JP3814013B2 - ごみ焼却処理方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2段燃焼ごみ焼却炉において、未燃ガス中の無機塩化物及び重金属を効率よく除去するごみ焼却処理方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、特開平6−201114号公報に記載されているように、ごみ焼却炉を2段の燃焼で構成し、下段のガス化炉でごみを一旦ガス化して未燃ガスを生成させた後、この未燃ガスを上段の燃焼炉で燃焼させ、ガス化をCaOを流動媒体の少なくとも一部とする流動層で低温で行うことにより、炉内で塩化水素ガスを除去するようにした2段燃焼ごみ焼却炉が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の2段燃焼ごみ焼却炉では、未燃ガス中に多量の無機塩化物や重金属無機塩(以下、単に重金属という)が含まれるので、後段の燃焼炉で焼却した際に、塩化水素ガス及びダイオキシンが発生するとともに、重金属が揮発し、また、炉内及び煙道で塩化物によるコーチング(付着物形成)が発生し、さらに、塩化水素の腐食によって500℃以上の高温蒸気を発生させることができない等の問題があった。
【0004】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、その目的は、ガス化炉出口に設けたサイクロンにより捕捉した灰中の無機塩化物及び重金属の大部分又は一部を水洗処理で分離・除去した未燃カーボンを多量に含む灰と、サイクロンで脱塵された未燃ガスを混焼するシステムとすることにより、塩化水素ガス及びダイオキシンの発生を抑制するとともに重金属の揮発量を少なくし、かつ、塩化物によるコーチングも少なくし、さらに、500℃以上の高温水蒸気を発生させることができるごみ焼却処理方法及び装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のごみ焼却処理方法は、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくともいずれかを流動媒体とする流動層ガス化炉を備えた2段燃焼ごみ焼却炉のガス化炉からの未燃ガスをサイクロンに導入して未燃カーボン、無機塩化物及び重金属を含む灰を捕捉した後、この灰を水洗処理して無機塩化物の少なくとも一部及び重金属の少なくとも一部を水に溶出させ、水洗処理後の未燃カーボンを含む灰を後段の燃焼炉に導入し、ガス化炉からの未燃ガスと混焼させるように構成されている。
上記の方法において、無機塩化物及び重金属を含む洗浄廃水を灰固化用の混練水として用いることが好ましい。
【0006】
本発明のごみ焼却処理装置は、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくともいずれかを流動媒体とする下段の流動層ガス化炉に、未燃ガスダクトを介して上段の燃焼炉を接続した2段燃焼ごみ焼却炉において、未燃ガスダクトに、未燃カーボン、無機塩化物及び重金属を含む灰を捕捉するためのサイクロンを設け、このサイクロンの下端に、灰中の無機塩化物の少なくとも一部及び重金属の少なくとも一部を水洗して水に溶出させるための洗浄装置を接続し、この洗浄装置と燃焼炉とを灰搬送手段を介して接続したことを特徴としている。
上記の装置において、上段の燃焼炉を、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくともいずれかを流動媒体とする流動層燃焼炉とする場合もある。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の第1形態によるごみ焼却処理装置を示している。図1は下段の流動層ガス化炉10と上段(後段)の流動層燃焼炉12とからなる2段燃焼ごみ焼却炉を示し、ガス化炉10と燃焼炉12とは未燃ガスダクト14を介して接続されている。ガス化炉の下段流動層16及び完全燃焼炉の上段流動層18は、いずれもCaO、MgO、Na2 O又は/及びK2 Oが流動媒体の少なくとも一部となるように構成されている。
未燃ガスダクト14にはサイクロン20が設けられ、このサイクロン20の下端に灰抜出管22を介して洗浄装置24が接続され、この洗浄装置24と上段の燃焼炉12とは灰搬送手段26を介して接続されている。28は伝熱管、30はガス分散板、32は空気分散板、34は風箱、36は流動媒体排出シュートである。なお、下段流動層16の温度は550℃前後に、上段流動層18の温度は850℃前後に制御されている。
【0008】
上記のように構成されたごみ焼却処理装置において、下段のガス化炉10でごみ等の可燃物を一旦ガス化して未燃ガスを生成させる。下段流動層16及び上段流動層18は、前述のように、いずれもCaO、MgO、Na2 O又は/及びK2 Oが一部又は全部を占めるように構成されている。なお、CaCO3 、Ca(OH)2 、ドロマイト等を投入することもあるが、この場合は、これらが熱分解されて、CaO、MgOとなる。ごみ等の可燃物に含まれている塩素化合物は、ガス化炉10内で塩化水素ガスに転換されるが、この塩化水素ガスは、例えばCaOと次式のように反応してCaCl2 となって固定化される。
2HCl+CaO→CaCl2 +H2
ガス化炉10で生成したCO、H2 、炭化水素、未燃カーボン、無機塩化物、重金属、灰等を含む未燃ガスはサイクロン20に導入され、ここで未燃カーボン、無機塩化物、重金属等を含む灰が捕捉される。サイクロン捕集灰は洗浄装置24で水洗処理され、無機塩化物の大部分又は一部分、及び重金属の大部分又は一部分が水に溶出する。水洗された主として未燃カーボンを含む灰は、灰搬送手段26により上段の燃焼炉12の流動層18に投入され、灰中の未燃カーボンはサイクロン20からの未燃ガスとともに燃焼焼却される。
【0009】
灰搬送手段26は、急流搬送方式、コンベア方式等で構成される。なお、搬送を円滑に行うために、洗浄装置24の後段に乾燥手段を設けることが好ましい。洗浄装置24から排出される無機塩化物及び重金属を含む洗浄廃水は、灰固化処理用の混練水として用いられる。なお、灰固化処理は、灰自身の固化作用により、又は灰にセメント等の固化剤を添加して行われる。このようにすれば、処理廃水を系外に排出することがなくなるとともに、廃水処理の必要もなくなり、環境上、好ましくなる。
【0010】
図2は、本発明の実施の第2形態によるごみ焼却処理装置を示している。本実施形態は、図1における流動層燃焼炉12の代りに、流動層を有さない燃焼炉12aを設けたものである。他の構成及び作用は図1の場合と同様である。
【0011】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) ごみのガス化炉出口に設けたサイクロンにより捕捉した灰中の無機塩化物及び重金属の大部分又は一部分を水処理により分離し、未燃カーボンを多量に含む灰は、ガス化炉で発生した未燃ガスと混焼されるので、燃焼炉内の燃焼物中の塩分が少なく、塩化水素ガス及びダイオキシンの発生量が少なくなる。また、揮発する重金属も少なくなる。
(2) (1)の効果により、燃焼炉内及び煙道での塩化物によるコーチングが少なくなる。
(3) (1)、(2)の効果により、高温水蒸気(例えば500℃以上)の発生が可能となる。
(4) 無機塩化物及び重金属を含む処理廃水は、灰を固化処理(灰自身又はセメント添加)するときの混練水として利用することにより、処理廃水を系外に排出することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態によるごみ焼却処理装置を示す立面構成図である。
【図2】本発明の実施の第2形態によるごみ焼却処理装置を示す立面構成図である。
【符号の説明】
10 流動層ガス化炉
12 流動層燃焼炉
12a 燃焼炉
14 未燃ガスダクト
16 下段流動層
18 上段流動層
20 サイクロン
22 灰抜出管
24 洗浄装置
26 灰搬送手段

Claims (2)

  1. アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくともいずれかを流動媒体とする流動層ガス化炉を備えた2段燃焼ごみ焼却炉の流動層ガス化炉からの未燃ガスをサイクロンに導入して未燃カーボン、無機塩化物及び重金属を含む灰を捕捉した後、この灰を水洗処理して無機塩化物の少なくとも一部及び重金属の少なくとも一部を水に溶出させ、水洗処理後の未燃カーボンを含む灰を、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくともいずれかを流動媒体とする後段の流動層燃焼炉に導入し、ガス化炉からの未燃ガスと混焼させ、無機塩化物及び重金属を含む洗浄廃水を灰固化用の混練水として用いることを特徴とするごみ焼却処理方法
  2. アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくともいずれかを流動媒体とする下段の流動層ガス化炉に、未燃ガスダクトを介して上段の燃焼炉を接続した2段燃焼ごみ焼却炉において、未燃ガスダクトに、未燃カーボン、無機塩化物及び重金属を含む灰を捕捉するためのサイクロンを設け、このサイクロンの下端に、灰中の無機塩化物の少なくとも一部及び重金属の少なくとも一部を水洗して水に溶出させるための洗浄装置を接続し、この洗浄装置と燃焼炉とを灰搬送手段を介して接続し、上段の燃焼炉がアルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物の少なくともいずれかを流動媒体とする流動層燃焼炉であることを特徴とするごみ焼却処理装置
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