JP3814346B2 - 一眼レフカメラにおける絞り制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ミラーアップ機能を有するフォーカルプレンシャッタ一眼レフカメラにおける絞り制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
元来、フォーカルプレンシャッタはフィルム面の直前に位置して撮影レンズ系との直接の関連がほとんどないため、レンズ交換が可能な一眼レフカメラに広く用いられている。今日一般に用いられているフォーカルプレンシャッタは、先幕,後幕との間にスリットを形成し、画面の一端から他端へスリットを走らせ、そのスリット幅を種々に変更して露出時間を変えるようにしたものであり、幕走行後は、先幕と後幕が所定長重なって巻き上げられる。
【0003】
このようなフォーカルプレンシャッタは画面の長辺方向に走る横走り方式と短辺方向に走る縦走り方式とに大別される。横走り方式は、先幕と後幕が1枚ずつの遮光幕で構成され、巻上げ前には後幕が、巻上げ後には先幕がそれぞれフィルム面を遮光し、画面外でも先幕と後幕とは所定長の重なりを形成しているので、漏光のおそれはきわめて低い。
【0004】
一方、縦走り方式は、金属または合成樹脂の薄板からなる先羽根及び後羽根がそれぞれ複数板に分割され、それぞれの羽根が重なってフィルム面を遮光しているので、画面枠内には常時羽根の重なり部が存在し、長時間直射光線にさらされるとフィルム面に漏光するおそれがある。しかし、これを一眼レフカメラに用いた場合には、シャッタ面の手前にミラーが存在し、これがシャッタ面への長時間の直射光線の照射を防止して通常の状態では漏光のおそれはなく、充分に使用に耐えるものとなる。
【0005】
この縦走り方式のフォーカルプレンシャッタは、羽根が画面の短辺方向に走るため、全開時間が短くなってストロボとの同調速度を早くすることができ、日中シンクロの性能を向上させることができるとともに、ユニット化が容易でカメラの生産性が良好となるなどの長所があり、今日の35mm判一眼レフカメラのほとんどに採用されるようになってきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の縦走りフォーカルプレンシャッタを用いた一眼レフカメラにあって、撮影時のミラー跳上げに伴うショックを防止するためのミラーアップ機能を有するものでは、ミラーの上昇により撮影レンズを通過した光線が直接シャッタ面に到達するので、ミラーアップが長時間になるとフィルム面への漏光のおそれが生じる。
【0007】
特に、最近の縦走りフォーカルプレンシャッタは、コンパクト化のために、羽根と羽根との重なりを可能な限り少なくするとともに、高速性能を向上させるために羽根に、合成樹脂を用いるようになってきたので、漏光の可能性がますます増える傾向にある。さらに、これを例えばセミ判等の中判カメラに用いた場合には、各羽根が大きくなってその平面性の保持が難しくなり、ミラーアップ時の漏光防止は著しく困難となる。
【0008】
このようなミラーアップ時の漏光対策の一つとして、フォーカルプレンシャッタとミラーとの間に遮光板を回動可能に設け、ミラーアップ時にこの遮光板により撮影レンズからの直射光線を遮光し、撮影時には遮光板を跳ね上げた後、フォーカルプレンシャッタを作動させる方法がある。さらに、ミラーアップ時には通常撮影レンズの絞りも所要の値に絞り込まれているので、撮影レンズ通過光線も少なくなって漏光防止効果が高められる。
【0009】
しかし、このような方法では、撮影時に遮光板の跳上げによるショックが作用して折角のミラーアップの効果が相殺され、同時に、ミラーとフォーカルプレンシャッタとの間の狹小なスペースに遮光板とその駆動機構を設けなければならず、構成が複雑化するという問題点がある。また、撮影レンズの絞りも常時最小絞り近くまで絞り込まれるものではないので、絞りによる減光効果を過大に期待することはできない。
【0010】
上記の問題点を解決する方法として、シャッタ作動時に後羽根がフィルム面を遮光した後に先羽根が後羽根に重なるように逆戻りして先羽根と後羽根の両方でフィルム面を遮光するようにしたものも現れている。
しかし、このような逆戻り方式の縦走りフォーカルプレンシャッタにあっては、羽根の駆動機構が複雑化してシャッタユニットも大きくなり、生産コストが高騰化するという問題点がある。
【0011】
以上、縦走りフォーカルプレンシャッタにおける漏光のみを述べたが、横走りフォーカルプレンシャッタにおいても、ミラーアップが長時間に及ぶ場合には、幕周辺から回り込む光線により光洩れを生じるおそれがある。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でミラーアップ時のフィルムへの漏光を防止し得る一眼レフカメラの絞り制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記の目的を達成するため、レリーズボタンの押圧操作に先立ってミラーアップレバーを操作することによってミラーアップを行なうミラーアップ機能を有するフォーカルプレンシャッタ付きの一眼レフカメラにおいて、上記ミラーアップレバーの操作によるミラーアップ時にミラーアップ信号を発生するミラーアップスイッチと、前記ミラーアップ信号の発生に応じて撮影レンズの絞りを少なくとも最小絞り口径に絞り込む制御手段とを設けた一眼レフカメラにおける絞り制御装置を提供するものである。
上記制御手段は、上記ミラーアップ信号の発生に応じて上記撮影レンズの絞りを全閉状態にするのが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態を示す機能ブロック図、図2は、その作動状態を示すフロー図、図3はこの発明を実施した一眼レフカメラの主要構成要素を示す説明図である。
【0014】
まず、図3を参照してこの発明を実施した一眼レフカメラの概略構成を説明する。このカメラは、セミ判(4.5×6cm)の一眼レフカメラであり、カメラ本体1、その前面のレンズマウント部11に交換可能に装着される撮影レンズ2、カメラ本体1の上面に交換可能に装着されるファインダ3、カメラ本体1の後面に交換可能に装着されるフィルムバック4により構成される。
【0015】
カメラ本体1の後部には、大型のシャッタユニットからなる縦走りのフォーカルプレンシャッタ12が内蔵され、その前方にミラー13が回動自在に斜在している。カメラ本体1の上部には、交換可能な焦点板14を装着し、絞り21を有する撮影レンズ2を通過してミラー13により垂直に折り曲げられた光線を焦点板14上に結像させる。
【0016】
焦点板14上のファインダ像はファインダミラー31により再び反射して撮影レンズ2の光軸Aと平行となり、図示しないケプラタイプのリレーレンズ及び接眼レンズによって正立正像となって接眼部32から覗視することができる。また、カメラ本体1の側面には些細なミラーショックをも防止するためのミラーアップレバー15が、前面にはレリーズボタン16がそれぞれ設けてある。
【0017】
撮影レンズ2の絞り21の口径調節は、鏡筒に内蔵したステッピングモータ22により減速歯車機構23を介して行われる。この絞り21は、全閉状態に絞り込み可能な公知の絞り羽根を有するものを用いるのが好ましいが、最小絞り例えばF22までしか絞り込めない通常の絞り羽根を有するものでも差支えない。
【0018】
また、この撮影レンズ2には、カメラ本体1のレンズマウント部11に設けた情報伝達用のカメラ本体側接点17に接続されるレンズ側接点24が設けてあり、カメラ本体1からの指令により、例えばミラー上昇作動に関連してステッピングモータ22を作動させ、所要の絞り口径にまで絞り込むことができる。なお、ミラーアップレバー15をミラーアップ位置へ操作した場合には、通常撮影時の絞り作動と無関係に、カメラ本体1側の指令によりステッピングモータ22を作動させて絞り21を最小絞り口径または全閉状態にまで絞り込むようにする。
【0019】
図1は、上記の絞り制御関連の各構成要素を機能別に示したブロック図である。マイコン制御の制御手段10には、レンズ装着により接続されるカメラ本体1側の接点17と撮影レンズ2側の接点24を通じて閉成される情報伝達用のレンズ装着スイッチ27からの信号と撮影レンズ2の絞り位置センサ25からの信号が入力される。
【0020】
ミラーアップレバー15がミラーアップ位置へ操作されると、ミラー13が跳ね上がり、ミラーアップスイッチ18が閉成されてミラーアップ信号が発生し、その信号が制御手段10に入力されると、制御手段10からの指令が絞り駆動モータドライバ26に出力されて絞り駆動用のステッピングモータ22を作動させ、絞り21を最小絞り口径あるいは全閉状態に絞り込むことができる。
【0021】
次に、このような構成からなる実施形態の作用を主として図2の(a),(b)を参照して説明する。
カメラ本体1の巻上げ操作完了後に、レリーズボタン16の押圧操作に先立ちミラーアップレバー15をミラーアップ(M.UP)位置へ操作すると、ミラー13が上昇してミラーアップスイッチ18がオンとなり、ミラーアップ信号が発生する。
【0022】
ここで、図2の(a)に示すように、制御手段10がミラーアップ信号を検出すると、絞り位置センサ25からの信号により絞り状態が検出され、絞り駆動モータドライバ26を介して撮影レンズ2の絞り21を全閉あるいは最小絞り口径にまで絞り込んでフォーカルプレンシャッタ12からの漏光を防止する。
この状態でレリーズボタン16を押圧すると、絞り21を所要の絞り口径にまで開かせた後、フォーカルプレンシャッタ12が作動してフィルム面に露光される。シャッタ作動が終るとミラー13はミラーアップ状態を保ったまま、絞り21が再び全閉あるいは最小絞り口径となる。
【0023】
また、上記のミラーアップ状態からミラーアップレバー15を操作してミラーアップを解除すると、図2の(b)に示すように、制御手段10がミラーアップ信号が検出できないことを確認した後、絞り状態を検出し、ステッピングモータ22を作動させて絞り21を全開させて通常の状態に復帰する。
この状態でレリーズボタン16を押圧すると、ミラー13が跳ね上げられ、絞り21を所要の絞り口径まで絞り込んだ後、フォーカルプレンシャッタ12が作動し、シャッタ作動が終るとミラー13が復帰するとともに絞り21が全開となって通常の撮影態勢となる。
【0024】
なお、上記の実施形態では、この発明をセミ判の縦走りフォーカルプレンシャッタを有する一眼レフカメラに実施した場合について説明したが、この発明はそれに限るものではなく、35mm判や横走りフォーカルプレンシャッタを有する一眼レフカメラにも何ら支障なく実施することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明による一眼レフカメラにおける絞り制御装置は、ミラーアップ時には撮影レンズの絞りを少なくとも最小絞り口径に絞り込む制御手段を設けたので、ソフトの絞りを作動させるシーケンスを変更するだけで従来のフォーカルプレンシャッタや絞り駆動手段を複雑化することなく、且つ撮影時にショックを生じることもなく、ミラーアップ時の漏光を防止することができる。
【0026】
また、上記の絞り制御装置において、ミラーアップ時に上記制御手段が絞りを全閉状態にするようにすれば、たとえミラーアップ時間が長く、その間にカメラが強い光線下に晒され、且つ高感度のフィルムを使用していたとしても、ミラーアップ時のフィルム面への漏光をほぼ完全に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】同じくその作動状態を示すフロー図である。
【図3】この発明を実施した一眼レフカメラの主要構成要素を示す説明図である。
【符号の説明】
1:カメラ本体 2:撮影レンズ
3:ファインダ 4:フィルムバック
10:制御手段 11:レンズマウント部
12:フォーカルプレンシャッタ 13:ミラー
14:焦点板 15:ミラーアップレバー
16:レリーズボタン 17:カメラ本体側接点
18:ミラーアップスイッチ 21:絞り
22:ステッピングモータ 23:減速歯車機構
24:レンズ側接点 25:絞り位置センサ
26:絞り駆動モータドライバ
27:レンズ装着スイッチ 31:ファインダミラー
32:接眼部 A:光軸
Claims (2)
- レリーズボタンの押圧操作に先立ってミラーアップレバーを操作することによってミラーアップを行なうアップミラーアップ機能を有するフォーカルプレンシャッタ付きの一眼レフカメラにおいて、
前記ミラーアップレバーの操作によるミラーアップ時にミラーアップ信号を発生するミラーアップスイッチと、前記ミラーアップ信号の発生に応じて撮影レンズの絞りを少なくとも最小絞り口径に絞り込む制御手段とを設けたことを特徴とする一眼レフカメラにおける絞り制御装置。 - 前記制御手段は、前記ミラーアップ信号の発生に応じて前記撮影レンズの絞りを全閉状態にすることを特徴とする請求項1記載の一眼レフカメラにおける絞り制御装置。
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JP25482096A JP3814346B2 (ja) | 1996-09-26 | 1996-09-26 | 一眼レフカメラにおける絞り制御装置 |
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JPH10104686A JPH10104686A (ja) | 1998-04-24 |
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1996
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