JP2010107758A - 液晶セルのチルト角測定方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光源21の光から直線偏光成分の光を取り出し、この偏光成分の光を液晶セル23に、当該光の光軸Bが液晶セル23の法線と斜めの角度θになるようにして当て、液晶セル23を透過した光の、偏光成分と直角な方向の偏光成分における光強度に基づいて光強度透過率Tcを求め、この光強度透過率Tcと、液晶の常光屈折率no及び異常光屈折率neと、角度θと、液晶の厚さdとを用いて、液晶のチルト角βを求める。
【選択図】図1
Description
本発明は、特にマルチドメイン構造を有するVA液晶セルにおいて、当該液晶セルのチルト角を測定する方法及び装置に関するものである。
また、マルチドメイン構造を有する液晶セルの場合、前述の従来法の光学系では、各ドメイン別のチルトを打ち消してしまい、平均のチルト角の測定しかできない。そこでドメイン別にチルト角を測定しようとすれば、顕微光学系を用いて測定スポットをドメインの大きさに合わせる必要があった。このため、精密な顕微光学系が必要であった。
本発明の液晶セルのチルト角測定方法は、光源(21)の光から直線偏光成分の光を取り出し、この偏光成分の光を液晶セル(23)に、当該光の光軸(B)が液晶セル(23)の法線と斜めの角度(θ)になるようにして当て、液晶セル(23)を透過した光の、偏光成分と直角な方向の偏光成分における光強度に基づいて光強度透過率(Tc)を求め、この光強度透過率(Tc)と、液晶の常光屈折率(no)及び異常光屈折率(ne)と、角度(θ)と、液晶の厚さ(d)とを用いて、液晶のチルト角(β)を求める方法である。
液晶セル(23)が、一画素内で複数のドメイン(D)を含み、液晶は、各ドメイン(D)ごとに別の方向にチルトしている液晶セル(23)であれば、光強度透過率(Tc)は、液晶セル(23)の全ドメインの面積のうち、チルト角(β)が光軸(B)に平行でない方向に向いているドメインの面積の割合を係数(A)として含むことが好ましい。この係数(A)を考慮することにより、光が液晶セル(23)に当たった範囲で、別々の方向を向いたチルト角(β)を、打ち消しあうことなく求めることができる。
また光強度透過率Tcは、液晶セル(23)を透過した光の、偏光成分と直行する偏光成分における光強度を、液晶セル(23)を透過した光の、偏光成分と直角な方向の偏光成分における光強度と液晶セル(23)を透過した光の、偏光成分と平行な方向の偏光成分における光強度との合計値で割ることにより計算してもよい。
<装置構成>
図1は、本発明のプレチルト測定方法を実施する測定装置の構成図である。
この測定装置は、ハロゲンランプなどの光源21、光源21の出射光から直線偏光を取り出す偏光子22、サンプル設置台に設置されたVA液晶セル23、VA液晶セル23を通った光から直線偏光を取り出す検光子24、検光子24を通過した光から単色光を得るためのモノクロメータ25、モノクロメータ25から出射された光の強度を検出する検出器26及びデータ処理装置27を有する。なお、モノクロメータ25に代えて、ポリクロメータを配置しても良い。またモノクロメータ25を使用する場合、モノクロメータ25の位置は偏光子22の前でもよい。
偏光子22は、光の電界が入射面(光の進行方向と液晶セルの法線yを含む面)に対して平行に振動する偏光(p偏光)を作るように、その偏光方向がセットされている。検光子24は、偏光子22に対して垂直な方向に、その偏光方向がセットされているので、いわゆる「クロスニコル」の状態で検光子24を通過した光を検出することができる。
なお、VA液晶セル23への入射角θを変えるのに、フレームを固定し、VA液晶セル23を載せるサンプル設置台を傾斜させる機構を採用してもよい。
図3は、マルチドメイン垂直配向(MVA)モードの液晶セルにおける、電圧オフ時の、画素内のチルト方向を示す平面図である。
四角の枠が一画素Pを示し、その中が4つのドメインD1〜D4に分かれている。ここで角度の定義をすると、上方向を0度とし、時計周りに90度、180度、270度と数えることにする。4つのドメインD1〜D4のうち、右上のドメインD1は0〜90度の領域、右下のドメインD2は90〜180度の領域、左下のドメインD3は180〜270度の領域、左上のドメインD4は270〜360度(0度)の領域にあるものとする。
図4において、液晶セルは、上下のガラス基板11,12の間に液晶分子が充填されている。ガラス基板11,12の面に垂直な法線方向をy、光軸Bに垂直かつガラス基板11,12の面に平行な方向をxとする。液晶分子は、4つのプレチルト方向に対応した方向に配向されている。液晶分子a1は光軸Bからみればx−y面内で左に傾斜しているように見える。液晶分子a3は光軸Bからみればx−y面内で右に傾斜しているように見える。液晶分子a2,a4は光軸Bからみれば傾斜していないように見える。
図6は、液晶内部における、光が伝搬する光軸Bと、各座標軸x,y,zとを描いた座標図である。液晶分子a3は、ガラス基板11,12の法線方向yに対して、x−y面内で角度β傾斜し、液晶分子a1は方向yに対して、x−y面内で角度−β傾斜しているものとする。角度βは、
ここで、光軸Bに垂直な平面x−y′を定義する。そして、平面x−yにある液晶分子a3を、平面x−y′に投影する。この投影した液晶分子をa3′と書く。液晶分子a3′はy′軸に対して平面x−y′上で角度β′傾いているとする。角度β′は、光軸Bの方向から見た液晶分子の軸ズレを表わし、式
また、液晶分子a3′の平面x−y′上での座標y′と、平面x−y上での座標yとの関係は、平面x−y′と平面x−yとのなす角度が90度−θ′であることを考慮すると、
そこで、角度β′と角度βとの関係は、前出の式[数1][数4][数5]を使えば、
一方、液晶の屈折率nは、入射する偏光がs偏光(図2)の場合、
本発明の測定方法の目的はβを決定することであるから、βとβ′のもう1つの関係式が分かれば、方程式を使ってβを決定することができる。
ジョーンズ行列を計算してクロスニコル状態の光強度透過率Tcの式を導出すれば、
光軸Bと液晶分子a3とのなす角度をθa(図6参照)とすると、角度θaと光の入射角θ′と液晶分子のチルト角βとの間には、
[数9]において、Tcは検出器26によって測定できる量であるので、[数9]はβとβ′との関係を表わす式となる。そこで[数6]及び[数7](又は[数6]及び[数8])と合わせて2つの関係式を連立させて解けば、βを求めることができる。
すなわち、各画素内には、図4に示すように、チルト角βが光軸Bに平行な液晶分子a2,a4と、チルト角βが光軸Bに平行でない液晶分子a1,a3とが存在する。チルト角βが光軸Bに平行な液晶分子a2,a4は、[数9]において、β′=0となり、光を透過させない。
<測定手順>
(1)測定手順1
本発明による測定手順を、フローチャート(図7)に基づいて説明する。
まず、図1又は図2の測定装置において、サンプルとする液晶セル23をセットし、光源21から白色洸を、所定範囲スポット照射し、入射角θをある値に設定する。入射角θは25度〜80度の範囲内から選ぶことが好ましい。例えば45度に設定する。
まず、液晶セルについてリファレンス測定を行う。液晶セルに光を照射した場合、液晶セル23の表面での反射もあり、表面での反射以外にカラーフィルター基板の吸収等もあるので、絶対的な光透過率を求めようとすると、計算処理が複雑になる。そこで(a)図1,2の装置構成から検光子24のみを取り外して光強度を求めるか、または(b)図1,2の装置構成で検光子24を平行ニコル状態とクロスニコル状態としてそれぞれ光強度を測定し、2種類の光強度の合計値をリファレンスとする(ステップS0)。このリファレンス光強度をRと書く。
液晶セルの、セルギャップdと、異常光線(extra ordinary wave)の屈折率neと、常光線(ordinary wave)の屈折率noとは液晶セルの定数である。入射角θは上述のように設定した値であり、係数Aも定数である。これらの値を[数9]〜[数11]に代入してβ′を求め、[数6]〜[数8]を用いてチルト角βを求めることができる(ステップS2,S3)。詳しく言えば、光源21の出射光をVA液晶セル23に照射したスポットの範囲に存在する液晶分子について、チルト角βの平均値を求めることができる。
液晶の異常光線(extra ordinary wave)の屈折率neと、常光線(ordinary wave)の屈折率noとは波長λの関数である。入射角θと、セルギャップdと、係数Aとは波長と無関係であり、既知の数値である。そこで、これらの値を[数9]〜[数11]に代入して、液晶分子のチルト角βをパラメータとして、光強度透過率Tcと波長λとの関係Tc(λ,β)を求める。
このグラフを用いれば、複数の波長について光強度透過率Tcを測定し、その測定点を、このグラフにプロットし、フィットさせれば、チルト角βを正確に求めることができる。
21 光源
22 偏光子
23 VA液晶セル
24 検光子
25 モノクロメータ
26 検出器
27 データ処理装置
Claims (8)
- 光源から直線偏光成分の光を取り出し、
この偏光成分の光を液晶セルに、当該光の光軸が前記液晶セルの法線と斜めの角度になるようにして当て、
前記液晶セルを透過した光の、前記偏光成分と直角な方向の偏光成分における光強度を測定して光強度透過率を求め、
この光強度透過率と、前記液晶の常光屈折率及び異常光屈折率と、前記角度と、前記液晶の厚さとを用いて、前記液晶のチルト角を求めることを特徴とする液晶セルのチルト角測定方法。 - 前記液晶セルは一画素内で複数のドメインを含み、
前記液晶は、前記ドメインごとに異なる方向にチルトしており、
前記光強度透過率は、前記液晶セルの全ドメインの面積のうち、チルト角が前記光軸に平行でない方向に向いているドメインの面積の割合を係数として含む請求項1記載の液晶セルのチルト角測定方法。 - 前記光軸が前記液晶セルの法線となす斜めの角度は、25度〜80度の範囲にある請求項1記載の液晶セルのチルト角測定方法。
- 前記光強度透過率は、前記液晶セルを透過した光の、前記偏光成分と直角な方向の偏光成分における光強度を、前記液晶セルを透過した光の光強度で割ったものである請求項1記載の液晶セルのチルト角測定方法。
- 前記光強度透過率は、前記液晶セルを透過した光の、前記偏光成分と直角な方向の偏光成分における光強度を、前記液晶セルを透過した光の前記偏光成分と直角な方向の偏光成分における光強度と前記液晶セルを透過した光の前記偏光成分と平行な方向の偏光成分における光強度との合計値で割ったものである請求項1記載の液晶セルのチルト角測定方法。
- 波長の関数としての前記液晶の常光屈折率及び異常光屈折率のデータと、前記角度と前記液晶の厚さとを用いて、液晶分子のチルト角をパラメータとする光強度透過率と波長との関係を求め、
複数の波長について前記光強度透過率を測定し、その測定点を前記関係に当てはめることにより、チルト角を求める請求項1記載の液晶セルのチルト角測定方法。 - 光源から直線偏光成分を取り出す偏光子と、
この偏光子の光を液晶セルに、当該光の光軸が液晶セルの法線と斜めの角度になるようにして当てることのできる光軸設定手段と、
前記液晶セルを透過した光の、前記偏光成分と直角な方向の偏光成分を取り出す検光子と、
前記検光子を透過した光の光強度を測定する検出器と、
前記検出器で検出した光強度に基づいて光強度透過率を算出し、前記液晶の常光屈折率及び異常光屈折率と、前記角度と、前記液晶の厚さとを用いて、前記液晶のチルト角を求めるデータ処理装置とを備えることを特徴とする液晶セルのチルト角測定装置。 - 前記検光子を透過した光を分光する分光器をさらに含み、
前記データ処理装置は、波長λの関数としての前記液晶の常光屈折率及び異常光屈折率と、前記角度と、前記液晶の厚さとを用いて、液晶分子のチルト角をパラメータとして、光強度透過率と波長との関係を求め、複数の波長について測定された光強度透過率の測定点を、この関係に当てはめることにより、チルト角を決定するものである請求項7記載の液晶セルのチルト角測定装置。
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