JP3815128B2 - 脱毛装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は美容などを目的として体毛を除去する際に用いる脱毛装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の脱毛装置として、特許第2823316号公報やWO98/05234号などに円筒状の回転体の外周面に配した脱毛爪を回転体の回転に伴って開閉させるようにしたものが示されている。
【0003】
ここでの脱毛爪は、回転体の周方向において連続して均等に配置されており、回転体内に内装された開閉部材が回転体の軸方向に駆動されることで脱毛爪の開閉がなされるようになっているとともに、開閉部材の駆動は回転体を納めたハウジング側に設けているカムが回転体の回転に伴って開閉部材を押すことでなされるようにしてある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような構成の脱毛装置において脱毛効率を高めるにあたっては、回転体の周方向において複数の脱毛爪を設けるとともに、各脱毛爪における閉じて毛を挟持している期間を長くすればよいのであるが、脱毛爪の数を多くすれば、開閉部材の数も多くなり、そして周方向において配置する開閉部材の数が多くなれば、これら開閉部材の周方向における長さも短くしなくてはならず、結果的にカムが開閉部材を押して脱毛爪を閉じている期間が短くなってしまい、この結果、閉じた脱毛爪によって挟持固定された長い毛は、抜けてしまう前に脱毛爪が開いて解放されてしまって抜け残ったり毛切れが生じたりする。回転体の外径を大きくすれば、脱毛爪が閉じている期間を長くすることができるが、器具が大型化して使い勝手が悪くなる。
【0005】
本発明はこのような点に鑑みなされたものであって、その目的とするところは周方向に複数の脱毛爪を配したものにおいても脱毛爪が閉じている期間を長くすることができて毛切れや抜き残しを少なくすることができる脱毛装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
しかして本発明は、回転駆動される円筒状の回転体の外周面に配した複数の脱毛爪を回転体の回転に伴って駆動される開閉部材によって開閉させて脱毛を行う脱毛装置において、各脱毛爪を個別に開閉させる複数の開閉部材における隣接する開閉部材を径方向に重ねて配置していることに特徴を有している。各開閉部材の周方向の長さを長くして脱毛爪が閉じている期間を長くすることができるものである。
【0007】
この場合、開閉部材は回転体の軸方向に延びるとともに一端を脱毛爪との当接部、他端を回転体の脇に配したカムとの当接部としているスライドレバーとして形成されたものを好適に用いることができ、さらに複数本のスライドレバーは回転体の周方向に沿って配置されているとともに径方向にずれて配置されているものを好適に用いることができる。
【0008】
隣り合うスライドレバーは周方向の長さの約半分の長さが径方向において重なるものとすることもできる。
【0009】
また、隣り合うスライドレバーが周方向に対して交差して配置されているものとするのがよい。
【0010】
複数本のスライドレバー同士を一体に形成していてもよく、この場合、隣合うスライドレバー同士を回転体の軸方向に弾性を持たせた薄肉のヒンジ片で一体に連結したり、該ヒンジ片を回転体に取り付けていたりするとよい。
【0011】
さらに、複数本のスライドレバーの脱毛爪側の当接部は同一円周上に位置し、カム側の当接部は径方向において交互にずらせておくとよい。
【0012】
複数の脱毛爪は回転体の周方向と軸方向の両方向にずれて配設するのが好ましく、さらに、揺動自在に支持された可動爪を備えたものでは該可動爪は毛の挟持部と開閉部材による被駆動部との間に揺動支点を有しているものとするとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施の形態の一例に基づいて詳述すると、この脱毛装置は、図2〜図6に示すように、2つ割りで形成されたハウジング1と、同じく2つ割りで形成されてハウジング1内に納められているフレーム2と、フレーム2によって軸回りの回転が自在となるように支持されているとともにフレーム2に装着したモータ3によって軸回りに回転駆動される円筒状の回転体4と、該回転体4の一部を露出させる窓50が設けられているヘッドカバー5とからなるものとして形成されて上記回転体4の外周面に複数の脱毛爪7が配設されており、下端面に電源接続用のジャック部11を備えているハウジング1の外側面にはスイッチ10が配されている。
【0014】
モータ固定板20を介在させた状態で相互に連結固定される上記フレーム2には、モータ3の出力軸に取り付けたピニオン30と噛み合うギア31と、該ギア31に噛み合うとともに回転体4のギア部40と噛み合うギア32とが夫々軸21,22によって取り付けられている。モータ3の回転で回転体4が軸回りに回転するものである。なお、上記ギア列にはすば歯車や高歯歯車を使用して噛み合い率を2以上とするとギアの駆動音を小さくすることができる。図中23は2つ割のフレーム2を連結しているねじ、24はハウジング1内面に形成されたボス14が係合する係合穴である。
【0015】
フレーム2で両端が保持される軸49によって支持されている回転体4には、脱毛爪7,7の対が回転体7の周方向において等間隔に且つ回転体7の軸方向において少しずつずらされた状態で10個配設されている。また、本例における脱毛爪7は、いずれも回転体4の外周面に一体に設けられた固定爪45と、回転体4に取り付けた可動爪70とで構成したものとなっている。
【0016】
対をなしている脱毛爪7,7の可動爪70,70は、爪取付台73と支点板75とばね78、そして両可動爪70の孔71を通るとともに爪取付台73の孔74に挿通される軸77によってブロック化されたもので、回転体4の外周面に設けた凹所44内に上記ブロックを配置することで回転体4に取り付けられている。なお、軸77は回転体4の端面から差し込んでシール固定されるものとなっている。
【0017】
このように取り付けられた対の可動爪70,70は、図8に示すように、回転体4の固定爪45における凹所44側の面に設けた支点突起と上記支点板75とで挟まれた部分を支点として揺動自在に保持されるものであり、また間に位置する圧縮コイル型のばね78によって、可動爪70が固定爪45から離れる方向に付勢される。なお、上記支点板75は爪取付台73と一体であってもよい。
【0018】
そして、回転体4には軸方向に貫通する複数の孔42が同心円上に等間隔で設けられていて、脱毛爪7の開閉部材としてのスライドレバー81,82がこの孔42にスライド自在に取り付けられている。ここで、スライドレバー81は回転体4の一端側に配されて対をなしている2つの可動爪70,70のうちの一方に一端を当接させ、スライドレバー82は回転体4の他端側に配されて他方の可動爪70に一端を当接させるものであり、両スライドレバー81,82の各他端は、回転体4の両端面から夫々突出している。
【0019】
一方、フレーム2における回転体4用の軸49を受けている部分には、ローラ型のカム6が軸60によって回転自在に取り付けられている。このカム6は、回転体4が回転する時、回転体4の周方向に並んでいる複数本のスライドレバー81及びスライドレバー82の上記他端を順次押して回転体4の軸方向に動かすことで、可動爪70をばね78に抗して揺動させて、可動爪70と固定爪45とからなる脱毛爪7を閉じさせるのであるが、回転体4の一端側に配した複数本のスライドレバー81は、外周側にカム6との当接部83を持ったものと、内周側にカム6との当接部84を持ったものとが回転体4の周方向において交互に取り付けられており、回転体4の他端側に配した複数本のスライドレバー82は、外周側にカム6との当接部86を持ったものと、内周側にカム6との当接部85を持ったものとが回転体4の周方向において交互に取り付けられている。そして、スライドレバー81の当接部83と当接部84とは図9から明らかなように、半ピッチずれた状態で径方向において重なったものとなっており、他端側のスライドレバー82の当接部85,86も同じく半ピッチずれた状態で径方向において重なったものとなっている。
【0020】
このために、回転体4が回転することでカム6,6と接するスライドレバー81,82が回転体4の周方向において順次入れ替わって脱毛爪7を順次開閉していくにあたり、回転体4の周方向において隣合うスライドレバー81及びスライドレバー82がカム6に同時に接触する状態が、つまりは周方向において隣合う2つの脱毛爪7,7が共に閉じている状態が生じるようになっているものであり、この結果、回転体4の周方向において多くの脱毛爪7を配しているにもかかわらず、各脱毛爪7についてはその可動爪70と固定爪45とが接触する閉じた状態が長い期間保たれるものであり、従って脱毛爪7が閉じることで挟み込んだ長い毛を時間的にも距離的にも長く引っ張ることができ、このために長い毛も確実に引き抜くことができるものである。
【0021】
また、図9から明らかなように、隣合うスライドレバー81(スライドレバー82)は周方向における長さの約半分の長さが重なっており、一つおきのスライドレバー81(スライドレバー82)にカム6が接する時、その間にあるスライドレバー81(スライドレバー82)によって負荷変動を小さくすることができるようにしてある。
【0022】
なお、スライドレバー81,82のカム6側を径方向にずらしているのに対して、各スライドレバー81,82における可動爪70との当接部は、同じ円周上に位置して、支点を中心に揺動する可動爪70に対して同じ梃子比が作用するようにしてある。
【0023】
ところで、回転体4に対する複数の脱毛爪7の配置は前述のように周方向と軸方向の両方向においてずれた状態となるようにしているが、回転体4の端面から可動爪70までの距離は、総計10対の脱毛爪7に対して、5つの組み合わせ(La,LjとLb,LiとLc,LhとLd,LgとLe、Lf)となるようにしている。従って、スライドレバー81,82に共通のものを用いて部品数の削減を図ることができるようになっている。可動爪70の前後(回転体4の周方向両端)を固定爪45から遠ざかる方向に屈曲させた屈曲部72としているのは、可動爪70と固定爪45との間の空間への毛の導入効率を高くするだめである。
【0024】
図11に示すように、スライドレバー81、82として、カム6との当接部を回転体4の周方向に対して斜めに交差するものとすることによっても、脱毛爪7が閉じている期間を長くすることができる。
【0025】
図12に別の例を示す。これは外周側にカム6との当接部83(当接部86)を持ったスライドレバー81(スライドレバー82)を薄肉のヒンジ片88を介して一体に連結形成したものとするとともに、内周側にカム6との当接部84(当接部85)を持ったスライドレバー81(スライドレバー82)を薄肉のヒンジ片89を介して一体に連結形成したもので、組立性の向上を図ったものを示している。図示例のように、回転体4の端面に設けた段付きボス49に連結してシール止めすれば、スライドレバー81,82の抜け止めがなされることから、この点においても組立性を高めることができる。ボス49を段付きとしているのは、ヒンジ88,89の高さを規制するためである。なお、各ヒンジ片89は、回転体4の軸方向に弾性を有しているために、各スライドレバー81,82の独立した動きを妨げてしまうことはない。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、回転駆動される円筒状の回転体の外周面に配した複数の脱毛爪を回転体の回転に伴って駆動される開閉部材によって開閉させて脱毛を行う脱毛装置において、各脱毛爪を個別に開閉させる複数の開閉部材における隣接する開閉部材を径方向に重ねて配置しているために、各開閉部材の周方向の長さを長くして脱毛爪が閉じている期間を長くすることができるものであり、回転体の外径を大きくすることなく毛の引き抜き距離を長くすることができるために、毛切れや抜き残しが少なくて脱毛効率が良いものとすることができる。
【0027】
この場合、開閉部材は回転体の軸方向に延びるとともに一端を脱毛爪との当接部、他端を回転体の脇に配したカムとの当接部としているスライドレバーとして形成されたものとすることで、開閉部材の構成を簡単にできるとともに組立性もよくすることができる。
【0028】
さらに複数本のスライドレバーは回転体の周方向に沿って配置しているとともに径方向にずれて配置しているものとすることで、毛の引き抜き距離をより確実に長くすることができる。
【0029】
そして、隣り合うスライドレバーは周方向の長さの約半分の長さが径方向において重なるものとすることで、開閉部材の駆動負荷の変動が少ないものを得ることができる。
【0030】
また、隣り合うスライドレバーが周方向に対して交差して配置されているものとすると、各スライドレバーのカム側の当接部を同一形状とすることができて、スライドレバーの構成が簡単になる。
【0031】
複数本のスライドレバー同士を一体に形成しておけば、組立性が向上するものであり、隣合うスライドレバー同士を回転体の軸方向に弾性を持たせた薄肉のヒンジ片で一体に連結することでスライドレバーの動作をスムーズにすることができるとともに負荷変動を小さくすることができ、該ヒンジ片を回転体に取り付けておけば、回転体からのスライドレバーの抜け止めを行えるために組み立て性が向上する。
【0032】
さらに、複数本のスライドレバーの脱毛爪側の当接部は同一円周上に位置し、カム側の当接部は径方向において交互にずらせておくと、多数本のスライドレバーを備えたものにおいても、脱毛爪による毛の挟持力を等しくすることができる。
【0033】
複数の脱毛爪は回転体の周方向と軸方向の両方向にずらして配設しておくと、毛の脱毛効率を高めることができ、さらに、揺動自在に支持された可動爪を備えたものでは該可動爪は毛の挟持部と開閉部材による被駆動部との間に揺動支点を有しているものとすることで、脱毛爪の開閉の駆動負荷を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例の要部の斜視図である。
【図2】同上の横断面図である。
【図3】同上の平面図である。
【図4】同上の縦断面図である。
【図5】同上の縦断面図である。
【図6】同上の分解斜視図である。
【図7】同上の回転体と脱毛爪と開閉部材の分解斜視図である。
【図8】同上の要部の横断面図である。
【図9】同上の端面図である。
【図10】同上の脱毛爪の配置を示す展開図である。
【図11】他例の要部の端面図である。
【図12】さらに他例の分解斜視図である。
【図13】同上の端面図である。
【符号の説明】
4 回転体
7 脱毛爪
81 スライドレバー
82 スライドレバー

Claims (11)

  1. 回転駆動される円筒状の回転体の外周面に配した複数の脱毛爪を回転体の回転に伴って駆動される開閉部材によって開閉させて脱毛を行う脱毛装置において、各脱毛爪を個別に開閉させる複数の開閉部材における隣接する開閉部材を径方向に重ねて配置していることを特徴とする脱毛装置。
  2. 開閉部材は回転体の軸方向に延びるとともに一端を脱毛爪との当接部、他端を回転体の脇に配したカムとの当接部としているスライドレバーとして形成されていることを特徴とする請求項1記載の脱毛装置。
  3. 複数本のスライドレバーは回転体の周方向に沿って配置されているとともに径方向にずれて配置されていることを特徴とする請求項2記載の脱毛装置。
  4. 隣り合うスライドレバーは周方向の長さの約半分の長さを径方向において重ねていることを特徴とする請求項2または3記載の脱毛装置。
  5. 隣り合うスライドレバーは周方向に対して交差して配置されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかの項に記載の脱毛装置。
  6. 複数本のスライドレバー同士を一体に形成していることを特徴とする請求項2〜5のいずれかの項に記載の脱毛装置。
  7. 隣合うスライドレバー同士を回転体の軸方向に弾性を持たせた薄肉のヒンジ片で一体に連結していることを特徴とする請求項6記載の脱毛装置。
  8. ヒンジ片は回転体に取り付けられていることを特徴とする請求項7記載の脱毛装置。
  9. 複数本のスライドレバーの脱毛爪側の当接部は同一円周上に位置し、カム側の当接部は径方向において交互にずれていることを特徴とする請求項2〜8のいずれかの項に記載の脱毛装置。
  10. 複数の脱毛爪は回転体の周方向と軸方向の両方向にずれて配設されていることを特徴とする請求項1記載の脱毛装置。
  11. 脱毛爪は、揺動自在に支持された可動爪を備えるとともに、該可動爪は毛の挟持部と開閉部材による被駆動部との間に揺動支点を有していることを特徴とする請求項1または10記載の脱毛装置。
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