JP5287489B2 - 3次元屈折率測定方法及び3次元屈折率測定装置 - Google Patents

3次元屈折率測定方法及び3次元屈折率測定装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5287489B2
JP5287489B2 JP2009116369A JP2009116369A JP5287489B2 JP 5287489 B2 JP5287489 B2 JP 5287489B2 JP 2009116369 A JP2009116369 A JP 2009116369A JP 2009116369 A JP2009116369 A JP 2009116369A JP 5287489 B2 JP5287489 B2 JP 5287489B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
thin film
retardation
dimensional refractive
equation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009116369A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010014705A (ja
Inventor
港  浩一
美絵 清水
保浩 檜林
総平 門田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Inc filed Critical Toppan Inc
Priority to JP2009116369A priority Critical patent/JP5287489B2/ja
Publication of JP2010014705A publication Critical patent/JP2010014705A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5287489B2 publication Critical patent/JP5287489B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、光学的に異方性のある透明性(透明または半透明)材料の3次元屈折率の測定、特に液晶表示装置等に用いられる位相差フィルム、カラーフィルタおよび一般の延伸フィルム等の3次元屈折率測定方法に関するものである。
液晶表示装置は、液晶分子の持つ複屈折性を利用した表示素子であり、液晶セル、偏光素子および光学補償層から構成される。液晶表示装置は光源の種類により、光源を内部に有する構造である透過型と、外部の光源を利用する構造である反射型の2つに大別される。透過型液晶表示装置では、二枚の偏光素子を液晶セルの両側に取り付け、一枚または二枚の光学補償層を液晶セルと偏光素子との間に配置した構成からなる。また、反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚の光学補償層、そして一枚の偏光素子の順に配置する。
液晶セルには、二枚の基板に狭持された棒状液晶性分子が配向して封入されており、対向する基板内面の両側もしくは片側に配置された電極層に電圧を加えることにより、棒状液晶性分子の配向状態を変化させて光の透過/遮光をスイッチングするしくみとなっている。
近年、液晶表示装置は、その薄型ゆえの省スペース性や軽量性、また省電力性などが評価されテレビとして急速な広がりを見せると同時に、輝度、コントラストや全方位の視認性などの表示性能をより高めることが強く要求されるようになっている。
このような要求に対し、前記液晶表示装置に用いられる光学補償層やカラーフィルタなどの光学素子の複屈折性を液晶表示モードに合わせてより最適化する必要があり、特に光学補償層としては様々なものが提案されているが、例えば、高視野角な範囲において表示特性が良好なIPS(In Plane Switching、横電界)モード液晶表示装置では、三次元の主屈折率nx,ny,nzに対し、nx≧ny≧nzという屈折率楕円体を有する二軸性位相差フィルムが使用されている(例えば、非特許文献1参照)。さらにnzの大きさが異なる2枚の二軸性のλ/2波長板を用いて互いの波長分散を補償しあうことで、黒表示における可視光領域の光漏れを小さく抑えた、広視野角なIPS液晶表示装置が開示されている(例えば、非特許文献2参照)。
また、カラーフィルタの持つ複屈折性が液晶表示装置の視認性に影響を及ぼすことから、カラーフィルタの赤色着色画素、緑色着色画素及び青色着色画素毎の厚み方向位相差を制御する必要性が指摘されている(例えば、特許文献1参照)。
これらの光学補償層やカラーフィルタなどの光学素子の複屈折性を測定する装置としては、光が試料を透過、又はその表面で反射する際の偏光状態を検出することで該試料の異方性、光学定数等を測定する複屈折測定装置や、光弾性変調法による透過型のポラリメトリー(polarimetry)と呼ばれる装置等さまざまなものが市販されており、目的用途に合ったものを選択して使用することができる。(例えば、特許文献2、3参照)。
上記の測定装置を用いて、液晶表示装置等に使用される光学素子の屈折率もしくは複屈折性は光学素子(以下、簡単のため試料と記すことがある)に対して垂直な面内でのみ測定されていたが、近年、いろいろな方向から光が透過する状態を精密に評価し管理することが必要になってきており、光学素子の3次元屈折率(屈折率楕円体の直交する3軸の長
さ:nx,n,nz)を精度良く測定することが求められている。
通常、3次元屈折率を求める方法としては、試料を直交する3方向で切出してそれぞれの面内での屈折率もしくは複屈折性を測定する方法が採用されるが、透明基板上に少なくとも1層以上の薄膜が形成された試料、特に光学補償層として用いられる位相差フィルム、及びカラーフィルタ等の光学素子の場合には、このような直交する3方向で板状の固体試料を作製することは極めて困難である。また、薄膜とバルクの値が一致するとは限らない。
したがって、液晶表示装置用の光学素子については、透明基板上の薄膜をその状態のまま直接に光学的な測定をして、適切な近似のもと3次元屈折率を評価する必要があるが、透明基板と薄膜との間で生じる多重干渉が測定結果に影響を及ぼすという深刻な問題が生じる。
以下、この点につき説明するが、先ず、多層膜に対する多重反射理論の適合性について説明する。
今、図1に示すように、厚さd2、屈折率n2=n2−ik2の基板1上に厚さd1、屈折率n1=n1−ik1の薄膜2があり、屈折率n0の媒質中から入射角φ0で光が入射したとすると(図中3の部分)、このとき入射光の電気ベクトルの入射面に平行な成分(p成分)および垂直な成分(s成分)に対する振幅反射率Rp、Rs、透過率Tp、Tsは膜内部での多重反射(図中4の部分)を考慮して、下記式(3)で表されることが一般的に知られている(例えば、非特許文献3参照)。
Figure 0005287489
式(3)および図1におけるr1、t1およびr2、t2は、それぞれ媒質/膜および膜/基板境界面における反射および透過のフレネル係数であり、反射のフレネル係数は、
Figure 0005287489
ただし、
Figure 0005287489
透過のフレネル係数は反射のフレネル係数を用いて、
Figure 0005287489
で表される。λは真空中での光の波長、φ1、φ2は膜および基板内における屈折角で、Snellの法則より、
Figure 0005287489
で表される複素数である。
したがって、原理的には、反射率Rp、Rs、透過率Tp、Rsの測定を未知の変数分だけ行い、連立方程式を解くことによって多重干渉を取り込んだ近似を含まない3次元屈折率を求めることができるはずであるが、この連立方程式を解くことは実際上容易ではなく現実的には不可能である。以降、n1,n2は、特に断らない限り複素屈折率を指すものとする。
次に、上記フレネルの関係式によらずにカラーフィルタの3次元屈折率を求める方法として、直接測定が可能なリタデーション値に基づく方法があるが、これをガラス基板上の赤色着色組成物層に適用した場合に見い出だされる問題を述べる。
図1の透明基板1には、液晶表示装置で一般的に使用される厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板を、薄膜2には、該液晶表示装置のカラーフィルタの赤色着色画素を形成するために使用される赤色着色組成物を用いて測定用試料を作製した。
このときの赤色着色組成物層の分光透過率(T)を縦軸、光の波長(λ)を横軸にプロットしたグラフを図2に示す。
この赤色着色組成物が成膜された薄膜に、分光エリプソメータ(日本分光製M-200)を用いて試料面に対し入射角45度及び90度方向から400nmから780nmの波長の偏光光を照射することで、得られたエリプソパラメータΔより算出したリタデーション(Re)を縦軸、光の波長(λ)を横軸にプロットした場合の波長分散の測定結果を図3に示す。
ここで、光の波長(λ)を横軸、屈折率(n)を縦軸としてグラフ化した場合、物質のリタデーションの波長分散は、異常分散がなければ、傾きの大きさが短波長側ほど大きい曲線となることが一般的に知られている。この性質はコーシーの分散式から導かれることが知られており、これに基づくと、リタデーションの波長分散(図3)も、各波長において単調に変化(増加又は減少)する曲線となるはずである。
図2より該赤色着色組成物層は600nm付近から700nm付近において80%以上の平坦な透過率を示していることから、この波長領域においてはリタデーションの波長分散もコーシーの分散式に従うことが予想されるが、これに反して、図3のリタデーションの波長分散性は、600nm付近から700nm付近において大きく波打った結果となっている。
すなわち、透明基板と薄膜との間で生じる多重干渉のために、上述の波形の波打ち現象が現れ、リタデーションが正しく評価されていないことを示している。したがって、この実験結果に基づいて3次元屈折率を算出する場合、得られる3次元屈折率は多くの誤差を含むこととなる。
他の例として、図1の透明基板1に、トリアセチルセルロース(以下、「TAC」という場合がある)からなる透明フィルムを用い、薄膜2に、複屈折異方性を有する重合性液晶材料を用いた試料の、入射角45度方向から測定したリタデーション(Re)の波長分散測定の結果を図4に示す。この場合においても透明基材と薄膜との間で生じる多重干渉の影響が現れていることが確認できる。
特開2007−279379号公報 特開平1−216235号公報 特開2005−3386号公報
石鍋等、SID Digest、1094.(2000) 石鍋等、Jpn.J.Appl.Phys.、41、4553(2002) 藤原、「分光エリプソメトリー」丸善(2003) Wu等、Jpn.J.Appl.Phys.、39、869(2000)
光学補償層やカラーフィルタなど液晶表示装置に用いる光学素子の3次元屈折率とその波長依存性は、それが使用される厚さ数μmの薄膜状態で評価される必要があり、厚い測定用試料を作成して切り出して評価することは妥当ではない。また、多層薄膜の反射率、透過率を測定してフレネルの式を用いて算出することは原理的に可能としても実際上は困難である。このため、高精度な実験的測定が可能なリタデーション測定を行い、このデータから何らかの近似により3次元の屈折率を導出することが行われる。
ところが、透明基板上に作成した薄膜のリタデーションは、従来の単純な測定手法にあっては上記に示したように、薄膜に対する入射角あるいは波長に対し薄膜内の多重干渉の影響を受けて波打つものとなり、3次元屈折率を波長ごとにもしくは波長依存性を算出するための基礎データとしては不完全であるという問題がある。加えて、従来の測定手法では、後記図7(a)に示すような試料の屈折率楕円体の主軸が基準座標系におけるNx、Ny、Nzと一致する場合についてのみ解析されていることがほとんどで、図7(b)に示すような試料の屈折率楕円体の主軸Nx'、Ny’、Nz'が実験室座標系Nx、Ny、Nzと一致しない場合の3次元屈折率を求める手段についてはほとんど検討されていなかった。そこで、本発明は、リタデーションが薄膜に対する入射角あるいは波長に対し波打つことを抑止する手段を提供し、試料の屈折率楕円体の主軸が傾いている場合においても高精度で3次元屈折率を算出可能とすることを課題とした。
かかる課題を達成するための請求項1に係わる発明は、
透明基板上に形成した薄膜に対し、少なくとも
1.直線偏光を垂直入射させて前記薄膜の面内の光学軸を求めるステップ、
2.前記光学軸を含みかつ薄膜に垂直な平面内を進む直線偏光を少なくとも3つ以上の複数の入射角φiで前記薄膜に入射させてリタデーションR(φi)を求めるステップ、
3.3次元屈折率の計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を決めるステップ、
4.前記リタデーションR(φi)と計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を用いて
下記式(1)のρができるだけ小さくなるように、nx,ny,nz,βを求めるステップ、
とを有する3次元屈折率測定方法において、
前記薄膜からの反射率ができるだけ小さくなるような透明基板を用いて、前記リタデーションR(φi)の測定を行う、ことを特徴とする薄膜の3次元屈折率測定方法である。
Figure 0005287489
(ここで、iは3以上の整数、nx,ny,nzは薄膜の屈折率楕円体の直交する3成分、βは薄膜の屈折率楕円体におけるx y z各軸方向に対する傾斜角である。)
薄膜からの反射率ができるだけ小さくなるような透明基板を用いると、入射する偏光光が反射光として逆行する量が低減される結果、リタデーションが波打つ現象が抑止される。
請求項2に係わる発明は、前記透明基板の屈折率をn2、前記透明基板上に形成された最表層薄膜の屈折率をn1とした場合、|n2−n1|≦0.1 を満たす屈折率を有する透明基板を用いることを特徴とする請求項1記載の薄膜の3次元屈折率測定方法である。
透明基板と薄膜の屈折率差を上記の範囲に設定すると、リタデーションが波打つ現象を抑止する効果が極めて著しいものとなる。
請求項3に係わる発明は、前記3次元屈折率の近似式R(φi;nx,ny,nz,β)が、下記式(2)で表されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の3次元屈折率測定方法である。
Figure 0005287489
(ここで、i、nx,ny,nzは式(1)に同じ。また、式(2)は、θ、dは既知のパラメータ、βは薄膜の屈折率楕円体におけるx y z各軸方向に対する傾斜角である。)
上式はリタデーションを測定するための直線偏光光が薄膜へ入射する角度と該薄膜の3次元屈折率を結びつける計算式を与えたものである。これは一例であって特に限定する必要はないが、上記の式は、薄膜の屈折率楕円体が、基準座標軸の一つの決められた軸から傾く場合にも適用できる。
請求項4に係わる発明は、請求項3に記載の3次元屈折率測定方法において、該屈折角の入射面内方向の屈折角をθ1、入射面外方向の屈折角をθ2とするとき、式(4)であらわされる試料の屈折角θを用いて3次元屈折率を求める工程を含むことを特徴とする3次元屈折率測定方法である。
Figure 0005287489
但し、θ1は式(5)、θ2は式(6)で表される屈折角であり、入射角をΦ、偏光光の試料中における屈折角をθ、試料の屈折率楕円体におけるx軸方向に対する傾斜角をβ、n‘を式(7)で表される入射面内の屈折率とする。
Figure 0005287489
Figure 0005287489
Figure 0005287489
請求項5に係わる発明は、請求項1記載のリタデーションR(φi)を求めるステップであって、屈折率の異なるk個(k≧2)の透明基板上に形成した同一の薄膜に対し、順次リタデーションRk(φi)を求め、φiごとに、そのk個のリタデーションRk(φi)の中から、当該φiで反射率が最小である前記透明基板に対応するリタデーションRk(φi)を選択し、求めるR(φi)とすることを特徴とする請求項1記載の3次元屈折率測定方法である。
屈折率の異なる複数の透明基板上に形成した薄膜のφiごとのリタデーションR(φi)の測定値の中で、反射率の一番低い(透過率が最も高い)透明基板に対応するリタデーションR(φi)値が、多重干渉の影響が少ない信頼性の高い数値である。透明基板の数kとしては、概ね4,5程度が好ましい。
請求項6に係わる発明は、
透明基板上に形成した薄膜に対し、少なくとも
1.直線偏光を垂直入射させて前記薄膜の面内の光学軸を求める手段、
2.前記光学軸を含みかつ薄膜に垂直な平面内を進む直線偏光を少なくとも3つ以上の複数の入射角φiで前記薄膜に入射させてリタデーションR(φi)を求める手段、
3.3次元屈折率の計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を決める手段、
4.前記リタデーションR(φi)と計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を用いて下記式(1)のρができるだけ小さくなるように、nx,ny,nzを求める手段、とを具備したことを特徴とする3次元屈折率測定装置である。
Figure 0005287489
(ここで、iは3以上の整数、nx,ny,nzは薄膜の屈折率楕円体の直交する3成分、βは薄膜の屈折率楕円体におけるx y z各軸方向に対する傾斜角である。)
である。
かかる装置構成であると、先ず、入射光の入射角を変化させて得られた複数のリタデーション値に対し、計算式R(φi)から理論的に求められるリタデーションR(φi;nx,ny,nz,β)との差が最小になるように、ある特定の透明基板上に形成した薄膜の3次元屈折率nx,ny,nzを求めるので、透明基板と薄膜との間で生じる多重干渉の影響を平均化することができる。次に、同様な手順で別の透明基板上の薄膜の屈折率を求めることができる。このようにして複数の基板上薄膜の屈折率を順次求めていくことができる。そしてある波長に対して反射率の最も少ない場合(透過率が最も高い場合)に対応する屈折率nx,ny,nzを選び出して、これを求める値とすることができる。これを波長ごとに繰り返すことで3次元屈折率の波長依存性も決定できる。また、一つの透明基板に対し波長を先に掃引し、その後基板を交換してもかまわない。
請求項7に係わる発明は、前記3次元屈折率の近似式R(φi;nx,ny,nz,β)が、下記式(2)で表されることを特徴とする請求項6に記載の3次元屈折率測定装置である。
Figure 0005287489
(ここで、i、nx,ny,nzは式(1)同じ。また、式(2)は、θ、dは既知のパラメータ、βは薄膜の屈折率楕円体におけるx y z各軸方向に対する傾斜角である。)
請求項8に係わる発明は、請求項7に記載の3次元屈折率測定装置において、該屈折角の入射面内方向の屈折角をθ1、入射面外方向の屈折角をθ2とするとき、式(4)であらわされる試料の屈折角θを用いて3次元屈折率を求める手段を含むことを特徴とする3次元屈折率測定装置である。
Figure 0005287489
但し、θ1は式(5)、θ2は式(6)で表される屈折角であり、入射角をΦ、偏光光の試料中における屈折角をθ、試料の屈折率楕円体におけるx軸方向に対する傾斜角をβ、n‘を式(7)で表される入射面内の屈折率とする。
Figure 0005287489
Figure 0005287489
Figure 0005287489
請求項9に係わる発明は、薄膜を形成した屈折率の異なるk個(k≧2)の透明基板を装着する手段を具備したことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の3次元屈折率測定装置である。
かかる装置構成であると、装置内に装着した複数の基板上薄膜の屈折率を自動的に順次求めていくことができ、ある波長に対して反射率の最も少ない場合(透過率が最も高い場合)に対応する屈折率nx,ny,nzを選び出して、これを求める値とすることができる。
本発明によれば、薄膜に組み合わせる透明基板を、薄膜からの反射率ができるだけ少ないものを選択することでリタデーションの波打ちを抑止し、且つ、リタデーション値から屈折率を算出する計算式を好適なものとすることによって、透明基板上の薄膜の3次元屈折率の正確で精度の高い計算が可能となる。また、屈折率測定装置については、屈折率の異なる複数の透明基板を装着できるようにした装置であるため、求めるべき薄膜の屈折率の大小が不明であっても、効率的に測定を実行し、3次元屈折率の算出を容易に行うことのできる。
図1は、透明基板上に1層の薄膜が形成された試料を示す説明図である。 図2は、透明基板上に1層の薄膜が形成された試料の分光透過率の一例を示す分光スベクトル図である。 図3は、透明基板上に1層の薄膜が形成された試料の入射角45度におけるリタデーションの波長分散の一例を示すグラフ図である。 図4は、透明基板上に1層の薄膜が形成された試料の入射角45度におけるリタデーションの波長分散の他の例を示すグラフ図である。 図5は、本発明の一実施の形態に係る3次元屈折率測定装置の一例を示す概略構成図である。 図6は、3次元屈折率算出方法を説明するための、垂直入射を含む複数の斜め入射角より試料に偏光光を斜入射させて得られたリタデーションと、リタデーション計算結果を示すグラフ図である。 図7は、試料の屈折率楕円体が基準座標系におけるNx、Ny、Nzと一致する場合(a)、および一致しない場合(b)を説明するための、試料の屈折率楕円体の一例を示す説明図である。 図8は、多重干渉による影響を考慮しない場合のリタデーションの入射角依存性を示すグラフ図である。 図9は、リタデーションの入射角依存性の例を示すグラフ図である。 図10は、本発明の一実施の形態に係るリタデーションの入射角依存性を示すグラフ図である。 図11は、比較例におけるリタデーションの入射角依存性を示すグラフ図である。
以下、本発明の実施の形態につき先ず装置面、次に、屈折率の算出方法、次に本発明の基本原理、最後に実施例の順で説明する。
本発明の3次元屈折率測定装置は、透明基板上に少なくとも1層以上の薄膜が形成された試料に直線偏光光を試料に垂直入射させて前記薄膜の面内の光学軸を求める手段と、該光学軸を含みかつ薄膜に垂直な平面内でを進む偏光光を少なくとも1つ以上の複数の入射角φiで前記薄膜に入射させてリタデーションR(φi)(以下、簡単のため位相差とも記すこともある)を求める手段と、次元屈折率の計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を決める手段、さらに、前記リタデーションR(φi)と計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を用いて、下記の式(1)の値ができるだけ小さくなるように、nx,ny,nz
βを求める手段、とを少なくとも具備した3次元屈折率測定装置である。
Figure 0005287489
すなわち、垂直入射及び斜入射におけるリタデーション測定結果に、式(1)より算出されるリタデーションの計算値をカーブフィッティングさせて誤差ρの最小値を求めることで、透明基板と薄膜との間で生じる多重干渉の影響を平均化することができる測定装置である。
さらに、本発明の3次元屈折率測定装置は、同一の層構成を有する薄膜が形成された、屈折率の異なる少なくとも2つ以上の透明基板を備え、前記透明基板上の薄膜に対し、式(1)ができるだけ小さくなるように、それぞれnx,ny,nz,βを求める手段を具備し、式(1)が最小となる前記透明基板でのnx,ny,nz,βを3次元屈折率と定める手段、とを少なくとも具備する。すなわち、該透明基板の屈折率をn2、該透明基板に第一層目に形成された薄膜の屈折率をn1とするとき、|n2−n1|の異なる少なくとも2つ以上の複数の試料を装着でき、望ましくは自動での連続測定が可能で、それぞれの式(1)が最小となる前記透明基板でのnx,ny,nz,βを3次元屈折率と定める手段を含む。
具体的には、図5に示すように、光源部5、分光器6、偏光子7、試料ステージ8、検光子9、検出部10、データ処理装置11、および表示装置12の基本ユニットから構成される装置である。光源部5としては、測定波長範囲内でブロードな波長分布を有するもの、例えば白色光源を用いることができる。分光器6は、測定光束を被測定物面に投射するユニットであり、均一な断面強度分布の平行光束を形成するコリメータ光学系(レンズ、凹面鏡等)、特定の波長の単色を取り出すための波長選択手段、例えば狭帯域フィルタ等を含んでいてもよい。偏光子7は特定の偏光方向の直線偏光を取り出すための偏光子である。検光子9の偏光素子は、対応する偏光素子と所定の偏光方向関係、例えば平行ニコルに構成されている。検出部10は光強度に応じた電気信号を発生する光検出素子であり、例えばフォトダイオードあるいは2次元のCCD素子(電荷結合素子)で構成され、検出出力をそれぞれ任意にサンプリングできるように構成されている。また、得られた光束の増幅・A/D変換部を行う装置等を含むことができる。データ処理装置11は検出信号のデータ処理、装置の動作制御等を行うコンピュータである。また、波長選択手段である分光器6は、光源部5と偏光子7の間に設ける代わりに、受光部の検出器の前段または偏光子7と検光子9の間に設けてもよい。ここで、光源としては、レーザのような単色光でもよい。この場合単色性と直線偏光性いずれもある幅をもっていてもかまわない。
試料(測定)ステージ8は、この試料ステージに取り付けた試料を垂直入射の光線軸まわり、および光線軸に対して垂直な回転軸まわりに回転可能としている。試料ステージ8は図示しない、軸、ステッピングモータ等により回転可能な回転ステージ,回転ステージの回転角度位置の信号を発生するエンコーダ、駆動制御部の制御のもとに電源により駆動されるように構成されている。また試料ステージ8には、該透明基板の屈折率をn2、該透明基板に第一層目に形成された薄膜の屈折率をn1とするとき、|n2−n1|の異なる少なくとも3つ以上の複数の試料を装着でき、自動での連続測定が可能でなように、ステッピングモータ等により試料の入替え可能なステージ,ステージの位置信号を発生するエンコーダ、駆動制御部の制御のもとに電源により駆動される構成が備えられている。
かかる構成により、略直線偏光の偏光光を試料に垂直入射させて試料の面内の光学軸、すなわち主屈折率方向とを求めることができる。さらに該光学軸方向が斜入射面に含まれるように試料ステージを垂直入射光軸のまわりに回転し、斜入射の入射面を光線軸に対して垂直な回転軸まわりに回転できるので、該光学軸を含みかつ試料に垂直な平面内で少なくとも1つ以上の複数の斜め入射角より試料に偏光光を斜入射させてリタデーションを求
めることができる。この状態で垂直入射測定、斜入射測定による透過光が並行して検出され、それぞれ複屈折特性(主屈折率方向、リタデーション値等)が求められ、垂直入射の測定結果と合わせて3次元屈折率が算出される基礎データとなる。
この装置により求められたリタデーション(Re)を縦軸、入射角を横軸にプロットした場合の一例を、図6に示した。
従来の測定装置では、図7(a)に示すような試料の屈折率楕円体の主軸が基準座標系におけるNx、Ny、Nzと一致する場合についてのみ解析されていることがほとんどで、図7(b)に示すような試料の屈折率楕円体の主軸Nx'、Ny’、Nz'が実験室座標系Nx、Ny、Nzと一致しない場合の3次元屈折率を求める手段についてはほとんど検討されていなかった。
試料の屈折率楕円体が図7(b)にように基準座標系より傾いているかどうかについては、図6中の□(実測値)で示すように、左右非対称となることで判別することができる。
次にリタデーションの測定値とカーブフィッティングさせて3次元屈折率nx,ny,nzを求める計算式について説明する。ここで本発明者らは、図7(b)に対応する、屈折率楕円体がz軸方向からβ度傾斜している場合のリタデーションの計算式に、光学補償フィルムの光学軸の傾斜角度を算出可能な次式(2)を用いることが好適であることを見出している。(例えば、非特許文献4参照)。
Figure 0005287489
但し、nx,ny,nzはそれぞれ基準座標系におけるx軸方向、y軸方向、z軸方向の3次元屈折率を表し面内にnx,ny(nx≧ny)、厚さ方向にnzとする。また、入射角をφi、試料の膜厚をd、偏光光の試料中における屈折角をθとする。
上式でβ=0とすれば図7(a)の屈折率楕円体の主軸方向が基準座標と平行な場合に対応する。ここで、θとβだけがリタデーションを測定するための射入射(垂直入射も含む)の角度φiの関数であることに注意する。また、配置等によってはβ以外の複数のパラメータを含んでもかまわない。
入射角φiは、垂直入射時の略直線偏光の偏光光を試料に垂直入射させて求められる試料の面内の光学軸、すなわち主屈折率方向を含む面内の角もしくは該主屈折率方向に直交する面内の角であり、測定開始時にいずれかを選択して測定もしくは両方連続して測定することが出来る。βは、入射角として主屈折率方向を含む面内の角として測定を行った場合はx軸に対する傾斜角を、入射角として該主屈折率方向に直交する面内の角として測定を行った場合にはy軸に対する傾斜角として取り扱われるため、両方の角度で測定してx軸およびy軸の2軸に対する傾斜角を求めてもよい。
上式(2)さらに、該屈折角θは入射面内方向と入射面外方向とで異なる値を示すと考えられることから、それぞれθ1、θ2としたとき、次式(4)で表すことによりさらに精度良く3次元屈折率を求めることができる。
Figure 0005287489
但し、θ1は式(5)、θ2は式(6)で表される屈折角であり、入射角をφ、偏光光の試料中における屈折角をθ、試料の屈折率楕円体のz軸方向からの傾斜角をβ、n'を式(7)で表される入射面内の屈折率とする。
Figure 0005287489
Figure 0005287489
Figure 0005287489
式(2)にnx,ny,nzおよびβを逐次的に当てはめてリタデーションを算出し、実測によって得られた全ての入射角での測定結果との誤差が最小になるように、当てはめるnx,ny,nzおよびβの数値をフィッティングすることで3次元屈折率およびz軸方向からの傾斜角βを決定する。このカーブフィッティングのアルゴリズムとしては、シンプレックス法などの線形計画法、Levenburg−Marquardt法などの非線形カーブフィッティング法などが好適に用いられる。
上記により、nx,ny,nzおよびβが求まれば、下式(8)よりnx',ny',nz'が求められる。
Figure 0005287489
しかしながら、図8に示すような多重干渉による影響を受けたリタデーションの入射角依存性を含む測定結果に、上記のアルゴリズムを適用して屈折率を算出しても、信頼性に欠けることが明らかであり、また収束性も悪いものであった。
そこで本発明者らは、上記事情を鑑みて鋭意検討を試みた結果、該透明基板の屈折率をn2、該透明基板に第一層目に形成された薄膜の屈折率をn1とするとき、ある波長、できれば相当の波長域で、|n2−n1|≦0.1 を満たすように透明基板を選定することで信頼性の高いリタデーション値を得ることが可能で、精度の高い3次元屈折率値に至ることを見出した。
すなわち、該透明基板と薄膜との屈折率差を最小化するように該透明基板の材質を選定することで、光学的多重干渉の影響を最小化することができることを見出したものである。光学干渉では、基板と薄膜との層間での起こる反射光の強度により大きく左右されることが一般的に知られており、その反射光の強度Rはそれぞれの層の屈折率をn2、n1としたとき、次式(9)で与えられることが分かっている。
Figure 0005287489
透明基板と薄膜の屈折率差が小さくなれば反射光の強度が弱くなり、リタデーション測定に資する透過光として透過していく量が増大するため、光学干渉による影響を最小化できる。透明基板の屈折率n1の波長依存性は予め測定できるので、値の異なるものを複数準備し、これに薄膜を形成しておくのが好ましい。波長により透明基板と薄膜の屈折率が変動する場合には、波長ごとに反射率ができるだけ小さくなるように透明基板を切り替えてリタデーションを測定して一群の基礎データとするのが望ましい。
ここで薄膜表面からの反射率が低いということは透明基板からの透過率が高い場合ということに注意する。また透明基板上の薄膜が2層以上である場合には、n2はそれらのある種の平均の屈折率と考えることができる。
また、本発明においては、上述のリタデーションを求めるステップと、垂直入射における測定結果及び斜入射における測定結果にリタデーションの計算値をカーブフィッティングさせ、式(1)より算出される誤差ρの最小値を求めるステップと、該透明基板の屈折率をn2、該透明基板に第一層目に形成された薄膜の屈折率をn1とするとき、|n2−n1|の異なる少なくとも3つ以上の複数の試料を装着でき、自動での連続測定が可能で、そ
れぞれの試料での誤差ρをカーブフィッテングさせることにより|n2−n1|の最小値を算出するステップを含んでいるため、より効率的に3次元屈折率を求めることができる。
実際にも、図9に示すように、透明基板の屈折率を1.52から1.65、1.69と大きくしていった場合に、入射角に対し波打ち現象がなくなることが明らかとなった。したがって、このリタデーション値と計算値の誤差ρの値が最も小さくなるようフィッティングして行けば、精度の高い薄膜の複屈折値に至ることが明らかである。さらに、誤差ρが最も小さくなったときの透明基材の屈折率が薄膜の屈折率と略等しくなることから、複屈折と同時に屈折率を簡便に求めることが可能となり、従来の方法では、屈折率および複屈折を求める際に必要であった煩雑なステップを省略することができる。
本発明の3次元屈折率測定装置で測定可能な試料として以下に説明するが、上述の光学素子の他、本発明の趣旨より逸脱しない限りにおいては、透明基板上に少なくとも1層以上の薄膜が形成された試料であれば何でもよい。
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板、トリアセチルセルロース(以下、「TAC」という場合がある)からなる透明フィルムが挙げられる。また薄膜との屈折率差を解消するための透明基材としては、ショット日本株式会社製光学ガラスである、合成石英、ボロフロート、BK7、K5、B270、ゼロデュア、SK11、BaK4、SSKN8、F2、BaSF1、SF2、LaKN22、SF8、SF18、SF10、SF14、サファイア、SF11、SFL11、LaSFN30、SFL6、SF6、SF57、LaSFN9、CORNING製パイレックス(登録商標)7740、C0550、HOYA株式会社製BaF11、BaF13、BaF10、BaFN10、SF5、FD5、FD10、TAC4、株式会社OHARA製S−TIH1、3、4、6、10、11,13、14、18、23、53、53、L−TIH53、S−NPH1、S−NPH2、53、S−NBH5、8、51、52、53、55、L−NBH54、S−LAH51、52、53、55、58、59、60、63、64、65、66、71、79、L−LAH53、81、83、84、85、S−LAM2、3、7、51、52、54、55、58、59、60、61、66、L−LAM60,69、72、S−BAH10、11、27、28、32、S−TIM1、2、3、5、8、22、25、27、28、35、39、S−FTM16、L−TIM28、S−BAM3、4、12、S−NBM51、S−TIL1、2、6、25、26、27、S−YGH51、S−LAL7、8、9、10、12、13、14、18、54、56、58、59、61、L−LAL12、13、S−BSM2、4、9、10、14、15、16、18、22、25、28、71、81、S−PHM52、53、S−BAL2、3、11、12、14、35、41、42、L−PHL1、2、L−BAL35、42、S−NSL3、5、36、S−BSL7、L−BSL7、S−FSL5、S−FPL51、S−FPL53などの光学ガラスを好適に用いることができる。
薄膜層としては、液晶表示装置の複屈折性を光学補償するための複屈折異方性を有する重合性液晶材料や、白色バックライト光より特定の波長の光を取り出すカラーフィルタを形成するための着色組成物、液晶パネル化後の液晶駆動のための、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどの金属酸化物の組み合わせからなる透明電極が挙げられる。
この際、測定する基板がカラーフィルタである場合は、R・G・Bの単一着色画素層のみを透過するように加工されたマスクを介して測定することで単一着色画素層のリタデーション値を求めることができる。
また、例えば、610nmの波長の光を入射光として使用した場合は、赤色着色画素のみ
に起因する位相差値、550nmの場合は、緑色着色画素のみに起因する位相差値、450nmの場合は、青色着色画素のみに起因する位相差値としてそれぞれ単一着色画素層のおおよその値を見積もることができる。
なお、測定する基板がR・G・Bのうちいずれかの単一着色画素層(透明基板に単色のカラーフィルタ着色組成物の塗膜を形成した構成)である場合は、マスクを介することなく位相差の測定が可能となる。
本発明の3次元屈折率測定方法では、リタデーションを得るための測定装置として、測定精度の高い公知の測定装置を用いて、得られたリタデーションと計算式から別途3次元屈折率を算出してもよい。好適な測定装置としては、光が試料を透過、又はその表面で反射する際の偏光状態を検出することで該試料の異方性、光学定数等を測定する複屈折測定装置や、光弾性変調法による透過型のポラリメトリー(polarimetry)と呼ばれる装置が好ましく、より好ましくはミュラーマトリクスポラリメータが用いられる。
最後に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
a)赤色着色塗膜の作製
カラーフィルタ用赤色レジストCDP−RS6300(東洋インキ製造(株))をスピンコート法により株式会社OHARA製の光学ガラスS−TIM22(屈折率1.65)に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間プリベークした。次いで、この基板を室温に冷却後、超高圧水銀ランプを用い、紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。
その後、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークを行い、各色塗膜を得た。乾燥塗膜の膜厚は、いずれも2.0μmであった。
b)リタデーション測定
リタデーションは、透過型分光エリプソメータ(日本分光社製「M−200」)を用いて、塗膜を形成した基板の法線方向から−45度〜45度傾けた方位より5度ステップで610nmの波長で測定し、エリプソパラメータであるδを得た。△=δ/360×λより位相差値△(λ)を算出し、この値を用いて式(3)より得られるリタデーション計算値をカーブフィッティングさせて3次元屈折率を算出した。
ここでカーブフィッティングには線形計画法を使用し、式(1)で表される実測値と計算値のとの誤差ρが最小となるようにnx、ny、nz、βを求めた。得られた結果を表1に示す。また、リタデーションを縦軸、入射角を横軸にプロットしたグラフを図10に、斜め45度から照射ときの波長400nm〜700nmにおける波長分散の結果を図11に示す。
Figure 0005287489
[実施例2]
透明基板に株式会社OHARA製の光学ガラスS−TIM35(屈折率1.69)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に、またリタデーションを縦軸、入射角を横軸にプロットしたグラフを図10に、斜め45度から照射ときの波長400nm〜700nmにおける波長分散の結果を図11に示す。
[実施例3]
透明基板に株式会社OHARA製の光学ガラスS−LAM60(屈折率1.74)を用い
た以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に、またリタデーションを縦軸、入射角を横軸にプロットしたグラフを図10に、斜め45度から照射ときの波長400nm〜700nmにおける波長分散の結果を図11に示す。
[実施例4]
透明基板に株式会社OHARA製の光学ガラスS−LAH66(屈折率1.77)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に、またリタデーションを縦軸、入射角を横軸にプロットしたグラフを図10に、斜め45度から照射ときの波長400nm〜700nmにおける波長分散の結果を図11に示す。
[比較例1]
透明基板にCORNING製のガラス基板1737(屈折率1.52)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に、またリタデーションを縦軸、入射角を横軸にプロットしたグラフを図10に、斜め45度から照射ときの波長400nm〜700nmにおける波長分散の結果を図11に示す。
表1より、屈折率1.65〜1.77の光学ガラスを使用した実施例では誤差が0.02〜0.012と小さくなっているのに対し、比較例では0.252と大きくなっている。またリタデーションの入射角依存性を示すグラフ(図10)からも実施例ではより計算値に近い曲線を示しているのがわかる。この要因としては図11の波長分散のグラフから明らかなように、多重干渉による波のうねりが実施例においては低減していることが挙げられる。このことより、本発明の3次元屈折率測定方法および測定装置が非常に優れていることがわかる。
1・・・ガラス基板
2・・・薄膜
3・・・薄膜での光の透過状態
4・・・多重干渉を考慮した薄膜での光の透過状態
5・・・光源
6・・・分光器
7・・・偏光子
8・・・試料ステージ
9・・・検光子
10・・・検出部
11・・・データ処理装置
12・・・表示装置

Claims (9)

  1. 透明基板上に形成した薄膜に対し、少なくとも
    1.直線偏光を垂直入射させて前記薄膜の面内の光学軸を求めるステップ、
    2.前記光学軸を含みかつ薄膜に垂直な平面内を進む直線偏光を少なくとも3つ以上の複数の入射角φiで前記薄膜に入射させてリタデーションR(φi)を求めるステップ、
    3.3次元屈折率の計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を決めるステップ、
    4.前記リタデーションR(φi)と計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を用いて下記式(1)のρができるだけ小さくなるように、nx,ny,nz,βを求めるステップ、
    とを有する3次元屈折率測定方法において、
    前記薄膜からの反射率ができるだけ小さくなるような透明基板を用いて、前記リタデーションR(φi)の測定を行う、ことを特徴とする薄膜の3次元屈折率測定方法。
    Figure 0005287489
    (ここで、iは3以上の整数、nx,ny,nzは薄膜の屈折率楕円体の直交する3成分、βは薄膜の屈折率楕円体におけるx y z各軸方向に対する傾斜角である。)
  2. 前記透明基板の屈折率をn2、前記透明基板上に形成された最表層薄膜の屈折率をn1とした場合、|n2−n1|≦0.1 を満たす屈折率を有する透明基板を用いることを特徴とする請求項1記載の薄膜の3次元屈折率測定方法。
  3. 前記3次元屈折率の近似式R(φi;nx,ny,nz,β)が、下記式(2)で表されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の3次元屈折率測定方法。
    Figure 0005287489
    (ここで、i、nx,ny,nzは式(1)に同じ。また、式(2)は、θ、dは既知のパラメータ、βは薄膜の屈折率楕円体におけるx y z各軸方向に対する傾斜角である。)
  4. 請求項3に記載の3次元屈折率測定方法において、該屈折角の入射面内方向の屈折角をθ1、入射面外方向の屈折角をθ2とするとき、式(3)であらわされる試料の屈折角θを用いて3次元屈折率を求める工程を含むことを特徴とする3次元屈折率測定方法。
    Figure 0005287489
    但し、θ1は式(5)、θ2は式(6)で表される屈折角であり、入射角をΦ、偏光光の試料中における屈折角をθ、試料の屈折率楕円体におけるx軸方向に対する傾斜角をβ、n‘を式(7)で表される入射面内の屈折率とする。
    Figure 0005287489
    Figure 0005287489
    Figure 0005287489
  5. 請求項1記載のリタデーションR(φi)を求めるステップであって、屈折率の異なるk個(k≧2)の透明基板上に形成した同一の薄膜に対し、順次リタデーションRk(φi)を求め、φiごとに、そのk個のリタデーションRk(φi)の中から、当該φiで反射率が最小である前記透明基板に対応するリタデーションRk(φi)を、求めるR(φi)とすることを特徴とする請求項1記載の3次元屈折率測定方法。
  6. 透明基板上に形成した薄膜に対し、少なくとも
    1.直線偏光を垂直入射させて前記薄膜の面内の光学軸を求める手段、
    2.前記光学軸を含みかつ薄膜に垂直な平面内を進む直線偏光を少なくとも3つ以上の複数の入射角φiで前記薄膜に入射させてリタデーションR(φi)を求める手段、
    3.3次元屈折率の計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を決める手段、
    4.前記リタデーションR(φi)と計算式R(φi;nx,ny,nz,β)を用いて下記式(1)のρができるだけ小さくなるように、nx,ny,nzを求める手段、とを具備
    することを特徴とする3次元屈折率測定装置。
    Figure 0005287489
    (ここで、iは3以上の整数、nx,ny,nzは薄膜の屈折率の直交する3成分、βは薄膜の屈折率楕円体におけるx y z各軸方向に対する傾斜角である。)
  7. 前記3次元屈折率の近似式R(φi;nx,ny,nz,β)が、下記式(2)で表されることを特徴とする請求項6に記載の3次元屈折率測定装置。
    Figure 0005287489
    (ここで、i、nx,ny,nzは式(1)同じ。また、式(2)は、θ、dは既知のパラメータ、βは薄膜の屈折率楕円体におけるx y z各軸方向に対する傾斜角である。)
  8. 請求項7に記載の3次元屈折率測定装置において、該屈折角の入射面内方向の屈折角をθ1、入射面外方向の屈折角をθ2とするとき、式(4)であらわされる試料の屈折角θを用いて3次元屈折率を求める手段を含むことを特徴とする3次元屈折率測定装置。
    Figure 0005287489
    但し、θ1は式(5)、θ2は式(6)で表される屈折角であり、入射角をΦ、偏光光の試料中における屈折角をθ、試料の屈折率楕円体におけるx軸方向に対する傾斜角をβ、n‘を式(7)で表される入射面内の屈折率とする。
    Figure 0005287489
    Figure 0005287489
    Figure 0005287489
  9. 薄膜を形成した屈折率の異なるk個(k≧2)の透明基板を装着する手段を具備したことを特徴とする請求項7又は請求項8記載の3次元屈折率測定装置。
JP2009116369A 2008-06-05 2009-05-13 3次元屈折率測定方法及び3次元屈折率測定装置 Expired - Fee Related JP5287489B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009116369A JP5287489B2 (ja) 2008-06-05 2009-05-13 3次元屈折率測定方法及び3次元屈折率測定装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008147885 2008-06-05
JP2008147885 2008-06-05
JP2009116369A JP5287489B2 (ja) 2008-06-05 2009-05-13 3次元屈折率測定方法及び3次元屈折率測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010014705A JP2010014705A (ja) 2010-01-21
JP5287489B2 true JP5287489B2 (ja) 2013-09-11

Family

ID=41700927

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009116369A Expired - Fee Related JP5287489B2 (ja) 2008-06-05 2009-05-13 3次元屈折率測定方法及び3次元屈折率測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5287489B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5728904B2 (ja) * 2010-11-29 2015-06-03 日本ゼオン株式会社 光学異方性膜のレターデーションの測定方法、及び、光学異方性膜の製造方法
US11762169B2 (en) 2017-12-03 2023-09-19 Lumus Ltd. Optical device alignment methods
KR20200140349A (ko) 2018-04-08 2020-12-15 루머스 리미티드 광학 샘플 특성화
JP7398131B2 (ja) 2019-03-12 2023-12-14 ルムス エルティーディー. 画像プロジェクタ
IL302581B1 (en) 2020-11-18 2024-02-01 Lumus Ltd Optical validation of orientations of internal surfaces

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01216235A (ja) * 1988-02-25 1989-08-30 Orc Mfg Co Ltd 複屈折の測定方法
EP1484596A1 (de) * 2003-06-05 2004-12-08 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verfahren und Vorrichtung zur dreidimensionalen Bestimmung des Brechungsindex von transparenten Schichten
JP4971733B2 (ja) * 2006-09-19 2012-07-11 株式会社リコー 複屈折率測定装置、複屈折率測定方法、プログラムおよび記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010014705A (ja) 2010-01-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100365039B1 (ko) 액정표시장치의 셀 갭 측정법과 액정표시장치의 셀 갭측정장치, 액정표시장치, 및 액정표시장치의 셀 갭측정방법에 사용하는 위상차 판
TWI427374B (zh) 遲延度補償元件、垂直配向向列型液晶顯示裝置、及液晶投影機
US7554635B2 (en) Liquid crystal projector, liquid crystal device and substrate for liquid crystal device
US7468769B2 (en) Retardation compensator and single-panel type color liquid crystal projector
JP4897707B2 (ja) 位相差補償素子、液晶表示装置及び液晶プロジェクタ
EP1879066A1 (en) Phase difference compensation panel, phase difference compensator, liquid crystal display device, and projection type image display device
JP4805130B2 (ja) 反射型液晶表示素子及び反射型液晶プロジェクタ
KR20070097438A (ko) 위상차 보상기, 광 변조 시스템, 액정 디스플레이, 및 액정프로젝터
JP5287489B2 (ja) 3次元屈折率測定方法及び3次元屈折率測定装置
JP5140409B2 (ja) 偏光計測器,測定システム
EP3050726A1 (en) Vehicle including mirror with image display apparatus
KR20160052592A (ko) 광학 이방성의 파라미터들을 측정하기 위한 방법 및 장치
JP2006243311A (ja) 光学媒体の光学特性の解析方法、解析装置及製造監視方法
KR20100099662A (ko) 반사형 액정 셀의 틸트각 측정 방법 및 측정 장치
KR20150033112A (ko) 액정 변조기 및 이를 포함하는 검사 장치
KR20010107968A (ko) 수직 배향 액정 패널의 셀 갭 측정 방법 및 장치
JP2006171328A (ja) 位相差補償素子、光変調システム、液晶表示装置及び液晶プロジェクタ
JP2006119444A (ja) 位相差補償素子およびそれを用いた液晶装置
JP2001290118A (ja) 液晶層の厚み測定方法および厚み測定装置
JP2010107758A (ja) 液晶セルのチルト角測定方法及び装置
US6693686B2 (en) Polarizing element and optical display apparatus including the same
JP3813834B2 (ja) 液晶パネルパラメータ検出装置
US8184246B2 (en) Transparent film, polarizing plate, and liquid crystal display device
JP5266961B2 (ja) カラーフィルタ基板の製造方法
JP2001159751A (ja) 液晶セルパラメータ検出装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120420

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130424

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130520

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5287489

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees