JP3813032B2 - 電子写真用転写紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用転写紙に関するものである。さらに詳しくは、フルカラーレーザーコピー(以下、CLCと略記)およびフルカラーレーザービームプリンター(以下、CLBPと略記)により印刷することができ、白紙部分だけでなく、トナー転写後の画質部分も印画紙の写真に近い光沢を有する印画紙写真ライクの電子写真用転写紙に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印画紙写真に近い画質のアウトプット要望は、近年のデジタルカメラの普及やパーソナルコンピューターでの画像処理ソフトの普及により、急速に拡大している。
【0003】
これまで、高級なアウトプットメディアとしては、昇華型熱転写方式が先行しており、医療における画像処理分野などで使用されてきたが、価格が高いことと印刷処理時間が長いことが普及の大きな問題点であった。
【0004】
最近になって、解像度の飛躍的な向上とインク滴の微細化技術が相まって、インクジェットプリンターが写真画質に近づきつつあり、そのランニングコストの安さから幾つかのフォトシステムが市販されるに至っている。しかし、インクジェット方式は安価ではあるが、印刷処理に時間が掛かるという問題は解決されていない。
【0005】
比較的安価で印刷処理時間の短い電子写真方式は、簡易な印画紙写真に近いアウトプット方式として注目されている。しかし、これまではメディアとして光沢紙の代表であるキャストコート紙に印刷する程度であり、これではトナーが乗った画像部分がマット調になってしまうと言う欠点があり、印刷後も光沢感を維持できる通紙性の良好な転写用紙が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、中心面平均粗さと膜厚むら指数を規定した基紙に、水性エマルジョン共重合体を塗工し、塗工面の白紙光沢を規定することにより、白紙光沢と印刷後の画像部の光沢感を印画紙写真に近づけると同時に電子写真適性も兼ね備えた、新規な印画紙写真ライクの電子写真用転写紙を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記に鑑み鋭意研究した結果、本発明の電子写真用転写紙を発明するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の電子写真用転写紙は、中心面平均粗さ(SRa)が1.5μm以下で、且つ膜厚むら指数(Rpy)が250mV以下である基紙に対し、水性エマルジョン共重合体を乾燥固形分5.0〜15g/m 2 塗工してなり、塗工面の白紙光沢が60%以上であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明において、水性エマルジョン共重合体として、MFT120℃以上の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明における電子写真用転写紙として、好ましくは基紙が古紙パルプを含有するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真用転写紙について、詳細に説明する。
【0012】
本発明者は、まず第1に、本発明の電子写真用転写紙の基紙の平滑性と水性エマルジョン共重合体塗工後の白紙光沢との関係について検討した。
【0013】
本発明においては、まず、現在入手可能な上質紙、塗工紙、写真用原紙について、CLCおよびCLBPを用いて印刷を行った。この結果、現行のCLC、CLBPを用いて印刷した場合、画像部のトナーの光沢は、塗工紙より上質紙の方が高く感じられること、一方、非画像部の白紙光沢は、従来のグロス系塗工紙でも印画紙写真から見ると満足できないことが明確になった。さらに、キヤストコート紙を用いると、非画像部の白紙光沢は高くなるが、画像部のトナー光沢はマット調になってしまうことも明らかになった。このため、画像部、非画像部の光沢を満足させるためには、基紙上に光沢付与層を設けなければならないが、CLC、CLBPの場合は、トナーの定着時に定着ロールへのトナー転移を防止する目的でシリコンオイルを塗布する機種が一般的なので、この光沢付与層については非画像部でシリコンオイルによる光沢低下の少ないこと、および基本的には電子写真用転写紙なので電子写真適性があることが必要条件となる。
【0014】
本発明の電子写真用転写紙において、基紙の平滑性と水性エマルジョン共重合体塗工後の白紙光沢との関係について比較検討した結果、基紙の中心面平均粗さ(SRa)、および膜厚むら指数(Rpy)と水性エマルジョン共重合体塗工後の白紙光沢との間に良好な相関関係が見られた。そして、基紙の中心面平均粗さ(SRa)が1.5μm以下であり、且つ膜厚むら指数(Rpy)が250mV以下である時、水性エマルジョン共重合体を5.0g/m2以上塗工後の白紙光沢が良好であることを見いだし、本発明の電子写真用転写紙を発明するに至った。
【0015】
なお、本発明で言う基紙の中心面平均粗さ(SRa)とは、基紙の塗工面の触針式3次元表面粗さ計を用いて測定されるカットオフ値0.8mmでの抄紙方向の中心面平均粗さであり、下記数式1で規定されるものである。本発明では、SRaが1.5μm以下のものが有用であり、1.45μm以下のものが好ましく、1.4μm以下のものがさらに好ましい。
【0016】
【数1】
【0017】
数式1において、Wxは試料面域のX軸方向(抄紙方向)の長さを表し、Wyは試料面域のY軸方向(抄紙方向と垂直な方向)の長さを表し、Saは試料面域の面積を表す。
【0018】
具体的には、触針式3次元表面粗さ計および3次元粗さ解析装置として、小坂研究所(株)製SE−3AK型機およびSPA−11型機を用い、カットオフ値0.8mm、Wx=20mm、Wy=8mm、従って、Sa=160mm2の条件で求めることができる。なお、X軸方向のデータ処理としてはサンプリングを500点行い、Y軸方向の走査としては、17線以上行う。
【0019】
本発明で言う膜厚むら指数(Rpy)とは、2つの球状の触針の間に試料を走行させ、試料の厚み変動を電子マイクロメーターを介し電気信号として測定するフィルム厚み測定器を用い、電子マイクロメーターの感度レンジが±15μm/±3Vの条件で、ゼロ点調整後試料の抄紙方向に1.5m/分の定速で、走査させることにより試料の抄紙方向の厚み変動を測定し、得られた測定信号値を、FFTアナライザーを用いて、時間窓にハニングウィンドウを使用して高速フーリエ変換して、128回の積算の加算平均によるパワースペクトル(単位:mV2)を求め、2〜25Hzの周波数域のパワー値を総和して2/3を掛けた値を1/2乗することにより求められる値(単位:mV)である。
【0020】
本発明における基紙としては、非塗工紙でも塗工紙でも使用できる。中心面平均粗さ(SRa)が1.5μm以下であり、且つ膜厚むら指数(Rpy)が250mV以下である基紙は、具体的には以下の方法を用いることにより、好ましくは以下の方法を2つ以上組み合わせることにより得られる。
【0021】
(1)基紙に使用する天然パルプとしては、平滑性の出やすいサルファイトパルプ、好ましくは広葉樹サルファイトパルプを多く用いる。具体的には、特開昭60−67940号公報に記載、もしくは例示の広葉樹サルファイトパルプを30重量%以上用いる。
【0022】
(2)湿紙の乾燥途中に緊度プレスを用いる。具体的には、例えば、特開平3−29945号公報に記載、もしくは例示のような多段の緊度プレスを湿紙に行う。
【0023】
(3)基紙を抄紙後マシンカレンダー、スーパーカレンダー、熱カレンダーなどを用いて少なくとも2系列以上のカレンダー処理を基紙に行う。具体的には、例えば、基紙に第1系列のカレンダー処理としてマシンカレンダー処理あるいはおよび熱マシンカレンダー処理を行い、その後第2系列以降のカレンダー処理として必要に応じてさらにマシンカレンダー処理を行った後、特開平4−110939号公報に記載、もしくは例示の熱ソフトカレンダー処理を行う。
【0024】
基紙に対し光沢付与剤として用いることができる水性エマルジョン共重合体には、一般的に、ワックス系エマルジョン、ポリエチレン系樹脂エマルジョン、シリコーン系エマルジョン、スチレン・ブタジエンラテックス(SBR)、エチレン−スチレン系エマルジョン、ならびに塩化ビニル−アクリル共重合体エマルジョン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョンなどが知られている。
【0025】
水性エマルジョン共重合体の塗工量は、5.0g/m2以上である必要がある。塗工量が5.0g/m2未満であると、基紙の被覆が不完全であり、十分な光沢値を得ることができない。一方、塗工量を15g/m2以上としても得られる光沢値は飽和してしまい、経済上好ましくないので、本発明に係る水性エマルジョン共重合体の塗工量は5.0〜15g/m 2 とする。
【0026】
本発明では、水性エマルジョン共重合体の塗工後の電子写真用転写紙の白紙光沢値は、JIS P−8142に規定される「紙および板紙の75度鏡面光沢度試験方法」で60%以上であることが必要がある。白紙光沢値が60%以下であると、光沢感が不足して印画紙写真の代替としては使用できない。
【0027】
本発明の電子写真用転写紙の坪量範囲としては、60〜200g/m2が好ましい。坪量が60g/m2以下では写真性に必要な平滑性が得られない。また、200g/m2以上の坪量ではCLC、CLBPの通紙適性に支障が生じる。
【0028】
本発明における上記の水性エマルジョン共重合体を基紙に塗工する装置としては、ゲートロールコーター、あるいはフィルムトランスファーコーター、およびロッドコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター、カーテンコーターなどの塗工装置を用いることができる。これら塗工装置の中では、できるだけ紙層内部への浸透が少ない方式のものが望ましい。また、塗工後には必要に応じて、マシンカレンダー、熱カレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を用いて仕上げることも可能である。
【0029】
本発明の電子写真用転写紙の基紙を製造する際に使用する内添填料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムの他にカオリン、クレーなどが挙げられる。
【0030】
本発明の電子写真用転写紙の基紙を製造する際に使用する内添サイズ剤としては、例えば、酸性抄紙の場合には、ロジンサイズ剤、中性抄紙の場合には、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、中性ロジンサイズ剤、カチオン性スチレンアクリルなどが挙げられる。
【0031】
本発明の電子写真用転写紙の基紙を製造する際に使用する紙料中には、この他に、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、従来から使用されている歩留まり向上剤、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の濾水向上剤、紙力向上剤などの抄紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。例えば、各種澱粉、およびポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリアミド・ポリアミン、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂の内の1種あるいは2種以上が適宜組み合わされて使用される。
【0032】
本発明の電子写真用転写紙の基紙の表面には、光沢付与剤としての水性エマルジョン共重合体を塗工する前に表面処理として、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン澱粉、燐酸澱粉などの加工澱粉、変性澱粉、ポリビニルルアルコールなどのバインダー、スチレン/アクリル酸系共重合体、スチレン/メタアクリル酸系共重合体、アクリロニトリル/ビニルホルマール/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体などの表面サイズ剤、エチレン−尿素樹脂などの寸法安定化剤、塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの無機導電剤、有機導電剤、界面活性剤、顔料、染料を塗工することは勿論可能である。
【0033】
上記のバインダーおよび表面サイズ剤などを塗工する装置としては、コンベンショナルサイズプレス、ゲートロールサイズプレス、あるいはフィルムトランスファー方式のサイズプレス、ロッドコーター、ビルブレード、ショートドウェルコーターなどを用いることができる。これら塗工装置の中では紙層内部へも上記のサイズプレス液を含浸させるような方式のものが望ましい。
【0034】
本発明の電子写真用転写紙の基紙を製造する際に、上述した以外に使用できるパルプとしては、NBKP、LBKP、NBSP、GP、TMPなどの他に、ケナフやバガスなどの非木材パルプや古紙パルプが挙げられ、必要に応じて単独あるいは併用して用いられる。
【0035】
なお、本発明で言う古紙パルプの原料としては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。さらに具体例としては、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙などのプリンター用紙、およびPPC用紙などのOA古紙、アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙などの塗工紙、あるいは上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートンなどの非塗工紙などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を問わず特に限定されるものではない。
【0036】
その他の添加剤としては、pH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、および防錆剤などが挙げられる。
【0037】
本発明の抄紙方法において、抄紙機は、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知の抄紙機を適宜使用できる。
【0038】
本発明において、光沢付与剤としての水性エマルジョン共重合体の内でも、MFTが120℃以上の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体が好ましい。塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、化学的に安定であり、各種エマルジョン、無機顔料などとの相溶性にも優れ、スチレン−アクリル系、ポリエステル系トナーとの接着性に優れる。また、MFTについては低温の方が造膜性に優れるが、形成された膜の粘着性が高くなるため、用紙を積層する電子写真用転写紙としては好ましくない。さらに、MFTの低い塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体は、塗工時に塗工面にはじきが発生し易く、均一な塗工面が形成できないと言う欠点もある。また、CLC、CLBPではトナーの溶融を促進せざるを得ないことから、トナーの熱定着ロール温度は高めに設定される。このため、本発明では、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体のMFTは120℃以上が好ましい。MFTが高くなると、膜は硬質になり、粘着性が減少すると共に、白紙光沢も高くなる。
【0039】
本発明における電子写真用転写紙は、CLC、CLBP用の電子写真用転写紙としての使用に留まらず、オフセット印刷用紙、熱転写受像紙として使用することが可能である。また、印刷用途と反対面に、粘着剤層を塗工して、ラベル用途に適用することも可能である。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。また、実施例において示す「部」および「%」は、特に明示しない限り重量部および重量%を示す。
【0041】
まず、以下の製造例に従って、基紙1〜5を作製した。
【0042】
<製造例1>
広葉樹漂白クラフトパルプ70%および広葉樹漂白サルファイトパルプ30%からなる混合パルプを叩解後のパルプの繊維長(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.52−89「紙およびパルプ繊維長試験方法」に準拠して測定した長さ加重平均繊維長で表示して)が0.62mmになるように叩解後、パルプ100部に対して、カチオン化澱粉3部、アニオン化ポリアクリルアミド0.2部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.4部、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂0.4部および適当量の蛍光増白剤、青色染料、赤色染料を添加して紙料スラリーを調製した。
【0043】
上記により得た紙料スラリーを用い、200m/分で走行している長網抄紙機にのせ、適切なタービュレンスを与えつつ紙匹を形成し、ウェットパートで100kg/cmに線圧が調節された3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで70kg/cmの範囲で線圧が調節された2段の緊度プレスを行った後、乾燥した。
【0044】
さらに、乾燥の途中でコロイド状シリカ4部、蛍光増白剤0.05部、青色染料0.002部、塩化ナトリウム4部および水92部からなるサイズプレス液を乾燥固形分(塗工量)2g/m2になるようにサイズプレスし、最終的に得られる基紙水分が絶乾水分で8%になるように乾燥し、線圧70kg/cmでマシンカレンダー処理して、坪量170g/m2の基紙1を製造した。この基紙1のSRa値は1.37μm、Rpy値は150mVであった。
【0045】
<製造例2>
製造例1の坪量を80g/m2とした以外は同様にして、基紙2を製造した。この基紙2のSRa値は1.39μm、Rpy値は183mVであった。
【0046】
<製造例3>
製造例1のパルプ配合を広葉樹漂白クラフトパルプ70%から広葉樹漂白クラフトパルプ40%+模造古紙30%に代えた以外は同様にして、基紙3を製造した。この基紙3のSRa値は1.45μm、Rpy値は192mVであった。
【0047】
<製造例4>
製造例1のパルプ配合を広葉樹漂白サルファイトパルプ30%から広葉樹漂白サルファイトパルプ20%+広葉樹漂白クラフトパルプ10%に代えた以外は同様にして、基紙4を製造した。この基紙4のSRa値は1.58μm、Rpy値は182mVであった。
【0048】
<製造例5>
製造例1のプレス条件をウェットパートの3段のウェットプレス線圧を70kg/cm、乾燥パートの線圧を45kg/cmに調節した以外は同様にして、基紙5を製造した。この基紙5のSRa値は1.60μm、Rpy値は273mVであった。
【0049】
次に、以下の方法に従って実施例および比較例の電子写真用転写紙を作製した。
【0050】
実施例1
上記で作製した基紙1に、光沢付与剤として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(日信化学株式会社製:ビニブラン602、MFT=130℃)を用いてワイヤーバー塗工を行ない、固形分付着量10.1g/m2の電子写真用転写紙を得、実施例1の電子写真用転写紙とした。
【0051】
実施例2
上記実施例1で、基紙を基紙2とした以外は実施例1と同様にして、実施例2の電子写真用転写紙とした。
【0052】
実施例3
上記実施例1で、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョンの固形分付着量を5.2g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電子写真用転写紙とした。
【0053】
実施例4
上記実施例1で、光沢付与剤の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョンの代わりに、市販のオフ輪印刷用SBRラテックス(JSR株式会社製:2028H)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4の電子写真用転写紙とした。
【0054】
実施例5
上記実施例1で、光沢付与剤の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョンの代わりに、市販の平判印刷用SBRラテックス(住化A&L株式会社製:P−6495)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の電子写真用転写紙とした。
【0055】
実施例6
上記実施例1で、光沢付与剤の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョンの代わりに、塩化ビニル−アクリル系共重合体エマルジョン(日信化学株式会社製:ビニブラン609、MFT=100℃)を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6の電子写真用転写紙とした。
【0056】
実施例7
上記実施例1で、基紙を基紙3とした以外は実施例1と同様にして、実施例 7の電子写真用転写紙とした。
【0057】
参考例1
上記実施例1で、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョンの固形分付着量を20g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、参考例1の電子写真用転写紙とした。
【0058】
比較例1
上記で作製した基紙4に、光沢付与剤として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(日信化学株式会社製:ビニブラン602、MFT=130℃)を用いてワイヤーバー塗工を行ない、固形分付着量10.2g/m2の電子写真用転写紙を得、比較例1の電子写真用転写紙とした。
【0059】
比較例2
上記比較例1で基紙4を基紙5にした以外は、比較例1と同様にして比較例2の電子写真用転写紙とした。
【0060】
比較例3
上記実施例1で、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョンの固形分付着量を4.0g/m2にした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の電子写真用転写紙とした。
【0061】
比較例4
市販のキャストコート紙(三菱製紙株式会社製:ラックスコート〈150〉)をそのまま比較例4とした。この用紙のSRa値は0.37μm、Rpy値は389mVであった。
【0062】
比較例5
上記比較例1で、基紙4を市販のPPC用紙(三菱製紙株式会社製:三菱カラーPPC用紙〈70〉)にした以外は、比較例1と同様にして比較例5の電子写真用転写紙とした。この用紙のSRa値は2.18μm、Rpy値は531mVであった。
【0063】
比較例6
上記比較例1で、基紙4を市販の高平滑上質紙(三菱製紙株式会社製:三菱パールカラーホワイト〈70〉)にした以外は、比較例1と同様にして比較例6の電子写真用転写紙とした。この用紙のSRa値は1.56μm、Rpy値は747mVであった。
【0064】
上記により作製した実施例1〜7、参考例1、および比較例1〜6の電子写真用転写について、以下の方法で白紙光沢、白紙光沢残存率、トナー定着性、ならびに画像部光沢感を測定した。
【0065】
1)白紙光沢
測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調湿後、JIS P−8142に従って75度鏡面光沢度を白紙光沢として測定した。本発明では白紙光沢は60%以上あることが望ましい。なお、測定に当たっては、印刷前および印刷後の両方について行った。
【0066】
2)白紙光沢残存率
白紙光沢を測定した試料をFUJI Xerox製 A−Color935機の厚紙モードで印刷学会のTEST CHART TYPE1をA4縦目の試料を横通しすることにより印刷し、印刷後の白紙部分の白紙光沢を、印刷前に測定した白紙光沢で除することにより白紙光沢残存率を%で求めた。残存率としては90%以上あることが望ましい。
【0067】
3)トナー定着性
トナー定着性については、FUJI Xerox製 A−Color935機の厚紙モードで印刷学会のTEST CHART TYPE1をA4縦目の白紙試料を横通しすることにより印刷した試料に、幅18mmのニチバン社製セロハン粘着テープ「セロテープ No.405」を各色の画像部に貼りむらが無いように貼りつけ、180度剥離で約5mm/秒の速さでゆっくりとテープを剥がした。剥離後のトナーの紙への定着度合いを目視により判定し、以下の基準で6段階評価を行った。実用上問題ないレベルとしては、「4」以上である。
【0068】
「6」:各色共にトナーが紙の上に大部分残っている。
「5」:各色共にトナーが残っているが、テープ剥離後の画像部の印刷濃度が下がるのがわかる。
「4」:一部の色でトナーが紙から剥がれ、画像部に白く抜けた部分がある。
「3」:各色共にトナーが紙から剥がれ、画像部に白く抜けた部分がある。
「2」:各色共にトナーが紙から剥がれ、わずかながらトナーが紙に残る。
「1」:各色共にトナーが紙から剥がれ、画像部が残らない。
【0069】
4)画像部光沢感
画像部光沢感については、FUJI Xerox製:A−Color935機の厚紙モードで印刷学会のTEST CHART TYPE1をA4縦目の白紙試料を横通しすることにより印刷した試料に斜光を当て、目視で光沢感を印画紙写真に近いかどうかで4段階(◎:全く問題なし、○:実用上使用可能、△:実用上問題がある、×:使用不可)で評価した。
【0070】
【表1】
【0071】
上記の表1から明らかなように、基紙の平滑性として中心面平均粗さ(SRa)が1.5μm以下で、且つ膜厚むら指数(Rpy)が250mV以下である基紙に対し、水性エマルジョン共重合体を固形分で5.0g/m2以上塗工することにより、塗工面の白紙光沢が60%以上確保できることが判る(実施例1〜7および参考例1と比較例1、2の比較)。オフ輪コート用のSBRラテックスは高い白紙光沢を示すが、トナー定着時に塗布されるシリコンオイルによる白紙の光沢の低下が大きい(実施例5)。水性エマルジョン共重合体の塗工量については、5.0g/m2以上は必要であるが(実施例3と比較例3の比較)、あまり多く塗工しても光沢値は横這いになる(参考例1)ことも判る。また、もともと白紙光沢の高いキャストコート紙などをそのまま用いても、画像部の光沢感が出難いことは明確である(比較例4)。また、平滑性の高い上質紙を基紙に用いても白紙光沢は出難く、本発明が基紙の平滑だけでなく、水性エマルジョン共重合体との組合せが必要なことも明確である(比較例5、6)。
【0072】
実施例8
上記で作製した基紙1に、光沢付与剤として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(試作品:MFT=120℃)を用いてワイヤーバー塗工を行ない、固形分付着量12.1g/m2の電子写真用転写紙を得、実施例8の電子写真用転写紙とした。
【0073】
実施例9
上記実施例8で、光沢付与剤を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(試作品:MFT=100℃)を用いた以外は実施例8と同様にして、実施例9の電子写真用転写紙とした。
【0074】
実施例10
上記実施例8で、光沢付与剤を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(試作品:MFT=90℃)を用いた以外は実施例8と同様にして、実施例10の電子写真用転写紙とした。
【0075】
実施例11
上記実施例8で、光沢付与剤を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(日信化学株式会社製:ビニブラン601、MFT=50℃)を用いた以外は実施例8と同様にして、実施例11の電子写真用転写紙とした。
【0076】
実施例12
上記実施例8で、基紙1を基紙3とした以外は実施例8と同様にして、実施例12の電子写真用転写紙とした。
【0077】
上記により作製した実施例8〜12の電子写真用転写紙について、下記の方法によるベタツキ性および上述した評価方法により測定した。
【0078】
1)ベタツキ性
白紙試料のベタツキ性については、20℃、65%RHの環境下に24時間調湿後、石鹸にて十分洗浄後、乾燥させた手の親指と人差し指の間に試料を挟んで、放すことを数回続け、4段階(◎:全く問題なし、○:実用上使用可能、△:実用上問題がある、×:使用不可)で評価した。
【0079】
【表2】
【0080】
表2の実施例8〜11では、基紙に塗工する水溶性エマルジョン共重合体のMFTを変化させているが、MFTが低下すると白紙光沢が出難くなり、それに連れて白紙光沢の残存率も低下することが判る。また、塗工面のベタツキ性も同様な傾向を示す。実施例12では古紙配合の基紙を使用しているが、基紙面の平滑性の規格をクリアーすれば良好な結果が得られることも明確である。
【0081】
【発明の効果】
本発明は、中心面平均粗さ(SRa)が1.5μm以下で、且つ膜厚むら指数(Rpy)が250mV以下である基紙に対し、水性エマルジョン共重合体、好ましくはMFT120℃以上の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体を固形分で5.0〜15g/m 2 塗工し、塗工面の白紙光沢が60%以上とすることにより、CLCおよびCLBPにより印刷でき、白紙部分だけでなくトナー転写後の画質部分も印画紙の写真に近い光沢を有する印画紙写真ライクの電子写真用転写紙を得ることができる。
Claims (3)
- 中心面平均粗さ(SRa)が1.5μm以下で、且つ膜厚むら指数(Rpy)が250mV以下である基紙に対し、水性エマルジョン共重合体を乾燥固形分5.0〜15g/m 2 塗工してなり、塗工面の白紙光沢が60%以上であることを特徴とする電子写真用転写紙。
- 水性エマルジョン共重合体が、MFT120℃以上の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体であることを特徴とする請求項1記載の電子写真用転写紙。
- 基紙が古紙パルプを含有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真用転写紙。
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