JP2002096052A - 二段旋回流動層式焼却炉によって発生した燃焼飛灰に含有している重金属類の処理方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】廃棄物の焼却処理施設で発生する焼却灰及び焼
却飛灰中に含有しているダイオキシン類や重金属類の有
害物質を除去或いは処理し、無害化と資源化を効率よく
行う方法を提供する。 【解決手段】炉本体を第一段旋回流動層室と第二段ガス
旋回流室とガス燃焼室に区分して構成した流動層式焼却
炉から燃焼飛灰ａを捕集して、塩酸ｂを添加して重金属
類を抽出する。資源化可能な固形物を分離した後、液体
に重金属安定剤ｆを添加し更に固液分離して重金属スラ
リーｈを抽出すると共に液体ｉを分離する。液体は硫酸
ｊを添加して水石膏ｌと塩酸に変換し、塩酸は飛灰の洗
浄用として循環使用する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明に属する技術分野】本発明は、廃棄物の焼却処理
に伴って発生した燃焼飛灰の処理であって、特に芳香族
系有機塩素化合物で有るダイオキシン類の処理が重金属
類の処理の前に完全に完了していることを前提とした前
記燃焼飛灰に含有する重金属類の処理に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】廃棄物の焼却処理施設から発生する焼却
灰及び燃焼飛灰の中には、猛毒の芳香族系有機塩素化合
物であるダイオキシン類、多塩化ジベンゾフランや重金
属類が多量に含まれている。これらの有害物質が自然界
に流出することによって、自然環境や健康に直接影響を
及ぼす生活環境に弊害が現れ、大きな社会問題を誘発し
ている。そこで何らかの処理方法で有害物質の安定化を
図った後、最終処分が必要となる。然しながら、従来の
処理方法は、薬品（キレート）を添加するか或いはアル
カリ性物質に変換した後、セメント固化して最終処分す
る方法が主流であった。近頃では、焼却灰及び燃焼飛灰
を溶融した後、最終処分するか再資源化する方法が行わ
れるようになったものの、それぞれの処理方法に問題点
があり完全なものと云い難い。

【０００３】キレート或いはセメント固化方法では、長
期間の雨（酸性雨）によって、アルカリ状態が弱まると
ダイオキシン類や重金属類の溶出防止は、不可能である
から土壌汚染と水質汚染は避けることが出来ない。又、
焼却灰及び燃焼飛灰の搬送と混練等は乾状で行うため、
作業中に粉塵の洩れは物理的に避けられない事から当該
処理施設に従事している人々は、通常の人の血中脂肪１
グラム当りの濃度と云われる２０〜３０ピコグラム（１
ピコグラムは１兆分の１グラム）の数拾倍以上のダイオ
キシン類に汚染された等の事例が報告されたことから、
１９９９年１月以降、全国の当該処理施設（約２７，０
００施設）の約１７％に当る約４，６００施設が休・廃
止に至った経緯からも特殊な例を除いて殆ど解決されて
いない。

【０００４】当該処理施設の集塵装置等で捕集した乾状
のものと廃水処理装置から湿状で引き抜かれた汚泥の燃
焼飛灰は、ダイオキシン類や重金属類等の有害物質を分
離除去することによって、貴重な資源（フライアッシ
ュ）として再利用できるにも拘らず殆ど利用されていな
い。

【０００５】当該処理施設から発生する焼却灰及び燃焼
飛灰の処理・処分費は、廃棄物の処理・処分に要する全
体経費の大部分を占め、然も年々増加傾向を示している
にも拘らず殆どこの問題を解決する手段が定まっていな
い。

【０００６】

【発明が解決しょうとする課題】本発明は、前記の問題
点を解決するために、なされるもので、廃棄物の焼却処
理施設で発生する焼却灰及び燃焼飛灰中に含有している
ダイオキシン類や重金属類の有害物質を除去或いは処理
し、無害化と資源化を効率良く、且つ安価に処理・処分
すると共に周知の二段旋回流動層式焼却炉との関連ずけ
によって処理する方法を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を技術的に解決
するための手段として、本発明は、炉本体を底部より第
一段旋回流動層室と第二段ガス旋回流室とガス燃焼室と
に区分して構成した二段旋回流動層式焼却炉において、
前記焼却炉の焼却処理に伴って、発生した燃焼飛灰の中
には、完全な燃焼と中和処理によって、既に芳香族系有
機塩素化合物であるダイオキシン類の存在は殆どない。
従って、前期の燃焼飛灰を一箇所に捕集した後、このも
のに塩酸を添加し洗浄すると含有している重金属類は化
合物となって固体側から分離し液体側に抽出され移動す
る。この洗浄物を固液分離機によって、第一段目の固液
分離を行うと重金属類例えば鉛、カドミウムや水銀等を
殆ど含まない資源化可能な固形物（フライアッシュ）と
重金属化合物を含んだ液体（塩化カルシウム溶液）に分
離される。更に、この分離された液体に重金属安定剤
（水酸化ナトリウム或いは炭酸ナトリウム）を添加しＰ
Ｈ調整した後、この液体を沈澱装置によって、第二段目
の固液分離が行われ、固形物（重金属化合物スラジ）を
抽出すると共に分離された液体に硫酸を添加し化学反応
完了後には、資源化可能な高純度の水石膏と塩酸が生成
される。この混合物を固液分離機によって、第三段目の
固液分離することで水石膏を抽出すと共に、一方の分離
された塩酸は、燃焼飛灰の洗浄用として系内において循
環使用することを要旨とするものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図１は、本発明に係る処理系
統の概念を示すフローシートであって、二段旋回流動層
式焼却炉（特許第２９８５０５８号）の焼却処理で発生
した燃焼飛灰ａを集塵装置等（図示せず）で捕集した乾
状のものと当該処理施設の廃水処理装置（図示せず）か
ら発生する汚泥の湿状のものを混練機１にそれぞれ移送
（図示せず）し均一な湿分を保持させたＮｏ．１混合物
（燃焼飛灰）ａを飛灰貯留槽２に移送して一次貯留す
る。該槽２の下部に定量切出搬送機３を設けてあり貯留
されているＮｏ．１混合物（燃焼飛灰）ａを順次、一定
量づつ該搬送機３及びロータリーフィーダー４を経由
し、スクレッパー型搬送機５に移送される。

【０００９】該搬送機５によってＮｏ．１混合物（燃焼
飛灰）ａは、攪拌機付洗浄槽６に移送し一次貯留され
る。塩酸タンク７内に予め貯蔵されている塩酸ｂを塩酸
移送ポンプ８を経由して、該洗浄槽６内に貯留されてい
る該混合物ａに添加すると共に水ｃを給水することによ
り、Ｎｏ．１混合物ａの濃度調整を図り、よく混合攪拌
せしめ反応を促進させる。反応が完了したＮｏ．２混合
物ｄに含有している重金属類は、固体側から分離して液
体側に抽出され移動する。

【００１０】該洗浄槽６内に貯留されている該混合物ｄ
は、Ｎｏ．２混合物移送ポンプ９を経由して一定量づつ
Ｎｏ．１固液分離機１０に移送され、ここで第一段目の
固液分離が行われる。重金属化合物を殆ど含まない固形
物（フライアッシュ）ｎと重金属化合物を含んだＮｏ．
１分離液体（塩化カルシウム溶液）ｅに分離され固形物
（フライアッシュ）ｎは建設資材として再利用が可能と
なる。

【００１１】分離されたＮｏ．１液体ｅは、Ｎｏ．１分
離液移送ポンプ１１を経由して、攪拌機付重金属沈降槽
１２に一定量づつ移送される。ここで重金属安定剤タン
ク１３内に予め貯蔵されている重金属安定剤ｉを重金属
安定剤移送ポンプ１４を経由させ、Ｎｏ．１分離液ｅに
添加し、よく混合攪拌せしめＰＨ調整した後、Ｎｏ．２
分離液移送ポンプ１５を経由し第二段目の固液分離を行
うために、Ｎｏ．２分離液ｇを沈澱装置（シックナー）
１６に移送して重力沈降によって、重金属化合物スラリ
ーｈを系外（図示せず）に搬出すると共にＮｏ．３分離
液ｉを自然流下により調整槽１７に一次貯留した後、Ｎ
ｏ．３分離液移送ポンプ１８を経由し一定量づつ攪拌機
付複分解槽１９に貯留する。

【００１２】硫酸タンク２０に予め貯蔵されている硫酸
ｊを硫酸移送ポンプ２１を経由して、該複分解槽１９内
の該分離液ｉに添加し、よく混合攪拌せしめ反応が完了
すると水石膏ｌと塩酸ｂが生成する。

【００１３】攪拌機付複分解槽１９内のＮｏ．４混合物
ｋをＮｏ．４混合物移送ポンプ２２を経由して、第三段
目の固液分離を行うためにＮｏ．２固液分離機２３に一
定量づつ移送し、ここで高純度の水石膏ｌ（建設資材と
して使用可能なもの）を分離して系外（図示せず）に搬
出すると共に分離液（塩酸）ｂをＮｏ．２塩酸移送ポン
プ２４を経由し、塩酸タンク７に貯蔵し系内で循環使用
する。

【００１４】

【発明の効果】従来の焼却灰及び燃焼飛灰に関する処理
方法は、薬品（キレート）を添加するか或いはアルカリ
性物質に変換した後、セメント固化して最終的に処分す
ることが主流であった。然しながら、この方法では、長
期間の雨（例えば酸性雨）によって、アルカリ状態が崩
れ酸性化すると芳香族系有機塩素化合物であるダイオキ
シン類や重金属類の溶出は避けられない等の問題点が多
い。猛毒のダイオキシン類の含有している焼却灰及び燃
焼飛灰の処理については、現段階で溶融処理方法以外は
皆無と云っても過言ではない状況である。このことは、
廃棄物の焼却処理に措いて、現有の焼却炉ではダイオキ
シン類の完全処理を可能とする処理技術が完成していな
いことに起因している。完全燃焼（効率：９９．９９％
以上）できる焼却炉が実存していないためにダイオキシ
ン類の再合成は避けられない。この問題を解決するため
にガス化溶融による処理技術が開発されたものの重金属
類の処理は別の方法で行わなければならない上に、莫大
な建設費ランニングコスト（二段旋回流動層式焼却炉の
２〜５倍以上）を要し必ずしも廃棄物の処理・処分方法
としては効果的なものとは云い難い状況である。これに
比べて本発明は著しく改善された燃焼飛灰中に含有する
重金属類の処理が可能となった。即ち、ダイオキシン類
の処理が完全に出来る二段旋回流動層式焼却炉との組合
せによって、ダイオキシン類と重金属類の処理を一貫性
のあるもので安全で且つ、容易に図れ、更に廃棄物の再
資源化と当該処理施設の建設費及びランニングコスト等
に係る著しい軽減が図れるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る処理系統の概念を示すフローシー
トである。

【符号の説明】

１………混練機 ２………飛灰貯留槽 ３………定
量切出搬送機 ４………ロータリーフィーダー ５………スクレッパ
ー型搬送機 ６………攪拌機付洗浄槽 ７………塩酸タンク ８
………塩酸移送ポンプ ９………Ｎｏ．２混合物移送ポンプ １０………Ｎ
ｏ．１固液分離機 １１………Ｎｏ．１分離液移送ポンプ １２………攪
拌機付重金属沈降槽 １３………重金属安定剤タンク １４………重金
属安定剤移送ポンプ １５………Ｎｏ．２分離液移送ポンプ １６………沈
澱装置（シックナー） １７………調整槽 １８………Ｎｏ．３分離液移送ポ
ンプ １９………攪拌機付複分解槽 ２０………硫酸タンク ２１………硫酸液移送ポンプ ２２………Ｎｏ．４混
合物移送ポンプ ２３………Ｎｏ．２固液分離機 ２４………Ｎｏ．２
塩酸移送ポンプ ａ………Ｎｏ．１混合物（燃焼飛灰） ｂ………塩酸
ｃ………水 ｄ………Ｎｏ．２混合物 ｅ………Ｎｏ．１分離液
ｆ………重金属安定剤 ｇ………Ｎｏ．２分離液 ｈ………重金属化合物スラ
リー ｉ………Ｎｏ．３分離液 ｊ………硫酸 ｋ………
Ｎｏ．４混合物 ｌ………水石膏

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】炉本体を底部より第一段旋回流動層室と第
   二段ガス旋回室とガス燃焼室とに区分して構成した焼却
   炉において、前記第一段旋回流動層室に円錐形底板を設
   け、この円錐形底板の中心を通って最下部に抜ける熱媒
   体取り出し口を設けると共に、多数のオリフィスノズル
   を垂直に配列させて設け、更に円錐形底板の下側に風箱
   を設け、この風箱と各オリフィスノズルとを連通し、炉
   外で熱交換された加圧空気を熱風送気管を介して前記風
   箱に送り込むことにより、前記第一段旋回流動層室内で
   熱媒体の流動層を形成し、前記第一段旋回流動層室の上
   方の内壁に任意の角度を持たせた多数のオリフィスノズ
   ルをタンジェンシャルに配列させて設け、炉本体の外板
   と耐火材の間に環状の風箱を設け、この環状の風箱と各
   タンジェンシャルのオリフィスノズルとを連通し、炉外
   で熱交換された加圧空気を熱風送気管及び環状ヘッダー
   管を介して前記環状の風箱に送り込むことにより第一段
   目の旋回流動層を形成し、前記第一段旋回流動層室と第
   二段ガス旋回流室のほぼ中間部の内壁に上方より投入す
   る固形状被焼却物投入口と、液状被焼却物注入口と、炉
   外で不燃物と分離された熱媒体を投入する熱媒体循環口
   と、被焼却物の燃焼によって発生したガスを中和処理す
   るための中和剤を投入する中和剤投入口と、バーナーと
   をそれぞれ設け、第二段ガス旋回流室の垂直部の中央と
   第一段旋回流動層室側に形成された円錐部の中央の内壁
   に、任意の角度を持たせた多数のオリフィスノズルをタ
   ンジェンシャルに配列させてそれぞれ設け、炉本体の外
   板と耐火材の間に環状の風箱を設け、この環状の風箱と
   各タンジェンシャルのオリフィスノズルを連通し、炉外
   で熱交換された加圧空気を熱風送気管及び環状ヘッダー
   管を介して前記環状の風箱に送り込むことにより燃焼ガ
   スに強靭な第二段目の旋回流を形成し、更に第二段ガス
   旋回流室の上方に排ガス緊急放出口と排ガス出口を備え
   たガス燃焼室を設けた、二段旋回流動層式焼却炉（特許
   第２９８５０５８号）によって、前記焼却炉の焼却処理
   に伴って発生した燃焼飛灰中には、ほぼ完全に近い燃焼
   効果（燃焼効率：９９．９９％以上）により、有害物質
   のダイオキシン類が殆ど含有していない周知（この燃焼
   飛灰中にダイオキシン類が混入していたのでは、重金属
   類の完全処理が可能であっても無公害処理は望めない）
   を基に前記焼却炉で発生した燃焼排ガス中に浮遊する微
   粒子（燃焼飛灰）を集塵装置等で捕集した乾状のものと
   廃水処理装置からの引き抜き汚泥の湿状のものを混合し
   た後、塩酸で洗浄すると前記混合物（燃焼飛灰）に含有
   する重金属類は、化合物となって固体側から分離し液体
   側に抽出され移動する。前記の洗浄物を固液分離機によ
   って、第一段目の固液分離することで、重金属類を含ま
   ない固形物（フライアッシュ）を抽出し、一方の重金属
   化合物を含有した液体（塩化カルシウム）に分離され
   る。前記の分離した液体に重金属安定剤（水酸化ナトリ
   ウム或いは炭酸ナトリウム）を添加しこの液体を沈澱装
   置によって、第二段目の固液分離が行われる。固形物
   （重金属化合物スラジ）を抽出すると共に、一方の分離
   された液体に硫酸を添加し化学反応完了後、水石膏と塩
   酸が生成されるが、この混合物を固液分離機によって、
   第三段目の固液分離が行われ、水石膏と塩酸に分離し水
   石膏は系外に抽出する。一方の分離塩酸は前記洗浄剤と
   して系内において循環使用できることを特徴とする燃焼
   飛灰に含有する重金属類の処理方法。