JP3813428B2 - A/d変換器の出力回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、出力電圧を次段のデジタル回路に適切なものに調整するA/D変換器の出力回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種のアナログ信号について、デジタル処理を行いたいという要求があり、この場合にA/D変換器が利用されている。一般に、A/D変換器には、コンパレータが用いられ、コンパレータの基準電圧より高いか低いかで、HまたはLのデジタル出力を得ている。ここで、このA/D変換器におけるHレベルの電圧は、アナログ部の電源電圧VCCに基づいて発生されており、VCCに比例する電圧である。出力のデジタル信号を受け取るデジタル回路は、入力電圧がデジタル回路の電源電圧VDDに比例するしきい値電圧を超えることで、Hレベルを判断する。
【0003】
このため、アナログ部の電源電圧VCCがデジタル部の電源電圧より大きい場合には、コンパレータの出力におけるHレベルの電圧をデジタル部の電源電圧VDDと入力電圧のしきい値電圧の間の電圧にする必要がある。このために、Hレベル調整電流を流し、その電流による電圧降下で出力Hレベルを調整していた。
【0004】
このような回路の一例を図2に示す。電圧VCCのアナログ電源VCCに一端が接続されるコンパレータ出力信号発生源5の他端は、コレクタベースが短絡されたNPNトランジスタ1を介しグランドに接続される。このトランジスタ1のベースには、エミッタがグランドに接続されたNPNトランジスタ2のベースが接続されており、このトランジスタ2のコレクタは、抵抗4を介し電源VCCに接続されている。
【0005】
抵抗4とトランジスタ2のコレクタの接続点は、コレクタが電源VCCに接続され、エミッタが定電流源を介しグランドに接続されたNPNトランジスタ6のベースに接続されている。そして、このトランジスタ6のエミッタが出力端7に接続され、エミッタフォロワ回路を構成する。また、抵抗4とトランジスタ2のコレクタの接続点に定電流源3が接続される。
【0006】
従って、コンパレータ出力信号発生源5がオンの時には、トランジスタ1に電流が流れ、同一の電流が抵抗4およびトランジスタ2に流れる。これによって、トランジスタ6のベースがLとなり、トランジスタ6がオフし、出力端7はLとなる。一方、コンパレータ出力信号発生源5がオフの時には、トランジスタ1、2がオフとなり、トランジスタ6のベースがHとなり、トランジスタ6がオンする。これによって、出力端7にHレベルが出力される。
【0007】
そして、出力端7のHレベル電圧は、抵抗4の大きさ及び定電流源3の大きさによって定まる。そこで、この抵抗4もしくは定電流源3の大きさを適切なものに選ぶことによって、出力のHレベルの電圧を次段のデジタル部の電源電圧VDDと入力しきい値電圧の間に設定することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、デジタル部の電源電圧と、アナログ部の電源電圧とは独立しており、互いに無関係にばらつく。このため、A/D変換器の出力Hの電圧は、アナログ部の電源電圧に比例してばらつくとともに、抵抗4や定電流源3の出力電流に応じてばらつく。また、デジタル部の入力電圧のしきい値はデジタル部の電源電圧に比例してばらつく。従って、このばらつきがあっても、A/D変換器の出力H電圧をしきい値電圧とデジタル部電源電圧の間に収めなけれたならないという要求がある。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、A/D変換器の出力Hレベル電圧を次段のデジタル部の入力として適切な値に調整することができるA/D変換器の出力回路を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、出力トランジスタの制御電極にアナログ回路の電源電圧に応じたHまたはLを印加して、出力トランジスタのオンオフに応じたデジタル出力を得るA/D変換器の出力回路であって、前記出力トランジスタの制御電極を、前記デジタル出力が供給されるデジタル回路の電源電圧とアナログ回路の電源電圧の差に基づいて調整する出力調整回路を設けている。
【0011】
このように出力トランジスタの制御電極電圧をデジタル部とアナログ部の電源電圧の差に基づいて調整することで、出力Hレベルにおけるアナログ部電源電圧の影響を排除し、デジタル部電源電圧に比例するものにできる。従って、デジタル部電源電圧が変動しても安定したHレベルを出力することができる。
【0012】
そして、前記出力トランジスタは、エミッタフォロワ回路であり、そのエミッタがデジタル出力端に接続され、この出力トランジスタの制御電極端であるベースは、前記出力調整回路が接続されるとともに、前記出力調整回路の出力電流に基づいて電圧降下が起きる第1抵抗に接続されており、前記出力調整回路は、アナログ回路の電源とデジタル回路の電源との電圧差に基づく電流を流す第2抵抗を含み、この第2抵抗に流れる電流を前記第1抵抗に流し、これによって出力トランジスタのオン時の出力電圧を制御する。
【0013】
また、前記第2抵抗と直列にカレントミラー入力側トランジスタが配置されており、このカレントミラー入力側トランジスタに前記第2抵抗と同一の電流を流し、このカレントミラートランジスタに流れる電流に基づいて流れるカレントミラー出力側トランジスタに流れる電流を前記1抵抗に流すことが好適である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、実施形態の回路の構成を示す図である。まず、コンパレータ出力信号発生源5から出力端7までの構成は図2の従来例と同一である。すなわち、アナログ電源VCCとグランドの間にコンパレータ出力信号発生源5とNPNトランジスタ1が配置されている。このトランジスタ1のベースコレクタが短絡されており、このトランジスタ1にエミッタがグランドに接続されているNPNトランジスタ2がカレントミラー接続されている。このトランジスタ2のコレクタは、抵抗4を介し電源VCCに接続されている。
【0016】
抵抗4とトランジスタ2のコレクタの接続点は、コレクタが電源VCCに接続され、エミッタが定電流源3を介しグランドに接続されたNPNトランジスタ6のベースに接続されている。そして、このトランジスタ6のエミッタが出力端7に接続されている。
【0017】
従って、コンパレータ出力信号発生源5がオンの時には、トランジスタ1に電流が流れ、同一の電流が抵抗4およびトランジスタ2に流れる。これによって、トランジスタ6のベースがLとなり、トランジスタ6がオフし、出力端7はLとなる。一方、コンパレータ出力信号発生源5がオフの時には、トランジスタ1、2がオフとなり、トランジスタ6のベースがHとなり、トランジスタ6がオンする。これによって、出力端7にHレベルが出力される。
【0018】
そして、本実施形態においては、トランジスタ6のベースにHレベル調整電流源8が接続されている。このHレベル調整電流源8の構成について説明する。
【0019】
まず、このHレベル調整電流源8には、アナログ部電源VCCとデジタル部電源VDDの両方が供給される。なお、アナログ部電源VCCより、デジタル部電源VDDの方が低電圧である。
【0020】
アナログ部電源VCCには、ベースコレクタ間が短絡されたPNPトランジスタ13のエミッタが接続され、このトランジスタ13のコレクタは、抵抗14を介しデジタル部電源VDDに接続されている。トランジスタ13のベースには、エミッタがアナログ部電源VCCに接続されたPNPトランジスタ12のベースが接続されており、これらトランジスタ13,12はカレントミラーを構成している。
【0021】
トランジスタ12のコレクタには、コレクタベースが短絡されたNPNトランジスタ11のコレクタが接続され、このトランジスタ11のエミッタはグランドに接続されている。そして、トランジスタ11のベースには、エミッタがグランドに接続されているNPNトランジスタ10のベースが接続されており、このトランジスタ10のコレクタがトランジスタ6のベースに接続されている。
【0022】
なお、コンパレータ出力信号発生源5は、コンパレータの出力によってオンオフされるトランジスタなどで構成することができる。
【0023】
このようなHレベル調整電流源8によれば、デジタル部電源VDDに基づいて、出力端7のHレベル電圧が決定される。これについて、以下に説明する。
【0024】
まず、トランジスタ13に流れる電流Iと同一の電流がトランジスタ12,11,10に流れる。従って、トランジスタ6のベースからHレベル調整用電流源8に流れる電流もIとなる。
【0025】
この電流値Iは、アナログ部電源電圧VCCと、デジタル部電源電圧VDDの間にあるトランジスタ13のベースエミッタ間電圧Vbe13と、抵抗14の抵抗値14で決定され、
I={(VCC−VDD)−Vbe13}/R14 ・・・ (1)
となる。
【0026】
コンパレータ出力信号発生源5がLのとき、抵抗R4には、Hレベル調整電流源8の電流Iのみが流れる。このため、出力端からの出力電圧Voutは、
Vout=VCC−R4×I−Vbe6 ・・・ (2)
となる。ただし、Vbe6は、トランジスタ6のベースエミッタ間電圧であり、またトランジスタ7のベース電流は微小のため無視した。
【0027】
ここで、式(1)を式(2)に代入すると、
となる。
【0028】
ここで、抵抗4,14の抵抗値R4=R14となるように抵抗を選び、またVbe6=Vbe13と見なせば、
Vout=VDD
となる。
【0029】
このように、出力電圧Voutは、アナログ部電源電圧VCCには全く依存しない。また、トランジスタ6と13の特性を合わせることによって、Vbe6=Vbe13に設定することで、出力電圧Voutはトランジスタの特性に依存せず、温度特性についても一定にできる。また、トランジスタ6,13の特性を完全に同一にすることができなくても、出力電圧Voutは、Vbe6とVbe13の差に依存するだけで、出力電圧Voutの温度特性を略一定にすることができる。
【0030】
このため、出力電圧Voutをデジタル部電源電圧VDDに比例しているデジタル部の入力しきい値と連動することができ、デジタル部の電源電圧VDDのばらつきに対しても、安定したHレベル信号をデジタル部に供給できる。
【0031】
従って、デジタル部の電源電圧VDDのばらつきを考慮する必要がなくなり、A/D変換器の出力Hレベル電圧の設定が容易になる。
なお、図1においては、出力トランジスタをNPNトランジスタで構成しているが、出力トランジスタをPNPトランジスタとした場合に、コンパレータ信号を電流反転する回路やHレベル調整電流源8のトランジスタの極性を反転すれば、本発明を実施できることはいうまでもない。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アナログ部電源電圧VCCとデジタル部電源電圧VDDの差に基づいて出力Hレベルを調整するため、出力電圧のHレベルをVDDに依存するものにできる。また、出力トランジスタにおけるVbeを他のトランジスタVbeで相殺することで、出力Hレベル電圧を温度に対して略一定に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の回路の構成を示す図である。
【図2】 従来例の回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
1,2,6,10,11,12,13 トランジスタ、3 定電流源、4,14 抵抗、5 コンパレータ出力信号発生源。
Claims (2)
- 出力トランジスタの制御電極にアナログ回路の電源電圧に応じたHまたはLを印加して、出力トランジスタのオンオフに応じたデジタル出力を得るA/D変換器の出力回路であって、
前記出力トランジスタの制御電極を、前記デジタル出力が供給されるデジタル回路の電源電圧とアナログ回路の電源電圧の差に基づいて調整する出力調整回路を有し、
前記出力トランジスタは、エミッタフォロワ回路であり、そのエミッタがデジタル出力端に接続され、
この出力トランジスタの制御電極端であるベースは、前記出力調整回路が接続されるとともに、前記出力調整回路の出力電流に基づいて電圧降下が起きる第1抵抗に接続されており、
前記出力調整回路は、アナログ回路の電源とデジタル回路の電源との電圧差に基づく電流を流す第2抵抗を含み、この第2抵抗に流れる電流を前記第1抵抗に流し、これによって出力トランジスタのオン時の出力電圧を制御する出力調整回路。 - 請求項1に記載の回路において、
前記第2抵抗と直列にカレントミラー入力側トランジスタが配置されており、このカレントミラー入力側トランジスタに前記第2抵抗と同一の電流を流し、このカレントミラー入力側トランジスタに流れる電流に基づいてカレントミラー出力側トランジスタに流れる電流を前記1抵抗に流す出力調整回路。
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