JP3813753B2 - 車両電装品用の誤作動防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両電装品用の誤作動防止装置に係り、詳しくは、車両電気系への浸水時における車両電装品の誤作動を防止することのできる誤作動防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両内に搭載される電装品には、スイッチやリレー等の各種電気部品を介して電力供給が行われるものがある。すなわち、こうした電装品は、各種電気部品によって駆動制御されるようになっている。これら電気部品のなかには、取付環境や使用目的などによって防水、防油、防塵等の構造をなしているものもある。しかし、こうした構造をなす電気部品はコスト高になるため、できる限り通常の部品を用いるようにしている。
【0003】
そして、このような電装品の従来の電力供給回路として、例えば、図6に示すようなスタータ駆動回路がある。
このスタータ駆動回路61は、ヒューズ62、バッテリ63、イグニッションスイッチ64、ニュートラルスタートスイッチ65、リレー66、及びスタータ67から構成されている。イグニッションスイッチ64とは、キーシリンダに差し込まれたキーを回してスタータを駆動させる際にON状態となるスイッチである。また、ニュートラルスタートスイッチ65とは、オートマチックトランスミッション内に設けられ、シフトポジションがPレンジまたはNレンジに位置するときにON状態となるスイッチである。
【0004】
イグニッションスイッチ64は、一端がヒューズ62を介してバッテリ63のプラス側に接続され、他端がニュートラルスタートスイッチ65の一端に接続されている。ニュートラルスタートスイッチ65の他端は、リレー66のコイル部66aの一端に接続されている。コイル部66aの他端は接地されている。また、リレー66の接点66bの一端はヒューズ62を介してバッテリ63のプラス側に接続されている。同接点66bの他端は、スタータ67に接続されている。
【0005】
このように構成されたスタータ駆動回路61においては、イグニッションスイッチ64及びニュートラルスタートスイッチ65がON状態となったときにリレー66のコイル部66aに電流が流れる。そして、これにより接点66bがON状態となってスタータ67に電力が供給され、スタータ67が駆動する。換言すれば、シフトポジションがPレンジまたはNレンジに位置する状態でキーをスタータ駆動位置まで回したときに、スタータ67を駆動することができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、リレー66は、電気接続箱等に収容された状態で車両のエンジンルーム内に設置されている。また、リレー66は、コストの観点から防水構造を有していない。そして、一般にリレー66は、外部に露出するコイル部66aの端子と接点66bの端子とが近接した状態に形成されている。
【0007】
このため、エンジンルーム内に水が入り込んでリレー66が浸水した場合には、図6にポイントP1で示すように、リレー66のコイル部66aのバッテリ側と接点66bのバッテリ側とが短絡してしまうおそれがある。そして、こうした短絡が生じると、各スイッチ64,65をONさせていないにもかかわらず、コイル部66aに電流が流れてしまうこととなる。したがって、接点66bがON状態となってスタータ67が駆動してしまうこととなる。すなわち、スタータ67が誤作動することとなる。スタータ67の駆動時には大電力を消費するため、こうしたスタータ67の誤作動により、バッテリ63から他の電装品に対して供給される電力が低下してしまうおそれがある。その結果、他の電装品が充分に機能しなくなるおそれがある。
【0008】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、浸水に起因する車両電装品の誤作動を防止することのできる車両電装品用の誤作動防止装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、バッテリから電力が供給されて作動する電装品への通電経路の接続・遮断を行うリレーと、前記リレー内のコイル部への通電経路の接続・遮断を行うコイル部接続スイッチと、前記コイル部接続スイッチと直列に接続され、シフトポジションが特定の位置にあるときには前記コイル部への通電を可能として該リレーの作動を可能とするとともに、シフトポジションが前記特定の位置以外の位置にあるときには前記コイル部の両端を短絡して該リレーの作動を不能とするリレー作動制御スイッチとを備えることを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明では、バッテリから電力が供給されて作動する電装品への通電経路の接続・遮断を行うリレーと、前記リレー内のコイル部への通電経路の接続・遮断を行うコイル部接続スイッチと、前記コイル部接続スイッチと連動し、コイル部接続スイッチが前記コイル部への通電経路を遮断しているときに、前記コイル部の両端を短絡して該リレーの作動を不能とするリレー作動制御スイッチとを備えることを要旨とする。
【0011】
請求項3バッテリから電力が供給されて作動する電装品への通電経路の接続・遮断を行うリレーと、前記リレー内の接点への通電経路の接続・遮断を行うリレー作動制御スイッチと、前記リレー作動制御スイッチと連動し、リレー作動制御スイッチがON状態となって前記接点への通電経路が接続された後にON状態となって前記リレー内のコイル部への通電経路を接続するとともに、リレー作動制御スイッチがOFF状態となる前に同通電経路を遮断するコイル部接続スイッチとを備えることを要旨とする。
【0012】
以下、本発明の「作用」について説明する。
請求項1に記載の発明によると、シフトポジションが特定の位置以外の位置にあるときには、リレー作動制御スイッチによってリレーのコイル部の両端が短絡された状態となる。このため、こうした場合にリレーが浸水してコイル部のプラス側と接点のプラス側とが短絡しても、コイル部にはほとんど電流が流れず、リレーは作動しない。したがって、リレーの浸水に起因する電装品の誤作動が防止される。
【0013】
請求項2に記載の発明によると、リレー作動制御スイッチは、コイル部接続スイッチがコイル部の通電経路を遮断しているときにコイル部の両端を短絡するようになっている。このため、こうした場合に各スイッチ内に水等が浸入してコイル部の通電経路を短絡してしまったとしても、コイル部にはほとんど電流が流れず、リレーは作動しない。したがって、コイル部接続スイッチ及びリレー作動制御スイッチの浸水に起因する電装品の誤作動が防止される。
【0014】
請求項3に記載の発明によると、リレー作動制御スイッチによってリレーの接点への通電経路の接続・遮断を行い、リレー作動制御スイッチと連動するコイル部接続スイッチによってリレーのコイル部への通電経路の接続・遮断を行うようにしている。また、リレーが浸水してコイル部のプラス側と接点のプラス側とが短絡しても、各スイッチの通電経路が遮断されていればリレーに電流が流れることはない。したがって、リレーの浸水に起因する電装品の誤作動が防止される。
【0015】
しかも、コイル部接続スイッチは、リレー作動制御スイッチがON状態となった後にON状態となり、リレー作動制御スイッチがOFF状態となった後にOFF状態となるようにしている。このため、電装品を駆動するためのスイッチングをリレーの接点によって確実に行うことができる。したがって、特に大電力を必要とする電装品のスイッチングを行う際に、リレー作動制御スイッチの接点劣化が防止される。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1に基づき詳細に説明する。
【0017】
本実施形態は、誤作動防止装置をスタータ駆動回路として具体化したものである。すなわち、誤作動防止装置としてのスタータ駆動回路11は、電源としてのバッテリ12、ヒューズ13、コイル部接続スイッチとしてのイグニッションスイッチ14、リレー作動制御スイッチとしてのニュートラルスタートスイッチ15、リレー16、電装品としてのスタータ17から構成されている。
【0018】
イグニッションスイッチ14は、キーシリンダに差し込まれたキーを回してスタータを駆動させる際にON状態となるスイッチであり、一端がヒューズ13を介してバッテリ12のプラス側に接続されている。
【0019】
ニュートラルスタートスイッチ15は2接点式のスイッチであり、内部に3つの接点CP1〜CP3と1つの可動片15aとを備えている。可動片15aの一端は接点CP1に接続され、他端は接点CP2,CP3のいずれか一方に選択的に接触可能となっている。このニュートラルスタートスイッチ15は、取付環境が悪いオートマチックトランスミッション内に設けられている。このため、ニュートラルスタートスイッチ15は防水・防油構造をなしている。そして、シフトポジションがPレンジまたはNレンジに位置するときには接点接点CP1と接点CP2との接続状態となる。また、それ以外のレンジ、すなわちDレンジやRレンジ等の走行レンジに位置するときには接点CP1と接点CP3との接続状態となる。
【0020】
リレー16は非防水性のリレーであり、内部にコイル部16aと、同コイル部16aに電流が流れたときにON状態となる接点16bとを備えている。
そして、コイル部16aの一端はニュートラルスタートスイッチ15の接点CP1に接続され、他端は接地されている。また、ニュートラルスタートスイッチ15の接点CP2はイグニッションスイッチ14の他端に接続され、接点CP3は接地されている。このため、イグニッションスイッチ14がONするとともに、ニュートラルスタートスイッチ15の接点CP1と接点CP2とが接続されたときには、リレー16のコイル部16aに電流が流れることとなる。また、接点CP1と接点CP3とが接続された状態においては、コイル部16aに対するバッテリ12からの電力供給が遮断されるとともに、コイル16aの両端が短絡された状態となる。
【0021】
一方、リレー16の接点16bは、一端がバッテリ12のプラス側に接続され、他端がスタータ17に接続されている。このため、コイル部16aに電流が流れたときにON状態となってスタータ17が駆動することとなる。したがって、スタータ17は、シフトポジションがPレンジまたはNレンジに位置した状態において、キーを回してイグニッションスイッチ15をONさせたときに駆動することとなる。
【0022】
また、走行中などにおいて、シフトポジションが走行レンジに位置している際には、コイル部16aの両端が短絡された状態となるため、イグニッションスイッチ15がON状態となってもスタータ17は駆動しない。
【0023】
このように構成されたスタータ駆動回路11において、リレー16は、電気接続箱等に収容された状態で車両のエンジンルーム内に設置されている。前述したように、リレー16は、コストの観点から防水構造をなしていないものを採用している。このため、エンジンルーム内に水等が入り込んで、リレー16が浸水してしまうおそれがある。通常、リレー16は、外部に露出するコイル部16aの端子と接点16bの端子とが近接した状態に形成されている。このため、図1にポイントP1で示すように、コイル部16aのバッテリ側と接点16bのバッテリ側とが短絡してしまうおそれがある。そして、前述した従来のスタータ駆動回路61においては、こうした短絡が生じると、スタータ67は誤作動することとなった。しかし、本実施形態においては、シフトポジションが走行レンジに位置するときには、ニュートラルスタートスイッチ15の接点CP1と接点CP3とが接続された状態となる。このため、リレー16のコイル部16aの両端は短絡された状態となる。したがって、こうした短絡が生じてもコイル部16aには電流がほとんど流れない。その結果、リレー16の浸水に起因するスタータ17の誤作動が防止されるようになる。
【0024】
したがって、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)車両の走行時に、リレー16が浸水してコイル部16aのプラス側と接点16bのプラス側とが短絡した際においても、スタータ17の誤作動を防止することができる。すなわち、リレー16の浸水に起因するスタータ17の誤作動を防止することができる。
【0025】
(2)ニュートラルスタートスイッチ15として2接点式のものを用いることにより、リレー16として防水構造を有するリレーを用いなくてもスタータ17の誤作動を防止することができる。このため、部品コストが高騰してしまうことを防止することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図2に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態においては、第1実施形態と相違する点を主に述べ、共通する点については同一部材番号を付すのみとしてその説明を省略する。
【0026】
本実施形態において、前記第1実施形態と相違する点は、ニュートラルスタートスイッチ15の接続箇所を変更した点である。
図2に示すように、本実施形態の誤作動防止装置としてのスタータ駆動回路11においては、リレー16のコイル部16aの一端がイグニッションスイッチ14に接続され、他端がニュートラルスタートスイッチ15の接点CP1に接続されている。また、ニュートラルスタートスイッチ15の接点CP2は接地され、接点CP3はイグニッションスイッチ14に接続されている。すなわち、前記第1実施形態ではニュートラルスタートスイッチ15がリレー16の上流側に位置しているのに対して、本実施形態では同スイッチ15がリレー16の下流側に位置している。なお、上流側・下流側とは、電流の流れる方向を基準としたものである。
【0027】
したがって、このように構成されたスタータ駆動回路11においても、シフトポジションをPレンジまたはNレンジに位置させた状態でイグニッションスイッチ14をONさせたときにスタータ17が駆動する。
【0028】
また、シフトポジションが走行レンジに位置するとニュートラルスタートスイッチ15の接点が切り換わる。これにより、ニュートラルスタートスイッチ15が接点CP1と接点CP3との接続状態となって、コイル部16aの両端が短絡された状態及び接地が浮いた状態となる。このため、シフトポジションが走行レンジに位置するときには、リレー16が浸水して、同図にポイントP1で示す箇所、すなわちコイル部16aのプラス側と接点16bのプラス側とが短絡しても、コイル部16aには全く電流が流れない。その結果、リレー16の浸水に起因するスタータ17の誤作動が確実に防止されるようになる。
【0029】
したがって、本実施形態によれば、前記第1実施形態における上記(1),(2)に記載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(3)ニュートラルスタートスイッチ15が接点CP1と接点CP3との接続状態においては、コイル部16aの他端がオープン状態となっている。このため、リレー16が浸水して図2に示したポイントP1位置で短絡が生じても、コイル部16aには全く電流が流れない。したがって、リレー16の浸水時にリレー16の接点がON状態となることを確実に防ぐことができる。すなわち、リレー16の浸水に起因するスタータ17の誤作動をより確実に防止することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明を具体化した第3実施形態を図3に基づいて説明する。
【0030】
同図に示すように、本実施形態の誤作動防止装置としてのスタータ駆動回路11は、バッテリ12、ヒューズ13、スタータ17、コイル部接続スイッチ及びリレー作動制御スイッチとしての2接点式のイグニッションスイッチ21、及び防水型リレー22から構成されている。なお、防水型リレー22とは、前記リレー16が防水加工されたものである。すなわち、この実施形態は、防水構造をなすリレー22を備えるスタータ駆動回路11において、スタータ17の誤作動を防止するものである。
【0031】
イグニッションスイッチ21は、4つの接点CP4〜CP7と2つの可動片21a,21bとを備えている。可動片21aは接点CP4と接点CP5とを接続・遮断可能となっており、可動片21bは接点CP6と接点CP7とを接続・遮断可能となっている。各可動片21a,21bは連動するようになっており、可動片21aが接点CP4と接点CP5とを接続しているときには、可動片21bが接点CP6と接点CP7とを遮断するようになっている。また、可動片21bが接点CP6と接点CP7とを接続しているときには、可動片21aが接点CP4と接点CP5とを遮断するようになっている。接点CP4は、ヒューズ13を介してバッテリ12のプラス側に接続されている。接点CP5及び接点CP7は、リレー22のコイル部22aの一端に接続されている。そして、接点CP6及びコイル部22aの他端は接地されている。すなわち、接点CP6と接点CP7とが接続状態にあるとき、コイル部22aの両端が短絡されるようになっている。
【0032】
また、リレー22の接点22bは、一端がヒューズを介してバッテリ12のプラス側に接続され、他端がスタータ17に接続されている。
このように構成されたスタータ駆動回路11において、イグニッションスイッチ21は、通常、接点CP6と接点CP7とが接続されるようになっている。そして、運転者によってキーがキーシリンダのスタータ駆動位置まで回されると、接点CP4と接点CP5との接続状態に切り換わるようになっている。前述したように、このとき接点CP6と接点CP7との間の通電経路は遮断された状態となる。このため、リレー22のコイル部22aに電流が流れて接点22bがON状態となる。すなわち、スタータ17に電力が供給されて同スタータ17が駆動する。
【0033】
そして、キーがスタータ駆動位置から解除されると、イグニッションスイッチ21は接点CP6と接点CP7との接続状態となって、接点CP4と接点CP5との間の通電経路が遮断される。このため、リレー22のコイル部22aに対するバッテリ12からの電力供給が遮断される。したがって、コイル部22aに電流が流れなくなってスタータ17が駆動を停止することとなる。
【0034】
また、このときリレー22のコイル部22aの両端は短絡された状態となる。このため、イグニッションスイッチ21に水等が入り込んで各接点CP4〜CP7間が短絡してしまった場合においても、コイル部22aにはバッテリ12からの電流がほとんど流れない。その結果、こうしたイグニッションスイッチ21内への浸水に起因するスタータ17の誤作動が防止されるようになる。
【0035】
したがって、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(4)イグニッションスイッチ21内に水等が入り込んでバッテリ12からリレー22のコイル部22aへの通電経路が接続されてしまった場合においても、コイル部22aの両端は短絡された状態にあるため、コイル部22aに電流はほとんど流れない。したがって、こうしたイグニッションスイッチ21の浸水に起因するスタータ17の誤作動を防止することができる。
【0036】
(5)前記第1及び第2実施形態ではニュートラルスタートスイッチ15を用いてスタータ17の誤作動を防止するようにしている。同ニュートラルスタートスイッチ15は、オートマチックトランスミッション車(AT車)のみに搭載されるものであるため、AT車にしか適用できない。これに対して、本実施形態では同スイッチ15を用いないでスタータ17の誤作動を防止するようにしている。このため、マニュアルトランスミッション車(MT車)にも適用することができる。
【0037】
また、ニュートラルスタートスイッチ15を省いた構成となっているため、回路構成が簡単となる。
(第4実施形態)
次に、本発明を具体化した第4実施形態を図4及び図5に基づいて説明する。
【0038】
図4に示すように、本実施形態の誤作動防止装置としてのスタータ駆動回路11は、バッテリ12、ヒューズ13、リレー16、スタータ17、第1のスイッチ31、及び第2のスイッチ32を有する防水型イグニッションスイッチ33から構成されている。すなわち、この実施形態は、防水構造をなしていないリレー16と、防水構造をなすイグニッションスイッチ33を備えるスタータ駆動回路11において、スタータ17の誤作動を防止するものである。
【0039】
第1及び第2のスイッチ31,32の一端は、ともにヒューズ13を介してバッテリ12のプラス側に接続されている。そして、第1のスイッチ31の他端はリレー16のコイル部16aの一端に接続され、第2のスイッチ32の他端はリレー16の接点16bの一端に接続されている。また、コイル部16aの他端は接地され、接点16bの他端はスタータ17に接続されている。
【0040】
第1及び第2のスイッチ31,32は、運転者によってキーがスタータ駆動位置まで回されたときに、連動してON状態となるように構成されている。このため、両スイッチ31,32がON状態となったときにリレーのコイル部16a及び接点16bへの通電経路が接続される。そして、これによりコイル部16aに電流が流れて接点16bがON状態となる。すなわち、スタータ17に電力が供給されて同スタータ17が駆動する。したがって、第1のスイッチ31はコイル部接続スイッチとして機能し、第2のスイッチ32はリレー作動制御スイッチとして機能する。
【0041】
ところで、スタータ17は駆動時に大電力を必要とすることから、スタータ17の駆動をスイッチング制御するには、スイッチング素子の接点に多大な負荷が加わるため、大電力用のスイッチング素子が必要となる。すなわち、単にスイッチングを行うだけであればリレー16は不要であるが、こうした大電力をスイッチングするためにはリレー16の接点16bによってスイッチングを行う必要がある。換言すれば、スタータ17のスイッチングはリレー16の接点16bで行う必要がある。
【0042】
そこで、第1のスイッチ31は、第2のスイッチ32よりも遅くON状態となるとともに、第2のスイッチ32よりも早くOFF状態となる構造をなしている。すなわち、例えば図5に示すように、段差状に配置された各スイッチ31,32の接点31a,32aに対して、幅広に形成された可動片34が移動して接触する構造をなしている。この可動片34は、ヒューズ13を介してバッテリ12のプラス側に接続され、同図に矢印F1,F2で示す方向に移動するようになっている。このため、可動片34が矢印F1方向に移動すると、同可動片34は、まず接点32aと接触し、その後接点31aとも接触する。したがって、はじめにリレー16の接点16bへの通電経路が接続され、その後コイル部16aへの通電経路が接続されることとなる。これにより、スタータ17のスイッチングはリレー16の接点16bによってなされることとなり、第2のスイッチ32の接点劣化が防止される。
【0043】
このように構成されたスタータ駆動回路11において、リレー16は防水構造をなしていない。このため、リレー16が浸水したときなどには、図4にポイントP1で示すように、コイル部16aのプラス側と接点16bのプラス側とが短絡してしまうおそれがある。しかし、通常、コイル部16aへの通電経路及び接点16bへの通電経路は遮断された状態になっている。このため、リレー16には電流が流れない。したがって、前述した従来の装置とは異なり、こうしたリレー16の浸水時においてもスタータ17が誤作動することはない。
【0044】
したがって、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(6)通常、リレー16への通電経路は第1及び第2のスイッチ31,32によって遮断されているため、リレー16が浸水してコイル部16aのプラス側と接点16bのプラス側とが短絡しても、リレー16に電流は流れない。したがって、こうしたリレー16の浸水に起因するスタータ17の誤作動を防止することができる。
【0045】
(7)第1のスイッチ31は、第2のスイッチ32がON状態となった後にON状態となり、第2のスイッチ32がOFF状態にる前にOFF状態となる。このため、スタータ17を駆動する際のスイッチング動作をリレー16の接点16bに確実に行わせることができる。したがって、第2のスイッチ32の接点劣化を確実に防止することができる。
【0046】
(8)前記第3実施形態における(5)に記載の効果と同等の効果を得ることができる。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
【0047】
・ 第1及び第2実施形態において、イグニッションスイッチ14として防水構造をなすスイッチを用いてもよい。
・ 第1実施形態において、ニュートラルスタートスイッチ15として防水構造をなさないスイッチを用いてもよい。このようにすれば、第1実施形態の効果を維持しつつ、ニュートラルスタートスイッチ15の部品コストを低減することができる。但し、この場合には、取付環境の良い場所にニュートラルスタートスイッチ15を取り付けることが望ましい。
【0048】
・ 前記各実施形態では電装品としてスタータ17を用いているが、これに限らず、例えばヘッドライトやエアコンディショナ等の他の電装品を用いてもよい。但し、この場合には、イグニッションスイッチ14,21,33に代えて、ヘッドライト点灯スイッチやエアコンディショナ駆動スイッチ等を用いることも考えられる。
【0049】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1) 請求項1に記載の車両電装品の誤作動防止装置において、前記リレー作動制御スイッチは、電流の流れる方向を基準として前記リレーの下流側に接続されてなることを特徴とする車両電装品の誤作動防止装置。
【0050】
(2) 請求項1または技術的思想(1)に記載の車両電装品の誤作動防止装置において、前記コイル部接続スイッチは運転者のキー操作によってON状態となるイグニッションスイッチであり、前記リレー作動制御スイッチはオートマチックトランスミッション内に配設された2接点式のニュートラルスタートスイッチであることを特徴とする車両電装品の誤作動防止装置。
【0051】
(3) 請求項2に記載の車両電装品の誤作動防止装置において、前記コイル部接続スイッチ及び前記リレー作動制御スイッチは、運転者のキー操作によってONまたはOFF状態となる2接点式のイグニッションスイッチであることを特徴とする車両電装品の誤作動防止装置。
【0052】
(4) 請求項3に記載の車両電装品の誤作動防止装置において、運転者のキー操作によって時差的にON及びOFF状態となる第1及び第2のスイッチを有する防水型イグニッションスイッチを備え、前記コイル部接続スイッチとして前記第1のスイッチを用い、前記リレー作動制御スイッチとして前記第2のスイッチを用いることを特徴とする車両電装品の誤作動防止装置。
【0053】
(5) 請求項1〜3、技術的思想(1)〜(4)のいずれか1項に記載の車両電装品の誤作動防止装置において、前記電装品は、スタータであることを特徴とする車両電装品用の誤作動防止装置。
【0054】
この技術的思想(5)に記載の発明によれば、浸水に起因するスタータの誤作動を防止することができる。このため、スタータの誤作動によって他の電装品が充分に動作できなくなることを防止することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、シフトポジションが特定の位置以外の位置にあるときにリレーが浸水してコイル部のプラス側と接点のプラス側とが短絡しても、コイル部にはほとんど電流が流れず、リレーは作動しない。したがって、リレーの浸水に起因する電装品の誤作動を防止することができる。
【0056】
請求項2に記載の発明によれば、リレー作動制御スイッチは、コイル部接続スイッチがコイル部の通電経路を遮断しているときにコイル部の両端を短絡するようになっている。このため、こうした場合に各スイッチ内に水等が浸入してコイル部の通電経路を短絡してしまったとしても、コイル部にはほとんど電流が流れず、リレーは作動しない。したがって、コイル部接続スイッチ及びリレー作動制御スイッチの浸水に起因する電装品の誤作動を防止することができる。
【0057】
請求項3に記載の発明によれば、リレーが浸水してコイル部のプラス側と接点のプラス側とが短絡しても、リレーに電流が流れることはない。したがって、リレーの浸水に起因する電装品の誤作動を防止することができる。
【0058】
しかも、電装品を駆動する際のスイッチングをリレーの接点によって確実に行うことができるため、特に大電力を必要とする電装品のスイッチングを行う際に、リレー作動制御スイッチの接点劣化を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誤作動防止装置をスタータ駆動回路に具体化した第1実施形態を示す回路図。
【図2】同スタータ駆動回路の第2実施形態を示す回路図。
【図3】同スタータ駆動回路の第3実施形態を示す回路図。
【図4】同スタータ駆動回路の第4実施形態を示す回路図。
【図5】第4実施形態のイグニッションスイッチの概略構成を示す概念図。
【図6】従来の誤作動防止装置をスタータ駆動回路に具体化した従来の形態を示す回路図。
【符号の説明】
11…車両電装品用の誤作動防止装置としてのスタータ駆動回路、12…バッテリ、14…コイル部接続スイッチとしてのイグニッションスイッチ、15…リレー作動制御スイッチとしてのニュートラルスタートスイッチ、16…リレー、16a…コイル部、16b…接点、17…電装品としてのスタータ、21…コイル部接続スイッチ及びリレー作動制御スイッチとしての2接点式イグニッションスイッチ、22…防水型リレー、31…コイル部接続スイッチとしての第1のスイッチ、32…リレー作動制御スイッチとしての第2のスイッチ、33…イグニッションスイッチ。
Claims (3)
- バッテリから電力が供給されて作動する電装品への通電経路の接続・遮断を行うリレーと、
前記リレー内のコイル部への通電経路の接続・遮断を行うコイル部接続スイッチと、
前記コイル部接続スイッチと直列に接続され、シフトポジションが特定の位置にあるときには前記コイル部への通電を可能として該リレーの作動を可能とするとともに、シフトポジションが前記特定の位置以外の位置にあるときには前記コイル部の両端を短絡して該リレーの作動を不能とするリレー作動制御スイッチとを備えることを特徴とする車両電装品用の誤作動防止装置。 - バッテリから電力が供給されて作動する電装品への通電経路の接続・遮断を行うリレーと、
前記リレー内のコイル部への通電経路の接続・遮断を行うコイル部接続スイッチと、
前記コイル部接続スイッチと連動し、コイル部接続スイッチが前記コイル部への通電経路を遮断しているときに、前記コイル部の両端を短絡して該リレーの作動を不能とするリレー作動制御スイッチと
を備えることを特徴とする車両電装品用の誤動作防止装置。 - バッテリから電力が供給されて作動する電装品への通電経路の接続・遮断を行うリレーと、
前記リレー内の接点への通電経路の接続・遮断を行うリレー作動制御スイッチと、
前記リレー作動制御スイッチと連動し、リレー作動制御スイッチがON状態となって前記接点への通電経路が接続された後にON状態となって前記リレー内のコイル部への通電経路を接続するとともに、リレー作動制御スイッチがOFF状態となる前に同通電経路を遮断するコイル部接続スイッチと
を備えることを特徴とする車両電装品用の誤動作防止装置。
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JP00496899A JP3813753B2 (ja) | 1999-01-12 | 1999-01-12 | 車両電装品用の誤作動防止装置 |
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