JP3815855B2 - 鉄骨ハウスユニットの接続構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨ハウスユニット(以下、単にユニットという。)の接続構造に関し、特にユニットを連結したハウス全体の強度計算が簡単になるようにしたユニットの接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄骨からなる矩形ラーメン構造のユニットを有する鉄骨ハウスとしては、例えば図12の側面図及び図13の平面図に示すように、梁101及び桁102に軽量溝型鋼を用い、柱103に軽量角管型鋼を用いた骨枠、即ち、ユニット100を備えるものが多用されている。
【0003】
これら梁101及び桁102は柱103に突き当て溶接され、この接続部を補強するために、梁101、桁102及び柱103にわたって補強板104が溶接される。
【0004】
図11に示すように、このユニット100は上下方向に積み重ねたり、横方向に並べたりして互いに連結することにより、建物の規模を自由に拡大することができる。
【0005】
互いに横に並べられユニット100の上側の梁101どうし又は上側の桁102どうしは、例えば図12及び図13に示すように、隣接するユニット100の各上側の梁101の補強板104又は下フランジ101aの下面にわたって連結板105を当てがい、各下フランジ101aと連結板105とをボルト106及びナット107で共締めすることにより連結される。
【0006】
又、互いに横に並べられユニット100は、隣接するユニット100の各下側の梁101の下フランジにわたって連結板105を当てがい、各下フランジと連結板105とをボルト及びナットで共締めすることにより連結される。
【0007】
更に、互いに上下に積み重ねられるユニット100どうしは、例えば図14の側面図及び図15の平面図に示すように、下側のユニット100の上側の梁101の上フランジ101bと、上側のユニット100の下側の梁101の下フランジ101aとをボルト108及びナット109で共締めすることにより連結される。
【0008】
加えて、基礎とその上に置かれたユニット100とは基礎110の上面から突出させたアンカーボルトを下側の梁101の下フランジに挿通し、この下フランジの上からアンカーボルトに螺合したナットを締め込むことにより連結される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の鉄骨からなる矩形ラーメン構造のユニットは、上述したように梁101及び桁102に軽量溝型鋼を用いているので、ユニット100どうしの接合部の強度を計算する上で、溝型鋼の変形、特にフランジ101a及び/又は101bとウェブ101cとの夾角が拡縮する変形や、連結板105の板厚方向の曲げなどを考慮する必要があり、簡単にハウス全体の強度計算ができず、実験によって強度を求めなければならないという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の事情を鑑みて成されたものであり、ユニットどうしの接合部の強度計算が簡単になるようにしたユニットの接続構造を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、鉄骨からなる矩形ラーメン構造のユニットUどうしを上下及び/又は横に所定の間隔を置いて並べ、各ユニットUどうしを締結手段11で共締めすることにより連結するユニットの接続構造において、この目的を達成するため、以下の技術的手段を採用している。
【0012】
即ち、本発明は、各ユニットUに互いに他方のユニットUに向かって突出させた連結用フランジ10を設け、これら連結フランジ10どうしを締結手段11で共締めすることにより隣接するユニットUが連結される、という手段を講じている。
【0013】
これにより、隣接するユニットUどうしが締結手段11を介していわゆるピン接合されることになり、ユニットUどうしの接合部の強度計算が著しく簡単になる。
【0014】
本発明のユニットUは上下2対の梁1、上下2対の桁2及び4本の柱3を互いに接合した鉄骨矩形ラーメン構造を備えるものであればよく、その鉄骨、即ち、梁1、桁2、柱3などに軽量型鋼を用いることも可能である。しかしながら、強度計算をより簡単に行うためには、一般に軽量型鋼に比べて部材断面の変形が発生し難い例えば、L型鋼、I型鋼、H型鋼などの重量型鋼を用いることが好ましく、特にH型鋼を用いることが好ましい。
【0015】
又、本発明における締結手段11としては、ボルトとナット、或いはアンカーボルトとナット13
互いに連結される他方のユニットUに向かって突出させた連結用フランジ10は、垂直(鉛直)の板状であっても、水平の板であっても、傾斜板であってもよい。又、この連結用フランジ10は、梁1、桁2、あるいは柱3に設けてもよいが、強度計算をより簡単に行うために、これらの接合部(仕口部)に設けることが好ましく、この接合部の梁1、桁2、あるいは柱3の軸線上に設けることが更に好ましい。
【0016】
なお、ここで矩形ラーメン構造の中には、もちろん、梁1と桁2との長さが等しいもの、桁2と柱3との長さが等しいもの、梁1と柱3との長さが等しいものが含まれるが、この他に梁1、桁2及び柱3の長さが等しいものも含めている。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例に係るユニットの接続構造を図面に基づいて具体的に説明すれば、以下の通りである。
【0018】
図10の斜視図に示すように、各ユニットUは、それぞれH型鋼からなる上下2対の梁1、上下2対の桁2及び4本の柱3を互いに接合した鉄骨矩形ラーメン構造を備え、各梁1は各桁2の2倍の長さに形成されている。
【0019】
そして、ユニットUどうしは、上下1対の梁1と1対の柱3とで囲まれる側面5どうし、上下1対の桁2と1対の柱3とで囲まれる妻面6どうし、あるいは1つユニットUの側面5に対して他の2つのユニットUの妻面6を突き合わせるようにして横方向に連結され、1つのユニットUの上の1対の梁1と1対の桁2によって囲まれる上面7と1つのユニットUの下の1対の梁1と1対の桁2によって囲まれる下面8とを突き合わせるようにして上下に連結される。
【0020】
各ユニットUの上側の梁1と桁2とは、図1の側面図、図2の平面図及び図3の斜視図に示すように、梁1の上下のフランジ1a,1bを桁2の上下のフランジ2a,2bに突き当てて、又、梁1のウェブ1cを桁2の上のフランジ2aの下面、下のフランジ2bの上面及びウェブ2cに突き当てて、それぞれ溶接することにより接合されている。
【0021】
更に、柱3は桁2の下のフランジ2bの下面、又は上のフランジ2aの上面に突き当てて溶接することにより梁1及び桁2と接合されている。
加えて、この梁1、桁2及び柱3の接合部(仕口部)を補強するために、柱3の外側のフランジ3aと面一になる梁外側の補強板9aと、柱3の内側のフランジ3bと面一になる梁内側の補強板9bと、梁1のウェブ1cと面一になる桁外側の補強板9cとが設けられ、ユニットUどうしを横に連結するために、この桁外側の補強板9cと1枚板状に形成され、桁2の外面、即ち、妻面6よりも外側に他のユニットUに向かって突出させた連結フランジ10が設けられる。
【0022】
各ユニットUの下側の梁1及び桁2と柱3とは、図4の側面図、図5の平面図及び図6の斜視図に示すように、接合構造が上下対称的であることを除けば上側の梁1及び桁2と柱3と同様にして接合され、又、同様の補強板9a,9b,9cと連結フランジ10が設けられる。
【0023】
ユニットUどうしをそれらの妻面6が対向するように横に並べて連結する場合には、図1ないし図6に示すように、例えばボルトとナットとからなる締結手段11(図3、図6ではその中心線のみを1点鎖線で示す。)により隣合うユニットUの連結用フランジ10どうしを共締めすることにより連結される。
【0024】
ここで、妻面6が対向するように横に並べて連結されるユニットUどうしを締結手段11のみで連結する場合には、ユニットUどうしが締結手段11でいわゆるピン結合されることになるので、ユニットUを連結したハウス全体の強度計算がすこぶる簡単になる。
【0025】
この実施例では、ユニットUどうしの接合部の接合強度を高めるために、連結される複数のユニットUの桁2の上側又は下側の面に当てがわれると共に、桁2の上側のフランジ2a又は下側のフランジ2bと別の締結手段12a,12bにより共締めされる外面連結板13aと、この外面連結板13aに直角に交差すると共に、前記複数のユニットUの連結用フランジ10と共締めされる連結脚板13bとを備える連結部材13を用いる。
【0026】
この場合、互いに対向させた2つのユニットUの妻面6の4隅部どうしは、連結用フランジ10どうしを連結する締結手段11と、外面連結板13aとの間に上下間隔があるので、両ユニットUの互いに対向する妻面6の対応する柱3どうしは上下で剛接合された一体の柱として強度計算することができ、ユニットUを連結したハウス全体の強度計算が一層簡単になる。
【0027】
なお、基礎14の上に据え付けられるユニットUどうしについては、図4ないし図6に示すように、外面連結板13aがアンカーボルト15aとこれに螺合されるアンカーナット15bとによって基礎に固定される。
【0028】
ユニットUを横に並べると共に上下に積み重ねる場合には、図7の側面図、図8の平面図及び図9の斜視図に示すように、外面連結板13aとその上下両面に連結脚板13bとを備える連結部材13を用いる。
【0029】
上側のユニットUの下の桁2の下のフランジ2bと、外面連結板13aと下側のユニットUの上の桁2の上のフランジ2aはボルト11aとナット11bからなる締結手段11により共締めされることにより連結され、上側のユニットUどうし、下側のユニットUどうしは上述と同様にして連結される。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る鉄骨ハウスユニットの接続構造は、各ユニットに互いに他方のユニットに向かって突出させた連結用フランジを設け、これら連結用フランジどうしを締結手段で共締めすることにより隣接するユニットが連結されるので、ユニットどうしがピン接合により連結されることになり、ユニットの部材の変形を考慮せずにすむから、強度設計が容易になる。
【0031】
本発明において、前記鉄骨がH型の断面を有するものであると、一般に軽量型鋼に比べて部材断面の変形が発生し難いので、計算を一層簡単に行うことができる。
【0032】
又、本発明において、連結される複数のユニットの梁及び/又は桁の上側又は下側の面に当てがわれると共に、共締めされる外面連結板と、この外面連結板に直角に交差するとともに、共締めされる前記複数のユニットの連結用フランジと共締めされる連結脚板とを備える連結部材を用いる場合には、ユニットどうしが剛接合されるので、ユニットの部材の変形を考慮せずにすみ、強度設計が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の側面図である。
【図2】本発明の平面図である。
【図3】本発明の斜視図である。
【図4】本発明の側面図である。
【図5】本発明の平面図である。
【図6】本発明の斜視図である。
【図7】本発明の側面図である。
【図8】本発明の平面図である。
【図9】本発明の斜視図である。
【図10】本発明の斜視図である。
【図11】従来例の斜視図である。
【図12】従来例の側面図である。
【図13】従来例の平面図である。
【図14】従来例の側面図である。
【図15】従来例の平面図である。
【符号の説明】
U ユニット
1 梁
2 桁
3 柱
10 連結用フランジ

Claims (4)

  1. 鉄骨からなる矩形ラーメン構造のユニット相互を上下及び/又は横に所定の間隔を置いて並べ、各ユニット相互を締結手段で共締めすることにより連結する鉄骨ハウスユニットの接続構造において、
    各ユニットに互いに他方のユニットに向かって突出させた連結用フランジと、
    連結される複数のユニットの梁及び/又は桁の上側又は下側の面に当てがわれると共に、該梁及び/又は桁に共締めされる外面連結板と、この外面連結板に直角に交差するとともに、前記複数のユニットの連結用フランジと共締めされる連結脚板とを備える連結部材と、
    からなることを特徴とする鉄骨ハウスユニットの接続構造。
  2. 連結脚板が、外面連結板の片面に備えられた
    請求項1に記載の鉄骨ハウスユニットの接続構造。
  3. 連結脚板が、外面連結板の両面に備えられた
    請求項1に記載の鉄骨ハウスユニットの接続構造。
  4. 外面連結板が、梁及び/又は桁に代えて、基礎上に固定された、
    請求項1に記載の鉄骨ハウスユニットの接続構造。
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