JP3816684B2 - スペクトル拡散受信装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スペクトル拡散通信方式の受信装置に関するものであり、特に、マッチドフィルタを用いて受信信号の同期を行なうスペクトル拡散受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
以下、従来のスペクトル拡散受信装置について説明する。スペクトル拡散通信方式において、送信側では、たとえば、拡散符号を用いて情報レートより高速なチップレートで拡散変調を行い、そして、その拡散信号を受信側へ送信する。一方、受信側では,送信側で用いた拡散符号のレプリカである参照符号を生成し、受信した拡散信号の逆拡散を行う。
【0003】
しかしながら、このような逆拡散に用いる参照符号は、送信側で用いた拡散符号と同一のタイミングで用いる必要があるため、受信した拡散信号の逆拡散を行うためには、拡散符号を用いるタイミングを正確に検出しなければならず、たとえば、チップレートの4倍以上の精度でタイミングの検出を行なう必要がある。このため、タイミングの検出はチップレートに対して4倍のオーバサンプルで行なう。また、移動体通信のような、伝搬環境が高速で変化する環境においては、高速に拡散符号を用いるタイミングを検出し、復調タイミングを更新する必要がある。そこで、この復調タイミングを更新する方法として、たとえば、マッチドフィルタを用いる方法が提案されている。
【0004】
マッチドフィルタは、通常、受信した拡散信号を格納する入力レジスタと、前記参照符号を格納する参照符号レジスタと、入力レジスタの各タップ出力と参照符号との乗算をサンプル単位に行なう複数の乗算器と、各乗算器出力をサンプル単位にすべて加算する加算器と、から構成されている。
【0005】
図26は、上記のように構成されるマッチドフィルタの出力例を示すものである。このマッチドフィルタの入力レジスタに格納される入力信号は、64サンプルであり、この64サンプル周期で、受信拡散信号の相関値が繰り返し計算されている。そして、図26に示すように、マッチドフィルタの相関が特に大きくなるタイミングが拡散信号の受信タイミングとなる。
【0006】
図27は、巡回積分の動作を説明するための図を示すものである。たとえば、図示のような巡回積分による手法を用いて、マッチドフィルタの出力を64サンプル周期(サンプルタイミングを示す)で足し合わせることにより、すなわち、図27の(A)+(B)+(C)+(D)を計算することにより、SN比(Signal to Noise ratio)を改善させてタイミングを検出する。
【0007】
上記、スペクトル拡散通信方式におけるマッチドフィルタおよび上記巡回積分による手法に関する文献としては、たとえば、特開平10−285079がある。図28は、たとえば、特開平10−285079に示された従来のマッチドフィルタと従来の巡回積分器を示すものであり、図29は、図28に示すマッチドフィルタの構成を示すものであり、図30は、図28に示す巡回積分器の構成を示すものである。
【0008】
図28において、500はマッチドフィルタであり、600は巡回積分器である。また、マッチドフィルタ500において、501はレジスタであり、502は書き込み制御装置であり、503a,503b,…503cはセレクタであり、504a,504b,…504cは乗算器であり、505は参照符号レジスタであり、506は加算器である。また、巡回積分器600において、601は加算器であり、602はメモリであり、603はアドレス生成器である。
【0009】
上記のように構成されるマッチドフィルタ500および巡回積分器600は、どちらも4倍のオーバサンプルで動作している。たとえば、マッチドフィルタ500は、64タップで構成され、各タップに対応する64個の乗算器(14a,14,…14c)が、1サンプル毎にそれぞれのタップの出力と参照符号とを乗算する。その後、マッチドフィルタ500では、加算器506がすべての乗算結果を加算し、出力する。一方、巡回積分器600では、加算器601が、入力されるマッチドフィルタの出力と、アドレス生成器603が所定のタイミングで生成するアドレスに対応するメモリ502の出力と、を加算することにより(図27参照)、相関値を出力する。
【0010】
なお、CDMA(Code Division Multiple Access)方式において、受信側では、通信の開始時にタイミングがわかっていない。従って、たとえば、従来のスペクトル拡散受信装置では、相関出力を得るために、図28に示す受信拡散信号と参照符号とを用いて上記操作を行い、受信拡散信号と参照符号の位相を正確に合わせないと、大きな相関値が得られない。
【0011】
このように、従来のスペクトル拡散受信装置では、上記の方法で得られた相関値のうち、最大値となる参照符号の位相に同期させることにより、受信拡散信号の受信タイミングを検索している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記、従来のスペクトル拡散受信装置において、マッチドフィルタおよび巡回積分器は、4倍オーバサンプルで動作するため回路規模と消費電力が非常に大きいという問題点があった。
【0013】
具体的にいうと、図29に示す従来のマッチドフィルタ500において、受信データを格納するためのレジスタ501の必要数は、64タップの4倍、すなわち、256個であり、回路規模が大きくなる。さらに、レジスタ501にて4倍オーバサンプルを行なっているため、各セレクタでは、レジスタ501から各タップの出力を高速に選択する、という動作が必要となる。
【0014】
また、このセレクタ503a〜503cも、必要数が64個であることから回路規模が大きくなり、さらに、動作が4倍オーバサンプルであるため消費電力が大きくなる。また、乗算器504a〜504cについても、同様に必要数が64個であることから回路規模が大きくなり、さらに、動作が各セレクタと同様に4倍オーバサンプルであるため消費電力が大きくなる。そして、加算器506についても、乗算器が64個であることから非常に大きな回路規模となり、さらに、動作が同様に4倍オーバサンプルと高速であるため非常に大きな消費電力となる。
【0015】
また、巡回積分器600については、64タップの4倍である256ワードのメモリ602が必要となり、それに伴って回路規模が大きくなり、さらに、動作速度が上記同様4倍オーバサンプルであるため消費電力も大きくなる。
【0016】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型で低消費電力なマッチドフィルタおよび巡回積分器を備えるスペクトル拡散受信装置を得ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、受信拡散信号と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ(後述する実施の形態のマッチドフィルタ1に相当)と、前記マッチドフィルタ出力を、N倍(Nは1以上)オーバサンプルタイミングで補間する補間手段(補間装置2に相当)と、を備え、受信拡散信号のタイミング同期をとることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、マッチドフィルタにおいて、オーバサンプルに付随するセレクタが不必要となるため、回路規模を大幅に削減させることができ、さらに,受信信号を格納するレジスタの個数も削減されるため、ここでも大幅に回路規模を削減させることができる。また、この発明によれば、オーバサンプルがないことから、マッチドフィルタの動作速度が遅くなるため、それに伴って消費電力を低減させることができる。また、同様の理由からマッチドフィルタ出力の時間分解能が低下することになるが、この発明によれば、補間手段によって時間分解能を向上させることができ、従来と同等の性能を実現することができる。
【0019】
つぎの発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、さらに、前記マッチドフィルタと補間手段との間に、マッチドフィルタ出力をオーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する巡回積分手段(後述する実施の形態の巡回積分器3に相当)を備え、前記補間手段では、前記巡回積分手段の出力を、N倍オーバサンプルタイミングで補間することを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、さらに、巡回積分手段の動作速度を、従来技術と比較して遅くすることができ、さらに、オーバサンプルなしで動作することから、メモリ容量を、たとえば、256ワードから64ワードへと、1/4に削減させることができる。これにより、従来と比較して回路規模を大幅に削減できるとともに、消費電力も大幅に削減させることができる。
【0021】
つぎの発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、受信拡散信号と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ(後述する実施の形態のマッチドフィルタ1に相当)と、前記マッチドフィルタ出力を、オーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分手段(第1の巡回積分器3aに相当)と、前記第1の巡回積分手段出力を、2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間手段(第1の補間装置2aに相当)と、前記第1の補間手段出力を電力に変換して、その後、巡回積分する第2の巡回積分手段(第2の巡回積分器3bに相当)と、前記第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは2以上)オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間手段(第2の補間装置2bに相当)と、前記第2の補間手段出力から信号のタイミングを検出するパス検出手段(パス検出器4に相当)と、を備え、受信拡散信号のタイミング同期をとることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、マッチドフィルタにおいて、オーバサンプルに付随するセレクタが不必要となるため、回路規模を大幅に削減させることができ、さらに,受信信号を格納するレジスタの個数も削減されるため、ここでも大幅に回路規模を削減させることができる。また、オーバサンプルがないことから、マッチドフィルタの動作速度が遅くなるため、それに伴って消費電力を低減させることができる。また、同様の理由からマッチドフィルタ出力の時間分解能が低下することになるが、この発明によれば、第1および第2の補間手段によって時間分解能を向上させることができ、従来と同等の性能を実現することができる。また、第2の巡回積分手段が2倍オーバサンプルで動作しているため、4倍オーバサンプルで動作する従来技術と比較して、メモリ容量を半分にでき、さらに、それに伴って消費電力も半分にできる。
【0023】
つぎの発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、前記第2の巡回積分手段に接続される前記第2の補間手段およびパス検出手段に置き換えて、前記第2の巡回積分手段出力から信号のタイミングを検出する第2のパス検出手段(後述する実施の形態のパス検出器4に相当)と、前記第2のパス検出手段にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは4以上)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間手段(第3の補間装置2cに相当)と、を備えることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、さらに、各パスのタイミング検出後に補間を行なうため、パス検出手段の動作速度をより低速にすることができ、さらに、第3の補間手段が検出したパスの近傍でのみ動作するため、演算量を少なくすることができる。
【0025】
つぎの発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、前記第2の補間手段にて前記第2の巡回積分手段出力を4倍オーバサンプルタイミングで補間し、さらに、前記パス検出手段にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の補間手段出力を、M倍(Mは4以上)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間手段(後述する実施の形態の第3補間装置2cに相当)、を備えることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、検出タイミングの精度を8倍オーバサンプル精度以上にする場合、第2の補間手段によって4倍オーバサンプル精度に変更してから、パス検手段によってタイミングを検出し、その検出したタイミングの近傍の信号からさらに第3の補間手段によって8倍オーバサンプル精度に変更する。これにより、さらに、検出タイミングの精度を向上させることができる。
【0027】
つぎの発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、受信拡散信号を2倍オーバサンプルでサンプル可能なサンプル手段(後述する実施の形態のサンプル装置5に相当)と、通りある前記サンプル手段のサンプルタイミングを切り換えるサンプルタイミング制御手段(サンプルタイミング制御装置6に相当)と、前記サンプル手段出力と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ(マッチドフィルタ1に相当)と、前記マッチドフィルタ出力を、通りあるサンプルタイミング毎に、オーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する巡回積分手段(巡回積分器3に相当)と、通りある前記巡回積分手段出力を、平滑化する平滑化手段(平滑化装置7に相当)と、前記平滑化手段出力から信号のタイミングを検出するパス検出手段(パス検出器4に相当)と、を備え、受信拡散信号のタイミング同期をとることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、マッチドフィルタに入力する受信信号のタイミングを、サンプルタイミング制御手段によって、たとえば、1/2チップ単位で切り替え、巡回積分手段によって切り換えられたタイミング毎に巡回積分を行ない、平滑化手段によってノイズをカットする。これにより、エリアッシングの問題が無くなり、マッチドフィルタが1倍オーバサンプルであっても、正確に2倍オーバサンプルに変換することができる。また、マッチドフィルタは、オーバサンプルに付随するセレクタが不必要となるため、回路規模を大幅に削減させることができ、さらに,受信信号を格納するレジスタの個数も削減されるため、ここでも大幅に回路規模を削減させることができる。また、マッチドフィルタは、オーバサンプルがないことから、マッチドフィルタの動作速度が遅くなるため、それに伴って消費電力を低減させることができる。
【0029】
つぎの発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、前記巡回積分手段、前記平滑化手段、および前記パス検出手段に置き換えて、前記マッチドフィルタ出力を、オーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分手段(後述する実施の形態の第1の巡回積分器3aに相当)と、前記第1の巡回積分手段出力を、2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間手段(第1の補間装置2aに相当)と、前記第1の補間手段出力を、電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分手段(第2の巡回積分器3bに相当)と、前記第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは2以上の整数)オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間手段(第2の補間装置2bに相当)と、前記第2の補間手段出力から信号のタイミングを検出するパス検出手段(パス検出器4に相当)と、を備えることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、第1の巡回積分手段のメモリ容量を大幅に削減でき、さらに、前記平滑化手段と比較して、第1の補間手段の動作速度を遅くでき、遅延器の数も大幅に削減できることから、伴って、回路規模と消費電力をより大幅に削減することができる。
【0031】
つぎの発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、前記第2の巡回積分手段に接続される前記第2の補間手段およびパス検出手段に置き換えて、前記第2の巡回積分手段出力から信号のタイミングを検出する第2のパス検出手段(後述する実施の形態のパス検出器4に相当)と、前記第2のパス検出手段にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは4以上の整数)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間手段(第3の補間装置2cに相当)と、を備えることを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、パス検出手段を2倍オーバサンプル精度で行ない、パスの検出後、そのタイミングの前後のデータから第3の補間手段を用いて補間する。これにより、パス検出手段の動作速度を低速にすることができ、さらに、第3の補間手段が検出したパスの近傍でのみ動作するため、より演算量を少なくすることができる。
【0033】
つぎの発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、前記第2の補間手段にて前記第2の巡回積分手段出力を4倍オーバサンプルタイミングで補間し、さらに、前記パス検出手段にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の補間手段出力を、M倍(Mは4以上の整数)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間手段(後述する実施の形態の第3の補間装置2cに相当)、を備えることを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、検出タイミングの精度を8倍サンプル精度以上にする場合、第2の補間手段によって4倍オーバサンプル精度にしてから、パス検出手段によってタイミングを検出し、そのタイミングの近傍のデータに基づいて、第3の補間手段にて8倍オーバサンプル精度以上にする。これにより、さらに検出確率を向上させることができる。
【0035】
つぎの発明にかかるスペクトル拡散受信装置にあっては、受信拡散信号を2倍オーバサンプルでサンプル可能な第1のサンプル手段(後述する実施の形態の第1のサンプル装置5aに相当)と、前記第1のサンプル手段出力を回に1回サンプルする第2のサンプル手段(第2のサンプル装置5bに相当)と、通りある前記第2のサンプル手段のサンプルタイミングを切り換えるサンプルタイミング制御手段(サンプルタイミング制御装置6に相当)と、前記第2のサンプル手段出力と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ(マッチドフィルタ1に相当)と、前記マッチドフィルタ出力を、オーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分手段(第1の巡回積分器3aに相当)と、前記第1の巡回積分手段出力を、2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間手段(第1の補間装置2aに相当)と、前記第1の補間手段出力を、電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分手段(第2の巡回積分器3bに相当)と、前記第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは2以上)オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間手段(第2の補間装置2bに相当)と、前記第2の補間手段出力から信号のタイミングを検出するパス検出手段(パス検出器4に相当)と、前記第1のサンプル手段を、K倍(K>を満たす整数)オーバサンプルタイミングに補間する第4の補間手段(第4の補間装置2dに相当)と、前記パス検出器4にて検出したタイミングで受信信号の復調を行う信号復調手段(信号復調器8に相当)と、を備え、受信拡散信号のタイミング同期をとることを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、第1のサンプル手段が2倍オーバサンプル動作でよく、4倍オーバサンプルで動作する場合に比べ消費電力を1/2にすることができる。また、第4の補間手段により2倍オーバサンプル信号を4倍オーバサンプルに変換するので、信号復調手段においては従来と同等の性能が得られる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0038】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態1の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力を、N倍(Nは1以上)オーバサンプルタイミングで補間する補間装置2から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。
【0039】
図2は、図1に示すマッチドフィルタ1の構成例を示す図である。図2において、11は受信した拡散信号を書き込み制御装置112の制御タイミングでレジスタ111(図示のR0〜R63に相当)に格納する入力レジスタであり、12は参照符号を格納する参照符号レジスタであり、14は入力レジスタ11の各タップの出力と参照符号とを乗算する乗算器であり、13は各乗算器の出力を加算する加算器である。なお、ここでは、説明の便宜上、タップ数を64としているが、本発明はタップ数に依存しないものとする。
【0040】
本実施の形態ではオーバサンプルを行なっていないので、レジスタ111は、タップ数と同じ数、すなわち、64個だけあればよい。また、同様の理由から、レジスタ111の出力を選択するセレクタ(図29参照)も不必要となる。これにより、従来と比較して、大幅に回路規模および消費電流を削減できる。また、オーバサンプルを行わないため、乗算器14と加算器13の動作速度がチップレートとなり、さらに、消費電流を削減できる。
【0041】
ここで、マッチドフィルタ1に入力される受信拡散信号、およびマッチドフィルタの出力について具体的に説明する。図3は、受信拡散信号のスペクトルを示す図である。図3において、Rはチップレート示すものであり、αはロールオフ率を示すものであり、帯域幅はR×(1+α)で表わされる。なお、マッチドフィルタ1においては、乗算器14にて参照符号と受信拡散信号の畳み込み積分を行っているが、この参照符号がチップ単位のインパルス列で周波数軸上で白色であれば、マッチドフィルタ出力のスペクトルを、受信拡散信号のスペクトルと同等と見なすことができる。
【0042】
また、図4は、2倍オーバサンプルで動作しているマッチドフィルタ出力のスペクトルを示す図である。2倍オーバサンプルで動作しているため、2R毎に周波数の繰り返しがある。また、図5は、オーバサンプルなし(1倍オーバサンプル)で動作するマッチドフィルタ出力のスペクトルを示す図である。チップレートRでサンプルしているので、R毎に周波数の繰り返しがある。また、ロールオフで広がった部分の信号はエリアッシングとなっている。
【0043】
図6は、図1に示す補間装置2の構成例を示す図である。図6において、21a〜21eは入力信号をサンプル毎に遅延させる遅延器であり、22a〜22cは対応する遅延器の出力を加算する加算器であり、23a〜13cは各加算器の出力に係数をかける係数器であり、24は各係数器の出力を加算する加算器であり、25は遅延したサンプル値と補間値を交互に選択するセレクタである。
【0044】
たとえば、オーバサンプルなしの信号(図5参照)から2倍オーバサンプルへ変換する場合は、図5のスペクトルで表わされる信号に、たとえば、図7に示すフィルタをとおすことにより、図4に示す信号と同等の信号が得られる。このフィルタは、2倍オーバサンプルでのローパスフィルタであり、トランスバーサルフィルタ構成で容易に実現できる。なお、エリアッシング部分については、理想的な2倍オーバサンプルの場合と比較して若干異なるが、この部分の信号エネルギーが十分小さく、無視できる大きさであれば特に問題はない。また、性能に余裕がある場合は、消費電力や回路規模の削減のために、1倍オーバサンプルを用いることができる。
【0045】
このように、上記補間装置2では、オーバサンプルなしのマッチドフィルタであっても、2倍オーバサンプルと同等の出力を得ることができ、さらに、この方法を何度も繰り返すことにより、より高いオーバサンプルと同等の性能を得ることもできる。
【0046】
以降、本実施の形態の補間装置2では、入力信号のサンプル間の値を補間することにより、たとえば、時間分解能を2倍にする場合について説明する。図8は、図6に示した補間装置2の具体的な動作例を示す図である。たとえば、補間装置2の入力信号をI(0),I(1),I(2)…とすると、出力では、I(k)とI(k+1)の間に、補間点(I(k+3)+I(k−2))W2+(I(k+2)+I(k−1))W1+(I(k+1)+I(k))W0が挿入されている(kは任意の整数)。なお、一つ目の補間点と二つ目の補間点においては、遅延器の出力がクリアされている。また、この補間装置2に用いられる係数としては、たとえば、W0=0.625、W1=−0.1875、W2=0.09375を用いるものとする。
【0047】
また、図9は、上記補間装置2の動作を具体的に説明するための図である。補間装置2では、図9に示すように、マッチドフィルタ1の出力をサンプル点とし、さらに、補間装置2により補間点を計算し、セレクタ25により補間点とサンプル点とを交互に出力する。たとえば、補間点Fは、サンプル点A,C,E,G,I,Kから(A+K)W2+(C+I)W1+(E+G)W0、と計算することができる。また、補間点Hは、サンプル点C,E,G,I,K,Mから(C+M)W2+(E+K)W1+(G+I)W0、と計算することができる。
【0048】
このように、本実施の形態では、図28に示す従来のスペクトル拡散受信装置と比較して、オーバサンプルに付随するセレクタが不必要となっているため、回路規模が大幅に削減されており、さらに,入力レジスタ11におけるレジスタ111の個数も1/4となるため、ここでも大幅に回路規模が削減されている。また、本実施の形態では、動作速度が1/4になったため、それに伴って消費電力が1/4以下に低減されている。また、同様の理由からマッチドフィルタ出力の時間分解能が従来の1/4に低下しているが、本実施の形態では、補間装置2によって時間分解能を向上させることにより、従来と同等の性能を実現している。
【0049】
従って、本実施の形態によれば、補間装置2を設ける構成としたことにより、従来のマッチドフィルタと比較して、回路規模を大幅に削減でき、さらに、消費電力を1/4以下に低減させることができる。
【0050】
実施の形態2.
図10は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態2の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力をオーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する巡回積分器3と、巡回積分器3出力を、N倍(Nは1以上)オーバサンプルタイミングで補間する補間装置2から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。従って、前述した実施の形態1との相違点は、マッチドフィルタ1と補間装置2との間に巡回積分器3が配置されている点となる。なお、本実施の形態において、先に説明した実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
図11は、図10に示す巡回積分器3の構成例を示す図である。図11において、31はマッチドフィルタ出力と後述するメモリ32の出力とを巡回加算する加算器であり、32はマッチドフィルタ1のタップ数と同じ64ワードのメモリであり、33はメモリ32のアドレスを生成するアドレス生成器であり、さらに、動作速度はチップレートである。巡回積分器3は線形の演算を行なっているので巡回積分を行なった後で補間を行なった場合と、巡回積分の前で補間を行なった場合とで、同じ結果を得ることができる。このため、巡回積分の後で補間を行なうことにより、巡回積分器3の動作速度とメモリ容量を小さくすることができる。
【0052】
従って、本実施の形態では、先に説明した実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、すなわち、マッチドフィルタ1および補間装置2が従来のスペクトル拡散受信装置と比較して回路規模および消費電力(1/4以下)を大幅に削減できるとともに、巡回積分器3にて、図28に示す従来の巡回積分器600に比べ、動作速度を1/4にすることができ、さらに、メモリ容量を256ワードから64ワードと1/4に削減させることができる。これにより、本実施の形態によれば、従来と比較して回路規模を大幅に削減できるとともに、消費電力も1/4以下に削減させることができる。
【0053】
実施の形態3.
図12は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態3の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力をオーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分器3aと、第1の巡回積分器3a出力を2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間装置2aと、第1の補間装置2a出力を電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分器3bと、第2の巡回積分器3b出力をM倍(Mは2以上)オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間装置2bと、第2の補間装置2b出力から信号のタイミングを検出するパス検出器4と、から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。
【0054】
なお、マッチドフィルタ1と、第1の巡回積分器3aは、先に説明した実施の形態1および2と同様の構成であるため、同一の符号(ただし符号3は3aに相当する)を付して説明を省略する。また、第1の補間装置2aおよび第2の補間装置2bは、先に説明した実施の形態1および2の補間装置2と同一の構成であるが、遅延器21a〜21eの段数や係数器23a〜23cの係数は、各補間装置の性能および回路規模のバランス等を考慮し、それぞれ最適な段数および値にすることとしてもよい。
【0055】
図13は、図12に示す第2の巡回積分器3bの構成例を示す図である。図13において、34は第1の補間装置2a出力を電力に変換する電力値計算器であり、35は電力値計算器34出力と後述するメモリ36の出力とを巡回加算する加算器であり、36は128ワードのメモリであり、37はメモリ35のアドレスを生成するアドレス生成器であり、さらに、動作は2倍オーバサンプルである。
【0056】
上記のように構成される本実施の形態において、第1の巡回積分器3aは、マッチドフィルタ1出力をコヒーレントに巡回積分する実施の形態1および2と同一の構成であるが、キャリア周波数偏差やフェージング変動により信号の位相が回転すると巡回積分の効果が無くなる。すなわち、たとえば、位相が180度回転すると、信号は打ち消され、なくなってしまう。このため、長時間の平均化を行ない高精度の相関値を得るためには、信号を電力に変換して巡回積分を行なえばよい。
【0057】
そこで、第2の巡回積分器3bでは、電力値計算器34により入力信号を電力に変換し、その後、巡回積分を行う。ただし、電力に変換すると信号帯域幅は、2倍に広がるので2倍オーバサンプル動作が必要となる。そのため、第2の巡回積分器3bを2倍オーバサンプルで動作させるためには、第1の補間装置2aによってオーバサンプルなしの信号を補間し、信号を2倍オーバサンプルにしてから、電力に変換することになる。なお、第2の巡回積分器3bが2倍のオーバサンプルで動作するため、メモリ36は、第1の補間装置2aの2倍である128ワードとなる。
【0058】
また、パス検出器4は、信号が最大となるタイミング、または、信号がスレッショルドを超える複数のタイミングを検出するための装置である。本実施の形態において、検出するタイミングは、時間分解能を向上させるため(従来技術と同等の性能を得るため)に4倍オーバサンプル精度が要求されるので、パス検出を行なう前に、第2の補間装置2bによって、第2の巡回積分器3bにおける2倍オーバサンプルの信号を、4倍オーバサンプルに変換する。
【0059】
従って、本実施の形態では、先に説明した実施の形態1および2と同様の効果が得られるとともに、すなわち、マッチドフィルタ1および第1の巡回積分器3aにて同様の効果が得られるとともに、第2の巡回積分器3bが2倍オーバサンプルで動作しているため、4倍オーバサンプルで動作する従来技術と比較して、メモリ容量を半分にでき、さらに、それに伴って消費電力も半分にできる。
【0060】
実施の形態4.
図14は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態4の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力をオーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分器3aと、第1の巡回積分器3a出力を2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間装置2aと、第1の補間装置2a出力を電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分器3bと、第2の巡回積分器3b出力から信号のタイミングを検出するパス検出器4と、パス検出器4にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の巡回積分器3b出力をM倍(Mは4以上)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間装置2cと、から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。
【0061】
なお、マッチドフィルタ1と、第1の巡回積分器3aと、第1の補間装置2aと、第2の巡回積分器3bは、先に説明した実施の形態3と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、パス検出器4については、先に説明した実施の形態3と同様の構成であるが、動作が異なる。また、第3の補間装置2cについては、第1の補間装置2aと同様の構成であるが、遅延器21a〜21eの段数や係数器23a〜23cの係数は、各補間装置の性能および回路規模のバランス等を考慮し、それぞれ最適な段数および値にすることとしてもよい。
【0062】
従って、本実施の形態において、実施の形態3との相違点は、パス検出器4を2倍オーバサンプル精度で行ない、検出したタイミングの前後(マルチパスに対応)のデータより、第3の補間装置2cを用いて補間する点である。これにより、本実施の形態では、各パスのタイミング検出後に補間を行なうため、パス検出器4の動作速度を実施の形態3よりも低速にすることができ、さらに、第3の補間装置2cが検出したパスの近傍でのみ動作するため、演算量を少なくすることができる。
【0063】
実施の形態5.
図15は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態5の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力をオーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分器3aと、第1の巡回積分器3a出力を2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間装置2aと、第1の補間装置2a出力を電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分器3bと、第2の巡回積分器3b出力を4倍オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間装置2bと、第2の補間装置2b出力から信号のタイミングを検出するパス検出器4と、パス検出器4にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の補間装置2b出力をM倍(Mは4以上)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間装置2cと、から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。
【0064】
なお、マッチドフィルタ1と、第1の巡回積分器3aと、第1の補間装置2aと、第2の巡回積分器3bと、第2の補間装置2bと、パス検出器4は、先に説明した実施の形態3と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、第3の補間装置2cについては、第1の補間装置2aと同様の構成であるが、遅延器21a〜21eの段数や係数器23a〜23cの係数は、各補間装置の性能および回路規模のバランス等を考慮し、それぞれ最適な段数および値にすることとしてもよい。
【0065】
従って、本実施の形態において、実施の形態3との相違点は、パス検出器4を4倍オーバサンプル精度で行ない、検出したタイミングの前後(マルチパスに対応)のデータより、第3の補間装置2cを用いてさらに補間可能な点である。
【0066】
たとえば、実施の形態4では、2倍オーバサンプルの信号からパスのタイミングを検出していたが、パス検出においては、最大値の検出やスレッショルド判定を行なうために非線型性が強く、また、高い検出確率で検出を行なうためには、少なくとも4倍オーバサンプル程度の動作が必要となる。
【0067】
そこで、本実施の形態においては、検出タイミングの精度を8倍オーバサンプル精度以上にする場合、実施の形態4の構成でタイミングを検出するのではなく、第2の補間装置2bによって4倍オーバサンプル精度に変更してから、パス検出器4によってタイミングを検出し、検出したタイミングの近傍の信号からさらに第3の補間装置2cによって8倍オーバサンプル精度に変更する。これにより、実施の形態4よりさらに、検出タイミングの精度を向上させることができる。
【0068】
実施の形態6.
図16は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態6の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号をN倍(Nは1以上の整数)オーバサンプルでサンプル可能なサンプル装置5と、N通りある前記サンプル装置5のサンプルタイミングを切り換えるサンプルタイミング制御装置6と、サンプル装置5出力と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力をN通りあるサンプルタイミング毎に、オーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する巡回積分器3と、N通りある前記巡回積分器3出力を平滑化する平滑化装置7と、平滑化装置7出力から信号のタイミングを検出するパス検出器4と、から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。
【0069】
なお、マッチドフィルタ1と、巡回積分器3と、パス検出器4は、先に説明した実施の形態1〜5と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、マッチドフィルタ1は、サンプルタイミングが変化すること以外、他の実施の形態と同じ動作となる。
【0070】
上記のように構成されるスペクトル拡散受信装置は、図17に示すように、たとえば、サンプルタイミングを1/2チップずらし、巡回積分器3にて交互にずれたサンプルタイミングをはめ込み、巡回積分を行ない、信号帯域外のノイズを平滑化装置7にてカットし、パスのタイミングをパス検出器4にて検出する。このとき、サンプルタイミングを変更するための制御はサンプルタイミング制御装置6にて行い、サンプル処理はサンプル装置5にて行う。また、本実施の形態では、巡回積分器3がチップレートで動作し、サンプルタイミング制御装置6により選択されたサンプル別に巡回加算を行なうため、メモリは、128ワード必要となる。
【0071】
図18は、図16に示す平滑化装置7の構成例を示す図である。図18において、71は入力信号をサンプル毎に遅延させる複数の遅延器であり、72a,72b,72cは対応する各遅延器の出力を加算する加算器であり、73a,73b,73cは各加算器の出力に係数をかける係数器であり、74は各係数器の出力を加算する加算器であり、動作は入力および出力とも2倍オーバサンプルである。なお、平滑化装置7に用いる係数としては、たとえば、W0=0.625、W1=−0.1875、W2=0.09375を用いる。
【0072】
たとえば、図17に示すように、オーバサンプルなしのマッチドフィルタのサンプルタイミングを、動作途中で1/2チップずらし、交互にならべた場合のスペクトルを考える。図19は、タイミングを切り換えてオーバサンプルなしから2倍オーバサンプルに変換した信号のスペクトルとノイズのスペクトルを示す図である。信号が0〜63と64〜127で変化していないと仮定すると、図19に示すように、エリアッシング部分の信号が逆位相で足されるため、エリアッシングの影響を無くすことができる。このような操作を行なうことにより、オーバサンプルなしの場合でも、エリアッシングの問題から開放される。ただし、ノイズに関しては、サンプル毎に相関が無いので白色になっている。そのため、ノイズをフィルタリングし、SN比を改善する必要がある。
【0073】
図20は、図18に示す平滑化装置7の動作例を示す図である。図示のとおり、入力信号と出力信号は、ともに2倍オーバサンプル精度である。巡回積分器3でサンプルタイミング毎に巡回積分を行なった結果を、平滑化装置7に入力し、フィルタリングして信号帯域外のノイズを除去した信号を出力する。
【0074】
このように、実施の形態6では、マッチドフィルタ1に入力する受信信号のタイミングを、サンプルタイミング制御装置6によって1/2チップ単位で切り替え、巡回積分器3によって切り換えられたタイミング毎に巡回積分を行ない、平滑化装置7によってノイズをカットするため、エリアッシングの問題が無くなり、マッチドフィルタ1が1倍オーバサンプルであっても、正確に2倍オーバサンプルに変換することができる。また、マッチドフィルタ1は、オーバサンプルが無いので回路規模を削減でき、消費電力を従来の4倍オーバサンプルと比較し1/4以下にできる。また、巡回積分器3は、オーバサンプルなしで巡回積分を行なうので、従来の4倍オーバサンプルの巡回積分器に比べ、消費電力を1/4程度にでき、また、使用するメモリ容量を1/2にできる。
【0075】
実施の形態7.
図21は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態7の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号をN倍(Nは1以上の整数)オーバサンプルでサンプル可能なサンプル装置5と、N通りある前記サンプル装置5のサンプルタイミングを切り換えるサンプルタイミング制御装置6と、サンプル装置5出力と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力をオーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分器3aと、第1の巡回積分器3a出力を2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間装置2aと、第1の補間装置2a出力を電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分器3bと、第2の巡回積分器3b出力をM倍(Mは2以上)オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間装置2bと、第2の補間装置2b出力から信号のタイミングを検出するパス検出器4と、から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。
【0076】
なお、マッチドフィルタ1と、第1の巡回積分器3aと、第1の補間装置2aと、第2の巡回積分器3bと、第2の補間装置2bと、パス検出器4は、先に説明した実施の形態3と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、サンプル装置5と、サンプルタイミング制御装置6は、先に説明した実施の形態6と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、第1の補間装置2aおよび第2の補間装置2bにおいて、遅延器21a〜21eの段数や係数器23a〜23cの係数は、各補間装置の性能および回路規模のバランス等を考慮し、それぞれ最適な段数および値にすることとしてもよい。
【0077】
上記のように構成されるスペクトル拡散受信装置は、実施の形態6と同様に、サンプルタイミングをサンプルタイミング制御装置6により1/2チップ切り換えるが、第1の巡回積分器3aの動作は、切り換えられたサンプルタイミング毎に巡回積分するのではなく、サンプルタイミングに関わらず、同一のメモリを用いて巡回積分を行なう。そのため、第1の巡回積分器3aのメモリ容量は、64ワードでよく、実施の形態6の半分になっている。
【0078】
また、本実施の形態では、第1の巡回積分器3aの出力を第1の補間装置2aによって2倍オーバサンプル精度に補間し、第2の巡回積分器3bによって電力に変換し、巡回積分を行なう。このとき、第2の巡回積分器3bは、サンプルタイミング制御装置6によってずらされたタイミングを補償して巡回積分を行なう。
【0079】
図22は、図21に示す第2の巡回積分器3bの動作例を示す図である。ここでは、2倍オーバサンプル精度で出力される第1の補間装置2aの出力を電力に変換して、巡回積分を行なう。なお、図示のMnは、メモリのアドレスnの値を表わすものである。また、サンプルタイミング制御装置6によって切り替わったタイミングに合わせて、巡回加算するメモリのアドレスにオフセットを加える。
【0080】
このように、本実施の形態では、第1の巡回積分器3aのメモリ容量が64ワード(実施の形態6の半分)でよく、さらに、実施の形態6の平滑化装置7と比較して、第1の補間装置2aの動作速度が半分であり、遅延器の数も半分であることから、回路規模と消費電力をより削減することができる。
【0081】
実施の形態8.
図23は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態8の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号をN倍(Nは1以上の整数)オーバサンプルでサンプル可能なサンプル装置5と、N通りある前記サンプル装置5のサンプルタイミングを切り換えるサンプルタイミング制御装置6と、サンプル装置5出力と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力をオーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分器3aと、第1の巡回積分器3a出力を2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間装置2aと、第1の補間装置2a出力を電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分器3bと、第2の巡回積分器3b出力から信号のタイミングを検出するパス検出器4と、パス検出器4にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の巡回積分器3b出力をM倍(Mは4以上)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間装置2cと、から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。
【0082】
なお、マッチドフィルタ1と、第1の巡回積分器3aと、第1の補間装置2aと、第2の巡回積分器3bと、パス検出器4と、第3の補間装置2cは、先に説明した実施の形態4と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、サンプル装置5と、サンプルタイミング制御装置6は、先に説明した実施の形態6および7と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、第3の補間装置2cにおいて、遅延器21a〜21eの段数や係数器23a〜23cの係数は、各補間装置の性能および回路規模のバランス等を考慮し、それぞれ最適な段数および値にすることとしてもよい。
【0083】
上記のように構成されるスペクトル拡散受信装置では、第2の巡回積分器3bの出力に基づいて、パス検出器4にてパス検出を行なうため、パス検出器4に入力される信号は、2倍オーバサンプル精度となり、パス検出器4の負荷を先に説明した実施の形態7のパス検出器4と比較して半分にしている。さらに、第3の補間装置2cにより検出したタイミングの近傍のデータを用いて、2倍オーバサンプル精度の信号を、たとえば、4倍オーバサンプル精度に補間する。
【0084】
本実施の形態において、実施の形態7との相違点は、パス検出器4を2倍オーバサンプル精度で行ない、パスの検出後、そのタイミングの前後のデータから第3の補間装置2cを用いて補間する点である。このように、本実施の形態では、パス検出後に補間を行なうことにより、パス検出器4の動作速度を低速にすることができ、さらに、第3の補間装置2cが検出したパスの近傍でのみ動作するため、より演算量を少なくすることができる。
【0085】
実施の形態9.
図24は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態9の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号をN倍(Nは1以上の整数)オーバサンプルでサンプル可能なサンプル装置5と、N通りある前記サンプル装置5のサンプルタイミングを切り換えるサンプルタイミング制御装置6と、サンプル装置5出力と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力をオーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分器3aと、第1の巡回積分器3a出力を2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間装置2aと、第1の補間装置2a出力を電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分器3bと、第2の巡回積分器3b出力を4倍オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間装置2bと、第2の補間装置2b出力から信号のタイミングを検出するパス検出器4と、パス検出器4にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の補間装置2b出力をM倍(Mは4以上)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間装置2cと、から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。
【0086】
なお、マッチドフィルタ1と、第1の巡回積分器3aと、第1の補間装置2aと、第2の巡回積分器3bと、第2の補間装置2bと、パス検出器4と、第3の補間装置2cは、先に説明した実施の形態5と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、サンプル装置5と、サンプルタイミング制御装置6は、先に説明した実施の形態6、7、および8と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、第3の補間装置2cについては、遅延器21a〜21eの段数や係数器23a〜23cの係数は、各補間装置の性能および回路規模のバランス等を考慮し、それぞれ最適な段数および値にすることとしてもよい。
【0087】
また、先に説明した実施の形態8においては、2倍オーバサンプルの信号からパスタイミングを検出していたが、通常、パス検出は、最大値の検出やスレッショルド判定を行なうため非線型性が強く、また、高い検出確率で検出を行なうためには、4倍オーバサンプル程度のデータが必要となる。
【0088】
そこで、上記のように構成されるスペクトル拡散受信装置では、検出タイミングの精度を8倍サンプル精度以上にする場合、第2の補間装置2bによって4倍オーバサンプル精度にしてから、パス検出器4によってタイミングを検出し、そのタイミングの近傍のデータに基づいて、第3の補間装置2cにて8倍オーバサンプル精度以上にする。これにより、さらに検出確率を向上させることができる。
【0089】
実施の形態10.
図25は、本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態10の構成を示す図である。本発明にかかるスペクトル拡散受信装置は、受信拡散信号をN倍(Nは1以上の整数)オーバサンプルでサンプル可能な第1のサンプル装置5と、第1のサンプル装置5出力をN回に1回サンプルする第2のサンプル装置5bと、N通りある第2のサンプル装置5のサンプルタイミングを切り換えるサンプルタイミング制御装置6と、第2のサンプル装置5b出力と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタ1と、マッチドフィルタ1出力をオーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分器3aと、第1の巡回積分器3a出力を2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間装置2aと、第1の補間装置2a出力を電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分器3bと、第2の巡回積分器3b出力をM倍(Mは2以上)オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間装置2bと、第2の補間装置2b出力から信号のタイミングを検出するパス検出器4と、第1のサンプル装置5aをK倍(K>Nを満たす整数)オーバサンプルタイミングに補間する第4の補間装置2dと、パス検出器4にて検出したタイミングで受信信号の復調を行う信号復調器8と、から構成され、マッチドフィルタ1は、チップレートで、すなわち、1倍オーバサンプルで動作する。
【0090】
なお、第1のサンプル装置5a(サンプル装置5に相当)と、マッチドフィルタ1と、第1の巡回積分器3aと、第1の補間装置2aと、第2の巡回積分器3bと、第2の補間装置2bと、パス検出器4と、サンプル装置5と、サンプルタイミング制御装置6は、先に説明した実施の形態7と同様の構成であるため、同一の符号を付して説明を省略する。また、第1の補間装置2a、第2の補間装置2b、および第4の補間装置2dにおいて、遅延器21a〜21eの段数や係数器23a〜23cの係数は、各補間装置の性能および回路規模のバランス等を考慮し、それぞれ最適な段数および値にすることとしてもよい。
【0091】
上記のように構成されるスペクトル拡散受信装置では、パス検出器4によって検出したタイミングで、受信信号を信号復調器8にて復調する。このとき、信号復調器8で連続的に復調する必要がある場合は、サンプルタイミング制御装置6によて変動したサンプルタイミングでは、性能が低下する。そのため、信号復調器8には、第1のサンプル装置5aからの信号を入力する必要がある。この場合、パス検出器4にて得られる受信信号のタイミングは、4倍オーバサンプル精度であるため、第1のサンプル装置5aの動作は、4倍オーバサンプルが必要となるが、本実施の形態では、第4の補間装置2dによって補間を行なうことにより、4倍オーバサンプルより低い速度で、第1のサンプル装置5bを動作させることができる。
【0092】
また、第2のサンプル装置2bは、オーバサンプルなしで動作するが、サンプルタイミング制御装置6によってサンプルタイミングが1/2チップ変動する。そのため、第1のサンプル装置5aは、2倍オーバサンプルで動作する必要があり、さらに、第4の補間装置2dは、2倍オーバサンプルから4倍オーバサンプルに変換する必要がある。
【0093】
このように、本実施の形態においては、先に説明した実施の形態と同様の効果に加えて、第1のサンプル装置5aが2倍オーバサンプル動作でよく、4倍オーバサンプルで動作する場合に比べ消費電力を1/2にすることができる。また、第4の補間装置2dにより2倍オーバサンプル信号を4倍オーバサンプルに変換するので、信号復調器8においては従来と同等の性能が得られる。
【0094】
従って、実施の形態1〜10によれば、回路規模および消費電力の大幅な削減を実現するスペクトル拡散受信装置を得ることができる。
【0095】
【発明の効果】
以上、説明したとおり、本発明によれば、マッチドフィルタにおいて、オーバサンプルに付随するセレクタが不必要となるため、回路規模を大幅に削減させることができ、さらに,受信信号を格納するレジスタの個数も削減されるため、ここでも大幅に回路規模を削減させることができる、という効果を奏する。また、この発明によれば、オーバサンプルがないことから、マッチドフィルタの動作速度が遅くなるため、それに伴って消費電力を低減させることができる、という効果を奏する。また、同様の理由からマッチドフィルタ出力の時間分解能が低下することになるが、この発明によれば、補間手段によって時間分解能を向上させることができ、従来と同等の性能を実現することができる、という効果を奏する。
【0096】
つぎの発明によれば、さらに、巡回積分手段の動作速度を、従来技術と比較して遅くすることができ、さらに、オーバサンプルなしで動作することから、メモリ容量を、たとえば、256ワードから64ワードへと、1/4に削減させることができる。これにより、従来と比較して回路規模を大幅に削減できるとともに、消費電力も大幅に削減させることができる、という効果を奏する。
【0097】
つぎの発明によれば、マッチドフィルタにおいて、オーバサンプルに付随するセレクタが不必要となるため、回路規模を大幅に削減させることができ、さらに,受信信号を格納するレジスタの個数も削減されるため、ここでも大幅に回路規模を削減させることができる、という効果を奏する。また、オーバサンプルがないことから、マッチドフィルタの動作速度が遅くなるため、それに伴って消費電力を低減させることができる、という効果を奏する。また、同様の理由からマッチドフィルタ出力の時間分解能が低下することになるが、この発明によれば、第1および第2の補間手段によって時間分解能を向上させることができ、従来と同等の性能を実現することができる、という効果を奏する。また、第2の巡回積分手段が2倍オーバサンプルで動作しているため、4倍オーバサンプルで動作する従来技術と比較して、メモリ容量を半分にでき、さらに、それに伴って消費電力も半分にできる、という効果を奏する。
【0098】
つぎの発明によれば、各パスのタイミング検出後に補間を行なうため、パス検出手段の動作速度をより低速にすることができ、さらに、第3の補間手段が検出したパスの近傍でのみ動作するため、演算量を少なくすることができる、という効果を奏する。
【0099】
つぎの発明によれば、検出タイミングの精度を8倍オーバサンプル精度以上にする場合、第2の補間手段によって4倍オーバサンプル精度に変更してから、パス検手段によってタイミングを検出し、その検出したタイミングの近傍の信号からさらに第3の補間手段によって8倍オーバサンプル精度に変更する。これにより、さらに、検出タイミングの精度を向上させることができる、という効果を奏する。
【0100】
つぎの発明によれば、マッチドフィルタに入力する受信信号のタイミングを、サンプルタイミング制御手段によって、たとえば、1/2チップ単位で切り替え、巡回積分手段によって切り換えられたタイミング毎に巡回積分を行ない、平滑化手段によってノイズをカットする。これにより、エリアッシングの問題が無くなり、マッチドフィルタが1倍オーバサンプルであっても、正確に2倍オーバサンプルに変換することができる、という効果を奏する。また、マッチドフィルタは、オーバサンプルに付随するセレクタが不必要となるため、回路規模を大幅に削減させることができ、さらに,受信信号を格納するレジスタの個数も削減されるため、ここでも大幅に回路規模を削減させることができる、という効果を奏する。また、オーバサンプルがないことから、マッチドフィルタの動作速度が遅くなるため、それに伴って消費電力を低減させることができる、という効果を奏する。
【0101】
つぎの発明によれば、第1の巡回積分手段のメモリ容量を大幅に削減でき、さらに、前記平滑化手段と比較して、第1の補間手段の動作速度を遅くでき、遅延器の数も大幅に削減できることから、伴って、回路規模と消費電力をより大幅に削減することができる、という効果を奏する。
【0102】
つぎの発明によれば、パス検出手段を2倍オーバサンプル精度で行ない、パスの検出後、そのタイミングの前後のデータから第3の補間手段を用いて補間する。これにより、パス検出手段の動作速度を低速にすることができ、さらに、第3の補間手段が検出したパスの近傍でのみ動作するため、より演算量を少なくすることができる、という効果を奏する。
【0103】
つぎの発明によれば、検出タイミングの精度を8倍サンプル精度以上にする場合、第2の補間手段によって4倍オーバサンプル精度にしてから、パス検出手段によってタイミングを検出し、そのタイミングの近傍のデータに基づいて、第3の補間手段にて8倍オーバサンプル精度以上にする。これにより、さらに検出確率を向上させることができる、という効果を奏する。
【0104】
つぎの発明によれば、第1のサンプル手段が2倍オーバサンプル動作でよく、4倍オーバサンプルで動作する場合に比べ消費電力を1/2にすることができる、という効果を奏する。また、第4の補間手段により2倍オーバサンプル信号を4倍オーバサンプルに変換するので、信号復調手段においては従来と同等の性能が得られる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態1の構成を示す図である。
【図2】 図1に示したマッチドフィルタの構成例を示す図である。
【図3】 受信拡散信号のスペクトルを示す図である。
【図4】 2倍オーバサンプルで動作しているマッチドフィルタ出力のスペクトルを示す図である。
【図5】 オーバサンプルなし(1倍オーバサンプル)で動作するマッチドフィルタ出力のスペクトルを示す図である。
【図6】 図1に示した補間装置の構成例を示す図である。
【図7】 オーバサンプリングなしから2倍オーバサンプルに変換するフィルタの周波数特性を示す図である。
【図8】 図6に示した補間装置の具体的な動作例を示す図である。
【図9】 補間装置の動作を具体的に説明するための図である。
【図10】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態2の構成を示す図である。
【図11】 図10に示した巡回積分器の構成例を示す図である。
【図12】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態3の構成を示す図である。
【図13】 図12に示す第2の巡回積分器の構成例を示す図である。
【図14】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態4の構成を示す図である。
【図15】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態5の構成を示す図である。
【図16】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態6の構成を示す図である。
【図17】 オーバサンプルなしから2倍オーバサンプルに変換する方法を説明するための図である。
【図18】 図16に示した平滑化装置の構成例を示す図である。
【図19】 タイミングを切り換えてオーバサンプルなしから2倍オーバサンプルに変換した信号のスペクトルとノイズのスペクトルを示す図である。
【図20】 図18に示した平滑化装置の動作例を示す図である。
【図21】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態7の構成を示す図である。
【図22】 図21に示した第2の巡回積分器の動作例を示す図である。
【図23】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態8の構成を示す図である。
【図24】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態9の構成を示す図である。
【図25】 本発明にかかるスペクトル拡散受信装置の実施の形態10の構成を示す図である。
【図26】 従来におけるマッチドフィルタの出力例を示すものである。
【図27】 巡回積分の動作を説明するための図を示すものである。
【図28】 従来のマッチドフィルタと従来の巡回積分器を示すものである。
【図29】 従来におけるマッチドフィルタの構成を示す図である。
【図30】 従来における巡回積分器の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 マッチドフィルタ、2 補間装置、2a 第1の補間装置、2b 第2の補間装置、2c 第3の補間装置、2d 第4の補間装置、3 巡回積分器、3a 第1の巡回積分器、3b 第2の巡回積分器、4 パス検出器、5 サンプル装置、5a 第1のサンプル装置、5b 第2のサンプル装置、6 サンプルタイミング制御装置、7 平滑化装置、8 信号復調器、11 入力レジスタ、12 参照符号レジスタ、13 加算器、14 乗算器、21a,21b,21c,21d,21e 遅延器、22a,22b,22c 加算器、23a,23b,23c 係数器、24 加算器、25 セレクタ、31,35 加算器、32,36 メモリ、33,37 アドレス生成器、34 電力値計算器、71 遅延器、72a,72b,72c 加算器、73a,73b,73c 係数器、74 加算器、111 レジスタ、112 書き込み制御装置。

Claims (8)

  1. マッチドフィルタを用いて受信拡散信号のタイミング同期をとるスペクトル拡散受信装置において、
    受信拡散信号と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタと、
    前記マッチドフィルタ出力を、オーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分手段と、
    前記第1の巡回積分手段出力を、2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間手段と、
    前記第1の補間手段出力を電力に変換して、その後、巡回積分する第2の巡回積分手段と、
    前記第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは2以上の整数)オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間手段と、
    前記第2の補間手段出力から信号のタイミングを検出するパス検出手段と、
    を備えることを特徴とするスペクトル拡散受信装置。
  2. 前記第2の巡回積分手段に接続される前記第2の補間手段およびパス検出手段に置き換えて、
    前記第2の巡回積分手段出力から信号のタイミングを検出する第2のパス検出手段と、
    前記第2のパス検出手段にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは4以上の整数)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載のスペクトル拡散受信装置。
  3. 前記第2の補間手段にて前記第2の巡回積分手段出力を4倍オーバサンプルタイミングで補間し、
    さらに、前記パス検出手段にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の補間手段出力を、M倍(Mは4以上の整数)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間手段、を備えることを特徴とする請求項1に記載のスペクトル拡散受信装置。
  4. マッチドフィルタを用いて受信拡散信号のタイミング同期をとるスペクトル拡散受信装置において、
    受信拡散信号を2倍オーバサンプルでサンプル可能なサンプル手段と、
    通りある前記サンプル手段のサンプルタイミングを切り換えるサンプルタイミング制御手段と、
    前記サンプル手段出力と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタと、
    前記マッチドフィルタ出力を、通りあるサンプルタイミング毎に、オーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する巡回積分手段と、
    通りある前記巡回積分手段出力を、平滑化する平滑化手段と、
    前記平滑化手段出力から信号のタイミングを検出するパス検出手段と、
    を備えることを特徴とするスペクトル拡散受信装置。
  5. 前記巡回積分手段、前記平滑化手段、および前記パス検出手段に置き換えて、
    前記マッチドフィルタ出力を、オーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分手段と、
    前記第1の巡回積分手段出力を、2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間手段と、
    前記第1の補間手段出力を、電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分手段と、
    前記第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは2以上の整数)オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間手段と、
    前記第2の補間手段出力から信号のタイミングを検出するパス検出手段と、
    を備えることを特徴とする請求項4に記載のスペクトル拡散受信装置。
  6. 前記第2の巡回積分手段に接続される前記第2の補間手段およびパス検出手段に置き換えて、
    前記第2の巡回積分手段出力から信号のタイミングを検出する第2のパス検出手段と、
    前記第2のパス検出手段にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは4以上の整数)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間手段と、
    を備えることを特徴とする請求項5に記載のスペクトル拡散受信装置。
  7. 前記第2の補間手段にて前記第2の巡回積分手段出力を4倍オーバサンプルタイミングで補間し、
    さらに、前記パス検出手段にて検出したタイミングの前後L個(Lは1以上の整数)の第2の補間手段出力を、M倍(Mは4以上の整数)オーバサンプルタイミングで補間する第3の補間手段を備えることを特徴とする請求項5に記載のスペクトル拡散受信装置。
  8. マッチドフィルタを用いて受信拡散信号のタイミング同期をとるスペクトル拡散受信装置において、
    受信拡散信号を2倍オーバサンプルでサンプル可能な第1のサンプル手段と、
    前記第1のサンプル手段出力を回に1回サンプルする第2のサンプル手段と、
    通りある前記第2のサンプル手段のサンプルタイミングを切り換えるサンプルタイミング制御手段と、
    前記第2のサンプル手段出力と参照符号の相関演算を行なうオーバサンプルなしのマッチドフィルタと、
    前記マッチドフィルタ出力を、オーバサンプルなしでコヒーレントに巡回積分する第1の巡回積分手段と、
    前記第1の巡回積分手段出力を、2倍オーバサンプルタイミングで補間する第1の補間手段と、
    前記第1の補間手段出力を、電力に変換して巡回積分する第2の巡回積分手段と、
    前記第2の巡回積分手段出力を、M倍(Mは2以上)オーバサンプルタイミングで補間する第2の補間手段と、
    前記第2の補間手段出力から信号のタイミングを検出するパス検出手段と、
    前記第1のサンプル手段を、K倍(K>を満たす整数)オーバサンプルタイミングに補間する第4の補間手段と、
    前記パス検出器4にて検出したタイミングで受信信号の復調を行う信号復調手段と、
    を備えることを特徴とするスペクトル拡散受信装置。
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