JP3813834B2 - 液晶パネルパラメータ検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示装置等に用いられる液晶パネルにおけるパラメータを迅速に検出する液晶パネルパラメータ検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の液晶表示装置に広く使われている液晶パネルとしては、液晶分子が2枚の基板面に対して平行に配向しており、その配向が両基板間で徐々にねじれて、90度ねじれるようにしたツイステッドネマティック液晶パネル(以下、「TNパネル」という)や、180度から270度程度ねじれているスーパーツイステッドネマティック液晶パネル(以下、「STNパネル」という)等が広く使われている。また、液晶パネルの基板面内方向の電界成分により液晶分子の配向がねじれるように制御することで表示を行う、インプレーンスイッチング液晶パネル(以下、「IPSパネル」という)が広視野角特性を有することで広く使われている。このようなTNパネルやSTNパネルまたはIPSパネルにおいては、表示の品質は液晶層の厚みや液晶分子配向のねじれの角度、基板面に対し液晶分子がある角度立ち上がって初期配向しているプレチルト角等に関わる液晶パネルパラメータに強く依存する。したがって、液晶パネルを製造する際や、その特性を評価する際には、液晶層の厚み及び液晶分子配向のねじれの角度、及びプレチルト角等を迅速に検出することがきわめて重要である。
【0003】
従来、液晶層の厚みや液晶分子配向のねじれの角度を検出する方法としては、2枚の直線偏光板の間に液晶パネルを配置し、光弾性変調素子により光路差を可変して透過光強度特性を求めカーブフィッティングすることで液晶層の厚み及び液晶分子配向のねじれの角度を検出する方法や、液晶パネル及び直線偏光板のいずれかを回転させて透過光強度が最大もしくは最小となる角度を求め、ジョーンズマトリクス法を用いて液晶層の厚み及び液晶分子配向のねじれの角度を求める方法等が知られている。これらは、「Jpn.J.Appl.Phys.」(Vol.33,頁L434−436)、「Jpn.J.Appl.Phys.」(Vol.33,頁L1242−L1244)、「Jpn.J.Appl.Phys.」(Vol.35,頁4434−4437)、「第22回液晶討論会講演予稿集」(頁139−140)等に記載されている。また、液晶パネルのストークスパラメータを求めて液晶層の厚み及び液晶分子配向のねじれの角度を検出する方法が特開平10−153780号、特開平11−83730,特開平11−84335に開示されている。
【0004】
また、液晶パネルにおけるプレチルト角の測定方法としてはクリスタルローテーション法が知られている(「J.Appl.Phys.」,Vol.48,1783頁,1977年)。このクリスタルローテーション法は、ねじれの無い水平配向液晶パネルを偏光子と検光子との間に配置し、液晶パネルに入射する光の入射角を変化させながら透過光強度を測定する。そして、透過光強度が極大又は極小となる入射角に基づいてプレチルト角を算出する。このクリスタルローテーション法を改良したプレチルト角検出方法が、特開平8−94445号公報、特開平11−160198号公報等に開示されているが、クリスタルローテーション法は、基本的には配向方向がねじれていない液晶パネルが対象であるため、TN液晶パネルやSTN液晶パネル等の配向方向がねじれている液晶パネルのプレチルト角を検出することはできない。液晶分子配向がねじれているTNパネルやSTNパネルにおけるプレチルト角を検出する方法として、特開平9−152321号公報に液晶パネルを傾けて液晶パネルを透過した光の分光特性を測定して液晶パネルのプレチルト角を検出する方法が開示されている。また、特開平11−352449号公報には、複数の波長の光を用いて液晶パネルの透過光強度を測定し、透過光強度に基づいて液晶パネルのプレチルト角を検出する方法が開示されている。
【0005】
また、液晶パネルの背面側に反射機能を有する反射材を配置した構造の反射型液晶表示装置があり、背面からの照明装置を必要としないため省電力動作ができるという特徴がある。TNパネルやSTNパネルを用いた反射型液晶表示装置においても、透過型液晶パネルと同様に、液晶層の厚みや液晶分子配向のねじれの角度、プレチルト角等の液晶パネルパラメータが表示の品質に大きく関与しているため、これらのパラメータを迅速に検出することがきわめて重要である。反射型液晶パネルにおける液晶層の厚みを検出する方法として、近赤外線の波長域における光の干渉効果を利用する方法「第18回International Liquid Crystal Conference Abstracts」(25D−59P,330頁)が知られている。また、ストークスパラメータを用いて液晶層の厚みを検出する方法「第18回International Liquid Crystal Conference Abstracts」(25D−55P,326頁)も知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の方法は、液晶パネルの透過光強度特性のカーブフィッティングを行い、または液晶パネルや直線偏光板を回転させて透過光強度が最大もしくは最小となる角度を測定するものであり、装置が複雑で操作や処理が面倒であり、特に測定に長時間を要し、プレチルト角を検出することが難しいという問題点があった。また、特開平10−153780号、特開平11−83730,特開平11−84335に開示されている、液晶パネルのストークスパラメータを求め、ストークスパラメータの解析結果に基づいて液晶パネルの液晶層の厚みや液晶分子配向のねじれの角度を検出する方法では、プレチルト角を求めることができないという問題点があった。
【0007】
また、特開平9−152321号公報に開示されている方法は、液晶パネルを傾けて液晶パネルを透過した光の分光特性を測定して液晶パネルのプレチルト角を検出するものであり計算量が膨大となり、液晶パネルにおけるプレチルト角を2次元分布として検出することは困難である。また、特開平11−352449号公報に開示されている方法は、多波長の光での透過光強度を4×4行列法で計算する必要があり、特開平9−152321号公報に開示されている方法と同様の問題点を持っている。また、特開平11−352449号公報に開示されている方法には、プレチルト角を算出する具体的方法が開示されておらず、液晶パネルにおけるプレチルト角を2次元分布として検出することは困難である。また、反射型液晶パネルにおいては、液晶層における液晶分子のねじれの効果が入射過程と反射過程で互いに相殺するように働くため、液晶パネルにおける光学的特性に対する液晶分子配向のねじれの角度依存性は非常に小さくなり、これらの従来の方法から液晶分子配向のねじれの角度を測定し検出することは困難であった。また、液晶分子配向のねじれの角度が既知でないとプレチルト角を正確に算出することができないため、反射型液晶パネルにおけるプレチルト角を検出することも困難であった。
【0008】
本発明の目的は、上述の各問題を解決し、簡単な構成できわめて容易に液晶パネルにおけるプレチルト角や反射型液晶パネルにおける液晶分子配向のねじれの角度等のパラメータを検出することができる液晶パネルパラメータ検出装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、液晶パネルにおける液晶層を透過した光の強度を複数箇所で検出し、検出した透過光強度からストークスパラメータを求め、複数箇所におけるストークスパラメータの解析結果に基づいて液晶パネルの複数箇所におけるパネルパラメータを求める方法または装置において、波長が異なる複数の光に対するストークスパラメータを用いて液晶パネルにおけるプレチルト角度を求めることを特徴とする液晶パネルパラメータ検出装置である。また、請求項2に記載の発明は、液晶パネルにおける液晶層を透過した光が背面の反射材により反射され、再度液晶層を透過した光の強度を複数箇所で検出し、検出した透過光強度からストークスパラメータを求め、複数箇所におけるストークスパラメータの解析結果に基づいて液晶パネルの複数箇所におけるパネルパラメータを求める方法または装置において、波長が異なる複数の光に対するストークスパラメータを用いて液晶パネルにおける液晶分子配向のねじれの角度及びプレチルト角度の少なくとも一方を求めることを特徴とする液晶パネルパラメータ検出装置である。
【0010】
請求項1及び2に記載の液晶パネルパラメータ検出装置を用いれば、簡単な構成で精度よく液晶パネルにおけるプレチルト角や液晶分子配向のねじれの角度を複数箇所で二次元分布として同時に検出することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1には本発明における透過型液晶パネルにおけるプレチルト角等のパネルパラメータ検出装置の一実施形態の概略構成図を示している。図1において、1は白色光源等の光源であり、たとえばハロゲンランプが用いられる。光源1からの光は2のコリメータで平行光線とされ、X軸及びY軸と直交するZ軸に沿って照射される。液晶パネル61の基板の複数箇所あるいは全面にほぼ垂直に光が照射されるようになっていることが望ましい。3の赤外線遮断フィルタは熱線成分を取り除くためのものである。4は、色フィルタであり、白色光源等の光源1から照射される光を単色光に変換するもので、例えば波長が589nm又は633nm等を透過波長帯とする干渉フィルタ等を用いることができる。図1では2種類の波長、波長1(589nm)及び波長2(633nm)に対応する色フィルタ41及び42を切り替える方法を示している。5は、偏光板(偏光子)である。6は、TNパネル、STNパネル等の液晶パネルである。図1では透過型液晶パネル61について示してある。7は、1/4波長板であり、41又は42の色フィルタで単色となった波長1又は波長2に対応する1/4波長板71、72を切り替える。また、1/4波長板の軸方向を偏光板(検光子)8の偏光方向に対して45度傾けて液晶パネル61と偏光板(検光子)8との間に挿入可能に設けられている。9は、レンズであり、液晶パネル61の表面に焦点を合わせるように配置される。10は、CCDカメラ等の液晶パネル61の複数箇所の透過光強度を同時に検出することができる2次元の光検出器であり、液晶パネル61の複数箇所の透過光強度検出信号を同時に出力する。11はデータ処理用のパーソナルコンピュータ等の処理装置であり、光検出器10から出力される液晶パネル61の複数箇所におけるストークスパラメータ、さらに液晶パネル61の複数箇所における液晶層の厚みや液晶分子配向のねじれの角度及びプレチルト角等の液晶パネルパラメータを同時に求め、それらの2次元分布図等を表示画面やプリンタ等に出力する。
【0012】
次に、反射型液晶パネルに対する発明の実施の形態について説明する。図2は、本発明の液晶パネルパラメータ検出方法を反射型液晶パネルに実施するための液晶パネルパラメータ検出装置の一実施の形態の概略図である。図2において、62は反射型液晶パネルである。白色光源等の光源1からの光は2のコリメータで平行光線とされ、3の赤外線遮断フィルタで熱線成分を取り除かれ4の色フィルタ、5の偏光板(偏光子)等を透過した後、ハーフミラー(半透過鏡)12によりほぼ半分の強度の光が反射型液晶パネル62に垂直に入射するようにハーフミラー(半透過鏡)12が配置されている。反射型液晶パネル62において液晶層を2度透過した光は反射光として1/4波長板7,偏光板(検光子)8に垂直に入射し,レンズ9を通り,光検出器10で検出される。
【0013】
次に、本発明の液晶パネルパラメータ検出装置の実施の形態の基本原理を説明する。ここで、図1に示した透過型液晶パネルに対する場合について、図3に示すような座標系をとる。図3に示す座標系において、入射側の偏光板4の偏光方向はY軸方向とする。そして、液晶パネル61の光入射側の液晶ダイレクタ(配向方向)とX軸とのなす角度をα、液晶パネル61における液晶分子の配向のねじれの角度をφとする。したがって、液晶パネル61の出射側の液晶のダイレクタ(配向方向)は角度φだけねじれていることになる。また、入射光はZ軸(XY平面に垂直)に入射されるものとする。
【0014】
光入射側の液晶のダイレクタがX軸と平行となるように液晶パネル61を配置し液晶パネル61の偏光作用を示すジョーンズマトリクスを用いて液晶パネル61を透過した光の透過光強度のX軸及びY軸方向の電界(偏光)成分Ex及びEyは(1)式のようなマトリクスで表される。
【数1】
Figure 0003813834
(1)式において、液晶パネル61に入射する光強度のX軸及びY軸方向の電界(偏光)成分Exin及びEyinは(2)式で表される。
【数2】
Figure 0003813834
ここで、(1)式におけるa、bを
【数3】
Figure 0003813834
と定義する。ここで、a1、a2、b1、b2は(4)式のように表される。
【数4】
Figure 0003813834
(4)式でuはそれぞれ異なる複数の波長λの関数であり、二つの異なる波長λ1、λ2に対して(5)式のように表される。
【数5】
Figure 0003813834
ここで、dは液晶層の厚みである。neは液晶分子の長軸に平行な偏波面をもつ光(異常光)に対する屈折率、noは液晶分子の長軸に垂直な偏波面をもつ光(常光)に対する屈折率であり、いずれも入射光の波長により変わるため、波長λ1、λ2に対してそれぞれne1、ne2、no1、no2と示している。θはプレチルト角(液晶分子が基板から傾いている角度)であり、(6)式で表される平均のプレチルト角である。
【数6】
Figure 0003813834
図3に示した座標系において、ジョーンズ行列を用いることで、液晶パネル61を透過した光に対して、偏光状態を示すストークスパラメータS1、S2、S3は(7)式のように表される。
【数7】
Figure 0003813834
なお、S0は通常は「1」であり、完全偏光に対してはS0=S1+S2+S3となる。
【0015】
次に、図1に示した透過型液晶パネルパラメータ検出装置を用い、本発明の液晶パネルパラメータ検出方法の第1の実施の形態により透過型液晶パネルにおけるプレチルト角を検出する処理を説明する。まず、透過型液晶パネル61と光検出器10との間に配置した偏光板8の偏光方向をX軸方向とし、その時の光検出器10からの透過光強度検出信号により液晶パネル61の複数箇所の透過光強度Ixを測定する。次に、偏光板8の偏光方向をY軸方向とし、その時の光検出器10からの透過光強度信号により液晶パネル61の複数箇所の透過光強度Iyを測定する。次に、偏光板8の偏光方向をX軸及びY軸と45度の角度をなすようにし、その時の光検出器10からの透過光強度検出信号により液晶パネル61の複数箇所の透過光強度I45を測定する。次に、偏光板8の偏光方向をX軸及びY軸と45度の角度をなすようにした状態で、偏光板8と液晶パネル61の間に1/4波長板7をその軸方向を偏光板8の偏光方向に対して45度傾けて(すなわちY軸方向に向けて)配置し、その時の光検出器10からの透過光強度検出信号により液晶パネル61の複数箇所の透過光強度Iq45を測定する。これらの測定値Ix、Iy、I45及びIq45を用いてストークスパラメータを表すと、(8)式のようになる。
【数8】
Figure 0003813834
ここで(Ix+Iy)は透過光強度の値であり、(8)式に示すストークスパラメータは(Ix+Iy)で正規化を行っている。
【0016】
したがって、液晶パネル61の複数箇所の測定値Ix、Iy、I45及びIq45に基づき(8)式により液晶パネル61の複数箇所におけるストークスパラメータS1、S2、S3、を求めることができる。そして求めた液晶パネル61の複数箇所のストークスパラメータS1、S2、S3に基づき、(7)式、(4)式、(5)式により、液晶パネル61の複数箇所の液晶層の厚みd及び液晶分子配向のねじれの角度φを同時に求めることができる。これらの処理は処理装置11で行われる。処理装置11は、液晶パネルの複数箇所の液晶層の厚み及び液晶分子配向のねじれの角度を表示画面やプリンタ等に2次元分布又はグラフや図で出力することも可能である。
【0017】
以上の、ストークスパラメータS1、S2、S3から、液晶パネル61の複数箇所の液晶層の厚みd及び液晶分子配向のねじれの角度φを同時に求めることは、特開平11−83730及び特開平11−84335等に開示されている。しかし、単一波長の光を用いた場合には、液晶パネル61の複数箇所の液晶層の厚みd及び液晶分子配向のねじれの角度φを同時に求めることができるが、たとえαが既知であったとしても液晶分子が基板面に対してなす角度であるプレチルト角を同時に求めることはできない。プレチルト角を求めるためには、少なくとももう一組の方程式が必要とされる。したがって、図1に示した第1の実施の形態による透過型液晶パネルパラメータ検出装置を用い、まず始めに波長1(λ1)の光を透過する色フィルタ41及び1/4波長板71を用いてストークスパラメータS11、S21、S31を測定し、次に波長1とは異なる波長である波長2(λ2)の光を透過する色フィルタ42及び1/4波長板72を用いてストークスパラメータS12、S22、S32を測定し、(7)式、(5)、(4)式の連立方程式を解くことで液晶パネル61における液晶層の厚みd、液晶分子配向のねじれの角度φ、及び平均のプレチルト角θを求めることができる。次に、平均のプレチルト角θと液晶分子配向のねじれの角度φからから(6)式の関係により液晶分子が基板面に対してなす角度、すなわちプレチルト角を求めることができる。互いに異なる2波長の光を用いることで、透過型液晶パネル61における複数箇所の液晶層の厚みdや液晶分子配向のねじれの角度φ及びプレチルト角を同時に求めることができるが、測定波長を増やすことで、さらに精度よくこれらのパネルパラメータを検出することが可能となる。
【0018】
次に、本発明の液晶パネルパラメータ検出装置により、図2に示す反射型液晶パネルにおけるパネルパラメータを検出する方法として、第2の実施の形態の基本原理を説明する。ここで、図4に示すような座標系において,反射型液晶パネル62に入射する光を▲1▼、反射型液晶パネルから出射する光を▲2▼とすると、▲1▼の場合は図3の場合と同一となるが、反射光▲2▼については入射側と出射側それぞれが▲1▼の場合と反転する。図2において、ハーフミラー(半透明鏡)12で反射して反射型液晶パネル62に垂直に入射し、反射型液晶パネル62の液晶層を2回透過して出射した光強度のX軸及びY軸方向の電界(偏光)成分Ex及びEyは、図4のような座標系を考慮して(9)式のようなマトリクスで表される。
【数9】
Figure 0003813834
(9)式を(1)式と比べると、反射型液晶パネルの場合には入射光が液晶層を2回透過し、座標変換されているため、その項が新たに加わっている点が異なっている。反射型液晶パネル62に入射する光強度のX軸及びY軸方向の電界(偏光)成分Exin及びEyinは(2)式で表される。また、(9)式におけるa、bは(3)式で表され、a1、a2、b1、b2は(4)式のように表される。(4)式でuはそれぞれ異なる複数の波長λの関数であり、二つの異なる波長λ1、λ2に対して(5)式のように表されることも、透過型液晶パネルの場合における実施の形態1で説明したことと同様である。プレチルト角についても同様に(6)式で表される平均のプレチルト角を用いている。また、図4に示した座標系において、ジョーンズ行列を用いることで、反射型液晶パネル62から出射した光に対しても、偏光状態を示すストークスパラメータS1、S2、S3は同様に(7)式のように表される。
【0019】
次に、図2に示した反射型液晶パネルにおけるパネルパラメータ検出装置を用い、本発明の液晶パネルパラメータ検出方法の第2の実施の形態により反射型液晶パネルにおける液晶分子配向のねじれの角度等のパラメータを検出する処理を説明する。反射型液晶パネル62と光検出器10との間に配置した偏光板8及び1/4波長板7等をそれぞれ所定の角度及び位置に設定することでIx、Iy、I45及びIq45等の光強度を測定しする操作は図1に示した透過型液晶パネル61のそれぞれの透過光強度を測定する場合と同様である。これらの測定値Ix、Iy、I45及びIq45を用いてストークスパラメータを表すと、同様に(8)式のようになる。
【0020】
したがって、反射型液晶パネル62の複数箇所の測定値Ix、Iy、I45及びIq45に基づき(8)式により反射型液晶パネル62の複数箇所におけるストークスパラメータS1、S2、S3、を求めることができる。そして求めた反射型液晶パネル62の複数箇所のストークスパラメータS1、S2、S3に基づき、(7)式、(4)式、(5)式により、液晶パネル62の複数箇所の液晶層の厚みdを求めることができる。しかし、反射型液晶パネルにおいては、液晶層における液晶分子のねじれの効果が入射過程と反射過程で互いに相殺するように働くため、液晶パネルにおける光学的特性に対する液晶分子配向のねじれの角度依存性は非常に小さくなり、単一の波長の光を用いる方法では、液晶分子配向のねじれの角度を測定し検出することは困難である。また、液晶分子配向のねじれの角度が既知でないとプレチルト角を正確に算出することができないため、反射型液晶パネルにおけるプレチルト角を検出することも困難である。反射型液晶パネルにおいて、液晶分子配向のねじれの角度を検出するためには、少なくとももう一組の方程式が必要とされる。したがって、図2に示した第2の実施の形態による反射型液晶パネルパラメータ検出装置を用い、まず始めに波長1(λ1)の光を透過する色フィルタ41及び1/4波長板71を用いてストークスパラメータS11、S21、S31を測定し、次に波長1とは異なる波長の波長2(λ2)の光を透過する色フィルタ42及びその波長に対応する1/4波長板72を用いてストークスパラメータS12、S22、S32を測定し、(7)式、(5)、(4)式の連立方程式を解くことで反射型液晶パネル62における液晶層の厚みd、液晶分子配向のねじれの角度φを求めることができる。このように互いに異なる2波長の光を用いることで、反射型液晶パネル62における複数箇所の液晶層の厚みdや液晶分子配向のねじれの角度φを同時に求めることができるが、測定波長を2波長からさらに増やすことで、平均のプレチルト角θも同時に求めることができる。この場合には、平均のプレチルト角と液晶分子配向のねじれの角度φから(6)式の関係により液晶分子が基板面に対してなす角度、すなわちプレチルト角を求めることができる。
【0021】
次に、本発明による液晶パネルパラメータ検出装置の実施例1により透過型液晶パネルにおけるプレチルト角等のパネルパラメータを求める例を示す。ポリビニルアルコール(PVA)又はポリイミド(PI)E膜を塗布した後ラビング処理を行ったガラス基板をラビング方向がほぼ65度となるように組み合わせ、2枚の基板間に直径が19ミクロンの球状のポリマースペーサを挟んでネマティック液晶を封入した構造の透過型液晶パネルを作製した。光干渉法で測定した基板の間隔は19.1ミクロン、ラビング時の傷跡から得られた組み合わせ角度は65.4度であった。測定波長としてλ1=589nm、λ2=633nmを透過する色フィルタを用い、これらの波長に対応する1/4波長板を用いて、作製した透過型液晶パネルにおけるパネルパラメータを測定した。PVA膜を用いた場合には、液晶層の厚みが18.81ミクロン、分子配向のねじれの角度が66.4度、プレチルト角は0.51度であった。PI膜を用いた場合には、それぞれ18.83ミクロン、66.2度、4.39度であり、プレチルト角を含めてほぼ妥当な値を得ることができた。種々のポリイミド膜を用いて平行配向の透過型液晶パネルを作製し、本発明によるパネルパラメータ測定装置を用いてプレチルト角を測定し、クリスタルローテーション法による測定値と比較した結果を図5に示す。図から比較的よい一致が得られていることがわかる。また、ポリイミドD膜を用いた場合のパネルパラメータを測定し、液晶層の厚みの2次元分布特性を図6に、分子配向のねじれの角度の2次元分布特性を図7に、プレチルト角の2次元分布特性を図8に示すような結果が得られた。
【0022】
次に、本発明による液晶パネルパラメータ検出装置の実施例2により、反射型液晶パネルにおける分子配向のねじれの角度等のパネルパラメータを求める例を示す。ポリイミド(PI)D膜を塗布した後ラビング処理を行ったガラス基板をラビング方向がほぼ−70度となるように組み合わせ、2枚の基板間に直径が5.5ミクロンの球状のポリマースペーサを挟んでネマティック液晶を封入した構造の反射型液晶パネルを作製した。液晶を封入する前の2枚の基板の間隔を光干渉法で測定した結果、5.5ミクロンであり、ラビング時の傷跡から得られた組み合わせ角度は−70.2度であった。測定波長としてλ1=589nm、λ2=633nmを透過する色フィルタを用い、これらの波長に対応する2組の1/4波長板を用いて、作製した反射型液晶パネルにおけるパネルパラメータを本発明による液晶パネルパラメータ測定装置により測定した。反射型液晶パネルにおける液晶層の厚みと分子配向のねじれの角度の2次元分布特性を測定した結果、図9及び図10に示すような結果が得られ、設定値とほぼ同様の結果が得られた。さらに、第3の波長の光としてλ3=546nmの光を用いた3波長で測定したプレチルト角は2.5度であった。
【0023】
本発明による液晶パネルパラメータ検出装置を用いると、液晶パネルにおける液晶層の厚みや液晶分子配向のねじれの角度の他に、プレチルト角の2次元分布等の液晶パネルパラメータを比較的容易に測定することができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によると、簡単な構成できわめて容易に液晶パネルにおけるプレチルト角及び液晶分子配向のねじれの角度等のパラメータを検出することができ、特に反射型液晶パネルにおけるパラメータを検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における透過型液晶パネルパラメータ検出装置の一実施の形態の構成図である。
【図2】本発明の反射型液晶パネルにおけるパネルパラメータ検出装置の一実施の形態の構成図である。
【図3】透過型液晶パネルにおける入射光の偏光方向、液晶分子の配向方向及び液晶分子の配向の捻れの角度を示す図である。
【図4】反射型液晶パネルに入射した光▲1▼に対する液晶分子の配向方向と液晶分子の配向のねじれの角度、及び反射材により反射し液晶パネルから出射した光▲2▼に対する液晶分子の配向方向と液晶分子の配向のねじれの角度を示す図である。
【図5】種々の配向膜を用いて作製した平行配向液晶パネルについて、クリスタルローテーション法により測定したプレチルト角と本発明により検出したプレチルト角の関係を示す図である。
【図6】透過型液晶パネルにおける液晶層の厚みの2次元分布を示す図である。
【図7】透過型液晶パネルにおける液晶分子配向のねじれの角度の2次元分布を示す図である。
【図8】透過型液晶パネルにおけるプレチルト角の2次元分布を示す図である。
【図9】反射型液晶パネルにおける液晶層の厚みの2次元分布を示す図である。
【図10】反射型液晶パネルにおける液晶分子配向の2次元分布を示す図である。
【符号の説明】
1 白色光源
2 コリメータ
3 赤外線遮断フィルタ
41 色フィルタ:波長1
42 色フィルタ:波長2
5 偏光板(偏光子)
61 透過型液晶パネル
62 反射型液晶パネル
71 1/4波長板:波長1
72 1/4波長板:波長2
8 偏光板(検光子)
9 レンズ
10 光検出器
11 処理装置(パーソナルコンピュータ)
12 ハーフミラー(半透過鏡)

Claims (2)

  1. 液晶パネルにおける液晶層を透過した光の強度を複数箇所で検出し、検出した透過光強度からストークスパラメータを求め、複数箇所におけるストークスパラメータの解析結果に基づいて液晶パネルの複数箇所におけるパネルパラメータを求める方法または装置において、波長が異なる複数の光に対するストークスパラメータを用いて液晶パネルにおけるプレチルト角度を求めることを特徴とする液晶パネルパラメータ検出装置。
  2. 液晶パネルにおける液晶層を透過した光が背面の反射材により反射され、再度液晶層を透過して出射した光の強度を複数箇所で検出し、検出した透過光強度からストークスパラメータを求め、複数箇所におけるストークスパラメータの解析結果に基づいて液晶パネルの複数箇所におけるパネルパラメータを求める方法または装置において、波長が異なる複数の光に対するストークスパラメータを用いて液晶パネルにおける液晶分子配向のねじれの角度及びプレチルト角度の少なくとも一方を求めることを特徴とする液晶パネルパラメータ検出装置。
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