JP2005046815A - 溶融炉の排ガス処理方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 Pbの回収を容易にかつ低コストで行うことができ、かつ廃水処理を行う必要がなく、廃水処理設備およびその広大な設置スペースが不要な溶融炉の排ガス処理装置を提供する。
【解決手段】 溶融炉10で発生する溶融飛灰・ダストを含む溶融排ガスの集塵を、Pb化合物がガス体として存在し、かつその他の成分が固体として存在する温度域で行った後、溶融排ガスの減温処理を行いガス中のPb化合物をガス体から固体へと移行させる。そして固体化したPb化合物を含有する溶融排ガスを第2のバグフィルタ装置14を用いて集塵し、排ガス中のPb化合物を回収する。
【選択図】図1
【解決手段】 溶融炉10で発生する溶融飛灰・ダストを含む溶融排ガスの集塵を、Pb化合物がガス体として存在し、かつその他の成分が固体として存在する温度域で行った後、溶融排ガスの減温処理を行いガス中のPb化合物をガス体から固体へと移行させる。そして固体化したPb化合物を含有する溶融排ガスを第2のバグフィルタ装置14を用いて集塵し、排ガス中のPb化合物を回収する。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶融炉にて発生する排ガスを処理するための溶融炉の排ガス処理方法およびその装置に関するものである。
従来、都市ゴミ等の廃棄物は、焼却炉において焼却処理され、焼却灰と煤塵を含む高温の燃焼排ガスとを発生させる。この燃焼排ガスは、ボイラによって熱回収され、バグフィルタ装置等によって集塵され、ガス中の煤塵が捕集された後、煙突を通して系外に排出される。また、前記焼却灰および煤塵は、溶融炉に搬送されて溶融処理され、無害化・減容化された後、重金属類をほとんど含有しないスラグとして系外に排出され、路盤材等として有効利用されるようになっている。ところで、こうした溶融処理においては、前記スラグと共に、重金属類が移行した溶融飛灰を含む溶融排ガスが発生する。そこで、このような溶融排ガスの無害化・清浄化を行い、ガス中の重金属類を回収するために、湿式の除塵器(湿式スクラバ等)を備える排ガス処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
図7には、前記特許文献1に記載された湿式スクラバを備えた排ガス処理装置が示されている。この排ガス処理装置(以下、「従来装置101」という。)は、焼却炉(図示なし)にて発生する焼却灰および、排ガスを集塵する集塵装置(図示なし)にて捕集される煤塵を溶融する溶融炉102と、この溶融炉102において発生する溶融排ガスの集塵を高温域で行う高温フィルタ(セラミックフィルタ)103と、この高温フィルタ103によって集塵された後の排ガスを完全燃焼させ、ガス中の未燃分を除去する燃焼室104と、この燃焼室104によって未燃分が除去された後の排ガスの酸性ガス処理を行うとともに、排ガス内の溶融飛灰に含まれる重金属類(Pb、Cd、Hg)を回収する湿式スクラバ105と、この湿式スクラバ105通過後の排ガスを再加熱する再加熱器106と、この再加熱器106を通過した後の排ガスを煙突に送るための誘引ファン107とを備えて構成されている。また、前記燃焼室104の下流部には、この燃焼室104を通過する排ガスを熱回収して排ガスの減温化を図るとともに、前記熱回収の際に発生する高温空気を前記再加熱器106に供給して熱源として利用する熱交換器108が設けられている。
このように構成される従来装置101においては、溶融炉102にて生じた排ガスを高温フィルタ103にて高温域で集塵し、燃焼室104にて前記排ガスを完全燃焼させて前記湿式スクラバ105に送出し、この湿式スクラバ105にて排ガス中の重金属類等を回収するとともに、排ガスの酸性ガス処理を行うようにされている。そして、前記湿式スクラバ105を通り抜けた排ガスを再加熱器106で加熱し、煙突より系外に排出するようにされている。
しかしながら、前記従来装置101においては、前記湿式スクラバ105によって排ガスの酸性ガス処理および、排ガス中の重金属類の回収を行うようにされているため、酸性ガス処理・重金属回収に伴ない大量の廃水が発生するという問題点がある。そのため、廃水処理設備を付設して廃水処理を行わざるを得ず、手間およびコストがかかるとともに、広大な設置面積が必要になるという問題点がある。また、前記湿式スクラバ105によって回収された回収物には、有害なPb化合物等の重金属類がパーセントオーダで含有されているが、こうしたPbを回収するには膨大なコストと手間がかかるため、前記回収物はPbの回収が行われることなく埋め立て処分されるのが普通である。しかし、前記Pb化合物は特に有害で、かつ溶出し易い性質を有しているため、回収物の埋め立て処分を行う前に、大量の重金属安定剤(キレート)を回収物に添加してPb成分の溶出を防止する必要があり、やはりコストアップが避けられないという問題点がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、溶融炉で発生する排ガス処理の簡易化・低コスト化を図るとともに排ガス処理装置の省スペース化を図ることができ、Pbを容易にかつ低コストで回収することのできる溶融炉の排ガス処理方法およびその装置を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するために本発明による溶融炉の排ガス処理方法は、
(a)溶融炉から発生する排ガスの集塵を、Pb化合物が固体として存在し得る温度域よりも高温の集塵温度で行う第1の集塵工程と、
(b)この第1の集塵工程によって集塵された排ガスを、少なくとも前記Pb化合物が固体として存在する温度領域にまで減温する減温工程と、
(c)この減温工程によって減温された後の排ガスを集塵し、排ガス中の重金属類を回収する第2の集塵工程を備えることを特徴とするものである(第1発明)。
(a)溶融炉から発生する排ガスの集塵を、Pb化合物が固体として存在し得る温度域よりも高温の集塵温度で行う第1の集塵工程と、
(b)この第1の集塵工程によって集塵された排ガスを、少なくとも前記Pb化合物が固体として存在する温度領域にまで減温する減温工程と、
(c)この減温工程によって減温された後の排ガスを集塵し、排ガス中の重金属類を回収する第2の集塵工程を備えることを特徴とするものである(第1発明)。
前記第1発明において、第1の集塵工程の集塵温度は500〜800℃であるのが好ましい(第2発明)。
また、前記第1または第2発明において、さらに、(d)金属回収後の排ガスの清浄化を行う排ガス清浄化工程を備えるのが好ましい(第3発明)。
次に、第4発明による溶融炉の排ガス処理装置は、
溶融炉から発生する排ガスの集塵を、Pb化合物が固体として存在し得る温度領域よりも高温の集塵温度で行う高温集塵装置と、この高温集塵装置によって集塵された排ガスを、少なくとも前記Pb化合物が固体として存在する温度領域にまで減温する減温装置と、この減温装置によって減温された排ガスを集塵して排ガス中の重金属類を回収する集塵装置を備えることを特徴とするものである。
溶融炉から発生する排ガスの集塵を、Pb化合物が固体として存在し得る温度領域よりも高温の集塵温度で行う高温集塵装置と、この高温集塵装置によって集塵された排ガスを、少なくとも前記Pb化合物が固体として存在する温度領域にまで減温する減温装置と、この減温装置によって減温された排ガスを集塵して排ガス中の重金属類を回収する集塵装置を備えることを特徴とするものである。
前記第4発明において、Pb化合物回収後の排ガスの清浄化・無害化を行うために、さらに、前記集塵装置通過後の溶融排ガスの酸性ガス処理および/またはダイオキシン除去処理を行う排ガス浄化装置を備えるのが好ましい(第5発明)。
また、第4発明または第5発明において、前記高温集塵装置は、セラミックフィルタ、ステンレス製フィルタ、セラミック繊維ろ布のいずれかであるのが好ましい(第6発明)。
さらに、前記第4〜第6発明において、前記集塵装置は、バグフィルタ、セラミックフィルタ、電気集塵器のいずれかであるのが好ましい(第7発明)。
前記第1発明によれば、第1の集塵工程において、溶融炉から発生する排ガスの集塵をPb化合物が固体として存在し得る温度領域よりも高温の集塵温度で行い、排ガス中のPb化合物および低沸点重金属類を除く成分を捕集し、減温工程において、前記排ガスを減温処理して排ガス中のPb化合物等をガス体から固体へと移行させた後、第2の集塵工程において減温後の排ガスを集塵し、固体化されたPb化合物を含む低沸点重金属類を捕集するようにされている。その結果、前記第1の集塵工程において、Pb化合物の含有濃度が極めて低い煤塵を回収することができるため、煤塵への重金属安定剤(キレート)の添加量を大幅に削減することができる。一方、前記第2の集塵工程においては、Pb化合物の含有率が高い重金属類を回収することができるので、その重金属類からPbを容易に回収することができ、Pbを山元還元することができる。さらに本発明においては、溶融炉にて発生する排ガスのガス処理を、従来のように湿式スクラバを使用せずに行うため、湿式スクラバを用いた排ガス処理に必須であった廃水処理、廃水処理設備等が不要となる。したがって、手間およびコストを大幅に削減することができ、省スペース化を図ることができる。
また、第2発明の構成を採用した場合、前記集塵温度(500〜800℃)では、排ガス中のPb化合物が略完全にガス化されているのに対して、排ガス中の他の煤塵成分の大半が固体状であるため、前記第1の集塵工程によって回収される煤塵のPb含有率をさらに低下させることができ、第2の集塵工程によって回収される重金属類中の含有Pb濃度をさらに高めることができる。したがって、第1の集塵工程によって回収される煤塵への重金属安定剤の添加量をより一層抑制することができるとともに、Pbの回収をより容易にかつ低コストに行うことができる。
さらに、第3発明の構成を採用することにより、Pb化合物回収後の溶融排ガスの無害化・清浄化を図ることができる。
次に、前記第4発明は、前記第1発明を具現化するためになされたものであり、第1発明と同様の作用効果を得ることができる。
また、前記第5発明の構成を採用することにより、Pb化合物回収後の排ガスの清浄化・無害化を行うことができ、前記第6発明の構成を採用することにより、高温域での排ガスの集塵を良好に行うことができる。さらに、前記第7発明の構成を採用することにより、排ガスの集塵を容易に行うことができるという効果を奏する。
次に、本発明による溶融炉の排ガス処理方法およびその装置の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る溶融炉の排ガス処理装置の概略構成図が示されている。
本実施形態に係る溶融炉の排ガス処理装置1は、図1に示されるように、焼却炉2内の焼却処理に伴ない発生する焼却灰の溶融処理を行うとともに、前記焼却炉2にて焼却灰と共に発生しその焼却炉2の下流部に設置されるボイラ3によって熱回収される燃焼排ガス中に含有され、前記ボイラ3の下流に配される第1のバグフィルタ装置4によって捕集される煤塵の溶融処理を行う溶融炉10を備えている。この溶融炉10においては、前記焼却灰・煤塵を無害化・減容化して、重金属類をほとんど含有しないスラグと、重金属類(Pbおよび微量のCd、Hg)が移行した溶融飛灰・ダストを含む溶融排ガスとが発生する。なお、この溶融炉10にて発生したスラグは、系外に排出され、路盤材等として有効利用される。
前記溶融炉10の下流には、前記溶融排ガスの集塵を、Pb化合物がガス体として存在し得る集塵温度で行う高温集塵器(高温集塵装置)11が配されている。この高温集塵器11の内部には、平板状または筒状に形成された複数個のセラミックフィルタ(図示せず)が配されており、これら各セラミックフィルタが有する複数の微細孔から溶融排ガスのみ通過することによって、前記溶融排ガスから、ダスト・固体状の金属化合物等が集塵・除去される。
前記高温集塵器11の下流には、この高温集塵器11によって集塵された後の溶融排ガスを完全燃焼し、溶融排ガス中の未燃分を完全燃焼する燃焼室12と、この燃焼室12を通過した溶融排ガスの減温処理を行い、排ガス中に含有されるガス状の重金属類(主に、Pb化合物)をガス体から固体に移行させる減温塔(減温装置)13と、この減温塔13によって減温された溶融排ガスを集塵し、溶融排ガス中の重金属類(主にPb化合物)を回収する第2のバグフィルタ装置(集塵装置)14と、この第2のバグフィルタ装置14による集塵・重金属回収がなされた後の溶融排ガスの酸性ガス処理・ダイオキシン除去処理を行う酸性ガス処理装置(排ガス浄化装置)15とが、前記高温集塵器11側から順に配されている。また、前記第1のバグフィルタ装置4および、前記酸性ガス処理装置15の下流には、前記第1のバグフィルタ装置4からの燃焼排ガスと、前記酸性ガス処理装置15からの溶融排ガスを大気中に排出するための煙突20が配されている。
ここで、前記高温集塵器11で集塵される溶融排ガスの温度は500〜800℃であるのが好ましい。600〜800℃の温度域においては、Pb化合物のガス体への移行率が極めて高く、Na化合物、K化合物、Cu化合物、Zn化合物のガス体への移行率が低くなっており、かつ500℃以上、600未満の温度域においても、図2〜図6中の実線"移行率"から、Pb化合物のガス体への移行率が高く、Na化合物、K化合物、Cu化合物、Zn化合物のガス体への移行率が極めて低いことが明白なことから、高温集塵機11で捕集される煤塵中のPb含有率を低く抑えることができ、第2のバグフィルタ装置14にて捕集される重金属類のPb含有率を高くすることができるからである。
前記溶融排ガスの温度が800℃を越えると、溶融排ガスに含有されるNa化合物、K化合物、Cu化合物、Zn化合物のガス体への移行率が著しく高くなり(図3〜図6の"移行率"参照)、それに伴ない第2のバグフィルタ装置14にで回収されるPbの純度が低くなって精錬およびPbの回収が困難になるだけでなく、液化したNaCl、KCl等が高温集塵器11内のセラミックフィルタ等に付着し、高温集塵器11の集塵性能を悪化させる恐れがあるため好ましくない。また、溶融排ガスの温度が500℃未満になった場合には、前記溶融排ガス中のPb化合物がガス体から固体へと移行するため、高温集塵器11によって捕集される煤塵中の含有Pb濃度が高くなり、重金属安定剤の添加量を増加せざるを得なくなるため好ましくない。加えて溶融排ガスの温度が500℃未満になった場合には、ダイオキシン類が合成される可能性が高くなるため好ましくない。
また、前記溶融排ガスは、500〜700℃の温度域で前記高温集塵器11により集塵されるのがより好ましい。この温度域においては、Pb化合物のガス化率が高い水準である一方(図2参照)、排ガス中のSiO2、Na化合物、K化合物、Cu化合物、Zn化合物のガス体への移行率が極めて低いため(図3〜図6参照)、高温集塵器11によって回収される煤塵中の含有Pb濃度をより低下させることができ、前記第2のバグフィルタ装置14によって回収される重金属類のPb濃度をより高濃度にすることができるからである。以上のことを考慮して、本実施形態に係る排ガス処理装置1は、溶融処理に伴ない発生した溶融排ガスを、500〜800℃の温度域で、好ましくは500〜700℃の温度域で前記高温集塵器11に送出する。
本実施形態において、都市ゴミ等の重金属類(Pb化合物および極微量のHg・Cd類)を含有する廃棄物は、焼却炉2に投入されて焼却処理され、重金属類を含有する焼却灰と、重金属類が移行した煤塵を含む高温の燃焼排ガスとを発生させる。この燃焼排ガスは、前記ボイラ3によって熱回収された後、第1のバグフィルタ装置4によって集塵されてガス中の煤塵が捕集され、無害化・清浄化されて煙突20を通して系外に排出される。一方、前記焼却炉2にて発生した焼却灰および、前記第1のバグフィルタ装置4によって捕集された煤塵は、前記溶融炉10に連続的に供給されて溶融処理され、減容化・無害化され、重金属類をほとんど含まないスラグと、重金属類(Pb化合物と、極微量のCd、Hg)およびその他の金属成分(SiO2、Na化合物、K化合物、Cu化合物、Zn化合物等)が移行した溶融飛灰およびダストを含む溶融排ガスを発生させる。ここで、前記スラグは、溶融炉10から系外に排出され路盤材等として有効利用される。
前記溶融炉10にて発生する溶融飛灰およびダストを含む溶融排ガスは、500〜800℃の温度域で前記高温集塵器11に送出されて集塵され、ダストおよび溶融飛灰の固体成分(SiO2、Na化合物、K化合物、Cu化合物、Zn化合物の大半)が除去される。ここで、低沸点のPb化合物(および微量の金属化合物・Cd・Hg)は、500℃〜800℃の温度域で略完全にガス体であることから、高温集塵器11のセラミックフィルタの微細孔を通り抜け、溶融排ガスと共に下流側の燃焼室12に送出される。こうして前記高温集塵器11を通過したPb化合物を含む溶融排ガスは、前記燃焼室12に送出されて完全燃焼された後、減温塔13に供給されて200℃前後に減温処理され、それによって、溶融排ガス中のPb化合物(および、その他微量の金属成分)がガス体から固体に移行する。こうして、固体化されたPb化合物等を含有する溶融排ガスは、前記第2のバグフィルタ装置14に送出されて再び集塵され、ガス中の固体状のPb化合物(および微量のCd、Hg、Na化合物、K化合物、Cu化合物等)が捕集される。前記第2のバグフィルタ装置14によって溶融飛灰が除去された溶融排ガスは、前記酸性ガス処理装置15に供給され、消石灰等のアルカリ剤の吹き込みによる酸性ガス処理と、活性炭フィルタ等を用いたダイオキシン除去処理とが施された後、前記前記第1のバグフィルタ装置4を通過後の燃焼排ガスと共に煙突20を通して系外に排出される。
次に、本実施形態の効果を、図2〜図6を参照しつつ説明する。
図2には、各Pb化合物のモル数および、Pb化合物全体のガス体への移行率を示すグラフが示されており、図3〜図6には、K化合物、Pb化合物、Cu化合物、Zn化合物のモル数およびガス体への移行率を示すグラフがそれぞれ示されている。ここで、これら各グラフは、MALT2(熱力学データベース)をベースとし、前記溶融排ガス中に含まれる溶融飛灰・ダストの主要な構成要素(Pb、Na、K、Cu、Zn)を入力条件とした化学平衡計算を600〜900℃の温度領域で行うことで得られたグラフである。また、これら各グラフ中"移行率"で表される実線は、各金属化合物のガス体への移行率を示し、その他の実線は各金属化合物のモル数を示している。なお、前記溶融排ガスには、化学平衡計算を行ったPb、Na、K、Cu、Znの各化合物に加え、SiO2が比較的高濃度で含有されているが、SiO2は融点が極めて高く(千数百℃)、600〜900℃の温度領域では完全に固体であるのが明らかである。
図2〜図6の"移行率"によって示されるように、溶融飛灰・ダストを構成する主要な金属化合物(Pb化合物、SiO2、Na化合物、K化合物、Cu化合物、Zn化合物)のうち、Pb化合物のガス体への移行率のみが600〜700℃の温度域において際立って高くなっており(略100%)、反対にNa化合物、K化合物、Cu化合物、Zn化合物のガス体への移行率は際立って低くなっている。また、500℃以上、600℃未満の温度域においては、図2〜図6の"ガス化率"の変化率から、Pb化合物のガス化率が高く、その他成分のガス化率が極めて低くなっていることが分かる。また、700よりも高温で、かつ800℃以下の温度域においては、Na化合物、K化合物、Cu化合物のガス体への移行率がやや高くなるため、前記第2のバグフィルター装置14で回収される重金属中のPb含有率が一時的にやや低下する。しかし、溶融炉の操業条件の制御や、入口ガス温度調整により溶融排ガスを700℃以下にすることが可能であり、重金属類の含有Pb濃度が低下することはない。
このため、500〜800℃の温度域の溶融排ガス中のSiO2、Na化合物、K化合物、Cu化合物、Zn化合物は、その大半が高温集塵器11にて捕集されるのに対して、前記Pb化合物(および微量の金属化合物)は、捕集されないまま高温集塵器11を通り抜けて下流側に移動し、前記減温塔13にて減温されてガス体から固体へ移行した後、前記第2のバグフィルタ装置14によって捕集される。
その結果、本実施形態においては、前記高温集塵器11で集塵される煤塵のPb含有率を低く抑えることができ、それによって、煤塵に添加する重金属安定剤(キレート)の添加量を大幅に減少させることができる。同時に、前記第2のバグフィルタ装置14においては、Pb含有率の極めて高い重金属類を回収することができるため、精錬処理によって容易にかつ低コストに高純度のPbを回収することができ、山元還元することができる。
また、本実施形態においては、溶融炉10にて生じた溶融排ガスのガス処置を、乾式の除塵装置(高温集塵器11、第2のバグフィルタ装置14)で行うようにされているため、従来の湿式スクラバを備えた排ガス処理装置で必須であった廃水処理およびその装置が不要となり設置スペース、コスト、手間を大幅に削減することができる。
本実施形態においては、溶融排ガスの温度を考慮して500〜800℃の溶融排ガスを発生させる電気式溶融炉10に適用した例について説明したが、1000℃以上の溶融排ガスを発生させる表面溶融炉等、より高温の溶融排ガスが発生する他の溶融炉であっても本実施形態の考え方を適用することもできる。このような800℃以上の溶融排ガスを発生する溶融炉に適用する場合、溶融炉と高温集塵器11とを結ぶダクトを外部から冷却する等して、高温集塵器11に導入される溶融排ガスの温度が適温(500〜800℃、より好ましくは500〜700℃)になるように調整する。こうすることによって、前記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
また、本実施形態においては、溶融炉10から発生する溶融排ガスを高温集塵器11で集塵し、燃焼室12で完全燃焼させて未燃分を除去した後、減温塔13での減温処理、第2のバグフィルタ装置14の集塵を順次行うようにしたが、前記溶融排ガスを燃焼室12で燃焼させ、高温集塵器11で集塵した後、下流側に送るようにしても良い。こうした場合、燃焼室12にて吹き込まれる燃焼空気等によって、高温集塵器11に送り込まれる排ガスの容積が増大するものの、前記高温集塵器11に供給される溶融排ガス中の未燃分がなくなるため、高温集塵器11内のセラミックフィルタの払い落としを、窒素ガスではなく通常の空気にて行うことができ、高温集塵器11の逆洗装置の簡易化・低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態においては、高温の溶融排ガスの集塵を行うために、セラミックフィルタを有する高温集塵器11を採用したが高温域(500〜800℃)での集塵に耐え得るものであれば、ステンレス製フィルタ、あるいはセラミック繊維ろ布等、セラミックフィルタ以外のものが配された集塵器で集塵を行うことが可能である。
さらに、本実施形態においては、Pb化合物を捕集するのにバグフィルタ装置14を用いるようにしたが、セラミックフィルタを有する集塵器、あるいは電気集塵器等を用いるようにしても良い。
1 溶融炉の排ガス処理装置
2 焼却炉
4 第1のバグフィルタ装置
10 溶融炉
11 高温集塵器
13 減温塔
14 第2のバグフィルタ装置
15 溶融排ガス処理装置
2 焼却炉
4 第1のバグフィルタ装置
10 溶融炉
11 高温集塵器
13 減温塔
14 第2のバグフィルタ装置
15 溶融排ガス処理装置
Claims (7)
- (a)溶融炉から発生する排ガスの集塵を、Pb化合物が固体として存在し得る温度域よりも高温の集塵温度で行う第1の集塵工程と、
(b)この第1の集塵工程によって集塵された排ガスを、少なくとも前記Pb化合物が固体として存在する温度領域にまで減温する減温工程と、
(c)この減温工程によって減温された後の排ガスを集塵し、排ガス中の重金属類を回収する第2の集塵工程を備えることを特徴とする溶融炉の排ガス処理方法。 - 前記第1の集塵工程の集塵温度は500〜800℃である請求項1に記載の溶融炉の排ガス処理方法。
- さらに、(d)重金属類が回収された後の排ガスの清浄化を行う排ガス清浄化工程を備える請求項1または2に記載の溶融炉の排ガス処理方法。
- 溶融炉から発生する排ガスの集塵を、Pb化合物が固体として存在し得る温度領域よりも高温の集塵温度で行う高温集塵装置と、この高温集塵装置によって集塵された排ガスを、少なくとも前記Pb化合物が固体として存在する温度領域にまで減温する減温装置と、この減温装置によって減温された排ガスを集塵して排ガス中の重金属類を回収する集塵装置を備えることを特徴とする溶融炉の排ガス処理装置。
- さらに、前記集塵装置通過後の溶融排ガスの酸性ガス処理および/またはダイオキシン除去処理を行う排ガス浄化装置を備える請求項4に記載の溶融炉の排ガス処理装置。
- 前記高温集塵装置は、セラミックフィルタ、ステンレス製フィルタ、セラミック繊維ろ布のいずれかである請求項4または5に記載の溶融炉の排ガス処理装置。
- 前記集塵装置は、バグフィルタ、セラミックフィルタ、電気集塵器のいずれかである請求項4〜6のいずれかに記載の溶融炉の排ガス処理装置。
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