JP3814446B2 - 誘電体ペーストおよびセラミック回路基板の製法 - Google Patents

誘電体ペーストおよびセラミック回路基板の製法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック回路基板表面に、またはその表面に形成された表面導体の少なくとも一部を絶縁塗布膜で被覆するために用いられる誘電体ペースト、およびセラミック回路基板の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、セラミック回路基板の電気的絶縁性を保持するため、あるいは基板の表面に形成された表面導体の保護、半田によるショート防止やマイグレーションの防止等のため、表面導体を絶縁膜により被覆することが行われている。
【0003】
近年、電子部品の小型化、実装の高密度化に伴い、配線導体等の表面導体の微細化、表面導体同士の間隔の狭小化が進んでいる。このように、表面導体の幅や間隔が狭小になるにつれて、それを被覆するための絶縁膜にも厳しい寸法精度が要求される。絶縁膜の寸法精度を良くするためには、それを形成するための誘電体ペーストの印刷性を改善することが必要不可欠である。
【0004】
従来、スクリーン印刷において、絶縁塗布膜の表面状態(レベリング性)を良くするために、誘電体ペースト中の溶剤量を多くし、固形分比率を下げ、誘電体ペーストの粘度を低くして、誘電体ペーストに流動性を持たせる方法が一般的に行われてきた。
【0005】
しかしながら、このような方法では、誘電体ペーストの粘度が低いため、誘電体ペースト塗布時に横に広がり、表面導体を被覆するための十分な絶縁膜厚が得られず、表面導体が剥き出しになったり、表面導体間が絶縁不良となったり、さらには焼成後に絶縁膜にクラックが発生するという問題があった。
【0006】
また、スクリーンメッシュの交差部分には誘電体ペーストが回り込みにくいため、表面導体を被覆する絶縁膜にクラックやピンホール等の欠陥が生じ、表面導体間の絶縁信頼性が得られないという問題があった。また、微細表面導体間の凹部には誘電体ペーストが入り込みにくく、塗布不良となり、表面導体間の絶縁性が低下するという問題があった。そして、これらの問題は、誘電体ペーストにおいて、有機ビヒクルに対する誘電体粉末の分散性、被印刷物に対する誘電体ペーストの濡れ性に起因するものであり、これらの適正化により改善することができる。
【0007】
このような有機ビヒクルに対する粉末の分散性、被印刷物に対する誘電体ペーストの濡れ性を改善したものとして、特開平10−12403号公報に開示された厚膜用誘電体ペースト組成物が知られている。
【0008】
この公報に開示された誘電体ペーストでは、有機ビヒクル中に、エチルヘキサンジオール、トリメチルペンタジオール、ブチルエチルプロパンジオール等の多価アルコールを(0. 01〜5重量%)含有することにより、誘電体ペーストのチクソトロピー性が高く、レベリング性が良く、印刷塗布後の絶縁塗布膜にメッシュ痕跡による凹凸が残らないという特徴を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された厚膜用誘電体ペースト組成物では、無機原料粉末に、例えば、MgTiO3 系や、MgTiO3 −CaTiO3 系誘電体粉末等を用いた場合、粉末中のMgおよびCa等のアルカリ土類金属がイオン化し、これらのイオンが介在してバインダーの凝集が起こり、誘電体ペーストが増粘化し、印刷が困難になるという問題があった。
【0010】
また、誘電体ペーストの増粘化を抑制するために溶剤等を添加することが考えられるが、上記したように、固形分比率の低下を生じ、これにより、絶縁膜の信頼性を損なうという問題があった。
【0011】
さらに、誘電体ペーストの増粘化を抑制するために、分散剤等を添加した場合、この分散剤と多価アルコールが反応して、界面活性効果を相殺するという問題があった。
【0012】
本発明は、アルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体粉末を、誘電体ペースト中に含有する場合であっても、2種の界面活性剤を誘電体ペースト中に含有せしめることにより、イオン化したアルカリ土類金属とバインダーの反応を抑制して、有機ビヒクルに対する誘電体粉末の分散性を向上し、被印刷物に対する誘電体ペーストの濡れ性を向上することにより、(静)粘度が高く、チクソトロピー性が大きい誘電体ペーストを提供でき、膜厚が厚く、寸法精度の良い、信頼性の高い絶縁膜を得ることができる誘電体ペーストおよびセラミック回路基板の製法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体ペーストは、【請求項1】金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末と、有機ビヒクルと、前記誘電体粉末を有機ビヒクルに分散させるリン酸エステル系の第1界面活性剤と、エーテル系の非イオン性の第2界面活性剤とを含有するものである。
【0014】
このような構成を採用することにより、誘電体ペースト中に、金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末を含有する場合であっても、第1界面活性剤により、誘電体粉末を有機ビヒクル中に十分に分散でき、しかも第2界面活性剤により、基板や表面導体等の被印刷物との濡れ性を向上することができる。
【0015】
これにより、バインダーの凝集を防止でき、印刷を容易に行うことができるとともに、例えば、基板表面に形成された表面導体を被覆するように、誘電体ペーストを塗布する場合に、誘電体ペーストの粘度を高くすることにより、塗布面積を最小限に抑制できるとともに、誘電体ペーストの粘度を高くしても、誘電体粉末を有機ビヒクル中に良好に分散できるため、誘電体ペーストの増粘化を抑制でき、さらに第2界面活性剤により、基板や表面導体等の被印刷物との濡れ性を向上できるため、クラック、ピンホール等の欠陥のない絶縁膜を得ることができる。
【0016】
また、第1界面活性剤がリン酸エステル系の界面活性剤であり、第2界面活性剤がエーテル系の非イオン界面活性剤とされている。このような構成を採用することにより、誘電体粉末を有機ビヒクル中に良好に分散でき、誘電体ペーストの増粘化を抑制できるとともに、粘度を高くすることにより誘電体ペーストの塗布面積をさらに抑制でき、また、被印刷物との濡れ性を向上して、クラックやピンホール等の欠陥や、表面導体間の凹部への塗布不良を無くすことができる。
【0017】
さらに、第1界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値を8〜17とし、第2界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値を7〜11とすることが望ましい。このような構成を採用することにより、界面活性剤の添加量ヲ少なくすることができ、ペースト粘度の低下を防止できる。
【0018】
また、誘電体粉末100重量部に対して、第1界面活性剤を2〜7重量部、第2界面活性剤を3〜9重量部添加含有してなることが望ましい。このような構成を採用することにより、界面活性の効果が得られる、かつペースト粘度の低下を防止できる。
【0019】
さらに、本発明のセラミック回路基板の製法は、金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末からなるセラミック層成形体を複数積層してなる積層成形体と、該積層成形体の表面および/または前記積層成形体表面に形成された表面導体上に、上記した誘電体ペーストを印刷して形成された絶縁塗布膜とを具備した回路基板成形体を焼成する方法である。このような製法を採用することにより、基板と絶縁塗布膜を同時焼成した場合でも、ピンホール等の欠陥がない信頼性の高い絶縁膜を有する基板を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の誘電体ペーストは、金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末と、有機ビヒクルと、前記誘電体粉末を有機ビヒクルに分散させる第1界面活性剤と、この第1界面活性剤とは異なる種類からなり、被印刷物との濡れ性を向上する第2界面活性剤とを含有するものである。
【0021】
金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末としては、MgTiO3 系、MgTiO3 −CaTiO3 系、SrTiO3 系、BaTiO3 系等の誘電体粉末があるが、そのうちMgTiO3 系、MgTiO3 −CaTiO3 系が望ましい。
【0022】
誘電体粉末としては、特に、MgTiO3 粉末78〜100重量%と、CaTiO3 粉末0〜22重量%とからなる主成分100重量部に対して、B2 3 粉末3〜20重量部と、アルカリ金属炭酸塩粉末(Li2 CO3 、Na2 CO3 、K2 CO3 )を合計で1〜10重量部と、SiO2 粉末0.01〜5重量部と、さらにアルカリ土類金属酸化物粉末(MgO、CaO、SrO、BaO)を合計で0.1〜5重量部とを含むことが望ましい。
【0023】
また、有機ビヒクルは、有機溶剤および有機バインダーを含むものであるが、有機溶剤としては、α−テルピネオールと2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレートが望ましく、有機バイダーとしては、エチルセルロースが望ましい。そして、有機ビヒクルは、ペーストの固形分比率を高くし、かつ印刷性を向上するという点から、誘電体ペースト全量中20〜30重量%が望ましく、また、有機ビヒクル中の有機溶剤は、有機ビヒクル中91〜97重量%、有機バインダーは3〜9重量%であることが望ましい。
【0024】
誘電体粉末を有機ビヒクルに分散させる第1界面活性剤(分散剤)と、この第1界面活性剤とは異なる種類からなり、被印刷物との濡れ性を向上する第2界面活性剤の2種の界面活性剤を用いたのは、界面活性の対象となる2つの物質(例えば、固体と液体)の組み合わせが異なれば、それらに対応する最適な界面活性剤が異なるからである。
【0025】
そして、誘電体粉末を有機ビヒクルに分散させる第1界面活性剤としてはリン酸エステル系の界面活性剤が用いられる。これは、MgTiO系や、MgTiO−CaTiO系誘電体粉末等を用いた場合、粉末中のMgおよびCa等のアルカリ土類金属がイオン化し、これらのイオンが介在してバインダーの凝集が生じ、誘電体ペーストが増粘化する傾向があるが、この現象に対して、酸系の界面活性剤、とりわけリン酸エステル系の界面活性剤を少量添加することにより、有機ビヒクル中に誘電体粉末を有効に分散できるからである。
【0026】
また、基板や表面導体等の被印刷物との濡れ性を向上する第2界面活性剤としては、エーテル系の非イオン界面活性剤が用いられる。これは、非イオン性の界面活性剤は、もう1つの界面活性剤であるリン酸エステル系の界面活性剤に対して、界面活性効果を相殺しないものであり、とりわけエーテル系の非イオン界面活性剤は少量で界面活性の効果を発揮するからである。
【0027】
本発明の誘電体ペーストでは、第1界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値が8〜17であり、第2界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値が7〜11であることが望ましい。このような範囲に設定することにより、誘電体ペーストの粘度の低下を有効に防止して、ピンホール、クラック等の発生を防止できるとともに、誘電体粉末の凝集を有効に防止できるからである。
【0028】
第1界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値を8〜17としたのは、第1界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値が8未満になると、親水基の比率が小さくなり過ぎるため、誘電体粉末を有機ビヒクルに分散させるための第1界面活性剤の量が多くなる傾向にあり、誘電体ペーストの粘度が低下して、ピンホール、クラック等の欠陥が生じ易くなるからである。
【0029】
また、第1界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値が17を超えると親油基の比率が小さくなり過ぎるため、有機ビヒクル中の有機バインダーとの結びつきが弱くなり、誘電体粉末が凝集する傾向にある。第1界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値は、ピンホール、クラック等の欠陥を抑制し、誘電体粉末を有効に分散するという点から、9〜16が好ましい。
【0030】
また、本発明の誘電体ペーストでは、第2界面活性剤のH.L.B.値を7〜11とすることが望ましい。これは、絶縁膜のピンホールやクラック等の欠陥を抑制し、かつパターンのダレ広がりを抑制できるからである。
【0031】
一方、第2界面活性剤のH.L.B.値が7未満になると、親水基の比率が小さくなり、被印刷物に対する誘電体ペーストの濡れ性が悪くなり、ピンホールや凹部の塗布不良等の欠陥が生じやすくなり、11を超えると濡れ性が良くなり過ぎ、パターン精度が悪化し易いからである。とりわけ、印刷性の観点から、第2界面活性剤のH.L.B.値は8〜10であることが望ましい。
【0032】
また、本発明の誘電体ペーストでは、誘電体粉末100重量部に対して、第1界面活性剤を2〜7重量部、第2界面活性剤を3〜9重量部添加含有することが望ましい。これは、界面活性の効果が得られ、かつ、ペースト粘度の低下を防止できるからである。
【0033】
第1界面活性剤を、誘電体粉末100重量部に対して2〜7重量部含有することが望ましいが、これは、2重量部よりも少ない場合には有機ビヒクルに対する誘電体粉末の分散が悪化し、粉末が凝集し、ペースト状態が得られにくくなるからである。一方、7重量部を超えると、第1界面活性剤が過剰となり、誘電体ペーストの粘度が下がり、印刷精度が悪くなる。とりわけ、誘電体ペーストの性状と印刷性の観点から、第1界面活性剤を、誘電体粉末100重量部に対して3〜6重量部含有することが望ましい。
【0034】
また、第2界面活性剤を、誘電体粉末100重量部に対して3〜9重量部添加含有したのは、3重量部未満になると、被印刷物に対する誘電体ペーストの濡れ性が悪くなり易く、ピンホール、クラック等の欠陥や凹部への塗布不良が生じる易くなるからであり、9重量部を超えると濡れ性が良くなり過ぎ、印刷精度が悪化する傾向にあるからである。とりわけ、第2界面活性剤は、誘電体粉末100重量部に対して、印刷性の観点から4〜8重量部含有することが望ましい。
【0035】
本発明のセラミック回路基板の製法は、金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末からなるセラミック層成形体を複数積層してなる積層成形体と、該積層成形体の表面および/または前記積層成形体表面に形成された表面導体上に、上記した誘電体ペーストを印刷して形成された絶縁塗布膜とを具備した回路基板成形体を、焼成する製法である。
【0036】
本発明の誘電体ペーストの製造方法は、例えば、MgTiO3 −CaTiO3 系誘電体粉末に、有機バインダーと有機溶剤を添加し、さらに、2種類の異なる界面活性剤を添加して、撹拌した後、粉末及び有機バインダーの凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合し、ペースト化されるものである。
【0037】
表面導体や内部導体等の導体としては、Agおよび/またはCuを主成分とするもの、例えば、Ag、Cu、あるいはAg、Cuに対して、ガラス成分、セラミック成分、Pt、Pd等の金属を添加したものも含まれる。
【0038】
本発明のセラミック回路基板の製造方法を具体的に説明すると、例えば、MgTiO3 とCaTiO3 を主成分とする誘電体粉末と、有機バインダー、有機溶剤を添加してなるスラリーを、ドクターブレード法により薄層化し、基板用のグリーンシートを作製し、該グリーンシート上に、スクリーン印刷により、上記したAg等を主成分とする導電性ペーストで導体パターンを形成し、この導体パターンが形成されたグリーンシートを複数積層し、積層成形体を作製する。
【0039】
この積層成形体上に、スクリーン印刷により、上記したAg等を主成分とする導電性ペーストで表面導体用の導体パターンを形成し、さらに、スクリーン印刷により、上記の誘電体ペーストを用いて、表面導体用の導体パターンの少なくとも一部を覆うように絶縁塗布膜を形成し、回路基板成形体を作製し、一体焼成してセラミック回路基板を得る。
【0040】
図1に本発明の製法により作製されたセラミック回路基板を示す。図1において、符号10はセラミック回路基板であり、このセラミック回路基板10は、基板(積層体)1と、基板1の表面に形成された表面導体2、基板1の内部に形成された内層導体3、ビアホール導体4、及び表面導体2の一部を被覆する絶縁膜5から構成されている、
基板1は、例えば、7層の絶縁体層1a〜1gからなり、その層1a〜1g間には内層導体3が形成されている。また絶縁体層1a〜1gにはその厚み方向に内層導体3間を接続するため、また内層導体3と表面導体2とを接続するためのビアホール導体4が形成されている。
【0041】
本発明のセラミック回路基板は、基板1表面の表面導体2の一部または全部を絶縁膜5が被覆していれば良く、セラミック回路基板は、内部配線、内部導体、内部電極を有する積層体であっても良く、また、内部に内部配線、内部導体、内部電極が形成されていなくても良い。
【0042】
以上のように構成された誘電体ペーストでは、誘電体ペースト中に、金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末を含有する場合であっても、第1界面活性剤により、誘電体粉末を有機ビヒクル中に十分に分散でき、しかも第2界面活性剤により、基板や表面導体等の被印刷物との濡れ性を向上することができる。
【0043】
これにより、誘電体粉末同士の凝集や、バインダー同士の凝集を防止でき、印刷を容易に行うことができるとともに、例えば、基板表面に形成された表面導体の一部を被覆するように、誘電体ペーストを塗布する場合に、誘電体ペーストの粘度を高くすることにより、塗布面積を最小限に抑制できるとともに、誘電体ペーストの粘度が高くても、誘電体粉末を有機ビヒクル中に良好に分散できるため、誘電体ペーストの増粘化を抑制でき、さらに第2界面活性剤により、基板や表面導体等の被印刷物との濡れ性を向上できるため、基板との濡れ性が向上し、クラック、ピンホール等の欠陥のない絶縁膜を得ることができる。
【0044】
尚、本発明の誘電体ペーストでは、界面活性剤の種類は2種以上であれば良く、効果を相殺しない範囲で複数種の界面活性剤を含有しても良い。
【0045】
【実施例】
原料として純度99%以上の、MgTiO3 粉末95重量%とCaTiO3 粉末5重量%からなる主成分粉末と、この主成分粉末100重量部に対して、B2 3 粉末12重量部とアルカリ金属炭酸塩粉末(Li2 CO3 、Na2 CO3 、K2 CO3 )6重量部とSiO2 粉末1重量部と、さらにアルカリ土類金属酸化物粉末(MgO、CaO、SrO、BaO)2重量部からなる混合粉末を秤量し、純水を媒体とし、ZrO2 ボールを用いたボールミルにて20時間湿式混合した。
【0046】
次に、この混合物を乾燥(脱水)し、800℃で1時間仮焼した。この仮焼物を、粉砕粒径が1.0μm以下になるように粉砕し、誘電体粉末を作製する。得られた誘電体粉末100重量部に対して、有機バインダーとしてエチルセルロース2重量部と、有機溶剤として2・2・4−トリメチル−3・3−ペンタジオールモノイソブチレート16重量部と、α−ターピネオール16重量部の混合物と、顔料(Co3 4 )1重量部を添加し、さらに、リン酸エステルからなる第1界面活性剤と、エーテルからなる第2界面活性剤を、表1に示す割合となるように添加し、誘電体粉末および有機バインダーの凝集体がなくなるまで3本ロールミルで混合し、ペースト化し、絶縁膜用の誘電体ペーストを作製した。
【0047】
次に、MgO、CaO、TiO2 、B2 3 、Li2 CO3 からなる組成物95重量%、ガラス成分としてホウケイ酸アルカリ土類ガラス5重量%を用い、これに上記した有機バインダー、有機溶剤を添加してなるスラリーを、ドクターブレード法により薄層化し、基板用のグリーンシートを作製し、このグリーンシートを複数積層して、積層成形体を作製した。
【0048】
この後、グリーンシート上に、ライン幅が75μm、スペース間隔が75μmとなる導体をAgからなる導電性ペーストを用いて形成し、それを上記した誘電体ペーストで被覆し、このグリーンシートを上記積層成形体の上面に積層し、回路基板成形体を作製した。その後、大気中400℃で脱バインダー処理し、さらに910℃で焼成し、セラミック回路基板を作製した。第1界面活性剤および第2界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値については、疎水基と重合している親水基の重合度を変えることにより、H.L.B.値を変化させた。H.L.B.値については、H.L.B.値=7+11.7×log(Mw/Mo)により求めた(Mw:親水基の分子量、Mo:親油基の分子量)。
【0049】
焼成後の基板において、絶縁膜を金属顕微鏡(倍率100倍)で観察し、ピンホールやクラックの有無、表面導体間の凹部への印刷不良の有無、絶縁膜のパターン広がりを評価した。その結果を表1に記載した。また、基板を断面で破断し、導体パターン上の絶縁膜の厚みを測定し、その結果を表1に記載した。さらに、パターンの広がりを側微計を用いて測定し、パターン設計値に対して+10μm以上のものを不良(×)として判断した。
【0050】
【表1】
Figure 0003814446
【0051】
この表1から、本発明の誘電体ペーストを用いることにより、ピンホールやクラック等の欠陥、凹部への膜形成不良がなく、印刷精度の良い、良好な絶縁膜が得られることがわかる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の誘電体ペーストおよびセラミック回路基板の製法では、誘電体ペースト中に、金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末を含有する場合であっても、第1界面活性剤により、誘電体粉末を有機ビヒクル中に十分に分散でき、しかも第2界面活性剤により、基板や表面導体等の被印刷物との濡れ性を向上することができる。
【0053】
これにより、誘電体粉末同士の凝集や、バインダー同士の凝集を防止でき、印刷を容易に行うことができるとともに、誘電体ペーストの粘度を高くすることにより、塗布面積を最小限に抑制できるとともに、誘電体ペーストの粘度を高くしても、誘電体粉末を有機ビヒクル中に良好に分散できるため、誘電体ペーストの増粘化を抑制でき、さらに第2界面活性剤により、基板や表面導体等の被印刷物との濡れ性を向上できるため、基板との濡れ性が向上し、クラック、ピンホール等の欠陥のない絶縁膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製法により得られたセラミック回路基板を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・基板(積層体)
2・・・表面導体
3・・・内層導体
4・・・ビアホール導体
5・・・絶縁膜
10・・・セラミック回路基板

Claims (4)

  1. 金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末と、有機ビヒクルと、前記誘電体粉末を有機ビヒクルに分散させるリン酸エステル系の第1界面活性剤と、エーテル系の非イオン性の第2界面活性剤とを含有することを特徴とする誘電体ペースト。
  2. 第1界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値が8〜17であり、第2界面活性剤の親水親油バランスH.L.B.値が7〜11であることを特徴とする請求項記載の誘電体ペースト。
  3. 誘電体粉末100重量部に対して、第1界面活性剤を2〜7重量部、第2界面活性剤を3〜9重量部含有することを特徴とする請求項1又は2記載の誘電体ペースト。
  4. 金属元素として少なくともアルカリ土類金属およびTiを含有するペロブスカイト型複合酸化物を主成分とする誘電体粉末からなるセラミック層成形体を複数積層してなる積層成形体と、該積層成形体の表面および/または前記積層成形体表面に形成された表面導体上に、請求項1乃至のうちいずれかに記載の誘電体ペーストを塗布して形成された絶縁塗布膜とを具備した回路基板成形体を、焼成することを特徴とするセラミック回路基板の製法。
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