JP3815214B2 - 画像処理装置および画面処理プログラムを記録した記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、公衆回線網やLAN等を構成する通信回線を介して異機種装置間で高品質に画像データを通信するための画像処理を行う画像処理装置および画像処理プログラムを記録した記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機のデジタル化の進展に伴いファクシミリ機能やプリンタ機能の複合化が促進され、ネットワークを介して複数の複合デジタル複写機を接続するシステムが出現している。また、最近では、これらネットワーク機器のカラー化も進み、カラーファクシミリやカラープリンタも主流となりつつある。このようなネットワークシステムでは、例えば解像度が互いに異なる異機種装置間での相互接続や、カラー複写機と白黒複写機といったような色空間がそれぞれ異なる異機種装置間での相互接続が可能である。
【0003】
異機種装置間で画像データをやりとりする場合、通常は、入力された原稿画像を1枚のプレーン画像(一つの画像単位)として扱うのが一般的である。このように扱うことで、原稿1枚分のプレーン画像に対しては、入力側機器でその原稿タイプを判別し、原稿タイプに適した画像処理をプレーン全体に施した後に、これを出力側機器へ送信する、といったことが行えるからである。
【0004】
ただし、原稿画像を1枚分のプレーン画像として扱った場合、原稿画像が文字のみ、あるいは写真のみといった、1種類の属性の画像データだけで構成されるのであれば特に問題はないが、文字と写真が混在しているような複数の属性の画像データから構成されていると、不都合が生じることになる。例えば、文字と写真が混在している画像データを圧縮しようとした場合、1枚分のプレーン画像に対してはその全体に同じ圧縮処理を施すので、適用する圧縮手法によっては文字部あるいは写真部のいずれかの圧縮率が低下するか、あるいはいずれかの画質が劣化してしまう。
【0005】
これに対しては、例えば図7に示すように、入力原稿の画像の特徴を判別し、判別結果から画像を属性毎に分離して複数のプレーン画像に分けて扱う、といった手法がある。この手法では、画像を属性毎に分離するので、例えば文字部の形状データは分離情報プレーンとして1プレーンを構成し、文字部の色情報は文字色情報プレーンとして1プレーンを構成し、写真部のデータは絵柄情報プレーンとして1プレーンを構成することになる。その結果、1枚分のプレーン画像として入力された原稿画像であっても、計3プレーンの画像に分離して画像処理することが可能になるので、各プレーンにそれぞれ適した圧縮手法を適用でき、圧縮率も向上し、また画質劣化もそれほど目立たない。
【0006】
さらに、これら複数のプレーン画像に対しては、それぞれ各プレーンに圧縮処理のみだけでなく解像度変換処理をも施すことにより、圧縮処理だけを施した場合に比べ大幅にデータ量を削減して送信することも可能となる。例えば、解像度=400dpiで入力された入力原稿の画像を3プレーンに分離する場合について考えると、文字色情報プレーン解像度=100dpi、分離情報プレーン解像度=400dpi、絵柄情報プレーン解像度=200dpi等とすれば、分離情報プレーンの解像度を落とさないので、特に画質劣化の目立ち易い文字線画部分であっても、その画質劣化を低減することができる。
【0007】
また、このような手法の類似技術として、例えば特開平8−186711号公報に開示されているように、カラー画像から文字情報を抽出し、抽出した文字情報は可逆圧縮し、文字情報を除いた絵柄情報は解像度変換して非可逆圧縮を施す、といった方法も提案されている。
【0008】
ところで、上述したいずれの場合も、原稿画像を属性毎に分離するので、画像の印刷出力または画面表示にあたっては、各属性についての再合成を行うことになる。特に、各属性別に異なる解像度変換を行っている場合には、それぞれを印刷機器または表示機器の解像度に合わせることも必要である。
【0009】
したがって、例えば図8に示すように、解像度=400dpiで入力された入力原稿の画像を3プレーンに分離し、文字色情報プレーン解像度=100dpi、分離情報プレーン解像度=400dpi、絵柄情報プレーン解像度=200dpiとする解像度変換処理を行った場合に、これら解像度変換された3プレーンの合成後、入力原稿の解像度とは異なる解像度(例えば144dpi)の機器にて印刷または表示するのであれば、全てのプレーンを入力原稿の解像度(=400dpi)に一旦戻した上で、3つのプレーンを合成し、その合成後の画像を出力機器または表示機器の解像度(=144dpi)に解像度変換して出力する、といった処理が行われることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、複数プレーンから構成された画像データを合成して一つの画像を復元する場合には、以下に述べるような問題点が生じてしまうことが考えられる。
【0011】
すなわち、複数プレーンから一つの画像を復元するためには、例えば図8に示す場合であれば、文字色情報プレーンを100dpi→400dpiに変換する解像度変換処理、絵柄情報プレーンを200dpi→400dpiに変換する解像度変換処理、合成後の画像を400dpi→144dpiに変換する解像度変換処理、をそれぞれ行わなければならない。さらに、これらの解像度変換処理は、例えば文字色情報プレーンや絵柄情報プレーンの色空間が、L*a*b*等といった輝度色差空間であれば、文字色情報プレーンだけを取ってみてもL*成分、a*成分、b*成分それぞれに処理を施さなければならない。また、合成処理も入力原稿サイズの400dpiで行わなければならないので、合成自体の処理時間もかかる。したがって、図8のように、全てのプレーンを入力原稿の解像度に一旦戻した上で合成する手法は、処理時間の点を鑑みると好ましくない。
【0012】
これに対しては、例えば図9に示すように、各プレーンを直接出力機器または表示機器の解像度(例えば144dpi)に解像度変換し、その解像度変換後の各プレーン画像を合成して、一つの合成画像を生成する手法も考えられる。この手法によれば、分離情報プレーンの解像度変換処理が新たに加わるが、分離情報プレーンは通常1画素当たり1ビットの画像データであるので、解像度変換処理時間は殆ど掛からない。また、この手法では、合成後の画像データに対する解像度変換処理の必要がなく、さらには合成処理も印刷または表示用解像度(この場合144dpi)のサイズで行うので、上述した図8のような手法に比べて全体処理時間が掛からない。
【0013】
ところが、図9の手法においては、分離情報プレーンの解像度変換処理を1画素当たり1ビットのまま行っているので、例えば分離情報プレーンを単純間引きにて解像度変換処理した場合には、同一文字内の文字線画幅不均一、細線欠落、文字のつぶれ、ジャギー等といった画質劣化が発生する可能性が高い。そのため、このような分離情報プレーンの画質劣化に起因して、合成後の画像にも画質劣化が発生してしまうおそれがある。なぜなら、分離情報プレーンの文字線画形状が、そのまま合成後の画像データの文字線画形状となるからである。
【0014】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためのものであり、分離情報プレーンを一旦多値化して多値分離情報プレーンを生成し、多値分離情報プレーンと文字色情報プレーンと絵柄情報プレーンをそれぞれ直接出力機器または表示機器の解像度に解像度変換処理し、解像度変換処理された各プレーンを合成することで、高速かつ高画質に画像を合成して出力機器または表示機器に出力することを可能とする、画像処理装置および画面処理プログラムを記録した記憶媒体を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために案出された画像処理装置である。すなわち、入力画像データから画像属性に応じて分離生成された複数のプレーン画像データを、当該プレーン画像データのうちの一つである所定の二値選択画像データに基づいて、一つの画像データに合成する画像処理装置であって、前記二値選択画像データを多値化して多値選択画像データを生成する多値化手段と、前記二値選択画像データを除く前記複数のプレーン画像データおよび前記多値選択画像データをそれぞれ個別に解像度変換する解像度変換手段と、前記解像度変換手段による解像度変換後の多値選択画像データに基づいて、当該多値選択画像データおよび前記解像度変換手段による解像度変換後の各プレーン画像データを合成し、前記一つの画像データを生成する画像データ合成手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記目的を達成するために案出された画面処理プログラムを記録した記憶媒体である。すなわち、入力画像データから画像属性に応じて分離生成された複数のプレーン画像データを、当該プレーン画像データのうちの一つである所定の二値選択画像データに基づいて、一つの画像データに合成するための、コンピュータ読み取り可能な画像処理プログラムを記録した記憶媒体であって、前記二値選択画像データを多値化して多値選択画像データを生成し、前記二値選択画像データを除く前記複数のプレーン画像データおよび前記多値選択画像データをそれぞれ個別に解像度変換し、解像度変換後の多値選択画像データに基づいて、当該多値選択画像データおよび解像度変換後の各プレーン画像データを合成し、前記一つの画像データを生成することを特徴とする。
【0017】
上記構成の画像処理装置または上記手順の画像処理プログラムを記録した記憶媒体によれば、複数のプレーン画像データを一つの画像データに合成するのにあたって、先ず、そのプレーン画像データのうちの一つである二値選択画像データを多値化して多値選択画像データを生成する。ここで、複数のプレーン画像データとしては、例えば、文字線画の形状を表す分離情報プレーンについてのもの、文字線画の色情報を表す文字色情報プレーンについてのもの、および、絵柄を表す絵柄情報プレーンについてのもの等が挙げられる。また、二値選択画像データとしては、2以上のプレーン画像データを合成する際に基となる分離情報プレーンについてのものが挙げられる。そして、二値選択画像データを除く各プレーン画像データおよび多値選択画像データをそれぞれ個別に解像度変換した後、その解像度変換後の多値選択画像データに基づいて、一つの画像データへの合成を行う。したがって、それぞれ個別に行う解像度変換処理において、各プレーン画像データおよび多値選択画像データを直接出力解像度に変換すれば、合成後の画像データに対する解像度変換処理の必要がなくなる。しかも、その際に解像度変換処理される多値選択画像データは、多値化されているので、解像度変換を行っても各画素が中間調を表現し得るようになり、合成後の画像データの画質に大きな影響を与える文字線画の形状等が劣化してしまうのを極力避けられるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係る画像処理装置および画像処理プログラムを記録した記憶媒体について説明する。
【0019】
〔第1の実施の形態〕
先ず、本発明の第1の実施の形態について説明する。ここでは、請求項1〜3,5,6に記載の発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態における画像処理装置の機能構成の一例を示すブロック図であり、図2はその画像処理装置が用いられるシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
ここで、本実施形態における画像処理装置の説明に先立ち、その画像処理装置が用いられるシステム構成について説明する。本実施形態の画像処理装置は、図2に示すようなネットワークシステムにおいて用いられる。このネットワークシステムは、複数の送信機器1a,1b…と、複数の受信機器2a,2b,2c…とが、互いにネットワーク3を介して接続されて構成されたものである。
【0021】
各送信機器1a,1b…は、画像データをネットワーク3上に送信するためのものである。具体的には、スキャナのように原稿画像から光学的に画像データを取り込むものや、デジタルカメラのように被写体から光学的に画像データを取り込むものや、あるいはコンピュータ装置のように電子文書の生成を通じて画像データを生成するもの等が挙げられる。
【0022】
各受信機器2a,2b,2c…は、ネットワーク3を介して各送信機器1a,1b…から送信されてきた画像データを受信して出力するものである。具体的には、プリンタのように画像データを紙等の記録媒体に印刷出力するものや、ディスプレイ装置のように画像データを画面上に表示出力するもの等が挙げられる。
【0023】
ネットワーク3は、公衆回線網やLAN等を構成する通信回線からなるものである。
【0024】
なお、ここでは、理解を容易にするため、送信機器1a,1b…と受信機器2a,2b,2c…とがそれぞれ独立している場合を例示したが、これらは例えば画像データの送受信機能を備えた複合機内に構築されたものであってもよい。
【0025】
本実施形態で説明する画像処理装置は、各受信機器2a,2b,2c…に搭載されて用いられるものである。さらに詳しくは、図1に示すように、受信部11と、画像フォーマット解釈部12と、伸張部13a,13b,13cと、二値多値変換部14と、解像度変換部15a,15b,15cと、合成部16と、色空間変換部17と、を備えて構成されたものである。
【0026】
受信部11は、ネットワーク3を介して各送信機器1a,1b…から送信されてきた画像データを受信するものである。
【0027】
画像フォーマット解釈部12は、受信部11が受信した画像データの画像フォーマットを解釈するものである。画像フォーマットとしては、その一例として、TIFF(Tagged Image File Format)等のフォーマットが考えられる。画像フォーマット解釈部12では、そのフォーマットのヘッダ部分を解釈し、フォーマットに含まれている分離情報プレーン、文字色情報プレーン、絵柄情報プレーンを取り出すようになっている。なお、各プレーンの説明については、従来と同様であることから省略する。
【0028】
伸張部13a,13b,13cは、いずれも画像データの伸長処理を施すものである。伸張部13aでは、画像フォーマット解釈部12で取り出された文字色情報プレーンに対する伸長処理を行うようになっている。伸張部13bでは、画像フォーマット解釈部12で取り出された分離情報プレーンに対する伸長処理を行うようになっている。伸張部13cでは、画像フォーマット解釈部12で取り出された絵柄情報プレーンに対する伸長処理を行うようになっている。
【0029】
二値多値変換部14は、伸張部13bにて伸長処理された1画素当たり1ビットの分離情報プレーンを、多値画像データ(例えば1画素当たり8ビット)に変換するものである。
【0030】
解像度変換部15a,15b,15cは、いずれも画像データの解像度変換処理を施すものである。解像度変換部15aは、伸張部13aで伸長処理された文字色情報プレーンに対する解像度変換処理を行うようになっている。解像度変換部15bは、二値多値変換部14で多値化された分離情報プレーンに対する解像度変換処理を行うようになっている。解像度変換部15cは、伸張部13cで伸長処理された絵柄情報プレーンに対する解像度変換処理を行うようになっている。
【0031】
合成部16は、解像度変換部15aで解像度変換処理された文字色情報プレーンと、解像度変換部15bで解像度変換処理された分離情報プレーンと、解像度変換部15cで解像度変換処理された絵柄情報プレーンとを、それぞれ合成して一つの画像データを生成するものである。
【0032】
色空間変換部17は、合成部16で合成処理された後における一つの画像データを、出力態様の色空間データに変換するものである。具体的には、画像データを印刷出力する場合であればC(サイアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の表色系に変換し、画像データを表示出力する場合であればR(赤)、G(緑)、B(青)の表色系に変換する、といったことを行う。
【0033】
なお、上述した各部11〜17は、例えば所定プログラムを実行するマイクロコンピュータ等によりソフトウエア的に構成しても、あるいは所定機能を有した電子回路等によりハードウエア的に構成してもよい。したがって、各部11〜17は、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された画像処理プログラムを、予めコンピュータ装置にインストールしておくことで実現したり、あるいは必要に応じてその都度読み出すことによって実現することが考えられる。
【0034】
続いて、以上のように構成された画像処理装置において、実際に画像データを受信してからこれを印刷あるいは表示するまでの間における処理動作例について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態における画像処理装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0035】
図例のように、ネットワーク3を介して各送信機器1a,1b…から画像データが送信されてくると、画像処理装置では、受信部11がその画像データを所定のプロトコルにより受信する(ステップ101、以下ステップを「S」と略す)。このときの受信方法としては、通常のカラーファクシミリ送受信制御手順に則った方法でも良いし、また画像データを電子メールに添付した形態にて受信するいわゆるインターネットファクシミリのような受信方法でも良く、特に方法は限定されない。
【0036】
そして、画像データを受信すると、画像処理装置では、その受信した画像データのヘッダ部を画像フォーマット解釈部12にて解釈し、各プレーンの画像データを抽出する(S102)。ここでは、受信した画像データが所定形式の画像フォーマットでパッケージされていることを前提としており、それ以外の形式の画像フォーマットは基本的には処理しない。ただし、インターネットファクシミリのような形態で電子メールに添付されて送信されてきた場合には、例えば添付画像ファイルの拡張子から画像フォーマット形式を判定し、いくつかの画像フォーマットに対応できるようにしても良い。
【0037】
各プレーンの画像データを抽出したら、その後は、伸張部13a,13b,13cで各プレーンを伸長する(S103)。伸長方法は、送信側での圧縮方法に依存し、予め決められた伸長方式をサポートするものとする。各プレーンをどの順番で伸長するかは特に限定しないが、一般的には分離情報プレーンから伸長するのが普通である。そして、3つのプレーンの伸長処理が終了するまで、これらの伸長処理が続けられる(S104)。なお、ここでは、プレーン単位で処理が完了するまで継続するようにしているが、例えば予めストライプに分割されているような画像であれば、所定ストライプサイズの文字色情報プレーン、分離情報プレーン、絵柄情報プレーン単位で伸長処理が終了したら、伸長処理終了したストライプについては次の解像度変換処理を開始しても良い。また、一つのプレーンの伸長処理が終了したら、次のプレーンの伸長処理を開始すると同時に伸長済みのプレーンの解像度変換処理を開始しても良い。
【0038】
各プレーンの伸長処理が完了した後は、二値多値変換部14が伸長処理済みの分離情報プレーンについて、これを多値化して、多値画像データに変換する(S105)。すなわち、二値画像データである分離情報プレーンを多値化して、分離情報プレーンの多値画像データを生成する。
【0039】
ここでいう二値画像データとは、1画素当たりのビット数=1(0〜1の二階調値を取り得る)の画像データのことをいう。また、多値画像データとは、例えば1画素当たりのビット数=8(0〜255の256階調値を取り得る)の画像データのことをいう。
【0040】
二値多値変換部14は、例えば1画素1ビットでの濃度値「0」を1画素8ビットでの濃度値「0」に変換し、1画素1ビットでの濃度値「1」を1画素8ビットでの濃度値「255」に変換することによって、二値→多値変換処理を行い、これにより1画素1ビットの画像データを1画素8ビットの画像データに変換する。この二値多値変換部14による変換後の分離情報プレーンの各画素は、「0」あるいは「255」の値しか持たないが、変換前とは異なり、1画素当たりのビット数=8となる。なお、ここでは、変換後における1画素当たりのビット数=8としているが、変換後のビット数は特に上述した例に限定されるものではない。
【0041】
二値多値変換部14による分離情報プレーンの二値→多値変換処理が完了したら、その後は、解像度変換部15a,15b,15cが、多値分離情報プレーン、文字色情報プレーンおよび絵柄情報プレーンについて、それぞれ個別に解像度変換処理を行う(S106)。
【0042】
このときに解像度変換部15a,15b,15cが行う解像度変換処理は、画像処理装置が搭載された受信機器2a,2b,2c…における印刷解像度または表示解像度に依存するものとする。すなわち、解像度変換処理における変倍率は、画像フォーマット解釈部12で解釈された各レイヤの解像度情報と、受信機器2a,2b,2c…における印刷解像度または表示解像度とに応じて、各レイヤ毎に自動的に設定される。ただし、表示を行う場合等には、ユーザが任意の表示解像度もしくは変倍率を指定するようにしてもよい。これらのことから、送信されてきた画像データの解像度によっては、縮小解像度変換だけでなく拡大解像度変換となる場合もあり得る。
【0043】
また、解像度変換部15a,15cによる解像度変換方法は、文字色情報プレーンに関してはそれに適した変倍アルゴリズム、絵柄情報プレーンに関しては写真等に適した変倍アルゴリズムを用いるのが好ましいが、全て同じ方法を用いるようにしても良い。
【0044】
一方、解像度変換部15bによる解像度変換方法、すなわち分離情報プレーンの解像度変換方法に関しては、単純間引き法やニアレストネイバー法等のような方式は分離情報プレーンを多値化した意味がないので避けた方が良く、投影法や4点補間法等のように、所定数の周辺画素を参照して濃度値を算出する方法が好ましい。つまり、解像度変換処理に際しては、周辺画素を参照して濃度値を算出することによって、当該処理後の各画素が中間調を表現し得るようにする。このようにすることで、解像度変換処理後の分離情報プレーンは、詳細を後述するように、その文字線画エッジ近傍が滑らかな濃度値(グラデーション)を採るようになるので、文字線画の欠落あるいは文字線画幅の不均一等といった画質劣化が大幅に低減することになる。なお、このような解像度変換処理の詳細については、投影法や4点補間法等の周知技術を利用することが考えられるため、ここではその詳細な説明を省略するものとする。
【0045】
そして、各プレーンの解像度変換処理が完了したら(S107)、続いては、合成部16が多値化された分離情報プレーンに基づいて文字色情報プレーンと絵柄情報プレーンを合成する(S108)。
【0046】
ここで合成の方法としては、例えば、jライン目i番目画素の分離情報プレーンの画素値=M[j][i]、そのときの文字色情報プレーンの輝度信号=F_L*[j][i]、色差信号=F_a*[j][i],F_b*[j][i]、そのときの絵柄情報プレーンの輝度信号=B_L*[j][i]、色差信号=B_a*[j][i],B_b*[j][i]、とすると、以下の(1)式および(2)式のような演算式を用いて合成する。
【0047】
【数1】
【0048】
【数2】
【0049】
なお、ここでは、各レイヤの色空間がLab表色系(ITU−LabやCIE−Lab等)であるものと仮定して処理する場合を例に挙げている。
【0050】
各プレーンの合成処理が完了したら、その後は、その合成処理によって生成された一つの画像データについて、色空間変換部17が受信機器2a,2b,2c…におけるの色空間に合うように色空間変換を行う(S109)。例えば、合成後の画像データを印刷出力する場合であれば、色空間変換部17は、Lab→CMYK色空間に変換し、合成後の画像データを表示出力する場合であれば、Lab→RGB色空間に変換する。そして、色空間変換された画像データは、受信機器2a,2b,2c…にて印刷出力または表示出力されることになる(S110)。
【0051】
ここで、以上のような処理動作によって得られる処理結果について詳しく説明する。図4は、解像度変換処理前後における文字線画部分の一具体例を比較する説明図である。図中(a)に示すように、解像度変換処理前の文字線画部分21は、分離情報プレーンの画素値M=255である。また、解像度変換処理前の背景部分22は、分離情報プレーンの画素値M=0である。ところが、解像度変換処理後においては、解像度変換処理前のように文字線画部分21と背景部分22とが明確に分かれるのではなく、図中(b)に示すように、所定閾値thを境に、エッジ文字線画寄り部分(分離情報プレーンの画素値M>所定閾値thの領域)23と、エッジ背景寄り部分(分離情報プレーンの画素値M=所定閾値thの領域)24とに分かれる。
【0052】
(1)式はエッジ文字線画寄り部分23を合成するための演算式であり、(2)式はエッジ背景寄り部分24を合成するための演算式である。
【0053】
エッジ文字線画寄り部分23を合成する際には、文字線画の濃度や色情報を保持することを重視し、分離情報プレーンの濃度値に応じた係数を文字色情報プレーンの画素値にかけあわせた輝度信号/色差信号を出力としている。色差信号a*とb*に関しては、無彩色となる中心点がそれぞれ存在するため、中心からの濃度差に対して分離情報プレーンの濃度値に応じた係数をかけあわせ、これを中心濃度値に足し込むことで、予想外の色変わり(例えば青→赤に変わってしまうなど)を防いで滑らかな色合いの変化を実現している。
【0054】
一方、エッジ背景寄り部分24を合成する際には、例えば背景色が白色であれば(1)式をそのまま流用できる。ところが、背景色が何らかの色を持つ時、(1)式を使って合成したのでは、合成後の文字線画部と色背景の間に白などの低濃度画素が挿入されてしまい、画質劣化が著しくなってしまう。したがって、エッジ背景寄り部分24を合成する際には、色背景上の文字線画であることも考慮し、絵柄情報プレーンの画素値も用いる必要がある。そのため、エッジ背景寄り部分24については、背景色が絵柄情報プレーンの画像でありながら、エッジ文字線画寄り部分23に近づくに連れて文字色情報プレーンの濃度値に近くなるようにしている。ただし、色変わりがしないようにするため、輝度信号L*についてのみ文字色情報プレーンの輝度信号F_L*と絵柄情報プレーンの輝度信号B_L*を分離情報プレーンの濃度値に応じた係数をかけて足し込む。色差信号a*とb*に関しては、絵柄情報プレーンの画素値をそのまま利用する。このように演算することで、色背景上の文字線画であっても、文字線画と色背景の間に白などの低濃度画素が挿入されてしまうことなく、自然で滑らかな文字線画エッジが再現できる。
【0055】
以上に述べたように、本実施形態によれば、複数のプレーン画像データを一つの画像データに合成するのにあたって、先ず、そのうちの一つである分離情報プレーン、すなわち文字線画の形状を特定するための1画素当たり1ビットの二値画像データである分離情報プレーンを、一旦1画素当たり8ビットの多値画像データに多値化した後に、解像度変換処理を施すようになっている。したがって、解像度変換処理を行うと、分離情報プレーンの各画素が中間調(グラデーション)を表現し得るようになり、合成後の画像データの画質に大きな影響を与える文字線画の形状等が劣化してしまうのを極力避けられるようになる。つまり、例えば分離情報プレーンを2値のまま単純間引きにて解像度変換処理した場合とは異なり、中間調表現が可能になるので、同一文字内の文字線画幅不均一、細線欠落、文字のつぶれ、ジャギー等といった画質劣化が発生する可能性が低くなり、分離情報プレーンの画質劣化に起因する合成後画像の画質劣化も防げるようになる。
【0056】
また、本実施形態では、複数のプレーン画像データのうちの一つが、分離情報プレーンによって表される文字線画部分の色情報に関する文字色情報プレーンであり、さらには多値化後の分離情報プレーンの濃度値に応じて一つの画像データへの合成を行うことから、その分離情報プレーンの中間調表現を可能にすることによって、合成後画像において色の濃度変化を滑らかに表せるようになり、その中間調表現の特徴を最大限に生かせるようになる。
【0057】
しかも、本実施形態では、多値化後の分離情報プレーン、文字色情報プレーンおよび絵柄情報プレーンのそれぞれに対して解像度変換処理を施すのにあたり、それぞれの解像度変換処理を個別に行うとともに、いずれのプレーンについても印刷解像度または表示解像度に依存して当該解像度変換処理を行うようになっている。すなわち、解像度変換処理にあたって、各プレーンを直接その出力の際の解像度に変換するので(図9参照)、合成後の一つの画像データに対する解像度変換処理の必要がなく、さらには合成処理も印刷または表示用解像度のサイズで行えるので、多くの処理時間を要してしまうこともない。
【0058】
つまり、本実施形態によれば、分離情報プレーンを一旦多値化して多値分離情報プレーンを生成し、多値分離情報プレーンと文字色情報プレーンと絵柄情報プレーンをそれぞれ直接出力機器または表示機器の解像度に解像度変換処理し、解像度変換処理された各プレーンを合成するようになっているので、高速かつ高画質に画像を合成して出力機器または表示機器に出力することが可能になる。
【0059】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここでは、請求項4に記載の発明の実施の形態を説明する。ただし、上述した第1の実施の形態との相違点についてのみ説明をし、同一の内容についてはその説明を省くものとする。図5は、本発明の第2の実施の形態における画像処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0060】
本実施形態における画像処理装置も、第1の実施の形態の場合と同様に、図2に示すようなネットワークシステムにおいて、各受信機器2a,2b,2c…に搭載されて用いられるものである。
【0061】
ただし、本実施形態の画像処理装置では、図5に示すように、第1の実施の形態で説明した受信部11、画像フォーマット解釈部12、伸張部13a,13b,13c、二値多値変換部14、解像度変換部15a,15b,15c、合成部16および色空間変換部17に加えて、判定部18と、セレクタ19と、が設けられている。
【0062】
判定部18は、伸張部13bにて伸長処理された分離情報プレーンについて、その分離情報プレーンを構成する複数の領域(例えば、後述するストライプ)毎に、その領域を二値多値変換部14で二値多値変換するか否かを判定するものである。
【0063】
セレクタ19は、判定部18での判定結果に従いつつ、分離情報プレーンを構成する各領域毎に、二値多値変換部14による二値多値変換後の多値分離情報プレーンと、伸張部13bでの伸長処理がされたままの二値分離情報プレーンとのいずれか一方を、解像度変換部15bへ選択的に送出するものである。
【0064】
なお、判定部18およびセレクタ19も、他の各部11〜17と同様に、例えば所定プログラムを実行するマイクロコンピュータ等によりソフトウエア的に構成しても、あるいは所定機能を有した電子回路等によりハードウエア的に構成してもよい。したがって、各部11〜19は、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された画像処理プログラムを、予めコンピュータ装置にインストールしておくことで実現したり、あるいは必要に応じてその都度読み出すことによって実現することが考えられる。
【0065】
続いて、以上のように構成された画像処理装置において、実際に画像データを受信してからこれを印刷あるいは表示するまでの間における処理動作例について説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態における画像処理装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0066】
本実施形態においても、ネットワーク3を介して各送信機器1a,1b…から画像データが送信されてくると、画像処理装置では、受信部11がその画像データを所定のプロトコルにより受信した後(S201)、画像フォーマット解釈部12がその受信した画像データのヘッダ部を解釈して、各プレーンの画像データを抽出する(S202)。そして、各プレーンの画像データを抽出したら、伸張部13a,13b,13cが各プレーンを伸長し(S203)、3つのプレーンの伸長処理を終了するまでその伸長処理を続ける(S204)。ここまでは、第1の実施の形態の場合と略同様である。
【0067】
その後、すなわち各プレーンの伸長処理の完了後は、第1の実施の形態の場合と異なり、伸長処理済みの分離情報プレーンを用いて、判定部18が所定のストライプ単位で分離情報プレーン上の文字画素数を計算する(S205)。ここで、ストライプとは、分離情報プレーンを構成する各領域のことをいう。例えば、予めストライプ単位で分割されて送信されてきた画像データであれば、そのストライプ単位で処理すれば良い。また、例えば256ライン単位で画像データを区切って、その256ラインのストライプ単位で処理しても良い。つまり、一つのストライプの大きさは、送信されてきた画像データや使用し得るメモリ領域等の都合に応じて、適宜設定しておけば良い。
【0068】
ストライプ単位での文字画素数の計算については、例えば、あるストライプに含まれる画素のうち、文字に相当する濃度値(例えば「1」)の画素がいくつあるかを計数することによって行えばよい。そして、当該ストライプ内の文字画素数を計算したら、判定部18は、その計算値が予め設定された所定閾値以上であるか否かを判定する(S206)。
【0069】
この判定の結果、計算値が所定閾値以上であれば、判定部18は、当該ストライプには文字線画が含まれていると判断する。そして、当該ストライプの分離情報プレーンについては、二値多値変換部14に二値→多値変換を行わせる(S207)。このときに、二値多値変換部14が行う二値→多値変換は、その対象領域の大きさを除けば、第1の実施の形態の場合と全く同様である。
【0070】
一方、当該ストライプ内の文字画素数の計算値が所定閾値未満であれば、判定部18は、そのストライプには文字線画が含まれていないと判断する。そして、当該ストライプについての二値多値変換部14による二値→多値変換は行わずに、当該ストライプの分離情報プレーンを二値(=1画素1ビット)のままとしておく。これは、文字線画が含まれていなければ、二値→多値変換の有無に拘わらず、同一文字内の文字線画幅不均一、細線欠落、文字のつぶれ、ジャギー等といった画質劣化が発生する可能性は低いと考えられるからである。
【0071】
したがって、分離情報プレーンについての解像度変換部15bには、判定部18による判定処理を経ることで、その分離情報プレーンを構成するストライプ毎に、二値多値変換部14による二値多値変換後の多値分離情報プレーンと、伸張部13bでの伸長処理がされたままの二値分離情報プレーンとのいずれか一方が、セレクタ19によって選択的に送られてくることになる。
【0072】
なお、ストライプに文字線画が含まれているか否かの判断は、文字画素数の計算値を基にするのではなく、例えばラベリング処理の結果を基に行うようにしてもよい。ラベリング処理とは、文字に相当する濃度値の互いに連結した画素群毎に識別ラベルを付す処理をいう。このようなラベリング処理を行うことで、各画素群の大きさがその座標値から認識でき、その認識結果から各画素群が文字や線画に相当するか否かが判断可能となる。
【0073】
その後は、第1の実施の形態の場合と略同様に、解像度変換部15a,15b,15cによる各プレーンの解像度変換処理を行う(S208)。ただし、本実施形態では、各プレーンの解像度変換処理が、いずれの場合もストライプ単位で行われる。また、解像度変換部15bが解像度変換処理を行う場合において、伸張部13bでの伸長処理がされたままの二値分離情報プレーンが送られてきた場合であれば、二値多値変換部14による二値多値変換後の多値分離情報プレーンが送られてきた場合と異なり、単純間引きやニアレストネイバー法等によって解像度変換処理を行うようにしても良い。
【0074】
そして、各プレーンの解像度変換処理が完了したら(S209)、続いては、合成部16がストライプ単位で、多値化された分離情報プレーンまたは二値化のままの二値分離情報プレーンのいずれかに基づいて、文字色情報プレーンと絵柄情報プレーンを合成する(S210)。このとき、二値分離情報プレーンを基にする場合については、文字色情報プレーンあるいは絵柄情報プレーンを選択して合成するだけなので、その詳細な説明は省略する。また、多値分離情報プレーンを基にする場合は、第1の実施の形態の場合と略同様に、(1)式および(2)式を用いて演算処理を行うことになる。
【0075】
このようなストライプ単位での各プレーンの合成処理が一つの画像データの1ページ分、すなわち一つの画像データを構成する全ストライプ分について完了したら(S211)、その後は、第1の実施の形態の場合と略同様に、色空間変換部17による色空間変換処理を経て(S212)、その一つの画像データが受信機器2a,2b,2c…にて印刷出力または表示出力されることになる(S213)。
【0076】
以上に述べたように、本実施形態によれば、ストライプ単位に分割される分離情報プレーンを必要に応じて一旦多値化して多値分離情報プレーンを生成し、多値分離情報プレーンと文字色情報プレーンと絵柄情報プレーンをそれぞれ直接出力機器または表示機器の解像度に解像度変換処理し、解像度変換処理された各プレーンを合成するようになっているので、第1の実施の形態の場合と同様に、高速かつ高画質に画像を合成して出力機器または表示機器に出力することが可能になる。
【0077】
特に、本実施形態では、分離情報プレーンのストライプ単位毎に、その分離情報プレーンを多値化するか否かを判定し、多値化すると判定したストライプについてのみ二値→多値変換を行うようになっている。つまり、画質劣化の発生防止に有効であるストライプにのみ二値→多値変換を行う。したがって、画質劣化の発生を確実に抑制しつつ、処理負荷の軽減をも実現できるので、より一層高速に高画質の合成画像を得ることが可能になる。
【0078】
なお、上述した第1および第2の実施の形態では、分離情報プレーン、文字色情報プレーンおよび絵柄情報プレーンの計3プレーンについて処理を行う場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、文字線画の形状を特定するための分離情報プレーンを含んでいれば、これと文字色情報プレーンおよび絵柄情報プレーンのいずれか一方のみを処理対象とする場合であっても、あるいはさらに他のプレーンを処理対象に加える場合であっても、本発明は適用可能である。
【0079】
ただし、さらに他のプレーンを処理対象に加える場合、具体的には例えば複数種類の絵柄情報プレーンを含む4プレーン以上について処理を行う場合には、これらを合成するために必要となる分離情報プレーンも複数種類存在することが考えられる。したがって、この場合には、複数種類の分離情報プレーンそれぞれについて、上述したような二値→多値変換等を行うことになる。つまり、本発明においては、二値→多値変換の対象となる選択データが複数存在することもあり得る。
【0080】
また、第1および第2の実施の形態では、二値→多値変換処理後における1画素当たりのビット数=8としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1画素当たりのビット数=2以上であれば中間調表現が行えるので、上述したような画質劣化の抑制が可能となる。
【0081】
さらに、第1および第2の実施の形態では、処理の迅速化を目的として、各プレーンに対する解像度変換処理を印刷解像度または表示解像度に依存して行う場合、すなわち各プレーンを直接その出力解像度に変換する場合を例に挙げて説明したが(図9参照)、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、印刷解像度または表示解像度に依存せずに解像度変換処理を行っても、本発明を適用することで、従来よりも画質劣化の抑制が可能となり、結果として出力画像の高画質化が期待できる。
【0082】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の画像処理装置および画面処理プログラムを記録した記憶媒体によれば、複数のプレーン画像データのうちの一つである選択画像データを多値化して多値選択画像データを生成した後に、それぞれに対して個別に解像度変換処理を行い、そして解像度変換処理された各プレーン画像データを合成するようになっている。したがって、多値化による中間調表現の実現によって、出力画像の画質に大きな影響を与える文字線画の形状等が劣化してしまうのを避けられるようになり、結果として高速かつ高画質に画像を合成して出力することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態における画像処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】 本発明に係る画像処理装置が用いられるシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態における画像処理装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】 解像度変換処理前後における文字線画部分の一具体例を比較する説明図であり、(a)は解像度変換処理前を示す図、(b)は解像度変換処理後を示す図である。
【図5】 本発明の第2の実施の形態における画像処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態における画像処理装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】 原稿画像を3プレーンに分離する概念を示す模式図である。
【図8】 各プレーンの合成後に出力解像度に変換する場合の処理手順の概要を示す模式図である。
【図9】 各プレーンの合成前に解像度変換を行ってから各プレーンを合成する場合の処理手順の概要を示す模式図である。
【符号の説明】
11…受信部、12…画像フォーマット解釈部、13a,13b,13c…伸張部、14…二値多値変換部、15a,15b,15c…解像度変換部、16…合成部、17…色空間変換部、18…判定部、19…セレクタ
Claims (6)
- 入力画像データから画像属性に応じて分離生成された複数のプレーン画像データを、当該プレーン画像データのうちの一つである所定の二値選択画像データに基づいて、一つの画像データに合成する画像処理装置であって、
前記二値選択画像データを多値化して多値選択画像データを生成する多値化手段と、
前記二値選択画像データを除く前記複数のプレーン画像データおよび前記多値選択画像データをそれぞれ個別に解像度変換する解像度変換手段と、
前記解像度変換手段による解像度変換後の多値選択画像データに基づいて、当該多値選択画像データおよび前記解像度変換手段による解像度変換後の各プレーン画像データを合成し、前記一つの画像データを生成する画像データ合成手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 前記二値選択画像データを除く前記複数のプレーン画像データのうちの少なくとも一つは、前記二値選択画像データによって表される画像部分の色情報に関するものであることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
- 前記解像度変換手段は、前記二値選択画像データを除く前記複数のプレーン画像データおよび前記多値選択画像データを、いずれも前記一つの画像データを出力する際の解像度に変換することを特徴とする請求項2または3記載の画像処理装置。
- 前記二値選択画像データを前記多値選択画像データに変換するか否かを当該二値選択画像データの領域毎に判定し、変換すると判定した領域についてのみ前記多値化手段による多値化を行わせる判定手段が設けられたことを特徴とする請求項1、2または3記載の画像処理装置。
- 前記画像データ合成手段は、前記多値選択画像データの濃度値に応じて前記一つの画像データを生成することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の画像処理装置。
- 入力画像データから画像属性に応じて分離生成された複数のプレーン画像データを、当該プレーン画像データのうちの一つである所定の二値選択画像データに基づいて、一つの画像データに合成するための、コンピュータ読み取り可能な画像処理プログラムを記録した記憶媒体であって、
前記二値選択画像データを多値化して多値選択画像データを生成し、
前記二値選択画像データを除く前記複数のプレーン画像データおよび前記多値選択画像データをそれぞれ個別に解像度変換し、
解像度変換後の多値選択画像データに基づいて、当該多値選択画像データおよび解像度変換後の各プレーン画像データを合成し、前記一つの画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理プログラムを記録した記憶媒体。
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