JP3813777B2 - 液処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,例えばLCD基板や半導体ウェハのような基板に処理液を供給して処理する液処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体デバイス製造におけるリソグラフィ工程では,半導体ウェハ(以下,「ウェハ」という。)等の表面にレジスト液を塗布するレジスト塗布処理工程,レジスト塗布処理後のウェハを露光する露光処理工程,露光処理後のウェハを現像する現像処理工程等の種々の処理工程を有している。これらの処理工程のうち,現像処理工程にあっては,先ずウェハに現像液を供給してレジスト膜を現像する。次いで,ウェハを高速で回転させてウェハの表面から現像液を振り切ると共に,純水等の洗浄液を供給してウェハの表面を洗浄している。
【0003】
ウェハに現像液を供給する際には,従来から現像液供給ノズルが使用されている。現像液供給ノズルは略棒状に形成されており,その全長はウェハの直径以上になっている。また,現像液供給ノズルの内部には現像液を貯留する貯留部が形成されており,その底部にはウェハに対して現像液を吐出するための多数の現像液吐出孔が現像液供給ノズルの長手方向に沿って配列されている。現像液吐出孔は等間隔,等口径に形成されており,貯留部の現像液を各現像液吐出孔から均一に吐出することができるようになっている。これにより,低速で回転するウェハに対して現像液が均一に吐出されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,各現像液吐出孔に対するウェハ表面の移動距離は,ウェハの中央部程短く,ウェハの周辺部の方ではウェハの中央部よりも長くなる。従って,ウェハの周辺部とウェハの中央部にそれぞれ現像液供給ノズルから等量の現像液を吐出すると,ウェハの周辺部よりもウェハの中央部の方が現像液の供給量が多くなり,ウェハの中央部の方がウェハの周辺部よりも過剰に現像処理されてしまうおそれがあった。その結果,ウェハ表面全体を均一に現像処理できなくなる懸念が生じていた。
【0005】
そこで本発明は,ウェハ表面全体に均一に処理液を供給できる液処理装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,ノズルの底部に直列に配列された複数の処理液吐出孔を備え,基板の表面全体に複数の処理液吐出孔から処理液を供給して処理する液処理装置であって,前記ノズルの中央では前記処理液吐出孔の開口率を小さくさせるように変化させ,前記ノズルの端部では前記処理液吐出孔の開口率を,前記ノズルの中央の処理液吐出孔の開口率よりも大きくさせるように変化させる遮蔽手段を設け,前記遮蔽手段は膨出可能な一つのダイアフラムであり,該ダイアフラムの膨出により,前記複数の処理液吐出孔のうちの所定の処理液吐出孔を遮蔽する構成であることを特徴としている。
【0007】
この液処理装置は,例えば半導体ウェハの如き基板を水平姿勢で保持し,基板の中央を中心にして回転させ,回転する基板上にノズルから処理液を供給する液処理装置として具現化される。ノズルの底部には直列に配列された複数の処理液吐出孔が基板の直径方向にほぼ一致して配置され,それら処理液吐出孔から一斉に処理液を吐出し,基板を回転させることにより,基板の表面全体に処理液を供給することが可能である。この液処理装置にあっては,遮蔽手段により,前記ノズルの中央では前記処理液吐出孔の開口率を小さくさせるように変化させ,前記ノズルの端部では前記処理液吐出孔の開口率を,前記ノズルの中央の処理液吐出孔の開口率よりも大きくさせるように変化させることにより,基板の中央部に処理液を吐出する処理液吐出孔の開口率を,基板の周辺部に処理液を吐出する処理液吐出孔の開口率よりも小さくすることができる。そのため,回転に伴って処理液吐出孔に対する基板表面の移動距離が長くなる基板の周辺部では処理液を多く吐出し,また,回転に伴って処理液吐出孔に対する基板表面の移動距離が短くなる基板の中央部では処理液の吐出量を小さくできるようになる。その結果,回転する基板の表面全体に均一に処理液を供給できる。
【0008】
別の観点による本発明は,ノズルの底部に直列に配列された複数の処理液吐出孔を備え,基板の表面全体に複数の処理液吐出孔から処理液を供給して処理する液処理装置であって,前記ノズルの中央では前記処理液吐出孔の開口率を小さくさせるように変化させ,前記ノズルの端部では前記処理液吐出孔の開口率を,前記ノズルの中央の処理液吐出孔の開口率よりも大きくさせるように変化させる遮蔽手段を設け,前記遮蔽手段は,前記処理液吐出孔に対応する複数の開口部を有する遮蔽板であり,該遮蔽板の移動により前記処理液吐出孔を遮蔽する構成であることを特徴とする。この発明によれば,遮蔽板の移動量により処理液吐出孔の開口率を調整することができる。
【0009】
また,前記液処理装置は,前記処理液吐出孔を閉塞可能であっても良い。この場合,前述のダイアフラムや遮蔽板などの遮蔽手段によって処理液吐出孔を閉塞しても良いし,あるいは遮蔽板とは別にシャッターなどを設けて処理液吐出孔を閉塞しても良い。この液処理装置によれば,例えば基板の上方にノズルを移動させる場合や基板の上方からノズルを退避させる場合等に,処理液吐出孔を閉塞することにより,ノズル移動時における処理液吐出孔からの処理液の漏出を防止することが可能である。
別の観点による本発明によれば,基板に処理液を供給して処理する液処理装置であって,略棒状で基板の直径以上の長さを有し,処理液の供給を行うノズルと,前記ノズルの内部に設けられ,処理液を貯留する貯留部と,前記ノズルの底部に直線状に配置され,前記貯留部の処理液を吐出する複数の処理液吐出孔と,前記貯留部の内部に設けられ,膨出可能な一つのダイアフラムと,前記ダイアフラムの内側の領域に加圧気体を導入するポンプと,を備え,前記ポンプによる加圧気体の導入により前記ダイアフラムを膨出させ,このダイアフラムにより前記複数の処理液吐出孔のうちの所定の処理液吐出孔を遮蔽することにより複数の処理液吐出孔の開口率を変化させるように構成されていることを特徴とする液処理装置が提供される。
前記処理液吐出孔には,スライド移動により処理液吐出孔を開閉するシャッターが設けられていてもよい。
また,別の観点による本発明は,基板に処理液を供給して処理する液処理装置であって,略棒状で基板の直径以上の長さを有し,処理液の供給を行うノズルと,前記ノズルの内部に設けられ,処理液を貯留する貯留部と,前記ノズルの底部に直線状に配置され,前記貯留部の処理液を吐出する複数の処理液吐出孔と,前記貯留部の内部に設けられ,前記処理液吐出孔に対応する複数の開口部を有する遮蔽板と,前記遮蔽板を前記ノズルの底部に沿ってスライド移動させる駆動機構と,を備え,前記駆動機構により前記遮蔽板を移動させ,その遮蔽板により前記複数の処理液吐出孔のうちの所定の処理液吐出孔を遮蔽することにより複数の処理液吐出孔の開口率を変化させるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態にかかる現像処理ユニットを備えた塗布現像処理装置について説明する。図1〜3は塗布現像処理装置の外観を示しており,図1は平面図,図2は正面図,図3は背面図である。
【0011】
塗布現像処理装置1は図1に示すように,例えば25枚のウェハWを収納したカセット7を外部から塗布現像処理装置1に対して搬入出したり,カセット7に対してウェハWを搬入出したりするためのカセットステーション2と,塗布現像処理工程の中で枚葉式(ウェハWを一枚ずつ処理する方式)に所定の処理を施す各種処理ユニットを多段配置してなる処理ステーション3と,この処理ステーション3に隣接して設けられる露光装置4との間でウェハWの受け渡しをするためのインターフェイス部5とを一体に接続した構成を有している。
【0012】
カセットステーション2では,カセット載置台6上の所定の位置にカセット7がウェハWの出入口を処理ステーション3側に向けてX方向(図1中の上下方向)に並べて載置自在である。そして,このカセット配列方向(X方向)及びカセット7に収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;垂直方向)に移動可能なウェハ搬送体8が搬送路9に沿って移動自在であり,カセット7に対してウェハWの搬入・搬出を行うようになっている。
【0013】
ウェハ搬送体8はθ方向(Z軸を中心とする回転方向)にも回転自在に構成されており,後述するように処理ステーション3側の第3の処理装置群Gに属するアライメントユニット32及びエクステンションユニット33に対して,カセット7との間で,ウェハ搬送体8によってウェハWを搬入・搬出することが可能である。
【0014】
処理ステーション3では,ウェハWを保持し,各ユニットに対してウェハWを搬入出するピンセット10を例えば上段と中段と下段に備えた主搬送装置13が中心部に配置されており,主搬送装置13の周囲には各種処理ユニットが多段に配置されて処理装置群を構成している。図示の塗布現像処理装置1においては,4つの処理装置群G,G,G,Gが配置されている。例えば第1及び第2の処理装置群G,Gは塗布現像処理装置1の正面側に配置されており,第3の処理装置群Gはカセットステーション2に隣接して配置されており,第4の処理装置群Gはインターフェイス部5に隣接して配置されている。また,必要に応じて第5の処理装置群Gなどを背面側に配置しても良い。
【0015】
第1の処理装置群Gでは図2に示すように,2種類のスピンナ型処理ユニット,例えばウェハWにレジスト液を塗布して処理するレジスト塗布処理ユニット15と,ウェハWに現像液を供給して処理する現像処理ユニット16とが2段に重ねて配置されている。第2の処理装置群Gでは,レジスト塗布処理ユニット15と基本的に同様な構成を有するレジスト塗布処理ユニット17と,現像処理ユニット16と基本的に同様な構成を有する現像処理ユニット18とが2段に積み重ねて配置されている。
【0016】
第3の処理装置群Gでは例えば図3に示すように,ウェハWを載置台に載せて所定の処理を施すオーブン型の処理ユニット,例えば冷却処理を行うクーリングユニット30,レジストとウェハWとの定着性を高めるアドヒージョンユニット31,ウェハWの位置合わせを行うアライメントユニット32,ウェハWを待機させるエクステンションユニット33,露光処理前の加熱処理を行うプリベーキングユニット34,35及び現像処理後の加熱処理を施すポストベーキングユニット36,37等が重ねて配置されている。
【0017】
第4の処理装置群Gでは,例えばクーリングユニット40,載置したウェハWを自然冷却させるエクステンション・クーリングユニット41,エクステンションユニット42,クーリングユニット43,露光処理後の加熱処理を行うポストエクスポージャーベーキングユニット44,45,ポストベーキングユニット46,47等が例えば8段に積み重ねて配置されている。
【0018】
インターフェイス部5にはウェハWの周辺部を露光する周辺露光装置51と,ウェハ搬送体52とが備えられている。ウェハ搬送体52はX方向(図1中の上下方向),Z方向(垂直方向)の移動と,θ方向(Z軸を中心とする回転方向)の回転とが夫々自在となるように形成されており,露光装置(図示せず),エクステンション・クーリングユニット41,エクステンションユニット42,周辺露光装置51に対してそれぞれウェハWを搬入・搬出できるようになっている。
【0019】
塗布現像処理装置1は以上のように構成されている。次に,本発明の実施の形態にかかる現像処理ユニット16の構成について説明する。ここで,図4は現像処理ユニット16の平面図を,図5はその縦断面図をそれぞれ示している。
【0020】
現像処理ユニット16は図4に示すように,ケーシング16a内にウェハWを収容自在なカップ55を有しており,このカップ55内には真空吸着したウェハWをほぼ水平に保持するスピンチャック56と,スピンチャック56を回転させるモータ57とが備えられている。
【0021】
スピンチャック56は昇降自在に構成されており,かつ,モータ57によって回転可能に構成されている。モータ57の回転数は制御装置58によって任意の回転数になるように制御されており,スピンチャック56に吸着保持したウェハWを任意の回転数で回転させられるようになっている。
【0022】
カップ55の底部には傾斜面59が設けられており,傾斜面59の最下部には排液を外部に排出する排液管60が取り付けられている。そして,スピンチャック56を挟んで排液管60の反対側にはカップ55内の雰囲気を排気する排気管61が取り付けられている。また,傾斜面59には環状壁62が立設しており,この環状壁62の上端には,スピンチャック56に保持されたウェハWの裏面に近接する整流板63が配設されている。整流板63の周辺部は外側に向かって下方に傾斜するように構成されている。
【0023】
カップ55の上部にはリンス液供給源65からのリンス液をウェハWに対して吐出するリンス液吐出機構であるリンス液供給ノズル66が設けられている。また,スピンチャック56を挟んでリンス液供給ノズル66の反対側には現像液吐出機構である現像液供給ノズル67がカップ55の上部に配置されており,この現像液供給ノズル67には現像液供給源68からの現像液が現像液供給管69を通じて供給されるようになっている。リンス液供給ノズル66と現像液供給ノズル67とは,カップ55前方に設けられた搬送レール70に沿って往復移動自在な把持アーム71に把持されるようになっている。そしてリンス液供給ノズル66と現像液供給ノズル67は,把持アーム71に把持された状態で移動されることにより,カップ55の上部側方の待機位置とカップ55上方の処理位置との間をそれぞれ移動可能になっている。なお,リンス液供給源65及び現像液供給源68の移動等は,上記モータ57の場合と同様に,制御装置58により制御されている。
【0024】
図6は現像液供給ノズル67の斜視図を,図7は現像液供給ノズル67の縦断面図をそれぞれ示している。例えば現像液供給ノズル67は図6に示すように略棒状の形状を有しており,その長さLはウェハWの直径L以上の長さを有している。現像液供給ノズル67の底部には,長手方向に沿って直線上に並べて配置された等口径,等間隔の現像液吐出孔72を多数備えている。現像液供給ノズル67の内部には例えば図7に示すように現像液供給源68から供給された現像液Gを貯留する貯留部73と,サーモモジュール74で所定温度に温度調整された温度調整水の流通する流路75とが設けられている。そして,現像液供給源68から貯留部73内に供給された現像液Gは,流路75を流れる温度調整水と熱交換して所望の温度にされた後,現像液供給ノズル67底部の各現像液吐出孔72から吐出されるようになっている。
【0025】
そして,貯留部73の内部において現像液吐出孔72と流路75の間には,遮蔽手段としてのダイアフラム80が設けられている。このダイアフラム80は,例えばゴムなどの弾性を有する材料の薄膜で構成されており,ダイアフラム80の両側端部は貯留部73の側壁内面に固定されている。ダイアフラム80の内側の領域(ダイアフラム80を挟んで,現像液吐出孔72と反対側の領域)には,図8に示すように,空気圧制御ポンプ81からの加圧空気が導入できるように構成されている。
【0026】
図9は,ダイアフラム80の内側の領域に空気圧制御ポンプ81から加圧空気を導入することにより,ダイアフラム80が膨出して現像液吐出孔72側に移動した状態を示している。このようにダイアフラム80が膨出した際には,ダイアフラム80の両側端部が貯留部73の側壁内面に固定されていることにより,図9に示すように,ダイアフラム80の中央が凸状に湾曲して突出し,現像液供給ノズル67の中央部ほどダイアフラム80が大きく移動する。そして,このように凸状に湾曲して移動したダイアフラム80により,現像液供給ノズル67の底部に形成された各現像液吐出孔72は,現像液供給ノズル67の中央部では,ダイアフラム80によって現像液吐出孔72がほとんど閉塞されて,現像液吐出孔72の開口率は小さくなり,一方,現像液供給ノズル67の端部では現像液吐出孔72の開口率は,現像液供給ノズル67の中央の現像液供給ノズル67の開口率よりも大きい状態に変化する。これにより,現像液供給ノズル67の中央部では現像液吐出孔72から吐出される現像液Gが相当に少なくなり,一方,現像液供給ノズル67の端部では,現像液供給ノズル67の中央よりも大量の現像液Gが現像液吐出孔72から吐出されるようになっている。
【0027】
また図10(a),(b)に示すように,各現像液吐出孔72には,図示しない駆動手段によってスライド移動させられるように設けられたシャッター82が設けられている。図10(a)は,シャッター82が現像液吐出孔72の内壁面に形成された孔83に引き込まれて,現像液吐出孔72が開かれた状態を示している。図10(b)は,シャッター82が孔83から抜け出て,現像液吐出孔72をシャッター82によって閉じた状態を示している。このように,図示しない駆動手段によってシャッター82をスライド移動させることにより,各現像液吐出孔72を一斉に開いたり,閉じることが可能である。
【0028】
本発明の実施の形態にかかる現像処理ユニット16は以上のように構成されている。次に,現像処理ユニット16の作用,効果について説明する。
【0029】
カセットステーション2のアライメントユニット32にて位置合わせを終了したウェハWは,アドヒージョンユニット31,クーリングユニット30に順次搬送され所定の処理が施される。その後,ウェハWはレジスト塗布処理ユニット15に搬送され,ウェハWの表面に所定の膜厚のレジスト膜が形成される。
【0030】
次いで,レジスト塗布処理の終了したウェハWは,プリベーキングユニット34,エクステンション・クーリングユニット41,周辺露光装置51に順次搬送されて所定の処理が施された後,露光装置4にて露光される。そして,露光の終了したウェハWは,エクステンションユニット42,ポストエクスポージャーベーキングユニット44に順次搬送されて所定の処理が施された後,現像処理ユニット16に搬送される。
【0031】
次いで,ウェハWは現像処理ユニット16に搬入され,スピンチャック56に吸着保持された後に,例えば30rpmで低速回転する。また,ウェハWの搬入に並行して,現像液供給ノズル67が把持アーム71に把持された状態でカップ55側方の待機位置からカップ55上方の処理位置まで移動する。このように現像液供給ノズル67をカップ55上方の処理位置まで移動させる際には,先に図10(b)で説明したように,図示しない駆動手段によってシャッター82を孔83から抜け出した位置にスライド移動させ,各現像液吐出孔72をシャッター82によって閉じた状態にする。これにより,現像液供給ノズル67をカップ55上方の処理位置まで移動させる際には,現像液供給ノズル67の中央部と端部のいずれにおいても,現像液Gが現像液吐出孔72から液垂れせず,カップ55の外側に現像液Gが付着する心配がない。
【0032】
そして,現像液供給ノズル67をカップ55上方の処理位置まで移動させた後,空気圧制御ポンプ81からダイアフラム80の内側の領域に空気圧制御ポンプ81から加圧空気を導入することにより,ダイアフラム80を膨出させる。これにより,先に図9で説明したように,ダイアフラム80の中央が凸状に湾曲して突出し,現像液供給ノズル67の底部に形成された各現像液吐出孔72は,現像液供給ノズル67の中央部では,ダイアフラム80によって現像液吐出孔72がほとんど閉塞されて,現像液吐出孔72の開口率は小さくなり,一方,現像液供給ノズル67の端部では現像液吐出孔72の開口率は,現像液供給ノズル67の中央の現像液供給ノズル67の開口率よりも大きい状態となる。そして,先に図10(a)で説明したように,図示しない駆動手段によってシャッター82を孔83に引き込んだ位置に移動させ,現像液吐出孔72を開いた状態にする。こうして,現像液供給ノズル67の中央部では現像液吐出孔72から相当に少ない吐出量で現像液Gが吐出され,一方,現像液供給ノズル67の端部では,現像液供給ノズル67の中央よりも大量の現像液Gが現像液吐出孔72から吐出されるようになる。即ち,膨出したダイアフラム80によって現像液吐出孔72が塞がれることにより,現像液吐出孔72の開口面積は,現像液供給ノズル67の中央に位置する現像液吐出孔72から現像液供給ノズル67の端部に位置する現像液吐出孔72にかけて徐々に大きくなるので,カップ55内に収納されているウェハWに対しては,ウェハWの中央部では比較的少ない吐出量で現像液Gが供給され,ウェハWの周辺部では比較的多い吐出量で現像液Gが供給されるようになる。
【0033】
従って,図11に示すように,現像液供給ノズル67の底面に並んで形成されている現像液吐出孔72に対するウェハW表面の移動距離の長いウェハWの周辺部には現像液Gを多く吐出させることができるようになり,逆に現像液吐出孔72に対するウェハW表面の移動距離の短いウェハWの中央部には現像液Gを少なく吐出させることができるようになる。
【0034】
こうして,現像処理ユニット16にてウェハWの表面全体に均一に現像液Gを供給して現像処理が終了すると,現像液供給ノズル67は把持アーム71に把持された状態でカップ55上方の処理位置からカップ55側方の待機位置まで移動する。この場合も,先に図10(b)で説明したように,図示しない駆動手段によってシャッター82を孔83から抜け出した位置にスライド移動させ,各現像液吐出孔72をシャッター82によって閉じた状態にする。これにより,現像液供給ノズル67をカップ55上方の処理位置から待機位置まで移動させる際には,現像液供給ノズル67の中央部と端部のいずれにおいても,現像液が現像液吐出孔72から吐出されず,カップ55の外側に現像液が垂れる心配がない。
【0035】
次に,今度はリンス液供給ノズル66が把持アーム71に把持された状態でカップ55側方の待機位置からカップ55上方の処理位置まで移動させられる。そして,リンス液供給ノズル66からリンス液がカップ55内のウェハWに供給され,リンス処理が行われる。次に,リンス処理が終了すると,ウェハWはスピンチャック56に吸着保持されたまま高速回転させられ,リンス液がカップ55内においてウェハW表面から振り切られ,ウェハWの乾燥処理が行われる。
【0036】
こうして現像処理が終了したウェハWは,その後,ポストベーキングユニット36,クーリングユニット30に順次搬送されて所定の処理が施された後に,エクステンションユニット33に搬送される。次いで,ウェハWは,エクステンションユニット33からカセット載置台6上のカセット7に収納されて,一連の塗布現像処理が終了する。
【0037】
しかして,以上のように構成された本発明の実施の形態の現像処理ユニット16によれば,ウェハWの全面に現像液Gを均一に供給することにより,ウェハWの表面全体を均一に現像処理することが可能になる。
【0038】
次に図12は,遮蔽手段の別の例を示す現像液供給ノズル90の横断面図であり,図13(a)〜(c)はいずれも現像液供給ノズル90の縦断面図である。この現像液供給ノズル90も,先に図6,7等で説明した現像液供給ノズル67と同様に,ウェハWの直径L以上の長さを有する略棒形状をなし,現像液供給ノズル90の底部には,多数の等口径の現像液吐出孔91が直線上に並べて配置されている。また図示はしないが,現像液供給ノズル90の内部に形成された貯留部92には,現像液Gを温度調整する温度調整水の流路が設けられており,貯留部92内に供給された現像液Gは,所望の温度にされた後,現像液供給ノズル90底部の各現像液吐出孔91から吐出されるようになっている。
【0039】
この例では,貯留部92の内部において現像液吐出孔91の上方には,遮蔽手段としての遮蔽板95が設けられている。この遮蔽板95は,図示しない駆動機構により,現像液吐出孔91の長手方向に現像液吐出孔91の底部内面に沿ってスライド移動させられるようになっている。遮蔽板95には,現像液供給ノズル90の底部に直線上に並べて配置された各現像液吐出孔91に対応する多数の開口部96が形成されている。これら開口部96の口径は,いずれも現像液供給ノズル90底部の現像液吐出孔91の口径以上の大きさを有しているが,遮蔽板95の中央部に行くほど開口部96の口径が小さくなり,遮蔽板95の端部に行くほど開口部96の口径が大きくなっている。
【0040】
図13(a)は,現像液供給ノズル90底部の各現像液吐出孔91に,各開口部96が一致する位置に遮蔽板95が移動した状態を示している。このように現像液供給ノズル90底部の各現像液吐出孔91に各開口部96が一致した状態においては,各開口部96の口径がいずれも現像液吐出孔91の口径以上の大きさであるために,各現像液吐出孔91はいずれも遮蔽されない状態となる。
【0041】
図13(b)は,現像液供給ノズル90底部の各現像液吐出孔91に対し,各開口部96がずれた位置に遮蔽板95が移動した状態を示している。このように現像液供給ノズル90底部の各現像液吐出孔91に対して各開口部96がずれた状態においては,現像液供給ノズル90の中央部では,開口部96の口径が小さいことにより,遮蔽板95によって現像液吐出孔91をほとんど閉塞した状態となる。一方,現像液供給ノズル90の端部では,開口部96の口径が大きいことにより,現像液吐出孔91は遮蔽板95によってほとんど閉塞されない。これにより,現像液供給ノズル90の中央部では現像液吐出孔91から吐出される現像液Gが相当に少なくなり,一方,現像液供給ノズル90の端部では,現像液供給ノズル90の中央よりも大量の現像液Gが現像液吐出孔91から吐出されるようになる。
【0042】
図13(c)は,現像液供給ノズル90底部の各現像液吐出孔91に対し,各開口部96が全く一致しない位置に遮蔽板95が移動した状態を示している。このように現像液供給ノズル90底部の各現像液吐出孔91に対して各開口部96が全く一致しない位置に移動した状態においては,現像液供給ノズル90の中央部と端部のいずれにおいても,各現像液吐出孔91は遮蔽板95によって完全に閉塞される。これにより,現像液供給ノズル90は現像液吐出孔91から現像液Gを吐出しない状態となる。
【0043】
そして,図示しない駆動機構により,遮蔽板95を現像液吐出孔91の長手方向に沿ってスライド移動させることにより,図13(a)に示すように,各現像液吐出孔91に各開口部96を一致させて各現像液吐出孔91をいずれも遮蔽させない状態と,図13(b)に示すように,各現像液吐出孔91に対して各開口部96をずれた状態にさせて,現像液供給ノズル90の中央部では遮蔽板95によって現像液吐出孔91をほとんど閉塞し,現像液供給ノズル90の端部では現像液吐出孔91を遮蔽板95によってほとんど閉塞さない状態と,図13(c)に示すように,各現像液吐出孔91に対して各開口部96が全く一致しない位置に移動させて,各現像液吐出孔91を遮蔽板95によって完全に閉塞した状態とに,遮蔽板95を適宜移動させることが可能である。
【0044】
この図12,13で説明した遮蔽手段にあっては,現像処理を行うために現像液供給ノズル90をカップ55側方の待機位置からカップ55上方の処理位置まで移動させる際や,現像処理の終了後に現像液供給ノズル90をカップ55上方の処理位置からカップ55側方の待機位置まで移動させる際には,図13(c)で説明したように,図示しない駆動手段によって,現像液供給ノズル90底部の各現像液吐出孔91に対して各開口部96が全く一致しない位置となるように遮蔽板95を移動させる。これにより,現像液供給ノズル90がカップ55上方の処理位置とカップ55側方の待機位置の間を移動中に,現像液供給ノズル67の中央部と端部のいずれにおいても,現像液Gが現像液吐出孔91から液垂れせず,カップ55の外側に現像液Gが付着する心配がない。
【0045】
一方,現像液供給ノズル90をカップ55上方の処理位置まで移動させた後,現像処理を行う際には,図13(b)で説明したように,図示しない駆動手段によって,現像液供給ノズル90底部の各現像液吐出孔91に対して各開口部96がずれた位置になるように遮蔽板95を移動させる。これにより,現像液供給ノズル90の中央部では遮蔽板95によって現像液吐出孔91はほとんど閉塞され,一方,現像液供給ノズル90の端部では現像液吐出孔91は遮蔽板95によってほとんど閉塞されない状態となる。こうして,現像液供給ノズル90の中央部では現像液吐出孔91から相当に少ない吐出量で現像液Gが吐出され,一方,現像液供給ノズル90の端部では,現像液供給ノズル90の中央よりも大量の現像液Gが現像液吐出孔91から吐出されるようになる。
【0046】
これにより,先に図11で説明した場合と同様に,現像液供給ノズル90の底面に並んで形成されている現像液吐出孔91に対するウェハW表面の移動距離の長いウェハWの周辺部には現像液Gを多く吐出させることができるようになり,逆に現像液吐出孔91に対するウェハW表面の移動距離の短いウェハWの中央部には現像液Gを少なく吐出させることができるようになる。その結果,ウェハWの表面全体に均一に現像液Gを供給して均一な現像処理をできるようになる。
【0047】
以上,本発明の好ましい実施の形態の一例を説明したが,本発明はここに示した形態に限定されない。例えば本発明は,現像液以外の多の処理液を用いた液処理装置に適用することもできる。
【0048】
【発明の効果】
請求項1〜4によれば,処理液吐出孔の開口率を調整して処理液吐出量を変化させることができ,処理液吐出孔に対する基板表面の移動距離が長くなる基板の周辺部では処理液を多く吐出し,処理液吐出孔に対する基板表面の移動距離が短くなる基板の中央部では処理液の吐出量を小さくできる。そのため,回転する基板の表面全体に均一に処理液を供給できる。特に請求項4によれば,例えば基板の上方にノズルを移動させる場合や基板の上方からノズルを退避させる場合等に,ノズル移動時における処理液吐出孔からの処理液の漏出を防止することが可能である。このため,漏出した処理液による汚染を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗布現像処理装置の平面図である。
【図2】塗布現像処理装置の正面図である。
【図3】塗布現像処理装置の背面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる現像処理ユニットの平面図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる現像処理ユニットの縦断面図である。
【図6】現像液供給ノズルの斜視図である。
【図7】現像液供給ノズルの内部を示す縦断面図である。
【図8】現像液供給ノズルの内部を示す横断面図であり,ダイアフラムが膨出していない状態を示している。
【図9】現像液供給ノズルの内部を示す横断面図であり,ダイアフラムが膨出した状態を示している。
【図10】シャッターの説明図であり,(a)はシャッターが引っ込んで現像液吐出孔が開かれた状態を示し,(b)はシャッターが出て現像液吐出孔が閉じられた状態を示している。
【図11】現像液供給ノズル底面の現像液吐出孔から吐出させた現像液をウェハ表面に塗布している状態の説明図である。
【図12】遮蔽手段の別の例を示す現像液供給ノズルの横断面図である。
【図13】現像液供給ノズルの縦断面図であり,(a)は各現像液吐出孔をいずれも遮蔽していない状態,(b)は現像液供給ノズルの中央部では現像液吐出孔をほとんど閉塞し,現像液供給ノズルの端部では現像液吐出孔をほとんど閉塞していない状態,(c)は各現像液吐出孔を完全に閉塞した状態を示している。
【符号の説明】
W ウェハ
1 塗布現像処理装置
16 現像処理ユニット
55 カップ
56 スピンチャック
67,90 現像液供給ノズル
71 把持アーム
72,91 現像液吐出孔
80 ダイアフラム
81 空気圧制御ポンプ
82 シャッター
95 遮蔽板
96 開口部

Claims (6)

  1. ノズルの底部に直列に配列された複数の処理液吐出孔を備え,基板の表面全体に複数の処理液吐出孔から処理液を供給して処理する液処理装置であって,
    前記ノズルの中央では前記処理液吐出孔の開口率を小さくさせるように変化させ,前記ノズルの端部では前記処理液吐出孔の開口率を,前記ノズルの中央の処理液吐出孔の開口率よりも大きくさせるように変化させる遮蔽手段を設け
    前記遮蔽手段は膨出可能な一つのダイアフラムであり,該ダイアフラムの膨出により,前記複数の処理液吐出孔のうちの所定の処理液吐出孔を遮蔽する構成であることを特徴とする,液処理装置。
  2. ノズルの底部に直列に配列された複数の処理液吐出孔を備え,基板の表面全体に複数の処理液吐出孔から処理液を供給して処理する液処理装置であって,
    前記ノズルの中央では前記処理液吐出孔の開口率を小さくさせるように変化させ,前記ノズルの端部では前記処理液吐出孔の開口率を,前記ノズルの中央の処理液吐出孔の開口率よりも大きくさせるように変化させる遮蔽手段を設け,
    前記遮蔽手段は,前記処理液吐出孔に対応する複数の開口部を有する遮蔽板であり,該遮蔽板の移動により前記処理液吐出孔を遮蔽する構成であることを特徴とする,液処理装置。
  3. 前記処理液吐出孔を閉塞可能であることを特徴とする,請求項1又は2に記載の液処理装置。
  4. 基板に処理液を供給して処理する液処理装置であって,
    略棒状で基板の直径以上の長さを有し,処理液の供給を行うノズルと,
    前記ノズルの内部に設けられ,処理液を貯留する貯留部と,
    前記ノズルの底部に直線状に配置され,前記貯留部の処理液を吐出する複数の処理液吐出孔と,
    前記貯留部の内部に設けられ,膨出可能な一つのダイアフラムと,
    前記ダイアフラムの内側の領域に加圧気体を導入するポンプと,を備え,
    前記ポンプによる加圧気体の導入により前記ダイアフラムを膨出させ,このダイアフラムにより前記複数の処理液吐出孔の所定の処理液吐出孔を遮蔽することにより複数の処理液吐出孔の開口率を変化させるように構成されていることを特徴とする,液処理装置。
  5. 前記処理液吐出孔には,スライド移動により処理液吐出孔を開閉するシャッターが設けられていることを特徴とする,請求項4に記載の液処理装置。
  6. 基板に処理液を供給して処理する液処理装置であって,
    略棒状で基板の直径以上の長さを有し,処理液の供給を行うノズルと,
    前記ノズルの内部に設けられ,処理液を貯留する貯留部と,
    前記ノズルの底部に直線状に配置され,前記貯留部の処理液を吐出する複数の処理液吐出孔と,
    前記貯留部の内部に設けられ,前記処理液吐出孔に対応する複数の開口部を有する遮蔽板と,
    前記遮蔽板を前記ノズルの底部に沿ってスライド移動させる駆動機構と,を備え,
    前記駆動機構により前記遮蔽板を移動させ,その遮蔽板により前記複数の処理液吐出孔のうちの所定の処理液吐出孔を遮蔽することにより複数の処理液吐出孔の開口率を変化させるように構成されていることを特徴とする,液処理装置。
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