JP2535624Y2 - オールテレンクレーン車のエンジン停止回路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、オールテレンクレーン車のエンジン停止回
路に関する。

（従来の技術） オールテレンクレーン車は、キャリア側運転室と、ク
レーン側運転室との２つの運転席が設けられており、各
運転室からエンジンスタート及びエンジンストップさせ
ることができるようにされている。但し、各々の優先権
はある。通常のオールテレンクレーン車は、キャリア側
運転室にエンジンストップ機能を有するスタータスイッ
チが配設されており、当該スタータスイッチをオフにす
るとエンジンストップモータが駆動されてエンジンが停
止するようになっている。

一方、クレーン側運転室のスタータスイッチはエンジ
ンストップ機能を持たず、当該クレーン側運転室におい
てエンジンをストップさせる場合には、エンジンのイン
ジェクションポンプのフューエルカットレバーを直接ケ
ーブルで引っ張り、或いは当該ケーブルに電磁マグネッ
トを取り付けストップボタン等の別置のスイッチを使用
して電気的に作動させる等の方法が採用されている。

（考案が解決しようとする課題） 従って、キャリア側及びクレーン側の各運転室におい
て電気式のエンジンストップ機構とするためには、これ
らの各運転室にエンジンストップ機能を有するスタータ
スイッチを配設することが必要である。ところが、かか
るエンジンストップ機能を有するスタータスイッチは、
高価であり、現行のトラッククレーン車や、ラフテレン
クレーン車等に使用されているようなエンジンストップ
機能を持たない通常のオン−オフスイッチを使用するこ
とが要望されている。

本考案は上述の点に鑑みてなされたもので、クレーン
側運転室のスタータスイッチとしてエンジンストップ機
能を持たない通常のスイッチを使用し、当該クレーン側
運転室においても電気的にエンジンストップを可能とす
るオールテレンクレーン車のエンジン停止回路を提供す
ることを目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために本考案によれば、キャリア
側運転室とクレーン側運転室との２つの運転室を有する
オールテレンクレーン車であって、前記キャリア側運転
室に設けられ電源の陽極及び陰極にそれぞれ接続される
２つの第１電源端子と、エンジンストップ位置とオン位
置との切り換え操作により前記第１電源端子との接続を
切り換え出力極性が変更される第１出力端子とを有する
第１スイッチと、前記第１スイッチの前記第１出力端子
に接続され、前記第１スイッチがエンジンストップ位置
に操作されたときにエンジンへの燃料供給を遮断するエ
ンジン停止状態に切り換え作動し、オン位置に操作され
たときエンジンへの燃料供給を許容するエンジン常用状
態に切り換え作動するエンジンストップ手段と、前記ク
レーン側運転室に設けられ前記電源に接続される第２電
源端子と、オン位置で前記第２電源端子と接続されオフ
位置で当該第２電源端子から切断される第２出力端子を
有する第２スイッチと、前記第２スイッチの第２出力端
子に接続される切り換え駆動部を有し、前記第１スイッ
チと前記エンジンストップ手段との接続経路間に設けら
れると共に前記電源に接続され、前記第２スイッチのオ
ン作動により前記切り換え駆動部を作動させ前記エンジ
ンストップ手段と前記第１スイッチとの接続を解くと同
時に前記電源と前記エンジンストップ手段とを接続し、
当該エンジンストップ手段へエンジンへの燃料供給を許
容するエンジン常用状態に切り換える電力を導出せし
め、前記第２スイッチのオフ作動により前記切り換え駆
動部を作動させ前記エンジンストップ手段と前記第１ス
イッチとを接続すると同時に前記電源と前記エンジンス
トップ手段とを接続し、当該エンジンストップ手段へエ
ンジンへの燃料供給を遮断するエンジン停止状態に切り
換える電力を導出せしめる切り換え手段とを備えた構成
としたものである。

（作用） キャリア側運転室に設けられた第１スイッチがエンジ
ンストップ位置に操作されたときにエンジンストップ手
段が、エンジンへの燃料供給を遮断するエンジン停止状
態に切り換え作動し、オン位置に操作されたときエンジ
ンへの燃料供給を許容するエンジン常用状態に切り換え
作動する。クレーン側運転室に設けられた第２スイッチ
がオン作動されると、切り換え手段の切り換え駆動部が
作動してエンジンストップ手段と第１スイッチとの接続
を解くと同時に電源とエンジンストップ手段とを接続
し、当該エンジンストップ手段へエンジンへの燃料供給
を許容するエンジン常用状態に切り換える電力を導出さ
せる。また、第２スイッチがオフ作動されると、切り換
え手段の切り換え駆動部が作動してエンジンストップ手
段と第１スイッチとを接続すると同時に電源とエンジン
ストップ手段とを接続し、当該エンジンストップ手段へ
エンジンへの燃料供給を遮断するエンジン停止状態に切
り換える電力を導出させる。これにより、クレーン側運
転室に配設する第２スイッチにエンジンストップ機能を
持たない通常のオン−オフスイッチを使用して電気的に
エンジンをストップさせることが可能となる。

（実施例） 以下本考案の一実施例を添付図面に基づいて詳述す
る。

第１図は本考案を適用したオールテレンクレーン車の
エンジン停止回路を示し、当該エンジン停止回路１は、
キャリア側運転室に配設されエンジンストップ機能を有
するスタータスイッチ２と、クレーン側運転室に配設さ
れエンジンストップ機能を持たないスタータスイッチ３
と、リレー回路４とにより構成されており、エンジンス
トップモータ５に接続されている。

スタータスイッチ２は、線10を介して直流電源（バッ
テリ）６の＋端子に接続され、線11からキャリア側用電
源として出力する。尚、このキャリア側用電源は、図示
しないリレー回路の組合わせによる電気的なインタロッ
クにより、クレーン側運転時にはオンにならないように
構成されている。スタータスイッチ２は、線12、13を介
してリレー回路４の常開接点4a、常閉接点4bに接続され
ると共に線14を介して接地され、線12は更に線15及びヒ
ューズ16を介して直流電源６の＋端子に接続されてい
る。

スタータスイッチ３は、線20を介して直流電源６の＋
端子に接続され、クレーン側運転時に線22からクレーン
側用電源を出力する。尚、このクレーン側用電源は、前
記キャリア側用電源と同様に電気的インタロックにより
キャリア側運転時にはオンにならないように構成されて
いる。

スタータスイッチ３の線22はヒューズ23、線24を介し
てリレー回路４のリレーコイル4eの一方の端子に接続さ
れ、当該リレーコイル4eの他方の端子は線25を介して線
14に接続され接地されている。また、当該リレー回路４
の共通接点4cは線26を介してエンジンストップモータ５
の一方の端子に接続され、当該エンジンストップモータ
５の他方の端子はリミットスイッチ７の共通接点7cに接
続されている。リミットスイッチ７の一方の接点7aは線
27を介して線15に接続され、他方の接点7bは線28を介し
て接地されている。

モータ５は、歯車系、リンク機構等を介してエンジン
のインジェクションポンプのストップレバー（何れも図
示せず）に接続されており、例えば、正回転すると前記
ストップレバーをエンジン回転（エンジン常用）位置ま
で回動させて当該エンジンに燃料を供給し、当該エンジ
ンの回転を持続させ又は始動可能とし、逆回転すると前
記ストップレバーをエンジン停止位置まで回動させて燃
料をカットし、エンジンを停止させる。

リミットスイッチ７は、モータ５が正回転してエンジ
ン常用位置に達したときに接点7aに切り換えられ、反対
にモータ５が逆回転してエンジン停止位置に達したとき
に接点7bに切り換えられる。

以下に作用を説明する。

キャリア側運転室のスタータスイッチ２がオフの状態
にあるエンジン停止状態においては、リミットスイッチ
７は図示のように接点7b側に切り換えられている。キャ
リア側運転室のスタータスイッチ２をオンにすると、直
流電源６から線15→線12→線13→リレー回路４の接点4b
→接点4c→線26→モータ５→リミットスイッチ７の接点
7c→接点7b→線28→アースの経路で電流が流れ、モータ
５が正回転する。モータ５が正回転するとエンジンに燃
料が供給され、エンジン常用状態に保持される。リミッ
トスイッチ７は、モータ５がエンジン常用位置まで回転
すると接点7bから接点7aに切り換えられる。これによ
り、当該リミットスイッチ７の接点7cと7a間が同電位と
なり、モータ５が停止し、エンジンが常用状態に保持さ
れる。

スタータスイッチ２をオフにすると、直流電源６から
線15→線27→リミットスイッチ７の接点7a→接点7c→モ
ータ５→線26→リレー回路４の接点4c→接点4b→線13→
スタータスイッチ２→線14→アースの経路で電流が流
れ、モータ５が逆回転して前記エンジンを停止させる。
リミットスイッチ７は、モータ５がエンジン停止位置ま
で回転すると接点7aから接点7bに切り換えられる。これ
により、モータ５に供給される電流が遮断されて当該モ
ータ５が停止し、エンジンが停止状態に保持される。

次に、クレーン側運転室のスタータスイッチ３をオン
にすると、クレーン側用電源がオンとなり、直流電源６
からスタータスイッチ３→線22→線24→リレー回路４の
リレーコイル4e→線25→アースの経路で電流が流れてリ
レーコイル4eが付勢され、接点4aに切り換えられる。こ
の結果、直流電源６から線15→リレー回路４の接点4a→
接点4c→線26モータ５→リミットスイッチ７の接点7c→
接点7b→線28→アースの経路で電流が流れ、モータ５が
正回転する。モータ５が正回転すると、エンジンに燃料
が供給されてエンジン常用状態に保持される。リミット
スイッチ７は、モータ５がエンジン常用位置まで回転す
ると接点7bから接点7aに切り換えられる。これによりリ
ミットスイッチ７の接点7cと7a間が同電位となり、モー
タ５が停止し、エンジンが常用の状態に保持される。

即ち、クレーン側運転時には、クレーン側用電源がオ
ンとなり、リレー回路４が付勢され、接点4a側に切り換
えられてキャリア側運転室のスタータスイッチ２のオン
時と同一の経路でエンジンストップモータ５に電流が流
れ、当該エンジンストップモータ５がエンジン常用位置
になる。

スタータスイッチ３をオフにしてクレーン側用電源を
オフにすると、リレー回路４のリレーコイル4eが消勢さ
れ、接点4bに切り換えられる。これにより、直流電源６
から線15→線27→リミットスイッチ７の接点7a→接点7c
→モータ５→線26→リレー回路４の接点4c→接点4b→線
13→スタータスイッチ２→線14→アースの経路で電流が
流れ、モータ５が逆回転して前記エンジンを停止させ
る。リミットスイッチ７は、モータ５がエンジン停止位
置まで回転すると接点7aから接点7bに切り換えられる。
これにより、モータ５に供給される電流が遮断されて当
該モータ５が停止し、エンジンが停止状態に保持され
る。

即ち、クレーン側用電源オフ時には、リレー回路４が
消勢されて接点4b側に切り換えられ、キャリア側運転室
のスタータスイッチ２のオフ時と同一の経路でエンジン
ストップモータ５に電流が流れ、当該エンジンストップ
モータ５がエンジン停止位置になる。

（考案の効果） 以上説明したように本考案によれば、キャリア側運転
室とクレーン側運転室との２つの運転室を有するオール
テレンクレーン車であって、前記キャリア側運転室に設
けられ電源の陽極及び陰極にそれぞれ接続される２つの
第１電源端子と、エンジンストップ位置とオン位置との
切り換え操作により前記第１電源端子との接続を切り換
え出力極性が変更される第１出力端子とを有する第１ス
イッチと、前記第１スイッチの前記第１出力端子に接続
され、前記第１スイッチがエンジンストップ位置に操作
されたときにエンジンへの燃料供給を遮断するエンジン
停止状態に切り換え作動し、オン位置に操作されたとき
エンジンへの燃料供給を許容するエンジン常用状態に切
り換え作動するエンジンストップ手段と、前記クレーン
側運転室に設けられ前記電源に接続される第２電源端子
と、オン位置で前記第２電源端子と接続されオフ位置で
当該第２電源端子から切断される第２出力端子を有する
第２スイッチと、前記第２スイッチの第２出力端子に接
続される切り換え駆動部を有し、前記第１スイッチと前
記エンジンストップ手段との接続経路間に設けられると
共に前記電源に接続され、前記第２スイッチのオン作動
により前記切り換え駆動部を作動させ前記エンジンスト
ップ手段と前記第１スイッチとの接続を解くと同時に前
記電源と前記エンジンストップ手段とを接続し、当該エ
ンジンストップ手段へエンジンへの燃料供給を許容する
エンジン常用状態に切り換える電力を導出せしめ、前記
第２スイッチのオフ作動により前記切り換え駆動部を作
動させ前記エンジンストップ手段と前記第１スイッチと
を接続すると同時に前記電源と前記エンジンストップ手
段とを接続し、当該エンジンストップ手段へエンジンへ
の燃料供給を遮断するエンジン停止状態に切り換える電
力を導出せしめる切り換え手段とを備えたことにより、
クレーン側運転室の第２スイッチにエンジンストップ機
能を持たないスタータスイッチを使用することができ、
この結果、切り換え手段を追加するだけで、現行のトラ
ッククレーン車やラフテレンクレーン車等に使用されて
いる一般のスイッチを使用することができ、エンジン停
止回路のコストダウンを図ることができるという効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を適用したオールテレンクレーン車のエ
ンジン停止回路の一実施例を示す回路図である。 １……エンジン停止回路、２、３……スタータスイッ
チ、４……リレー回路、５……エンジンストップモー
タ、６……直流電源、７……リミットスイッチ。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】キャリア側運転室とクレーン側運転室との
   ２つの運転室を有するオールテレンクレーン車であっ
   て、 前記キャリア側運転室に設けられ電源の陽極及び陰極に
   それぞれ接続される２つの第１電源端子と、エンジンス
   トップ位置とオン位置との切り換え操作により前記第１
   電源端子との接続を切り換え出力極性が変更される第１
   出力端子とを有する第１スイッチと、 前記第１スイッチの前記第１出力端子に接続され、前記
   第１スイッチがエンジンストップ位置に操作されたとき
   にエンジンへの燃料供給を遮断するエンジン停止状態に
   切り換え作動し、オン位置に操作されたときエンジンへ
   の燃料供給を許容するエンジン常用状態に切り換え作動
   するエンジンストップ手段と、 前記クレーン側運転室に設けられ前記電源に接続される
   第２電源端子と、オン位置で前記第２電源端子と接続さ
   れオフ位置で当該第２電源端子から切断される第２出力
   端子を有する第２スイッチと、 前記第２スイッチの第２出力端子に接続される切り換え
   駆動部を有し、前記第１スイッチと前記エンジンストッ
   プ手段との接続経路間に設けられると共に前記電源に接
   続され、前記第２スイッチのオン作動により前記切り換
   え駆動部を作動させ前記エンジンストップ手段と前記第
   １スイッチとの接続を解くと同時に前記電源と前記エン
   ジンストップ手段とを接続し、当該エンジンストップ手
   段へエンジンへの燃料供給を許容するエンジン常用状態
   に切り換える電力を導出せしめ、前記第２スイッチのオ
   フ作動により前記切り換え駆動部を作動させ前記エンジ
   ンストップ手段と前記第１スイッチとを接続すると同時
   に前記電源と前記エンジンストップ手段とを接続し、当
   該エンジンストップ手段へエンジンへの燃料供給を遮断
   するエンジン停止状態に切り換える電力を導出せしめる
   切り換え手段と を備えたことを特徴とするオールテレンクレーン車のエ
   ンジン停止回路。