽極時と陰極時の電気量の比率(特開昭54−65607号公報)、電源波形(特開昭55−25381号公報)、単位面積あたりの通電量の組み合わせ(特開昭56−29699号公報)などが知られている。
また、機械的粗面化法と電解粗面化法を組み合わせた方法として特公昭57−16918号公報が知られている。
更に又、アルミニウム支持体を酸性電解液中で電解粗面化処理を中間にアルミニウムのエッチング処理を挟んで繰返しおこなうことを特徴とする印刷版用アルミニウム支持体の製造方法(特公平7−29507号公報)が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法は、汚れ性能と耐水性に優れた性能は示すものの、保水性を向上させることにより絡み難さ(網点部の非画像部の汚れ)性能を向上させることにおいては、不充分であった。
【0004】
本発明の目的は、従来より更に保水性を向上させることにより、絡み難さ性能を一段と向上させることの出来る印刷版用支持体の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記の絡み難さ性能の向上と共に、汚れ難さに優れ、かつ耐刷性にも優れた平版印刷版用支持体の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々研究の結果、電化粗面化処理で生成したピットのエッジ部分の溶解処理をおこない、エッジ表面をなだらかにした後、ひきつづき再び硝酸を含む電解液中で交流電流波形を用いて前工程電解粗面化平均ピット径の1/2以下の後工程の電解粗面化平均ピット径を作製することによって、保水性を向上させ、絡み難さ性能を一段と向上させ得ることを発見し、本発明に至った。即ち、本発明の上記目的は、
(1) アルミニウム板を酸性電解液中で電解粗面化処理を、中間にアルミニウムのエッチング処理を挟んで繰返しおこなう印刷版用支持体の製造方法において、第1工程の電解粗面化を10℃〜30℃の硝酸を主体とする水溶液中で行い、後工程の電解粗面化を40℃〜70℃の硝酸を主体とする水溶液中で、交流電流を用いて行ない、第1工程の電解粗面化平均ピット径を2μm〜25μmとして、後工程の電解粗面化平均ピット径を前工程の電解粗面化平均ピット径の1/2以下乃至1/30以上にすることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法によって達成される。
(2) 更に、上記平版印刷版用支持体の製造方法において、好ましい態様としては、前記第1工程の電解粗面化が50〜600c/dm2、後行程の電解粗面化が10〜200c/dm2で行われることを特徴とする(1)に記載の平板印刷版用支持体の製造方法である。
(3) 更には、前記第1工程の電解粗面化が交流電流を用いて行われることを特徴とする(1)または(2)に記載の平板印刷版用支持体の製造方法。
(4) 第1工程の電解粗面化の前に、アルミニウム板に機械的粗面化と、0.1〜30/m2 の化学的エッチング処理を施し、該第1工程の電解粗面化を、10〜30゜Cの、硝酸を含む電解液中にて50〜600c/dm2 で行い、後工程の電解粗面化の前に、0.1〜20g/m2 の化学的エッチング処理を施し、該後工程の電解粗面化を40〜70゜Cの、硝酸を含む電解液中にて10〜200c/dm2 で行い、後工程の電解粗面化の後に、0.01〜2g/m2の化学的エッチング処理と、陽極酸化処理を施すことを特徴とする上記(1)に記載の平板印刷版用支持体の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において、電解粗面化処理用酸性電解液は、硝酸を主体とする水溶液であることが好ましい。
本発明において酸性電解液中で電解粗面化するということは、例えば硝酸を含む電解液中でアルミニウム板とこれに対向する電極との間に交流電流を流すことで、電解粗面化処理をおこなう。この場合、電解液としては硝酸を5〜400g/リットルを含有する水溶液であり、電流密度1〜200A/dm2 、液温30〜80°Cの範囲にあることが望ましい。電解粗面化処理時間は、5〜90秒間の範囲にあることが好ましい。
また、電解粗面化処理で使用する電流波形は交流に限定されるものではなく、直流電流を用いても可能である。
本発明で用いる交流電流波形とは、正負の極性を交互に変換せしめて得られる波形の電流であって、図1及び図2にその電圧波形図を例示する。図2において、(a)は正弦波、(b)は正弦波をサイリスタで位相角制御したもの、(c)は矩形波の電源波形を示すが、本発明の交流波形は上記したものの電源波形に限るものではない。
又本発明において電解粗面化処理に用いる電解液としては硝酸に限定されるものでなく、塩酸または塩酸と硝酸、硝酸と硫酸の混合液を用いてもよい。その際硫酸の代わりにリン酸もしくはリン酸と硫酸または他の酸との混合液を用いてもよい。
【0007】
本発明において、電解粗面化処理の中間に挟むエッチング処理とは、前段の電解粗面化処理で生成したピットの特にエッジ部分の溶解を行なうことをいう。処理条件としては高温硫酸溶液への長時間浸漬によるアルミニウムのエッチングや、苛性ソーダへの浸漬、リン酸または硫酸電解液中での電解研磨など、周知のエッチング処理の手法がいづれも使用できる。ただし、電解粗面化処理後のエッチング液と電解粗面化処理液とが混合しないように、その前後で配慮する必要がある。
【0008】
本発明において電解粗面化処理は、何回繰返しておこなってもよいが、中間でのエッチング処理を挟んで前一回、後1回とすることが、工程の簡素化上好ましい。
本発明において電解粗面化処理をエッチング処理を挟んで繰返すということは、このあと再び例えば硝酸を含む電解液中でアルミニウム板とこれに対向する電極との間に交流電流を流す電解粗面化を行うことであり、その際電解液としては、硝酸を5〜400g/リットルを含有する水溶液であり、電流密度1〜200A/dm2 ,液温30〜80°Cの範囲にあることが望ましく電解処理時間は5〜90秒の範囲にあることが好ましい。
【0009】
本発明において、第1工程の電解粗面化平均ピット径を2μm〜25μmとして、後工程の電解粗面化平均ピット径を前工程の電解粗面化平均ピット径の1/2以下乃至1/30以上にすることとは、具体的には前工程である第1工程電解粗面化平均ピット径としては何重にもピットを重ねるためには、2〜25μmが望ましく、2μm未満では保水性が悪化し、25μm以上では汚れ難さが不良となり、後工程としての第2工程電解粗面化平均ピット径としては1/2以上になると第1電解粗面化工程で形成されたピットが第2電解粗面化工程で大きく変化してしまい、保水性向上ができなくなるので、0.1〜8μmが望ましく、0.1μm未満では耐刷性が変化し、8μmより大きいと汚れ性が悪化する。0.3〜5μmが特に望ましい。
この際エッチング処理としては、0.01〜20g/m2 が望ましく、20g/m2 より多いと保水性が悪化し、0.5〜10g/m2 が特に望ましい。
又、電解粗面化を3回行う場合、具体的には前工程である第1工程電解粗面化の平均ピット径としては5〜25μmが望ましく、5μm未満では保水性が悪化し、25μm以上では汚れ難さが不良になり、後工程としての第2工程電解粗面化平均ピット径としては0.1〜8μmが望ましく、0.1μm未満では耐刷性が悪化し、8μmより大きいと汚れ難さが悪化する。0.3〜5μmが特に望ましい。更に第3工程電解粗面化平均ピット径としては0.1〜2μmが望ましく、0.3〜2μmが特に望ましい。その際のエッチング処理としては、第1と第2工程の中間には0.01〜20g/m2 が望ましく、0.5〜10g/m2 が特に望ましいが、第2工程と第3工程の中間のエッチング処理には0.01〜8g/m2 が望ましいが、0.3〜5g/m2が特に望ましい。
本発明において、第1工程の電解粗面化平均ピット径を2〜25μmとして、後工程の電解粗面化平均ピット径を前工程の電解粗面化平均ピット径の1/2以下乃至1/30以上にするためには、電解液温度,濃度,電流密度,電源周波数,電源波形,フォアード、リバースの電流時間比等で制御可能である。即ち、後工程の電解液温度を前工程の電解液温度よりも高くする,濃度は後工程を前工程よりも低くし、電流密度は後工程を前工程より高くし、電源周波数は後工程を前工程よりも高くし、電流波形のフォワード・リバースの電流比は後工程を前工程よりもリバース電流比を高くすることに依って容易に制御し得る。
このようにしてアルミニウム板の表面に深い砂目のピット面に微細で丸くかつ均一なハニカム状のピットを持つ2重以上のピット構造の砂目を生成することができる。
【0010】
このようにして電解粗面化処理したアルミニウム板は、必要に応じ、通常用いられる方法に従って室温〜90°Cの酸またはアルカリを含む水溶液中で化学エッチング処理により0.01〜8g/m2 に、望ましくは0.3〜5g/m2 に軽度にエッチングしたあと、中和処理などを施してもよい。軽度のエッチングは、浸漬のみならず、電解研磨などの電気化学的手法を用いてもよい。更に優れた印刷版用支持体を得ることができる。
また、常法としておこなわれる、電解粗面化の前処理としての酸またはアルカリによる、脱脂、洗浄処理は、おこなっても、おこなわなくてもよい。
本発明のように、中間でのエッチング処理を行なわないときには、砂目形状が複雑で形が整わず、後処理を省いたときに汚れ性能が低下する。
以上のようにして得られた粗面板に対して通常の手法に従って硫酸またはリン酸を含む電解液中で陽極酸化処理をおこなうことにより、親水性、保水性、耐刷性ともに優れた印刷版用支持体を製造できる。もちろん陽極酸化処理後、ケイ酸ソーダなどを含む水溶液中に浸漬して親水化処理を行ってもよい。
【0011】
又、本発明は前記の方法だけに限られず、機械的粗面化,エッチング処理,デスマット処理後、電解粗面化を繰返し行っても、同様の結果が得られる。
本発明は、後工程電解粗面化後の表面粗さHaが前工程電解粗面化,エッチング処理後のHaに対し、0.5〜1.5倍になることが好ましく、0.8〜1.2倍が特に望ましい。
又、各電解粗面化後の未エッチング率が80%未満となることが望ましく、50%未満が特に望ましい。
本発明による電解方法は、回分法、半連続法、連続法のいずれにも適用できる。
本発明において、上記の平版印刷版用アルミニウム支持体を製造する好ましい態様としては、前記したように、前記第1工程の電解粗面化の前に、アルミニウム板に機械的粗面化と、0.1〜30/m2 の化学的エッチング処理を施し、該第1工程の電解粗面化を、10〜50℃の、硝酸を含む電解液中にて50〜600c/dm2 で行い、後工程の電解粗面化の前に、0.1〜20g/m2 の化学的エッチング処理を施し、該後工程の電解粗面化を35〜80℃の、硝酸を含む電解液中にて10〜200c/dm2 で行い、後工程の電解粗面化の後に、0.01〜2g/m2 の化学的エッチング処理と、陽極酸化処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の平板印刷版用支持体の製造方法である。
機械的粗面化としては、転写、ブラシ、液体ホーニング等による粗面化があるが、ブラシによる粗面化が一般的である。ブラシによる粗面化としては、ナイロンブラシのよる粗面化の他、ワイヤーブラシによる粗面化も行うことができる。
なお、機械的粗面化を行うと、耐刷性を向上させることができる。
機械的粗面化の後に行う化学的エッチング処理は、酸またはアルカリの水溶液により行われ、エッチング量は、0.1〜30g/m2 である。エッチング量が0.1g/m2 以下であると、汚れが増加し、また30g/m2 以上であると絡み難さが劣化する。特に好ましくは、5〜15g/m2 である。
第1工程の電解粗面化は、10〜50℃の、硝酸電解液中にて、50〜600c/dm2 で行う。この場合、電解液温度が10℃以上では汚れが増し、50℃以上では、絡み難さが劣化する。特に好ましくは、20〜30℃である。
第1工程の電解粗面化の後に、再度化学的エッチング処理を酸またはアルカリの水溶液で行い、この場合のエッチング量は、0.1〜20g/m2 である。
エッチング量が0.1g/m2 以下であると、汚れが増し、また20g/m2 以上であると絡み難さが劣化する。特に好ましくは、5〜15g/m2 である。
次いで、後工程の電解粗面化を、35〜80℃の、硝酸電解液中にて、10〜300c/dm2 で行う。電解液温度が35℃以上では汚れが増し、80℃以上では、絡み難さが劣化する。特に好ましくは、40〜70℃である。
後工程の電解粗面化の後に、再度化学的エッチング処理を酸またはアルカリの水溶液で行い、この場合のエッチング量は、0.01〜2g/m2 である。
エッチング量が0.01g/m2 以下であると、汚れが増し、また2g/m2 以上であると絡み難さと耐刷性が劣化する。特に好ましくは、0.2〜1.0g/m2 である。
最後の化学的エッチングの後で、陽極酸化を施す。陽極酸化は、硫酸、リン酸、クロム酸、しゅう酸、等の水溶液または非水溶液中でアルミニウム支持体を陽極として電流を流し、アルミニウム支持体の表面に陽極酸化皮膜を形成させる。
なお、上記の工程で、各化学的エッチング処理を行った後には、酸によるデスマット処理を行うことが望ましい。
【0012】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例−1〜3,比較例−1〜2)JIS1050−H16アルミニウム圧延板を5%苛性ソーダ水溶液中に50゜Cで30秒間浸漬し、洗浄処理をおこなった。その後、機械的粗面化,化学エッチング処理15g/m2 、デスマット処理後に、このアルミニウム板を硝酸15g/リットル含有する水溶液中、各実施例及び比較例に対し夫々、表1に示す温度設定と、電流密度40A/dm2 で平均ピット径を変えて20秒間電解粗面化処理をした。その際電源波形としては、図1に示すような矩形波を用いた。次に水洗後、25%苛性ソーダ水溶液で、アルミニウム濃度7%を含む液中に、それぞれの時間浸漬し、電解粗面化処理で生成したピットのエッジに相当する部分の溶解をおこない、水洗した。次に再び硝酸15g/リットルにアルミニウム濃度6g/リットルを含有する水溶液中で、各第2工程平均ピット径を発生させる相当液温度で、電流密度40A/dm2 で5秒間電解エッチングを行った。このようにして得られたアルミニウム板の表面に付着した水酸化アルミニウムを主体としてスマットを硫酸250g/リットル,液温50゜Cの水溶液中に30秒間浸漬して除去し、水洗した。このようにして得られた実施例1〜3の粗面板は平均表面粗さ0.6μmで、均一かつ緻密な2重構造的凹凸をもち、大きなうねりの上に小さな丸いハニカム状のピットを有していた。また以上のようにして得られたアルミニウム板に酸化皮膜量が2.5g/m2 となるように硫酸を100g/リットル含有する水溶液中で陽極酸化処理を行った。このようにして得られたアルミニウム板上に感光層を塗布し、印刷版を製造したところ、得られた印刷版は汚れ難さ,耐刷性,特に絡み難さともに良好な印刷版が得られた。実施条件並びに結果を表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
(比較例−3,実施例−4〜6)前記例と同様にアルミニウム圧延板を5%苛性ソーダ水溶液中で洗浄処理をおこない、その後、機械的粗面化,化学エッチング処理15g/m2 、デスマット処理をしたものを、硝酸15g/リットル中にアルミニウム濃度6g/リットルを、含有する水溶液中に表2に示す温度,電流密度40A/dm2 で、第1工程の平均ピット径を各サンプル共に15μmにして、次に水洗後、いづれも25%苛性ソーダ水溶液中アルミニウム濃度7%の液中に浸漬して、電解粗面化処理で生成したピットのエッジに相当する部分の溶解を行い、水洗した。次に再び硝酸15g/リットル含有する水溶液中で、それぞれ第2工程平均ピット径10,5,1,0.5μmを発生させるそれぞれの相当液温度で電流密度40A/dm2 で5秒間電解エッチングを行なった。このようにして得られたアルミニウム板の表面に付着した水酸化アルミニウムを主体としたスマットを硫酸250g/リットル,液温50°Cの水溶液中に30秒間浸漬して除去し、水洗した。このようにして得られた実施例−4〜6の粗面板はエッチング処理後のHaに対し、0.8〜1.2倍であり、均一かつ緻密な2重構造的凹凸を持ち、大きなうねりの上に小さな丸いハニカム状のピットを有していた。また以上のようにして得られたアルミニウム板上に感光層を塗布し、印刷版を製造したところ、得られた印刷版は汚れ難さ,耐刷性,特に絡み難さの良好な印刷版が得られた。実験条件及び結果を表2に示す。
【0015】
【表2】
【0016】
(実施例−7〜10)JIS1050−H16アルミニウム圧延板を、機械的粗面化、化学エッチング処理15g/m2 ,デスマット処理を行った後、硝酸15g/リットルを含有する水溶液中、表3に示す温度、電流密度40A/dm2 で20秒間電解エッチングをおこなった。その際電源波形としては、図1に示すような矩形波を用いた。水洗後硫酸400g/リットル含有する水溶液90°Cに120秒間浸漬し、電解粗面化処理で生成したピットのエッジに相当する部分の溶解を行い、水洗した。次に再び硝酸15g/リットル含有する水溶液中、表3に示す温度、電流密度40A/dm2 で5秒間電解エッチングをおこなった。更に第2工程の電解粗面化処理で生成したピットのエッジに相当する部分の溶解を行い、水洗した。次に再び硝酸15g/リットルを含有する水溶液中電解粗面化平均ピット径、それぞれ3,2,1,0.5μmを作るべくそれぞれ液温度を変え、電流密度40A/dm2 で5秒間電解エッチングを行った。電解粗面化最終工程後の後処理として、化学エッチング処理1g/m2 ,アノダイズ処理2.5g/m2 をおこなった。このようにして得られた実施例−7〜10の粗面液はエッチング処理後の電解粗面化後の未エッチ率が50%未満であり、均一かつ緻密な3重構造的凹凸をもち、大きなうなりの上に小さな丸いハニカム状のピットを有していた。また以上のようにして得られたアルミニウム板上に感光層を塗布し、印刷版を製造したところ得られた印刷版は汚れ難さ、耐刷性、特に絡み難さが極めて優れた印刷版が得られた。実験条件及び結果を表3に示す。
【0017】
【表3】
【0018】
(実施例−11〜20、比較例−4)
JIS−1050のアルミニウム板を用い、特公昭50−40047号公報に記載の装置を用い、回転数350rpmにて機械的粗面化を行い、10%の苛性ソウダ水溶液にて、50℃にて各化学的エッチング処理と、硝酸1%の電解液を用いた各電解粗面化を表4に示す処理条件で行い、最後の化学的エッチング処理後に酸によるデスマットを行った後、硫酸120g/リットル、液温45℃にて、陽極酸化皮膜量が3.0g/m2 になるように陽極酸化処理を行った。
得られた各平版印刷版用支持体上に感光層を塗布し、平版印刷版を作り、実施例−1等と同様に、印刷性能(汚れ難さ、絡み難さ、耐刷性)を調べ、得られた結果を表4に示した。
【0019】
【表4】
【0020】
【発明の効果】
本発明は、アルミニウム支持体を酸性電解液中で電解粗面化処理を中間にアルミニウムのエッチング処理を挟んで繰り返しおこなう印刷版用支持体の製造方法において、第1工程の電解粗面化平均ピット径を2μm〜25μmとして、後工程の電解粗面化平均ピット径を前工程の電解粗面化平均ピット径の1/2以下乃至1/30以上にすることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法によって、従来より一段と保水性を向上させ優れたものを製造することにより、絡み難さ性能を一段と向上させた優れたものを製造することが出来た。
また、上記の平版印刷版用支持体の製造方法において、前記第1工程の電解粗面化の前に機械的粗面化と化学的エッチング処理を行い、第1工程の電解粗面化の後と、後工程の電解粗面化の後に化学的エッチング処理を行い、次いで陽極酸化を行うことによって、更に優れた特性を有する平版印刷版用支持体を得ることができる。
本発明によって作成されたアルミニウム粗面板から平版印刷版を製造することにより、優れた印刷性能と特に絡み難さ性能をもちかつ汚れ性のない平版印刷版を作ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる交流電源の矩形波の電源波形図
【図2】本発明に係わる交流電源波形図、(a):正弦波、(b):正弦波をサイリスタで位相角制御したもの、(c):矩形波
Claims (4)
- アルミニウム板を酸性電解液中で電解粗面化処理を、中間にアルミニウムのエッチング処理を挟んで繰返しおこなう印刷版用支持体の製造方法において、第1工程の電解粗面化を10℃〜30℃の硝酸を主体とする水溶液中で行い、後工程の電解粗面化を40℃〜70℃の硝酸を主体とする水溶液中で、交流電流を用いて行ない、第1工程の電解粗面化平均ピット径を2μm〜25μmとして、後工程の電解粗面化平均ピット径を前工程の電解粗面化平均ピット径の1/2以下乃至1/30以上にすることを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
- 前記第一工程の電解粗面化が50〜600c/dm2、後工程の電解粗面化が10〜200c/dm2で行なわれることを特徴とする請求項1に記載の平板印刷版用支持体の製造方法。
- 前記第1工程の電解粗面化が交流電流を用いて行われることを特徴とする請求項1または2に記載の平板印刷版用支持体の製造方法。
- 第1工程の電解粗面化の前に、アルミニウム板に機械的粗面化と、0.1〜30/m2の化学的エッチング処理を施し、該第1工程の電解粗面化を、10〜30℃の、硝酸を含む電解液中にて50〜600c/dm2で行い、後工程の電解粗面化の前に、0.1〜20g/m2の化学的エッチング処理を施し、該後工程の電解粗面化を40〜70℃の、硝酸を含む電解液中にて10〜200c/dm2で行い、後工程の電解粗面化の後に、0.01〜2g/m2の化学的エッチング処理と、陽極酸化処理を施すことを特徴とする請求項1に記載の平板印刷版用支持体の製造方法。
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