JP2007325989A - 燃焼排ガスの処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 コストの増大を抑えながら未燃カーボンを粉末活性炭の代替物として用いることができる燃焼排ガスの処理技術を提供する。
【解決手段】 粉体状の燃料の燃焼を行う火炉3からの燃焼排ガスを浄化処理するための燃焼排ガスの処理技術であり、粉体状の燃料を、粉体状の燃料が燃え切る時間よりも短い時間燃焼する燃焼炉7で燃焼させた後、燃焼によって生成した燃焼ガスを冷却手段11で冷却し、冷却した燃焼ガスに同伴する未燃カーボン分を含む灰を、搬送手段21、25で回収手段15の上流側に搬送して回収手段15で回収し、火炉3での粉体状の燃料の燃焼によって生じた燃焼排ガスを、回収手段15で回収した未燃カーボンで処理する。
【選択図】 図1
【解決手段】 粉体状の燃料の燃焼を行う火炉3からの燃焼排ガスを浄化処理するための燃焼排ガスの処理技術であり、粉体状の燃料を、粉体状の燃料が燃え切る時間よりも短い時間燃焼する燃焼炉7で燃焼させた後、燃焼によって生成した燃焼ガスを冷却手段11で冷却し、冷却した燃焼ガスに同伴する未燃カーボン分を含む灰を、搬送手段21、25で回収手段15の上流側に搬送して回収手段15で回収し、火炉3での粉体状の燃料の燃焼によって生じた燃焼排ガスを、回収手段15で回収した未燃カーボンで処理する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃焼排ガス中の水銀などを除去して燃焼排ガスを浄化処理するための燃焼排ガスの処理技術に係り、特に、粉体状の燃料の燃焼を行う火炉からの燃焼排ガスを浄化処理するための排ガス処理技術に関する。
石炭焚ボイラやごみ焼却炉などの火炉における燃焼排ガス中の水銀などの比較的微量な有害成分を除去して燃焼排ガスを浄化処理する燃焼排ガスの処理技術として、火炉で生じた燃焼排ガスに粉末活性炭を添加し、バグフィルタの濾布表面に粉末活性炭層を形成させることで、この形成した活性炭層に比較的微量な有害成分を吸着させて除去する燃焼排ガスの処理技術が使用されている。
しかし、このような燃焼排ガスの処理技術に用いる粉末活性炭は、製造に特別な設備や操作などを要するものである。このため、燃焼排ガスの処理にコストの増大や手間などの増大を招く粉末活性炭に代わるものとして、燃焼排ガス中から析出させた炭素や、燃焼排ガス中に同伴されるダスト中の未燃カーボンが、粉末活性炭と同様の作用を有することが知られている(例えば、特許文献1乃至5参照)。特許文献1では、燃焼排ガス中から析出させた炭素を得るために、やはり特別な設備などを要する。しかし、特許文献2乃至5のように、燃焼排ガス中に同伴されるダスト中の未燃カーボンを利用できれば特別な設備や操作などを必要とせずに、粉末活性炭の代替物が得られる。
特許文献2乃至5のように、燃焼排ガス中に同伴されるダスト中の未燃カーボンを利用する従来の燃焼排ガスの処理技術において、例えば特許文献5に記載されているように、燃焼排ガスの処理技術では、ボイラなどの火炉内から燃焼ガスの一部を採取し、採取した燃焼ガス中の未燃カーボンを分離して回収し、この燃焼ガスに一部から回収した未燃カーボンを、バグフィルタなどの入口に活性炭粉末の代替品として添加することが提案されている。
ところが、例えば微粉炭焚のボイラなどでは、火炉全体で燃焼が進むのではなく、バーナ周辺で燃焼が終結するので未燃カーボンを採取するにはバーナ近傍の高温域に採取口を設けて採取する必要がある。このため、バーナ近傍の、比較的高速で微粉炭粒子などが衝突する領域に採取口を設けることになり、採取口へのダストなどの付着防止や焼損防止といった特別な対策が必要となってしまう。加えて、燃焼ガスを採取する位置によって未燃分の組成が比較的大きく変化し、また、燃焼には揺れがあるため、安定した組成の未燃カーボンを得るのは難しいと考えられる。
さらに、未燃カーボンを活性炭粉末の代替品として利用するために、バーナや火炉における燃焼空気量の制御などによって未燃カーボンを増加させようとすると未燃炭化水素や一酸化炭素なども増加してしまうという問題が生じるが、従来の燃焼排ガスの処理技術ではこのような問題を考慮していない。
このように、従来の燃焼排ガスの処理技術では、未燃カーボンを粉末活性炭の代替物を用いようとした場合、装置の複雑化、不要な成分の増大、また、これらによるコストの増大などを招くため、未燃カーボンを粉末活性炭の代替物として用いるコストメリットが得られ難くなるばかりか、未燃カーボンを粉末活性炭の代替物として用いること自体も難しい。このため、コストの増大を抑えながら未燃カーボンを粉末活性炭の代替物として用いることができる燃焼排ガスの処理技術が必要とされている。
本発明の課題は、コストの増大を抑えながら未燃カーボンを粉末活性炭の代替物として用いることができる燃焼排ガスの処理技術を提供することにある。
本発明の燃焼排ガスの処理方法は、粉体状の燃料の燃焼を行う火炉からの燃焼排ガスを浄化処理するための燃焼排ガスの処理方法であり、粉体状の燃料を、この粉体状の燃料が燃え切る時間よりも短い時間燃焼させた後、この燃焼によって生成した燃焼ガスを冷却し、この冷却した燃焼ガスに同伴する未燃カーボン分を含む灰を回収し、火炉での粉体状の燃料の燃焼によって生じた燃焼排ガスを、回収した未燃カーボンで処理する方法とすることにより上記課題を解決する。
このような方法とすることにより、粉体状の燃料が燃え切る時間よりも短い時間燃焼させることで、例えばシリカとかアルミナなどの多孔質の基材に担持された分散された未燃カーボンを有する灰が得られる。このとき、粉体状の燃料の燃焼によって生じた燃焼ガスを冷却することによって、酸素残存下であっても燃焼が停止し未燃カーボンを有する灰が得られるようになる。そして、集塵機などの未燃カーボンの回収手段を用いて冷却した燃焼ガスから未燃カーボンを分離し、回収できる。こうして得られた灰に含まれる未燃カーボン分は、水銀などの比較的微量な成分に対する吸着能を有し、粉体状の燃料を燃焼させる火炉で生じる燃焼排ガスと接触させることで、未燃カーボン分によって水銀などの比較的微量な有害成分を除去できる。
このように、粉末活性炭の製造に要するのに比べて安価な設備や容易な操作などで粉末活性炭の代替物となる安定した組成で水銀などの比較的微量な成分に対する吸着能を有する未燃カーボンを得ることができる。さらに、火炉から未燃カーボン分を含む灰を採取する必要がないため、火炉を備えた装置の複雑化、燃焼排ガス中の不要な成分の増大を抑制でき、これらの問題に対する対策が不要になるため、コストの増大を抑制できる。すなわち、コストの増大を抑えながら未燃カーボンを粉末活性炭の代替物として用いることができる。
また、燃焼ガスを冷却するとき、該燃焼ガスの温度を100℃以上300℃以下に冷却することにより、燃焼ガスの冷却によって生じる問題を抑制できる。
さらに、粉体状の燃料として、火炉の燃料となる粉体状の燃料の一部を用いる方法とすれば、粉体状の燃料の供給手段を燃焼排ガスの浄化処理を行う火炉を備えた装置などと共有でき、構成を簡素化できるので好ましい。
また、粉体状の燃料を本発明の特徴である燃え切る時間よりも短い時間燃焼させたときに生じる未燃ガスとこの未燃ガス中の未燃カーボン分を含む灰とを分離し、この分離した未燃ガスを、未燃カーボン分を含む灰で処理する燃焼排ガスを生じる火炉に導く方法とすれば、未燃カーボン分を含む灰を得るために粉体状の燃料を燃焼させたときに生じる未燃ガスに含まれる未一酸化炭素や炭化水素が、燃焼排ガスの浄化処理を行う火炉で焼却され無害化されるので好ましい。
また、本発明の燃焼排ガスの処理装置は、粉体状の燃料の燃焼を行う火炉からの燃焼排ガスを浄化処理するための燃焼排ガスの処理装置であり、上記のような燃焼排ガスの処理方法で燃焼排ガスの浄化処理を行うため、粉体状の燃料が燃え切る時間よりも短い時間、この粉体状の燃料を燃焼させる燃焼炉と、この燃焼炉で生成した燃焼ガスを冷却する冷却手段と、この冷却手段で冷却した燃焼ガスに同伴する未燃カーボン分を含む灰を回収する回収手段に、該未燃カーボン分を含む灰を搬送する搬送手段とを備えた構成とすることにより上記課題を解決する。
さらに、冷却手段は、燃焼炉で生成した燃焼ガスの温度を100℃以上300℃以下に冷却する構成とすることが好ましい。また、火炉に供給する粉体状の燃料の一部を燃焼炉に供給するための供給路を備えた構成とすれば、構成を簡素化できるので好ましい。加えて、燃焼炉で生じる未燃ガスから同伴する未燃カーボン分を含む灰を分離する分離手段と、この分離手段で未燃カーボン分を含む灰を分離した未燃ガスを火炉に導く未燃ガス流路を備えた構成とすれば、未燃カーボンを得るために生じた未燃ガスを火炉で焼却処理できるので好ましい。
また、燃焼ガスを冷却するための冷却手段としては、水噴霧による冷却を行うものが、スケールによる冷却手段の能力低下を抑制できるので好ましい。
また、本発明の石炭焚きのボイラは、粉体状の石炭を燃焼する火炉と、該火炉で生じた燃焼排ガスの浄化処理を行う排ガス処理装置とを備えた石炭焚きのボイラであり、排ガス処理装置として上記のいずれかの構成の排ガス処理装置を備えた構成とすることにより、上記課題を解決する。
本発明によれば、コストの増大を抑えながら未燃カーボンを粉末活性炭の代替物として用いることができる
以下、本発明を適用してなる燃焼排ガスの処理技術の一実施形態について図1を参照して説明する。図1は、本発明を適用してなる燃焼排ガスの処理装置の概略構成及び動作を模式的に示す図である。
本発明の燃焼排ガスの処理技術を適用してなる本実施形態の燃焼排ガスの処理装置1は、図1に示すように、微粉炭焚ボイラ3における粉体状の燃料となる微粉炭を微粉炭焚ボイラ3の火炉に供給するたの燃料供給管路5より分岐し、この燃料供給管路5から分取した微粉炭を、未燃カーボンを生成する原料として燃焼炉7に導く原料供給管路9、燃焼炉7で生じた燃焼ガスを冷却する冷却手段となる水噴霧式冷却器11、微粉炭焚ボイラ3の燃焼排ガスの流路となるボイラ煙道13に設けられたバグフィルタ式の集塵機15に、水噴霧式冷却器11で冷却した未燃カーボン分を含む灰を搬送するための搬送手段などで構成されている。さらに、本実施形態の燃焼排ガスの処理装置1は、冷却手段となる水噴霧式冷却器11で冷却した燃焼ガスから、同伴する未燃カーボンと未燃ガスとを分離する分離手段となるマルチサイクロン17なども備えている。
また、本実施形態の燃焼排ガスの処理装置1における搬送手段は、マルチサイクロン17で未燃ガスと分離した未燃カーボン分を含む灰の一時的な貯留及び送出を行う未燃カーボン貯留部19、未燃カーボン貯留部19からの未燃カーボン分を含む灰を搬送するためのガスとして空気Aを供給する搬送用空気供給管路21、搬送用空気供給管路21と未燃カーボン貯留部19からの未燃カーボン分を含む灰が通流する流路23とが合流することで、空気Aによって未燃カーボン分を含む灰が搬送される搬送用管路25などで構成されている。
本実施形態の燃焼炉7は、原料供給管路9から供給される微粉炭と、燃焼用空気供給管路27から供給される空気とによって燃焼を行う炉である。なお、本実施形態では、1本の空気Aを供給する空気管路29が、搬送手段を構成する搬送用空気供給管路21と、燃焼用の空気を供給する燃焼用空気供給管路27とに分岐している。また、本実施形態の燃焼炉7と水噴霧式冷却器11とは、燃焼炉7で生じた未燃カーボン分を含む灰を同伴した燃焼ガスが通流する燃焼ガス流路31で連結されている。
本実施形態の水噴霧式冷却器11は、連結された冷却水供給管路33から供給される水Wの噴霧による急速冷却を行い、燃焼炉7の燃焼ガスの出口側で燃焼ガスの温度を100℃以上300℃以下まで冷却する冷却塔であり、酸素残存下でも冷却によって燃焼を停止させ未燃カーボンを有する灰を得ることができる。冷却温度は、100℃以上あれば流路での水凝縮を避けることができ、300℃以下であれば酸化が停止することによって再発火を抑制できる。
マルチサイクロン17は、水噴霧式冷却器11で冷却した燃焼ガスから、同伴する未燃カーボンと未燃ガスとを分離する分離手段となり、水噴霧式冷却器11からの未燃カーボン分を含む灰や未燃ガスの未燃物混相流が通流する未燃物混相流管路35により水噴霧式冷却器11と連結されている。また、マルチサイクロン17には、このマルチサイクロン17で分離した未燃ガスを微粉炭焚ボイラ3の火炉に導く未燃ガス管路37、未燃ガスから分離された未燃カーボン分を含む灰を未燃カーボン貯留部19に導く未燃カーボン管路39なども連結されている。
ここで、本実施形態の微粉炭焚ボイラ3では、煙突41との間に設けられた燃焼排ガスが通流する煙道13に、微粉炭焚ボイラ3側から順に、脱硝装置41、空気予熱器43、消石灰スプレー塔45、そして、バグフィルタ15などが設けられている。微粉炭焚ボイラ3の火炉には、微粉炭焚きバーナ47が設けられており、微粉炭焚きバーナ47には、燃料供給管路5や燃焼用の空気aを供給するための空気供給管路49などが連結されている。空気予熱器43では、空気供給管路49を通流する空気aを、煙道13を通流する燃焼排ガスとの熱交換で予熱する。消石灰スプレー塔45では、消石灰管路46からの消石灰スラリが微粉炭焚ボイラ3からの燃焼排ガス中に噴霧され、硫黄酸化物の一部を吸収除去すると同時に、乾燥して消石灰粉末になる。バグフィルタ15では、微粉炭焚ボイラ3からの燃焼排ガス中のダストと消石灰粉末が濾布で除去される。
空気Aによって未燃カーボン分を含む灰が搬送される搬送用管路25は、消石灰スプレー塔45とバグフィルタ15との間の煙道13の部分に合流している。つまり、本実施形態では、搬送用管路25は、バグフィルタ15よりも燃焼排ガスの通流方向に対して上流側の煙道13の部分に合流している。したがって、搬送用管路25からの未燃カーボン分を含む灰は、煙道13を通流する燃焼排ガス中に混合され、さらに、バグフィルタ15によって回収され、この間、燃焼排ガスと接触することになる。
このような構成の本実施形態における燃焼排ガスの処理装置1の動作や本発明の特徴部などについて説明する。本実施形態の燃焼排ガスの処理装置1では、微粉炭焚ボイラ3を駆動する際、図1に実線の矢印で示すように、微粉炭焚ボイラ3に燃料供給管路5を介して供給される微粉炭Cの一部を抜き出し、燃焼炉7で、酸素過剰の状態で微粉炭Cが燃え切る時間よりも短い時間燃焼させ、未燃カーボンを含有する灰と未燃の炭化水素を含有する未燃ガスを生成する。
燃焼炉7において、酸素過剰の状態で微粉炭が燃え切る時間よりも短い時間燃焼させることで生成された未燃カーボンを含有する灰と未燃の炭化水素を含有する未燃ガスは、図1に一点破線の矢印で示すように、水噴霧式冷却器11に入り、水噴霧式冷却器11で100℃以上300℃以下の温度で冷却される。これにより、酸素残存下でも燃焼が停止され、未燃カーボンを有する灰を得ることができる。冷却された未燃カーボンを含有する灰と未燃の炭化水素を含有する未燃ガスは、マルチサイクロン17で、未燃カーボンを含有する灰と、未燃ガスとに分離される。マルチサイクロン17で分離された未燃ガスは、図1に二点破線の矢印で示すように、未燃ガス管路37を介して、微粉炭焚ボイラ3の火炉に戻されて焼却処分される。
一方、マルチサイクロン17で分離された未燃カーボンを含有する灰は、図1に一点破線の矢印で示すように、未燃カーボン貯留部19に貯留されるとともに、適宜、搬送用管路25を介して搬送用の空気Aによってバグフィルタ15の燃焼排ガスの入口側に戻され、微粉炭焚ボイラ3からの図1に破線で示すように煙道13を通流してきた燃焼排ガス中に添加される。燃焼排ガス中に添加された、未燃カーボンを含有する灰は、バグフィルタ15によって回収され、微粉炭焚ボイラ3からの燃焼排ガスと接触することで水銀の吸着剤としての役割を果たし、燃焼排ガスの浄化処理に使用される。
ところで、本実施形態の未燃カーボン生成用の燃焼炉7は、ファーネス形式のカーボンブラック生成用の炉と似ているが異なるものである。つまり、カーボンブラック生成用の炉では、液状やガス状の炭化水素を高温で熱分解させており酸素欠乏状態である。また、生成される粒子の大きさは、燃焼炉7で生成される粒子よりも微細である。これに対して、本実施形態の未燃カーボン生成用の燃焼炉7は、酸素過剰で燃焼を行うものであり、得られた未燃カーボンの表面が、カーボンブラック生成用の炉で得られた粒子に比べて酸素に富んでおり、水銀の吸収能力が向上している。これは、燃焼炉7において微粉炭焚バーナを用いて微粉炭が燃え切る滞留時間より短い滞留時間で微粉炭を燃焼させることで、シリカやアルミナなどの多孔質の基材に担持された分散された未燃カーボンを有する灰が得られるためである。
また、もし、燃焼炉7に供給する原料となる石炭が、粉炭状でなく塊状の場合には、粒子の均一な酸化ができないが、本実施形態のように、微粉炭や粉炭などのような粉体状の炭化水素燃料を用いることで粒子の酸化を均一化できる。さらに、空気量の制限で未燃カーボンを得ようとする場合にも粒径の比較的大きいものや粒子内部に未燃分が偏在し易く、粒子の均一な酸化ができないが、本実施形態のように、燃焼炉7での滞留時間つまり燃焼時間を微粉炭が燃え切る時間よりも短い時間燃焼させることで、粒子の酸化を均一化できる。これにより、未燃カーボン表面に酸素化合物がより均一化された状態で生成され水銀の吸着性能を向上できる。
加えて、本発明を適用してなる本実施形態の燃焼排ガスの処理技術で得られる未燃カーボンは、石炭灰とカーボンが嵩だかに混在し分散した状況であり、カーボンブラックに比べ、バグフィルタに固定され易く、また、燃焼排ガスと接触し易いことからも水銀の吸着性能を向上できる。なお、酸素による作用は従来の燃焼排ガスの処理技術と同じである。
加えて、本発明を適用してなる本実施形態の燃焼排ガスの処理技術で得られる未燃カーボンは、石炭灰とカーボンが嵩だかに混在し分散した状況であり、カーボンブラックに比べ、バグフィルタに固定され易く、また、燃焼排ガスと接触し易いことからも水銀の吸着性能を向上できる。なお、酸素による作用は従来の燃焼排ガスの処理技術と同じである。
このように、本実施形態の燃焼排ガスの浄化処理方法及び処理装置1では、燃焼炉7で、粉体状の燃料である微粉炭が燃え切る時間よりも短い時間燃焼させることで、例えばシリカとかアルミナなどの多孔質の基材に担持された分散された未燃カーボンを有する灰が得られる。このとき、燃焼炉7での微粉炭の燃焼によって生じた燃焼ガスを冷却手段となる水噴霧式冷却器11で冷却することによって、酸素残存下であっても燃焼が停止し、未燃カーボンを有する灰が得られる。こうして得られた灰に含まれる未燃カーボンは、水銀などの比較的微量な成分に対する吸着能を有する。
したがって、本実施形態の燃焼排ガスの浄化処理方法及び処理装置1では、粉末活性炭の製造に要するのに比べて安価な設備や容易な操作などで粉末活性炭の代替物となる安定した組成で水銀などの比較的微量な成分に対する吸着能を有する未燃カーボンを得ることができる。加えて、水銀などの比較的微量な成分に対する吸着能を有する未燃カーボンを得るのに、火炉から未燃カーボン分を含む灰を採取する必要がないため、火炉を備えた装置の複雑化、燃焼排ガス中の不要な成分の増大を抑制でき、これらの問題に対する対策が不要になる。すなわち、コストの増大を抑えながら未燃カーボンを粉末活性炭の代替物として用いることができる。
さらに、本実施形態の燃焼排ガスの浄化処理方法及び処理装置1では、未燃カーボンの製造を、浄化処理を行う燃焼排ガスを生じる火炉とは切り離して実施するため、製造時に火炉やボイラ本体などに影響を及ぼす懸念がない。また、未燃カーボン以外の一酸化炭素、未燃炭化水素が排ガス中に増加することもない。加えて、未燃カーボンの製造時に火炉やボイラ本体から影響を受ける懸念もない。言い換えれば、火炉やボイラの燃料や火炉やボイラ本体の燃焼条件の変更などで未燃カーボンの生成が変わることがない。また、ボイラサイトで安定した未燃カーボン生成が可能であり、さらに、未燃カーボンを加工してさらに高性能化することも可能である。
ところで、活性炭粉末を添加していた従来の燃焼排ガスの浄化処理技術では、粉末活性炭の製造には特別な設備を要し、また製造した粉末活性炭の運搬と貯蔵は、量が増大するに連れて粉塵爆発の可能性が高くなるため、その対策が必要になるという問題がある。これに対して、本実施形態の燃焼排ガスの浄化処理方法及び処理装置1では、必要量の未燃カーボンを必要時に製造して供給できるため、粉塵爆発への対策が不要である。
さらに、ボイラの火炉内から採取した未燃カーボンを添加していた従来の燃焼排ガスの浄化処理技術では、未燃カーボンを得るのに火炉本体の燃焼空気量を調整することにより、他の有害な未燃分も増加するという問題や、未燃カーボンを採取するために、バーナの噴射口で微粉炭の流れが直射する個所に採取口を設けるので採取口へのダスト付着とか焼損防止が容易でなく、また、適切な個所に採取口を維持するのが容易でないという問題などがある。これに対して、本実施形態の燃焼排ガスの浄化処理方法及び処理装置1では、処理対象の燃焼排ガスを生じるボイラなどの火炉から未燃カーボンを採取する必要がないため、このような問題は生じない。
さらに、本実施形態の燃焼排ガスの浄化処理方法及び処理装置1では、燃焼ガスを冷却するとき、該燃焼ガスの温度を100℃以上300℃以下に冷却している。このため、流路での水凝縮や、酸化が停止することによる再発火など、燃焼ガスの冷却によって生じる問題を抑制できる。
加えて、本実施形態の燃焼排ガスの浄化処理方法及び処理装置1では、粉体状の燃料である微粉炭として、微粉炭焚ボイラ3の火炉の燃料となる微粉炭の一部を用いる。このため、粉体状の燃料の供給手段を燃焼排ガスの浄化処理を行う火炉を備えた装置などと共有でき、新たに粉体状の燃料の貯蔵設備を設ける必要や、貯蔵設備の管理といった作業の増加の必要がなく、装置構成や作業を簡素化できる。
さらに、本実施形態の燃焼排ガスの浄化処理方法及び処理装置1では、粉体状の燃料を燃焼させたときに燃焼炉7で生じる未燃ガスと、この未燃ガス中の未燃カーボン分を含む灰とを分離手段となるマルチサイクロン17で分離し、この分離した未燃ガスを、未燃カーボン分を含む灰で処理する燃焼排ガスを生じる微粉炭焚ボイラ3の火炉に未燃ガス管路37によって導いている。微粉炭焚ボイラ3などの火炉内の温度は、例えば1000℃以上といった温度であるため、燃焼炉7で生じる未燃ガスに含まれる未燃炭化水素含有ガスは、微粉炭焚ボイラ3などの火炉内で焼却され無害化される。
加えて、本実施形態の燃焼排ガスの浄化処理方法及び処理装置1では、燃焼ガスを冷却するための冷却手段として、水噴霧による冷却を行う水噴霧式冷却器11を用いている。このため、スケールによる冷却手段の能力低下を抑制できる。ただし、冷却手段としては、本実施形態の水噴霧式冷却器に限らず、燃焼ガスを冷却して酸素残存下でも冷却によって燃焼を停止できるものであれば様々な機器類を用いることができる。しかし、熱交換器を利用した冷却手段は、熱交換器の伝熱面にスケールが生成し易く、使用により冷却能力が低下する可能性がある。また、比較的低温度の排ガスを混合して冷却をおこなうような冷却手段を用いることもできるが、このような冷却手段の場合、ガス量が増してしまう。このため、本実施形態の水噴霧式冷却器11のような液体噴霧式の冷却手段を用いることが望ましい。
また、本実施形態では、微粉炭焚ボイラ3の供給する微粉炭の一部を、燃焼炉7での燃焼に用いている。しかし、微粉炭焚ボイラ3の燃料とはことなる粒径の粉体状の炭化水素燃料を燃焼炉7に供給することもできる。本発明者らが試験した結果によれば、水銀などの吸着剤となる未燃カーボンを生成する上では、微粉炭焚ボイラ3に供給する粉炭よりも、燃焼炉7での燃焼に用いる粉炭の粒径を粗くする方が望ましい。ただし、本実施形態のように、微粉炭焚ボイラ3の供給する微粉炭の一部を、燃焼炉7での燃焼に用いた方が、装置構成は簡素化される。
また、本実施形態では用いられていないが、未燃カーボンによる水銀などの吸着性能の向上のため、塩素化合物や硫黄化合物で処理することが公知であり、例えば特開昭60−94138号公報に提案されているような装置を付加した構成とし、250−600℃でカーボンと硫黄の化合物をカーボン表面に付着させることで、水銀の吸着性能をさらに向上することもできる。
また、本実施形態では、分離手段としてマルチサイクロン17を用いているが、バグフィルタなどの様々な未燃ガスと灰などの粒子とを分離できる分離手段を用いることができる。
また、本発明を適用してなる燃焼排ガスの浄化処理技術は、ごみ焼却炉や流動燃焼による石炭焚ボイラの燃焼排ガスの処理に使用可能であるが、特に、粉炭焚きのボイラにおいて上記のような様々な効果が得られ有利である。
また、本発明は、本実施形態の構成や方法に限らず、粉体状の燃料を燃焼させた後、冷却して未燃カーボンを得ることができれば、様々な構成や方法で実施できる。
1 燃焼排ガスの処理装置
3 微粉炭焚ボイラ
7 燃焼炉
11 水噴霧式冷却器
13 煙道
15 バグフィルタ
17 マルチサイクロン
19 未燃カーボン貯留部
21 搬送用空気供給管路
25 搬送用管路
3 微粉炭焚ボイラ
7 燃焼炉
11 水噴霧式冷却器
13 煙道
15 バグフィルタ
17 マルチサイクロン
19 未燃カーボン貯留部
21 搬送用空気供給管路
25 搬送用管路
Claims (9)
- 粉体状の燃料の燃焼を行う火炉からの燃焼排ガスを浄化処理するための燃焼排ガスの処理方法であり、
粉体状の燃料を、該粉体状の燃料が燃え切る時間よりも短い時間燃焼させた後、該燃焼によって生成した燃焼ガスを冷却し、該冷却した燃焼ガスに同伴する未燃カーボン分を含む灰を回収し、火炉での粉体状の燃料の燃焼によって生じた燃焼排ガスを、前記回収した未燃カーボンで処理することを特徴とする排ガス処理方法。 - 前記燃焼ガスを冷却するとき、該燃焼ガスの温度を100℃以上300℃以下に冷却することを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理方法。
- 前記粉体状の燃料として、火炉の燃料となる粉体状の燃料の一部を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス処理方法。
- 前記粉体状の燃料を燃焼させたときに生じる未燃ガスと該未燃ガス中の未燃カーボン分を含む灰とを分離し、該分離した未燃ガスを、前記未燃カーボン分を含む灰で処理する燃焼排ガスを生じる火炉に導くことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排ガス処理方法。
- 粉体状の燃料の燃焼を行う火炉からの燃焼排ガスを浄化処理するための燃焼排ガスの処理装置であり、
粉体状の燃料が燃え切る時間よりも短い時間、該粉体状の燃料を燃焼させる燃焼炉と、該燃焼炉で生成した燃焼ガスを冷却する冷却手段と、該冷却手段で冷却した燃焼ガスに同伴する未燃カーボン分を含む灰を回収する回収手段に、該未燃カーボン分を含む灰を搬送する搬送手段とを備えたことを特徴とする排ガス処理装置。 - 前記冷却手段は、前記燃焼炉で生成した燃焼ガスの温度を100℃以上300℃以下に冷却してなることを特徴とする請求項5に記載の排ガス処理装置。
- 火炉に供給する粉体状の燃料の一部を前記燃焼炉に供給するための供給路を備えたことを特徴とする請求項5または6に記載の排ガス処理装置。
- 前記燃焼炉で生じる未燃ガスから同伴する未燃カーボン分を含む灰を分離する分離手段と、該分離手段で未燃カーボン分を含む灰を分離した未燃ガスを火炉に導く未燃ガス流路を備えたことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の排ガス処理装置。
- 粉体状の石炭を燃焼する火炉と、該火炉で生じた燃焼排ガスの浄化処理を行う排ガス処理装置とを備えた石炭焚きのボイラであり、前記排ガス処理装置として請求項5乃至8のいずれか1項に記載の前記排ガス処理装置を備えたことを特徴とするボイラ。
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JP2006157190A JP2007325989A (ja) | 2006-06-06 | 2006-06-06 | 燃焼排ガスの処理方法及び処理装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010125377A (ja) * | 2008-11-27 | 2010-06-10 | Babcock Hitachi Kk | 湿式脱硫装置 |
CN105771506A (zh) * | 2016-03-08 | 2016-07-20 | 张文国 | 一种工业垃圾裂化焚烧尾气除尘处理系统 |
CN108043226A (zh) * | 2018-01-26 | 2018-05-18 | 上海电力学院 | 燃气式发电机尾气脱硝处理装置 |
US20230041369A1 (en) * | 2018-05-21 | 2023-02-09 | Ada Carbon Solutions, Llc | Sorbent compositions and methods for the removal of contaminants from a gas stream |
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2006
- 2006-06-06 JP JP2006157190A patent/JP2007325989A/ja active Pending
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