JPH09152321A - 液晶表示装置のプレチルト角測定方法及び測定装置 - Google Patents

液晶表示装置のプレチルト角測定方法及び測定装置

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JPH09152321A
JPH09152321A JP31173895A JP31173895A JPH09152321A JP H09152321 A JPH09152321 A JP H09152321A JP 31173895 A JP31173895 A JP 31173895A JP 31173895 A JP31173895 A JP 31173895A JP H09152321 A JPH09152321 A JP H09152321A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示装置のプレチルト角の測定方法及び
測定装置を提供して、測定精度の向上、コストの低下、
技術的開発への貢献を実現する。 【解決手段】 あらかじめプレチルト角と所定の光学的
値との関数的関係を記憶したマイコン(5)が、コント
ローラ(6)からの視角情報及び分光測定器からの分光
特性情報を受けて、光学的値を算出し、この値を前記関
数的関係の1対1対応に照合することにより、プレチル
ト角を1つ決定し、この値をこの液晶表示装置(2)の
プレチルト角とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学部材として液晶を
用いて画素毎に透過率を制御し、透過率分布を表示画像
として視認させる液晶表示装置において、液晶の初期傾
斜角を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ディスプレイ装置として、光変調手段に
液晶を用いた液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal D
isplay)は小型、薄型、低消費電力などの利点があり、
OA機器、AV機器などの分野で実用化が進んでいる。
特に、液晶駆動用の透明電極を交差配置して表示点をマ
トリクス的に選択しながら電圧を印加するマトリクス
型、更には、液晶駆動用の各画素容量にスイッチ素子を
接続形成し、線順次に書き換え画素を選択しながら、信
号電圧を静電的に常時保持させていくアクティブマトリ
クス型は、高精細、高コントラスト比の動画表示が可能
となり、パーソナルコンピュータのディスプレイモニタ
ー、テレヴィジョンなどに実用化されている。
【0003】図12は、LCDの構成を示す斜視図であ
る。(1)は、第1の偏光板、(2)は液晶駆動用の透
明電極が形成された電極基板、(3)は液晶、(4)は
透明な対向基板、(5)は第2の偏光板である。TN
(Twisted Nematic)モードの一般的な構成では、液晶
(3)は、その分子軸を同一方向に揃える傾向のあるネ
マチック相である。両基板(2,4)表面には液晶分子
(3a)の配向を制御するために、ポリイミドなどの高
分子膜を形成してこれにラビング処理を施すことによ
り、基板(2,4)との界面で、液晶分子(3a)の配
向を一定方向に揃えさせている。ラビング方向は、両基
板(2,4)で直交しており、液晶分子(3a)は両基
板(2,4)からの制御を受けて両基板(2,4)間で
90°にねじれられている。偏光板(1,5)もまた、
図で矢印により示しているように、その偏光軸が互いに
直交している。
【0004】このような方式においては、より具体的に
は、電極基板(2)と対向基板(4)に帯状の透明電極
が複数形成され、両透明電極を交差するように配置し、
その交差部で画素を構成する単純マトリクス型があり、
特に、パソコンのモニターなどグラフィック用ディスプ
レイでは、高デューティ比に対応して液晶の駆動閾値特
性の急峻性を得るために、液晶の配向を両基板(2,
4)間で270°ねじらせたSTN(Super Twisted Ne
matic)モードや、電極基板(2)を、スイッチング素
子として薄膜トランジスタ即ちTFT(Thin Film Tran
sistor)と、これが画素を区画する表示電極に接続され
てなる単位構造がマトリクス状に配置形成されたTFT
基板とし、対向基板(4)側には全ての表示電極に対向
する共通電極を全面的に形成して、1フィールド毎に各
画素に異なる電圧を印加して保持させるアクティブマト
リクス型などがある。
【0005】更に、他のモードとして、垂直配向モー
ド、即ち、液晶分子の初期配向を基板に垂直方向に制御
されたものもある。TNモードにおいて、電圧無印加時
には、図の下方に配置された光源より光が入射すると、
第1の偏光板(1)により直線偏光に変化し、電極基板
(2)を透過する。液晶は屈折率に異方性が有り、入射
直線偏光は液晶の配向のねじれに沿って旋回し、対向基
板(4)を透過し、第2の偏光板(5)を通過する。こ
の時、その画素は明点であり、白と認識される。液晶は
また、誘電率にも異方性を有しているため、電圧印加時
には、両基板(2,4)間で電界が形成されると、液晶
のねじれ配向がくずされ、液晶分子(3a)が基板に垂
直方向に向くようになる。このため、第1の偏光板
(1)を通過した入射直線偏光は液晶(3)で旋回され
なくなり、第2の偏光板(5)を通過せず、その画素は
暗点となり、黒と認識される。光の透過量は液晶へ印加
される電界の強度に依存して変化するため、特に、アク
ティブマトリクス型では、画素毎に、電圧を微調整する
ことにより、階調表示ができ、ピクチャーの表示も可能
となる。このように、電圧無印加時には白を表示し、電
圧を印加することにより黒が得られる方式をノーマリ・
ホワイト・モードという。
【0006】これに対して、両偏光板(1,5)の偏光
軸を互いに平行になるように配したタイプは、ノーマリ
・ブラック・モードという。この場合、電圧無印加時に
は、第1の偏光板(1)を通過した直線偏光は、液晶
(3)で旋回されて、第2の偏光板(5)で遮断される
ので表示は黒となる。電圧を印加することにより、液晶
(3)による入射直線偏光が旋回されなくなって第2の
偏光板(5)を通過するようになるため、表示は白とな
る。
【0007】図13に示すように、液晶分子(3a)
は、両電極基板(2,4)の表面に設けられた配向膜
(2a,4a)との接触界面において、相互作用により
その分子長軸が一定方向に揃えられるとともに、ラビン
グ方向(2b,4b)に向かって、若干立ち上げられ、
初期傾斜、即ち、プレチルト(pt)を有している。電
圧を印加すると、図14に示すように、両電極基板
(2,4)に形成された表示電極と共通電極との間に電
界(6)が形成され、正の誘電率異方性を有した液晶分
子(3a)は電気的に反応して電界(6)に沿う方向に
向く。この時、液晶分子(3a)は、プレチルトを大き
くするように立ち上がる。
【0008】このため、図15に示すように、液晶分子
(3a)は、上下基板のラビング方向(2a,4a)に
対して平均的に一定方向を向いている。このため、左視
角方向(L)及び右視角方向(R)からの視認では、液
晶分子の(3a)の傾斜を横方向から見るようになるた
め、視角に依存して透過率が変化する、いわゆる、視角
依存性が小さい。これに対して、上下視角(U,D)で
は、液晶分子(3a)を分子軸の動きが最も大きく見ら
れるようになるため、視角依存性が高くなる。通常は、
図に示すように、下視角(D)方向からの視認におい
て、液晶分子(3a)を背中方向から見るようになるた
め、十分な黒レベルが得られるとともに、液晶分子(3
a)が傾斜していっても、分子軸の表裏が逆転し、電圧
−透過率特性曲線の傾きが逆になることもなく、階調反
転を招きにくいように設定されている。即ち、下視角方
向(L)が優先視角方向になるようにされている。
【0009】液晶分子(3a)は、プレチルト角に従っ
て、電圧印加時の立ち上がり方向が一律に揃えられる。
これにより、液晶分子(3a)が部分的に反対側から立
ち上がって、その領域が、透過率や視角依存特性の異な
るリヴァースチルトドメインとなって、透過率の変化を
招き、表示品位を低下させるといったことを防いでい
た。このようなリヴァースチルトドメインは、プレチル
ト角が大きいほど発生しにくいが、反面、リヴァースチ
ルトドメインが大きいと、十分な輝度、特に、十分に低
い黒レベルが得られにくくなるため、コントラスト比の
低下をもたらす。従って、プレチルト角の制御は、良好
な表示を得るための重要な要素であり、そのためには、
プレチルト角の正確な測定は、必要不可欠である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来のプレチルト角測
定法として、クリスタルローテーション法がある。即
ち、所定のセルギャップで、上下偏光板の偏光軸を互い
に平行に配置した測定専用のセルを用い、観測角度を変
化して透過特性を調べることで、プレチルト角を測定す
るものである。従ってこの方法では、測定装置に合った
測定専用のセルを作る必要があり、コストが高かった。
また、実用品セルは、測定用セルと同じ製造方法あるい
は同じ材質の配向膜を用いているということによって、
測定用セルで測定されたプレチルト角と同じプレチルト
角であるという決定の仕方であったので、製造工程にお
けるばらつきや、液晶注入後の配向膜の、液晶との相互
作用効果の変化なども考慮に入れて、完成された実用品
セルについてプレチルト角を測定するということはでき
なかった。
【0011】本発明では、実用品のセルについて、簡易
な方法でプレチルト角が測定でき、信頼性を向上すると
ともに、プレチルト角の変化による表示品位の低下の原
因究明を可能とする、プレチルト角測定方法と、その装
置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明はこの課題を解決
するために成されたもので、液晶表示装置のプレチルト
角測定方法において、あらかじめプレチルト角と、所定
の複数の視角方向での透過光の波長分光特性から所定の
計算方法により算出された光学的値との光学的対応関係
を導き出し、プレチルト角を測定すべき液晶表示装置
の、前記所定の複数の視角方向における透過光の波長分
光特性より前記所定の計算方法と同じ計算方法により算
出された光学的値を前記光学的対応関係と照合すること
によりプレチルト角を決定する構成である。
【0013】また、液晶表示装置のプレチルト角測定装
置であって、前記液晶表示装置を支持し支持平面に含ま
れた少なくとも一つの直線を軸とした回転角を変化でき
る支持体と、前記液晶表示装置に光を照射する光源と、
前記光源からの光が前記液晶表示装置を透過した光の波
長分光値を測定する分光測定器と、前記支持体の回転角
を制御するコントローラと、前記分光測定器及び前記コ
ントローラに接続され、あらかじめプレチルト角と、所
定の複数の前記回転角方向での透過光の波長分光値より
所定の計算方法により算出された光学的値との光学的対
応関係が記憶され、前記コントローラの回転角情報と前
記分光測定器の波長分光値情報から演算処理を行って前
記所定の計算方法により光学的値を算出し、この算出さ
れた値を前記光学的対応関係に照合することにより、プ
レチルト角を決定するマイクロコンピュータと、を備え
た構成である。
【0014】このように、透過光の波長分光特性のプレ
チルト角への依存性を利用したプレチルト角測定方法に
より、透過光の所定の波長分光を調べるのみで、プレチ
ルト角が分かるので、完成品の液晶セルのプレチルト角
を知ることができ、信頼性、セル解析が容易になる。特
に、前記光学的対応関係は、第1視角方向、第2視角方
向及び第3視角方向の各場合での透過光の波長分光特性
において、所定の方法で指定された波長での前記第1視
角方向の波長分光値と前記第2視角方向での波長分光値
の差と、前記第3視角方向の波長分光値と前記第2視角
方向の波長分光値の差との比である構成である。
【0015】このように、波長分光特性がプレチルト角
に比較的大きく依存する視角方向を第3視角方向に設定
し、波長分光特性がそれほどプレチルト角に依存しない
第1視角方向及び第2視角方向との分光特性に対する適
当な波長における分光値の比と、その時のプレチルト角
との関数的光学的対応関係を求めておくことで、測定す
べき液晶表示装置の分光特性から前述の方法により求め
た光学的値を前記関係的関数に当てはめることにより、
プレチルト角値が決定される。即ち、液晶分子の屈折率
の異方性のために、液晶分子の配向が主として含まれる
平面内における視角の変化により透過光特性が大きく変
化するとともに、この変化量がプレチルト角によって異
なることを利用している。つまり、プレチルト角が変わ
ると、光学特性が変化するが、この変化量が、視角によ
って異なっており、特に、第3の視角方向における変化
量が、第1及び第2視角方向における変化量と著しく異
なるので、第1及び第2視角方向における変化量を基準
に第3視角方向における変化量の比として導いてきた光
学的値を、そのプレチルト角における固有の値とするこ
とができる。従って、同じ光学特性の変化量を示すもの
については、同じプレチルト角を有していると査定され
る。
【0016】また、前記所定の方法で指定された波長
は、前記第1視角方向、第2視角方向及び第3視角方向
の各場合での透過光の波長分光特性の極小値を与える各
波長のうち、最大の波長より、一定幅大きい波長とした
構成である。これにより、分光値の極小値を与える波長
は、視角によって異なっているが、これらの波長から離
れた波長域において分光値が大きく、これらの分光値の
差が明確となるような波長で、求めるべき光学的値を照
合する精度が高くなるように光学的値を求める波長を決
めることにより、精度の高いプレチルト角の測定が可能
となる。
【0017】
【発明の実施の形態】続いて、本発明の実施形態を説明
する。図1から図4は、各々異なるプレチルト角を有し
た液晶表示装置(A,B,C,D)について、視角0°
即ち正面視角(fr)、+45°即ち上視角(up)、
及び、−45°即ち下視角(dn)における、波長と透
過率の関係を示した分光特性図である。装置(A,B,
C,D)に用いた液晶はチッソ石油化学社製SA−50
16LBネマチック液晶、セルギャップは4.6μm
で、入射側の偏光板を、偏光軸を配向膜のラビング方向
と直角に設定し、常光線を直線偏光としたO−MODE
である。ラビング方向は、図15に示した同様、互いに
直交するTNモードであり、上下の偏光軸が平行なノー
マリ・ブラック・モードである。この時、上下視角
(U,D)について、視角依存性が大きくなる。使用さ
れている配向膜は、各々、プレチルト角が異なってお
り、日本合成ゴム社製ポリイミドでJALS−428、
AL−3506、AL−8534、RN−1046であ
る。各装置(A,B,C,D)のプレチルト角の公称値
を下表に示す。
【0018】
【表1】
【0019】図1から図4を見て分かることは、まず、
波長と透過率との関係、即ち、分光特性が、視角によっ
て異なっているとともに、プレチルト角にも依存して変
化している点である。これは、初期状態において、液晶
の配向状態が、プレチルト角によって影響を受けて変化
しているため、液晶分子と入射直線偏光の成す角が変わ
るためである。
【0020】ノーマリ・ブラックでは、液晶が立ってい
る状態ほど透過率が高くなる。このため、電圧印加によ
り液晶分子(3a)が垂直配向に変化する、あるいは,
視角を変える、即ち、この場合では上下視角(U,D)
からの視認において、液晶分子(3a)が立ったように
見られるようになるため、透過率が上昇する。このた
め、プレチルト角の最も小さい図1で、特に正面視角
(fr)において、旋光が有効に成されるので、偏光板
による遮光性が高く、透過率は最も低くなっている。こ
れに対して、図2では、プレチルトのため、液晶が立ち
上がっているので、液晶のねじれ配列構造がくずされ、
旋光性が低下し、偏光板間を光が通り抜けるので透過率
が上昇している。特に、上視角(up)特性では、プレ
チルトにより液晶分子が立ち上がった分だけ、液晶分子
を点状に見ることになるため、旋光性が下がり、偏光板
間を透過するため、透過率が上がっている。図3及び図
4についても同様のことがいえる。
【0021】更に、図1から図4を見比べると、次のこ
とが分かる。正面視角(fr)における分光特性は、プ
レチルト角にあまり依存せずに、比較的安定しているの
に対して、下視角(dn)では、プレチルト角に依存し
て、透過率が大きく変化しているのみならず、プレチル
ト角が大きくなるにつれて、透過率が下がっており、図
4においては、正面視角(fr)にほぼ近い特性曲線と
なっている。これは、下視角(dn)では、プレチルト
角が大きくなって、液晶分子が立ち上がるほど、液晶分
子を棒状に見るようになるため、旋光性が高まり、偏光
板間で光が良く遮断されるためである。この作用は、上
視角(up)とはちょうど逆の作用であるが、変化量は
かなり大きくなっている。これは、ノーマリ・ブラック
・モードでは、比較的、透過率を上げることは容易だ
が、透過率を絞ることが困難であるので、液晶層を斜め
に通過する透過光を視認するような視角において、特
に、液晶を棒状に見ることになる下視角(dn)で、大
幅に透過率が落ちるためであると推測される。
【0022】このように、液晶表示装置の透過率は、視
角に依存するのみではなく、プレチルト角にも依存して
いることが推測される。即ち、プレチルト角が変化する
と、液晶分子の配向が影響を受け、光路と液晶分子との
なす角が変化するためである。以上の推測を基に、シミ
ュレーションを行い、プレチルト角を変えたときの、波
長分光特性を計算した。図5から図9は、オートロニッ
ク社製の液晶シミュレーターDIMOSを用いたシミュ
レーション結果である。このシミュレーションでは、フ
ランクの弾性理論及び4×4マトリクス法を利用してい
る。図5はプレチルト角が0°、図6は1°、図7は5
°、図8は10°、図9は20°の場合についての、正
面視角(0°)(fr)、上視角(+45°)(u
p)、下視角(−45°)(dn)での分光特性を示し
ている。このシミュレーションにおけるセルの条件は前
述の図1から図4の液晶表示装置(A,B,C,D)と
同じである。図1から図4と同様、図5から図9を見て
も、上で考察したように、透過率は視角のみならず、プ
レチルト角にも依存して変化することが分かる。即ち、
正面視角(fr)では、プレチルト角の変化の影響は目
立たないが、上視角(up)及び下視角(dn)では、
液晶層を通過する距離が長くなる分、プレチルトによる
影響をたくさん受ける。上視角(up)では、プレチル
ト角が大きくなるほど、液晶分子を点状に見るようにな
るため、旋光性が下がり透過率が上がっていくが、下視
角(dn)では、プレチルト角が大きくなるほど、液晶
分子を棒状に見るようになるため、旋光性が高まり、透
過率が下がっていく。
【0023】そこで、出願人は、以上の考察より、透過
率のプレチルト角への依存性に着目し、透過率を測定す
ることで、逆に、プレチルト角を査定する方法を発明し
た。即ち、あらかじめ、所定の光学的値とプレチルト角
の関数的関係を確立してお記、測定すべき液晶表示装置
の透過率特性より前記関数的関係に当てはめる光学的値
を求め、これより、対応するプレチルト角を決定するも
のである。
【0024】以下、本発明の実施例にかかる液晶表示装
置のプレチルト角測定方法を説明する。第1に、前述の
図5から図9において、正面視角(fr)、上視角(u
p)及び下視角(dn)の各分光特性曲線の極小値を与
える波長のうち、最も大きい波長λminを読み取る。図
5から図8では正面視角(fr)特性、図9では下視角
(dn)において波長λminを読みとる。
【0025】これにより、各プレチルト角における光学
特性において、類似した部分で相互比較がどきるように
共通の条件を与えている。第2に、波長λminに100
nmを加えた基準波長λoを設定する。これにより、各
プレチルト角における光学特性において、波長に依存す
る変化量を無効とし、プレチルト角のみに依存した変化
量による相互比較を可能としている。
【0026】第3に、基準波長における、上視角(u
p)特性の透過率Tupと下視角(dn)特性の透過率T
dnの差と、上視角(up)特性の透過率Tupと正面視角
(fr)特性の透過率Tfrの差との比、(Tup−Tdn)
/(Tup−Tfr)を計算し、この値を、そのプレチルト
角における光学的値とする。第4に、プレチルト角を変
えたときの各々光学的値を算出して、プレチルト角と光
学的値との関数的関係を確立する。
【0027】図10に、このようにして求めたプレチル
ト角と光学的値との関数的関係をグラフ化したものを示
す。プレチルト角の1つの値に対して、光学的値が1対
1で対応していることが分かる。本発明では、このよう
なプレチルト角と光学的値との関数的関係を基に、測定
すべき、液晶表示装置の分光特性より、前述の第1から
第4の手順と同じ方法で光学的値を算出し、この値より
図10に示した関数的関係から1つのプレチルト角を読
みとり、これをこの液晶表示装置のプレチルト角である
と決定するものである。
【0028】引き続き、実施例に戻って説明する。一例
として液晶表示装置(B)のプレチルト角を本発明の方
法で測定する。まず、簡単な光学的観察により、視角依
存性の高い視角方向を決定し、これを上下視角方向と定
める。次に、正面視角(視角0°)(fr)、上視角
(up)(視角+45°)及び下視角(dn)(視角−
45°)の各視角方向について、例えば、大塚電子社製
IMAC−7000を用いて、波長と透過率の関係を調
べ、波長分光特性を測定する。この結果は、先に図2に
示している。
【0029】そして、図10に示したプレチルト角−光
学的値の関数関係を求めた時と同じ手順で、光学的値を
算出する。即ち、まず、正面視角(fr)あるいは下視
角(dn)における分光特性の極小値を与える波長のう
ち、大きい方の波長λmin=590nmを読みとる。次
に、590nmに100nmを加算し、λo=690n
mをこのプレチルト角における基準波長に設定する。
【0030】そして、690nmにおける上視角(u
p)特性の透過率5.94%と下視角(dn)特性の透
過率2.64%の差と、上視角(up)特性の透過率
5.94%と正面視角(fr)特性の透過率0.80%
の差との比、(5.94−2.64)/(5.94−
2.64)=0.642を計算し、この値を、そのプレ
チルト角における光学的値とする。
【0031】この光学的値0.642を、図10の関数
的関係に当てはめると、プレチルト角が4.00°と求
められる。表1にメーカーによる公称値と本発明の方法
による測定値を示した。いずれの機種においても、かな
り正確な値が得られているのが分かる。このように、本
発明では、図10に示すような、プレチルト角と、所定
の光学的値との関数的関係を求めておくことにより、実
際の液晶表示装置のプレチルト角を測定する場合は、光
学的観測により前述の光学的値を算出し、前述の関数的
関係よりプレチルト角を決定することができる。
【0032】但し、上に挙げた実施例のうち、分光特性
を得るデータは、シミュレーション実験を使うものに限
定されることは無く、例えば、IMAC7000のよう
な分光測定器を用いて、あらかじめ、プレチルト角の分
かっているセルについての分光特性データを集め、これ
より、図10の如き、プレチルト角と光学的値との関数
的関係を確定しておくこともできる。あるいは、シミュ
レーション結果を実測により補正するなどの手法も開発
の余地がある。
【0033】また、前述の光学的値を求める手順につい
て、第1及び第2の手順では、分光特性測定器の性能に
より、基準波長λoを、別の方法で指定することもでき
る。本実施例では、可視域に関してのデータを取るた
め、透過率の極小値を与える波長のうち最も大きい波長
を選択し、視角による透過率の差を大きくとれるよう
に、それよりも所定幅大きな基準波長λoを指定してい
る。このため、分光測定器として、例えばUV測定器を
用いる場合などは、別の波長域で基準波長を指定しなけ
ればならない。また、基準波長λoを指定するための変
化幅も100nmに限定されることはなく、データを揃
えることにより、より高精度な測定が行えるような変化
幅を調べることができる。
【0034】次に、本発明の実施形態に係る液晶表示装
置のプレチルト角測定装置を説明する。図11は、その
構成図である。(1)は、測定すべき液晶表示装置
(2)を固定支持する支持体であり、液晶表示装置
(2)の表示部に当たる部分に開口部が設けられてお
り、その支持面上の紙面に垂直方向を軸に回転角(θ)
が可変となっている。(3)は液晶表示装置(2)に光
を照射する光源、(4)は、液晶表示装置(2)を透過
した光を受け、波長分光特性を導出する分光測定器であ
る。この分光測定器(4)には、例えば前述のIMAC
−7000が用いられる。(5)はマイコンであり、分
光測定器(4)、及び、支持体(1)の回転角(θ)を
制御するコントローラ(6)に接続されている。
【0035】マイコン(5)は、コントローラ(6)か
らの回転角情報より正面視角、上視角及び下視角を識別
するとともに、分光測定器(4)より得られた分光特性
情報から、前述の手順に従って光学的値を計算する演算
処理を行う。マイコン(5)はまた、図10のようなプ
レチルト角と光学的値との関数的関係があらかじめ記憶
されており、算出された光学的値を、この関数的関係に
照合することにより、プレチルト角値を1つ選出し、こ
れをもって、液晶表示装置(2)のプレチルト角である
と決定される。
【0036】このような、プレチルト角測定装置におい
て、更に、支持体(1)を、回転軸は固定したまま、上
下左右に微可動な構成とすることにより、一画素におけ
るプレチルト角の分布を調べることもできる。これによ
り、リヴァースチルトドメインの発見や、配向膜の分割
によりプレチルトを異ならせ複数方向に配向させて視野
角を拡大するマルチドメイン方式において、複数回のラ
ビングのプレチルト角制御性を判定する際にも有用とな
る。
【0037】なお、図10に示すプレチルト角と光学的
値との関数的関係は、セルギャップが前述の値に決まっ
ている。従って、異なるセルギャップについて、図10
の如き光学的関係を確立しておくことにより、あらゆる
セルギャップをもったセルについてプレチルト角を求め
ることも可能となる。
【0038】
【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明
は、液晶表示装置のプレチルト角測定方法において、あ
らかじめ、プレチルト角と所定の光学的値との関数的関
係を確立しておき、測定すべき液晶表示装置の光学特性
を調べて光学的値を導き出し、この値を、上の関数的関
係に当てはめることで、プレチルト角を決定する方法で
ある。これにより、液晶表示装置の光学特性を調べるの
みで、プレチルト角が測定されるので、測定用セルが不
要となり、コストが下がるとともに、完成品のセルで測
定ができるので、プレチルト角測定を信頼性試験の一項
目に入れることもでき、信頼性が向上される。
【0039】また、完成されたセルで、プレチルト角と
光学特性の関係を調べることも可能となるので、リヴァ
ースチルトドメインの解析や、配向膜の分割によるマル
チドメイン方式において、配向膜のラビング、プレチル
ト角、光学特性の特性関係などの分析、開発にも有用と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示装置の光学的特性の測定結果を示す分
光特性図である。
【図2】液晶表示装置の光学的特性の測定結果を示す分
光特性図である。
【図3】液晶表示装置の光学的特性の測定結果を示す分
光特性図である。
【図4】液晶表示装置の光学的特性の測定結果を示す分
光特性図である。
【図5】液晶表示装置の光学的特性のシミュレーション
結果を示す分光特性図である。
【図6】液晶表示装置の光学的特性のシミュレーション
結果を示す分光特性図である。
【図7】液晶表示装置の光学的特性のシミュレーション
結果を示す分光特性図である。
【図8】液晶表示装置の光学的特性のシミュレーション
結果を示す分光特性図である。
【図9】液晶表示装置の光学的特性のシミュレーション
結果を示す分光特性図である。
【図10】本発明の実施形態に係るプレチルト角と光学
的値との関数的関係を示す関係図である。
【図11】本発明の実施形態に係る液晶表示装置のプレ
チルト角測定装置の構成図である。
【図12】液晶表示装置の構成を示す斜視図である。
【図13】液晶表示装置の原理を示す斜視図である。
【図14】液晶表示装置の原理を示す斜視図である。
【図15】液晶表示装置の構成を示す平面図である。
【符号の説明】
1 支持体 2 液晶表示装置 3 光源 4 分光測定器 5 マイコン 6 コントローラ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶表示装置のプレチルト角測定方法に
    おいて、 あらかじめプレチルト角と、所定の複数の視角方向での
    透過光の波長分光特性から所定の計算方法により算出さ
    れた光学的値との光学的対応関係を導き出し、 プレチルト角を測定すべき液晶表示装置の、前記所定の
    複数の視角方向における透過光の波長分光特性より前記
    所定の計算方法と同じ計算方法により算出された光学的
    値を前記光学的対応関係に照合することによりプレチル
    ト角を決定することを特徴とする液晶表示装置のプレチ
    ルト角測定方法。
  2. 【請求項2】 前記光学的対応関係は、第1視角方向、
    第2視角方向及び第3視角方向の各場合での透過光の波
    長分光特性において、所定の方法で指定された波長での
    前記第1視角方向の波長分光値と前記第2視角方向の波
    長分光値の差と、前記第3視角方向の波長分光値と前記
    第2視角方向の波長分光値の差との比であることを特徴
    とする請求項1記載の液晶表示装置のプレチルト角測定
    方法。
  3. 【請求項3】 前記所定の方法で指定された波長は、前
    記第1視角方向、第2視角方向及び第3視角方向の各場
    合での透過光の波長分光特性の極小値を与える各波長の
    うち、最大の波長より、一定幅大きい波長であることを
    特徴とする請求項2記載の液晶表示装置のプレチルト角
    測定方法。
  4. 【請求項4】 液晶表示装置のプレチルト角測定装置で
    あって、 前記液晶表示装置を支持し支持平面に含まれた少なくと
    も一つの直線を軸とした回転角を変化できる支持体と、
    前記液晶表示装置に光を照射する光源と、前記光源から
    の光が前記液晶表示装置を透過した光の波長分光値を測
    定する分光測定器と、前記支持体の回転角を制御するコ
    ントローラと、前記分光測定器及び前記コントローラに
    接続され、あらかじめプレチルト角と、所定の複数の前
    記回転角方向での透過光の波長分光値から所定の計算方
    法により算出された光学的値との光学的対応関係が記憶
    され、前記コントローラの回転角情報と前記分光測定器
    の波長分光値情報から演算処理を行って前記所定の計算
    方法で光学的値を算出し、この算出された値を前記光学
    的対応関係に照合することにより、プレチルト角を決定
    するマイクロコンピュータと、を備えたことを特徴とす
    る液晶表示装置のプレチルト角測定装置。
  5. 【請求項5】 前記光学的値は、前記支持体の支持平面
    に含まれた直線を軸とした第1回転角方向、第2回転角
    方向及び第3回転角方向の各場合における透過光の波長
    分光特性において、所定の方法で指定された波長での前
    記第1回転角方向の波長分光値と前記第2回転角方向の
    波長分光値の差と、前記第3回転角方向の波長分光値と
    前記第2回転角方向の波長分光値の差との比であること
    を特徴とする請求項4記載の液晶表示装置のプレチルト
    角測定装置。
  6. 【請求項6】 前記所定の方法で指定された波長は、前
    記第1視角方向、第2視角方向及び第3視角方向の各場
    合での透過光の波長分光特性の極小値を与える各波長の
    うち、最大の波長より、一定幅大きい波長であることを
    特徴とする請求項5記載の液晶表示装置のプレチルト角
    測定装置。
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