JP3813335B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内ユニットの制御手段内に運転設定が記憶される空気調和装置に係り、制御基板の共通化や運転設定変更作業の容易化等を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、空気調和装置の室内ユニットでは、その制御部内にCPU(中央処理装置)やROM(読出専用記憶装置)等の部品をボード上に配設してなる制御基板が備えられている。制御基板上のCPUは、ROMから各種の制御プログラムや運転設定を呼び出し、スイッチやセンサ類からの入力情報に基づき、各機器(電動膨張弁や電動ファン等)の駆動制御や室外ユニットとの相互通信等を行う。ROMに記憶される運転設定としては、エアフィルタの寿命(耐用時間)や設置形態による冷暖房運転時の吸込温度と室温との偏差補正を始めとして種々のものがあり、これに対応するべく制御基板は機種毎に専用品が用いられていた。
【0003】
上述したように、従来の室内ユニットでは機種毎に専用の制御基板を用いるため、室内ユニットの機種数が多くなると、制御基板の種類がさらに増加する問題があった。すなわち、室内ユニット用の制御基板は、構成部品やその取付状態が全く同一であっても、ROM内に記憶された運転設定のみが異なるものが多数存在し、生産管理や在庫管理等が煩雑になると共に、多品種少量生産によって単価が上昇する。また、室内ユニットの設置時には、標準設定と異なる仕様のエアフィルタが選択されたり、ヒータ等の後付オプション機器が装着されること等があり、この際には、フィルタ交換表示や通電制御等を正しく行わせるべく、制御基板上のディップスイッチの切り換え等を行う必要があった。
【0004】
そこで、発明者等は、これらの問題を解決するべく、室内ユニットの制御基板にEEPROM等の不揮発性記憶手段を搭載し、この不揮発性記憶手段に書換可能に運転設定を記憶させることを試みた。これにより種々の運転設定を記憶させて制御基板の汎用性を高めることができる他、室内ユニット外のリモートコントローラ等を用いての運転設定の変更も可能となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この種の従来の空気調和装置では、複数台の室内ユニットと前記室内ユニット外の単一のリモートコントローラ等とを通信ラインを介して接続し、複数台の室内ユニットを、当該単一のリモートコントローラで一括制御(以下、グループ制御という。)することが行われる場合がある。このグループ制御が行われる場合には、単一のリモートコントローラに接続された複数台の室内ユニットの内の一つの室内ユニットが必ず親機として設定される。
【0006】
運転設定データの中にはこの親機にのみ設定したいデータが幾つかあるし、グループ制御される複数台の室内ユニットの全てに対して同じデータを設定する場合に、この親機に設定することにより全ての室内ユニットに対して同じデータを一斉に設定することができれば運転設定変更の作業性が向上する。
【0007】
そこで、本発明の目的は、グループ制御を行う室内ユニットの内の親機を簡単に呼び出すことができる空気調和装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、単一の信号入力手段からの指令により複数台の室内ユニットをグループ制御する空気調和装置において、前記複数台の室内ユニットには、機種または設置形態の異なる室内ユニットを含み、前記室内ユニットの制御手段内に、少なくとも一つの制御パラメータに対して運転設定を書換可能に記憶する第1記憶手段と、複数の機種、設置形態、交換部材ないし後付オプション機器の装着設定に対応する複数の設定データからなる設定データ群を前記制御パラメータ毎に記憶した第2記憶手段と、前記第1記憶手段に記憶された前記室内ユニットの機種、設置形態または交換部材ないし後付オプション機器の装着状態に応じた運転設定を更新する運転設定更新手段とを備え、前記信号入力手段は、他の室内ユニットに優先して親機の運転設定を更新可能となるように、前記運転設定の更新時にはグループ制御される室内ユニットの内の親機を最初に呼び出し、前記運転設定更新手段は、前記信号入力手段からの入力信号に基づき、前記第2記憶手段に記憶された設定データ群内の所定の設定データを更新データとして選択し、この更新データをもって前記第1記憶手段内の運転設定を更新することを特徴とする。
【0009】
この発明では、運転設定の更新時において、信号入力手段には最初に親機が呼び出されるので、設置作業者やサービス作業者は、例えば親機にのみ更新データを容易に与えることができる。
【0010】
また、請求項2の発明では、請求項1記載のものにおいて、前記運転設定更新手段はグループ制御される室内ユニットの運転設定を同時更新することを特徴とする。この発明では、グループ制御を行う室内ユニットの全てに一斉に同じ更新データを設定することができる。
【0011】
また、請求項3の発明では、請求項1記載のものにおいて、前記運転設定更新手段はグループ制御される室内ユニットの運転設定を個別更新することを特徴とする。この発明では、グループ制御を行う複数台の室内ユニットのそれぞれに更新データを個別に設定することができる。
【0012】
また、請求項4の発明では、請求項1乃至請求項3の空気調和装置において、前記信号入力手段はリモートコントローラであることを特徴とする。この発明では、例えば、設置作業者やサービス作業者は、リモートコントローラのディスプレイの表示で親機を確認し、グループ制御を行う室内ユニットの全てに同じ更新データを設定し、或いは複数の室内ユニットについて個別に更新データを設定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る空気調和システムの全体を示す概略構成図であり、図2は室外ユニットおよび室内ユニット内の機器構成を示す概略図である。尚、これらの図において、冷凍サイクルは実線により示し、制御・通信回路は一点鎖線により示してある。
【0014】
図1に示したように、本実施形態の空気調和システムは、システム全体を制御・統括する集中コントローラ1と、共に集中コントローラ1に無極性2線方式のバスライン3を介して接続された、多数台の室内ユニット5-1〜5-nと、第1〜第3室外ユニット7-1〜7-3とから構成されている。図中、9は室内ユニットにリモコンライン4を介して接続されたワイヤードリモートコントローラ(以下、リモコンと略称する)である。
【0015】
図1に示す空気調和システムでは、1つのリモコンに対して複数の室内ユニットを接続して、この1つのリモコンからの指令により複数の全ての室内ユニットの制御基板に対して指令を行う、いわゆる室内ユニットのグループ制御が行われる。即ち、3つの室内ユニット5-1〜5-3が1つのリモコン9によりグループGR1 制御される。同様に3つの室内ユニット5-4〜5-6が別の1つのリモコン9によりグループGR2制御され、さらに3つの室内ユニット5-21〜5-23が別の1つのリモコン9によりグループGR3制御され、2つの室内ユニット5-24、5-25が別の1つのリモコン9によりグループGR4制御される。
【0016】
図2に示したように、室内ユニット5-1〜5-n側には、室内熱交換器21、電動ファン23、電動膨張弁25、電動フラップ27等が設置されている。また、室外ユニット7-1〜7-3側には、圧縮機31、電磁式の四方弁33、室外熱交換器35、電動ファン37、アキュムレータ39等が設置されている。冷媒回路を構成する機器は、ガス冷媒あるいは液冷媒の流通に供される冷媒配管41〜47により接続されている。
【0017】
各室内ユニット5-1〜5-n内には、室内側コントロールユニット(以下、室内側ECUと記す)61が設置されている。室内側ECU61は、図3に示したように、CPU63を始め、入出力インタフェース65,67やROM(第2記憶手段)69,RAM71,EEPROM(第1記憶手段)73等から構成されている。本実施形態の場合、EEPROM73には種々の制御パラメータに対して運転設定が書換可能に記憶され、ROM69には各制御パラメータ毎に複数の設定データからなる設定データ群が記憶されている。
【0018】
室内側ECU61では、入力インタフェース65に室温Tr を検出する室温センサ81や、室内熱交換器21の冷房運転時における入口側および出口側の冷媒温度Tfi,Tfoを検出する第1,第2冷媒温度センサ83,85等が接続し、出力インタフェース67に電動ファン23や電動膨張弁25、電動フラップ27等が接続している。
【0019】
一方、各室外ユニット7-1〜7-3内には、室外側コントロールユニット(以下、室外側ECUと記す)91が設置され、各リモコン9内にはリモコン側コントロールユニット(以下、リモコン側ECUと記す)93が設置されている。両ECU91,93は、室内側ECU61と略同様の構成を有しており、室外側ECU91には圧縮機31、四方弁33、電動ファン37の他、圧縮機31の吐出側冷媒圧力Pd を検出する圧力センサ93、外気温Ta を検出する外気温センサ95等が接続し、リモコン側ECU93には後述するディスプレイや各種スイッチが接続している。
【0020】
図4は、リモコン9の表示・操作部の表示例を示す正面図であり、図中の符号101は運転情報等の表示に供される液晶ディスプレイである。液晶ディスプレイ101には、左上方に制御対象となるユニットナンバ表示(系統表示103−室内ユニット表示105)、右中央に項目コード表示107、下方に設定データ表示109がそれぞれなされる。
【0021】
液晶ディスプレイ101の左側には、上から順に、ユニット選択スイッチ111、スイング/風向スイッチ113、タイマ設定スイッチ115、タイマ時間スイッチ117,119、セットスイッチ121、取消スイッチ123が配設されている。液晶ディスプレイ101の右側には、上から順に、運転切換スイッチ125、温度設定スイッチ127,129、風速切換スイッチ131、フィルタ交換ランプ133、そのリセットスイッチ135、試運転/点検スイッチ137が配設されている。更に、液晶ディスプレイ101の下部には、運転表示ランプ139と運転/停止スイッチ141とが配設されている。
【0022】
次に、冷房運転時における冷媒の流れを簡単に説明する。
【0023】
図2に示す室外ユニット7-1〜7-3内では、冷媒配管47から圧縮機31に吸引されたガス冷媒が、断熱圧縮により高温高圧となって圧縮機31から吐出され、冷媒配管41、四方弁33、冷媒配管42を経由して室外熱交換器35に流入する。高温高圧のガス冷媒は、室外熱交換器35内を通過する間に外気により冷却され、凝縮することにより液冷媒となった後、冷媒配管43を経由して各室内ユニット5-1〜5-nの電動膨張弁25に流入する。
【0024】
液冷媒は、電動膨張弁25で流量を調整された後、冷媒配管44を経由して室内熱交換器21に流入する。液冷媒は、室内熱交換器21内を通過する間に気化してガス冷媒となり、気化潜熱により電動ファン23が送風した室内空気を冷却する。この際、室内側ECU61は、設定温度Ts と室温Tr との偏差に基づき電動ファン23の回転数(rpm )を制御すると共に、室内熱交換器21の入口側冷媒温度Tfiと出口側冷媒温度Tfoとの偏差が所定値(例えば、0〜1℃)となるように電動膨張弁25の開弁量(弁体駆動用ステップモータのステップ数)を制御する。室内熱交換器21内で気化したガス冷媒は、冷媒配管45から室外ユニット7-1〜7-3内の四方弁33、冷媒配管46を経由してアキュムレータ39に流入し、冷媒配管47から再び圧縮機31に吸引される。
【0025】
また、暖房運転時には、室外側ECU91により、四方弁33が破線で示すように切り換えられる。これにより、圧縮機31から吐出された高温高圧のガス冷媒が室内熱交換器21内で凝縮熱を放出して液冷媒となった後、室外熱交換器35に流入して外気から気化潜熱を吸収することになる。
【0026】
以下、本実施形態の作用を説明する。
【0027】
本実施形態では、室内ユニット5-1〜5-nの組立工程において、組立ラインに設置されたロムライター等により、容量や仕様に応じた標準的な運転設定が室内側ECU61のEEPROM73に書き込まれる。これにより、複数の機種間で制御基板の共通化を図ることが可能となり、生産管理や在庫管理等が容易になると共に、大量生産によるコストの低減が実現された。
【0028】
さて、建屋への空気調和システムの設置にあたり、設置作業者が、各室内ユニット5-1〜5-nを設置空間の状況(浮遊塵埃量や温湿度の要求値等)に適合させるべく、エアフィルタを装着または交換したり、ヒータ等の後付オプション機器を装着することがある。この際、設置作業者は、エアフィルタの種類やヒータの装着等に対応させるべく、リモコン9を用いて室内側ECU61のEEPROM73に記憶された運転設定を変更する。
【0029】
この実施形態では、室内ユニット5-1〜5-nのグループ制御が行われる場合、1つのリモコン9の操作によってグループ制御される全ての室内ユニットの運転設定が一括、或いは個別に変更される。
【0030】
以下に図5,図6のフローチャートに基づいてその手順を述べる。尚、本実施形態の場合、室内ユニット5-1〜5-nの運転設定の変更は、各室外ユニット7-1〜7-3との間の配管作業や電源および通信ラインの配線作業等が完了し、集中コントローラ1による自動アドレスも終了した時点で可能となる。
【0031】
室内ユニット5-1〜5-nに主電源が投入され且つリモコン9の運転/停止スイッチ137がONとされ、リモコン9による運転制御が行われる状態(通常リモコンモード)になると、リモコン側ECU93は所定の制御インターバルで図5,図6に示した簡易設定変更サブルーチンを繰り返し実行する。このサブルーチンを開始すると、リモコン側ECU93は、先ず図5のステップS1で各スイッチ等からの入力情報を読み込んだ後、ステップS3で試運転/点検スイッチ137が4秒以上ON状態となったか否かを判定し、この判定がNo (否定)であればスタートに戻って処理を繰り返す。
【0032】
設置作業者が試運転/点検スイッチ137を4秒以上押圧し続けて、ステップS3の判定がYes(肯定)になると、リモコン側ECU93は、簡易設定変更モードに移行し、ステップS5で全室内ユニット5-1〜5-nに指令を出力してその運転を強制的に停止させると共に、図7に示したように、ステップS7で液晶ディスプレイ101における設定データ表示109の直上に「設定中」の表示143を点滅させる。同時に、リモコン側ECU93は、ステップS9で系統表示103と室内ユニット表示105とで「ALL」を点滅させ、ステップS11で項目コード表示107に「01」を点滅させ、更にステップS13で設定データ表示109に「0001」を点滅させる。
【0033】
この表示は、全ての室内ユニット5-1〜5-nに対して、項目コード01に係る制御パラメータの設定を1とすることを示しており、表示の点滅は号機選択や設定変更が未了であることを示している。
【0034】
次に、リモコン側ECU93は、ステップS15でユニット選択スイッチ111が押圧されたか否かを判定し、この判定がYesであれば、1台の室内ユニットが選択されたことを認識して、ステップS17で系統表示103および室内ユニット表示105により選択された室内ユニットのアドレスを表示すると共に、ステップS18では、選択された室内ユニットの室内側ECU61に電動ファン23と電動フラップ27との駆動指令を出力する。これにより、設置作業者は、液晶ディスプレイ101の表示の他、その送風状態や電動フラップ27の作動状態によっても、選択された室内ユニットを確認することができる。
【0035】
(A)親機の呼び出し
この実施形態では、前記リモコン側ECU93が、仮にグループGR1 制御される3つの室内ユニット5-1〜5-3に接続されたリモコン9のリモコン側ECU93であるとすれば、このリモコン側ECU93は、ユニット選択スイッチ111が1回押圧された場合に、ステップS17で「ALL」の表示を第5系統の3号機のアドレスを示す「5−3」の表示に切り換える。
【0036】
この「5−3」の表示は室内ユニット5-3を表示しており、この実施形態では、この室内ユニット5-3が親機である。すなわち、運転設定の更新時には複数台の室内ユニット5-1〜5-3の内の親機である室内ユニット5-3がリモコン9の系統表示103および室内ユニット表示105に最初に呼び出される。
【0037】
なお、この親機の室内ユニット5-3の設定登録は、自動アドレス時に行われている。このようにグループ制御内の親機を予め定めることにより、例えば親機の室内ユニット5-3に内蔵された外気温センサを用いてグループGR1内の各室内ユニットの温度制御を行うことができるようになる。
【0038】
(B)運転設定の一斉変更
グループGR1 制御される3つの室内ユニット5-1〜5-3の運転設定を一斉に変更する場合には、例えば図7に示すように、系統表示103および室内ユニット表示105に「ALL」が表示されるように切り換える。
【0039】
前述したように、ステップS15で、ユニット選択スイッチ111が押圧されていなければ、最初から表示は「ALL」である。しかし、親機の確認のため、ユニット選択スイッチ111が一回押圧された場合には「ALL」の表示が「5−3」の表示に切り換えられるので、この場合にはユニット選択スイッチ111を繰り返し押圧する。2回以上押圧された場合には、その押圧回数に応じて、第5系統の1号機以降のアドレスを示す表示(「5−1」→「5−2」…)に順次切り換えられ、第5系統の最終号機のアドレスを表示している際、ユニット選択スイッチ111が更に押圧されると、表示は「ALL」に切り換わる。
【0040】
次に、リモコン側ECU93は、図6のステップS19で温度設定スイッチ127,129のどちらかが押圧されたか否かを判定する。
【0041】
そして、この判定がYesであれば、リモコン側ECU93は、ステップS21で運転設定を変更する室内ユニット(この場合にはグループGR1 制御される全ての室内ユニット5-1〜5-3である。)を確定し、系統表示103および室内ユニット表示105の「ALL」を点滅から点灯に切り換える。次にステップS23で室内側ECU61のROM69内の記憶情報に基づき項目コード表示107を切り換える。例えば、リモコン側ECU93は、上昇側の温度設定スイッチ127が押圧されると、その押圧回数に応じて「01」の表示を順(→「02」→「03」→「04」)に切り換え、下降側の温度設定スイッチ127,129が押圧されると、その押圧回数に応じて逆順(→「04」→「03」→「02」→「01」)に切り換える。図8には、液晶ディスプレイ101上に「ALL」が点灯し、項目コード01が表示された状態を示している。
【0042】
尚、本実施形態では簡易設定変更に係る第1制御パラメータ群が4種の制御パラメータから構成されており、図9のテーブルに示したように、項目コード01の制御パラメータがフィルタ寿命に、項目コード02の制御パラメータが集中アドレスに、項目コード03の制御パラメータが暖房時吸込温度シフトに、項目コード04の制御パラメータがヒータ切り換えにそれぞれ対応している。
【0043】
フィルタ寿命は、エアフィルタの有無や種類等に応じて設定されるもので、設定データについては、0がエアフィルタの無装着を意味し、1〜4が150〜10000時間の寿命を有する各種エアフィルタが装着されたことを意味し、5が目詰まりセンサにより寿命検出が行われることを意味する。そして、設定データが1〜4の場合には対応する時間が経過することにより、また、設定データが5の場合には室内側ECU61から入力した目詰まりセンサの検出結果により、リモコン側ECU93がフィルタ交換ランプ133を点灯させることになる。尚、フィルタ寿命の初期運転設定(デフォルト値)は、室内ユニットに標準装着されたエアフィルタに対応した状態となっており、設置作業者等がエアフィルタを他のものに交換した場合等に設定変更が行われる。
【0044】
集中アドレスは、集中コントローラ1によるグループ制御に係るもので、設定データについては、1〜64が各グループの親機(集中1〜集中64)であることを意味し、99が子機(未定)であることを意味し、デフォルト値は99となっている。そして、設定データが1〜64の場合、その室内ユニットは、集中コントローラ1によるグループ制御指令を受け、グループ内の他の室内ユニットに制御指令を伝達することになる。
【0045】
暖房時吸込温度シフトは、天井埋込型等で吸込温度センサの検出値と実際の室温とが異なる場合に設定されるもので、設定データについては、0〜10が0〜10℃を意味する。そして、暖房時吸込温度シフトのデフォルト値は、室内ユニットの形式や能力に応じて予め設定されており、室内ユニットの設置高が標準と異なる場合に所定の設定データが選択されて、室温制御の際に補正値として用いられる。ヒータ切り換えは、オプションヒータの装着時に設定されるもので、設定データについては、0が未装着状態を意味し、1が装着状態を意味し、デフォルト値は0となっている。
【0046】
そして、設定データが1の場合には、室内側ECU61が必要に応じてオプションヒータへの通電制御を行うことになる。
【0047】
ステップS23の処理を終えると、リモコン側ECU93は、次にステップS25でタイマ時間スイッチ117,119のどちらかが押圧されたか否かを判定する。そして、この判定がYesであれば、リモコン側ECU93は、ステップS27で運転設定を変更する制御パラメータを確定し(項目コード表示107を点滅から点灯に切り換え)、次にステップS29で室内側ECU61のROM69内の記憶情報に基づき設定データ表示109を切り換える。例えば、リモコン側ECU93は、増加側のタイマ時間スイッチ117が押圧されると、その押圧回数に応じて「0001」の表示を順(→「0002」→「0003」→「0004」…)に切り換え、減少側のタイマ時間スイッチ118が押圧されると、その押圧回数に応じて逆順(→「0005」→「0004」→「0003」→「0002」…)に切り換える。図10には、液晶ディスプレイ101上に、項目コード01が選択され、設定データ3が表示された状態を示している。
【0048】
一方、ステップS25の判定がNo であった場合、リモコン側ECU93は、ステップS31で取消スイッチ123が押圧されたか否かを判定し、YesであればステップS33で簡易設定変更を中止する。
【0049】
ステップS29の処理を終えると、リモコン側ECU93は、次にステップS35でセットスイッチ121が押圧されたか否かを判定し、この判定がYesであれば、ステップS37で設定データを確定する(設定データ表示109を点滅から点灯に切り換える。)。また一方、ステップS35の判定がNo であれば、ステップS39で取消スイッチ123が押圧されたか否かを判定し、YesであればステップS41で設定データをデフォルト値に戻した後にステップS43で簡易設定変更を中止する。
【0050】
ステップS37の処理を終えると、リモコン側ECU93は、ステップS45で試運転/点検スイッチ137が再び押圧されたか否かを判定し、この判定がYesであればステップS47で設定変更(すなわち、室内側ECU61に対するEEPROM73内の運転設定の書き換えの指令)を実行した後にサブルーチンを終了する。図11は簡易設定変更が完了した直後の液晶ディスプレイ101を示しているが、各表示が点滅から点灯に変わり、「設定中」の表示143も消灯している。その後は、通常リモコンモードに復帰し、各スイッチを操作することにより、液晶ディスプレイ101上には所定の表示が行われる。
【0051】
この実施形態では、グループGR1 制御される3つの室内ユニット5-1〜5-3の運転設定が一斉に変更されるので、変更作業が容易になる。
【0052】
(C)運転設定の個別変更
グループGR1 制御される3つの室内ユニット5-1〜5-3の運転設定を個別に変更する場合には、この実施形態では、ステップS15において、ユニット選択スイッチ111が押圧される。前述したように、ユニット選択スイッチ111が1回押圧された場合、「ALL」の表示が第5系統の3号機のアドレスを示す「5−3」の表示に切り換えられ、2回以上押圧された場合、その押圧回数に応じて、第5系統の1号機以降のアドレスを示す表示(「5−1」→「5−2」…)に順次切り換えられる。室内ユニット5-3の運転設定を変更する場合には、前記「5−3」が表示された状態で、ステップS19に移行し、それ以後、前記と同様に各ステップを進行し、ステップS47で設定変更を実行し、ついで、ステップS15において、再びユニット選択スイッチ111を押圧して「5−1」の表示に切り換え、この状態で、ステップS19に移行し、それ以後、前記と同様に各ステップを進行し、ステップS47で設定変更を実行する。
【0053】
この操作の繰り返しにより、リモコン9を用いて、グループGR1 制御される3つの室内ユニット5-1〜5-3の運転設定が個別に変更される。
【0054】
次に、本実施形態における詳細設定変更について説明するが、その手順は簡易設定変更と略同様であるため、相違点についてのみ説明する。
【0055】
詳細設定変更は、専門的知識を有するサービス作業者等を対象としたものであり、設置作業者等により安易に行われると種々の不具合が生じることがある。そのため、リモコン側ECU93は、図5のステップS3において、試運転/点検スイッチ137と同時に、セットスイッチ121および取消スイッチ123も4秒以上ON状態となった場合にのみ、詳細設定変更モードに移行する。その他の手順は、簡易設定変更サブルーチンと同一であるが、本実施形態の場合、詳細設定変更に係る第2制御パラメータ群が5種の制御パラメータから構成されており、図12のテーブルに示したように、項目コード10の制御パラメータが室内ユニット形式に、項目コード11の制御パラメータが室内ユニット能力に、項目コード12の制御パラメータが系統アドレスに、項目コード13の制御パラメータが室内ユニットアドレスに、項目コード14の制御パラメータがグループ設定にそれぞれ対応している。
【0056】
項目コード12の系統アドレスは、室内ユニットと室外ユニットの冷媒系統を一致させるアドレスであり、項目コード13の室内ユニットアドレスは、ある冷媒系統中の室内ユニットのアドレスであり、さらに項目コード14のグループ設定は、室内ユニットをグループ制御しているのかどうかや室内ユニットが親機であるのか子機であるのかを示す。
【0057】
室内ユニット形式は、室内ユニットの設置形式に係るもので、設定データについては、0〜6が一方向天井型や壁掛型等を意味している。通常の場合、室内ユニット形式の変更を行うことはありえないが、制御基板が破損した場合等には、他の室内ユニットの制御基板の流用や補修用制御基板の使用が行われ、その際には室内ユニット形式の設定変更が必要となる。
【0058】
室内ユニット能力は、室内ユニットの定格能力に係るもので、設定データについては、1〜23が22KWから560KWを意味している。室内ユニット能力も、室内ユニット形式と同様に、制御基板の流用や補修用制御基板の使用時にその設定変更が必要となる。
【0059】
系統アドレス、室内ユニットアドレスおよびグループ設定は、自動アドレスにより付与されたアドレスや親子設定を変更する際に用いられる。
【0060】
この実施形態では、詳細設定変更にあってもグループ制御される室内ユニットに対して、前述した簡易設定変更の場合と同様に(A)親機の呼び出し、(B)運転設定の一斉変更、(C)運転設定の個別変更が可能である。
【0061】
このように、本実施形態では、室内側ECU61のEEPROM73に各種制御パラメータの運転設定を記憶させると共に、リモコン9を適宜操作することでROM69内の設定データを用いてその運転設定を変更できるようにしたため、制御基板の共通化が実現できると同時に、運転設定の変更時に高所作業が不要となった。また、ROM69内の運転設定をリモコン9の液晶ディスプレイ101に表示するにあたり、項目コードや設定データを符号化(0〜99の範囲の整数)するようにしたため、同一のリモコン9で項目コードおよび設定データの変更や追加に対応できるようになった。
【0062】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、運転設定の変更にリモコンを用いるようにしたが、専用の設定変更端末機等を用いるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、制御パラメータを簡易設定変更に係る第1制御パラメータ群と詳細設定変更に係る第2制御パラメータ群とに区分したが、このような区分を行わなくともよいし、三つ以上に区分するようにしてもよい。
【0064】
更に、運転設定変更時の表示形態を始め、具体的な装置構成や制御手順等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0065】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、運転設定の更新時において、グループ制御される複数台の室内ユニットの内の親機が、信号入力手段に最初に呼び出されるので、親機を簡単に見つけることができ、設置作業者やサービス作業者は、例えば親機に更新データを容易に与えることができる。
【0066】
また、請求項2の発明によれば、グループ制御を行う全ての室内ユニットに一斉に同じ設定データを更新データとして容易に設定することができる。
【0067】
さらに、請求項3の発明によれば、グループ制御を行う複数台の室内ユニットについて個別に更新データを容易に設定することができる。
【0068】
また、請求項4の発明によれば、信号入力手段がリモートコントローラとしたため、専用の設定変更端末機等が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和システムの全体を示す概略構成図である。
【図2】室内ユニットおよび室外ユニット内の機器構成を示す概略図である。
【図3】室内側ECUの構成を示す説明図である。
【図4】リモコンの表示・操作部を示す正面図である。
【図5】簡易設定変更サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図6】簡易設定変更サブルーチンの手順を示したフローチャートである。
【図7】リモコンの液晶ディスプレイの表示を示した説明図である。
【図8】リモコンの液晶ディスプレイの表示を示した説明図である。
【図9】第1制御パラメータ群の設定データ等を示したテーブルである。
【図10】リモコンの液晶ディスプレイの表示を示した説明図である。
【図11】リモコンの液晶ディスプレイの表示を示した説明図である。
【図12】第2制御パラメータ群の設定データ等を示したテーブルである。
【符号の説明】
1 集中コントローラ
3 バスライン
5-1〜5-n 室内ユニット
7-1〜7-3 室外ユニット
9 ワイヤードリモートコントローラ(室内ユニット外の信号入力手段)
61 室内側ECU
63 CPU
69 ROM
73 EEPROM
93 リモコン側ECU
101 液晶ディスプレイ
Claims (4)
- 単一の信号入力手段からの指令により複数台の室内ユニットをグループ制御する空気調和装置において、
前記複数台の室内ユニットには、機種または設置形態の異なる室内ユニットを含み、
前記室内ユニットの制御手段内に、少なくとも一つの制御パラメータに対して運転設定を書換可能に記憶する第1記憶手段と、複数の機種、設置形態、交換部材ないし後付オプション機器の装着設定に対応する複数の設定データからなる設定データ群を前記制御パラメータ毎に記憶した第2記憶手段と、前記第1記憶手段に記憶された前記室内ユニットの機種、設置形態または交換部材ないし後付オプション機器の装着状態に応じた運転設定を更新する運転設定更新手段とを備え、
前記信号入力手段は、他の室内ユニットに優先して親機の運転設定を更新可能となるように、前記運転設定の更新時にはグループ制御される室内ユニットの内の親機を最初に呼び出し、
前記運転設定更新手段は、前記信号入力手段からの入力信号に基づき、前記第2記憶手段に記憶された設定データ群内の所定の設定データを更新データとして選択し、この更新データをもって前記第1記憶手段内の運転設定を更新することを特徴とする空気調和装置。 - 前記運転設定更新手段はグループ制御される室内ユニットの運転設定を同時更新することを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
- 前記運転設定更新手段はグループ制御される室内ユニットの運転設定を個別更新することを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
- 前記信号入力手段はリモートコントローラであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の空気調和装置。
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