JP3960210B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置に関し、特に、文書原稿を読み取って得られた画像データから文字、図形および写真領域をそれぞれ抽出して画像処理を施した後、再合成して文書画像ファイルを作成する画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャナ等で読み取った画像データは容量が大きく、そのままでの保存や送受信には適さないため、画像の種類に応じて適切な圧縮等の画像処理が施される。ところが、文書原稿を読み取って得られた画像データの場合、文字画像からなる文字領域、図形画像からなる図形領域および写真画像からなる写真領域が混在するため、写真領域に適した不可逆圧縮を行うと容量は小さくなるが文字が読みにくくなり、文字領域に適した圧縮を行うと圧縮率が低くなるという問題がある。そこで、文書原稿にかかる画像データから文字、図形および写真領域をそれぞれ分離して抽出し、各領域に適した圧縮を施した後再度合成して文書画像ファイルを作成する画像処理装置が知られており、かかる画像処理装置によれば画像品質を保持したまま画像ファイルの容量を小さくすることができる。
【0003】
しかし、上記画像処理装置にあっては、所定領域データにデフォルトの圧縮方式、すなわち当該領域に適した圧縮方式により圧縮処理を施すと、画像サイズが所定値未満の領域データにおいて、圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくなってしまう場合がある。かかる問題を解決するために、複数の圧縮方式により圧縮処理を行い画像サイズが最小となったものを採用する方法(例えば特許文献1参照)や、上記現象が生ずる領域は圧縮処理を施さないようにする方法(例えば特許文献2参照)等が考えられるが、前者はすべての領域に対してそれぞれ複数の圧縮方式により圧縮処理を施す必要があるため処理が煩雑であり、後者は特定領域について圧縮処理が施されないため全体として画像ファイルの圧縮率が低下するという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−215382号公報
【特許文献2】
特開平9−149248号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、文書原稿を読み取って得られた画像データの文字、図形および写真領域をそれぞれ抽出して画像処理を施した後再合成して文書画像ファイルを作成する画像処理装置において、所定領域データに当該領域に適した圧縮方式の圧縮方式により圧縮処理を施すと、画像サイズが所定値未満の領域データにおいて圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくなってしまう場合でも、画像劣化や処理速度の低下を最小限に留めて高い圧縮率の画像データを得ることのできる画像処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1)画像データから文字領域、図形領域および写真領域を分離して抽出する領域抽出手段と、前記領域抽出手段により抽出された各領域データに文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別に応じた圧縮処理を施す領域圧縮手段と、前記領域圧縮手段により圧縮処理された各領域データを合成する領域合成手段とを有する画像処理装置であって、前記領域抽出手段により、文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別のうちの特定の領域種別に属するとして抽出された領域データのそれぞれの画像サイズを算出する画像サイズ算出手段をさらに有し、前記領域圧縮手段は、前記画像サイズ算出手段により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズがしきい値以上の場合第1の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施し、前記画像サイズ算出手段により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズが前記しきい値未満の場合第2の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施すことを特徴とする、画像処理装置。
【0008】
(2)前記第1の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前の画像サイズより大きくなるものであり、前記第2の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合でも圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくならないものである、(1)に記載の画像処理装置。
【0009】
(3) 前記画像サイズ算出手段は、前記領域抽出手段により抽出された各文字領域データのそれぞれの画像サイズを算出し、前記領域圧縮手段は、前記画像サイズ算出手段により算出された画像サイズがしきい値以上の文字領域データに対しては第1の圧縮方式により圧縮処理を施し、前記画像サイズ算出手段により算出された画像サイズがしきい値未満の文字領域データに対しては第2の圧縮方式により圧縮処理を施す、(1)または(2)に記載の画像処理装置。
【0010】
(4) 前記第1の圧縮方式はMMR圧縮であり、前記第2の圧縮方式はFlate圧縮である、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0011】
(5) 画像データから文字領域を抽出する第1段階と、前記第1段階で抽出された各文字領域データのそれぞれの画像サイズを算出する第2段階と、前記第2段階で算出され画像サイズがしきい値以上の文字領域データには圧縮方式としてMMR圧縮を選択し、前記第段階で算出され画像サイズがしきい値未満の文字領域データには圧縮方式としてFlate圧縮を選択する第3段階と、前記第3段階で選択された圧縮方式により前記各文字領域データに圧縮処理を施す第4段階と、を有することを特徴とする画像処理方法。
(6) 前記第1の圧縮方式は、前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに対するデフォルトの圧縮方式である、(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(7) 画像データから文字領域、図形領域および写真領域を分離して抽出する段階(1)と、前記段階(1)で抽出された各領域データに文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別に応じた圧縮処理を施す段階(2)と、前記段階(2)で圧縮処理された各領域データを合成する段階(3)とを有する画像処理方法であって、前記段階(1)で、文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別のうちの特定の領域種別に属するとして抽出された各領域データのそれぞれの画像サイズを算出する段階(4)をさらに有し、前記段階(2)は、前記段階(4)により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズがしきい値以上の場合第1の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施し、前記段階(4)により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズが前記しきい値未満の場合第2の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施すことを特徴とする、画像処理方法。
(8) 前記第1の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前の画像サイズより大きくなるものであり、前記第2の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合でも圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくならないものである、(7)に記載の画像処理方法。
(9) 前記第1の圧縮方式は、前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに対するデフォルトの圧縮方式である、(7)または(8)に記載の画像処理方法。
(10) 前記段階(4)は、前記段階(1)により抽出された各文字領域データのそれぞれの画像サイズを算出し、前記段階(2)は、前記段階(4)により算出された画像サイズがしきい値以上の文字領域データに対しては第1の圧縮方式により圧縮処理を施し、前記段階(4)により算出された画像サイズがしきい値未満の文字領域データに対しては第2の圧縮方式により圧縮処理を施す、(7)〜(9)のいずれか1つに記載の画像処理方法。
(11) 前記第1の圧縮方式はMMR圧縮であり、前記第2の圧縮方式はFlate圧縮である、(10)に記載の画像処理方法。
(12) 画像データから文字領域、図形領域および写真領域を分離して抽出する手順(1)と、前記手順(1)で抽出された各領域データに文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別に応じた圧縮処理を施す手順(2)と、前記手順(2)で圧縮処理された各領域データを合成する手順(3)とを画像処理装置に実行させる画像処理プログラムであって、前記手順(1)で、文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別のうちの特定の領域種別に属するとして抽出された各領域データのそれぞれの画像サイズを算出する手順(4)をさらに画像処理装置に実行させるものであり、前記手順(2)は、前記手順(4)により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズがしきい値以上の場合第1の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施し、前記手順(4)により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズが前記しきい値未満の場合第2の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施すことを特徴とする、画像処理プログラム。
(13) 前記第1の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前の画像サイズより大きくなるものであり、前記第2の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合でも圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくならないものである、(12)に記載の画像処理プログラム。
(14) 前記第1の圧縮方式は、前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに対するデフォルトの圧縮方式である、(12)または(13)に記載の画像処理プログラム。
(15) 前記段階(4)は、前記段階(1)により抽出された各文字領域データのそれぞれの画像サイズを算出し、前記段階(2)は、前記段階(4)により算出された画像サイズがしきい値以上の文字領域データに対しては第1の圧縮方式により圧縮処理を施し、前記段階(4)により算出された画像サイズがしきい値未満の文字領域データに対しては第2の圧縮方式により圧縮処理を施す、(11)〜(13)のいずれか1つに記載の画像処理プログラム。
(16) 前記第1の圧縮方式はMMR圧縮であり、前記第2の圧縮方式はFlate圧縮である、(15)に記載の画像処理プログラム。
(17) (12)〜(16)のいずれか1つに記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態にかかる画像処理装置を含む画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。本画像処理システムは、画像処理装置1と、画像入力元装置としてのスキャナ2と、画像出力先装置としてのファイルサーバ3とを備え、これらはコンピュータネットワーク4を介して相互に通信可能に接続されている。なお、コンピュータネットワーク4に接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。
【0014】
図2は、本実施形態にかかる画像処理装置1の構成を示すブロック図である。図2において、画像処理装置1は、制御部101、記憶部102、操作部103、入力インタフェース部104、出力インタフェース部105、領域抽出部106、画像処理部107、領域合成部108およびファイル形式変換部109を備えており、これらは信号をやり取りするためのバス110を介して相互に接続されている。
【0015】
制御部101はCPUであり、プログラムにしたがって上記各部の制御や各種の演算処理等を行う。記憶部102は、予め各種プログラムやパラメータを格納しておくROM、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM、各種プログラムやパラメータを格納し、または画像処理により得られた画像データ等を一時的に保存するために使用されるハードディスク等からなる。
【0016】
操作部103は、出力領域、画像処理の種別、カラーモード、出力ファイル形式、送信先等の設定を行い、または動作開始等の指示を行うためのキーや操作パネル等から構成される。ここで、出力領域の設定は、抽出した文字、図形または写真領域のいずれをまたはすべてを出力するかを選択することにより行う。画像処理の種別の設定は、抽出領域に対する画像処理の種別として、2値化、減色、解像度変換、スムージング、圧縮処理等の有無を選択する。カラーモードの設定は、出力ファイルのカラー、モノクロ、グレースケールの別を選択する。出力ファイル形式の設定は、出力ファイルのファイル形式を選択することにより行う。なお、出力ファイル形式としては、各種文書作成ソフトの文書形式や、ポストスクリプト(登録商標)、PDF等の汎用フォーマットが挙げられる。送信先の設定は、画像出力先装置のIPアドレス、ホスト名、メールアドレス等を入力して行う。
【0017】
入力インタフェース部104は、外部の画像入力元装置から画像データの入力を受けるためのインタフェースであり、出力インタフェース105は、外部の画像出力先装置に出力ファイルを送信するためのインタフェースである。
【0018】
領域抽出部106は、入力画像データから文字領域、図形領域および写真領域を分離抽出する処理を行う。画像処理部107は、文字領域処理部107a、図形領域処理部107bおよび写真領域処理部107cからなり、それぞれ抽出された文字、図形および写真領域にかかる各領域データに適切な画像処理を施す。領域合成部108は、前記画像処理後の文字、図形および写真領域データを合成して内部ファイル形式により合成画像データを作成する。ファイル形式変換部109は、内部ファイル形式により作成した合成画像データを設定された出力ファイル形式に変換する。
【0019】
スキャナ2は、文書原稿を読み取って画像データを取得し、得られた画像データを画像処理装置に送信する。
【0020】
ファイルサーバ3はコンピュータであり、コンピュータネットワークを介して受信したファイルを格納し、また転送要求に応じて格納したファイルをコンピュータネットワーク上の他の機器に転送する。
【0021】
コンピュータネットワーク4は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格により、コンピュータや周辺機器、ネットワーク機器等を接続したLANや、LAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。
【0022】
つぎに、本実施形態にかかる画像処理装置1が行う画像処理の概要について説明する。図3は、画像処理装置1による画像処理の一例を示した概念図である。図3(a)に示すように、スキャナ2から文書原稿を読み込んで得られた入力画像データには、文字画像からなる文字領域、図形画像からなる図形領域および写真画像からなる写真領域が含まれている。このような高容量の画像データを圧縮して低容量化しファイルサーバ3に保存しようとする場合、画像データ全体にそのまま一律に圧縮処理を施したのでは、写真領域等に適した不可逆圧縮を行うと容量は小さくなるが画像の劣化により文字が読みにくくなり、文字領域に適した圧縮を行うと圧縮率が低くなってしまう。そこで、画像処理装置1は、スキャナ2から受信した入力画像データから、文字領域、図形領域および写真領域を分離・抽出し(図3(b))、抽出した各領域データに領域種別に応じた適切な圧縮処理を施した後再度合成して合成画像データを作成し(図3(c))、所定のファイル形式に変換してファイルサーバ3に送信するものである。
【0023】
ここで、抽出した各領域データの圧縮処理には各領域データに適した圧縮方式がそれぞれ適用されるが、文字領域データの圧縮処理に適用されるべき文字領域データに適した圧縮方式の1つとしてMMR圧縮がある。MMR圧縮は、可逆圧縮であり文字画像の劣化を抑えることができるとともに、処理速度が速く、かつMH圧縮、MR圧縮、Flate圧縮等の他の可逆圧縮に比べ高い圧縮率が得られるが、アルゴリズムの問題上所定の画像サイズ以下の文字領域データに適用した場合、圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくなってしまうという問題がある。すなわち、図3(a)および(b)において、文字領域▲1▼のような画像サイズの大きい文字領域データをMMR圧縮した場合、画質、処理速度、圧縮率ともに良好な処理効果が得られるが、文字領域▲2▼または▲3▼のような微小サイズの文字領域データをMMR圧縮した場合、圧縮処理の前後で画像サイズが逆転してしまう。本実施形態では、後述するように、かかる微小サイズの文字領域データに対しては、圧縮方式を、微小サイズでも圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくならないFlate圧縮に切り替えて適用することにより上記問題を解決するものである。
【0024】
つぎに、本実施形態における画像処理システム全体の動作の概要を説明する。図4は、本実施形態における画像処理装置1の画像処理の手順を示すフローチャートである。図4において、画像処理装置1は画像処理の開始命令があるまで待機する(S101のNO)。ユーザから操作部103を介して開始命令の入力を受け付けると(S101のYES)、入力インタフェース部104を介してスキャナ2に原稿画像の読み取り命令を送信し(S102)、スキャナ2から画像データを受信するまで待機する(S103のNO)。スキャナ2は、画像処理装置1から読み取り命令を受信すると、所定の位置にセットされた原稿の画像を読み取って画像データを生成し、得られた画像データを画像処理装置1に送信する。なお、画像処理の開始命令は通信ネットワーク4上の他の機器から、またはスキャナ2から直接入力されてもよく、この場合上記ステップS101およびS102は省略される。
【0025】
画像処理装置1は、入力インタフェース104を介してスキャナ2から画像データを受信すると(S103のYES)、受信した画像データを記憶部102に保存し、ついで、領域抽出部106により入力画像データから文字領域、図形領域および写真領域をそれぞれ分離して各領域データを抽出する(S104)。入力画像データからの各領域データの抽出方法は特に限定されるものではなく既知の方法を用いることができるが、例を挙げれば次のとおりである。
【0026】
すなわち、まず、領域抽出部106により、入力画像データから文字領域を判別して文字領域データを抽出して、その位置情報とともに記憶部102に保存する。文字領域の判別方法としては、例えば、画像データから得られたエッジ画像データのエッジ画素の間隔が所定画素数以下であるエッジ画素群の外接矩形内領域を抽出し、文字領域は小エリア内に斜め方向エッジ成分を多く含んでいるという特徴に基づいて、前記外接矩形内領域に含まれる周波数成分のうち斜め方向エッジ成分を特徴量として算出して、斜め方向エッジ成分の含有率により判断する方法等を用いることができる。
【0027】
ついで、領域抽出部106により、抽出した文字領域を周辺画素で補完することにより、入力画像データから非文字画像データを作成して記憶部102に保存する。そして、領域抽出部106により、非文字画像データから図形領域を判別して図形領域データを抽出して、その位置情報とともに記憶部102に保存する。非文字画像データからの図形領域の判別方法としては、図形領域の明度分布はある程度均一であり、写真領域の明度分布は分散しているという特徴に基づいて、明度画像データからえられたエッジ画像データに対し、エッジ画像で分割された領域内の全画素に対し、主走査、副走査2方向でラインごとに明度ヒストグラムを作成して明度分散度を特徴量として算出し、図形領域と写真領域の別を判別する方法等を用いることができる。
【0028】
そして、領域抽出部106により、非文字画像データの抽出した図形領域を周辺画素で補完して、非文字画像データから写真領域データを抽出して、その位置情報とともに記憶部102に保存する。
【0029】
つぎに、画像処理装置1は、画像処理部107により、ステップS104で抽出した各領域データに対し領域種別に応じた画像処理を行う(S105〜S107)。
【0030】
図5は、本実施形態における画像処理装置1の文字領域処理の手順を示すフローチャートである。図5において、画像処理装置1は、記憶部102から文字領域データを読み出し、文字領域処理部107aにより文字領域データに対して前処理を施す(S201)。具体的には、文字領域処理部107aにより、抽出した文字領域データごとに文字色を検出し、文字領域データを二値化して1ビットデータに変換する。ついで、文字領域処理部107aにより、すべての文字領域データに対して画像サイズを算出し、画像サイズに従ってMMR圧縮またはFlate圧縮により各文字領域データを圧縮処理して、位置情報等とともに記憶部102に保存する。(S202〜S208)。すなわち、まず、処理対象となる文字領域番号nを初期化し(S202)、文字領域nの画像サイズSnを算出する(S203)。ついで、算出した文字領域nの画像サイズSnをしきい値と比較し(S204)、画像サイズSnがしきい値以上の場合には(S204のYES)、文字領域nをMMR圧縮により圧縮処理し(S205)、画像サイズSnがしきい値未満の場合には(S204のNO)、文字領域nをFlate圧縮により圧縮処理する(S206)。そして、文字領域番号nが最大値になるまで文字領域番号nをインクリメントし、すべての文字領域データに対して上記ステップS204〜S206を繰り返す(S207およびS208)。
【0031】
前述のとおり、MMR圧縮は画質、処理速度および圧縮率の点から総合的に見て文字画像領域に適した圧縮方式であるが、MMR圧縮により文字画像データに圧縮処理を施した場合、画像サイズが所定値未満の微小な文字画像データに対しては圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくなってしまう。一方、Flate圧縮は、文字領域データの圧縮においては画質、処理速度、圧縮率ともにMMR圧縮より劣るが、微小サイズの文字領域データに対しても圧縮効果が得られ、圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくなることはない。従って、MMR圧縮で文字領域データを圧縮した場合に圧縮処理の前後で画像サイズが逆転する値をしきい値として設定しておき、前記しきい値以上の画像サイズの文字画像データに対しては文字画像領域に適したデフォルトのMMR圧縮により圧縮処理を行い、前記しきい値未満の画像サイズの文字画像データに対しては、MMR圧縮に代えて圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくならないFlate圧縮により圧縮処理を行うことにより、圧縮方式の変更による画像劣化や処理速度の低下を最小限に留めて高い圧縮率で画像データを得ることができるものである。なお、ステップS204で用いるしきい値としては、具体的にはステップS201の二値化後の画像サイズで140〜250バイトが好ましいが、かかる範囲に限定されるものではない。
【0032】
さらに、図4において、図形領域処理として、図形領域処理部107bにより各図形領域データに対してスムージング処理、減色処理、解像度変換等を施した後、可逆圧縮処理の場合はFlate圧縮等、不可逆圧縮の場合はJPEG圧縮等を行い、位置情報とともに記憶部102に保存する(S106)。また、写真領域処理として、写真領域処理部107cにより写真領域データの解像度変換、スムージング処理等を行った後、JPEG等の非可逆圧縮処理を行い、位置情報とともに記憶部102に保存する。
【0033】
なお、上記文字領域処理(S105)、図形領域処理(S106)および写真領域処理(S107)の各画像処理は、いずれの順序で処理されるものであっても構わない。
【0034】
ついで、画像処理装置1は、領域合成部108により上記画像処理で得られた各領域データをそれぞれの位置情報をもとに合成して合成画像データを取得し、記憶部102に保存する(S108)。さらに、ファイル形式変換部109により、合成画像データを設定された出力ファイル形式に変換し(S109)、得られた出力ファイル(文書画像ファイル)を出力インタフェース部105およびコンピュータネットワーク4を介してファイルサーバ3に送信する(S110)。
【0035】
ファイルサーバ3は、コンピュータネットワーク4を介して画像処理装置1から出力ファイルを受信すると、受信したファイルをハードディスク等の記憶装置の所定のディレクトリに格納する。そして、コンピュータネットワーク4上の他の機器から当該ファイルの転送要求があると、格納した前記ファイルをコンピュータネットワーク4を介して前記他の機器に転送する。
【0036】
上記実施形態では、各文字領域データに対しMMR圧縮をするかFlate圧縮をするかを判断する際の画像サイズのしきい値を、MMR圧縮で文字領域データを圧縮した場合の圧縮処理前後の画像サイズが逆転する値とするものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、MMR圧縮とFlate圧縮とで文字領域データをそれぞれ圧縮処理した場合の圧縮処理後の画像サイズが逆転する値をしきい値とするものであってもよい。
【0037】
また、上記実施形態では、文字領域データの圧縮処理に対して画像サイズに応じてMMR圧縮またはFlate圧縮を切り替えて適用するものであったが、本発明はかかる態様に限定されるものではなく、文字領域データに対して上記と異なる圧縮方式の組み合わせを切り替えて適用するものであってもよいし、他の領域データに対して上記と同一または異なる圧縮方式の組み合わせを切り替えて適用するものであっても構わない。
【0038】
上記実施形態では、本発明の画像処理システムにかかる画像入力元装置をスキャナ、および画像出力先装置をファイルサーバとして説明したが、画像入力元装置は、本発明の画像処理装置が画像データを取得できる機器であれば特に限定されるものではなく、画像読取手段、画像データ作成手段、画像データ受信手段、画像処理手段、画像データ記憶手段等を有する機器、例えば、ファクシミリ装置、デジタル複写機等の多機能周辺機器(MFP)、デジタルカメラ、パソコン、ワークステーション、サーバ等であってもよい。また、画像出力先装置は、本発明の画像処理装置から取得した画像データを利用する装置であれば特に限定されるものではなく、画像形成手段、画像データ送信手段、画像処理手段、画像データ記憶手段等を有する機器、例えば、ファクシミリ装置、デジタル複写機、パソコン、ワークステーション、サーバ等であってもよい。さらに、本発明の画像処理装置は、上記各手段を有する専用装置の他、画像読取手段、画像データ作成手段、画像データ受信手段、画像データ送信手段、画像形成手段、画像データ記憶手段等と組み合わせて、スキャナ、デジタル複写機、ファクシミリ装置等の多機能周辺機器(MFP)、パソコン、ワークステーション、サーバ等のコンピュータ等として構成されてもよい。
【0039】
本発明による画像処理装置は、上記各手順を実行するための専用のハードウエア回路によっても、また、上記各手順を記述した所定のプログラムをCPUが実行することによっても実現することができる。後者により本発明を実現する場合、画像処理装置を動作させる上記所定のプログラムは、フレキシブルディスクやCD−ROM等のコンピュータ読取可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ROMやハードディスク等に転送され記憶される。また、このプログラムは、たとえば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像処理装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込んでもよい。
【0053】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、文書原稿を読み取って得られた画像データの文字、図形および写真領域をそれぞれ抽出して画像処理を施した後再合成して文書画像ファイルを作成する画像処理装置において、文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別のうちの特定の領域種別に属するとして抽出された領域データにデフォルトの圧縮方式、すなわち当該領域種別に適した圧縮方式により圧縮処理を施すと画像サイズが所定値(しきい値)未満の領域データにおいて圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくなってしまう場合に、予め、文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別のうちの特定の領域種別に属するとして抽出された各領域データの画像サイズを算出し、前記画像サイズ算出手段により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズが前記しきい値以上の場合、デフォルトの圧縮方式により圧縮処理を施し、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズが前記しきい値未満の場合、画像サイズが前記しきい値未満でも圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくならない圧縮方式により圧縮処理を施すので、圧縮方式の変更による画像劣化や処理速度の低下を最小限に留めて高い圧縮率で画像データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態にかかる画像処理装置を含む画像処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】 図1における画像処理装置1の構成を示すブロック図である。
【図3】 画像処理装置1による画像処理の一例を示した概念図である。
【図4】 画像処理装置1の画像処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】 画像処理装置1の文字領域処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…画像処理装置、
101…制御部、
102…記憶部、
103…操作部、
104…入力インタフェース部、
105…出力インタフェース部、
106…領域抽出部、
107…画像処理部、
107a…文字領域処理部、
107b…図形領域処理部、
107c…写真領域処理部、
108…領域合成部、
109…ファイル形式変換部、
110…バス、
2…スキャナ、
3…ファイルサーバ、
4…コンピュータネットワーク。

Claims (17)

  1. 画像データから文字領域、図形領域および写真領域を分離して抽出する領域抽出手段と、
    前記領域抽出手段により抽出された各領域データに文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別に応じた圧縮処理を施す領域圧縮手段と、
    前記領域圧縮手段により圧縮処理された各領域データを合成する領域合成手段とを有する画像処理装置であって、
    前記領域抽出手段により、文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別のうちの特定の領域種別に属するとして抽出された領域データのそれぞれの画像サイズを算出する画像サイズ算出手段をさらに有し、
    前記領域圧縮手段は、前記画像サイズ算出手段により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズがしきい値以上の場合第1の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施し、前記画像サイズ算出手段により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズが前記しきい値未満の場合第2の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施すことを特徴とする、
    画像処理装置。
  2. 前記第1の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前の画像サイズより大きくなるものであり、
    前記第2の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合でも圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくならないものである、
    請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記画像サイズ算出手段は、前記領域抽出手段により抽出された各文字領域データのそれぞれの画像サイズを算出し、
    前記領域圧縮手段は、前記画像サイズ算出手段により算出された画像サイズがしきい値以上の文字領域データに対しては第1の圧縮方式により圧縮処理を施し、前記画像サイズ算出手段により算出された画像サイズがしきい値未満の文字領域データに対しては第2の圧縮方式により圧縮処理を施す、請求項1または2に記載の画像処理装置。
  4. 前記第1の圧縮方式はMMR圧縮であり、前記第2の圧縮方式はFlate圧縮である、請求項3に記載の画像処理装置。
  5. 画像データから文字領域を抽出する第1段階と、
    前記第1段階で抽出された各文字領域データのそれぞれの画像サイズを算出する第2段階と、
    前記第2段階で算出され画像サイズがしきい値以上の文字領域データには圧縮方式としてMMR圧縮を選択し、前記第段階で算出され画像サイズがしきい値未満の文字領域データには圧縮方式としてFlate圧縮を選択する第3段階と、
    前記第3段階で選択された圧縮方式により前記各文字領域データに圧縮処理を施す第4段階と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  6. 前記第1の圧縮方式は、前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに対するデフォルトの圧縮方式である、請求項1または2に記載の画像処理装置。
  7. 画像データから文字領域、図形領域および写真領域を分離して抽出する段階(1)と、
    前記段階(1)で抽出された各領域データに文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別に応じた圧縮処理を施す段階(2)と、
    前記段階(2)で圧縮処理された各領域データを合成する段階(3)とを有する画像処理方法であって、
    前記段階(1)で、文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別のうちの特定の領域種別に属するとして抽出された領域データのそれぞれの画像サイズを算出する段階(4)をさらに有し、
    前記段階(2)は、前記段階(4)により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズがしきい値以上の場合第1の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施し、前記段階(4)により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズが前記しきい値未満の場合第2の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施すことを特徴とする、
    画像処理方法。
  8. 前記第1の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前の画像サイズより大きくなるものであり、
    前記第2の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合でも圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくならないものである、
    請求項7に記載の画像処理方法。
  9. 前記第1の圧縮方式は、前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに対するデフォルトの圧縮方式である、請求項7または8に記載の画像処理方法。
  10. 前記段階(4)は、前記段階(1)により抽出された各文字領域データのそれぞれの画像サイズを算出し、
    前記段階(2)は、前記段階(4)により算出された画像サイズがしきい値以上の文字領域データに対しては第1の圧縮方式により圧縮処理を施し、前記段階(4)により算出された画像サイズがしきい値未満の文字領域データに対しては第2の圧縮方式により圧縮処理を施す、請求項7〜9のいずれか1つに記載の画像処理方法。
  11. 前記第1の圧縮方式はMMR圧縮であり、前記第2の圧縮方式はFlate圧縮である、請求項10に記載の画像処理方法。
  12. 画像データから文字領域、図形領域および写真領域を分離して抽出する手順(1)と、
    前記手順(1)で抽出された各領域データに文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別に応じた圧縮処理を施す手順(2)と、
    前記手順(2)で圧縮処理された各領域データを合成する手順(3)とを画像処理装置に実行させる画像処理プログラムであって、
    前記手順(1)で、文字領域、図形領域および写真領域の各領域種別のうちの特定の領域種別に属するとして抽出された領域データのそれぞれの画像サイズを算出する手順(4)をさらに画像処理装置に実行させるものであり、
    前記手順(2)は、前記手順(4)により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズがしきい値以上の場合第1の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施し、前記手順(4)により算出された、前記特定の領域種別に属するとして抽出された一の領域データの画像サイズが前記しきい値未満の場合第2の圧縮方式により当該一の領域データに圧縮処理を施すことを特徴とする、
    画像処理プログラム。
  13. 前記第1の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前の画像サイズより大きくなるものであり、
    前記第2の圧縮方式は、圧縮処理前の画像サイズが前記しきい値未満であり前記特定の領域種別に属するとして抽出された領域データに適用した場合でも圧縮処理後の画像サイズが圧縮処理前より大きくならないものである、
    請求項12に記載の画像処理プログラム。
  14. 前記第1の圧縮方式は、前記特定の領域種別に属するとして抽出さ れた領域データに対するデフォルトの圧縮方式である、請求項12または13に記載の画像処理プログラム。
  15. 前記段階(4)は、前記段階(1)により抽出された各文字領域データのそれぞれの画像サイズを算出し、
    前記段階(2)は、前記段階(4)により算出された画像サイズがしきい値以上の文字領域データに対しては第1の圧縮方式により圧縮処理を施し、前記段階(4)により算出された画像サイズがしきい値未満の文字領域データに対しては第2の圧縮方式により圧縮処理を施す、請求項11〜13のいずれか1つに記載の画像処理プログラム。
  16. 前記第1の圧縮方式はMMR圧縮であり、前記第2の圧縮方式はFlate圧縮である、請求項15に記載の画像処理プログラム。
  17. 請求項12〜16のいずれか1つに記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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